JPS598883Y2 - トラクタのフロントアクスルメンバ−支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として農用トラクタのフロントアクスルメン
バー支持装置に関するもので、キャスター角を与えるた
めの簡単な構造の提供を目的としている。

従来農用トラクタの操向車輪（前輪）にキャスター角を
つけるためには種々複雑な構造が採用されている。

即ちその１：フロントアクスルメンバー３ （第１図）
とキングピンサポート７の間でキャスター角α（第３図
）をつける。

この場合はアクスルメンバー３とキングピンサポート７
が共にパイプであるため接合部分の構造が複雑になり、
左右の取付も違うため加工に手間がか・る。

その２：前後方向に延びる一対のフロントアクスルブラ
ケット４に対しセンターピン８の角を変えてキャスター
角αをつける。

この場合は４輪駆動兼用タイプのとき、前輪駆動用プロ
ペラ軸と本機のセンター軸（クランク軸）がスイング時
傾く不具合が生ずる。

その３：フロントアクスルメンバー３の中央部前後壁に
孔を明け、そこにセンターピンサポート９を嵌合溶着し
てキャスター角をつける。

この場合はフロントアクスルメンバー３の中央部分に孔
を明けることになり、最も強くしなければならないとこ
ろが弱くなり、従って全体を大きくしなければならず、
重くなる。

本考案は第１〜第３図に示す如く、車幅方向に延びるア
クスルメンバー３の中央部の前後壁に固着した補強板６
，６をアクスルメンバー３より上方へ突出させてその上
部に溶接で吸収できる程度のガタ孔１０を明け、このガ
タ孔１０を前記センターピンサポート９上に通し、治具
を使いセンターピンサポート９を基準にしてキャスター
角αをつけるようにしたもので、詳細に説明すると次の
通りである。

第１図中フロントアクスルブラケット４は左右外方へ向
い開いたコ形断面の鈑金物で、その基端部はエンジン（
図示せず）の左右側面に複数個のボルト１１により固定
され、そこから前方（第１図の紙面手前側）へ突出して
いる。

両フロントアクスルブラケット４には前後一対のクロス
メンバー１が部分１２に於で溶接してあり、クロスメン
バー１の中央部に明けた孔にセンターピン８が嵌合固定
する。

センターピン８は前端に矩形のブラケット２を一体に備
え、このブラケット２は前部クロスメンバー１の前面に
密着し、４個のボルト１３により締め付けてある。

これによりセンターピン８はクロスメンバー１に対し固
定される。

前後のクロスメンバー１，１間のセンターピン８上に第
３図の如くセンターピンサポート９が嵌合し、このセン
ターピンサポート９は前後一対の補強板６，６を介して
フロントアクスルメンバー３に接続する。

補強板６，６はフロン１・アクスルメンバー３の前後壁
に後側（第３図の右側）かや・高くなる姿勢で溶接止め
してあり、フロントアクスルメンバー３より上方へ突出
した部分に設けたガタ孔１０がセンターピンサポート９
に通してある。

前後の補強板６，６はプレスで同一寸法に打抜き戊形す
ることができ、フロントアクスルメンバー３に対する溶
接線を長くすると共にセンターピンサポート９を剛直に
支持するべく三角形の形状を有する。

即ち三角形にすることにより軽量化が図れる。

ガタ孔１０の中心線は前後の補強板６の上下高さがＬだ
けずらせてあるために一致せず、従ってセンターピンサ
ポート９に対しフロントアクスルメンバー３は傾き、第
３図の垂直線０１に対するキングピンサポート７の中心
線０２はキャスター角αだけ前下りに傾く。

ガタ孔１０は泊具を使いセンターピンサポート９を基準
にしてフロントアクスルメンバー３の姿勢を定める時、
センターピンサポート９との間に溶接（部分２０）で埋
めることができる隙間ができる程度の大きさを備え、し
かも所定のキャスター角αを与え得る範囲でできるだけ
小さく定められる。

フロントアクスルメンバー３の両端部にはキングピンサ
ポート７が接合全周部分１５で溶接してあり、フロント
アクスルメンバー３の断面の長手方向中心線（第３図の
０２）とキングピンサポート７の中心線が同一平面内に
くるように接合溶接している。

