JPS586790Y2 - ギヤクランク装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はギヤクランク装置、詳しくはクランク軸、１対
のクランクアーム及びチェンギャから成るギヤクランク
装置に関する。

一般にこの種ギヤクランク装置は、クランク軸の軸端外
局部に、挿通孔をもつ１対の左右クランクアームを挿嵌
して、コツタピン或いはボルトにより固定する一方、前
記右クランクアームのボス部に、前記挿通孔周りから外
方に突出する筒状の取付軸を突設して、この取付軸に、
鋼などの金属板を打抜いて形成されたチェンギャの中心
孔部分を挿嵌して、前記取付軸の先端縁をカシメ加工す
ることによりチェンギャを右クランクアームに固定する
ように構成されている。

所がこの従来構造によれば、前記クランク軸と右クラン
クアームとの嵌合部及び右クランクアームの取付軸とチ
ェンギャとの嵌合部を高精度に仕上げることが困難であ
るため、前記２個所の嵌合部における嵌合精度がチェン
ギャのクランク軸に対する横振れに大きな影響を及ぼし
、その上カシメ加工の仕方によって大きな横振れが生じ
るため、このカシメ加工が非常に行ない難く、全体とし
てチェンギャのクラン多軸に対する横振れを小さく抑え
ることが非常に難しかったのである。

そこでチェンギャを右クランクアームに取付けた場合の
問題点を解消するために、前記クランク軸の軸方向一端
側に、軸方向に向かう多数の凹凸条を設けると共に、右
クランクアームの挿通孔とチェンギャの中心孔とに前記
凹凸条に嵌合する凹凸部を設けて、クランク軸の前記凹
凸条部分に前記チェンギャ及び右クランクアームを嵌合
し、前記クランク軸の軸端に螺合する螺合体により前記
チェンギャを右クランクアームとともにクランク軸に固
定するごとく構成したギヤクランク装置が提案されてい
るが、この装置によれば、チェンギャを右クランクアー
ムに固定するものに比較して該チェンギャの固定部分の
径が小径となる。

即ちクランク軸の径で固定することになる。

従って前記固定部分における周方向の嵌合面が小さくな
るため、チェンギャの固定部分に大きな強度が得られな
かったのである。

本考案は以上の点に鑑みて考案したもので、目的とする
処は、チェンギャのクランク軸に対する横振れを容易に
小さく抑え得ると共に、このチェンギャのクランク軸に
対する固定部分に大きな強度を得ることのできるギヤク
ランク装置を提供する点にある。

しかして本考案は前記クランク軸の少なくとも軸方向一
端外周に多数の凹凸条を形成して、前記クランクアーム
の一方を、回転不能に取付けると共に、前記クランク軸
に該クランク軸より大径の外径を有するアダプターを回
転不能に取付け、前記チェンギャに、前記アダプターを
受入れる嵌合部を形成して、前記クランク軸より径大と
した部分において、前記チェンギャをクランク軸に回転
不能に結合するごとくしたことを特徴とするものである
。

以下本考案ギヤクランク装置の実施例を図面に基づいて
説明する。

第１図に示したものは、所定長さのクランク軸１の軸方
向一端外周にテーパー状の嵌合部１１と、玉受面１２を
もった径大部１３とを設けると共に、前記嵌合部１１と
径大部１３との間に段部１４を設け、また軸方向池端外
周にテーパー状の嵌合部１５とねじ部１６とを設けて、
前記嵌合部１５゜１１にクランクアーム２，３を取付け
、前記ねじ部１６に玉受面４１をもつ玉押し４を取付け
る一方、クランク軸１の前記嵌合部１１，１５外周に多
数の凹凸条１７を形成して、嵌合部１１の凹凸条１７部
分に前記クランクアーム２とともにアダプター６を取付
けるようにしたのである。

前記アダプター６は、前記クランク軸１の嵌合部１１よ
り大径な外周をもつ円筒状を呈しており、その内周に、
前記クランク軸の凹凸条１７に嵌合する凹凸条６１を形
成すると共に、外周に多数の凹凸条６２を設けて、この
アダプター６の中心孔部分を前記嵌合部１１に挿嵌して
凹凸条１７，６１を嵌合させることにより、クランク軸
１に対し回転不能に取付けるのである。

