JPS6023855Y2 - 耐火電線 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は耐火電線の改良に係るものである。

一般に耐火電線は導体上に耐火絶縁層を設け、その外側
に電気絶縁体層を設けた絶縁線心の所望数の外側に、プ
ラスチックシースを施したものを基本構成としている。

このような耐火電線については、消防庁告示で定められ
た燃焼炉中で所定のの温度曲線に従って常温から３０分
間に８４０℃まで昇温させ、その間に６００Ｖの耐電圧
特性及び０．４ＭΩ以上の絶縁抵抗を有することという
規格に合格することが要求されている。

従来このような規格に合格する耐火電線として、硬質、
軟質の集成マイカを抄造した約１００μ厚のマイカ箔と
約３０μ厚のガラスクロスとをシリコンワニス系接着剤
で貼り合せたものをマイカ面を導体側に向けて被覆し、
耐火層としたものが実績も多く信頼性も高いが、何分に
も高価である難点があった。

又、最近は厚さ約１００μの軟質の集成マイカ箔を、延
伸ポリエチレンフィルム又は延伸ポリエステルフィルム
の如き延伸プラスチックフィルムにシリコン系ワニスで
接着したマイカ・プラスチックテープをマイカ面を導体
側にして被覆する案があるが、耐火試験に際し、マイカ
がはがれて仕舞う傾向があり、そのため前記したマイカ
・ガラスクロスの場合に２枚巻けばよいものが、マイカ
・プラスチックテープでは３枚巻く必要が生じ、素材と
しては廉価になるものの、総計のコストは逆に高くなり
、電線の外径も増大するという欠点がある。

この考案は前記のような事情に鑑みてなされたもので、
導体上に耐火絶縁層を設け、その外側に電気絶縁体層を
設けた絶縁線心の外部にプラスチックシースを施してな
る耐火電線において、前記耐火絶縁層としてマイカ貼着
プラスチックテープ層を内側に、マイカ貼着ガラステー
プ層を外側にそれぞれマイカ面を導体側に向けて形成し
たものであって、前記マイカとして軟質集成マイカ箔を
用いるとともに、これを貼着するプラスチックテ−プと
して延伸ポリエチレン、延伸ポリエステルを用い、かつ
マイカ貼着プラスチックテープ及びマイカ貼着ガラステ
ープはそれぞれ１枚以上用いた耐火電線にして、マイカ
貼着ガラステープのすぐれた耐火性と電気特性を生かし
ながら安価な耐火電線を提供するものである。

次に図面を参照しつつこの考案を説明すれば、第１図に
見るように、導体１の上にマイカ貼着プラスチックテー
プ層２がマイカ貼着面を導体側にしてラップ巻もしくは
縦添えにより、設けられており、その外側にマイカ貼着
ガラステープ層３が、同様にマイカ貼着面を導体側にし
てラップ巻もしくは縦添えにより設けられて耐火層を形
威し、その外側にポリエチレンの如きプラスチック絶縁
体層４および塩化ビニルの如きプラスチックシース５が
設けられてこの考案の耐火電線を構成している。

このような耐火電線の耐火層に用いられるテープの構造
は第２図イのようにポリエチレンいポリエステル又はナ
イロンの如きプラスチックテープ２ａの片面に軟質集成
マイカ２ｂをシリコン樹脂接着剤等により貼合せである
マイカ貼着テープおよび、第２図口のようにガラステー
プ３ａの片面に軟質集成マイカ３ｂをシリコン樹脂接着
剤等により貼り合せてマイカ貼着ガラステープが用いら
れる。

この考案の耐火電線では耐火層が従来の耐火電線より頗
る安価であって、しかも耐火層の内層に電気特性の優れ
ている、プラスチックを基材とするテープが使用されて
いる結果、電線の常時の電気特性の優秀さを保証すると
ともに、外層にマイカ貼着ガラステープを使用している
ため、外部からの火焔による内層のプラスチックの燃焼
を防止する効果がある。

