JP5201495B2 - 磁気探傷方法及び磁気探傷装置 - Google Patents

磁気探傷方法及び磁気探傷装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁性体からなる被探傷材に磁界を作用させて磁化した場合に、被探傷材に生ずる磁束を遮るようなきずが存在すると、このきずが存在する部位で磁束が表面空間に漏洩することを利用する磁気探傷方法及び磁気探傷装置に関する。
特に、本発明は、直流磁界のみを作用させる場合に磁化手段が大型化する問題や、交流磁界のみを作用させる場合に被探傷材が発熱する問題を解決しつつ、磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化することにより、精度良くきずを検出可能な磁気探傷方法及び磁気探傷装置に関する。
従来より、鋼板や鋼管等の被探傷材に存在するきずを非破壊的に検出する方法として、磁気探傷方法(漏洩磁束探傷方法)が知られている。この磁気探傷方法は、磁性体からなる被探傷材に磁界を作用させて磁化した場合に、被探傷材に生ずる磁束を遮るようなきずが存在すると、このきずが存在する部位で磁束が表面空間に漏洩することを利用する探傷方法である。
斯かる磁気探傷方法では、きずからの漏洩磁束を検出可能なほど大きくするために、被探傷材が磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化する必要がある。そして、一般的に、被探傷材に磁界を作用させるための磁化手段としては、直流又は交流の電磁石やコイル等が用いられ、きずからの漏洩磁束を検出するための検出手段としては、ホール素子やサーチコイル等が用いられる。
電磁石やコイル等の磁化手段を用いて、被探傷材を効率的に磁気飽和させる装置として、例えば、特許文献1、2に記載の装置が提案されている。
特許文献1に記載の装置は、磁極(ヨーク開放端)と被探傷材(被検材)との間に、ブラシ状のヨークを設けたり、可動補助ヨークを設けることにより、磁極と被探傷材との隙間による漏れ磁束の発生を抑制して、磁化効率を改善するものである。
しかしながら、特許文献1に記載の装置において、直流の電磁石を用いた場合には、表皮効果が望めないため、被探傷材の厚み方向全体を磁気飽和させる必要がある。換言すれば、被探傷材の厚み方向全体の断面積を超える磁極断面積が必要となるため、磁化手段が大型化するという問題がある。
以下、より具体的に説明する。鋼板や鋼管等の被探傷材を構成する強磁性材料の磁気特性は、一般的にヒステリシスカーブで表される非線形特性を有する。このため、被探傷材中の磁束密度が1.4T程度になるまで磁化することは、比較的小さい磁界を作用させることで実現可能である。しかしながら、きずからの漏洩磁束を十分に得るために必要な飽和磁束密度付近(一般の炭素鋼で1.7〜1.8T)の磁束密度を得るには、極めて大きな磁界を被探傷材に作用させる必要がある。さらに、直流磁気飽和では、被探傷材の厚み方向に均一に磁束が分布することになる。このため、直流の電磁石を用いて被探傷材を磁気飽和させるには、被探傷材の寸法(厚み)に応じた大型の磁化手段が必要となる。
上記の問題を解消するには、特許文献2に記載のように、交流の電磁石を用いた磁化手段を採用し、表皮効果を利用することで被探傷材の表層のみを磁化すればよい。特許文献2に記載の装置によれば、磁化手段の小型化は可能である。しかしながら、特許文献2に記載のように、交流磁界を作用させて磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化する場合、被探傷材中に生じる渦電流による発熱が大きいため、漏洩磁束を検出する検出手段の感度低下や寿命低下などの悪影響が生じるという問題が生じる。
以下、より具体的に説明する。交流磁界を作用させる場合、表皮効果により被探傷材の表層に磁束を集中させることが可能なため、直流磁界を作用させる場合に比べて、磁化手段が小型化できるという利点がある。しかしながら、被探傷材の材質に起因するノイズ信号を抑制するには、直流磁界を作用させる場合と同様に、被探傷材中の磁束密度を飽和磁束密度付近まで増大させる必要がある。交流磁界のみで磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化する場合、被探傷材中には磁束の時間変化に比例した起電力が発生し、これが渦電流を生じさせる。被探傷材中に流れる電流は抵抗発熱を伴い、被探傷材はいわゆる誘導加熱状態となるため、周辺に設けられた漏洩磁束の検出手段やその取り付け治具の温度変動の原因となる。一般に、漏洩磁束の検出手段としては、ホール素子、サーチコイル、フラックスゲート等のセンサが用いられるが、これらはいずれも、温度変化によって漏洩磁束の検出感度や寿命に影響が生じる。
日本国特開平8−152424号公報 日本国特開2001−41932号公報
