JPS598934Y2 - 自動車のステアリング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ハンドル（ステアリングホイール）のかじ
取り操作に連動して回転するステアリングピニオンと、
このピニオンにかみ合ってラックハウジング内をスラス
ト方向にスライド操作されるステアリングラックとを備
えた、いわゆるラックアンドピニオンタイプのステアリ
ング装置に関するものである。

一般に、この種のステアリング装置は、その他の例えば
ポールナットタイプのステアリングも含めて、自動車の
高速走行時においてステアリング作動系の操作抵抗が低
下し、車輪側からの入力によってフラツタ現象（ステア
リングホイールがその円周方向に振動する現象）が起こ
りやすくなる。

また、上記操作抵抗の低下によってハンドル手応えが不
足をし、僅かな操作力で舵切れが起きたり、ステアリン
グ系のガタなどによってハンドル操作と関係なく舵が切
れるなどの不具合を生じ、操縦性が不安定となる問題が
あった。

このような事情にかんがみて、この考案は、自動車の高
速走行時にステアリングの作動系の一部に摩擦力を付与
させ、これによって上記のフラツタ現象の発生を抑え、
かつ高速走行時の操縦性の安定を図るようにしたステア
リング装置の提供を、その目的とするもので゛ある。

次に、この考案の構或を、図面で示す実施例に従って詳
細に説明する。

ラックアンドピニオン形式のステアリング装置における
ステアリングギャ構或部を断面で表した第１図において
、ラックハウジング１は、これの内部に連通させて一体
的に圧入結合したチューブ２を備えている。

このチューブ２を含むラックハウジング１の内部には、
ステアリングピニオン３とかみ合ったラック歯５を有す
るステアリングラツク４が挿入されている。

ステアリングピニオン３はステアリングホイール（図示
しない）の操作に連動して回転し、これに伴ってステア
リングラツク４がラックハウジング１内をスラスト方向
（左右方向）ヘスラ．イド操作され、この動きをタイロ
ツド（図示しない）に伝える。

なお、ステアリングラツク４は、上記ピニオン３と対応
する個所においてラック案内６により、スライド自在に
支持されている。

このラック案内６は、ラックハウジング１に対して、そ
の外部からねじ込まれ、かつロックナット８で゛固定さ
れたキャップ７によって位置決めされており、このキャ
ップ７との間に設けられているスプリング（図示されて
いない）の力によってステアリングラツク４の外周面に
押しつけられている。

また、ステアリングラツク４は、上記チューブ２の外端
内周に圧入されたガイドブツシュ９によってもスライド
自在に支持されている。

すなわち、このステアリングラツク４は、上記ピニオン
３とラック案内６とめ個所、ならびに上記ガイドプッシ
ュ９の個所により、ラックハウジング１に対し、スライ
ド可能に二点支持されているのである。

さて、上記ラックハウジング１におけるチューブ２の端
部寄りの個所には、ステアリングラツク４に対するスラ
イド抵抗付与装置２０が配設されている。

この装置２０において、まずそのケーシング２１は、第
１図の一部を拡大断面で表した第２図、ならびに第２図
のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面で表した第３図からも明らかな
ように、ラックハウジング１のチューブ２と連通させた
状態にて設けられている。

つまり、ケーシング２１は、その両外側部に結合スリー
ブ２２を有し、これらに対して上記のチューブ２が圧入
されている。

また、このケーシング２１は二つ割構造となっていて、
その内部には円板状のガイド体２５がケーシング２１の
内周面に沿って回転し得るように組み込まれている。

そして、ケーシング２１は、ガイド体２５を組み込んだ
後、ボルト・ナット２３によって一体的に合着されるの
である（第１図、第３図参照）。

上記ガイド体２５には前記ステアリングラツク４のシャ
フト部分４Ａをスライドならびに相対的な回転可能に支
持する支持孔２６が形威されている。

この孔２６の中心と、ケーシング２１に対するガイド体
２５の回転軸芯（ケーシング２１の内周面とガイド体２
５の外周面とによって決定される回転中心）とは、相互
に偏心している。

そして、ガイド体２５が図示の回転位置にある状態では
、支持孔２６の中心とステアリングラツク４の軸芯とが
一致しており、これらに対してガイド体２５め回転軸芯
が偏心しているのである（第２図、第３図参照）。

従ってガイド体２５を図示の状態から回転させる・と、
ステアリングラツク４のシャフト部分４Ａには、ガイド
体２５によってラジアル方向の押圧力が作用することと
なる。

