JPS6318147B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は時計側、殊に、共に硬質材料からなる
胴とガラスが一体に構成された時計側およびその
製造方法に関する。

〔従来の技術〕

時計側の各種部材に非劣化性の材質、殊にひつ
かき作用に対して安全な硬質材料を使用すること
が知られており、同方法によつて多くの製作上の
問題点が引起こされている。時計製作産業におけ
るこの種の時計側、殊に腕時計に対する需要が絶
えず大きくなつているため、近年かかる材料から
成る時計側の製作を容易にする試みが幾つか為さ
れてきている。

しかしながら、非常に硬質の材料は機械加工す
るのが容易ではないので、時計側の外観をできる
だけ魅力的なものとすべき場合には時計側の各種
部分を組立てる際、種々の困難が存在する。

以上の困難を克服するものとして、本出願発明
者は、特公昭41−19478号公報（特許第492146号）
に開示された発明をなした。

この発明は時計の機械が収納された金属製の胴
における上面にガラスを載置すると共に、このガ
ラスを前記胴の側縁上部に着脱自在に取付けられ
た金属製の爪片によつて固定したものである。

また、本出願の発明者は、特公昭52−26146号
公報（特許第902989号）に開示された発明もなし
た。

この発明は、時計の機械を収納する胴部分とこ
の上を覆うカバーガラス部分を均質半透明な焼結
酸化アルミニユームの一体部材により形成すると
共にカバーガラス部分を文字板および指針を読み
取ることができる程度に十分薄くしたものであ
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、前記した従来例における特公昭41−
19478号公報のものにあつては、ガラスを胴に対
して金属製の爪片によつて固定するものであるか
ら、胴とガラスとの防水性を確保することが困難
であると共に爪片は小さなものであるから、その
加工も面倒でコストの高いものとなる欠点があ
る。

また、前記した特公昭52−26146号公報のもの
にあつては、胴とカバーガラスを一体のもので製
作したために、時計の機械部分を隠す必要から半
透明の材料を使用しなければならず、その結果、
カバーガラスの部分を文字板や指針が良く見える
ようにするため十分薄くする必要があつた。従つ
て、機械的強度を得ることが難しく破損し易いと
いう問題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は前記した問題点を解決したもので、そ
の手段は、平坦な頂面を有する円錐台形状に形成
された胴と、該胴の頂面に整合する平坦な底面を
有する硬質の透明材料であるガラスとより構成
し、上記胴とガラスとは同じ硬さと同じ熱膨張係
数を有する材料により製作すると共に、上記胴の
平坦な頂面と上記ガラスの平坦な底面とを密着し
てセメント接着し、また、上記接着した胴とガラ
スの両方の側面を同時にダイヤモンドカツトの如
き小面に形成すると共に上記胴内にムーブメント
を収納し、かつ上記胴の底面に対して裏地板を着
脱自在に取付けた時計側であり、また、同一の硬
度と同一の熱膨張係数の材料によつて胴とガラス
を製造する工程と、上記胴に平坦な頂面を形成す
る工程と、上記ガラスに平坦な底面を形成する工
程と、上記胴の平坦な頂面とガラスの平坦な底面
とを密着してセメント接着する工程と、上記接着
された胴とガラスの両方の側面をダイヤモンドカ
ツトの如き小面を研磨によつて形成する工程とか
らなる時計側の製造方法によつてなされる。

〔作用〕

本発明に係る時計側は、同一の強度と同一の熱
膨張係数の材料によつて形成した胴とガラスとを
密着してセメント接着し、この接着した胴とガラ
スの両方の側面をダイヤモンドカツトの如き小面
を研磨によつて形成し、かつ上記胴内に時計ムー
ブメントを収納した後、上記胴の裏面に裏地板を
取付けたものであるから、外観上が美しく、かつ
豪華なものであり、しかも、胴とガラスとは同一
熱膨張係数の材料であることから、温度変化によ
つて胴とガラスとの接着部分からの剥離の虞れも
なく、従つて、耐用年数の大きなものである。

また、時計側の製造方法にあつては、胴の平坦
な頂面とガラスの平坦な底面とを密着してセメン
ト接着し、この接着された胴とガラスの両方の側
面をダイヤモンドカツトの如き小面に研磨加工し
て製造するものであるから、時計側の製造が非常
に簡単となり、安価に、しかも歩留り良く製作す
ることができるものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の望ましい実施例を２つ添付図面
に即して説明する。

第１図の時計側の主要部分は胴１である。これ
は例えばコランダム、るり、オニキス、又は陶性
合金や焼結硬質金属の如き焼結合成材料により構
成された硬質の一体部分である。

