JPH0220076B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は時計ケースの構造に関し、より具体的
にはベル状のガラスと、ムーブメント或いはモジ
ユールを収容する裏蓋と、ガラスを囲繞し各部材
を保持するガラス棒を有する形式の腕時計の防水
構造に関する。

従来の腕時計は概してケースとガラスと裏蓋と
でもつて、時計のケーシング体を形成している。
最近ではガラスの製造技術の向上により、垂下状
の壁部が一体形成されたベル状（釣鐘状）とし、
この壁部が他の部材と結合してケーシング体を構
成するようにしたものもある。この壁部は、適切
に支持されていないと何らかの応力が加わつた場
合に破損したりクラツク傷が入つたりする恐れが
ある。この傾向は非円形のガラスの場合に特に顕
著である。ベル状としたガラスの一部として、龍
頭の巻真や押ボタンの軸を受ける突出部を形成し
たものもある。また、各部材間に弾性ガスケツト
を配設し防水機能をもたせたものも知られてい
る。例えば、米国特許第2735259号は封口ガスケ
ツト無しのベル状としたガラスを有し、このガラ
スは裏蓋にスナツプ締めされ、またガラス縁はガ
ラスにスナツプ締めされて結合される構成を示し
ている。また、米国特許第2845773号はベル状で
はない通常のガラスと時計ケースとの間に、ガラ
ス上部に対して緊締されるガラス縁によつてクラ
ンプされる封口体を有し、ガラス縁とケースとを
スナツプ締め結合させたものである。

ところで、防水機能と共に、ステンレス鋼やプ
ラスチツク材のような耐腐蝕性の物質により形成
して安価なものとすることが望ましい。ケース全
体をステンレス鋼製とすれば高価なものとなつて
しまうが、ステンレス鋼で薄い殻体を形成し、こ
れでプラスチツク材のような安価で耐腐蝕性のも
のを履うような構造とすれば低廉でしかもステン
レス鋼の高級イメージの外観とすることができ
る。ところが、このような構造の場合には、防水
機能を持たせようとすると密閉の為の応力の故に
プラスチツク部に損傷を来たすことがしばしば経
験されている。

本発明は上記に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、ベル状のガラスと、裏蓋
にスナツプ締めされるガラス縁とを有する時計の
改良された防水構造の時計ケースを提供するにあ
る。

本発明の別の目的は、安価に形成できるプラス
チツクとステンレス鋼とを組合せた腕時計の防水
構造を提供することである。

本発明の更に別の目的は、ガラスに応力が加わ
つても損傷の恐れがなく、新規な封口手段を有す
る腕時計の防水構造を提供することである。

本発明による腕時計の防水構造は、端的には、
ガラス縁と裏蓋とをスナツプ締め結合させ、ガラ
ス縁は中央部と一体の突出部を設けた壁部を有す
るベル状のガラスの周縁を囲み、ガラスの上記壁
部と裏蓋との間には、ガラスに形成した対向する
肩部によつて保持される封口体を有し、上記２個
の肩部がガラス縁と裏蓋と協働して防水機能を有
するようにしたものである。

以下図面に示す本発明の好適な実施例について
説明する。第１図及び第２図において、符号１０
はガラス、１１はガラス縁（ベゼル）、１２は裏
蓋、１３は時計のムーブメントである。ムーブメ
ント１３は文字板１５の上方に配設した針１４を
有する所謂アナログ式のものを図示したが、本発
明はこれに限られるものではなく、種々タイプの
デジタル式のものであつてよいこと勿論である。

ガラス１０は時間表示部を透視できる中央部１
６とそれと一体に形成した垂下壁部１７とを有し
ている。第２図の如く、上記壁部１７は、龍頭２
０を取付けた従来同様の巻真１９を受容する丸孔
１８ａを備えた一体形成の突出部１８を有してい
る。符号２１はＯリングであつて巻真１９と丸孔
１８ａとの間をシールしている。

