JPS6014483Y2 - 沈澱槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は沈澱槽に関する。

従来の沈澱槽では、汚水供給箱から周囲に向けて吐出さ
れた汚水が周壁に当たって上方へと流れを変え、沈澱槽
周縁部の水面近傍の清水と共に沈澱槽外に排出される。

このため、排水中に含まれる固形汚泥の量が多おという
欠点があった。

本考案は上記の点に鑑み、排水中に含まれる固形汚泥の
量を減少し得る沈澱槽を供するものである。

このため本考案は、槽周壁に沿って清水越流用の塞板を
設けるとともに、槽中心上部に汚水を水平方向に吐出可
能な汚水供給箱を設けて、前記汚水供給箱から吐出され
る汚水が槽上部を前記塞板に向けて水平方向に流れるよ
うに構威し、前記汚水供給箱と塞板との間に、該汚水供
給箱の周囲を囲む多孔板を多重に吊設したものである。

このようなものであると、多孔板により、汚水のショー
ト流や乱流を防止して、これを整流とすることができる
。

また汚水供給箱より汚水が吐出された時点でこの汚水中
に含まれる比重の大きい浮遊物は自然沈降し、比重の小
さい浮遊物は多孔板を通過する時点で吸着捕捉され、多
孔板を通過した後も沈降が続行され、この結果塞板には
清水のみが到達することになる。

このとき、汚水は槽上部を水平方向に流れるため、槽底
部における沈降堆積物が撹乱されることを防止できる。

また、多孔板を吊設としたため、任意に取り外して洗浄
可能であり、しかも多孔板下部が濾過不良状態となった
ときには、これを上下移動させることにより常に正常濾
過の維持を図ることができる。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図において、１は沈澱槽の周壁で、環
状を呈しており、該周壁１上には径方向に沿って点検用
架台２が設けられている。

前記周壁１の中心部には、上端が前記点検用架台２の底
部に固定されかつ下端が閉塞された円筒状の汚水供給箱
３が設けられており、該汚水供給箱３には、下端部に周
方向適当間隔おきに複数の汚泥吐出口４が開口している
と共に、汚水供給箱５が接続されている。

前記汚水供給箱３と周壁１との間には、前記汚水供給箱
３の周壁を囲むそれぞれ６個の多孔板６，７が互いに適
当間隔をあけて位置しており、該多孔板６，７は、前記
点検用架台２の底部に固定された支持部材８に索体９，
１０を介して吊設されている。

これら多孔板６，７は互いに接する側縁部分が連結され
てそれぞれ六角注状に一体化されており、これにより前
記汚水吐出口４から吐出された汚水によって各６個の多
孔板６．７が個々に周壁１側に流されるのを防止してい
る。

なお多孔板６，７としては、板体に多数の小孔を穿設し
て威るものばかりでなく、金属製あるいは合成樹脂製等
の線状体を多数からみあわせて板状形成して成るものを
用いることもできる。

前記周壁１の内面上部には、上端部が鋸歯状に形成され
た環状の塞板１１が周方向に沿って取り付けられており
、前記周壁１の外面上部には、前記塞板１１を越えて清
水排出口１２から周壁１外へ流出した清水を受け、清水
排出管１３に流入させる清水受箱１４が取り付けられて
いる。

１５は汚泥掻寄機であり、該汚泥掻寄機１５は、前記点
検用架台２上に設置された駆動装置１６と、該駆動装置
１６によって回転せしめられる回転軸１７と、該回転軸
１７に固着されたスクレーパアーム１８と、該スクレー
パアーム１８に固着されて沈澱層の底壁１９上に堆積し
た固形汚泥を汚泥溜２０に掻き集める複数の汚泥掻寄板
２１とから構成されている。