もしこの組合せを逆にした場合にはガラステープによる
マイカのはがれを防止出来す、耐火特性を満足出来ない
。

実施例 厚さ約０．１ｍｍのマイカ箔に厚さ２５μの延伸ポリエ
チレンフィルムをシリコンワニス系接着剤で貼り合せた
テープを、マイカ面を導体側にして直径１．６ｒｒｒｍ
の軟銅線の上に１１５ランプで１枚巻く、その上に厚さ
約０．ＩＴｒｒＩｎのマイカ箔に厚さ約３０μのガラス
布をシリコンワニス系接着剤ではり合せたテープを、マ
イカ面を導体側にして１７５ランプで１枚重ね巻きする
。

この上に絶縁体として厚さ０．８１ｒｒＩｒＬのポリエ
チレンを被覆しジュート介在とともに３線心をより合せ
、その上に抑えテープを重ね巻し、更にその上に厚さ１
．５７ｒｒＩｎの塩化ビニルシースを施シてコノ考案の
耐火電線を構成している。

この耐火電線の耐火特性は８４００ＣＸ ３０ｍ１ｎで
６０ＶＸ３０ｍｉｎの耐火試験に耐え、絶縁抵抗は１．
５ＭΩ・１．４ｍ、消化後の耐圧は１５００Ｖ／ １ｍ
ｉ ｎに耐えた。

比較例 厚さ０．１ｍｍのマイカ箔を２５μの延伸ポリエチレン
フィルムの片面にシリコンワニスで接着して得られたテ
ープを、直径ＩＷ７１の軟銅線上にマイカ面を導体側に
して１７５ランプで２枚又は３枚重ね巻きし、この上に
０．８ｍｍの絶縁用ポリエチレンを被覆して耐火線心と
し、これをポリプロピレン延伸テープ介在を用いても３
心より合わせ、ポリエステル不繊布の抑え巻テープを施
した後、その上に厚さ１．５７７１７７１のビニルシー
スの押出被覆層を設けて耐火電線とした。

この耐火電線の特性は下記のとおりである。

この表から明らかなように比較例の耐火電線はマイカ・
ポリエチレンテープを耐火層とするものであるから２枚
巻きの程度では耐電圧が悪く、３枚巻にしなければなら
ず、本考案の実施例に比べると耐火層がテープ１枚の厚
さだけ厚くなり、更にこれに伴なって絶縁厚、シース厚
等すべて厚くなる。

このことは比較例の場合実施例と同じ程度の材料の使用
つまり寸法、重量のはＳ゛等しい電線を製造した場合に
は性能が悪く、耐火層を５割位厚くして初めて耐電圧等
も使用に耐えるものはできるが、結局仕上り外径の増大
は電線の重量の増大、コストの増大を来すものであり、
これに比べて本考案の電線は耐火層に用いられるテープ
の優れた効果によってこのようなことが全くないものを
提供しその実用性を高めているものである。

なお本考案の実施に当っては塩化ビニルシースに代えて
難燃性ポリエチレンシースを用い得ることは容易に理解
されるであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の耐火電線の一例を示す断面図、第２
図イはこの考案の耐火電線の耐火層の形成に用いられる
マイカ貼着プラスチックテープの断面説明図、同図口は
同じくマイカ貼着ガラステープの断面説明図でちる。 １・・・・・・導体、２・・・・・・マイカ貼号プラス
チック層、２ａ・・・・・・プラスチックテープ、２ｂ
・・・・・・集成マイカ、３・・・・・・マイカ貼着ガ
ラステープ層、３ａ・・・・・・ガラステープ、３ｂ・
・・・・・集成マイカ、４・・・・・・プラスチック絶
縁体層、５・・・・・プラスチックシース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 導体上に耐火絶縁体層を設け、その外側に電気絶縁体層
   を設けた絶縁線心の外部に、プラスチックシースを施し
   てなる耐火電線において、前記耐火絶縁体層として軟質
   集成マイカ箔を貼着した延伸ポリエチレンテープ又は延
   伸ポリエステルテープからなるマイカ・プラスチックテ
   ープ層を内側に、軟質集成マイカ箔を貼着したガラステ
   ープ層を外側に、それぞれマイカ面を導体側に向けて１
   枚以上巻により形成されていることを特徴とする耐火電
   線。