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、直流磁界のみを作用させる場合に磁化手段が大型化する問題や、交流磁界のみを作用させる場合に被探傷材が発熱する問題を解決しつつ、被探傷材が磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化することにより、精度良くきずを検出可能な磁気探傷方法及び磁気探傷装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、被探傷材中の磁束密度が比較的大きくなりやすい範囲(1.4T程度)までは、直流磁界(バイアス磁界)を作用させて磁化すると共に、被探傷材を磁気飽和状態にしてきずからの漏洩磁束を検出するために交流磁界を作用させて更に磁化することで、磁化手段の小型化と被探傷材の発熱防止という双方の課題を解決できるのではないかということに着眼した。
上記の着眼において、直流磁界を作用させる目的は、きずからの漏洩磁束を生じさせることではなく、きずの近傍を含む被探傷材全体の磁束密度を略均一に且つある程度の磁束密度まで増加させることである。本発明者らは、この目的に鑑みれば、作用させる直流磁界の方向は、直流磁界によって被探傷材中に発生する磁束の進路がきずによって最も妨げられにくい方向(すなわち、きずの延びる方向に略平行な方向)とする必要があることを知見した。
一方、上記の着眼において、交流磁界を作用させる目的は、きずからの漏洩磁束を生じさせることである。本発明者らは、この目的に鑑みれば、作用させる交流磁界の方向は、交流磁界によって被探傷材中に発生する磁束の進路がきずによって最も妨げられやすい方向(すなわち、きずの延びる方向に略垂直な方向)とする必要があることを知見した。
本発明は、以上に述べた本発明者らの知見により完成したものである。
本発明者らは、まず上記の知見に基づき、被探傷材に対して、検出対象きずの延びる方向に略平行に直流のバイアス磁界を作用させると共に、検出対象きずの延びる方向に略垂直に交流磁界を作用させ、これによって生ずる漏洩磁束に基づいて検出対象きずを検出することを特徴とする磁気探傷方法(以下、前提発明という)に想到した
上記の前提発明によれば、検出対象きず(検出対象とするきず)の延びる方向に略平行に直流のバイアス磁界を作用させることにより、被探傷材中の磁束密度が比較的大きくなりやすい範囲までは、検出対象きずによって磁束の進路が大きく妨げられることなく、略均一に被探傷材を磁化することが可能である。そして、本前提発明によれば、上記バイアス磁界に加えて交流磁界を作用させることにより、被探傷材を比較的容易に磁気飽和状態にさせることができると共に、作用させる交流磁界の方向が検出対象きずの延びる方向に略垂直であるため、検出対象きずからの漏洩磁束を効率良く生じさせることができ、その結果、精度良く検出対象きずを検出可能である。
また、本前提発明によれば、直流のバイアス磁界と交流磁界とを組み合わせて作用させることにより被探傷材を磁化するため、直流磁界のみを作用させて磁化する場合に比べて、被探傷材を磁気飽和させるための磁化手段が大型化しないという利点が得られる。
さらに、本前提発明によれば、直流のバイアス磁界と交流磁界とを組み合わせて作用させることにより被探傷材を磁化するため、交流磁界のみを作用させて磁化する場合に比べて、被探傷材を磁気飽和させても被探傷材が過度に発熱しないという利点も得られる。
以上に述べた前提発明は、検出対象きずの延びる方向が一定であり且つ予めその方向が想定可能である場合に有効である。しかしながら、被探傷材に種々の方向に延びるきずが存在し、如何なる方向に延びるきずも検出する必要がある場合には、直流のバイアス磁界を作用させる方向(きずの延びる方向に略平行な方向)や、交流磁界を作用させる方向(きずの延びる方向に略垂直な方向)を一定にすることができない。きずの延びる方向が如何なる方向であっても検出できるようにするには、磁界の方向が時々刻々変化する回転磁界を作用させることが有効である。そして、この回転磁界を作用させる場合にも、前述した本発明者らの知見を活かせば、磁化手段が大型化する問題や被探傷材が発熱する問題を解決しつつ、磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化して、精度良くきずを検出可能である。
すなわち、発明は、被探傷材に対して、交流電流を励磁電流として用いることで励磁される回転バイアス磁界を作用させると共に、前記交流電流と同一周波数の第1交流電流と該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流とを重畳した重畳交流電流を励磁電流として用いることで励磁され、前記回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させ、これによって生ずる漏洩磁束に基づいてきずを検出することを特徴とする磁気探傷方法である。
