JPH1199919A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JPH1199919A
JPH1199919A JP26732997A JP26732997A JPH1199919A JP H1199919 A JPH1199919 A JP H1199919A JP 26732997 A JP26732997 A JP 26732997A JP 26732997 A JP26732997 A JP 26732997A JP H1199919 A JPH1199919 A JP H1199919A
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JP
Japan
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hydraulic pressure
fluid pressure
brake fluid
brake
pressure
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JP26732997A
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Touma Yamaguchi
東馬 山口
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Tokico Ltd
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Tokico Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキ液圧によって変化するスプール弁の
動作特性に応じたブレーキ液圧制御を可能とし、低圧か
ら高圧までのすべてのブレーキ液圧領域において応答性
と安定性とを両立させた適切なブレーキ液圧制御を行
う。 【解決手段】 ブレーキペダル1の操作に応じた目標液
圧Poに基づいてコントローラ6が目標電流Ioを生成
し、ブレーキホイールシリンダ10へ供給するブレーキ
液圧を制御する。このブレーキ液圧の制御において、目
標電流Ioを生成する制御系の各比例要素の制御ゲイン
Fp、Fd、Dp、Di、Ddにつき、各ブレーキ液圧に対
する最適な設定値を求め、それに基づく制御ゲインを表
す複数の直線のパラメータを記憶しておく。そして、ブ
レーキ液圧センサ11からフィードバックされたブレー
キ液圧Pwcに対する最適な制御ゲインを前記パラメータ
から算出して目標液圧Poとブレーキ液圧Pwcに応じた
目標電流Ioを生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
設けられるブレーキ液圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等に搭載される電子式制動力制御
システムの液圧制御機構は、各車輪について設けられた
スプール弁と比例ソレノイドで構成されており、これら
によって供給されるブレーキ液圧によりブレーキホイー
ルシリンダが制動力を発生させる。このような電子式制
動力制御システムにおいては、ブレーキホイールシリン
ダにブレーキ液圧を検出する液圧センサを設け、その検
出液圧値と運転者の操作に応じた目標液圧値とを用いた
FF−PID制御(Feedforward-Proportional Integra
l and Differential 制御)によってブレーキ液圧を制
御している。
【0003】かかるFF−PID制御を行う従来の制御
系のブロック線図を図12に示す。図示のように、FF
−PIDの制御系は、安定性のためのフィードバック系
50に応答性を向上させるフィードフォワード系51を
付加したものとなっている。
【0004】この図において、フィードバック系50
は、比例要素50A、50B、50C、積分要素50D
及び微分要素50Eによって構成されており、比例要素
50Aが目標液圧Poとブレーキ液圧Pwcとの偏差Eに
制御ゲインDpを乗じた比例成分を出力し、比例要素5
0Bが積分要素50Dの出力に制御ゲインDiを乗じた
積分成分を出力し、比例要素50Cが微分要素50Eの
出力に制御ゲインDdを乗じた微分成分を出力する。フ
ィードフォワード系51は、比例要素51A、51B及
び微分要素51Cによって構成されており、比例要素5
1Aが目標液圧Poに制御ゲインFpを乗じた比例成分を
出力し、比例要素51Bが微分要素51Cの出力に制御
ゲインFdを乗じた微分成分を出力する。
【0005】52は入力された指示液圧PcにゲインKp
を乗じ、目標電流Ioに換算して出力する係数器であ
る。53はスプール弁と比例ソレノイドで構成された伝
達関数Gp(s)の制御対象(液圧制御機構)であり、
供給された目標電流Ioに応じたブレーキ液圧Pwcをブ
レーキホイールシリンダ(図示略)へ供給する。尚、特
に図示はしないが、ブレーキホイールシリンダには、こ
のブレーキ液圧Pwcを検出する液圧センサが設けられて
いる。
【0006】このような構成において、フィードバック
系50とフィードフォワード系51の各比例要素から出
力された各成分が加算されて指示液圧Pcとなり、これ
を係数器52が目標電流Ioに換算して出力し、制御対
象53を制御する。これにより、制御対象53は、目標
電流Ioによって定まるブレーキ液圧Pwcをブレーキホ
イールシリンダへ供給し、制動力を発生させる。又、こ
のとき供給されたブレーキ液圧Pwcは液圧センサによっ
て検出され、図示のようにフィードバックされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のブレーキ液圧制御においては、任意のブレーキ液圧
