JPS584191B2 - デイ−ゼルエンジンの始動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、予熱栓を備えたディーゼルエンジンの始動装
置に関する。

従来、ディーゼルエンジン、特に副燃焼室付ディーゼル
エンジンのその始動性を良くするために予熱栓を用いて
燃焼室を加熱する方式がとられている。

この予熱栓を用いる方式は装置が簡単で始動操作も容易
であるという半面、予熱栓による予熱に２０〜３０秒の
時間を要し、始動性が悪いためガソリンを燃料とするエ
ンジンに慣れ親しんだ運転者に好評を得られなかった。

予熱時間の短縮をはかるため予熱栓の発熱体の抵抗を極
端に小さくし、予熱栓に大電流を流して予熱時間の短縮
することも試みられているが、温度制御に問題が多く、
それが予熱栓の発熱体の溶断等の事故の原因となってい
た。

一方、予熱時間を短縮しようとして、温度上昇とともに
抵抗値が増大する金属、たとえば、ニッケル線等を用い
た自己制御型の予熱栓も使用されているが、供給エネル
ギーが放熱エネルギーと御等しくなる設定温度に達する
までの時間は其の金属の性質により左右され予熱時間は
従来のニクロム線を用いた予熱栓の予熱時間よりやゝ短
縮されるが、未だ満足すべきものではなかった。

また、実公昭５０−２９２４号公報にみられるように予
熱栓の発熱線の抵抗値を小さくして予熱時間を短縮する
とともに予熱栓の軸棒を二分割し両者をサーモスタット
で連結し、発熱線の酸化断線等を防止しようとしたもの
もある。

ところが、サーモスタットによるものでは、発熱部の温
度の正確な制御が困難であり、またサーモスタットの接
続部の溶着が生じたり、接触不良を起したりして、耐久
性、信頼性に欠ける欠点があった。

そこで、本発明の目的は、ディーゼルエンジンの予熱栓
の構造をあまり複雑にせず、かつ従来のものに比べてデ
ィーゼルエンジンの予熱時間を可及的に短縮するととも
に始動操作の容易なディーゼルエンジンの始動装置を提
供することにある。

次に本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。

第１図は本発明に係るディーゼルエンジンの始動装置の
具体的な制御回路を示す回路図であり、同図において１
は電源であり、車両のバッテリーなどである。

２はスタートスイッチ、３は予熱栓であり、ディーゼル
エンジンのシリンダ数に対応した数だけ設けられている
が、第１図においてはそのうち１個のみを示している。

予熱栓３の中には加熱用の発熱体３１が収納されている
。

この発熱体３１は金属抵抗線からなり、その抵抗温度特
性は第２図Ｒに示すように、発熱体３１の温度が低いと
きは抵抗値が小さく、予熱栓３の予熱設定温度Ｔｓに近
ずくに従って上昇し、少なくさも予熱設定温度Ｔｓ付近
では必ず抵抗温度係数αが零ではなく温度変化に対しあ
る傾きをもっている。

４は発熱体３１の常温時の抵抗値に比べて非常に小さな
抵抗値ｒ１を有し、発熱体３１の温度上昇中の実際の抵
抗値を刻々と検出するための検出用抵抗である。

１１はリレーで、予熱栓３の発熱体３１にながれる加熱
電流を断続するための常閉接点１１ａとこれを駆動する
ためのリレー作動コイル１ｌｂを有している。

なお、リレー１１は加熱電流を断続できるものであれば
有接点のリレーにかぎらず無接点のパワートランジスタ
等の電流制御素子でもよい。

前記、電源１→スタートスイッチ２リレー１１の常閉接
点１１ａ→抵抗４→予熱栓３の発熱体３１−電源１が予
熱栓３１の加熱電流回路を構成する。

５は、抵抗値ｒ２を有する抵抗、６も抵抗値ｒ３を有す
る抵抗であり、前記予熱栓３の発熱体３１と抵抗４，５
，６が発熱体３１の抵抗値を検出するためのブリッジ回
路を構成することになる。

８は比較器で、前記ブリッジ回路の接続点ｍ１，ｍ２に
その入力端を接続し、次に示す式が成立するブリッジ回
路の平行状態となれば出力信号を発することになる。

ｒ２／ｒ１−ｒ３／Ｒ ・・・・ （１）ただし、Ｒ
は発熱体３１の抵抗値。

９は比較器８の出力端子８ａにその入力端子を接続した
信号遅延装置で、抵抗とコンデンサーからなる周知の積
分遅延回路と同シュミット回路からなる。

１０は前記信号遅延装置９の出力端子に入力端子を接続
したリレー駆動装置で入力信号を受けて、ある一定の時
間幅のパルス信号を発生する周知のワンショットマルチ
バイブレータ回路さ、該ワンショットマルチバイブレー
タ回路の出力パルスを増幅するこれまた周知の増幅器か
らなる。