上記ガイド体２５の一部には、ケーシング２１の一部に
あけられている開口部２４を通じてその外部に延びる作
動杆２７が一体的に形或されている。

この作動杆２７とケーシング２１の一部に形或したばね
受け２１ Ａとの間には第３図で示すようにコンブレツ
ションスプリング２８が設けられていて、このスプリン
グ２８の弾発力により、ガイド体２５を図示の状態、つ
まりステアリングラツク４の軸芯に対して前記支持孔２
６の中心を一致させた状態に保持している。

また、ケーシング２１の外面には、電磁ソレノイド３０
が取りつけられており、このソレノイド３０のプランジ
ャ３１は上記ガイド体２５の作動杆２７に当接している
。

そして、このソレノイド３０のコイル３２（後述する第
４図参照）に通電されると、これに伴って作動するプラ
ンジャ３１は、ガイド体２５を前記スプリング２８の弾
力に抗して第３図の矢印方向へ回転させるのである。

次に、上記電磁ソレノイド３０の電気回路４０を第４図
によって説明すると、この回路４０のスピードセンサ４
１は、例えばスピードメータ内に組み込まれ、永久磁石
の回転を利用した近接動作などによってリードスイッチ
を開閉させ、これに基づいて車速信号をコンピュータ４
２に送るものである。

コンピュータ４２は、上記スピードセンサ４１からの車
速信号を入力信号とし、車速比回路、ソレノイド駆動回
路、ヒステリシス回路などにより、上記電磁ソレノイド
３０のソレノイドコイル３２に対し、車速に応じて通電
、あるいはその解除をなす。

なお、このソレノイド回路４０において符号４４はバッ
テリー、４３はイグニッションスイッチを示している。

以上の構或により、車速が例えば７０ ｋｍ／ Ｈを越
えると、それに伴うコンピュータ４２からの信号によっ
てソレノイドコイル３２が通電される。

これにより、電磁ソレノイド３０のプランジャ３１が作
動し、これによってガイド体２５を上述したようにスプ
リング２８の力に抗して第３図の矢印方向へ回転させる
。

このガイド体２５の回転軸芯は先に述べた如く、ステア
リングラツク４の軸芯に対して偏心しているため、ガイ
ド体２５が回転することによってステアリングラツク４
のシャフト部分４Ａにはラジアル方向の押圧力が作用す
る。

この結果、ステアリングラツク４のスラスト方向へのス
ライドに対して摩擦抵抗が付与され、もって高速走行時
におけるステアリング作動系の操作抵抗が増大され、先
に述べたフラツタ現象が抑えられることとなる。

また、車速に応じてステアリング作動系の操作抵抗を変
化させ得るということは、高速走行時においてもハンド
ル手応えを適正に保ち、操縦性の安定を図ることができ
る。

なお、第３図の矢印方向へのガイド体２５の回転量は、
作動杆２７がケーシング２１における開口部２４のスト
ッパー面２４Ａ（第３図参照）に当ることによって規制
され、ガイド体２５の過度の回転に伴うステアリング操
作系の過剰抵抗を防止するように配慮している。

以上のように、この考案は自動車の高速走行時において
、車速があらかじめ定めた値に達すると、ステアリング
操作に連動するステアリングラックのスライド動作に摩
擦抵抗を与えるように構或しているので、この高速走行
時のフラツタ現象を抑え、しかもこのときのハンドル手
応えをも適正に保持して操縦安定性を図ることができる
。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示し、第１図はラックアン
ドピニオン形式のステアリング装置におけるステアリン
グギャ構或部を表した断面図、第２図は第１図の要部拡
大して表した断面図、第３図は第２図を完全図とみなし
た状態でのＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図、第４図は電磁ソレ
ノイドの電気回路図である。 １：ラツクハウジング、３：ステアリングピニオン、４
：ステアリングラック、４Ａ：シャフト部分、２０：抵
抗付与手段、２５：ガイド体、２６：支持孔、３０：電
磁ソレノイド、４０：ソレノイド回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリングホイールの操作に連動して回転するステア
   リングピニオンと、このピニオンにかみ合ってラックハ
   ウジングの中をスラスト方向へスライド操作されるステ
   アリングラックとを備えた形式のステアリング装置であ
   って、前記ラックハウジングの一部に対し、ステアリン
   グラックのシャフト部分をスライドならびに相対回転可
   能に支持したガイド体を、このステアリングラックの軸
   芯に対して偏心した軸芯まわりに回転操作し得るように
   備えつけ、このガイド体は、前記ラックのシャフト部分
   が貫通している支持孔とこのシャフト部分とを同芯に保
   つように常時スプリングの作用を受けており、かつ車速
   が一定値以上になったときの電気信号を受けて作動する
   電磁ソレノイドにより、前記スプリング力に抗して回転
   操作されるように構或したことを特徴とする自動車のス
   テアリング装置。