でのスプール弁の動作特性等により、FF−PID制御
における各制御ゲイン(Fp、Fd、Dp、Di、Dd)を
概ね良好となる値に予め設定しておくこととされてい
る。例えば、ブレーキ液圧が3MPa〜5MPaの範囲
において、図13に示すように、目標液圧Poにブレー
キ液圧Pwcが正しく追従して適切な制御がなされるよう
に予め各制御ゲインを調整する。そして、その調整後の
各制御ゲインを低圧から高圧までのすべてのブレーキ液
圧の範囲で用いることとし、これにより、応答性と安定
性とを両立させるようにしている。
【0008】しかし、ブレーキ液圧によってブレーキ液
の液量が変化することから、スプール弁の動作特性はブ
レーキ液圧によって大きく変化する。この様子を図14
に示す。図14は、ブレーキ液圧が低圧(例えば0MP
a〜2MPa)、中圧(例えば3MPa〜5MPa)、
高圧(例えば8MPa〜10MPa)のそれぞれの時に
ついて、目標電流Ioの周波数に対するブレーキ液圧Pw
cの応答特性を示したもので、上段がゲイン、下段が位
相を表している。
【0009】この図に示すように、まず、上段のゲイン
については、ブレーキ液圧が低くなると高周波(但し、
ここでは20Hz程度)に対するゲインが急減し、高周
波領域では同一周波数でもブレーキ液圧が高い時の方が
ゲインが大きい。又、下段の位相については、ブレーキ
液圧が低いほど遅れが大きく、高周波に対する応答が鈍
いことが分かる。
【0010】このようなことから、予め設定した各制御
ゲインをすべてのブレーキ液圧領域で用いる従来のブレ
ーキ液圧制御は、ブレーキ液圧が0MPa〜2MPa程
度の低圧領域にある時には図15に示すように応答性が
低下し、8MPa〜10MPa程度の高圧領域にある時
には図16に示すように安定性が低下するという問題を
有していた。
【0011】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、ブレーキ液圧によって変化するスプール弁の動
作特性に応じたブレーキ液圧制御を可能とし、低圧から
高圧までのすべてのブレーキ液圧領域において応答性と
安定性とを両立させた適切なブレーキ液圧制御を行うこ
とができるブレーキ液圧制御装置を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
運転者が操作するブレーキ操作手段と、液圧源と、前記
液圧源から供給されたブレーキ液圧によって制動力を発
生させる制動手段とを有し、前記ブレーキ操作手段の操
作状態に応じて前記液圧源から前記制動手段へ供給する
ブレーキ液圧を制御するブレーキ液圧制御装置におい
て、前記液圧源と前記制動手段との間に設けられ、前記
液圧源からの入力液圧を所定の出力液圧として前記制動
手段へ供給する液圧制御弁と、前記制動手段におけるブ
レーキ液圧を検出する検出手段と、複数の演算要素によ
り、前記ブレーキ操作手段の操作状態に応じた目標液圧
と、前記検出手段によって検出されたブレーキ液圧とに
基づいて前記出力液圧を制御する指示信号を生成する演
算手段とを有し、前記演算手段は、前記複数の演算要素
の各係数値を前記検出されたブレーキ液圧に対して適し
た値として前記指示信号を生成することを特徴としてい
る。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載のブ
レーキ液圧制御装置において、前記演算手段は、各ブレ
ーキ液圧に対する前記各係数値の適した値を決定する情
報を予め記憶し、該情報と前記検出されたブレーキ液圧
とに基づいて前記各係数値を適した値とすることを特徴
としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
<構成> (1)全体構成 以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説
明する。図1は、本発明の一実施形態によるブレーキ液
圧制御装置の全体構成を示す図である。本ブレーキ液圧
制御装置は自動車等の車両に設けられているものである
が、この図では当該車両のブレーキ液圧制御に関連する
構成のみを示し、他の構成要素は省略してある。尚、図
中の実線は液圧を伝達するブレーキ液が充填された配管
を、破線は電気信号を伝達する信号線を示している。
【0015】図1において、1は当該車両の運転者が操
作するブレーキペダルである。2はマスタシリンダであ
り、運転者によるブレーキペダル1の踏み込みに応じた
ブレーキ液圧を発生させる。このマスタシリンダ2にて
発生されたブレーキ液圧は、マスタシリンダ液圧センサ
3、ストロークシミュレータソレノイド弁4及びフェイ
ルセーフソレノイド弁5へそれぞれ伝達される。
【0016】マスタシリンダ液圧センサ3は、上記マス
タシリンダ2にて発生されたブレーキ液圧を検出し、こ
れを電気信号に変換してコントローラ6へ供給する。
【0017】ストロークシミュレータソレノイド弁4
は、コントローラ6からの駆動信号によって液圧伝達の
形態が切り換わる弁である。図では駆動信号が供給され
ていないときの状態が示されており、このときストロー
クシミュレータソレノイド弁4は閉鎖されている。これ
に対し、駆動信号が供給されているときには、図中上側
の双方向流路に切り換わり、後段のストロークシミュレ
ータ7との間を開放する。ここで、ストロークシミュレ
ータ7は、例えば、伝達されてきたブレーキ液圧に応じ
て容積変化するアキュムレータによって構成されてお
り、ブレーキペダル1の踏み込みに応じた踏みごたえを
運転者に与える。尚、この開放状態から駆動信号の供給
が断たれると、ストロークシミュレータソレノイド弁4
はスプリングばねによって図示の状態に復帰する。
【0018】フェイルセーフソレノイド弁5は、マスタ
シリンダ2、ブレーキ液圧源8及び液圧制御弁9等から