なお、信号遅延装置９とリレー駆動装置１０とで電流制
御素子を制御する制御装置を構成する。

１２は比較器８の出力端子８ａにその入力端子を接続し
た自己保持機能を有する伝達信号変換回路で周知のフリ
ップフロツプ回路とこれまた周知の増幅器で構成され、
比較器８の出力信号を受けて前記フリツプフロツプ回路
が反転し、このフリツプフロツプ回路の反転信号により
前記増幅器が出力信号を出力し、以後前記スタートスイ
ッチ２が開放されるまで前記フリツプフロツプ回路の反
転状態が保持されるようにして自己保持機能を持たせる
ものである。

１３は周知のスターターリレー、１４は周知のスタータ
ーである。

また前記予熱栓３の発熱体３１の抵抗値Ｒは、常温から
連続して電源電圧を印加し続け、供給エネルギーと放出
エネルギーが等しくなって予熱設定温度に達する従来形
の予熱栓の予熱設定温度における定格値の２／３以下で
あるとともにその予熱設定温度Ｔｓにおける抵抗温度係
数は前記したように零でないある値αを有する金属抵抗
体である。

次に、上述のように構成された本発明に係るディーゼル
エンジンの始動装置の動作について説明する。

スタートスイッチ２を閉じると前記のように、電源１→
スタートスイッチ２→リレー１１の常閉接点１１ａ→抵
抗４→予熱栓３の発熱体３１→電源１と、予熱栓３の加
熱電流回路が形成され電源１より予熱栓３の発熱体３１
に加熱電流が流れ、予熱栓３の温度が上昇し始め、同時
に発熱体３１の抵抗値も増大し始める。

発熱体３１の抵抗値が予熱設定温度Ｔｓに相当する設定
抵抗値Ｒｓに至るまで急速加熱され、設定抵抗値ＲＳに
達すると前記（１）式が成立し比較器８が作動しその出
力端子８ａより出力信号が発せられる。

この比較器８か．らの出力信号は前記伝達信号変換回路
１２により、スターターリレー１３を作動できるような
パワーを持つ電気信号にまで増幅され、これによりスタ
ートスイッチ２が開放されるまで連続してスターター１
４が駆動し続ける。

一方比較器８からの出力信号は信号遅延装置９にも入力
され、該信号遅延装置９はその有する遅延時間遅れて出
力信号をリレー駆動装置１０に送り、リレー駆動装置１
０を作動することになる。

なお、この遅延時間はたとえば予熱栓３の発熱体３１が
予熱設定温度Ｔｓ ，に達した後該予熱栓３が予熱設定
温度Ｔｓより少し上昇するまでの微小な時間である。

リレー駆動装置１０は、その内部に有するワンショット
マルチバイブレータ回路のパルス幅だけリレー１１のリ
レー作動コイル１１ｂに作動電流を流しリレーシ１１の
常閉接点１１ａを開放することになる。

なおこの開放時間は、予熱栓３９発熱体３１が、予熱設
定温度Ｔｓより少し高くなった後電流を遮断した時点か
ら、これの温度が低下して予熱設定温度Ｔｓより少し低
い温度に到達するまでの微小なシ時間である。

このリレー１１の常閉接点１１ａの開放により前記予熱
栓３の加熱電流回路および前記ブリッジ回路に流れる電
流が遮断されることになり、発熱体３１の加熱が一時的
に停止されると同時に比較器８の出力信号も零となる。

リレー１１はリレー駆動装置１０のワンショットマルチ
バイブレータ回路のパルス幅の時間だけ作動するがその
後は復帰し、その常閉接点１１ａは再び閉じることにな
る。

上記動作を第３図の動作説明図を用いてさらに詳細に説
明すれば、スタートスイッチ、２の投入により発熱体３
１の温度が上昇しはじめ、予熱設定温度Ｔｓ点ａに到達
すると、比較器８が最初の出力信号（イ）を発し、それ
が信号遅延装置９によってｄｔ １なる微小時間だけ遅
れてリレー駆動装置１０に入力され、該リレー駆動装置
１０はその内部のワンショットマルチバイブレータ回路
のパルス幅の時間ｄｔ２だけリレー作動信号を発し、リ
レー１１を作動させ、その常閉接点１１ａを開放する。

