JPS6024925Y2 - 内燃機関の吸気加熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の吸気加熱装置に関する。

機関温度が低い機関暖機完了前には気化器から供給され
た燃料の気化が十分でなく、斯くして多量の燃料が液状
のまま機関シリンダ内に供給されるために暖機完了後に
比べて燃焼が悪く、その結果安定した機関の運転を確保
できないという問題がある。

従って通常暖機運転時には暖機完了後におけるよりも濃
い混合気を機関シリンダ内に供給して安定した機関の運
転を確保するようにしている。

しかしながら、このように濃い混合気を機関シリンダ内
に供給した場合には排気ガス中の有害成分である未燃炭
化水素ＨＣ並びに一酸化炭素ＣＯが増大するばかりでな
く燃焼消費率が悪化するという問題を出する。

従って機関暖機運転時において気化器から供給される液
状燃料を十分に気化することができれば機関シリンダ内
に供給される混合気を薄くしても安定した機関の運転が
確保でき、しかもこのような薄い混合気を使用できるこ
とにより排気ガス中の有害成分を低減できると共に燃料
消費率を向上させることができる。

機関暖機運転時において液状燃料の気化を促進するため
に従来より吸気マニホルドライザ一部に排気ガスを導い
て排気ガスにより吸気マニホルドライザ一部を加熱する
ようにした吸気加熱装置が知られているが、このような
排気ガス熱を利用した吸気加熱装置は機開始動後暫らく
しないと排気ガス温が上昇しないために機関始動後即座
に液状燃料の気化を促進させるのは困難である。

このような問題を解決するために気化器の下方に気化器
エアホーンと整列する一体成形の金属製中空円筒体を配
置し、この中空円筒体の外周面上に外方突出の一対のフ
ランジを一体形成し、フランジの互いに対面する壁面上
に夫々平板状の正特性サーミスタ素子（以下、ＰＴＣ素
子と称す）を接触配置すると共にこれらＰＴＣ素子間に
弾発性ばね部材を挿入してこの弾発性ばね部材により各
ＰＴＣ素子を対応するフランジの壁面上に圧接せしめる
ようにした吸急加熱装置が提案されている（実開昭５６
−１４５６５３号公報参照）、この吸気加熱装置では気
化器から供給された液状燃料の大部分が中空円筒体の内
壁面に沿って流れるのでＰＴＣ素子から発する熱により
この液状燃料を集中的に加熱することができ、斯くして
液状燃料の気化を効果的に促進することができる。

ところでこの吸気加熱装置においてＰＴＣ素子から発す
る熱を中空円筒体に良好に伝達させるためにはＰＴＣ素
子をフランジの壁面に密着せしめなければならず、その
ためにはＰＴＣ素子が圧接せしめられるフランジ壁面に
良好な表面仕上げを施こさなければならない。

しかしながらこの吸気加熱装置では一対のフランジが小
さな隙間を隔てて中空円筒体の外周面上に一体形成され
ており、ＰＴＣ素子が圧接せしめられるフランジ壁面が
この小さな隙間に面しているのでフランジ壁面に良好な
表面仕上げを施こすのが困難であるという問題がある。

また、ＰＴＣ素子からフランジへの熱伝達を良好に保つ
にはＰＴＣ素子をフランジ壁面上に一定の圧力で圧接せ
しめる必要があるが上述の吸気加熱装置はこの圧接力を
ＰＴＣ素子間に挿入された弾発性ばね部材により調整し
なければならない。

しかしながら実際にはこの弾発性ばね部材のみによって
ＰＴＣ素子の圧接力を一定圧力に設定するのは困難であ
るという問題がある。

更に、上述の吸気加熱装置では一対のフランジ間にＰＴ
Ｃ素子と弾発性ばね部材を組込むのに手数がかかるとい
う問題がある。

本考案はＰＴＣ素子から発する熱を良好にフランジに伝
達することができ、しかもフランジ間にＰＴＣ素子およ
び弾発性ばね部材を容易に組込むことのできる吸気加熱
装置を提供することにある。