なる液圧発生部と、ブレーキホイールシリンダ10との
間に設けられた弁であり、コントローラ6からの駆動信
号によってマスタシリンダ2又は液圧制御弁9からのブ
レーキ液圧のいずれかをブレーキホイールシリンダ10
へ伝達する。図では駆動信号が供給されていないときの
状態が示されており、このときはマスタシリンダ2とブ
レーキホイールシリンダ10との間が開放され、液圧制
御弁9側は閉鎖されている。これに対し、駆動信号が供
給されているときには、図中上側の流路に切り換わり、
液圧制御弁9とブレーキホイールシリンダ10との間が
開放され、マスタシリンダ2側は閉鎖される。尚、この
状態から駆動信号の供給が断たれると、フェイルセーフ
ソレノイド弁5はスプリングばねによって図示の状態に
復帰する。
【0019】また、ブレーキペダル1には、その踏み込
み/踏み込み解除で閉/開され、運転者によるブレーキ
ペダル1の操作の有無を検出するブレーキスイッチ1a
が設けられている。
【0020】コントローラ6は、所定の演算手段や記憶
手段等によって構成された制御手段であり、マスタシリ
ンダ液圧センサ3から供給されるブレーキ液圧検出値等
に基づき、ストロークシミュレータソレノイド弁4、フ
ェイルセーフソレノイド弁5、ブレーキ液圧源8及び液
圧制御弁9の動作を制御する。このコントローラ6によ
る動作制御の内容は、他の構成要素の説明及び後述する
本ブレーキ液圧制御装置の動作説明にて明らかにする。
【0021】ブレーキ液圧源8は、モータ8a、ポンプ
8b、リザーバ8c、アキュムレータ8d、アキュムレ
ータ液圧センサ8e及びアキュムレータソレノイド弁8
fによって構成されている。以下、これらの各構成要素
について説明する。
【0022】モータ8aは、ポンプ8bを駆動させるモ
ータであり、コントローラ6によって駆動が制御され
る。ポンプ8bは、リザーバ8cからブレーキ液を汲み
上げ、アキュムレータ8d側へ供給するポンプである。
リザーバ8cは、ブレーキ液を蓄えておくものである。
アキュムレータ8dは、ポンプ8bから吐出されるブレ
ーキ液を蓄圧して一定のブレーキ液圧を発生させる。ア
キュムレータ液圧センサ8eは、アキュムレータ8dに
て発生されたブレーキ液圧を検出し、電気信号に変換し
てコントローラ6へ供給する。
【0023】アキュムレータソレノイド弁8fは、コン
トローラ6からの駆動信号によって液圧伝達の形態が切
り換わる弁であり、駆動信号が供給されていないときは
閉鎖されている(図示の状態)。これに対し、駆動信号
が供給されているときには、図中右側の双方向流路に切
り換わり、アキュムレータ8dにて発生されたブレーキ
液圧を後述の液圧制御弁9へ供給する。尚、この状態か
ら駆動信号の供給が断たれると、スプリングばねによっ
て図示の状態に復帰する。
【0024】このような構成により、ブレーキ液圧源8
は、液圧制御弁9へ一定範囲のブレーキ液圧を供給す
る。すなわち、アキュムレータ8bに畜圧されているブ
レーキ液の液圧が予め定められた下限値よりも低下する
と、それがアキュムレータ液圧センサ8eによって検出
され、コントローラ6はその低下したブレーキ液圧の検
出値を受けてモータ8aを駆動する。これにより、ポン
プ8bを駆動してアキュムレータ8dにブレーキ液を蓄
圧し、低下したブレーキ液圧を上昇させる。このブレー
キ液圧を上昇させる動作は、アキュムレータ液圧検出セ
ンサ8eによる検出値がアキュムレータ8dにおける蓄
圧が完了したときの値としての予め定めれられた上限値
となるまで、コントローラ6がモータ8aを駆動するこ
とによって行われる。
【0025】一方、液圧制御弁9は、比例ソレノイドと
スプールとを備えてなる。以下、この液圧制御弁9につ
いて説明する。
【0026】液圧制御弁9は、一端側が底部となり、有
底円筒状のスリーブ9aに設けられた段付案内穴9bの
小径部9b1および大径部9b2内に、それぞれ小径スプ
ール9c1(受圧面積A)および大径スプール9c2(受
圧面積B>A)が摺動可能に嵌装され、互いに当接され
て一体となっており、スリーブ9aの開口部には比例ソ
レノイド9dが取付けられている。そして、小径スプー
ル9c1と比例ソレノイド9dとの間には液圧室91が
形成され、大径スプール9c2と段付案内穴9bの底部
との間には制御室92が形成され、また段付案内穴9b
の段部と大径スプール9c2との間にはドレン室93が
形成されている。
【0027】スリーブ9aには、液圧室91に連通する
入力ポート9p1および出力ポート9p2、制御室92に
連通する排出ポート9p3および制御ポート9p4、並び
に、ドレン室93に連通するドレンポート9p5が設け
られている。
【0028】そして、入力ポート9p1はアキュムレー
タソレノイド弁8fを介してブレーキ液圧源8のアキュ
ムレータ8fに接続され、出力ポート9p2は、フェイ
ルセーフソレノイド弁5を介してブレーキホイールシリ
ンダ10に接続されている。また、制御ポート9p
4は、制御管路9eを介して出力ポート9p2に連通さ
れ、排出ポート9p3およびドレンポート9p5はブレー
キ液圧源8のリザーバ8cに接続されている。
【0029】これにより、小径スプール9c1によっ
て、入力ポート9p1から液圧室91への流路面積を調
整する可変絞りsが形成され、大径スプール9c2によ
って制御室92から排出ポート9p3への流路面積を調
整する可変絞りtが形成されている。そして、小径スプ
ール9c1および大径スプール9c2がスリーブ9a内を
その底部側へ移動すると、可変絞りsが開くとともに可
変絞りtが閉じ、スリーブ9a内を開口側へ移動する
と、可変絞りsが閉じるとともに可変絞りtが開くよう
になっている。小径スプール9c1および大径スプール
9c2は、大径スプール9c2とスリーブ9aの底部との