１６は前輪タイヤ、１７はキングピン、１８はナックル
アーム、１９はラジエータブラケット、０３はエンジン
クランクセンターである。

以上説明したように本考案によると、（１）車幅方向に
延びるアクスルメンバー３の中央部の前後壁に固着した
略三角形の補強板６，６の上部をアクスルメンバー３よ
り上方へ突出させて前後補強板６の上部にガタ孔１０を
明け、前後のガタ孔１０のフロントアクスルメンバー３
からの上方突出量を変えることにより、このガタ孔をセ
ンターピンサポート９上に通してサポート９に溶接する
際必要なキャスター角αを与えるようにしたので、溶接
時簡単な治具を用い、センターピンサポート９を基準に
してフロントアクスルメンバー３の角度位置を定めるこ
とができ、しかも必要なキャスター角αを与えた時ガタ
孔１０とセンターピンサポート９との間の隙間が溶接で
埋め得る程度にガタ孔１０を小さく定めることができ、
補強板６とセンターピンサポート９の溶接部分の強度低
下の恐れはなく、簡単確実にキスター角αを与えること
ができる。

本考案においては略三角形の１対の補強板６の上部をア
クスルメンバー３より上方へ突出させてアクスルメンバ
ー３の前後壁に溶着し、前後１対の補強板６，６の上部
のガタ孔１０， １０のアクスルメンバー３からの上方
突出量を変えることにより、これらのガタ孔を前記サポ
ート９上に通してサポート９に溶接する際必要なキャス
ター角αを与えるようにしたので、フロントアクスルメ
ンバー３に対する溶接線を長くしてセンターピンサポー
ト９を剛直に支持することができ、しかも補強板６を三
角形にすることにより軽量化が図れる。

（２）フロントアクスルメンバー３の中央部には何等孔
、切欠き等を設ける必要がなく、補強板６，６で補強し
ながら必要なキャスター角αを与え、センターピンサポ
ート９と接続することができる。

（３）極めて簡単な構造により従来の，キャスター角付
与構造に於ける前記不具合を回避することができる。

例えばフロントアクスルメンバー３の断面の長手方向の
中心線０２（第３図）とキングピンサポート７の中心線
を同一平面内に配置することができ、従ってフロントア
クスルメンバー３とキングピンサポート７の接合部の構
造が簡単かつ左右対称になり、製造が容易になる。

センターピン８の中心線をエンジンクランクセンター０
３（第１図）と平行に保持することができるため、４輪
駆動方式を採用した場合前輪駆動用のプロペラ軸の不自
然な傾斜を避けることができ、動力伝達が円滑になる。

なお本考案を具体化する時、左右一対のフロントアクス
ルブラケット４は梯子形フレームの前端部であっても差
支えない。

【図面の簡単な説明】 第１図は正面部分図、第２図は第１図の平面部分図、第
３図は第１図のＩＩＩ−ＩＩＩ断面図である。 １・・・・・・クロスメンバー ３・・・・・・アクス
ルメンバー、４・・・・・・フロントアクスルブラケッ
ト、６・・曲補強板、８・・・・・・センターピン、９
・・間サポート、１０・・・・・・ガタ孔、２０・・・
・・・溶接部分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの左右両側より一対のフロントアクスルブラケ
   ットを前方へ突出せしめＪ両フロントアクスルブラケッ
   トを前後一対のクロスメンバーにより接続し、両クロス
   メンバーの中央部に前後端部を支持したセンターピンに
   筒状サポートを嵌挿し、車幅方向に延びるアクスルメン
   バーの中央部の前後壁に固着した略三角形の補強板の上
   部をアクスルメンバーより上方へ突出させてその上部の
   ガタ孔のアクスルメンバーからの上方突出量を変えるこ
   とによりこれらのガタ孔を前記サポート上に通してサポ
   ートに溶接する際必要なキャスター角を与えるようにし
   たことを特徴とするトラクタのフロントアクスルメンバ
   ー支持装置。