JPS6014452Y2 - 玉縁縫い装置における布転送機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、衣服のポケット孔やボタン孔に玉状の縁飾
りを形成するための玉縁縫い装置に関し、特に、衣服を
構成する被縫布上に縁飾り布を逆Ｔ字状に折曲保持して
被縫布と共にミシンテーブル面に沿いミシン縫合部を挾
んだ第一位置から第二位置に転送するための布転送機構
に関するものである。

従来、この種装置の布転送機構は、一対のクランプ腕の
各先端に設けた一対のクランプ板の下面とミシンテーブ
ル上面との間で衣服の身頃等を構成するための被縫布を
挾持し、各クランプ板の内側端縁との間で一定の間隙を
形成してその間隙内に縁飾り布を逆字状に折曲保持した
後に、上記第一位置から第二位置に転送するようになっ
ており、この転送の間に、第７図に示すように、縁飾り
布Ｐの両側折曲部上に二本の平行なミシン縫いＳを行な
って被縫布Ｗに縁飾り布Ｐを縫着すると共に、それら二
本の縫目線間において、縫目線に平行にポケット孔ある
いはボタン孔Ｈを切り開き、さらにその孔Ｈの両端にお
いて、楔状の切り込みＣを形成してそのポケット孔ある
いはボタン孔を中心に縁飾り布Ｐを反転させれば玉状の
縁飾りが形成される。

この場合、縁飾りの幅は、上記各クランプ板の各内側端
縁との間で形成される間隙の幅によって決定され、従っ
て、縁飾りの幅を変えるにはそのクランプ板の各内側端
縁間の幅を変える必要がある。

しかし、従来の布紙送機構においては、上記クランプ板
の各内側端縁間の幅を変える場合、幅の異なる数種類の
クランプ板を予め準備し、縁飾り幅の変化に対応したク
ランプ板に交換するようにしていたので、コストの上昇
を招くと共に、縁飾り幅が変化する毎にクランプ板の交
換作業を必要とし、縫製作業能率が著しく低下する等の
欠点があった。

この考案は、上記縁飾り幅を変える場合に、上記クラン
プ板を交換することなしに、各クランプの内側端縁間の
幅を変えることができる布紙送機構を得ることを目的と
するものである。

以下、この考案の実施例を図面により説明する。

第１図に示した玉縁縫い装置は、ミシンテーブル１の中
間に配置したミシン２と、被縫布及び縁飾り布をミシン
テーブル１面に沿いミシン２の縫合点を挾んだ第一位置
から第二位置に転送するための布紙送機構３と、第一位
置においてこの布紙送機構３と協働して被縫布に対し縁
飾り布を逆Ｔ字状に折曲して重ね合わせるための折り重
ね機構４と、被縫布及び縁飾り布が第二位置に転送され
たとき、それらに切り開かれたポケット孔あるいはボタ
ン孔の両端に楔状の切り込みを行なうためのコーナメス
機構５と、これらミシン２及び各機構３，４．５を予定
の順序で制御するための制御装置とから戊る。

上記ミシン２は、その針棒６の下端に上記布紙送方向と
の直交方向に並列する二本の針７（一方のみ図示）を備
えた周知の二本針ミシンであり、そのミシンベッド部に
は針板（図示しない）の針孔を貫通した上記針７と協働
して二本の平行な直線縫目線を作り出すための蓋機構（
図示しない）及び縫目形成後に被縫布の下面と釜とに連
なる下糸を切断するための下糸切断機構が配置されてお
り、また、上記針板の各針孔間には上記布紙送方向に平
行なスリットが設けられ、このスリット内にはミシンベ
ッド部内に配置した作動機構（図示しない）に連動して
被縫布及び縁飾り布にポケット孔あるいはボタン孔を切
り開くためのセンターメス８が出没可能に配置されてい
る。

さらにまた、ミシンあご部には、針棒６の後方において
、縫目形成後に被縫布及び縁飾り布に形成された各縫目
線の後端と会計７とに連なる各上糸を捕促し且つ切断す
るための上糸切断機構９が配置されている。

また、折り重ね機構４はエア・モータ周に連動して上下
動可能とした昇降体１０と、その昇降体１０の下端に着
脱可能に配置され昇降体１０の下降により、針７の直前
位置において上記センターメス８を通る布紙送方向に平
行な経路に沿いミシンテーブル１面上に下降可能とした
布押え足１１と、この布押え足１１の下面から出没可能
としその突出により布押え足１１の下面において縁飾り
布を保持可能とした複数の布保持針１２とから威り、こ
の折り重ね機構４のさらに詳しい構成・作用については
、本願の出願人の出願に係る特願昭５３−６９１２９号
の明細書及び図面を参照されたい。