ガラス縁１１はガラス１０の壁部１７外面を囲
んでいるが、薄い殻状の金属体とすることが望ま
しく、こようにすることによつてステンレス鋼の
外観を呈することが出来る。時計バンドを取付け
る為の取付け突起の個所を破断した状態を示す第
１図に示す如く、ガラス縁１１は従来同様のバネ
状棒体を受容する孔２３を有する一対の突出部２
２を備えており、この突出部２２はカバー部２４
にて結合されている。図示を省略したがケースの
反対側にはもう一対の突出部が形成されており、
時計バンドの為のもう一方のバー部２４を有する
取付け突起としている。

裏蓋１２は平坦な中央部２５と、これに連続す
る周辺壁部２６を有し、周辺壁部２６はガラスの
垂下壁部１７の下端の形状に合致し且つこれを囲
む形状となつている。

ガラス１０と裏蓋１２との間には、裏蓋に近接
する位置にガスケツト２７が介装されている。こ
こで、裏蓋とガスケツトは第７図に示すように非
円形である。

第３図と第４図はガラス縁１１の構成を示して
いる。第３図はガラス縁の底面図であり殻状とな
つており、例えば金属の打抜き成型により形成し
たものである。ガラス縁１１は0.75mm程度の均一
な厚さの比較的薄いステンレス鋼とすることが望
ましく、周辺クランプ部２９となる開口２８を有
している。第１図にも示す通り、ガラス縁内面に
は凹陥部３０が４箇所形成されており、裏蓋にス
ナツプ締め結合できるようにしている。符号３１
は下方部に形成した孔であり前記突出部１８がぴ
つたり嵌まるようになつている。

第５図と第６図はガラス１０の構造を示してい
る。第５図に示すようにガラス１０は美観上非円
形としてあるが円形としても良いこと勿論であ
る。ガラス１０は中央部１６とこれに一体の突出
部１８を有している。第１図にも示す通り、連続
して形成した周辺縁部３２はガスケツト２７と密
着せる第１のシール面となる。第６図の通り、ガ
ラスの垂下壁部１７には上方に向いた肩部３３と
下方に向いた肩部３４が形成されている。

第７図と第８図は裏蓋の構造を示している。裏
蓋１２はガラス１０の前記垂下壁部の形状に合せ
て非円形としており、薄い金属板を打抜き法など
により成型したものである。裏蓋１２は中央部２
５と周辺壁部２６を有し、前記ガラス縁の４個の
凹陥部３０と係合する隆起部３５が形成されてい
て、両者によつてスナツプ締め結合が達成され
る。符号３６は壁部２６に形成した孔であり、ガ
ラス縁１１の孔３１（第３図及び第４図）と共に
前記突出部１８の為のクリアランスを形成してい
る。裏蓋の周辺壁部２６近傍には周辺シール面３
７が形成されていて、ガスケツト２７（第１図及
び第２図）と密着せる第２のシール面となる。符
号３８は周辺壁部２６の上端縁であり、ガラス１
０の移動制止用肩部３４の方に突出している。第
１図にも示すように、上端縁３８と肩部３４の間
にはわずかな間隙が形成されるように夫々の寸法
を選択する。

本発明の時計ケースの作用・効果について上記
より明らかになつたと思われるが以下簡単に説明
する。第１図及び第２図に示す如く、ガラス１０
と裏蓋、並びにガラスの縁部３２と裏蓋のシール
面３７との間に介装したガスケツト２７とでもつ
てムーブメント１３に対する完全な防水ケーシン
グを構成している。従来においては、ガラスの周
辺部に放射状の外方圧力を加えることによつてシ
ールを行なつていたが、この構造だと上記圧力が
非支持部への応力となつてしまうのに対し、本発
明においてはクランプ作用がガラス壁部の連続す
る周辺縁部に軸方向に均一に加わることになる。

