JPS6040371Y2 - シ−トベルトアンカ−装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等に取付けられる車輌用シートベルト
の肩部を高さ調節可能に挿通支持する装置に係り、特に
、車輌横転等の高衝撃発生時におけるスリップアンカー
の取付位置変動を防止したシートベルトアンカー装置に
関するものである。

自動車等に装備されるシートベルト装置のうちでも、と
りわけ層膜兼用の連結ベルトを使用したものにあっては
、乗員の座高や体格に合わせて、正確に乗員の肩部にシ
ートベルトを装着させるため、シートベルトの中間部を
挿通支持するスリップアンカーを車体のセンターピラー
に対し、上下取付位置調整可能に取着するシートベルト
アンカー装置が採用されている。

ところで、この種の取付高さ調節可能な従来のアンカー
装置は、第１図に示す如く車輌のセンターピラーに固定
される断面Ｃ字状のレール部材１内にシートベルトＢを
挿通案内するスリップアンカー２を連結したスライドア
ンカー３を移動可能に収設し、該スライドアンカー３の
上部に、その背面より出没可能な係合突片４ａを有する
操作部材４を設け、該操作部材４を板ばね５によって突
出方向に付勢すると共に、前記レール部材１の基底部に
前記操作部材４の係合突片４ａを挿脱し得る複数段の係
止孔６を穿設したもので、前記操作部材４を必要に応じ
て操作し、その係合突片４ａを前記レール部材１の係止
孔６から引き抜くことによりスライドアンカー３の上下
動を自由にしてその高さ調節を簡単な操作で行えるよう
にした構成となっている。

（実公昭５９−９２９９参照）ところが、この様な従来
構造のアンカー装置は、これより先に提案されたねじ止
め式のアンカー装置に比べて操作が簡単で、かつ、迅速
に行えるという利点がある反面、緊急時、たとえば車輌
横転やスリップ事故発生時のように車体が側面から強い
衝撃を受けた場合には、前記操作部材４が、慣性力によ
り、板ばね５の付勢力に抗して矢印Ｘの方向に移動し、
その係合突部４ａが係止孔６から抜は出してスライドア
ンカー３およびスリップアンカー２が意に反して移動し
、シートベルトが緩んで乗員の拘束を確保し得なくなる
危険があった。

本考案は、かかる従来のアンカー装置における高衝撃時
のスリップアンカー取付位置変動の問題に着目し、高さ
調整を簡単な操作でもって行うことができると共に、車
に車体のどの方向から高衝撃が加ってもスリップアンカ
ー取付位置の意に反する移動が生じないシートベルトア
ンカー装置の提供を目的とするもので、その特徴とする
ところは断面Ｃ字状のレール部材内にスライドアンカー
を移動可能に収設し、該スライドアンカーに連結保持部
材を介してシートベルトの肩部を挿通支持するスリップ
アンカーを連結してなるシートベルトアンカー装置にお
いて、前記スライドアンカーに、その両側面から互いに
正反対方向に出没する係止突片を設け、各係止突片をば
ね部材により突出付勢すると共に、前記レール部材の両
側壁に前記係止突片を嵌入保持する複数段の係止孔を穿
設し、該係止孔の上縁部に係止突片を嵌入する方向に案
内する傾斜ガイド面を設けた樹皮にある。

以下本考案の実施例を添付図面にもとづいて詳細に説明
する。

第２図は本考案が適用されるシートベルト装置の概略斜
視図、第３図は本考案シートベルトアンカー装置の一実
施例を示す要部の側断面図、第４図は第３図図示のレー
ル部材の斜視図、第５図は第３図における■−■線矢視
断面図、第６図は同第３図におけるＩＶ−ＩＶ線矢視断
面図である。

本考案を適用したシートベルト装置は、第２図に示す如
く乗員拘束用の層膜連続のシートベルトＢの一端部をア
ンカープレート１１により車体のロッカパネル１２へ係
止し、他端部を同様にロッカパネル１２へ取付けられた
緊急ロック式ベルト巻取装置１３へ巻取収納すると共に
、該シートベルトＢの中間部をスリップアンカー１４に
挿通して折返しており、このスリップアンカー１４は車
体のセンターピラー１５へ取り付けられる本考案のアン
カー装置１６に取付ボルトを介して係止されている。

又、シートベルトＢの中間部にはタングプレート１７が
移動可能に挿通され、このタングプレート１７を車輌中
央側床面に立設したバックル装置１８と係合することに
より座席シート１９上において着座している乗員を拘束
する。