なお２２は前記汚泥溜２０内の固形汚泥を排出する汚泥
排出管、２３は階段である。

上記構成の沈澱槽において、汚水供給箱５を通って汚水
供給箱３内に流入した汚水は、複数の汚水吐出口４から
周壁１に向けて吐出される。

汚水吐出口４から吐出された汚水は、２重に配置された
多孔板６，７を通過することによって充分に拡散され、
弱い流れとなって周壁１近傍に達する。

汚水が汚水吐出口４から周壁１近傍に到達する間に、汚
水中に含まれている固形汚泥の一部は多孔板６，７を通
過する時に該多孔板６，７によって捕捉され、残部は沈
澱して底壁１９上に堆積する。

したがって汚水が周壁１近傍の水面２４付近に達した時
には、固形汚泥をほとんど含まない清水となっており、
この清水は塞板１１上端の鋸歯状部分を越えて清水排出
口１２から排出され、清水受箱１４を介して清水排出管
１３内に流入する。

一方、底壁１９上に堆積した固形汚泥は、駆動装置１６
によって矢印Ａ（第２図）方向へ回動せしめられている
スクレーパアーム１８に固着された数の汚泥掻寄板２１
によって汚泥溜２０内に掻き集められ、汚泥排出管２２
を介して外部へ排出される。

このように上記構成の沈澱槽では、多孔板６゜７を設け
たので、従来の沈澱槽のように、汚水吐出口４から吐出
された汚水が周壁１に等たって二点鎖線イ（第１図）で
示す如く水面２４側への対流を生じることがなく、シた
がって清水排出口１２から排出される清水中に含まれる
固形汚泥の量は極めて僅かである。

第３図は上記構成の沈澱槽および従来の沈澱槽から排出
された清水中に含まれる固形汚泥の含有率をそれぞれ２
５回測定した結果を示す説明図で、横軸は含有率、縦軸
は測定された回数である。

実線口は上記構成の沈澱槽の測定結果を、また破線ハは
従来の沈澱槽の測定結果をそれぞれ示しており、上記構
成の沈澱槽は、従来の沈澱槽よりも、排出された清水中
に含まれる固形汚泥の含有率が小さく、またそのバラツ
キも少ない。

なお上記実施例においては、それぞれ６枚の多孔板６，
７を用い、これらを六角注状に形成して汚水供給箱３の
周囲を２重に囲んだ例について説明したが、多孔板６，
７は適当な枚数を用いて六角住以外の多角注状に形成し
てもよく、また断面円弧状に湾曲したものを用いて円筒
状に形成してもよい。

また汚水供給箱３の周囲を３重以上に囲んでもよい。

以上説明したように、本考案にかかる沈澱槽によれば、
汚水供給箱の周囲を囲む多孔板を多重に設けたので、汚
水吐出口から吐出された汚水を充分に拡散させることが
でき、このため汚水吐出口から吐出された汚水が周壁に
当たって水面側への対流を生じる恐れがないので、排水
中に含まれる固形汚泥の量を大幅に減少でき、また汚水
は槽上部を水平方向に流れるため、槽底部における沈降
堆積物が水流による撹乱を受けるのを防止でき、しかも
多孔板はそれ自体がフィルターの働きをなすため、汚水
中の浮遊物は容易に捕捉分離され、極めて効率の良い分
離が可能であり、さらに多孔板を吊設としたため、任意
に取り外して洗浄可能であるうえに、多孔板下部が濾過
不良状態となったときは、これを上下移動させることに
より常に正常濾過を維持し得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はその縦断正面
図、第２図は同平面図、第３図は排水中に含まれる固形
汚泥の含有率を示す説明図である。 １・・・・・・周壁、３・・・・・・汚水供給箱、４・
・・・・・汚水吐出口、６，７・・・多孔板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 槽周壁に沿って清水越流用の塞板を設けるとともに、槽
   中心上部に汚水を水平方向に吐出可能な汚水供給箱を設
   けて、前記汚水供給箱から吐出される汚水が槽上部を前
   記塞板に向けて水平方向に流れるように構威し、前記汚
   水供給箱と塞板との間に、該汚水供給箱の周囲を囲む多
   孔板を多量に吊設したことを特徴とする沈澱槽。