発明によれば、被探傷材に対して、交流電流を励磁電流として用いることで励磁される回転バイアス磁界を作用させる。回転バイアス磁界を励磁する励磁電流としては交流電流を用いるものの、その周波数を低周波(例えば、10Hz〜2kHz程度)とすれば、あたかも前述した前提発明における直流のバイアス磁界がその方向だけを時々刻々変化させるのと同様の挙動となる。このため、発明の回転バイアス磁界によっても、被探傷材の中の磁束密度が比較的大きくなりやすい範囲までは、きず(回転バイアス磁界のある瞬間の方向と略平行に延びるきず)によって磁束の進路が大きく妨げられることなく、略均一に被探傷材を磁化することが可能である。
そして、本発明によれば、上記回転バイアス磁界に加えて該回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界(すなわち、ある瞬間の回転バイアス磁界の方向と回転交流磁界の方向とが直交する)を作用させる。この回転交流磁界は、回転バイアス磁界の励磁電流である交流電流と同一周波数の第1交流電流(回転バイアス磁界の励磁電流である交流電流の周波数を低周波とすれば、第1交流電流の周波数も低周波となる)と該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流(例えば、1kHz〜500kHz程度)とを重畳した重畳交流電流を励磁電流として用いることで励磁される。従って、高周波の第2交流電流によって生成される交流磁界が支配的に被探傷材に作用する一方、低周波の第1交流電流は、前記生成された交流磁界の方向を被探傷材において回転させるために機能する。これは、被探傷材に生じる誘導起電力が励磁電流の周波数に比例するからである。換言すれば、発明における回転交流磁界は、前述した前提発明における交流磁界がその方向だけを時々刻々変化させるのと同様の挙動を示すことになる。
本発明は、回転バイアス磁界に加えて該回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させるため、被探傷材を比較的容易に磁気飽和状態にさせることができると共に、作用させる回転交流磁界の方向が上記のきず(回転バイアス磁界のある瞬間の方向と略平行に延びるきず)の延びる方向に略垂直となるため、上記のきずからの漏洩磁束を効率良く生じさせることができ、その結果、精度良く上記のきずを検出可能である。本発明は、バイアス磁界を回転させると共に、交流磁界もバイアス磁界と位相を90°ずらして回転させるため、被探傷材に存在する種々の方向に延びるきずを検出可能である。
また、本発明によれば、被探傷材を磁気飽和させるための磁化手段が大型化しないという利点や、被探傷材を磁気飽和させても被探傷材が過度に発熱しないという利点が得られることは、前提発明と同様である。
なお、第1交流電流の周波数は、回転バイアス磁界及び回転交流磁界を作用させる磁化手段の被探傷材に対する相対的な移動速度に応じて設定すればよい。具体的には、磁化手段がきず上を通過する間に、最低1回は回転バイアス磁界及び回転交流磁界が回転するように、第1交流電流の周波数を設定する必要がある。磁化手段の相対的な移動速度が速くなれば、第1交流電流の周波数を高く設定する必要があり、これに応じて高周波である第2交流電流の周波数も高く設定する必要がある。第1交流電流の周波数と第2交流電流の周波数の比率は、第2交流電流を参照信号として同期検波できる程度の比率(例えば、1:10以上)に設定することが好ましい。
また、前記課題を解決するため、本発明は、被探傷材に対して、交流電流を励磁電流として用いることで励磁される回転バイアス磁界を作用させる第1回転磁化手段と、被探傷材に対して、前記交流電流と同一周波数の第1交流電流と該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流とを重畳した重畳交流電流を励磁電流として用いることで励磁され、前記回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させる第2回転磁化手段と、前記第1回転磁化手段及び前記第2回転磁化手段で被探傷材を磁化することによって生ずる漏洩磁束を検出する検出手段と、を備えることを特徴とする磁気探傷装置としても提供される。
