JPS6025656B2 - デイスクブレ−キのキヤリパ成形方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はディスクブレーキの成形について、ダィカスト
法等の精密鋳造方式を探ることにより該可動型キャリパ
の仕上げ加工を簡略化した型のディスクブレーキ用キャ
リパの成形方法を提供せんとするものである。

従来この種のキャリパは、鋳造成形の後に、例えば摩擦
パッドの側面が当合されてブレーキ時のトルクを受圧す
るアンカー面、ピストンシリンダー、ガイドピン等の滑
動する膚動面の加工を行なつていた。

しかしながら、これら各部の仕上げの加工は作業上極め
て手間を要すると共に、大きなコスト上昇要因にもなる
ため出来得るかぎり削減することが望ましく、本発明者
はこの点に鑑み既知の精密鋳造法を用いて鋳抜きで一部
の仕上げ加工を不要となした型のディスクブレーキ用キ
ャリパを提供するものである。

即ち、例えば比較的小型のフローティング型ディスクブ
レーキにおいて方形状の摩擦パッドを細付けた場合、ブ
レーキトルクの作用方向に対して略直角なアンカー平面
を形成すべきであるが、精密鋳造法で鏡抜きのまま使用
するには鋳型の抜き勾配の点が支障となる。本発明の一
つの特徴は、この問題点をキャリパの対向するアンカー
面の片側に抜き勾配を寄せることによって解消したもの
であり、特にキャリパが受圧すべきブレーキトルクの作
用は車両の前進方向の場合が殆どであるから、前記対向
する一対のアンカー面の一方（主受圧面）をブレーキト
ルクの作用方向に略直角となして車両前進時のブレーキ
トルクを該アンカー面にて受圧するようにし、他方これ
に対向して車両前進時のブレーキトルクを受圧するアン
カー面の受圧動作は比較的稀であるため、ブレーキトル
ク作用方向の直角方向から多少ずれても大きな弊害とは
ならないことに着目し、鋳型の抜き勾配を該後者のアン
カー面側に寄せるようにしたのである。この目的の別の
特徴は、フロ−ティング型ディスクブレーキにおけるキ
ヤＩＪパのデイスクローターを挟んだ対向部のうち、反
作用部側の摩擦パッド押圧面（主受圧面）の角度的精度
を出し、パッド押圧ピストンを収用するシリンダ部側に
鋳型の抜き勾配を寄せたところにある。

即ちシリンダ部側の摩擦パッド背面を押圧するのはピス
トンの前端面であり、シリソダ関口前端面がある程度傾
斜してもピストンの摺動性が充分確保される限り何等の
支障も生じないためであり、本発明は特にこれら両者の
特徴を合た備えた場合に最も有効なものとなる。更に本
発明の他の目的として、前述したように方形状をなす摩
擦パッドの左右側面を、抜き勾配を補正しないキャリパ
の所定位置に絹付けることによって、例えば長方形の摩
擦パッドでは上下逆さに組付ける廉れがあるという問題
を解消させることがある。

これは既知技術として、所謂ブレーキ時の“鳴き”を摩
擦パッドの背面等にその左右方向の一方に偏椅させたシ
ムを取付けて防止することが知られているが、このよう
な場合に有効である。本発明を図面に示す実施例により
説明すると、第１図はブレーキトルクを受圧する対向一
対のアンカー面の一方側に抜き勾配を寄せた例を示すも
ので、図において１は精密鋳造法により鋳造されたキャ
リパ、２はサポート軸糟合部、３はシリンダ、４，５は
夫々シリンダ３の前端面からディスクローター側に突出
したアンカー部であり、これらの間にインナー側の摩擦
パッド（図示せず）が鉄挿される。６，７は夫々アンカ
ー面である。

