JPS6116441Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はセンタークランク式偏心揺動型減速機
付原動機に関する。

内歯を具備したケース、該ケースと相対回転可
能に支持した支持ブロツク、前記内歯に噛合する
外歯を具備した偏心公転運動を行なうピニオン、
支持ブロツクに支持されたピニオンの自転運動を
阻止するためのピン、ピニオンの中心部に設けら
れた偏心クランク機構、および駆動軸を有するセ
ンタークランク式偏心揺動型減速機付原動機は公
知である。これら減速機の駆動軸は原動機の出力
軸に連結され減速機付原動機として使用される。

しかしながら、従来の減速機の駆動軸は深溝玉
軸受により支持されており、このため軸受を予圧
して軸の動きを制限したり軸受の剛性を高めるこ
とができず、負荷能力が低く、大トルクの伝達が
行えない。しかも、従来の減速機付原動機では減
速機内で駆動軸が２つの軸受で支持されるととも
に原動機内でも出力軸が２つの軸受で支持されて
いるため、都合４つの軸受で支持され高価である
とともに、駆動軸と出力軸との芯合せが難しいと
いう欠点もある。

本考案は軸受の予圧が容易であり、従つて負荷
能力が高く大トルクの伝達が可能であり、しかも
必要に応じ軸受数を低減でき安価なセンタークラ
ンク式偏心揺動型減速機付原動機を提供すること
を目的としている。

本考案は、かかる目的を支持ブロツクの中心部
に貫通孔を形成し、該貫通孔に貫挿した駆動軸と
偏心クランク機構とを相対回転不能で且つ軸方向
移動可能に結合し、該駆動軸を一対の円錐ころ軸
受にて支承するとともに軸方向に押圧付勢する予
圧部浄を取着し、該駆動軸の一端部を原動機内へ
突出させたセンタークランク式偏心揺動型減速機
付原動機により達成する。

従来の深溝玉軸受又は円筒ころ軸受に代え円錐
ころ軸受を用いることにより軸受に予圧を掛ける
ことができ、軸受寿命および負荷能力が高まり、
しかもスラスト軸受も不要となる。なお、円錐こ
ろ軸受は両軸受の円錐面先端が互いに向い合うよ
うに設置する（すなわち、背面合せである）こと
が軸受寿命の面から好ましい。予圧部材は駆動軸
端部に螺合したナツトで構成でき、更に皿ばねを
付加すると予圧時の締付トルクの調整が容易とな
り好ましい。

以下、本考案の実施例を示す図面を参照して本
考案を詳細に示す。第１図はトラツククレーン用
ウインチ１と、その駆動用モータ３との間に本考
案の減速機５を設けている。

ウインチ１は、一対の支持ブラケツト１１，１
３に軸受１７を介して伝達軸１９を回転可能に支
承している。なお、厳密には、伝達軸１９の左端
は、後述する減速機５の支持ブロツク５７と諏プ
ライン結合しており、該支持ブロツク５７ととも
に伝達軸１９は回転される。伝達軸１９の右端部
はウインチドラム２１の右端部にスプライン結合
するとともに、ウインチドラム２１の左端部は軸
受１５を介して支持ブロツク５７の右端部に支承
されている。なお２３は軸受１７とトラツククレ
ーン用ウインチドラム２１との間隔を所定値とす
るデイスタントピースである。

ウインチ１の左側の支持ブラケツト１１にケー
ス５１をボルト５３で螺着している。ケース５１
は円筒部５１ａおよび該円筒部５１ａの右端部に
連結した円板状５１ｂからなつている。円板部５
１ｂの中央に形成した開口内に軸受５５を介して
支持ブロツク５７を回転可能に支持している。

支持ブロツク５７は、第３図に示すように、中
空円筒部５７ａ、中空円筒部５７ａの一端部に連
結した円板部５７ｂおよび該円板部５７ｂから突
出した複数の（第３図では３つの）柱状部５７ｃ
からなつている。柱状部５７ｃは円板部５７ｂ上
に等配的に形成されており、隣接する柱状部５７
ｃ間の円板部５７ｂには軸受装着孔５７ｄが穿設
されている。第１図に示すように、円板部５７ｂ
の中心部には円筒部５７ａのスプライン孔５７ｆ
と同心状に開口５７ｅが形成されている。

