JPH0228126Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等に取付けられる車輌用シー
トベルトの肩部を車体センターピラーに高さ調整
可能に取付けたスリツプアンカーによつて挿通支
持する装置の改良、特に、前記スリツプアンカー
を支持するレール部材の強化を図ると共にスリツ
プアンカーの取付位置変更を片手操作で容易に行
えるようにしたシートベルトアンカー装置に関す
るものである。

自動車等に装備されるシートベルト装置のうち
でも、とりわけ肩腰兼用の連結ベルトを使用した
ものにあつては、乗員の座高や体格に合わせて、
正確に乗員の肩部にシートベルトを装着させるた
め、シートベルトの中間部を挿通支持するスリツ
プアンカーを車体のセンターピラーに対し上下取
付位置調整可能に取着するシートベルトアンカー
装置が採用されている。

ところで、この種の取付高さ調節可能な従来の
アンカー装置は、例えば第１図に示す如く車輌の
センターピラーに固定される断面ｃ字状のレール
部材１内に、シートベルトＢを挿通案内するスリ
ツプアンカー２を連結したスライドアンカー３を
移動可能に収設し、該スライドアンカー３の上部
に、その背面より出没可能な係合突部４ａを有す
る操作部材４を設け、該操作部材４を板ばね５に
よつて突出方向に付勢すると共に、前記レール部
材１の基底部に対し前記操作部材４の係合突部４
ａを挿脱し得る複数段の係止孔６ａ，６ｂ，６ｃ
を穿設してなり、前記操作部材４を必要に応じて
引張操作し、その係合突部４ａを前記レール部材
１の係止孔６から引き抜くことによりスライドア
ンカー３の上下動を自由にしてその高さ調節を簡
単な操作で行えるようにした構成となつている。
（実願昭56−62680号参照） ところが、この様な従来構造のアンカー装置は
それ以前のねじ止め式のアンカー装置と比較すれ
ば一応、スリツプアンカーの取付位置変更を工具
を使用することなく行えるが、位置変更操作の際
は、片方の手で操作部材４を矢印Ａ方向に引きな
がら、他方の手でスリツプアンカー２の本体カバ
ー部材７を把持してスライドアンカー３をレール
部材１に沿つて移動させねばならず、また、アン
カー装置が乗員着席時の肩口に位置することか
ら、操作が極めて面倒であつた。

勿論、操作部材４とカバー部材７とを片手で同
時に把持し得るよう、カバー部材７の隣接位置に
操作部材４を配設することも不可能ではないが、
この場合はカバー部材７およびスリツプアンカー
２は、乗員の座高や体格に応じたベルト支持角度
の変化により、互いにその相対角度が変るため、
操作が困難になることは避けられない。

一方、かかるシートベルトアンカー装置のレー
ル部材に関しても、前記第１図の外、代表的なも
のに、スライド溝側縁にスリツト状の係合切欠部
を連続形成したものがある。しかしながら、この
ようなレール部材は基底部をセンターピラーに密
着して取付けることが出来、アンカー装置が車室
内に張出すのを防止し得る利点があるとしても、
車輌衝突時等においてシートベルトに過大な張力
が作用した場合は、前記スライド溝側縁の係合切
欠部に応力が集中し、レール部材に曲りを生じる
問題があつた。

本考案は、かかる従来のシートベルトアンカー
装置におけるレール部材の曲げ強度ならびに位置
変更時の操作性の問題に着目し、その改善を図る
ことを目的とするもので、その特徴とするところ
は、断面が略ｃ字状を呈し、端縁部に長手方向に
沿うスライド溝が形成され、長手方向に沿つて複
数段の係止孔が形成されたレール部材と、該レー
ル部材内に前記スライド溝に沿つて移動可能に収
設されたスライドアンカーと、該スライドアンカ
ーに更に移動可能に設けられ、係合突起を有し、
該係合突起が、前記レール部材の係止孔に嵌入す
る方向に常時付勢されている係止部材と、前記ス
ライドアンカーに突設した連結ボルトによりその
基板部が回動可能に支承され、該基板部にシート
ベルトを挿通案内するスリツプリングを連結した
スリツプアンカーとを具備してなるシートベルト
アンカー装置において、前記係止孔をレール部材
の前面壁におけるスライド溝の左右位置に、該ス
ライド溝より分離独立して設け、一方、操作部材
を前記スリツプアンカーの基板部に隣接し、かつ
該基板部に対し平行な平面内で往復直線摺動可能
なる如く配設し、該操作部材と前記係止部材との
間に、前記連結ボルトの長さ方向に変位する連動
部材を介設すると共に、該連動部材を前記係止部
材と係合させ、前記操作部材操作時の変位により
係止部材の係合突起を前記係止孔に対して嵌脱す
る方向に変位せしめる構成にある。