本発明によれば、直流磁界のみを作用させる場合に磁化手段が大型化する問題や、交流磁界のみを作用させる場合に被探傷材が発熱する問題を解決しつつ、磁気飽和状態になるまで被探傷材を磁化することにより、精度良くきずを検出可能である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気探傷装置の概略構成を示す図である。 図2は、被探傷材に作用させる直流磁界の方向がきずの延びる方向に対して略垂直である場合の被探傷材中の磁束の状態を模式的に示す図である。 図3は、被探傷材に作用させる直流磁界の方向がきずの延びる方向に対して略平行である場合の被探傷材中の磁束の状態を模式的に示す図である。 図4は、本発明の実施例1及び比較例1、2の試験結果を示す図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係る磁気探傷装置の概略構成を示す図である。 図6は、図5に示す磁気探傷装置によって生成される磁界の関係を模式的に示す図である。 図7は、本発明の実施例2の試験結果を示す図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る磁気探傷装置は、被探傷材が管であり、管の軸方向に延びるきず(以下、軸方向きずという)を検出対象とする。
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気探傷装置の概略構成を示す図である。図1(a)は、全体構成図を示す。また、図1(b)は、図1(a)に示す探傷プローブの模式的な外観図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る磁気探傷装置100は、管Pに対して検出対象きずである軸方向きずFの延びる方向(管Pの軸方向(図1に示すX方向))に略平行に直流のバイアス磁界を作用させる第1磁化手段1と、管Pに対して軸方向きずFの延びる方向に略垂直に交流磁界を作用させる第2磁化手段2と、第1磁化手段1及び第2磁化手段2で管Pを磁化することによって生ずる漏洩磁束を検出する検出手段3とを備えている。また、本実施形態に係る磁気探傷装置100は、第2磁化手段2に交流電流を供給したり、検出手段3から出力された探傷信号を信号処理して軸方向きずFを検出するための演算制御手段4を備えている。
第1磁化手段1は、管Pを貫通させる一対の貫通コイル1a、1bからなる。一対の貫通コイル1a、1bにはそれぞれ直流電流が供給され、これにより管Pの軸方向(X方向)に対して略平行な方向に直流磁界(バイアス磁界)Aが生成される。すなわち、バイアス磁界Aの方向は、軸方向きずFの延びる方向に略平行となる。
第2磁化手段2は、空心型のタンジェンシャルコイルからなる。このタンジェンシャルコイルは、非磁性体からなるコア21の周りに管Pの軸方向(X方向)に導線22を巻回したものである。演算制御手段4から導線22に交流電流を供給することにより、管Pの軸方向(X方向)に対して略垂直な方向(図1に示すY方向)に交流磁界Bが生成される。第2磁化手段2を管Pの外面に配置すれば、生成された交流磁界Bは管Pの周方向に沿って進行することになる。すなわち、交流磁界Bの方向は、軸方向きずFの延びる方向に略垂直となる。
検出手段3は、第2磁化手段(タンジェンシャルコイル)2の中心を通りX方向及びY方向に直交するZ方向(図1参照)の漏洩磁束を検出する平面コイルとされている。検出手段3は、第2磁化手段2が具備するコア21の下面に取り付けられている。検出手段3は、Z方向の漏洩磁束を検出し、探傷信号として演算制御手段4に出力する。なお、検出手段3は、第2磁化手段(タンジェンシャルコイル)2と一体化されて、探傷プローブ20を形成している。
演算制御手段4は、第2磁化手段(タンジェンシャルコイル)2に所定周波数の交流電流を供給する。また、演算制御手段4は、検出手段3から出力された探傷信号に、前記交流電流を参照信号とする同期検波等の信号処理を施し、軸方向きずFを検出する。
以上の構成を有する磁気探傷装置100によれば、軸方向きずFの延びる方向(X方向)に略平行に直流のバイアス磁界Aを作用させることにより、管P中の磁束密度が比較的大きくなりやすい範囲までは、軸方向きずFによって磁束の進路が大きく妨げられることなく、略均一に管Pを磁化することが可能である。以下、この点について、図2及び図3を適宜参照しつつ、より具体的に説明する。
図2は、被探傷材に作用させる直流磁界の方向がきずの延びる方向に対して略垂直である場合の被探傷材中の磁束の状態を模式的に示す図である。図2(a)は平面図を、図2(b)は図2(a)のCC矢視断面図を示す。
図3は、被探傷材に作用させる直流磁界の方向がきずの延びる方向に対して略平行である場合の被探傷材中の磁束の状態を模式的に示す図である。図3(a)は平面図を、図3(b)は図3(a)のDD矢視断面図を示す。
図2に示すように、被探傷材に作用させる直流磁界の方向がきずの延びる方向に対して略垂直である場合、直流磁界を作用させることによって生じる磁束(図2において実線の矢符で示す)は、きずの直近まで直進して急激に方向を変えて迂回するのではなく、きずに対して緩やかに方向を変えながら迂回する。このため、きずの周辺には、図2に破線で示すような磁束密度の小さい領域が存在することになる。従って、特にきずの周辺においては、直流磁界がきずからの漏洩磁束を増加させるためのバイアス磁界として機能していないことになる。換言すれば、きずの延びる方向と磁束の方向とが略垂直となるように直流磁気飽和させた場合には、被探傷材中の磁束密度を略均一に増大させるという直流磁化の目的を達成することができない。