ケース５１の円筒部５１ａの左端部にカバー６
１をボルト６３で螺着している。ケース５１の円
板部５１ｂ内壁面の仮想円に沿つて等配的に多数
の円柱状凹部５１ｃを穿ち、該円柱状凹部５１ｃ
の先端を円錐状として鋼性のボール６５を挿入
し、更に針状ころからなる転がり軸受６７を介し
て円柱状のピン６９を回転可能に装着する。ピン
６９の左端部に他の針状ころからなる転がり軸受
７１を装着するとともにピン６９の左端面とカバ
ー６１との間に鋼線製のリング７３を装着してい
る。しかして、ケース５１の円筒部５１ａの内壁
に多数のピン６９が回転可能に支承されて内歯を
形成する。またピン６９の左右はボール６５およ
びリング状の鋼線で規制され、しかもボール６５
は回転可能であり、また鋼線７３とピン６９の左
端面は僅かな接触面積で点又は線接触しているた
めピン６９の回転が損われることがない。また、
組立てに際しては、第１図の減速機の右側を下方
とし左側を上方に位置させ、鋼線をカバー６１に
仮付けすることによつて、極めて容易に組立てる
ことができる。

支持ブロツク５７の柱状部５７ｃの左端面に端
円板８１を押圧しボルト８３を柱状部５７ｃに螺
設したねじ孔５７ｇに螺合して、支持ブロツク５
７と円板８１とを剛体構造とする。端円板８１に
は支持ブロツク５７の軸受装着孔５７ｄに対応し
て軸受装着孔８１ａを形成している。

支持ブロツク５７および端円板８１の軸受装着
孔５７ｄ，８１ａに軸受８５を装着し、両軸受間
に偏心クランク８７を装着している。ここに第１
図に示したクランクピン８７は互いに位相が180
゜ずれた２つのクランク部８７ａ，８７ｂを有し
ているとともに、その両端は前述の如く剛体構造
をした支持ブロツク５７および端円板８１間に両
端支持されている。

第４図に示すように外周面に外歯９１ａを有
し、支持ブロツク５７の柱状部５７ｃを貫通させ
る柱状部挿入孔９１ｂ、およびクランクピン８７
のクランク部８７ａ，８７ｂを棒状ころからなる
軸受９２を介して支承するクランク挿入孔９１ｃ
を具備した２枚のピニオン９１をクランクピン８
７に挿着する。９１ｄはピニオン９１の中心部に
形成した開口である。しかしてピニオン９１の外
歯９１ａはピン６９からなるケース５１の内歯と
噛合する。

再び第１図を参照して、２枚のピニオン９１の
中心部の開口９１ｄにそれぞれ棒状ころからなる
軸受９３を装着し、該軸受９３に偏心クランク機
構９５を介して駆動軸９７を貫通している。駆動
軸９７は駆動用モータ３に連結されるスプライン
部９７ａ、該スプライン部に連なりそれより大径
の軸受装着部９７ｂ、該軸受装着部より小径でそ
の間に半径方向段差をもつて連結し前述した偏心
クランク機構９５を相対回転不能で且つ軸方向摺
動可能に取着するスプライン部９７ｃ、およびス
プライン部に連なる軸受装着部９７ｄからなつて
いる。駆動軸９７を第１図に示すように背面合せ
に設置した一対の円錐ころ軸受９９ａ，９９ｂに
より支持ブロツク５７およびケース５ｆのカバー
６１に回転可能に支持している。すなわち、駆動
軸９７の軸受装着部９７ｂの左端面にデイスタン
スピース１０１を当接し駆動軸９７に嵌着した軸
用止め輪１０３によりデイスタントピース１０１
の左方向移動を規制しており、従つて左側の円錐
ころ軸受９９ａの内輪の左方向移動が規制され
る。なお、同円軛ころ軸受９９ａの外輪はカバー
６１に形成した凹部により左方向移動が規制され
ている。従つて、駆動軸９７を右方へ移動させる
円錐ころ軸受９９ａは予圧が掛けられる。

駆動軸９７の軸受取付部用スプライン部９７ｃ
の右端部に皿ばね１０５およびプレート状のデイ
スタントピース１０７を装着し、更に前述した円
錐ころ軸受９９ｂを装着したうえで座金１０９を
介してナツト１１１を螺合している。従つて、ナ
ツト１１１を締付けると駆動軸９７は右方へ移動
し皿ばね１０５が変形し、これにより円錐ころ軸
受９９ａ，９９ｂに所定の予圧が作用する。な
お、皿ばね１０５用いないと、円錐ころ軸受９７
ａ，９７ｂの円錐状軸受面ところ間の微小間隙の
変化により該ころ軸受に作用する予圧が急激に変
化しその調整が必ずしも容易でないが、皿ばね１
０５を採用することによりナツト１１１の締付け
力が適宜ナツト１１１に吸収されるため、その締
付けトルクの調整が極めて容易に行える。