以下本考案の具体的内容を添付図面に示す実施
例を参照しつつ詳細に説明する。

第２図は本考案装置を適用したシートベルト装
置の概略斜視図、第３図は本考案シートベルトア
ンカー装置の一実施例を示す要部の側断面図、第
４図は第３図図示の装置に用いられるレール部材
の斜視図、第５図は第３図における−線矢視
断面図である。

本考案を適用したシートベルト装置は上記第２
図において示す如く、乗員拘束用の肩腰連続のシ
ートベルトＢの一端部をアンカープレート１１に
より車体のロツカパネル１２に係着し、他端部を
同様にロツカパネル１２へ取付けられた緊急ロツ
ク式ベルト巻取装置１３へ巻取収納すると共に、
該シートベルトＢの中間部をスリツプアンカー１
４に挿通して折返しており、このスリツプアンカ
ー１４は車体のセンターピラー１５へ取り付けら
れる本考案のアンカー装置１６によつて首振り回
動可能に取付け支持されている。又、シートベル
トＢの中間部にはタングプレート１７が移動可能
に挿通され、このタングプレート１７を車輌中央
側床面に立設したバツクル装置１８と係合するこ
とによつて座席シート１９上で着座している乗員
を拘束する。

前記スリツプアンカー１４を支承するアンカー
装置１６は第３図乃至第５図に示す如く前記セン
ターピラー１５に対し、上下の取付孔２０，２
０′に挿通したボルト（図示せず）によつて固着
される断面ｃ字状のレール部材２１と、該レール
部材２１内部において移動可能に収設されたスラ
イドアンカー２２と、該スライドアンカー２２に
突設した連結ボルト２３で首振り回動可能に支承
された前記スリツプアンカー１４と、前記スライ
ドアンカー２２を所望の位置で停止させる係止機
構２４とにより構成される。

前記レール部材２１は、第４図に示す如く、そ
の端縁部長手方向に形成されたスライド溝２５の
左右両側部、即ち、レール部材２１の前面壁２１
ａにおいて前記スライド溝２５から独立して複数
段の各一対の係止孔２６ａ，２６a′，２６ｂ，２
６b′，２６ｃ，２６c′，２６ｄ，２６d′が等間隔
に突設されており、各係止孔２６ａ，２６a′，２
６ｂ，２６b′…の上縁部には、夫々上辺部を外方
へ折り曲げることにより形成した傾斜ガイド面２
７が設けられていると共に、前記スライド溝２５
の下端に前記スライドアンカー２２の下方への抜
け落ちを防止するストツパー２８，２８′が形成
されている。

一方、前記スライドアンカー２２は、その内部
にナツト２９を溶接等の手段により保持し、該ナ
ツト２９にワツシヤー３０および円筒スリーブ３
１を挿通した段付きの連結ボルト２３の先端を螺
着して、該連結ボルト２３を前記スライド溝２５
からレール部材２１の前面に突出させている。該
連結ボルト２３は、その鍔部２３ａと前記ワツシ
ヤー３０との間に、ブツシユ３２を介して前記ス
リツプアンカー１４の基板部３３を回動可能に支
承している。なお、スリツプアンカー１４は通常
前記基板部３３に、シートベルトＢを挿通支持す
る横長円形のスリツプリング３４を連結し、前記
連結ボルト２３を中心として、ベルトＢの支持角
度に応じ、角度変更自在となつているが、このス
リツプアンカー１４は、製造コスト低廉化のため
前記基板部３３とスリツプリング３４とが一枚の
金属板で一体形成されることもある。

また、上記スリツプアンカー１４は、前記連結
ボルト２３を挿通する下部開口３５を備えた下部
カバー３６と、キヤツプ３７を嵌着した上部カバ
ー３８とによつて前記基板部３３の全部と、スリ
ツプリング３４の上半部が囲繞されている。