前記スリップアンカー１４を支承するアンカー装置１６
は第３図乃至第６図に示す如く前記センターピラー１５
に対し、上下の取付孔２０，２０′に挿通したボルト（
図示せず）によって固定される断面Ｃ字形のレール部材
２１と、該レール部材２１内部において移動可能に収設
されたスライドアンカー２２と、該スライドアンカー２
２に対し、前記スリップアンカー１４を首振り回動可能
に支承する連結保持部材２３と、スライドアンカー２２
を所要の位置で停止させる係止機構２４とにより構成さ
れる。

前記レール部材２１は、第４図および第６図に示す如く
両側面部２１ａ、２１ｂに夫々縦長方形状をなした複数
段の係止孔２５ａ、２５ｂ、２５Ｃｔ ２５ ｄ、
２５ａ’２５ｂ’、 ２５ｃ’、 ２５ｄ’が等
間隔に穿設されており、各係止孔２５ａ、２５ｂ、２５
ｃ、２５ｄ・・・の上縁部には、夫々上辺部を外方に折
り曲げることにより形成した傾斜ガイド面２６が設けら
れていると共に、その端縁が対向する部分、即ちレール
部材２１前面において長手方向にスライド溝２７が設け
られていて、該スライド溝２７の下端に前記スライドア
ンカー２２の下方へ抜は落ちを防止するストッパー２８
，２８′が形成されている。

一方、前記スライドアンカー２２は、その前面において
ナツト２９により固定したボルト３０を穿設して、該ボ
ルト３０によって、スリーブ３１および該スリーブ３１
に挿通した板状の保持部材３２を回動可能に支承してお
り、これらのボルト３０、スリーブ３１および保持部材
３２によって構成される前記連結保持部材２３を介して
スリップアンカー１４が前記スライドアンカー２２に対
し、相対回動可能に連結されている。

また、前記スライドアンカー２２の下端部両側面に穿設
した貫通孔３４，３４’には夫々細長帯状片をＬ字状に
折曲形成した係止突片３５，３６の係合部３５ ａ、
３５ ａが挿通され、該係止突片３５，３６の基端部
３５ｂ、３５ｂ側がスライドアンカ−２２前面に開口し
た窓孔３７およびレール部材２１のスライド溝２７を介
してレール部材２１の前面に突出しており、各係止突片
３５，３６が水平方向に移動するとき、前記係合部３５
ａ、３６ａを前記スライドアンカー２２の両側面から出
没させるようになっている。

、更に、各係止突片３５，３６は、前記スリーブ３１
の外周に基端ループ部が挿通支持されたばね部材３８に
より、互いに反対の方向、即ち前記係合部３５ ａ、
３６ ａを夫々スライドアンカー２２から側方に突出
させる方向に常時付勢されている。

なお、係止突片３５，３６は、夫々その係合部３５ ａ
、 ３６ ａがレール部材２１の互いに対向する係止
孔２５ａ、２５ａ’に対し同時に嵌入する構成である。

次に、前記スライドアンカー２２の前面において該スラ
イドアンカー２２の上下方向に相対移動可能に操作部材
３９が設けられ、その上端に押圧操作用の操作部４０を
有し、中間部背面に突設した腕部４１の通孔４１ａを前
記スライドアンカー２２に固定したガイドピン４２に挿
通し、下端に設けたガイド孔４３を前記スライドアンカ
ー２２下端が下方に延設したガイド突片４４に挿通する
ことにより上下移動方向が規制されていると共に、下端
部において前記係止突片３５，３６の基端部３５ｂ、３
６ｂを係入するカム溝４５を具備していて該操作部材３
９全体は圧縮ばね４６により常時上向きに付勢されてい
る。

前記カム溝４５は、前記操作部材３９の中央に設けられ
た長円形のボルト通孔４７の下端から鉛直に設けた鉛直
溝部４８と、該鉛直溝部４８の下端から左右に分岐した
傾斜溝部４９ａ、４９ｂと、各傾斜溝部４９ ａ、
４９ ｂの下端に連続形成した鉛直溝部５０ａ、５０ｂ
とからなり、前記操作部材３９が上下移動したとき、各
溝部４８，４９ ａ、５０ ａｔ ４９ ｂｖ ５
０ ｂ両側辺のカム面の位相が変化し、これによって前
記係止部材３５゜３６の基端部３５ｂ、３６ｂを保持し
つつ水平方向に案内する、所謂確動カム機構となってい
る。

なお、図中、５１は前記連結保持部材２３のボルト３０
頭部および保持部材３２を包囲するカバ一部材であり、
５２は前記スライドアンカー２２に内蔵され、前記係合
突片３５，３６の移動を容易にするスペーサ、５３は前
記スライドアンカ−２２外面の接触摺動面に設けられた
合成樹脂被膜であって、該樹脂被膜５３は前記レール部
材２１内におけるスライドアンカー２２の滑動を円滑に
し、車体振動に伴う異音発生を防止する役割を有してい
る。