一方、図3に示すように、被探傷材に作用させる直流磁界の方向がきずの延びる方向に対して略平行である場合、直流磁界を作用させることによって生じる磁束(図3において実線の矢符で示す)は、きずによってその進路が大きく妨げられることはなく、きず近傍を迂回することが可能である。このため、図3(b)に示すように、きずの近傍まで磁束密度の大きい領域が存在し、きずを除く被探傷材中の磁束密度を略均一に増大させるという直流磁化の目的を達成することができる。
以上に述べた理由から、本実施形態に係る磁気探傷装置100では、軸方向きずFの延びる方向(X方向)に略平行に直流のバイアス磁界Aを作用させており、これにより、管P中の磁束密度が比較的大きくなりやすい範囲まで、略均一に管Pを磁化することが可能である。
また、本実施形態に係る磁気探傷装置100では、バイアス磁界Aに加えて交流磁界Bを作用させている。これにより、管Pを比較的容易に磁気飽和状態にさせることができると共に、作用させる交流磁界Bの方向が軸方向きずFの延びる方向に略垂直であるため、軸方向きずFからの漏洩磁束を効率良く生じさせることが可能である。この結果、精度良く軸方向きずFを検出可能である。
また、本実施形態に係る磁気探傷装置100によれば、バイアス磁界Aと交流磁界Bとを組み合わせて作用させることにより管Pを磁化するため、直流磁界のみを作用させて磁化する場合に比べて、管Pを磁気飽和させるための磁化手段が大型化しないという利点が得られる。
さらに、本実施形態に係る磁気探傷装置100によれば、バイアス磁界Aと交流磁界Bとを組み合わせて作用させることにより管Pを磁化するため、交流磁界のみを作用させて磁化する場合に比べて、管Pを磁気飽和させても管Pが過度に発熱しないという利点も得られる。
以下、本実施形態に係る磁気探傷装置100を用いた探傷試験の一実施例について説明する。
<実施例1>
本実施例において、被探傷材である管Pとしては、0.25質量%の炭素を含有する炭素鋼管を用いた。この管Pの表面に、深さ0.5mmで長さ25mmの人工の軸方向きずを設けた。また、第1磁化手段1である貫通コイル1a、1bとしては、それぞれターン数1000で、外径140mm、内径80mm、長さ(管Pの軸方向に沿った長さ)50mmのものを用い、各貫通コイル1a、1bを管Pの軸方向に40mm隔てて配置した。各貫通コイル1a、1bに供給する直流電流の電流値は1.5Aとし、これにより、適正なバイアス磁界(被探傷材中の磁束密度約1.5T)を作用させることが可能であった。なお、この第1磁化手段1のみで漏洩磁束探傷が可能な程度にまで磁化する(被探傷材中の磁束密度約1.8T)のに必要な直流電流の電流値は約9Aである。従って、本実施例によれば、第1磁化手段1のみで直流磁気飽和させる場合に比べて、約1/6の電流値で探傷可能であることが分かる。
また、本実施例において、第2磁化手段(タンジェンシャルコイル)2としては、一辺が6mmの非磁性の立方体からなるコア21の周りに管Pの軸方向に導線22を50ターン巻回したものを用いた。導線22に供給する交流電流は、周波数50kHzで、電流値200mAとした。この電流値は、通常の交流磁気探傷(交流磁界のみを作用させる磁気探傷)に用いられる電磁石に通電する交流電流の値と比べて、非常に小さいものであるということは、当業者であれば容易に理解可能である。また、交流磁界を生成する磁化手段として、本実施例の第2磁化手段2を用いれば、従来の電磁石と比べて、著しい小型化・軽量化を図れることが分かる。このことは、被探傷材が軸方向に直進し、交流磁界を生成する磁化手段が被探傷材の周方向に回転して、被探傷材の全面を探傷する必要がある場合に大きな利点となる。交流磁界を生成する磁化手段として本実施例の第2磁化手段2を用いれば、それを被探傷材の周方向に回転する機構の小型化・簡素化にも繋がるからである。
さらに、本実施例において、検出手段3としては、直径5mmでターン数100の平面コイルを用いた。
以上の条件で探傷試験を行った。
<比較例1>
第1磁化手段1によるバイアス磁界を作用させなかった点を除き、実施例と同様の条件で探傷試験を行った。
<比較例2>
管軸方向に対して60°傾斜した方向に延びる人工きず(深さ及び長さは、実施例1と同様)を管Pの表面に設け、第2磁化手段(タンジェンシャルコイル)2によって生成される交流磁界の方向が上記人工きずの延びる方向と略垂直になるように第2磁化手段2の向きを調整した点を除き、実施例と同様の条件で探傷試験を行った。
<評価結果>
図4は、実施例1及び比較例1、2の試験結果を示す図である。図4(a)は実施例1の試験結果を、図4(b)は比較例1の試験結果を、図4(c)は比較例2の試験結果を示す。図4に示す波形は、検出手段3から出力された探傷信号を、演算制御手段4が第2磁化手段(タンジェンシャルコイル)2に供給される交流電流を参照信号として同期検波したものである。