そこで、この考案の目的である布紙送機構３の′樹皮に
ついて説明する。

ミシン２の後方ニオいて、上記ミシンテーブル１面には
、布紙送方向（第１図の右方から左方）に沿って切欠孔
１３が設けられ、テーブル１の下面には、その切欠孔１
３に沿って案内溝１４が一対の支枠１５，１５により支
持されている。

そして、後方側の支枠１５にはパルスモータＰＭが支持
され、さらに、支枠１５．１５間には上記パルスモータ
ＰＭに連動して回転可能としたねじ軸１６が上記案内軸
１４に平行に支持されている。

このねじ軸１６には、−側面に上記案内軸１４に係合す
る案内部（図示しない）を設けると共に、上端部が上記
テーブル１の切欠孔１３内を移動可能とした基台１７の
下半部をねじ軸１６の回転により案内軸１４に沿い移動
するように配置し、テーブル１面上に突出する基台１７
の上端に上下方向の二つのねじ孔１８゜１９を設ける。

そして、この基台１７の上面には上向きコ字状に形成し
且つ底部に上記基台１７の二つのねじ孔１８．１９に対
応してそれらねじ孔１８，１９よりも大径とした貫通孔
２０，２１を形成した支持枠２２を、それぞれ上記ねじ
孔１８，１９に螺合するねじ部２３ ａｔ ２４ ａ及
び上記貫通孔２０゜２１よりも大径とした頭部２３ｂ、
２４ｂを持っねじ２３，２４によりその支持枠２２の両
側垂直部２２ａ、２２ｂが布紙送方向との直交方向に対
向するように固定する。

支持枠２２の両側垂直部２２ａ、２２ｂ間には、支軸２
５を布紙送方向に直交する水平軸線を中心に回動可能に
且つ両端部を両側外方に突出させて支持し、その各突出
部の外周には、外周面にねじ部２６ａ及びローレット２
６ｂを形成した円筒状の調節体２６（以下、支軸２５の
各端部に配置する構成については、それぞれ同じ構成で
あるので、一方のみを図示し、説明する。

）を回動可能に嵌合すると共に、調節体２６のねじ部２
６ａ外周には、内周面にそのねじ部２６ａに螺合するね
じ部２７ａの形成し且つ一端面にボス２７ｂを形成した
円筒状の移動体２７を螺合し、さらに、この移動体２７
の外方において、同じく内周面に上記ねじ部２６ａに螺
合するねじ部２８ａを形成した円筒状の締着体２８を螺
合する。

そして、調節体２６の外端から突出する支軸２５の外端
部に調節体２６が支軸２５の軸方向に移動するのを係止
するための環状の係止体２９を嵌合してねじ３０により
固定し、上記移動体２７のボス２７ｂには、クランプ腕
３１の後端を嵌合してねじ３２により固定する。

以上の構成により、調節体２６のローレツ）２６ｂを手
で回動すれば、調節体２６の軸方向への移動は係止され
ているので、移動体２７が調節体２６の外周ねじ部２６
ａ上を軸方向に移動するようになり、この移動にともな
ってクランプ腕３１も上記布転送方向との直交方向に移
動するようになり、予定の移動位置において、締着体２
８を移動体２７の外端面に圧接するまで回動すれば、移
動体２７をその予定の位置に締着することができる。

各移動体２７に固定した各クランプ腕３１，３１の先端
部下面には、第４図に示すように、第一クランプ板３３
．３３をそれぞれ内縁部３３ａ、３３ａがセンターメス
８を通る布転送方向に平行な経路を挾んで対向し且つ上
記折り重ね機構４の布押え足１１の幅よりやや広幅の間
隙を形成するように固定配置すると共に、第一位置にお
いて、その間隙内に下降した布押え足１１の下面に′、
、り持された縁飾り布の両側部を第７図に示すように逆
Ｔ字状に折曲し保持するための第二クランプ板３４．３
４を各第一クランプ板３３．３３の内縁部３３ａ、３３
ａに対し開閉可能に配置する。

この第二クランプ板３４．３４は、図示しないが、ばね
により常には第４図に示す開放状態に弾発維持され、エ
ア・シリンダー等の駆動手段によりその弾性力に抗して
閉鎖され、上記のように、縁飾り布を逆Ｔ字状に折曲保
持するようになっている。

第１，４図に示すように、上記支持枠２２の両側垂直部
２２ａ、２２ｂの上端には両側部に各クランプ腕３１．
３１の上端部に対向するストツノく一部３５ａ、３５ｂ
を設けた支持板３５を配置し、その先端部に一対のエア
・シリンダー３６゜３６を下向きに垂直に配置し、各ク
ランプ腕３１．３１の内側面には、それぞれのシリンダ
ー３６．３６のプランジャ先端に対向する係合片３７．
３７を設ける。