本考案のシートベルトアンカー装置は叙上の如き構成を
有するものであるが、次にその作用について説明すると
、先ず、第３図、第５図、第６図に示す如く車輌が正常
な走行状態にあり、スライドアンカ−２２側面から突出
した係止突片３５゜３６がレール部材２１の係入孔２５
ａ、２５ａ’に夫々嵌入し、スリップアンカー１４の取
付位置を確保している場合において、車輌衝突事故等に
より車体が強い衝撃を受けたときは、各係止突片３５．
３６に一方向の慣性力が作用し、各係止突片３５．３６
のうち、いずれか一方が係止孔２５ａｖ２５ａ’から抜
は出ようとするが、このとき各係止突片３５，３６は、
夫々その基端部３５ｂ。

３６ｂが操作部材３９のカム溝４５の鉛直溝部５０ａ、
５０ｂ内に嵌入し、その水平移動が制限されているため
、前記衝撃によって係止突片３５゜３６に作用する慣性
力は操作部材４０によって受止され、係止突片３５，３
６の慣性抜けおよびスリップアンカー１４の位置変動が
防止され、シートベルトによる正確な乗員拘束状態が維
持されることになる。

次に、乗員がその座高や体格に応じてスリップアンカー
１４の取付位置を変更する必要がある場合は、操作部材
３９上端の操作部４０をカバ一部材５１とともに把持し
、圧縮ばね４６の弾力に抗してスライドアンカー２２と
相対移動するように押し下げると、係止突片３５，３６
は、カム溝４５の位相変化に伴って基端部３５ｂ、３６
ｂが互いに接近する方向に移動し、該係止突片３５，３
６の各係合部３５ａ、３５ｂが係止孔２５ａ、２５ａ’
から抜は出るため、スライドアンカー２２はレール部材
２１に沿って自由に移動し得る状態となる。

従って、前記スライドアンカー２２に連結されたスリッ
プアンカー１４は、所望の高さに移動させることが出来
るから、目的位置で操作部材３９に対する押圧力を解除
すれば、該操作部材３９は圧縮ばね４６の弾力により上
限位置に復帰し、カム溝４５の位相が再び図示の元の状
態に戻るため、係止突片３５，３６は嵌入方向に移動し
、ガイド面２６に案内されて他の係止孔２５ｂ、２５Ｃ
ｔ ２５ ｄｔ ２５ｂ’、 ２５ｃ’、 ２
５ｄ’のうちいずれか一組の対向する孔に嵌入し、これ
によってスライドアンカー２２およびスリップアンカー
１４が適正な高さにおいて取付位置が維持されることに
なる。

このようにしてスリップアンカー１４は、その位置が乗
員の座高体格に適合した高さに保持され、シートベルト
Ｂを挿通支持することにより、乗員は前記巻取装置１３
の巻込力によって適度の張力を付与したシートベルトＢ
で動作を妨げられることなく拘束され、緊急時は前記巻
取装置１３に内蔵した緊急ロック機構のベルトロック作
用で延び出しが防止されたシートベルトＢにより拘束さ
れ、衝突時の安全が確保される。

なお、上記実施例においては操作部材３９を押圧操作し
たとき、カム機構の作用により係止突片３５．３６が係
止孔２５ａｗ２５ｂから同時に抜は出すよう構成してい
るが、該操作部材３９と係止突片３５，３６との連動関
係は、カム機構のカム形状変更等により容易に変更可能
であるから、操作部材３９を引張操作したとき係止突片
３５゜３６が係止孔２５ａ、２６ｂから抜は出るように
すれば、車輌衝突時に乗員の頭や荷物等が操作部材３９
の操作部４０に衝突して不意にスリップアンカー１４が
移動するのを防止することができる。

また、第３図乃至第６図に示す実施例においては係止機
構２４を操作部材３９と該操作部材３９に従動する係止
突片３５，３６とにより構成し、該係止突片３５，３６
と前記操作部材３９との間にカム機構を介設して係止突
片３５．３６の慣性抜けを防止する方式を例示している
が、本考案のアンカー装置における係止機構２４は別設
上記カム機構を含むものに限定されるものではなく、例
えば第７図に示す如く係止突片３５，３６の基端部３５
ｂ、３６ｂに操作部材５４．５４’を直接取付は係止突
片３５，３６の間に、互いに両者を突出方向に付勢する
圧縮ばね５５を介装して構成することも可能である。

図中、第３図乃至第６図と同一符号を付した部材は同一
部材を示している。

即ち、上記第７図々示例においては操作部材５４．５４
’を挾持して係止突片３５，３６を互いに接近させ、各
係止突片３５，３６の係合部３５ａ＝３６ａを係止孔２
５ａ、２５ａ’から引き抜いて、スライドアンカー２２
の移動を自由にし、目的位置で前記操作片５４．５４’
から手を離すことにより、各係止突片３５，３６をばね
５５の弾力で係止孔２５に嵌入することが出来るように
なっている。