図4に示す実施例1と比較例1とを比較すれば明らかなように、バイアス磁界を作用させなかった比較例1では、きず信号の振幅がやや小さく、ノイズ信号の振幅が大きいのに対し、きずの延びる方向に略平行にバイアス磁界を作用させる実施例1では、きず信号の振幅が増加し、逆にノイズ信号の振幅は減少している。この結果は、きずの延びる方向に略平行なバイアス磁界を作用させた場合、きずの近傍を含む管P全体の磁束密度が増加するため、空心型のタンジェンシャルコイルのように、生成する磁界強度の小さな磁化手段を用いた場合であっても、管Pが容易に磁気飽和状態に至ることを示している。そのため、きずからの漏洩磁束が増大する(従って、きず信号の振幅が増加する)と共に、鋼管材料の磁気的不均一性に起因するノイズ信号が抑制されることを示している。
また、図4に示す比較例1と比較例2とを比較すれば明らかなように、バイアス磁界を作用させなかった比較例1と比べ、バイアス磁界を作用させた比較例2では、ノイズ信号の振幅は減少している。しかしながら、きず信号については、バイアス磁界を作用させた比較例2の方が逆に振幅が小さくなっている。これは、バイアス磁界の方向ときずの延びる方向とが平行ではない(60°の角度を成す)ため、きずの周辺に磁束の迂回によって生じる磁束密度の小さい領域が存在し、きず周辺の磁気飽和レベルを低下させて、きずからの漏洩磁束の発生を妨げることが理由であると考えられる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る磁気探傷装置は、被探傷材が管であり、種々の方向に延びるきずを検出対象とする。
図5は、本発明の第2実施形態に係る磁気探傷装置の概略構成を示す図である。図5(a)は、全体の構成を部分的に断面で示す正面図である。図5(b)は、平面図である。図5(c)は裏面図である。図5(d)は、図5(a)〜(c)に示す探傷プローブの模式的な外観図を示す。なお、図5(b)においては、励磁コイルの図示を省略している。
図5に示すように、本実施形態に係る磁気探傷装置100’は、被探傷材である管Pに対して回転バイアス磁界を作用させる第1回転磁化手段1’と、管Pに対して前記回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させる第2回転磁化手段2’と、第1回転磁化手段1’及び第2回転磁化手段2’で管Pを磁化することによって生ずる漏洩磁束を検出する検出手段3とを備えている。また、本実施形態に係る磁気探傷装置100’は、第1回転磁化手段1’や第2回転磁化手段2’に励磁電流を供給したり、検出手段3から出力された探傷信号を信号処理してきずを検出するための演算制御手段4’を備えている。
第1回転磁化手段1’は、第1電磁石11と、第1電磁石11と交叉する第2電磁石12とから構成されている。
第1電磁石11は、逆U字状のヨーク111と、ヨーク111の両端部にそれぞれ巻回された励磁コイル112とを具備する。演算制御手段4’から励磁コイル112に交流電流を供給することにより、ヨーク111の磁極111a、111b間に管Pの軸方向(図5に示すX方向)に対して略平行な方向の磁界が生成される。
第2電磁石12は、逆U字状のヨーク121と、ヨーク121の両端部にそれぞれ巻回された励磁コイル122とを具備する。演算制御手段4’から励磁コイル122に交流電流を供給することにより、ヨーク121の磁極121a、121b間に管Pの軸方向(X方向)に対して略垂直な方向(図5に示すY方向)の磁界が生成される。
そして、各励磁コイル112、122に供給する交流電流(励磁電流)の位相を90°ずらすことにより、各励磁コイル112、122で生成された磁界の合成磁界が、磁極111a、111b、121a、121bの中心位置を中心として360°回転することになる。
以上のようにして、第1回転磁化手段1’は、管Pに対して回転バイアス磁界を作用させる。
第2回転磁化手段2’は、本発明者らが提案した特開2008−128733号公報に記載の励磁コイルと同様の構成を有する。具体的には、第2回転磁化手段2’は、第1実施形態の第2磁化手段2と同様に、空心型のタンジェンシャルコイルからなる。ただし、第2回転磁化手段2’は、第2磁化手段2と異なり、非磁性体からなるコア21の周りに管Pの軸方向(X方向)に導線22bを巻回するのみならず、管Pの軸方向に略垂直な方向(Y方向)にも導線22aを巻回したものである。
演算制御手段4’から導線22aに励磁電流(X方向励磁電流)を供給することにより、管Pの軸方向(X方向)に対して略平行な方向の交流磁界が生成される。
また、演算制御手段4’から導線22bに励磁電流(Y方向励磁電流)を供給することにより、管Pの軸方向(X方向)に対して略垂直な方向(Y方向)の交流磁界が生成される。
そして、各導線22a、22bに供給する励磁電流の位相を90°ずらすことにより、各導線22a、22bで生成された交流磁界の合成磁界が、第2回転磁化手段2’(タンジェンシャルコイル)の中心位置を中心として360°回転することになる。すなわち、回転交流磁界が生成される。
