JPS581608Y2 - 内燃機関のピストンピンメタル給油装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ノズルから、噴射される潤滑油によってピ
ストン冷却を行うようにした内燃機関のピストンメタル
に関する給油装置の改良に係り、該メタルに対する潤滑
油の供給を、連接棒に給油路を形成する等の面倒を要す
ることなく、容易確実に行なわしめんとするものである
。

ところで、ピストンピンと連接棒小端部との間に介在さ
せられたピストンピンメタルを潤滑するためには、ピス
トンの下方から潤滑油をはね掛けたり、或は連接棒内部
に形成した給油路を通じて潤滑油を圧送したりしている
が、前者の手段では、給油量に不足を来たして充分な潤
滑が行なえず、後者の手段では、連接棒内部への給油路
の形成に面倒な手数を要してコスト高を招く、といった
ような欠点がみられる。

一方、ピストンを冷却するためには、ピストン下方のシ
リンダライナー下端附近にノズルを設置し、該ノズルか
らピストンに向かって潤滑油を噴出させ、これをピスト
ン上半部の内部空間へ導き入れて、該ピストンの冷却に
供せしめる、という方法が採られることもある。

そこで、上記したピストンの冷却に供される潤滑油を利
用して、これをピストンピンメタルに導けば、前記した
欠点を伴なうことなしに、該メタルの潤滑状態を良好な
らしめ得る筈である。

本考案は、かかる考えに基づいて、ノズルから噴射され
る潤滑油によってピストン冷却を行うようにした内燃機
関にトいて、ピストンピンメタルに対する給油を連接棒
に給油路を形成する等の面倒を要せず且つ確実に行なわ
しめるため、上記ノズルによってピストン上半部の内部
空間へ供給された冷却用潤滑油を、いったんピストンピ
ンの内部空間へ貯溜せしめ、ピストンの衝撃的な往復運
動を利用して、上記後者の内部空間から連接棒小端部に
おけるピストンピンメタルへの給油を行なわせようとす
るものであり、特に本考案の実施例においては、ピスト
ンピンの内部空間からヒストンピンメタルへの給油孔を
該ピンの上部に形成することにより、機関の停止中にお
いても上記内部空間に潤滑油を保持するようにして、次
回の始動時に直ちにメタルに対する給油が行われるよう
に図られている。

以下これを図面に示す実施例について詳述する。

図に於て１はシリンダフレーム、２はシリンダライナー
、３はピストンである。

４は連接棒であって、これの小端部５は、ピストン３に
挿通され且つ該ピストン側へ固定されたピストンピン６
によって、そのピストン３に連接されても・す、７は小
端部５の内周面とピストンピン６の外周面との嵌合部に
あって該小端部側へ固定されたピストンピンメタルであ
る。

８はピストン３の上半部に形成された冷却用潤滑油を導
入するための冷却用内部空間であって、導入路９を介し
て該ピストンの下方に向は開口されており、１０は上記
導入路９の下方開口端に向かって潤滑油を噴射させるた
めのノズルで、ピストン３の下方におけるシリンダライ
ナー２の下端附近に設置されている。

１１はパイプ状なるピストンピン６の両端を閉止板１２
で閉塞せしめて形成された油溜め用の内部空間であって
、該ピンとピストンの嵌合部に形成された通路１３，１
４を介して前記ピストンの内部空間８と連通させられ、
更に該空間１１はピストンピン６における連接棒小端部
５との嵌合部に設けた給油孔１５を介して、ピストンピ
ンメタル７の摺動面、即ちピストンピン６の外周面へ摺
接する該メタルの内周面に連通させられている。

なお・、上記した給油孔１５は、ピストンピンメタル７
に向っている限り、どの方向に設けられていても良いが
、図示の実施例においてはピストンピン６の−Ｌ部に上
向きとして形成され、機関の停止中にむ−ても内部空間
１１内に潤滑油を貯留状態に保持し得るようになされて
いる。

上記した構成に於て、い捷ノズル１０から導入路９お下
方開口端に向け、潤滑油が噴射されるものとすれば、そ
の潤滑油は導入路９を経てピストン上半部の冷却用内部
空間８に入り、該ピストンを冷却する。

このようにして冷却に供された潤滑油は、次いで通路１
３．１４を経て、ピストンビニ／６の油溜め用内部空間
１１へ流入し、該空間内へ一時的に貯溜される。

この貯溜された潤滑油は、ピストン３の往復運動、特に
運動方向の急激な反転に伴なう慣性力の作用によって、
給油孔１５へ進出し、ピストンピンメタル７の摺動面、
即ち該メタルの内周面とピストンピン６の外周面との間
へ供給される。

然して上記したような給油孔１５への給油は、ピストン
１３の１往復毎に少なくとも１回の割合で行なわれるこ
とになり、図例の場合には、上昇から下降へ転じるとき
が給油時点となる。

従ってピストンピンメタル７への給？由は、ピストン３
の動作に応じて半強制的に行なわれ、不足を来たすこと
がない。

更に該実施例においては給油孔１５がピストンピン６の
」一部に上向きとして形成され、機関停止中においても
ピストンピンの内部空間１１内に保持されるようになさ
れているから、次回の始動時にピストンピンメタル７に
対する給油が直ちに開始されることになるのである。

以上の如く、本考案はノズルから噴射される潤滑油をピ
ストン上半部の内部空間へ供給することにより該ピスト
ンの冷却を行うようにした内燃機関において、該空間に
供給された潤滑油を更にピストンピンに設けた油溜め用
の内部空間へ導き、ここからピストンピンメタルの摺動
面へ、ピストンの衝撃的な往復運動を利用して供給させ
ようとするものであるから、このような本考案によれは
、ピストンピンメタルに対する充分な給油を容易且つ確
実に行なわしめ得ると共に、下方からノズルによって噴
射供給される冷却用潤滑油を利用するものであるため、
連接棒の内部に給油路を設ける必要がなく、これの加工
に要する手数を省き得て容易に実施できる特の効果を奏
するのであり、特に上記ピストンピンの内部空間からピ
ストンピンメタルの摺動面への給油孔を該ピンの上部に
上向きとして形成すれば、機関の停止沖においてもピス
トンピンの内部空間に潤滑油か保持され、次回の始動時
に上記メタルに対する給油が直ちに開始されることにな
って、始動直後にむける該メタルの焼付き事故が効果的
に防止されることになるのである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示す縦断面図である。 ２・・・シリンダライナー、３・・・ピストン、４・・
・連接棒、５・・・小端部、６・・・ピストンピン、７
・・・ピストンピンメタル、８・・・冷却用内部空間、
９・・・導入路・ １０・・・ノズル、１１・・・油溜
め用内部空間、１３．１４・・・通路、１５・・・給油
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン上半部の冷却用内部空間が導入路を介してピス
   トンの下方へ開口され、潤滑油を噴射するノズルがシリ
   ンダライナーの下端附近から上記導入路の下方開口端に
   向は臨１せられている内燃機関に於て、ピストンピンに
   油溜め用内部空間を設け、該ピンとピストンの嵌合部に
   上記冷却用内部空間から該油溜め用内部空間に潤滑油を
   導入させる通路を形成すると共に、更に該ピンに釦ける
   連接棒小端部との嵌合部に油溜め用内部空間内の潤滑油
   をピストンの往復運動によってピストンメタルの摺動面
   に供給するための給油孔を、ピストンピンの上部へ上向
   きに形成したことを特徴とする内燃機関のピストンピン
   メタル給油装置。