間に設けられた戻しばね9fによって、スリーブ9a内
で開口側へ付勢されている。
【0030】比例ソレノイド9dは、その作動ロッド9
gの後端部が補助ばね9hによって小径スプール9c1
の端部に当接されており、作動ロッド9gの変位にかか
わらず、コイル9iへの目標電流(後述)に比例した推
力で、小径スプール9c1および大径スプール9c2を押
圧して、戻しばね9fの付勢力に抗してスリーブ9a内
をその底部側へ移動させるようになっている。
【0031】他方、ブレーキホイールシリンダ10は、
フェイルセーフソレノイド弁5を介して供給されたブレ
ーキ液圧により制動力を発生させ、この制動力により車
輪の回転を減速させる。11はブレーキホイールシリン
ダ10における供給されているブレーキ液圧を検出する
ブレーキ液圧センサであり、検出したブレーキ液圧を電
気信号に変換してコントローラ6へ供給する。12は車
輪の回転速度を検出する車輪速センサであり、検出した
回転速度を電気信号に変換してコントローラ6へ供給す
る。
【0032】(2)制御系 続いて、上記構成におけるブレーキ液圧制御の制御系に
ついて説明する。本ブレーキ液圧制御装置においては、
マスタシリンダ液圧センサ3によって検出されたマスタ
シリンダ液圧から算出される目標液圧Poと、ブレーキ
液圧センサ11によって検出されたブレーキ液圧Pwcと
を用い、FF−PID制御によってブレーキ液圧を制御
する。
【0033】かかるFF−PID制御を行う本ブレーキ
液圧制御装置における制御系のブロック線図を図2に示
す。本制御系は、コントローラ6内の演算手段や記憶手
段等によって構成されるもので、図示のように、安定性
のためのフィードバック系20に応答性を向上させるフ
ィードフォワード系21を付加した構成となっている。
尚、図中の各比例要素20A、20B、20C、21
A、21Bへブレーキ液圧Pwcがフィードバックされて
いるが、これは、ブレーキ液圧Pwcが各比例要素への直
接の入力信号とされることを意味するものではない。
【0034】この図において、フィードバック系20
は、減算器20a、比例要素20A、20B、20C、
積分要素20D、微分要素20E、加算器20b及び2
0cによって構成されている。フィードバック系20へ
は、入力信号として目標液圧Poが、フィードバック信
号としてブレーキ液圧Pwcが供給され、これらが減算器
20aへ入力されて偏差Eが生成される。
【0035】比例要素20Aは、偏差Eに制御ゲインD
pを乗じた比例成分を加算器20cへ出力する要素であ
り、フィードバックされたブレーキ液圧Pwcによって制
御ゲインDpを変化させることができるものとなってい
る。
【0036】積分要素20Dは、偏差Eを積分して積分
成分を生成し、比例要素20Bへ出力する。比例要素2
0Bは、偏差Eの積分成分の大きさを調整する要素であ
り、積分要素20Dから出力された積分成分に制御ゲイ
ンDiを乗じて加算器20bへ出力する。この比例要素
20Bは、フィードバックされたブレーキ液圧Pwcによ
って制御ゲインDiを変化させることができるものとな
っている。
【0037】微分要素20Eは、偏差Eを微分して微分
成分を生成し、比例要素20Cへ出力する。比例要素2
0Cは、偏差Eの微分成分の大きさを調整する要素であ
り、微分要素20Eから出力された微分成分に制御ゲイ
ンDdを乗じて加算器20bへ出力する。この比例要素
20Cは、フィードバックされたブレーキ液圧Pwcによ
って制御ゲインDdを変化させることができるものとな
っている。
【0038】加算器20bは、比例要素20Bから出力
された積分成分と比例要素20Cから出力された微分成
分とを加算して加算器20cへ出力する。加算器20c
は、比例要素20Aの出力と加算器20bの出力、すな
わち、フィードバック系20内で生成された比例成分、
積分成分及び微分成分を受けると共に、フィードフォワ
ード系21からの出力を受け、これらをすべて加算して
指示液圧Pcを生成し、係数器22へ出力する。
【0039】フィードフォワード系21は、比例要素2
1A、21B、微分要素21C及び加算器21aによっ
て構成されている。フィードフォワード系21へは、入
力信号として目標液圧Poが供給され、これが比例要素
21A、微分要素21Cへそれぞれ入力される。
【0040】比例要素21Aは、目標液圧Poに制御ゲ
インFpを乗じた比例成分を加算器21aへ出力する要
素であり、フィードバックされたブレーキ液圧Pwcによ
って制御ゲインFpを変化させることができるものとな
っている。
【0041】微分要素21Cは、目標液圧Poを微分し
て微分成分を生成し、比例要素21Bへ出力する。比例
要素21Bは、目標液圧Poの微分成分の大きさを調整
する要素であり、微分要素21Cから出力された微分成
分に制御ゲインFdを乗じて加算器21aへ出力する。
この比例要素21Bは、フィードバックされたブレーキ
液圧Pwcによって制御ゲインFdを変化させることがで
きるものとなっている。
【0042】22は入力された指示液圧PcにゲインKp
を乗じ、目標電流Ioに換算して出力する係数器であ
る。23は制御対象の伝達関数Gp(s)であり、上記
液圧制御弁9に相当し、供給された目標電流Ioに応じ
たブレーキ液圧Pwcをブレーキホイールシリンダ10へ
供給する。
【0043】このような構成において、フィードバック
系20とフィードフォワード系21の各比例要素から出
力された各成分が加算されて指示液圧Pcとなり、これ
を係数器22が目標電流Ioに換算して出力し、制御対
象23を制御する。これにより、制御対象(伝達関数G
p(s))23は、目標電流Ioによって定まるブレーキ
液圧Pwcをブレーキホイールシリンダ10へ供給し、制
動力を発生させる。又、このとき供給されたブレーキ液
