JPS5831087Y2 - 磁気探傷器における磁化装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、磁気探傷器における磁化装置、特に中空円筒
状の被探傷物に対する磁化装置に関する。

磁気探傷器は、被探傷物に磁界を加えて磁束を通させ、
磁粉をかげた場合に傷があると生じる漏洩磁束により磁
粉が傷の部分に集中して付着することを利用して探傷す
るものである。

被探傷物が中空円筒状のものである場合、これを磁化す
る装置としては、従来第１図及び第２図に示すようなも
のがある。

第１図にお（・て、１は筒状部材３より成る中空円筒状
の被探傷物、２は銅、アルミニウム、真鍮などの導電材
料より成る通電棒、Ｅは電源、■は電流を示す。

このような装置においては、被探傷物１の筒状部材３の
内部に磁束ｆが矢印で示す円周（横）方向に発生するの
で、４で示すような縦方向の傷の探知は容易であるが、
横方向の傷は探知が困難である。

第２図において、５は珪素鋼板より成る磁心、６はコイ
ルを示す。

このような装置においては、被探傷物１の筒状部材３の
内部に磁束ｆが矢印で示す縦方向に発生するので、７で
示すような横方向の傷の探知に適するが、縦方向の傷の
探知には適しない。

第１図のやり方を電流貫通磁化法、第２図のやり方を磁
束貫通磁化法と呼んでいる。

縦方向の傷も横方向の傷も同時に検出できるようにする
ために、上記の電流貫通磁化法と磁束貫通磁化法を組合
わせようとしても、単に組合わせただけではうまくゆか
ない。

というのは、第２図の磁心５内に第１図の通電棒２を通
して上記２つの方法を組合わせる場合には、通電棒２の
発生した磁束は、周りの磁心５に吸収されてその外周に
置かれた被探傷物１まで及ばず、また、第２図の磁心５
を第１図の通電棒２と兼用させる場合には、磁気探傷用
の電流は低電圧、大電流（例えば、３Ｖ。

３０００Ａ）を用いるのが普通であるから、磁心５とし
て従来のような珪−素鋼板をカシメたものを用いると、
電流が並列に並べられた各珪素鋼板に均等に分流しない
などのため均一な磁界が得難＜、したがって、珪素鋼板
を１枚ずつ電極材を用いて加工したり、珪素鋼磁心を丸
棒状に作り上げるなどの必要があるからである。

そこで、珪素鋼板より成る磁心５の代かりに一般鉄材の
うち比較的透磁率の高い軟鉄材又は純鉄材などを用い、
これを電流貫通用及び磁束貫通用の棒材に兼用すること
にすれば、先ず第３図に示すような磁化装置が考えられ
る。

図において、２′が上記のような磁性体より成る通電棒
で、ぎはコイル、ｅｌ、ｅ２はそれぞれ交流電源を示す
。

１１゜ｉ２は、それぞれ交流電流であるが、便宜上極性
を付けて成る瞬間における方向を示しｔう被探傷物１の
筒状部材３の内部には、通電棒２を流れる電流１１によ
り磁束ｆ１が矢印で示す横方向に発生すると同時に、コ
イル６′を流れる電流１２により磁束ｆ２が矢印で示す
縦方向に発生する。

ここで、交流電源ｅ１．ｅ２に電圧の位相が同期したも
の又は同一の電源を用いると、電流１１と１２には約９
０゜の位相差が生じ、したがって磁束ｆ０とｆ２との間
にも約９０の位相差が生じるので、両磁束の合成磁界は
［Ｅ８ＵＩＥ磁界となる。

ゆえに、このような磁化装置によれば、一応縦方向及び
横方向の傷を同時に検知することができる。

ところが、かような磁化装置では、コイル６′を流れる
電流１２によって発生する磁束ｆ２は、被探傷物１の筒
状部材３の外周面側を通りやすく、筒状部材３の内周面
側は通りにくい傾向がある。

これは、コイル６′を流れる電流１２が、例えば６０Ｈ
ｚの交流電流であることに因る。

このため、被探傷物１の筒状部材３の内周面側にある傷
を探知しに（い欠点がある。

本考案は、第１及び第２図に示す従来法や第３図に示す
改良例のもつ上述の欠点を一掃した磁化装置を提供しよ
うとするものである。

以下、図面により本考案を具体的に説明する。

第４図は、本考案の実施例を示す構成図である。

図において、１ ＊ ２’＊ ３−ｅ１ｓｅ２ｅ ｉ１
＊ １２は既に説明したものと同じである。

５′はコ字状の磁心（例えば鉄心）で、６“はこれに巻
回したコイル、８．８は通電棒２に対する電極、９．９
は電極Ｂ。

８と磁心５′とを電気的に絶縁するための絶縁物を示す
。

通電棒ｒを流れる電流１１により被探傷物１の筒状部材
３の内部に矢印で示す横方向に磁束ｆ１が発生すること
は、上述のとおりである。

コイル６″を流れる電流１２により、矢印で示すように
、磁心５′及び磁性体の通電棒２′よりなる磁気回路を
通る磁束ｆ２が発生する。

この交流磁束ｆ２により、被探傷物１の筒状部材３の内
部を矢印で示す円周方向に環流する交流電流ｉ３が発生
し、この渦電流ｉ３によって被探傷物１の筒状部材３の
周囲に矢印で示す縦方向に磁束ｆ３が発生する。

ここに、磁束ｆ１とｆ３との間に第５図に示すように二
（９００）の位相差をもたせることは極めて容易であり
、そうすると、両者の合成磁界は完全な回転磁界となる
。

このような本考案にかかる磁化装置においては、磁界を
いわば被探傷物１の外周面側から加えている第３図のも
のとは異なり、磁界を被探傷物１の内周面側から加えて
渦電流を発生させることにより、被探傷物１の内周面側
にも充分な磁束を通すようにしたから、内周面側の傷も
容易に検知することができる。

そのほか、本考案によれば、均一な磁界を発生して縦横
のみならずあらゆる方向の傷を探知することができるば
かりでなく、１つの棒状導電性磁性体を電流貫通用と磁
束貫通用とに共用したため、構造が簡単で小型化が容易
となる利点がある。

なお、本考案は、上記の実施例に限らず、実用新案登録
請求の範囲に記載した本考案の要旨を逸脱しない範囲内
において、種々の変形、変更が可能であることはいうま
でもない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来法を示す構成図、第３図は従来
法の改良例を示す構成図、第４図は本考案の実施例を示
す構成図、第５図はその動作を説明するための磁束波形
図である。 １・・・・・・被探傷物、２′・・・・・・棒状導電性
磁性体、５′・・・・・・磁心、６″・・・・・・コイ
ル、８．８・・・・・・電極、ｅｌ。 ｅ２・・・・・・交流電源、１１．１２・・・・・・交
流電流。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中空円筒状の被探傷物の中空部を貫通する棒状導電性磁
   性体と、この棒状磁性体に交流電流を流通せしめる手段
   と、交流電流によって発生する交流磁束を磁心を介して
   上記棒状磁性体に貫通せしめる手段とを具え、上記棒状
   磁性体を流通する交流電流によって発生する交流磁束と
   上記棒状磁性体を貫通する交流磁束との間に位相差をも
   たせることにより、両交流磁束の合成磁界を回転磁界と
   したことを特徴とする磁気探傷器における磁化装置。