そして、支持板３５の各ストッパ一部３５ ａ、 ３
５ ｂの外側面と各クランプ腕３１．３１の外側面にそ
れぞればね掛片３８，３９を配置してばね４０を掛は渡
し、各クランプ腕３１．３１に対して、第１，２図の反
時計方向の回動を付与する。

この回動力は各クランプ腕３１．３１の上縁部が上記ス
トッパ一部３５ａ、３５ｂに係合することにより係止さ
れ、この係止状態においては、各クランプ腕３１．３１
の先端部の第一クランプ板３３．３３はミシンテーブル
１面から上昇している。

そして、上記シリンダー３６．３６が作動されると、下
方に突出するそれらのプランジャ先端によって上記各係
合片３７，３７が押下され、これにより各クランプ腕３
１，３１は上記ばね４０に抗して時計方向に回動されて
第一クランプ板３３．３３はミシンテーブル１上面に下
降するようになっている。

第４図に示すように、ミシンテーブル１面上には布紙送
機構３の移動経路に沿い縫製プレート４１が配置されて
いる。

この縫製プレート４１は前端部に設けた嵌合孔４２，４
２をミシンテーブル１上面に設けた位置決め突起４３．
４３に嵌合することにより予定の位置に正確に配置され
るようになっており、その予定位置に配置されたとき、
上記ミシンベッド部のセンターメス８を通る布転送方向
に平行な経路に沿って位置する二つの切欠孔４４．４５
が形成されており、切欠孔４４はミシンの縫合部に位置
してミシンベッド部のセンターメス８の運動及びミシン
あご部の針７の針落ちを許容するようになっており、切
欠孔４５は被縫布及び縁飾り布に楔状の切り込みを行な
うためにコーナメス機構５の一対のコーナメスの上昇を
許容するようになっている。

また、縫製プレート４１の上面には上記切欠孔４４の前
方において、第一位置に位置する布紙送機構３の各第一
クランプ板３３．３３の基準位置を決めるための各種の
目盛が形成されており、これらの目盛は、第一クランプ
板３３．３３の前端及び後端の基準位置を示す目盛ａ及
びｂと、各両側端の基準位置を示す目盛Ｃ及びｄとから
戒り、目盛Ｃ及びｄについては、形成する縁飾り幅に応
じて各両側端の基準位置を示すために複数の目盛Ｃ１，
Ｃ２，ｄｌ、ｄ２から戒っている。

この考案は以上の構成であり、次にその作用について説
明する。

布紙送機構３の初期位置において、各クランプ腕３１．
３１の先端の第一クランプ板３３．３３はミシン縫合部
より前方の第一位置に位置し且つ縫製プレート４１上面
より上昇している。

そこで、被縫布を各第一クランプ板３３．３３の下面と
縫製プレート４１上面との間に挿入してミシンテーブル
１の下方に配置した操作ペダル４６を軽く踏み込めば、
エア・シリンダー３６．３６が作動して各第一クランプ
板３３，３３が被縫布上に下降腰さらに上記ペダル４６
を踏み込めば、エア・モータＡＭが作動して昇降体１０
が下降し、予め下面において縁飾り布を保持した布押え
足１１が第一クランプ板３３．３３の各内縁部３３ａ、
３３ａ間の間隙内の被縫布上に下降する。

そして、この布押え足１１の下降と同時に第二クランプ
板３４．３４が閉鎖されて布押え足１１の両側縁からは
み出している縁飾り布の両側部を逆Ｔ字状に折曲し保持
した後に、パルスモータＰＭが駆動されて布紙送機構３
が第二位置に向かって移動され、この移動により被縫布
及び縁飾り布が縫製プレート４１上面に沿い第一位置か
らミシン縫合部後方の第二位置へ転送される。

そしてこの転送の間に、ミシン２が駆動されて縁飾り布
の両側折曲部上に二本の平行なミシン縫いが行われると
共に、ミシン２の駆動によりセンターメス８が出没し、
これら各縫目線間においてポケット孔あるいはボタン孔
を切り開き、予定の長さのミシン縫いが完了すると上糸
及び下糸の切断機構が作動されて各上下糸が切断される
。

この上下糸の切断後に、被縫布及び縁飾り布が第二位置
まで転送されると、パルスモータＰＭが停止されると共
に、コーナメス機構５が作動されて一対のコーナメスが
上昇し、被縫布及び縁飾り布に対腰上記ポケット孔ある
いはボタン孔の両端部において一対の楔状の切込みが形
成され、その後に、第二クランプ板３４．３４が開放さ
れて縁飾り布の保持を解除すると共に、エア・シリンダ
ー３６．３６が不作動となって第一クランプ板３３．３
３が上昇し、被縫布の押圧を解除する。