以下、添附図面を参照して本考案を詳細に説明する。

第１図を参照すると、１は機関本体、２は吸気マニホル
ド、３はマニホルド集合部、４は断熱板、５はこの断熱
板４を介して吸気マニホルド２上に固定された気化器、
６は気化器エアホーン、７は気化器エアホーン６内に配
置された気化器スロットル弁を夫々示す。

第１図に示されるように断熱板４内には共軸的に整列重
合した一対の金属製中空円筒体８，９が挿入される。

これらの中空円筒体８，９は気化器エアホーン６の内壁
面とほぼ整列する円筒状内壁面１０．１１を有する。

第２図並びに第３図に示されるように各中空円筒体８．
９の外壁面上には夫々外方に向けて突出する環状フラン
ジ１２．１３が形成される。

中空円筒体８の下端面並びに中空円筒体９の上端面には
夫々リング溝１４，１５が形成され、これらリング溝１
４．１５内にはシールリング１６が挿入される。

環状フランジ１２．１３は等角度間隔に配置された複数
個のボルト１７によって互いに締付けられる。

第２図に示されるように環状フランジ１２の下壁面上に
はＰＴＣ素子１８が密着して配置され、一方環状フラン
ジ１３の上壁面上にもＰＴＣ素子１８に対向してＰＴＣ
素子１９が密着して配置される。

第３図に示されるようにＰＴＣ素子１９は矩形状をな腰
かつ等角度間隔で各ボルト１７間に配置される。

一方、ＰＴＣ素子１８もＰＴ″Ｃ素子１９と同様な矩形
状をなし、かつＰＴＣ素子１９と対面するように配置さ
れる。

更に、これらＰＴＣ素子１８．１９間には第４図に示す
ような波形をなす環状のばね部材２０が挿入され、この
ばね部材２０の弾撥力によって各ＰＴＣ素子１８．１９
は夫々環状フランジ１２．１３に押圧せしめられる。

各ＰＴＣ素子１８．１９の上面並びに下面にはニッケル
、アルミニウム等のオーム性電極が施されているがＰＴ
Ｃ素子１８．１９と環状フランジ１２，１３、並びにＰ
ＴＣ素子１８．１９とばね部材２０の良好な電気伝導性
を確保するためにＰＴＣ素子１８．１９のメッキ面を更
に例えば銀、銅等の金属被膜で覆うか、或いはＰＴＣ素
子１８，１９とフランジ１２．１３間、並びにＰＴＣ素
子１８．１９とばね部材２０間を電気伝導性の接着剤を
用いて密着させることが好ましい。

また、第２図並びに第４図に示されるようにばね部材２
０のボルト貫通孔内にはボルト１７とばね部材２０との
電気的接触を回避するために絶縁材料からなるスリーブ
２１を嵌着することが好ましい。

なお、両中空円筒体８，９間に挿入されたシールリング
１６は円℃素子１８，１９がガソリン蒸気にさらされる
のを阻止する役目を果すばかりでなく両中空円筒体１８
．１９の心合せ機能を果し、更にボルト１７の締付は力
を調節可能にする役目も果す。

第２図に示されるように環状フランジ１２には端子２２
が固着され、更にばね部材２０にも端子２３が固着され
る。

第１図に示すようにフランジ１２の端子２２は接地され
、一方ばね部材２０の端子２３は温度検出スイッチ２４
、中性点電圧検出スイッチ２５並びにイグニッションス
イッチ２６を介して電源２７に接続される。

温度検出スイッチ２４は機関冷却水温が例えば６０℃以
下のときオン状態にあり、機関冷却水温が６０’Ｃ以上
のときオフ状態となる。

一方、中性点電圧検出スイッチ２５は機関駆動のオール
タネータの中性点電圧が所定レベル以下のときオフ状態
にあり、この中性点電圧が所定レベル以上になるとオン
状態となる。

ＰＴＣ素子１８，１９は電流供給開始時に大きな電流が
流れるために機関を始動すべくセルモータを駆動してい
るときにＰＴＣ素子１８，１９に電流の供給を開始しな
いようにする必要がある。