そしてこのアダプター６にチェンギャ５を取付けるので
あって、このチェンギャ５の中心孔５ａを前記クランク
軸の嵌合部１１より稍々大きくすると共に、この中心孔
５ａの軸方向外側面を凹入して前記アダプター６の凹凸
条６２に嵌合する凹凸条をもった嵌合部５１を形成し、
該嵌合部５１の前記凹凸条６２への嵌合によりクランク
軸１より径大としたアダプター６の外周部において前記
チェンギャ５をクランク軸１に回転不能に結合するので
ある。

そしてチェンギャ５の中心部とアダプター６とをクラン
ク軸の段部１４と嵌合部１１に挿嵌するクランクアーム
２とで挟着して固定するのである。

尚チェンギャ５をクランク軸１に対し回転不能にする場
合、前記チェンギャ５の中心孔５ａに、クランク軸の凹
凸条１７と嵌合する凹凸条を設けてもよいし、又前記中
心孔５ａをアダプター６の外周に適合する大きさとして
、その中心孔全面に、前記アダプターの凹凸条６２に嵌
合する凹凸条をもった嵌合部５１を設げてもよい。

この場合にはクランク軸の段１４とアダプター６との間
及び該アダプター６とクランクアーム２との間に、前記
チェンギャ５の軸方向の移動を阻止する止め板を介装す
るとか、或いは前記止め板の役目をするフランジを、前
記アダプター６又はクランク軸の径大部１３に設けて、
チェンギャの軸方向の移動を阻止するのである。

又このチェンギャ５を支持するアダプター６は、第４図
の如く複数個のリング状部材で形成してもよい。

又一方前記クランクアーム２，３の長さ方向一端にはペ
ダル（図示せず）を枢着すると共に、他端にはボス部２
ａ、３ａを形成するのであり、このボス部２ａ、３ａの
中心部にテーパー状の挿通孔２１．３１を形成して、こ
れら挿通孔２１．３１を前記クランク軸１の嵌合部１１
に挿嵌して取付けるのである。

そしてこれらクランクアーム２゜３の挿通孔２１，３１
内周面に前記クランク軸の凹凸条１７に嵌合する凹凸条
を形成して、クランクアーム２，３をクランク軸１に対
し回転不能に結合するのである。

又前記クランク軸１における嵌合部１１，１５の中心部
にはねじ孔１８，１８を設けて、このねじ孔１８，１８
に螺合体７，７を取付げるのである。

この螺合体７は頭付ボルトから成り、第４，５図のごと
く頭部７ａの中心部には多角形の回転操作孔７１を設け
、またその外周部にはフランジ７２を設けるのであって
、頭部７ａを除く外周に設けられたねじ部７ｂを前記ク
ランク軸１のねじ孔１８に螺合し、該螺合体７の締付け
により前記クランクアーム２，３を移動させて前記挿通
孔２１，３１部分を嵌合部１１，１５に圧接させるので
ある。

又一方前記クランクアーム２，３における挿通孔２１．
３１の軸方向外側面には前記螺合体７のフランジ７２を
受入れる凹入部２２．３２を形成して、該凹入部内周面
にねじ２３，３３を設げ、このねじ２３，３３に止め体
８，８を着脱自由に取付けるのである。

この止め体８は円筒状を呈し、その外周部には第４，５
図のごとく前記ねじ２３，３３に対応するねじ８１を設
け、中心部には前記螺合体７の頭部７ａを受入れる受入
孔８２を設けて、この受入孔８２の軸方向内側面に、前
記フランジ７２の一側面に係合する係合段部８３を設け
、更に軸方向外側面には回転操作部８４を設けるのであ
る。