カバー６１の左側に駆動用モータ３のハウジン
グ１００をボルト１１３により締結している。本
実施例の駆動用モータ３はアキシヤルピストン型
油圧モータであり、その主要構成は公知のものと
ほぼ同じである。すなわち、１１５はシリンダブ
ロツクであり、外部油圧源から加圧油を受けると
その内部をピストン１１７が左右に摺動可能であ
る。１１９はピストン１１７の頭部が係合したピ
ストンシユー１２１が摺動回転する斜板である。
１２３はカバーであり、シリンダブロツク１１５
との間に弁板１２５を挾持している。

シリンダブロツク１１５は前述した減速機５の
駆動軸軸９７のスプライン部９７ａとスプライン
結合している。この場合に、駆動軸９７のスプラ
イン部９７ａが減速機５から油圧駆動モータ３内
に突出しているだけであつて該駆動モータ３は駆
動軸９７用の軸受を全く有しておらず、構造が簡
単になるとともに駆動軸９７の芯出しを容易と
し、且つ前述した駆動軸９７の円錐状ころ軸受の
予圧を可能としていることに注意せねばならな
い。

しかして、外部油圧源からの加圧油を受けると
ピストン１１７が加圧され前進してピストンシユ
ー１２１を斜板１１９に押圧し、これによりピス
トンシユー１２１とともにシリンダブロツク１１
５が回転し、シリンダブロツク１１５にスプライ
ン結合した減速機５の駆動軸９７が回転する。駆
動軸９７の回転につれ、偏心クランク機構９５お
よび軸受９３を介してピニオン９１が偏心公転運
動し、ピニオン９１の外歯９１ａとケース５１に
形成したピン６９からなる内歯が噛合するととも
に、クランクピン８７を介して支持ブロツク５７
が駆動軸９７に対して減速された速度で回転す
る。支持ブロツク５７の回転はスプライン結合し
たウインチ１の伝達軸１９へ伝えられ、更にウイ
ンチドラム２１が回転される。

本考案においては減速機の駆動軸を一対の円錐
ころ軸受により支持しており、予圧部材により軸
受に所与の予圧を容易且つ簡単に付与でき、減速
機付原動機の負荷能力を高めることができ大トル
クの伝達が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の断面図、第２図は第
１図の−線に沿う断面図、第３図は支持ブロ
ツクの斜視図、第４図はピニオンの斜視図であ
る。 １…ウインチ、３…駆動用モータ、５…減速
機、５１…ケース、５７…駆動軸、６９…ピン、
８７…クランクピン、９１…ピニオン、９５…偏
心クランク機構、９９ａ，９９ｂ…円錐ころ軸
受。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 内歯を具備したケース、該ケースと相対回転
   可能に支持した支持ブロツク、前記内歯に噛合
   する外歯を具備した偏心公転運動を行なうピニ
   オン、支持ブロツクに支持されたピニオンの自
   転運動を取り出すためのピン、ピニオンの中心
   部に設けられた偏心クランク機構、および駆動
   軸を有する減速機並びに前記駆動軸に結合され
   る原動機からなるセンタークランク式偏心揺動
   型減速機付原動機において、前記支持ブロツク
   の中心部に貫通孔を形成し、該貫通孔に貫挿し
   た駆動軸と前記偏心クランク機構とを相対回転
   不能で且つ軸方向移動可能に結合し、該駆動軸
   を一対の円錐ころ軸受にて支承するとともに軸
   方向に押圧付勢する予圧部材を取着し、該駆動
   軸の一端部を原動機内へ突出させたことを特徴
   とするセンタークランク式偏心揺動型減速機付
   原動機。 ２ 前記予圧部材が駆動軸の端部に螺合したナツ
   トである実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   減速機付原動機。 ３ 前記予圧部材が駆動軸の端部に螺合したナツ
   トおよび該ナツトにより付勢される皿ばねから
   なる実用新案登録請求の範囲第１項記載の減速
   機付原動機。 ４ 前記原動機がアキシヤルピストン型油圧モー
   ターであり、前記駆動軸が軸受を介することな
   く該油圧モータのシリンダブロツクに結合され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項から第３項までのいずれか１項記載の
   減速機付原動機。