JPS5940211B2 - 永久磁石用コバルト基焼結合金 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、残留磁束密度、飽和磁束密度、および保磁
力などの磁気特性のすぐれた、すなわち高い焼結密度と
大きな結晶異方性を有する永久磁石用コバルト基焼結合
金に関するものである。

従来、一般にＲＣｏ５型金属間化合物やＲ２ＣＯ７７型
金肩部化合物（ＲはＹを含む希土類元素）で構成された
永久磁石用コバルト基焼結合金として、Ｙを含む希土類
元素のうちの１種または２種以上：２０〜３９％、を含
有し、さらに残留磁束密度および保磁力を向上させる目
的で、必要に応じて、Ｆｅ：３〜１７％、 Ｃｕ：５〜１５％、 を含有し、残りがＣｏと不可避不純物からなる組成（以
上重量％、以下％は重量％を示す）を有するものが知ら
れている。

前者のＲＣｏ５型金属間化合物で構成されたものは、大
きな結晶異方性をもつために大きな保磁力をもつが、焼
結密度が比較的低いために、満足する残留および飽和磁
束密度をもたないものである。

また、後者のＲ２ＣＯ、７型金属間化合物で構成された
ものは、大きな残留および飽和磁束密度をもつが、結晶
異方性が小さいために大きな保磁力を有さないものであ
る。本発明者等は、上述のような観点から、残留磁束密
度、飽和磁束密度、および保磁力などの磁気特性のすぐ
れた、すなわち高い焼結密度と大きな結晶異方性を兼ね
備えた永久磁石用コバルト基焼結合金を得べく研究を行
なつた結果、上記の従来永久磁石用コバルト基焼結合金
に、Ｐを含有させると、合金製造における焼結に際して
、比較的低い焼結温度で合金成分とＰとの間で共晶を形
成して液相を生成するため高密度化し、この結果焼結密
度の高いものとなるため、得られた合金は大きな残留お
よび飽和磁束密度をもつようになり、さらに同時に上記
の合金成分とＰによつて形成された化合物には磁壁移動
を阻止するピニングサイト作用があるため結晶異方性が
大きなものとなり、この結果大きな保磁力をもつものと
なるという知見を得たのである。

この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであつ
て、Ｙを含む希土類元素のうちの１種または２種以上：
２０〜３９％、Ｐ：０．００５〜０．５％、 を含有し、さらに必要に応じて、 Ｆｅ：３〜１７％、 Ｃｕ：５〜１５％、 を含有し、残りがＣＯと不可避不純物からなる組成を有
し、かつ焼結密度が高く、結晶異方性の大きい永久磁石
用コバルト基焼結合金に特徴を有するものである。

つぎに、この発明の焼結合金において、成分組成を上記
の通りに限定した理由を説明する。

（ａ） Ｙを含む希土類元素その含有量が２０％未満で
も、また３９％を越えても合金をＲＣＯ５型あるいはＲ
２ＣＯ，７型金属間化合物で構成することが困難となり
、所望の磁気特性、すなわち残留磁束密度、飽和磁束密
度、および保磁力などを確保することができなくなるこ
とから、その含有量を２０〜３９％と定めた。

（ｂ） Ｐその含有量が０．００５％未満では、液相の
発生量が少なく、かつＰ化合物の生成もほとんどないた
め、所望の高密度化およびピニングサイト作用を期待す
ることができず、したがつて高い焼結密度および大ぎな
結晶異方性を確保することができず、一方０．５％を越
えて含有させると、Ｐ化合物の生成量が多くなり過ぎて
飽和磁束密度および保磁力が低下するようになることか
ら、その含有量を０．００５〜０，５％と定めた。

（ｃ） ＦｅおよびＣｕ ＦｅおよびＣｕ成分には、これらの成分の共存において
合金の残留磁束密度と保磁力とを一段と向上させる作用
があるので、これらの磁気特性に一段の向上が望まれる
場合に必要に応じて含有されるが、その含有量が、それ
ぞれＦｅ：３％未満およびＣｕ：５％未満では前記の磁
気特性に所望の向上効果が見られず、一方Ｆｅ：１７％
およびＣｕ：１５％を越えて含有させると、前記の磁気
特性に劣化傾向が現われるようになることから、その含
有量を、Ｆｅ：３〜１７％、Ｃｕ：５〜１５％と定めた
。

つぎに、この発明の焼結合金を実施例により説明する。

実施例 １ 従来溶解法により調製したＳｍ：２８．５％、Ｐｒ：８
％、ＣＯおよび不可避不純物：残りからなる成分組成を
もつた合金を振動ミル中で平均粒径４μｍに粉砕した。

ついで、この粉砕粉末と、これに赤リン：０，１％を配
合した混合粉末より、２０Ｋ０ｅの磁場中、１．５ｔ０
ｎ▲の圧力で磁場成型を行なつて圧粉体を成型した後、
これら両圧粉体をアルゴン雰囲気中、１１００〜１１８
０℃の温度範囲において、１０℃づつ高めた温度にそれ
ぞれ加熱し、各温度に１時間保持して焼結し、Ｐを含有
しない焼結合金（以下従来焼結合金という）およびＰを
含有するこの発明の焼結合金（以下本発明焼結合金とい
う）をそれぞれ製造した。この結果得られた本発明焼結
合金および従来焼結合金の密度、残留磁束密度、および
保磁力を測定し、この測定結果を焼結温度との関係にお
いて第１図および第２図に示した。第１図に示されるよ
うに、１１００〜１１８００Ｃの焼結温度範囲において
、低温側で焼結した場合、本発明焼結合金は従来焼結合
金に比して著しく高い密度をもつようになることが明ら
かである。