このために中性点電圧検出スイッチ２５が設けられる。

即ち、機関がセルモータにより回転せしめられるときに
は中性点電圧は低く、機関が自刃運転を開始すると中性
点電圧が高くなって中性点電圧検出スイッチ２５がオン
状態となり、ＰＴＣ素子１８．１９に電流の供給が開始
される。

このようにＰＴＣ素子１８．１９に電流の供給が開始さ
れるとＰＴＣ素子１８．・１９は即座に温度上昇し、そ
の結果中空円筒体８，９も即座に温度上昇する。

一方、機関が始動すると気化器５から供給された燃料の
うちの大部分の液状燃料は気化器エアホーン６の内壁面
に沿って下降し、次いでこの液状燃料は中空円筒体８，
９の内壁面１０．１１に沿って下降する。

このとき中空円筒体８，９は環状フランジ１２．１３か
ら熱が伝達されて加熱されており、従って中空円筒体８
，９の内壁面１０゜１１上を下降する液状燃料は中空円
筒体８，９によって加熱され、斯くして液状燃料の気化
が促進される。

しかも両ＰＴＣ素子１８．１９は周フランジ１２，１３
間に配置されているのでＰＴＣ素子１８，１９から発す
る熱の大部分はフランジ１２．１３を介して中空円筒体
８，９に伝達される。

更に、中空円筒体８，９の表面上は液状燃料で覆われて
おり、従ってＰＴＣ素子１８．１９から発する熱の大部
分が液状燃料を気化するために使用される。

機開始動後暫くして機関冷却水の水温が６０’Ｃよりも
高くなると温度検出スイッチ２４がオフ状態となるため
にＰＴＣ素子１８，１９への電流の供給は停止せしめら
れる。

液状燃料の気化を促進するにはＰＴＣ素子からフランジ
への熱伝達を良好にする必要があり、そのためにはＰＴ
Ｃ素子と接触するフランジ壁面を表面仕上げしてＰＴＣ
素子をフランジ壁面に密着せしめる必要がある。

一対のフランジを一個の中空円筒体に一体形成している
場合にはフランジ間の間隙が狭いためにＰＴＣ素子と接
触するフランジ壁面を表面仕上げするのが困難である。

しかしながら本考案では中空円筒体を一体の中空円筒体
から構威し、各中空円筒体に夫々フランジを形成するこ
とによってＰＴＣ素子と接触するフランジ壁面に容易に
良好な表面仕上げを施こすことができ、斯くしてＰＴＣ
素子をフランジ壁面に密着することができる。

その結果、ＰＴＣ素子からフランジへの良好な熱伝導を
確保でき、斯くして液状燃料の気化を十分に促進するこ
とができる。

また、中空円筒体を一対の中空円筒体から構成すること
によってＰＴＣ素子および弾発性ばね部材の組付けが容
易となり、更にＰＴＣ素子とフランジ間の圧接力を最適
な圧接力に容易に調整することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る機関吸気系の側面断面図、第２図
は第３図の■−■線に沿ってみた中空円筒体の拡大側面
断面図、第３図は第２図のｍ−■線に沿ってみた平面断
面図、第４図はばね部材の斜視図である。 ８．９・・・・・・中空円筒体、１２，１３・・・・・
・環状フランジ、１６・・・・・・シールリング、１８
，１９・・・・・・ＰＴＣ素子、２０・・・・・・ばね
部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料供給装置から機関シリンダに至る吸気通路の一部を
   共軸的に整列重合した少くとも一対の金属製中空円筒体
   により構威し、各中空円筒体の外周面上に夫々外方突出
   のフランジを形成上、該フランジの互いに対面する壁面
   上に夫々ＰＴＣ素子を接触配置すると共に該ＰＴＣ素子
   間に弾撥性ばね部材を挿入して該弾撥性ばね部材により
   ＰＴＣ素子をフランジ壁面に圧接せしめるようにした内
   燃機関の吸気加熱装置。