圧Pwcがブレーキ液圧センサ11によって検出され、図
示のようにフィードバックされる。
【0044】ここで、上述した制御系における各比例要
素の制御ゲインFp、Fd、Dp、Di、Ddについて説明
する。上述したように、スプール弁の動作特性がブレー
キ液圧によって異なることから、各制御ゲインもブレー
キ液圧によって最適な値が異なる。そこで、それぞれの
液圧値(ブレーキ液圧の大きさ)に対する最適な制御ゲ
インを求める。
【0045】この最適な制御ゲインを求めるには、例え
ば、予めスプール弁の動作特性(図14参照)を計測
し、それに基づいて応答性・安定性を判定することによ
り各制御ゲインを求めることとしたり、目標液圧Poを
変化させて図10、11、13に示したようにブレーキ
液圧Pwcが目標液圧Poに正しく追従するように調整し
た各制御ゲインの設定値を当該液圧に対する最適な制御
ゲインとしたりして求める。
【0046】このようにして各液圧値毎に求めた最適な
各制御ゲインの設定値例を図3に示す。この図は、ブレ
ーキ液圧を1MPa〜13MPaの範囲で変化させ、そ
の範囲内の各整数液圧値毎に、各制御ゲインFp、Fd、
Dp、Di、Ddの最適な設定値を求めた場合の結果を示
している。
【0047】更に、各制御ゲインについて、各液圧値に
対する図3の設定値をプロットすると図4に示すように
なる。図4中の各グラフにおいては、設定値が○印で表
されており、それらの設定値に基づいて求めた最適な制
御ゲインを近似した複数の直線の連結を太線で表してあ
る。これらのグラフが示すように、最適な制御ゲイン
は、おおよそ低圧領域で比較的急に下降し、中圧領域で
ほぼ平坦となり、高圧領域で緩やかに下降する、といっ
た変化をすることが分かる。
【0048】このようなことから、本実施形態において
は、各制御ゲインを図5に示すような〜の8つのパ
ラメータによって表される連続する複数の直線で近似
し、これに基づいて各ブレーキ液圧Pwcに対する制御ゲ
インを算出してブレーキ液圧制御に用いる。ここに、制
御ゲインを表す連続する複数の直線は、図示のように低
圧領域、中圧領域、高圧領域における制御ゲインをそれ
ぞれ近似した3つの直線を連結したものとなっており、
図中〜の各パラメータがそれぞれ次のものを表して
いる。
【0049】;ブレーキ液圧の低圧領域と中圧領域の
境界とするしきい値(以下、「しきい値1」という)で
あり、ブレーキ液圧Pwcがこのしきい値1に満たないと
きには低圧と判断する。 ;ブレーキ液圧の中圧領域と高圧領域の境界とするし
きい値(以下、「しきい値2」という)であり、ブレー
キ液圧Pwcがこのしきい値2を超えるときには高圧と判
断する。
【0050】;低圧領域における近似制御ゲイン直線
の傾き(以下、「低圧用傾き」という)である。 ;低圧領域における近似制御ゲイン直線の切片(以
下、「低圧用切片」という)である。 これら低圧用傾き及び低圧用切片により、ブレーキ液圧
Pwcがしきい値1に満たないときの制御ゲインを算出す
る。
【0051】;中圧領域における近似制御ゲイン直線
の傾き(以下、「中圧用傾き」という)である。 ;中圧領域における近似制御ゲイン直線の切片(以
下、「中圧用切片」という)である。 これら中圧用傾き及び中圧用切片により、ブレーキ液圧
Pwcがしきい値1以上でしきい値2以下のときの制御ゲ
インを算出する。
【0052】;高圧領域における近似制御ゲイン直線
の傾き(以下、「高圧用傾き」という)である。 ;高圧領域における近似制御ゲイン直線の切片(以
下、「高圧用切片」という)である。 これら高圧用傾き及び高圧用切片により、ブレーキ液圧
Pwcがしきい値2を超えるときの制御ゲインを算出す
る。
【0053】以上の〜のパラメータを図4のグラフ
に基づいて各制御ゲインについて設定し、コントローラ
6内の記憶手段に記憶する。図6に同記憶手段に記憶さ
れたパラメータのメモリマップを示す。この図に示すよ
うに、Fp用、Fd用、Dp用、Di用、Dd用として各制
御ゲイン毎に設定したパラメータをそれぞれ記憶してお
く。
【0054】<動作> (1)全体動作 次に、上記構成による動作について説明する。初めに、
運転者によるブレーキペダル1の操作に応じたコントロ
ーラ6が行うブレーキ液圧制御装置の基本制御による全
体的な動作について説明する。
【0055】まず、ブレーキペダル1が踏み込まれる
と、ブレーキスイッチ1aがこれを検出し、コントロー
ラ6からストロークシミュレータソレノイド弁4、フェ
イルセーフソレノイド弁5およびアキュムレータソレノ
イド弁8fへそれぞれ駆動信号が供給される。また、マ
スタシリンダ2では、ブレーキペダル1の踏み込みに応
じた液圧が発生し、これをマスタシリンダ液圧センサ3
が検出してコントローラ6へ供給する。
【0056】これにより、コントローラ6は、その供給
されたブレーキ液圧検出値の信号に基づき、ブレーキペ
ダル1の踏み込み方に対応した各車輪のブレーキホイー
ルシリンダ10へ供給すべきブレーキ液圧(目標液圧P
o)を計算する。次いで、この計算した目標液圧Poと、
ブレーキ液圧センサ11によって検出されてフィードバ
ックされたブレーキ液圧Pwcとに基づき、上記制御系に
よって液圧制御弁9の比例ソレノイド9dへ供給すべき
電流の値を計算し、この電流値の電流を目標電流Ioと
して比例ソレノイド9dへ供給する。なお、この目標電
流Ioを生成する処理動作については後述する。
【0057】これにより、比例ソレノイド9dは、供給
された目標電流値分の推力を発生させ、小径スプール9
1および大径スプール9c2を押してスリーブ9a内を
その底部側へ移動させる。すると、可変絞りsが開くと
ともに可変絞りtが閉じ、入力ポート9p1を介してア
キュムレータ8dにおける高圧のブレーキ液が液圧室9
1に流入し、そして出力ポート9p2からフェイルセー