勿論、上記構成の係止機構を持つアンカー装置において
は、車輌衝突により、係止突片３５，３６のうちいずれ
か一方が慣性抜けを生じるが、係止突片３５，３６に夫
々反対方向の慣性力が同時に作用することなく、これら
が同時に係止孔２５ａ＊２５ａ’から抜けることは実際
上、起り得ないので、スライドアンカー２２および該ス
ライドアンカー２２に連結されたスリップアンカー１４
は、その取付位置が維持されることになる。

以上述べた如く本考案の高さ調節可能なシートベルトア
ンカー装置は、スリップアンカーを連結したスライドア
ンカーの、その両側面からばね付勢されて互いに反対方
向に出没する左右の係止突片を設け、前記スライドアン
カーを移動可能に収納するレール部材の両側面に設けら
れた前記係止突片を挿脱し得る複数段の各係止孔上縁部
に、係止突片を係入方向に案内する傾斜ガイド面を設け
たものであるから、前記係止突片を互いに反対方向の係
止孔に付勢状態で嵌入されると共に、車輌事故時の衝撃
によりスライドアンカーの一側面において一方の係止突
片が慣性抜けを生じた場合でも、他方の係止突片が嵌入
状態を維持し、一つの係止突片による係止に比し遥かに
確実にスライドアンカーと一体であるストリップアンカ
ーの慣性抜けによる取付位置の変動を防止し乗員肩部の
拘束を確保し得るというすぐれた効果を発揮する。

しかも、本考案によれば、係止孔上縁に設けたガイド面
の作用によりアンカー装置の操作部を把持し、スライド
アンカーを上下させ目的位置で操作部を離すだけの簡単
な操作で、係止突片を同時に係止孔に嵌入させることが
できスリップアンカーの高さを乗員の体格および座高に
即座に合わせることが可能であり、移動アンカー装置の
使い勝手を向上させる効果は多大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシートベルトアンカー装置の一実施例を
示す側断面図、第２図は本考案シートベルトアンカー装
置を適用したシートベルト装置の一例を示す概略斜視図
、第３図は本考案シートベルトアンカー装置の一実施例
を示す側断面図、第４図は同装置に用いられるレール部
材の斜視図、第５図は第３図における■−Ｖ線矢視断面
図、第６図は同第３図におけるＶＩ−ＶＩ線矢視断面図
、第７図は本考案アンカー装置に適用可能な係止機構の
他の実施例を示す概要断面図である。 １４・・・・・・スリップアンカー、２１・・・・・・
レール部材、２１ａ、２１ｂ・・・・・・側壁、２２・
・・・・・スライドアンカー、２５ａｔ ２５ｂｔ
２５ｃｔ ２５ｄｔ ２５ａ’？ ２５ｂ’、
２５Ｃ’９ ２５ｄ’−−−−−−係止孔、２６・・・
・・・傾斜ガイド面、３５，３６・・・・・・係止突片
、３８．４６．５５・・・・・・ばね部材、３９． ５
４． ５４′・・・・・・操作部材、５３・・・・・・
合成樹脂被膜、Ｂ・・・・・・シートベルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 断面が略Ｃ字状のレール部材２１内に、その長手方
   向に沿って移動可能にスライドアンカー２２を収設し、
   該スライドアンカーにシートベルトの肩部を挿通支持す
   るスリップアンカー１４を連結保持部材２３を介して連
   結し、該スライドアンカーに操作部材３９を移動可能に
   設けてなるシートベルトアンカー装置において、前記ス
   ライドアンカー２２に、前記操作部材３９を連動し、該
   スライドアンカーの両側面から夫々反対方向に出没する
   係止突片３５，３６を設け、各係止突片をばね部材３８
   ．５５により突出方向に付勢すると共に、前記レール部
   材２１の両側壁に前記係止突片を嵌入保持する複数段の
   係止孔２５を穿設し、各係止孔の上縁部に係止突片嵌入
   方向である外側方向に折り曲げ形成した傾斜ガイド面２
   ６を設けたことを特徴とするシートベルトアンカー装置
   。 ２ 係止突片３５，３６と操作部材３９との間の連動が
   操作部材の操作変位を係止突片の係止孔２５に対する嵌
   脱方向の摺動変位に変換する確動カム機構４５，４７，
   ４８，４９．５０によって行なわれる実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のシートベルトアンカー装置。 ３ スライドアンカー２２の接触摺動面が合成樹脂５３
   が被覆されている実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   シートベルトアンカー装置。