JPS6110129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、太陽熱利用暖房兼換気屋根に関す
るものである。

この明細書において、内とは屋内側を指し、外
とは屋外側を指すものとする。

従来技術とその問題点 従来、太陽熱暖房装置を建物自体に組込んだも
のとして、特開昭55−102846号および特開昭50−
153443号公報に開示のものが提案されているが、
いずれもその集熱部は建物の側壁であり、屋根を
集熱部としたものではない。集熱効率の最もよい
のはいうまでもなく屋根であるにかかわらず、従
来集熱部を側壁に配置しているのは、空気口を外
に設ける関係上、雨をまともに受ける屋根には集
熱部を設け得ないという先入観があつたことによ
るものと思われる。

この考案の目的は、屋根内への雨の侵入問題を
解決した太陽熱利用暖房兼換気屋根を提供するこ
とにある。

問題点を解決するための手段 上記の目的を達成するために、この考案による
太陽熱利用暖房兼換気屋根は、外面に太陽熱吸収
膜を有する屋根外壁と、外壁と所定間隔をおいて
配置せられた断熱屋根内壁と、両壁間に形成せら
れた屋根中空部と、通気孔付むね側板を有するむ
ね内に設けられかつ屋根中空部と連通するむね中
空部と、建物側壁より外方に突出した軒側の内壁
に設けられかつ屋根中空部と連通する下部外吸気
孔と、建物側壁近くの屋内側の内壁に設けられか
つ屋根中空部と連通する下部内吸気孔と、通気孔
付むね側板の下方位置においてむね中空部と連通
するように設けられた上部外排気孔と、むね側の
内壁に設けられかつ屋根中空部と連通する上部内
排気孔と、全吸気孔および全排気孔に設けられた
ダンパとを備えている。

屋根外壁にはアルミニウムまたは銅のような金
属板が用いられ、これの外面に太陽熱吸収膜を形
成するために、処理が施される。屋根外壁は平滑
であつても波状であつてもよい。太陽熱吸収膜の
表面はその耐久性のために透明板で覆つておくこ
とが好ましい。透明板としては、透明ガラス板が
一般的であるが、アクリル樹脂などの透明合成樹
脂も使用可能である。屋根内壁にはそれ自体断熱
性を有するものを使用してもよいし、ウレタン系
およびスチロール系などの合成樹脂またはグラス
ウールなどの断熱材層を中空部側に設けてもよ
い。下部内吸気孔および上部内排気孔に設けられ
るダンパにも内壁と同じことがいえる。

実施例 この考案を、以下図面に示す実施例について説
明する。

図示の太陽熱利用暖房兼換気屋根は、外面に太
陽熱吸収膜２を有する屋根外壁１と、外壁と所定
間隔をおいて配置せられた断熱屋根内壁５と、両
壁１，５間に形成せられた屋根中空部１２と、通
気孔付むね側板１０を有するむね９内に設けられ
かつ屋根中空部１２と連通するむね中空部１３
と、建物側壁１１より外方に突出した軒８側の内
壁５に設けられかつ屋根中空部１２と連通する下
部外吸気孔１４と、建物側壁１１近くの屋内側
の内壁５に設けられかつ屋根中空部１２と連通す
る下部内吸気孔１５と、通気孔付むね側板１０の
下方位置においてむね中空部１３と連通するよう
に設けられた上部外排気孔１６と、むね９側の内
壁５に設けられかつ屋根中空部１２と連通する上
部内排気孔１７と、全吸気孔１４，１５および全
排気孔１６，１７に設けられたダンパ１８〜２１
とを備えている。

外面に太陽熱吸収膜２を有する屋根外壁１は、
アルミニウム板製であり、第２図に示されている
ように、内面に黒色塗装を施すことにより形成せ
られた放熱層３を有している。屋根外壁１のさら
に外側に若干の間隔をおいてこれを覆うように透
明板４が配置せられており、これは屋根外壁１と
離しておく方がよいが、配置の都合上重ねられる
こともある。内壁５は、内装を施したアルミニウ
ム板６とこれの外壁対向面に形成せられた断熱材
層７とよりなる。