フソレノイド弁5を通ってブレーキホイールシリンダ1
0へ供給される。
【0058】また、このブレーキホイールシリンダ10
へのブレーキ液の供給と同じくして、ブレーキ液は出力
ポート9p2から制御管路9eおよび制御ポート9p4
介して液圧制御弁9の制御室92にも供給される。この
結果、小径スプール9c1(受圧面積A)と大径スプー
ル9c2(受圧面積B>A)の面積差によって、小径ス
プール9c1および大径スプール9c2はスリーブ9a内
を開口側へ押し戻される。そして、この小径スプール9
1と大径スプール9c2との受圧面積差による押し戻し
力が比例ソレノイド9dの推力とバランスして、小径ス
プール9c1および大径スプール9c2が可変絞りsおよ
び可変絞りtを閉じる中間位置となるまで、出力ポート
9p2側のブレーキ液圧が上昇する。
【0059】このようにして供給されたブレーキ液圧に
より、ブレーキホイールシリンダ10では、ブレーキペ
ダル1の踏み込みに応じた制動力が発生され、この制動
力によって車輪の回転が減速される。
【0060】次に、ブレーキペダル1が解放されると、
マスタシリンダ2にて発生されているブレーキ液圧がな
くなり、これもマスタシリンダ液圧センサ3によって検
出されてコントローラ6に供給される。この際、コント
ローラ6は、各車輪のブレーキホイールシリンダ10に
おけるブレーキ液圧を0メガパスカルとするために比例
ソレノイド9dへ供給すべき電流値を求め、この電流値
の電流を目標電流Ioとして比例ソレノイド9dへ供給
する。
【0061】これにより、比例ソレノイド9dは小径ス
プール9c1および大径スプール9c2をスリーブ9a内
底部側へ押す推力を減少させ、小径スプール9c1(受
圧面積A)と大径スプール9c2(受圧面積B>A)の
面積差による反力と戻しばね9fの伸長力によって移動
位置からスリーブ9a内を開口側へ押し戻され、可変絞
りsが閉じるとともに可変絞りtが開いたもとの位置へ
戻る。この可変絞りtが開く結果、制御室92と排出ポ
ート9p3とが連通され、ブレーキ液がブレーキホイー
ルシリンダ10側から制御管路9e、制御ポート9p4
および制御室92を介して排出ポート9p3からブレー
キ液圧源8のリザーバ8cに戻されて、ブレーキホイー
ルシリンダ10におけるブレーキ液圧がなくなって制動
力が解除される。
【0062】そして、ブレーキ液圧がなくなったのがブ
レーキ液圧センサ11によって検出されると、コントロ
ーラ6は、ストロークシミュレータソレノイド弁4、フ
ェイルセーフソレノイド弁5およびアキュムレータソレ
ノイド弁8fへそれぞれ駆動信号の供給を停止する。
【0063】(2)目標電流Ioの生成及びそれによる
ブレーキ液圧制御 次に、上記全体動作における目標電流Ioの生成とそれ
によるブレーキ液圧制御の詳細について説明する。目標
電流Ioは、コントローラ6による処理に基づき、図2
に示した制御系によって以下のようにして生成される。
【0064】図7にコントローラ6による処理の手順を
示す。コントローラ6は、まず、ステップS1におい
て、上述のマスタシリンダ液圧センサ3から供給された
ブレーキ液圧検出値の信号を取り込み、任意の倍力にし
た目標液圧Poを作成、設定する。次いで、ブレーキ液
圧センサ11から供給されているブレーキホイールシリ
ンダ10におけるブレーキ液圧検出値の信号を、フィー
ドバックされたブレーキ液圧Pwcとして取り込む(ステ
ップS2)。
【0065】続いてステップS3へ進み、制御系の各制
御ゲインを設定する処理を行う。この各制御ゲインの設
定は、図8に示すように、制御ゲインFp、Fd、Dp、
Di、Ddの順で各制御ゲイン毎に行う。最初に行われる
ステップS10における制御ゲインFpの設定手順を図9
に示す。
【0066】図9においては、まず、取り込んだブレー
キ液圧Pwcと、Fp用として記憶したしきい値1(図5
及び図6参照)とを比較する(ステップS20)。このと
き、ブレーキ液圧Pwcがしきい値1より小さかったとす
ると、判断結果は“YES”となり、ステップS21へ進
む。
【0067】ステップS21では、傾きa、切片bをそれ
ぞれFp用として記憶した低圧用傾き、低圧用切片とす
る。すなわち、コントローラ6内の演算手段が、記憶手
段から図6に示すFp用の低圧用傾きと低圧用切片とを
読み出し、傾きを表す変数aを当該低圧用傾きとし、切
片を表す変数bを当該低圧用切片とする。
【0068】次いで、ステップS22へ進み、ブレーキ液
圧Pwcに傾きaを乗じ、これに切片bを加えた値を制御
ゲインFpとする。これにより、図9の処理を終了し、
図8に戻ってステップS10からS11へ進む。
【0069】このようにして、ブレーキ液圧Pwcがしき
い値1より小さいとき、すなわち、図5の低圧領域にあ
るときには、同領域におけるパラメータ及びによっ
て表される近似制御ゲイン直線に基づく制御ゲインFp
が算出されて設定されることになる。
【0070】一方、取り込んだブレーキ液圧Pwcがしき
い値1以上であったとすると、図9のステップS20での
判断結果は“NO”となり、ステップS23へ進む。
【0071】ステップS23では、ブレーキ液圧Pwcと、
Fp用として記憶したしきい値2(図5及び図6参照)
とを比較する。今、ブレーキ液圧Pwcがしきい値2以下
であったとすると、ここでの判断結果は“NO”とな
り、ステップS24へ進む。
【0072】ステップS24では、傾きa、切片bをそれ
ぞれFp用として記憶した中圧用傾き、中圧用切片とす
る。すなわち、コントローラ6内の演算手段が、記憶手
段から図6に示すFp用の中圧用傾きと中圧用切片とを
読み出し、傾きを表す変数aを当該中圧用傾きとし、切
片を表す変数bを当該中圧用切片とする。
【0073】次いで、ステップS22へ進み、上記同様に
して制御ゲインFpを算出して図9の処理を終了し、図