胴１は同様にプラスチツクの如き成型材料もし
くは必要とあらば金属、殊に高硬度の合金の如き
金属であつてもよい。

第１図から判るように、胴１は真直ぐで垂直な
内側表面２を有する。もし時計側が丸ければ内側
表面２は円筒形となろう。

胴１の環状の頂面３は平面であるが僅かに円錐
形とすることによつてガラス６の整合を改善する
こともできる。この頂面３はガラス６と接触し、
以下に説明する如く接着によりそこに固定され
る。

更に、胴１は同様に平面形の底面２３を有し、
金属製の地板１１の環状の表面２４が固着され
る。

そして、胴１は外側面でその上部が円錐形の勾
配に沿つた部分とガラス６の外周面とにダイヤモ
ンドカツトのような小面（facets）１ａを形成
し、その下部が全体としての時計側と同軸的にな
つた円筒形面の円錐台形面１ｂを形成している。

第１図に示した実施例の場合、胴１に２つの孔
４がねじ５を格納するために設けられており、ね
じ５の頭は孔４のフレア状になつた上端部内に沈
みそこで接着により不動化されている。同様にし
て３つもしくは４つの孔４と同じ数のねじ５を設
けることができる。

胴１はまた巻真が貫通することのできるラジア
ル状孔を備えることになる。この巻真はリユーズ
２５（第３図）を担い、胴１は従来の耐水時計に
おける如く巻真と同軸にありリユーズ２５上に取
付けられたガスケツトと共働する金属管を備える
ことができる。

第１図の時計側本体を形成するガラス６はサフ
アイヤ製であり、上下面とも平坦であり、その底
面の周領域が胴１の頂面３と整合するように作ら
れている。

そして、ガラス６の底面の周領域は化学的蒸着
法により鍍金された金属、例えば金の極端に薄い
不透明な被覆７を形成している。当業者には周知
のこの方法により特別に強い接着力を有する薄い
被覆をガラス６の如き部分の滑らかな面上に固着
することができる。上記被覆の厚さはガラス６の
環状の周領域を不透明にするに丁度十分なものと
なろう。

変形例として、この不透明の周領域は金属もし
くはその他の粒子をガラス内に組込むことによつ
て作ることができる。

もし被覆７を使用すると、それがガラス６を胴
１に固定するための媒体を形成することになるた
め特に接着性をもつことになることが肝要であ
る。

図面から明らかな如く、ガラス６の被覆７は胴
１の平面状の頂面３を被覆し、これら２つの面は
互いにセメント接着することによつて接合する。

被覆７のため、ねじ５の頭とセメントは両方と
も見えない。

又、時計側本体をより魅力的なものとするため
に、ガラス６と胴１とを接着した後、共にダイヤ
モンドカツトのような小面１ａに研磨される。か
くして二つの部分間に完全な接続が行なわれ、境
面は見えなくなる。更に、胴１にはねじ５が接着
されているため、胴１とガラス６により形成され
たねじ５を含む複合体は一体の部品のようにな
り、それに対して裏地板８を容易に取付けること
ができる。

裏地板８は、その内側表面内に切削された浅い
凹所１２を有する地板１１と、真鋳その他の金属
より成る環状壁１３で時計側内に取付けるように
意図したムーブメント１４の寸法に適合したもの
から構成されることが望ましい。環状壁１３はム
ーブメント１４の支持環を構成する。そして、環
状壁１３はその下辺縁部付近で凹所１２の底部に
はんだ付け、もしくは接着され、その周縁部にガ
スケツト１５を格納する環状溝の形をしたスペー
スを残す。

第１図に示されている如く、裏地板８はねじ５
の端部を格納し裏地板８の膨張を考慮した十分な
寸法の孔９を備えている。

裏地板８はナツト１０により固定され、該ナツ
ト１０はねじ５に螺合された後孔９の進入凹所９
ａ内に沈められる。

胴１の内側表面２の上方には側環１６が嵌合さ
れているので、メーブメント１４を胴１内に挿入
すると、該ムーブメント１４のプレートヘツド２
２が側環１６の下面に当接して、ムーブメント１
４の上方の位置決めが行なわれる。次いで、裏地
板８を胴１の下面に被せると、該裏地板８の凹所
１２に固着された環状壁１３が胴１の内側表面２
内とムーブメント１４との隙間に挿入され、該環
状壁１３の上面がムーブメント１４のプレートヘ
ツド２２に当接して、ムーブメント１４の下方の
位置決めが行なわれる。従つて、ムーブメント１
４は胴１内で固定される。