また、第２図に示されるように、残留磁束密度（Ｂｒ）
に関しても、密度の場合と同様に低温側で焼結した場合
に、本発明焼結合金は従来焼結合金に比して大きい残留
磁束密度をもつたものになつており、さらに第３図に示
されるように保磁力（ＩＨｃ）についても本発明焼結合
金の方が従来焼結合金に比して相対的に高い値をもつこ
とが明らかである。なお、本発明焼結合金は最大エネル
ギー積（Ｂ−Ｈｍ）：２５Ｍ−ＧＯｅをもつのに対して
、従来焼結合金は２２Ｍ−ＧＯｅをもつものであつた。

実施例 ２Ｓｍ：３４．５％、ＣＯおよび不可避不純物
：残りからなる成分組成をもつた合金に、０．８％以下
の範囲内で種々の量の赤リンを配合し（この場合赤リン
を配合しないものも含む）、振動ミル中で１５０分間粉
砕して種々のＰ含有量の原料粉末を調製した。

ついで、上記原料粉末より、２０Ｋ０ｅの磁場中、２ｔ
０ｎ／（７ｉ１の圧力で圧粉体を成型し、前記圧粉体を
アルゴン雰囲気中、温度１１２０℃に３０分間保持して
焼結し、Ｐ含有量が０．８％以下の範囲でそれぞれ異つ
た焼結合金を製造した。

この結果得られた焼結合金の飽和磁束密度（Ｂｓ）およ
び密度を測定し、この測定結果をＰ含有量との関係にお
いて第４図に示した。

第４図に示されるように、Ｐ含有量が０．００５％未満
の場合には、密度および飽和磁束密度にさしたる改善効
果は認められないが、Ｐ含有量が０．００５％の時点か
ら急激に密度および飽和磁束密度とも著しく改善される
ようになり、Ｐ含有量が約０．０５〜０．１０％でピー
クに達する。

さらにＰ含有量が０．１％を越えると密度および飽和磁
束密度とも低下するようになるが、０．５０％までは高
い状態を保つている。しかしＰ含有量が０．５０％・を
越えると、特に飽和磁束密度が急激に低下するようにな
る。かかる結果からも、この発明の焼結合金におけるＰ
含有量を０．００５〜０．５０％とした理由が明らかで
ある。実施例 ３ 溶解法によつて調製した、Ｓｍ：２６％，Ｃｕ：Ｕ％，
Ｆｅ：４％，ＣＯおよび不可避不純物：残りからなる成
分組成をもつた合金を振動ミル中で平均粒径５μｍに粉
砕した。

ついで、この結果得られた粉砕粉末と、これにこの発明
の範囲内の０．０８％の赤リンを配合した混合粉末と、
さらにこの発明の範囲から高い方に外れた０．８％の赤
リンを配合した混合粉末より、１０Ｋ０ｅの磁場中、２
．０ｔ０ｎ／Ｃｄの圧力で磁場成型して圧粉体を得、こ
の圧粉体をアルゴン雰囲気中、温度１２００℃に３０分
間加熱して焼結し、Ｐを含有しない従来焼結合金、Ｐを
この発明の範囲内で含有する本発明焼結合金、およびＰ
をこの発明の範囲から高い方に外れて含有した比較焼結
合金を製造し、時効処理を施して磁気特性を測定した。
この測定結果を下表に示す。上表に示される結果から明
らかなように、本発明焼結合金は、従来焼結合金および
比較焼結合金に比してすぐれた磁気特性をもつのである
。上述のように、この発明の焼結合金は、高い焼結密度
と大きな結晶異方性を合せもつ、すなわち残留磁束密度
、飽和磁束密度、および保磁力などの磁気特性のすぐれ
たものであるので、特に永久磁石として使用するのに適
したものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本発明焼結合金と従来焼結合金に関し
て、密度および磁気特性と焼結温度との関係を示した図
、第４図はＰ含有量と密度および飽和磁束密度との関係
を示した図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ Ｙを含む希土類元素のうちの１種または２種以上：
   ２０〜３９％、Ｐ：０．００５〜０．５％、 を含有し、残りがＣｏと不可避不純物からなる組成（以
   上重量％）を有することを特徴とする高い焼結密度と大
   きな結晶異方性を有する永久磁石用コバルト基焼結合金
   。 ２ Ｙを含む希土類元素のうちの１種または２種以上：
   ２０〜３９％、Ｐ：０．００５〜０．５％、 を含有し、さらに、 Ｆｅ：３〜１７％、 Ｃｕ：５〜１５％、 を含有し、残りがＣｏと不可避不純物からなる組成（以
   上重量％）を有することを特徴とする高い焼結密度と大
   きな結晶異方性を有する永久磁石用コバルト基焼結合金
   。