8に戻ってステップS10からS11へ進む。
【0074】このようにして、ブレーキ液圧Pwcがしき
い値1以上でしきい値2以下であるとき、すなわち、図
5の中圧領域にあるときには、同領域におけるパラメー
タ及びによって表される近似制御ゲイン直線に基づ
く制御ゲインFpが算出されて設定されることになる。
【0075】又、ステップS23において、ブレーキ液圧
Pwcがしきい値2より大きかったとすると、ステップS
23での判断結果は“YES”となり、ステップS25へ進
む。
【0076】ステップS25では、傾きa、切片bをそれ
ぞれFp用として記憶した高圧用傾き、高圧用切片とす
る。すなわち、コントローラ6内の演算手段が、記憶手
段から図6に示すFp用の高圧用傾きと高圧用切片とを
読み出し、傾きを表す変数aを当該高圧用傾きとし、切
片を表す変数bを当該高圧用切片とする。
【0077】次いで、ステップS22へ進み、上記同様に
して制御ゲインFpを算出して図9の処理を終了し、図
8に戻ってステップS10からS11へ進む。
【0078】このようにして、ブレーキ液圧Pwcがしき
い値2より大きいとき、すなわち、図5の高圧領域にあ
るときには、同領域におけるパラメータ及びによっ
て表される近似制御ゲイン直線に基づく制御ゲインFp
が算出されて設定されることになる。
【0079】次に、図8のステップS11では、上記同様
の手順により、制御ゲインFdの設定が行われる。すな
わち、取り込んだブレーキ液圧Pwcと、Fd用として記
憶したしきい値1、しきい値2とを比較し、その結果に
応じて、Fd用として記憶した低圧用傾き及び低圧用切
片、中圧用傾き及び中圧用切片又は高圧用傾き及び高圧
用切片のいずれかによって制御ゲインFdを算出して設
定する。
【0080】又、続くステップS12、S13、S14におい
ても、それぞれ、Dp用、Di用、Dd用として記憶した
しきい値、傾き及び切片(図6参照)を用い、同様の手
順によって制御ゲインDp、Di、Ddを順次設定する。
そして、すべての制御ゲインを設定した後、図7に戻っ
てステップS3からS4へと進む。
【0081】ステップS4では、上述したようにして設
定された各制御ゲインにより、FF−PID制御を行
う。すなわち、図2に示した制御系において、ステップ
S1で設定した目標液圧Poを入力信号、ステップS2で
取り込んだブレーキ液圧Pwcをフィードバック信号と
し、ステップS3でそれぞれ制御ゲインが設定された各
比例要素により、比例成分、積分成分、微分成分をそれ
ぞれ生成する。そして、それらを加算器20cにて加算
して指示液圧Pcとし、これを係数器22によって目標
電流Ioに換算して制御対象23へ出力する。これによ
り、フィードバックされたブレーキ液圧Pwcに対して最
適な制御ゲインによって生成された目標電流Ioが制御
対象23へ出力されることになる。
【0082】その後、コントローラ6は、図7のステッ
プS5で制御周期分の時間が経過したか否かを判断す
る。ここに、制御周期とは、コントローラ6が目標電流
Ioを生成するための処理(図7の処理)を繰り返す一
定の周期を意味する。従って、ステップS5では、コン
トローラ6は再び目標電流Ioを生成すべき時間がくる
まで待機し、上記ステップS4で出力した目標電流Ioを
出力し続ける。
【0083】このようにしてコントローラ6から目標電
流Ioが比例ソレノイド9dへ出力され、上記全体動作
にて述べたように比例ソレノイド9dが推力を発生させ
て小径スプール9c1及び大径スプール9c2を押し、可
変絞りs及びtの開閉を調整してブレーキホイールシリ
ンダ10へのブレーキ液の供給を制御する。これによ
り、ブレーキホイールシリンダ10におけるブレーキ液
圧が制御され、その制御されたブレーキ液圧によって制
動力が発生される。
【0084】そして、制御周期分の時間が経過すると、
図7のステップS5における判断結果が“YES”とな
り、再びステップS1へ戻って上記同様の処理が行われ
る。又、その後においても制御周期毎に上記同様の処理
が繰り返し行われ、逐次、フィードバックされたブレー
キ液圧Pwcに対して最適な制御ゲインによって生成され
た目標電流Ioによりブレーキ液圧の制御がなされる。
【0085】以上のようにして、本ブレーキ液圧制御装
置では、常に、最適な制御ゲインによるブレーキ液圧制
御がなされることになる。これにより、ブレーキ液圧が
低圧の時には図10、中圧の時には図13、高圧の時に
は図11に示すように、すべてのブレーキ液圧領域でブ
レーキ液圧Pwcが目標液圧Poに正しく追従し、適切な
ブレーキ液圧制御をおこなうことができることになる。
【0086】尚、上記実施形態においては、ブレーキ液
圧に対する最適な制御ゲインを低圧領域、中圧領域、高
圧領域の3領域に分けて3つの直線の結合によって近似
したが、このような形態に限らず、更に液圧領域を細分
化したり、2次曲線や3次曲線等の高次曲線によって近
似したりすることとしてもよい。又、連続的な曲線近似
ではなく、マップ形式で各ブレーキ液圧に対する最適な
制御ゲインを用意しておき、フィードバックされたブレ
ーキ液圧に応じてそれらのうちの最適な制御ゲインを用
いることとしてもよい。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複
数の演算要素により、ブレーキ操作手段の操作状態に応
じた目標液圧と、検出手段によって検出されたブレーキ
液圧とに基づいて液圧制御弁の出力液圧を制御する指示
信号を生成するに際し、演算要素の各係数値を検出され
たブレーキ液圧に対して適した値とすることとしたの
で、ブレーキ液圧によって変化する液圧制御弁の動作特
性に応じたブレーキ液圧制御が可能となる。これによ
り、低圧から高圧までのすべてのブレーキ液圧領域にお