本発明におけるクランプ作用は、ガラス縁と裏
蓋とガラスとの間の協働作用によつて得られるも
のである。即ち、ガラス１０の肩部３３にはガラ
ス縁の周辺クランプ部２９によつて下方の圧力が
加わり、裏蓋１２には、裏蓋の隆起部３５とガラ
ス縁の凹陥部３０とがスナツプ締め結合するに到
るまでガスケツト２７の弾性に抗して上方の力が
加わるのである。ガラスと裏蓋のそれ以上の動き
はガラスの肩部３４と裏蓋周辺部２６の上端縁と
の間隙によつて調整される。この寸法は、裏蓋と
ガラス縁とのスナツプ締め結合の為の突起の形
状、並びにガスケツト２７への好適な圧縮力とい
う点で慎重に選定される。ガラスの壁部に加わる
全ての応力は軸方向のものでると共に、ガラス周
辺に均一に加わる為に、割れや損傷などを引き起
すおそれはなく、しかもガスケツトの介装により
均一なシール効果が達成できるものである。ガラ
ス１０をプラスチツク物質より形成すればケース
の大部分を安価に形成でき、クランプの為の機械
的な圧力はステンレス鋼の如き薄くて強力な殻体
を用いることによつて達成される。

ガラス縁と裏蓋とのスナツプ締め結合構造につ
いて図示例では裏蓋の隆起部３５とガラス縁の凹
陥部３０との組合せを採用したが、隆起部と凹陥
部を逆に形成してもよいし、その他の所望の結合
構造としてもよい。

以上本発明の好適な実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲の欄に記載の範囲内で種々変
更が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本発明を採用した腕時計の要
部を示す断面図であり、第１図はバンド取付用突
起に沿つて破断した状態を、第２図は巻真に沿つ
て破断した状態を示している。第３図と第４図は
ガラス縁の夫々底面図と一部破断側面図、第５図
と第６図は時計ガラスの夫々底面図と一部破断側
面図、第７図と第８図は裏蓋の夫々底面図と断面
図である。 １０……時計ガラス、１１……ガラス縁、１２
……裏蓋、１７……ガラス１０の垂下壁部、１８
……突出部、２０……Ｏリング、２６……裏蓋１
２の周辺壁部、２７……ガスケツト、２９……ガ
ラス縁１１の周辺クランプ部、３０……凹陥部、
３２……周辺縁部、３３，３４……ガラス１０の
肩部、３５……隆起部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 突起を有する垂下壁部を一体に形成したベル
   状のガラスと、該垂下壁部を囲み肉薄のガラス縁
   と、該垂下壁部を囲む周辺壁部を有する裏蓋とを
   備えてなる時計において、該ガラスには該ガラス
   縁の周辺部と協働する第１の肩部を形成し、該ガ
   ラス縁と該裏蓋にはスナツプ締め結合手段を設
   け、該ガラスと該裏蓋との間にはガスケツトを介
   装し、ガラス縁を上記肩部に押付けて該ガスケツ
   トを圧縮すると共に、該ガラス縁と裏蓋とのスナ
   ツプ締め結合により該ガスケツトを保持するよう
   にし、更に該ガラスは、該裏蓋の周縁部と協働す
   る第２の肩部を有して該ガラスが該裏蓋側に移動
   するのを規制し、該ガラスと裏蓋との間の空〓を
   調整できるようにしたことを特徴とする腕時計の
   防水構造。 ２ 該ガラスはプラスチツク製の非円形とし、該
   ガラス縁の周辺部と協働する該第１の肩部と、該
   裏蓋の周縁部と協働する第２の肩部は互いに反対
   方向に面する如く形成してなる特許請求の範囲第
   １項記載の防水構造。 ３ 該ガラスの垂下壁部の下端縁は該ガスケツト
   に対する第１のシール面を形成し、該裏蓋の周縁
   部近傍で該ガスケツトに対する第２のシール面を
   形成し、該ガスケツトと上記２つのシール面は非
   円形とした特許請求の範囲第１項記載の防水構
   造。 ４ 該ガラス縁はステンレス鋼製とし、カバー体
   で結合された突起を２対両側に設け時計バンド取
   付用突起とした特許請求の範囲第１項記載の防水
   構造。 ５ 該ガラス縁は内面に複数の凹陥部を設けたス
   テンレス鋼製殻体とし、該裏蓋は上記凹陥部と係
   合する複数の隆起部を有しスナツプ締め結合し得
   るようにした特許請求の範囲第１項記載の防水構
   造。 ６ 該第２の肩部は該裏蓋の壁部端縁部と協動
   し、該ガスケツトは、該ガラスの周端縁と該裏蓋
   の内周面との間に介装されてなる特許請求の範囲
   第１項記載の防水構造。