図中、３９は上部カバー３８と下部カバー３６
とによつて囲繞される空間内において、前記スリ
ツプアンカー１４の基板部３３下面と下部カバー
３６内面との間に介装され、前記連結ボルト２３
の中心線と直交する方向に移動し得るように設け
られた操作部材であつて、該操作部材３９は、そ
の一端に前記カバー部材３６，３８の側面開口か
ら突出した押圧操作用の操作ボタン部４０を有
し、中間の偏平な部分に前記連結ボルト２３およ
びスリーブ３１を挿通する長孔４１を有している
と共に、他端に形成したばね受け部４２と前記下
部カバー３６の内面に形成したばね受部４３との
間に縮設した圧縮スプリング４４により常時第５
図の矢印Ｘ方向に付勢されている。

また、操作部材３９は前記長孔４１の両側下面
において、傾斜カム面４５′を備えたカム部４５
を突出させており、該カム部４５を前記下部カバ
ー３６の開口３５の内周縁に屈撓性を有する薄帯
片４６で連結されたリング状の連動部材４７の傾
斜カム面４８と係合させている。

従つて、上記連動部材４７は、操作部材３９を
そのボタン部４０を押圧操作して第５図矢印Ｙ方
向に移動させたとき、カム部４５と係合して連結
ボルト２３の長さ方向に変位するようになつてい
ると共に、スリツプアンカー１４を連結ボルト２
３を中心に回動させたとき、該スリツプアンカー
１４に固着された下部カバー３６とともに一体に
回動するようになつている。

図において、４９は前記スライドアンカー２２
の上部に基端を固着したばね素材からなる係止部
材であつて、該係止部材４９は、その先端に前記
スライドアンカー２２の外面から出没し、前記レ
ール部材２１の係止孔２６ａ，２６a′…のいずれ
とも嵌脱し得る左右一対の係合突起５０，５０′
が形成され、その中間部に前記連結ボルト２３お
よびブツシユ３２を挿通する通孔５１を有し、該
通孔５１の周縁部が前記連動部材４７の端面と所
定の遊び間隙を存して対向していると共に、自己
の保有する弾力により前記係合突起５０，５０′
を常時係止孔２６に嵌入する方向に付勢してい
る。

なお、前記スライアンカー２２外面の接触摺動
面には、６−ナイロン等の摩擦抵抗の小さい合成
樹脂で形成された被膜５２が添着されており、こ
れによつて、前記レール部材２１内でのスライド
アンカー２２の滑動性の向上ならびに車体振動に
伴う異音発生防止が図られている。

本考案のシートベルトアンカー装置は叙上の如
き構成を有するものであるが、次にその作用につ
いて説明すると、先ず、第３図の如くスライドア
ンカー２２から突出した係合突起５０，５０′が
夫々レール部材２１の係止孔２６ｂ，２６b′に嵌
入し、その位置が固定されて、スリツプアンカー
１４の取付高さを確保している状態において、乗
員の座高や体格に応じてスリツプアンカー１４の
取付位置を変更する必要が生じた場合は、片方の
手でスリツプアンカー１４のカバー３５，３８を
把持し、同時に親指等を操作部材３９のボタン部
４０にかけ、該ボタン部４０を圧縮スプリング４
４の弾力に抗して押し込む。

このとき、連動部材４７は、操作部材３９の変
位によつてカム部４５と係合してスライドアンカ
ー２２に近接する方向に移動し、対向する係止部
材４９と係合して、該係止部材４９の中間部を押
圧するため、該係止部材４９の先端部に形成され
た係合突起５０，５０′はスライドアンカー２２
内に没する方向に変位し、レール部材２１の係止
孔２６ｂ，２６b′から抜け出るため、スライドア
ンカー２２はレール部材２１に沿つて自由に移動
し得る状態となる。

従つて、前記スライドアンカー２２に連結ボル
ト２３を介して連結されたスリツプアンカー１４
は、所望の高さに移動可能となるから、目的位置
で操作部材３９のボタン部４０に対する押圧力を
解除すれば、該操作部材３９は圧縮スプリング４
４の弾力によりＸ方向に復帰し、カム部４５のカ
ム面４５′の位相が再び第５図に示す元の状態に
戻るため、係止部材４９は、自己の弾力により復
元し、その先端の係合突起５０，５０′をガイド
面２７に案内されて他の係止孔２６ａ，２６a′，
２６ｃ，２６c′，２６ｄ，２６d′のうち、いずれ
かに嵌入し、これによつて、スライドアンカー２
２およびスリツプアンカー１４は適正な高さにお
いて取付位置が確保されることになる。