具体的には、第2回転磁化手段2’には、第1回転磁化手段1’に供給される(励磁コイル112、122に供給される)交流電流と同一周波数の第1交流電流と、該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流とを重畳した重畳交流電流が、励磁電流として演算制御手段4’から供給される。より具体的には、第2回転磁化手段2’の導線22aには、第1交流電流と第2交流電流とを重畳したX方向励磁電流が供給される。
一方、第2回転磁化手段2’の導線22bには、第1交流電流と第2交流電流とが重畳すると共にX方向励磁電流に対して位相が90°ずれたY方向励磁電流が供給される。
そして、第2回転磁化手段2’によって生成される回転交流磁界の位相が、第1回転磁化手段1’によって生成される回転バイアス磁界の位相と90°ずれるように、X方向励磁電流及びY方向励磁電流の位相が調整されている。
以上のようにして、第2回転磁化手段2’は、管Pに対して前記回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させる。
検出手段3は、第1実施形態と同様に、第2回転磁化手段(タンジェンシャルコイル)2’の中心を通りX方向及びY方向に直交するZ方向(図5参照)の漏洩磁束を検出する平面コイルとされている。検出手段3は、第2回転磁化手段2’が具備するコア21の下面に取り付けられている。検出手段3は、Z方向の漏洩磁束を検出し、探傷信号として演算制御手段4’に出力する。なお、検出手段3は、第2回転磁化手段(タンジェンシャルコイル)2’と一体化されて、探傷プローブ20’を形成している。
演算制御手段4’は、第1回転磁化手段1’が具備する第1電磁石11及び第2電磁石12に、互いに位相が90°ずれた交流電流をそれぞれ供給する。また、演算制御手段4’は、第1回転磁化手段1’に供給する交流電流と同一周波数の第1交流電流と、該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流とを重畳した重畳交流電流であって、互いに位相が90°ずれた重畳交流電流(X方向励磁電流及びY方向励磁電流)を、第2回転磁化手段2’が具備する導線22a、22bにそれぞれ供給する。演算制御手段4’は、第1回転磁化手段1’によって生成される回転バイアス磁界の位相と、第2回転磁化手段2’によって生成される回転交流磁界の位相とが90°ずれるように、第2回転磁化手段2’に供給するX方向励磁電流及びY方向励磁電流の位相を調整する。
また、演算制御手段4’は、検出手段3から出力された探傷信号に対して、第2交流電流を参照信号とする同期検波や、第1交流電流を参照信号とする同期検波等の信号処理を順次施し、軸方向きずFを検出する。
図6は、以上の構成を有する磁気探傷装置100’によって生成される磁界の関係を模式的に示す図である。
本実施形態に係る磁気探傷装置100’によれば、管Pに対して、交流電流を励磁電流として用いることで励磁される回転バイアス磁界が作用する。回転バイアス磁界を励磁する励磁電流としては交流電流を用いるものの、その周波数を低周波とすれば、あたかも前述した第1実施形態に係る磁気探傷装置100で生成される直流のバイアス磁界がその方向だけを時々刻々変化させるのと同様の挙動となる。このため、本実施形態に係る磁気探傷装置100’で生成される回転バイアス磁界によっても、管P中の磁束密度が比較的大きくなりやすい範囲までは、きず(回転バイアス磁界のある瞬間の方向と略平行に延びるきず)Fによって磁束の進路が大きく妨げられることなく、略均一に管Pを磁化することが可能である。
そして、本実施形態に係る磁気探傷装置100’によれば、上記回転バイアス磁界に加えて該回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界(すなわち、ある瞬間の回転バイアス磁界の方向と回転交流磁界の方向とが直交する)が作用する。この回転交流磁界は、第1実施形態で述べた交流磁界がその方向だけを時々刻々変化させるのと同様の挙動を示すことになる。
本実施形態に係る磁気探傷装置100’では、回転バイアス磁界に加えて該回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界が作用するため、管Pを比較的容易に磁気飽和状態にさせることができると共に、作用させる回転交流磁界の方向が上記のきず(回転バイアス磁界のある瞬間の方向と略平行に延びるきず)Fの延びる方向に略垂直となるため、上記のきずFからの漏洩磁束を効率良く生じさせることができ、その結果、精度良く上記のきずFを検出可能である。本実施形態に係る磁気探傷装置100’では、バイアス磁界を回転させると共に、交流磁界もバイアス磁界と位相を90°ずらして回転させるため、管Pに存在する種々の方向に延びるきずを検出可能である。