この一方のアンカー面６は車両前進のブレーキトルクを
受圧するもので、該ブレーキトルクの作用方向に対して
略直角をなすように形成され、他方のアンカー面７は車
両後進のブレーキトルクを受圧するもので、角度Ｑ，の
抜き勾配をもって前記アンカー面６に対して傾斜形成さ
れている。第２図はディスクロータ−を挟んだディスク
ロータ一触線方向に対向する一対の対向部の一方側に抜
き勾配を寄せた例を示すもので、図において１１は精密
鋳造法により鋳造されたキャリパ、１２はサポート軸滑
合部、１３，１４はディスクローター（図示せず）を挟
んだ一対の対向部であり、その一方の対向部１３にはパ
ッド押圧ピストン（図示せず）を収容するシリンダ１５
が形成され、他方の対向部１４は反作用部をなしている
。そして反作用部をなす対向部１４のアウター側摩擦パ
ッド（図示せず）の押圧面１６はディスクロータ−の回
転面と平行をなすように形成され、他方シリンダー５を
有する対向部１３のシリンダ開□前端面は角度Ｑ２の抜
き勾配をもって前記押圧面１６に対して傾斜形成されて
いる。第３図及び第４図イ，口は、対向一対のアンカー
面の角度的補正をすることなく鋳抜き形状をそのまま残
したキャリパにおいて、摩擦パッドの誤組付けが生じな
いことを示す例であり、図において２１は精密鋳造法に
より鋳造されたキャリパ、２２はサポート軸滑合部、２
３はシリング、２４，２５は夫々シリンダ２３の前端面
からディスクロータ−側に突出したアンカー部であり、
これらの間にインナー側の摩擦パッド２８が鉄挿される
。

２６，２７は夫々アンカー面であり、夫々鏡抜きのまま
抜き勾配は補正されず、図の下方に向って外側に開くよ
うに傾斜している。

従って、第４図イ，口に示す如く前記左右のアンカ−部
２４，２５の間の空隙形状に鉄合するように形成された
摩擦パッド２８の左右の一方に偏椅して“鳴き”防止用
の弾性部材２９が組付けられている場合にも、上下逆さ
にしたような誤組付けの廉れは全く生じないことになる
。以上述べた如く精密鋳造方式を用いた本発明よりなる
成形方法にて成形されたキャリパは、鋳造後におけるシ
リンダ及びガイドピン部の加工を除いて他の仕上げ加工
は不要となり、加工工数の削減、コストの低減が実現さ
れるという極めて良好なる利益を有するものである。

尚、本発明は上述したキャリパがサポート軸回りを揺動
するティルティング型のディスクブレーキに限定される
ものでないことは勿論で、通常のフローティングキャリ
パ型、あるし、は摺動をガイドピンの案内によらないも
のについても同様に適用されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すキャリパの一部縦断面
図、第２図は他の実施例を示す同一部縦断面図、第３図
及び第４図イ，口は摩擦ベッドの謀組付けが生じないこ
とを説明する例を示すもので、第３図はキャリパの一部
縦断面図、第４図イは摩擦パッドの正面図、第４図口は
同平面図である。 １，１１，２１……キヤリパ、２，１２，２２・・・・
・・サポート軸滑合部、３，２３・・・・・・シリンダ
、４，５，２４，２５・・・・・・アンカー部、６，７
，２６，２７・・…・アンカー面、１３，１４・・・・
・・対向部「 １５・・・・・・シリンダ、１６・・・
・・・押圧面、２８・・・・・・摩擦パッド、２９・・
…・弾性部材。 第１図豹４図 第２図 第３図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ デイスクローターを挾んだ対向部の一方にパツド押
   圧機構を備え他方が反作用部をなしているデイスクブレ
   ーキの可動型キヤリパを、ダイカスト法等の精密鋳造方
   式にて成形し、かつこの成形に際し、一対の摩擦パツド
   を嵌挿収容するキヤリパの前記対向部間の空隙部におい
   て、デイスクロータ回転方向に関して、ブレーキトルク
   を受圧するアンカー面のうち車両前進時のトルクを受圧
   するアンカー面に対し、車両後進時のトルクを受圧する
   アンカー面に鋳型の抜き勾配を寄せたことを特徴とする
   デイスクブレーキのキヤリパ成形方法。 ２ デイスクローターを挾んだ対向部の一方にパツド押
   圧機構を備え他方が反作用部ををなしているデイスクブ
   レーキの可動型キヤリパを、ダイカスト法等の精密鋳造
   方式にて成形し、かつこの成形に際し、一対の摩擦パツ
   ドを嵌挿収容するキヤリパの前記対向部間の空隙部にお
   いて、デイスクローター軸線方向に関して、前記反作用
   部側の摩擦パツド押圧面に対しパツド押圧機構側の対向
   部に鋳型の抜き勾配を寄せ、又はこれに加えてデイスク
   ローター回転方向に関して、ブレーキトルクを受圧する
   アンカー面のうち車両前進時のトルクを受圧するアンカ
   ー面に対し、車両後進時のトルクを受圧するアンカー面
   に鋳型の抜き勾配を寄せたことを特徴とするデイスクブ
   レーキのキヤリパ成形方法。