このようにしてスリツプアンカー１４は、その
位置が乗員の座高体格に適合した高さにおいて強
度的に保持され、シートベルトＢを挿通支持する
ことにより、乗員は前記巻取装置１３の巻込力に
よつて適度の張力を付与したシートベルトＢで動
作を妨げられることなく拘束され、緊急時は前記
巻取装置１３に内蔵した緊急ロツク機構のベルト
ロツク作用で延び出しが防止されたシートベルト
Ｂにより拘束され、衝突時の安全が確保される。

以上述べた如く、本考案のシートベルトアンカ
ー装置は、係止孔をレール部材の前面壁に、スラ
イド溝から独立して穿設しているため、車輌衝突
等によりスリツプアンカーに大きなベルト張力が
加わり、この力がスライドアンカーおよび係止部
材を介して係止孔に作用した場合でも、レール部
材が変形せず、スリツプアンカーの取付位置を強
力に確保し得ると共に、レール部材の基底部に係
止孔を有しないことから、該レール部材の背面と
センターピラーのレール部材取付面との間に係合
突起嵌入用の空間を必要とせず、アンカー装置が
車室内に張出るのを防止する効果がある。

しかも、本考案のシートベルトアンカー装置
は、スライドアンカーに対し、連結ボルトを介し
て首振り回動可能に支承されたスリツプアンカー
側に位置変更操作用の操作部材を取付け、該操作
部材とスライドアンカー側に設けた係止部材との
間に、前記連形ボルトの長さ方向に変位し、前記
操作部材の操作変位を係止部材に伝達して、該係
止部材を、係合突起がレール部材の係止孔と嵌脱
する方向に変位させる連動部材を介設したもので
あるから、前記スリツプアンカーと操作部材との
位置関係は常に一定し、スリツプアンカーのベル
ト支持角度が変つた場合でも、容易に操作部材を
スリツプアンカーとともに片手で把持して操作
し、所謂片手操作で取付位置を迅速に乗員の体格
に適合した高さに変更することが可能であり、シ
ートベルトのシヨルダー部当接位置を乗員の肩部
に正しく適合させて、シートベルトによる乗員の
安全確保を一段と向上させるすぐれた効果を発揮
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のシートベルトアンカー装置の
側断面図、第２図は、本考案シートベルトアンカ
ー装置を適用したシートベルト装置の一例を示す
概略斜視図、第３図は本考案シートベルトアンカ
ー装置の一実施例を示す側断面図、第４図は同装
置に用いられるレール部材の斜視図、第５図は第
３図における−線矢視断面図である。 １４……スリツプアンカー、１６……アンカー
装置、２１……レール部材、２１ａ……前面壁、
２２……スライドアンカー、２３……連結ボル
ト、２５……スライド溝、２６ａ，２６a′，２６
ｂ，２６b′，２６ｃ，２６c′，２６ｄ，２６d′…
…係止孔、２７……傾斜ガイド面、３３……基板
部、３４……スリツプリング、３９……操作部
材、４５……カム部、４７……連動部材、４９…
…係止部材、５０，５０′……係合突起、５２…
…合成樹脂被膜、Ｂ……シートベルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 断面が略ｃ字状を呈し、端縁部に長手方向に
   沿うスライド溝が形成され、長手方向に沿つて
   複数段の係止孔が形成されたレール部材と、該
   レール部材内に前記スライド溝に沿つて移動可
   能に収設されたスライドアンカーと、該スライ
   ドアンカーに更に移動可能に設けられ、係合突
   起を有し、該係合突起が、前記レール部材の係
   止孔に嵌入する方向に常時付勢されている係止
   部材と、前記スライドアンカーに突設した連結
   ボルトによりその基板部が回動可能に支承さ
   れ、該基板部にシートベルトを挿通案内するス
   リツプリングを連結したスリツプアンカーとを
   具備してなるシートベルトアンカー装置におい
   て、前記係止孔をレール部材の前面壁における
   スライド溝の左右位置に、該スライド溝より分
   離独立して設け、一方、操作部材を前記スリツ
   プアンカーの基板部に隣接し、かつ該基板部に
   対し平行な平面内で往復直線摺動可能なる如く
   配設し、該操作部材と前記係止部材との間に、
   前記連結ボルトの長さ方向に変位する連動部材
   を介設すると共に、該連動部材を前記係止部材
   と係合させ、前記操作部材操作時の変位により
   係止部材の係合突起を前記係止孔に対して嵌脱
   する方向に変位せしめることを特徴とするシー
   トベルトアンカー装置。 ２ レール部材の係止孔上縁が係合突起嵌入方向
   に向い先細傾斜する傾斜ガイド面となつている
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のシートベ
   ルトアンカー装置。