また、本実施形態に係る磁気探傷装置100’によれば、管Pを磁気飽和させるための磁化手段が大型化しないという利点や、管Pを磁気飽和させても管Pが過度に発熱しないという利点が得られることは、第1実施形態に係る磁気探傷装置100と同様である。
以下、本実施形態に係る磁気探傷装置100’を用いた探傷試験の一実施例について説明する。
<実施例2>
本実施例においても、前述した実施例1と同様に、被探傷材である管Pとして、0.25質量%の炭素を含有する炭素鋼管を用いた。この管Pの表面に、人工の軸方向きず、15°方向人工きず(管軸方向に対して15°傾斜した方向に延びる人工きず)、45°方向人工きず(管軸方向に対して45°傾斜した方向に延びる人工きず)、75°方向人工きず(管軸方向に対して75°傾斜した方向に延びる人工きず)を設けた。各人工きずは、いずれも深さ0.5mmで長さ25mmとした。
また、本実施例において、第1回転磁化手段1’を構成する第1電磁石11が具備する各励磁コイル112としては、ターン数80のものを用い、各励磁コイル112に供給する交流電流は、周波数100Hzで、電流値10Aとした。同様に、第1回転磁化手段1’を構成する第2電磁石12が具備する各励磁コイル122としては、ターン数80のものを用い、各励磁コイル122に供給する交流電流は、周波数100Hzで、電流値10Aとした。また、第2回転磁化手段2’(タンジェンシャルコイル)としては、一辺が6mmの非磁性の立方体からなるコア21の周りに管Pの軸方向(X方向)に導線22bを60ターン巻回し、管Pの軸方向に略垂直な方向(Y方向)に導線22aを60ターン巻回したものを用いた。導線22a、22bに供給する第1交流電流は、周波数100Hzで、電流値200mAとした。さらに、導線22a、22bに供給する第2交流電流は、周波数20kHzで、電流値200mAとした。
さらに、本実施例において、検出手段3としては、直径5mmでターン数100の平面コイルを用いた。
以上の条件で探傷試験を行った。
図7は、実施例2の試験結果を示す図である。図7(a)は軸方向きずを探傷した結果を、図7(b)は15°方向きずを探傷した結果を、図7(c)は45°方向きずを探傷した結果を、図7(d)は75°方向きずを探傷した結果を示す。図7に示す波形は、検出手段3から出力された探傷信号に基づき、演算制御手段4’で作成・表示されるリサージュ波形である。演算制御手段4’は、第2回転磁化手段(タンジェンシャルコイル)2’に供給される第2交流電流(高周波)を参照信号として探傷信号を同期検波した後、第2回転磁化手段(タンジェンシャルコイル)に供給される第1交流電流を参照信号として同期検波する(この同期検波したものをX信号とする)と共に、前記参照信号(第1交流電流)の位相を90°遅らせて探傷信号を同期検波する(この同期検波したものをY信号とする)。そして、演算制御手段4’は、X信号をX軸成分とし、Y信号をY軸成分として、XY座標系の2次元平面上に信号をベクトル表示する。このベクトル表示された信号波形がリサージュ波形である。
図7に示すように、実施例2の磁気探傷装置100’によれば、管Pに存在する種々の方向に延びるきずを精度良く検出可能であることが分かる。
1・・・第1磁化手段
1’・・・第1回転磁化手段
2・・・第2磁化手段
2’・・・第2回転磁化手段
3・・・検出手段
4,4’・・・演算制御手段
20,20’・・・探傷プローブ
100,100’・・・磁気探傷装置
F・・・きず
P・・・管(被探傷材)

Claims (2)

  1. 被探傷材に対して、交流電流を励磁電流として用いることで励磁される回転バイアス磁界を作用させると共に、前記交流電流と同一周波数の第1交流電流と該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流とを重畳した重畳交流電流を励磁電流として用いることで励磁され、前記回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させ、これによって生ずる漏洩磁束に基づいてきずを検出することを特徴とする磁気探傷方法。
  2. 被探傷材に対して、交流電流を励磁電流として用いることで励磁される回転バイアス磁界を作用させる第1回転磁化手段と、
    被探傷材に対して、前記交流電流と同一周波数の第1交流電流と該第1交流電流よりも高周波の第2交流電流とを重畳した重畳交流電流を励磁電流として用いることで励磁され、前記回転バイアス磁界と位相が90°ずれた回転交流磁界を作用させる第2回転磁化手段と、
    前記第1回転磁化手段及び前記第2回転磁化手段で被探傷材を磁化することによって生ずる漏洩磁束を検出する検出手段と、
    を備えることを特徴とする磁気探傷装置。
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