そして前記螺合体７をねじ戻し方向に回転操作したとき
、該螺合体のフランジ７２が前記係合段部８３に係合し
て前記止め体８を軸方向に押圧し、螺合体Ｔのねじ戻し
方向における推力により止め体８とクランクアーム２，
３とを一体化して螺合体７のクランクアーム２，３に対
する移動を阻止し、クランクアーム２，３を抜取り方向
に移動させるのである。

尚第１図において９は間座、９０はノ・ンガー、９１．
９２はこのハンガーの両端に螺着する椀であって、この
椀９１，９２に設けられる玉受面と前記クランク軸１の
玉受面１２及び玉押し４の玉受面４１との間に介装する
ボール９３によりクランク軸１をハンガー９０に対し回
転自由に支持するのである。

又第４図において９４は右クランクアーム３とチェンギ
ャ５との間に介装するリング状のギヤ押え板で、その内
周面には前記嵌合部１１の凹凸条１７に嵌合する凹凸条
を設けている。

又９５はロックナツトである。

本考案は以上の如く構成するものであるが、前記チェン
ギャ５を固定する手段として、第５図及び第６図の様に
してもよい。

しかして第５図に示したものは、前記クランク軸１の径
大部１３外周に多数の凹凸条１９を形成すると共に、リ
ング状のアダプター６ａを形成して、このアダプター６
ａの外周に、軸方向に突出する多数の突条６３を設け、
かつ前記チェンギャ５の中心孔５ａ近くに、前記アダプ
ター６ａの突条６３を受入れる多数の貫通孔５２を設け
、前記突条６３を、前記貫通孔５２及び前記凹凸条１９
の凹部に嵌合するように構成したものである。

又第６図に示したものは、前記径大部１３の段部１４側
外周に多数の凹凸条２０を形成すると共に、リング状の
アダプター６ｂを形成して、このアダプター６ｂの内周
に、軸方向に突出する多数の突条６４を設け、かつ前記
チェンギャ５の中心孔５ａ近くに、前記突条６４を受入
れる多数の貫通孔５２を設け、前記突条６４を、前記凹
凸条２０の凹部及び貫通孔５２に嵌合するように構成し
たものである。

以上の如く本考案はクランク軸の少なくとも軸方向一端
外周に多数の凹凸条を形成して、前記クランクアームと
、前記クランク軸より大径とした外周を有し、この外周
に多数の凹凸条を設けたアダプターとをそれぞれ回転不
能に取付けると共に、チェンギャに、前記アダプターの
凹凸条に嵌合する凹凸条をもった嵌合部を形成し、前記
クランク軸より径大とした部分において、前記チェンギ
ャをクランク軸に回転不能に結合するごとくしたのであ
るから、チェンギャのクランク軸に対する横振れを容易
に小さく抑えることができるばかりか、クランク軸にチ
ェンギャを取付ける従来のものに比べて前記チェンギャ
の固定部分における周方向の嵌合面を非常に多くとれる
ため、このチェンギャ固定部分に大きな強度を得ること
ができるのである。

従ってチェンギャの固定部分に大きな回転トルクが作用
しても、このチェンギャ固定部分が破損するのを防止で
き、長期間に亘って使用することができるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は一部切欠
正面図、第２図はチェンギャ固定部分の断面図、第３図
は部分拡大断面図、第４図乃至第６図は別の実施例を示
す部分拡大断面図である。 １・・・・・・クランク軸、１７・・・・・・凹凸条、
２，３・・・・・・クランクアーム、５・・・・・・チ
ェンギャ、５１・・・・・・嵌合部、６・・・・・・ア
ダプター、６２・・・・・・凹凸条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸、１対のクランクアーム及びチェンギャから
   成るギヤクランク装置であって、前記クランク軸の少な
   くとも軸方向一端外周に多数の凹凸条を形成して、前記
   クランクアームの一方を、回転不能に取付けると共に、
   前記クランク軸に該クランク軸より大径の外径を有する
   アダプターを回転不能に取付け、前記チェンギャに前記
   アダプターを受入れる嵌合部を形成して、前記クランク
   軸より径大とした部分において、前記チェンギャをクラ
   ンク軸に回転不能に結合するごとくしたことを特徴とす
   るギヤクランク装置。