そこで、これら縫製作用に先だって、各第一クランプ板
３３．３３を予定の基準位置に正確に位置決めするため
に、基台１７と支持枠２２を固定しているねじ２３，２
４をゆるめ、各第一クランプ板３３．３３の前端が縫製
プレート４１の目盛ａに、後端が目盛すにそれぞれ合う
ように基台１７に対し支持枠２２を前後方向に移動調節
して各第一クランプ板３３．３３の前後方向における基
準位置を出すと共に、外縁部を目盛Ｃ□またはＣ２に、
内縁部３３ａ、３３ａを目公−１またはｄ２に合うよう
に支持枠２２を横方向に移動調節して、特に各内縁部３
３ａ、３３ａが布転送方向に平行となる基準位置を出し
て再びねじ２３，２４を締めつける。

また、形成すべき縁飾り幅に応じて各第一クランプ板３
３．３３の内縁部３３ ａ、 ３３ ａ間の間隙を出
すために、支軸２５の両端部に配置した調節機構の締着
体２８を移動体２７の外端面から離れる方向に回動して
移動体２７の締着を解除した後に、調節体２６のローレ
ット２６ｂを回動して移動体２７を支軸２５の軸方向に
移動させれば、各クランプ腕３１．３１と共に各第一ク
ランプ板３３．３３は布転送方向との直交方向に移動す
るようになり、従って、各内縁部３３ａ、３３ａが上記
縁飾り幅に対応する予定の目盛へまたはｄ２に合致する
位置まで移動して締着体２８を再び移動体２７の外端面
に圧接させれば、各内縁部３３ａ、３３ａ間の間隙を容
易に上記縁飾り幅に対応させることができる。

以上のように、この考案は、衣服を構成するための被縫
布上に縁飾り布を逆Ｔ字状に折曲保持して被縫布と共に
ミシンテーブル面に沿い転送し、その転送の間に縁飾り
布の両側折曲部上に二本の平行なミシン縫いを行なって
縁飾り布を被縫布上に縫着すると共に、各縫目線間にお
いて縫目線に平行にポケット孔あるいはボタン孔を切り
開くことにより、ポケット孔あるいはボタン孔に玉状の
縁飾りを形成可能とした玉縁縫い装置の布紙送機構にお
いて、縁飾り布の両側折曲部間の幅を決定する一対のク
ランプ板の内縁部間の間隙を容易に調節可能とした調節
機構を設けたことにより、ポケット孔あるいはボタン孔
に形成する縁飾り幅を所望の幅に容易に変えることがで
きると共に、その幅の変更にあたって、従来のように、
幅の異なる数種類のクランプ板を予め準備する必要もな
く、また、そのクランプ板の交換作業も必要がないので
、装置全体のコストを低減することができると共に、縫
製作業能率を向上させることができる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は玉縁縫い装置全体の左側面図、第２図は布転送
機構の基部の斜視図、第３図は布転送機構の調節機構の
分解斜視図、第４図は布転送機構のクランプ部及びミシ
ンテーブル上に配置された縫製プレートを示す斜視図、
第５図は第２図の■−Ｖ′線における断面図、第６図は
一部を除いた縫製プレートの平面図、第７図は被縫布と
縁飾り布の縫着及びポケット孔と楔状の切り込みの完成
状態を示す斜視図である。 基台は１７、支軸は２５、調節体は２６、調節体のねじ
部は２６ａ１移動体は２７、係止体は２９、クランプ体
は３３，３４、クランプ腕は３１゜

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 衣服を構成するための被縫布上に縁飾り布を逆Ｔ字状に
   折曲保持して被縫布と共にミシンテーブル面に沿い転送
   し、その転送の間に縁飾り布の両側折曲部上に二本の平
   行なミシン縫いを行なって縁飾り布を被縫布上に縫着す
   ると共に、各縫目線間において縫目線に平行にポケット
   孔あるいはボタン孔を切り開くことにより、ポケット孔
   あるいはボタン孔に玉状の縁飾りを形成可能とした玉縁
   縫い装置の布転送機構において、駆動手段に連動し布転
   送方向に沿い移動可能とした基台と、布転送方向に直交
   する水平軸線を中心に回動可能に基台に支持し両端部を
   自由端とした支軸と、それぞれ内周を支軸の両端部外周
   に回動可能に嵌合し外周にねじ部を形成した一対の円筒
   状の調節体と、それぞれ内周に各調節体の外周ねじ部に
   螺合するねじ部を形成した一対の円筒状の移動体と、支
   軸の両端に固定し支軸に対する各調節体の軸方向への移
   動を係止するための一対の係止体と、それぞれ一端を各
   移動体に固定し他端にそれぞれ被縫布をミシンテーブル
   面との間で挾持するための下面及び縁飾り布の両側折曲
   部の両端を折曲保持するための布転送方向に平行な内側
   縁部から成るクランプ部を設けた一対のクランプ腕とを
   備えた玉縁縫い装置における布転送機構。