いて、応答性と安定性とを両立させた適切なブレーキ液
圧制御を行うことができるという効果が得られる。
【0088】更に、請求項2記載の発明によれば、各ブ
レーキ液圧に対する各係数値の適した値を決定する情報
を予め記憶し、該情報と検出されたブレーキ液圧とに基
づいて各演算要素の係数値を適した値とすることとした
ので、液圧制御弁の状態を推定して各係数値を設定する
等の適した値を決定するための学習時間等が不要とな
り、応答性をより向上させることができるという効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるブレーキ液圧制御
装置の全体構成を示す図である。
【図2】 同ブレーキ液圧制御装置における制御系のブ
ロック線図である。
【図3】 各液圧値毎に求めた最適な各制御ゲインの設
定値例を示す図である。
【図4】 各制御ゲインの各液圧値に対する図3の設定
値をプロットしたグラフを示す図である。
【図5】 制御ゲインを3直線の結合からなる制御ゲイ
ン曲線で近似する態様を示した図である。
【図6】 同制御ゲイン曲線を表すパラメータをコント
ローラ6内の記憶手段に記憶した場合のメモリマップを
示す図である。
【図7】 ブレーキ液圧制御におけるコントローラ6の
処理手順を示したフローチャートである。
【図8】 図7のステップS3における各制御ゲインの
設定手順を示したフローチャートである。
【図9】 図8のステップS10における制御ゲインFp
の設定手順を示したフローチャートである。
【図10】 低圧領域でブレーキ液圧が正しく目標液圧
に追従して変化する様子を示した図である。
【図11】 高圧領域でブレーキ液圧が正しく目標液圧
に追従して変化する様子を示した図である。
【図12】 FF−PID制御を行う従来の制御系のブ
ロック線図である。
【図13】 中圧領域でブレーキ液圧が正しく目標液圧
に追従して変化する様子を示した図である。
【図14】 目標電流Ioの周波数に対するブレーキ液
圧Pwcの応答特性を示した図である。
【図15】 従来のブレーキ液圧制御でブレーキ液圧が
低圧領域にある時に応答性が低下する様子を示した図で
ある。
【図16】 従来のブレーキ液圧制御でブレーキ液圧が
高圧領域にある時に安定性が低下する様子を示した図で
ある。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル 2 マスタシリンダ 3 マスタシリンダ液圧センサ 6 コントローラ 8 ブレーキ液圧源 9 液圧制御弁 9a スリーブ 9c1 小径スプール 9c2 大径スプール 9d 比例ソレノイド 10 ブレーキホイールシリンダ 11 ブレーキ液圧センサ 20 フィードバック系 21 フィードフォワード系 22 係数器 23 制御対象 20A、20B、20C、21A、21B 比例要素 20D 積分要素 20E、21C 微分要素

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者が操作するブレーキ操作手段と、
    液圧源と、前記液圧源から供給されたブレーキ液圧によ
    って制動力を発生させる制動手段とを有し、前記ブレー
    キ操作手段の操作状態に応じて前記液圧源から前記制動
    手段へ供給するブレーキ液圧を制御するブレーキ液圧制
    御装置において、 前記液圧源と前記制動手段との間に設けられ、前記液圧
    源からの入力液圧を所定の出力液圧として前記制動手段
    へ供給する液圧制御弁と、 前記制動手段におけるブレーキ液圧を検出する検出手段
    と、 複数の演算要素により、前記ブレーキ操作手段の操作状
    態に応じた目標液圧と、前記検出手段によって検出され
    たブレーキ液圧とに基づいて前記出力液圧を制御する指
    示信号を生成する演算手段とを有し、 前記演算手段は、前記複数の演算要素の各係数値を前記
    検出されたブレーキ液圧に対して適した値として前記指
    示信号を生成することを特徴とするブレーキ液圧制御装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブレーキ液圧制御装置に
    おいて、 前記演算手段は、各ブレーキ液圧に対する前記各係数値
    の適した値を決定する情報を予め記憶し、該情報と前記
    検出されたブレーキ液圧とに基づいて前記各係数値を適
    した値とすることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
JP26732997A 1997-09-30 1997-09-30 ブレーキ液圧制御装置 Pending JPH1199919A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012096567A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Aisin Seiki Co Ltd 運動量制御装置
CN108128293A (zh) * 2017-12-27 2018-06-08 江苏金坛大迈汽车工程研究院有限公司 一种车辆自主避撞系统

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012096567A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Aisin Seiki Co Ltd 運動量制御装置
CN108128293A (zh) * 2017-12-27 2018-06-08 江苏金坛大迈汽车工程研究院有限公司 一种车辆自主避撞系统

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