上記屋根は、冬季つぎのようにして屋内暖房に
供せられる。すなわち、日中外吸気孔１４および
外排気孔１６のダンパ１８，２０を閉じ、内吸気
孔１５および内排気孔１７のダンパ１９，２１を
開いておく。屋外Ｏからの太陽光線は、屋根外壁
１の太陽熱吸収膜２に当たり、その結果、屋根中
空部１２内の空気は加熱される。一方屋内の空
気は内吸気孔１５より屋根中空部１２内に入り、
屋根中空部１２内の空気と入替る。屋根中空部１
２内の加熱された空気は屋内に入る。屋内と
屋根中空部１２との間で、このようにして空気が
循環し、屋内が暖房せられる。実線矢印は、こ
の空気循環経路を示す。日照のない日および夜間
は、ダンパ１９，２１を閉じる。

上記屋根は、夏季つぎのようにして屋内の換気
に供せられる。すなわち、内排気孔１７のダンパ
２１を閉じ、外吸気孔１４、外排気孔１６および
内吸気孔１５のダンパ１８，２０，１９を開いて
おく。すると、屋内の熱い空気は、内吸気孔１
５から屋根中空部１２に入り続いてむね中空部１
６を通つて外排気孔１６より上昇し、むね側板１
０の通気孔から屋外Ｏに排出せられる。また屋外
Ｏの空気は、外吸気孔１４より屋根中空部１２に
入り、ここを通過して外排気孔１６より上記と同
様にして屋外Ｏに再び戻され、その間太陽熱吸収
膜２の作用により加熱せられた屋根中空部１２内
の熱気を特に持出すのである。その経路を鎖線矢
印で示す。

考案の効果 この考案の太陽熱利用暖房兼換気屋根によれ
ば、上述のようにして冬季太陽熱のみで屋内の暖
房を得ることができ、しかも同じ壁体により、夏
季には、フアンなしで屋内の換気を行なうことが
できる。夏季には、太陽熱吸収膜の存在により、
屋根中空部内の空気が熱せられるが、内壁が断熱
性を有することと下部外気吸気孔および下部外排
気孔を開くことによる外気の屋根中空部流通によ
り、屋内まで熱せられるのが防がれるにもかかわ
らず、屋根中空部と連通する下部吸気孔が、建物
側壁より外方に突出した軒側の内壁に設けられ、
上部外排気孔が、通気孔付むね側板の下方位置に
おいてむね中空部と連通するように設けられてい
るので、屋根の外側には孔のあいたところがな
く、屋内への雨の侵入のおそれがない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す垂直断面図、
第２図は透明板および外壁の詳細拡大部分断面図
である。 １……屋根外壁、２……太陽熱吸収膜、５……
断熱屋根内壁、８……軒、９……むね、１０……
通気孔付むね側板、１２……屋根中空部、１３…
…むね中空部、１４……下部外吸気孔、１５……
下部内吸気孔、１６……上部外排気孔、１７……
上部内排気孔、１８〜２１……ダンパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外面に太陽熱吸収膜２を有する屋根外壁１と、
   外壁と所定間隔をおいて配置させられた断熱屋根
   内壁５と、両壁１，５間に形成せられた屋根中空
   部１２と通気孔付むね側板１０を有するむね９内
   に設けられかつ屋根中空部１２と連通するむね中
   空部１３と、建物側壁１１より外方に突出した軒
   ８側の内壁５に設けられかつ屋根中空部１２と連
   通する下部外吸気孔１４と、建物側壁１１近くの
   屋内側の内壁５に設けられかつ屋根中空部１２
   と連通する下部内吸気孔１５と、通気孔付むね側
   板１０の下方位置においてむね中空部１３と連通
   するように設けられた上部外排気孔１６と、むね
   ９側の内壁５に設けられかつ屋根中空部１２と連
   通する上部内排気孔１７と、全吸気孔１４，１５
   および全排気孔１６，１７に設けられたダンパ１
   ８〜２１とを備えている太陽熱利用暖房兼換気屋
   根。