発熱体３１の温度は第３図ａ点からｂ点に到達するまで
微小時間ｄｉｌだけ上昇し続けリレー１１の常閉接点１
１ａの開放により予熱栓３への通電が遮断されるため、
その時点ｂから下降し、リレー駆動装置１０の出力信号
幅の時間ｄｔ２が経過すると、リレー１１は復帰し常閉
接点１１ａは再び閉じるので予熱栓３の発熱体３１に再
び電流が流れて、温度がその時点Ｃより上昇し予熱設定
温度Ｔｓの点ｄで前述と同様の作動により次の出力信号
（ロ）が発せられ、上述の如き作動が繰り返される。

このようなリレー１１の反復作動によってスターター１
４の起動中に電圧降下があっても発熱体３１の温度は予
熱設定温度Ｔｓ付近に保持される。

また、伝達信号変換回路１２は前述のように周知のフリ
ップフロツプ回路で構成され自己保持機能を有するので
、比較器８からの不連続な出力信号に対してもスタータ
ー１４の起動にはなんら影響されることなく、スタート
スイッチ２の開放まで継続して起動されることになる。

なお、本発明の上記実施例では、伝達信号変換回路が自
己保持機能を備えるようにしているが、スターターリレ
ー１３もしくは上記伝達信号変換回路１２とスターター
リレー１３の両者に自己保持機能を備えるようにしても
よい。

以上詳細に説明したように、本発明にかかるディーゼル
エンジンの始動装置は、発熱体が予熱設定温度にまで加
熱されたときから所定時間だけ経過後電流制御素子を開
放せしめる信号により電流制御素子を開放せしめるよう
に構成されているので、所定の電圧を連続して長時間印
加したならばたちどころに溶断してしまうような低抵抗
の発熱体を予熱栓に用いても、発熱体は溶断するような
ことはなく、このためディーゼルエンジンのスタートス
イッチを投入した直後予熱栓に大きな電力を供給でき、
予熱栓の発熱体を従来とは比較にならないような早さで
予熱設定温度にまで上昇せしめることができる。

また、該発熱体が予熱設定温度に達した後は制御回路か
ら断続的に送られる信号により電流制御素子がオン・オ
フし、発熱体に電圧が断続的に供給されるように構成さ
れているので、発熱体の温度を予熱設定温度に押えるこ
とができる。

さらに発熱体が温度上昇してほんの少しの間でも予熱設
定温度に達したならば、伝達信号変換回路がこれを検知
して比較器の信号を、スタートスイッチがオフされるま
でホールドし、スターターが連続的に駆動されるように
構成されているので、スタート動作が確実であり、スタ
ート時間をも短縮できる。

図面の簡単な説明 第１図は本発明の一実施例を示す回路図、第２図は同実
施例における予熱栓の温度に対する抵抗特性を示す特性
図、第３図は発熱体温度、比較器出力信号、リレーの動
作および時間との相互関係を示す図である。

１・・・・・・電源、２・・・・・・スタートスイッチ
、３・・・・・・予熱栓、３１・・・・・・発熱体、４
，５，６・・・・・・抵抗、８・・・・・・比較器、９
・・・・・・信号遅延装置、１０・・・・・・リレー駆
動装置、１１・・・・・・リレー、１１ａ・・・・・・
常閉接点、１ｌｂ・・・・・・リレー作動コイル、１２
・・・・・・伝達信号変換回路、１３・・・・・・スタ
ーターリレー１４・・・・・・スターター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 少なくとも予熱設定温度の上下近傍で温度変化に対
   して抵抗値が変化する発熱体を有する予熱栓と、検出用
   抵抗と、信号が印加されたとき回路が開かれる常閉型の
   電流制御素子と、スタートスイッチとを電源に対して直
   列に接続し、前記検出用抵抗と前記発熱体を２辺とする
   ブリッジ回路を形成するとともに、該発熱体が予熱設定
   温度にまで加熱されてブリッジ回路が平衡の状態に達し
   たことを検出する比較器と、該比較器からの平行状態検
   出信号が入力されるたびごとに該信号が入力された時点
   から所定時間だけ経過後電流制御素子を開放せしめる信
   号を出力する信号遅延装置と該信号遅延装置からの信号
   により電流制御素子を開放駆動するリレー駆動装置から
   なる制御装置と、ディーゼルエンジンを始動させるスタ
   ーターと、比較器の平衡状態検出信号が印加されたとき
   この信号を自己保持させて該スターターを起動し続ける
   自己保持機能を有する伝達信号変換回路とを備え前記ス
   タートスイッチ投入後の前記比較器の最初の出力信号で
   前記伝達信号変換回路を作動させ前記スターターを起動
   し前記スタートスイッチの開放まで該スターターの作動
   を続行させるとともに前記比較器の最初の出力信号およ
   び後続の出力信号で予熱栓の発熱体温度を予熱設定温度
   前後で上下せしめるときく前記制御装置を作動させるこ
   とを特徴とするディーゼルエンジンの始動装置。