前記したリング状の側環１６は不透明な被覆７
の下方になり、被覆７は側環１６と文字板１７の
周縁とを共に隠すことになる。

裏地板８の主要部分を構成する地板１１は時計
バンドを取付けるための手段、例えば角部１８を
設ける。

角部１８は時計バンドの装着バーの端部を挿入
するための孔を備えている。

サフアイヤもしくは天然ガラスの代わりにガラ
ス６に対しては熱処理を施したものであれ、そう
でないものであれその他の透明材料を使用するこ
とができる。何れにせよ、ガラス６と胴１用に選
ばれる材料は膨張係数が同様に類似するようにで
きるだけ似かよつた硬さを有するべきである。

ガラス６は透明材料で、胴１は不透明材質のも
のとなろう。もしそうすることが望ましければ、
ガラス６の材料は胴１と同じ色調で僅かに色合い
をつけてその下の文字板が明確に見えるように十
分な透明なものとすることができる。

もし、胴１がセラミツクもしくはプラスチツク
材料製のものであれば、ガラス６用に選んだ材料
は同じく上記の硬さと熱膨張係数の条件に合致す
べきである。

第２図は他の実施例を示すが、前記した第１図
の実施例と相違する点は、胴１に対する裏地板８
の取付構造が相違するのみであるので、以下、こ
の相違点についてのみ説明する。

第１図の実施例においては、裏地板８を取付け
るためのねじ５を挿入する孔４が貫通したねじ孔
になつているのに対し、第２図の実施例では研削
による超音波切削や電気腐蝕によつて形成した空
洞１９となつていること、および、この空洞１９
内にナツト２０を格納したことである。

そして、裏地板８の孔９から挿入されるねじ２
１を空洞１９内に格納されたナツト２０に螺合し
締め付けることによつて、裏地板８を胴１に固定
できるものである。

なお胴１は不透明材料の代わりに透明もしくは
半透明のベース材料により製作し、内側表面２に
金属その他の蒸着法により処理を施し、その内側
表面２を不透明にしてもよいことが理解されよ
う。

例えば“plexiglas”（ガラスの商標名）で販売
されているポリエチレンや熱可塑性合成樹脂ある
いはプラスチツク材料を使用しても内側表面に対
して接着性の金属被覆を塗布することができる。

また、前記した実施例の胴１は円状のものを示
したが、その外形は矩形、正方形等、種々なる形
状のものに容易に転用できる。

〔発明の効果〕

本発明は上記したように、胴とガラスとを同じ
熱膨張係数と同じ硬さの材料によつて形成すると
共にこの両者を接着して一体化したので、温度変
化によつて接着面からの剥離がなく、従つて、接
着面が強固で機械的強度が大きくなり、耐用年数
が大きく傷も付き難く、また、前記接着後に胴と
ガラスの接合面外周側を同時に研磨してダイヤモ
ンドカツトの如き小面を形成したので、外観が美
しく、かつ豪華な製品を得ることができる。

さらに、本発明の製造方法は、胴とガラスを接
着する工程と、胴に平坦な頂面を、ガラスに平坦
な底面を形成する工程と、接着した両者の接着面
外周側を同時に研磨する工程とによつて時計側を
製造できるので、工数の削減が図れると共に作業
性が良好で歩留りの向上が図れ、従つて、安価な
製品を提供することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第一の実施例の時計側の軸方
向断面図。第２図は第２の実施例の断面図。第３
図は第２の実施例の斜視図。 １……胴、３……胴の頂面、５……ねじ、６…
…ガラス、７……被覆、８……裏地板、１１……
地板、１３……環状壁、１４……可動部品、１５
……ガスケツト、１６……側環、１８……角部、
２５……リユーズ、１ａ……外側面、１ｂ……円
錐台形面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 平坦な頂面を有する円錐台形状に形成された
   胴と、該胴の頂面に整合する平坦な底面を有する
   硬質の透明材料であるガラスとより構成し、 上記胴とガラスとは同じ硬さと同じ熱膨張係数
   を有する材料により製作すると共に、上記胴の平
   坦な頂面と上記ガラスの平坦な底面とを密着して
   セメント接着し、また、上記接着した胴とガラス
   の両方の側面を同時にダイヤモンドカツトの如き
   小面に形成すると共に上記胴内にムーブメントを
   収納し、かつ上記胴の底面に対して裏地板を着脱
   自在に取付けたことを特徴とする時計側。 ２ 同一の硬度と同一の熱膨張係数の材料によつ
   て胴とガラスを製造する工程と、 上記胴に平坦な頂面を形成する工程と、 上記ガラスに平坦な底面を形成する工程と、 上記胴の平坦な頂面とガラスの平坦な底面とを
   密着してセメント接着する工程と、 上記接着された胴とガラスの両方の側面に同時
   にダイヤモンドカツトの如き小面を研磨によつて
   形成する工程と、 からなる時計側の製造方法。