JPH1198800A - ムービングマグネット型モータ - Google Patents

ムービングマグネット型モータ

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JPH1198800A
JPH1198800A JP25221097A JP25221097A JPH1198800A JP H1198800 A JPH1198800 A JP H1198800A JP 25221097 A JP25221097 A JP 25221097A JP 25221097 A JP25221097 A JP 25221097A JP H1198800 A JPH1198800 A JP H1198800A
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moving magnet
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Nobuaki Watabe
伸昭 渡部
Kiyoshi Toma
清 當摩
Nobuyoshi Inoue
信義 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】4極に着磁された回転子を有していて、駆動力
が大きく、小型化にも有利であるムービングマグネット
型モータを提供すること。 【解決手段】このモータは、4極に着磁された回転子5
が、所定の角度だけ往復回転させられるモータである。
鉄芯部材7,8,9,10の折曲部7b,8b,9b,
10bは、回転子5の周面に同じ角度範囲で対向してい
る。ボビン12,14に巻回されたコイルへの非通電状
態においては、鉄芯部材7,8の折曲部7b,8bは、
同一のS極の周面に、30〜40度の角度範囲で対向し
ており、鉄芯部材9,10の折曲部9b,10bも、回
転子5の他のS極の周面に、30〜40度の角度範囲で
対向している。更に、折曲部7b,9bは、回転子5の
同じN極の周面に僅かに対向し、折曲部8b,10b
も、回転子5の他のN極の周面に僅かに対向している。
この構成によって大きな駆動力が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4極に着磁されて
いる回転子を、所定の回転角度範囲で往復作動させるよ
うにした、通常、ムービングマグネット型モータと称さ
れているモータに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明で対象にしている、所謂ムービン
グマグネット型モータは、固定子のコイルに対し、正方
向へ通電すると、永久磁石製の回転子が正方向へ所定の
角度だけ回転され、また、逆方向へ通電すると、回転子
が逆方向へ所定の角度だけ回転されるモータであって、
非通電時においては、通常、回転子の磁力を利用して、
その静止位置が保たれるようになっている。この種のモ
ータは、制御系が簡単であって、しかも、比較的、コス
トを上げることなく小型化が可能であることから、単純
な作動を行わせる小型のアクチュエータとしての期待が
大きい反面、一般のステッピングモータなどに比べて駆
動力が劣るため、現状においては、自ずとその利用分野
は制限され、主に負荷が小さくて済む精密機器の分野で
多く活用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のモ
ータの難点は、上記したように大きな駆動力が得にくい
ということである。勿論、コイルの巻数を多くすれば、
それなりに駆動力は大きくなるが、単純にそのようにし
た場合には、この種のモータの利点である小型化し易い
という点を犠牲にせざるを得なくなってしまい、極めて
問題である。そのため、駆動力を大きくしたい場合に
は、小型化に対する要求を或る程度満足させた上で行わ
なければならない。また、この種のモータの全体構成
は、モータの組み込まれる機器によって異なるが、それ
らの中でも、要求度の大きい構成は、回転子の軸方向か
ら見て、回転子と固定子を並べて配置し、全体として回
転子の軸に対して垂直方向に長く構成したモータであ
る。そして、このような構成のモータにおいて小型化を
云々する場合には、そのような構成にした理由からも分
かるように、回転子の軸方向から見て、出来るだけ細長
い配置構成にすることである。しかしながら、その場合
において細長い構成にするということは、回転子の直径
は決まっているため、固定子の構成を、回転子の直径に
近い幅に収めるようにするということに外ならない。そ
のため、このような全体構成をしたムービングマグネッ
ト型モータにおいては、上記したような小型化に対する
要求を満足させ、且つ駆動力のアップを図ることを可能
にした構成の実現が切望されている。
【0004】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、回
転子の軸方向から見て、4極に着磁された回転子と、複
数の磁極部を該回転子の周面に対向させた固定子とを、
横に長く並べた配置構成をしていて、駆動力が大きく、
小型化をも満足させるムービングマグネット型モータを
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のムービングマグネット型モータは、地板
に対して回転可能に軸受けされており略等間隔な角度範
囲で周面が4極に着磁されている回転子と、前記回転子
と一体であって該回転子の回転方向に応じて往復作動を
行う出力部材と、前記回転子の周面に該回転子の異なる
角度位置で対向するように配置された二つの磁極部を有
し非通電時においてはそれらの磁極部を該回転子の同一
磁極に対向させている鉄芯部材と、通電時には前記二つ
の磁極部に異なる極性を生じさせるようにして前記鉄芯
部材に巻回されており正方向へ通電したときには前記回
転子を正方向へ所定の角度だけ回転させ逆方向へ通電し
たときには逆方向へ所定の角度だけ回転させるコイルと
を備えており、前記二つの磁極部と前記同一磁極部との
非通電時における対向関係は、前記二つの磁極部が、そ
れらの間に所定の間隔を保てる範囲で、前記同一磁極に
隣接している夫々の磁極との境界から、該同一磁極の角
度範囲の約1/3以上にわたり、該同一磁極に対向して
いるようにする。また、本発明のムービングマグネット
型モータにおいては、好ましくは、前記二つの磁極部と
前記回転子との非通電時における対向関係は、夫々の磁
極部が、更に、前記同一磁極に隣接している夫々の磁極
と、該隣接磁極の角度範囲の1/2以下で対向している
ようにする。また、本発明のムービングマグネット型モ
ータにおいては、好ましくは、前記回転子は、前記同一
磁極の角度範囲が、前記隣接磁極の角度範囲よりも小さ
くなるように構成されているようにする。また、本発明
のムービングマグネット型モータは、好ましくは、前記
鉄芯部材と前記コイルとをもう一組設け、その鉄芯部材
の二つの磁極部を、前記の対向関係と略同じ対向関係で
前記回転子に対向させるようにする。また、本発明のム
ービングマグネット型モータは、好ましくは、前記鉄芯
部材の二つの磁極部が、前記地板の面に対して平行な二
つの異なる面に配置されており、また、前記コイルが、
その巻き軸を前記地板の面に対し垂直にして、前記鉄芯
部材に巻回されているようにする。また、本発明のムー
ビングマグネット型モータは、好ましくは、前記鉄芯部
材が、板材で作られた二つの部材で構成され、且つ各部
材に一つずつの磁極部が形成され、それらの磁極部の先
端は、前記回転子の回転軸に平行に夫々相手の磁極部側
に折り曲げられているようにする。更に、その場合に
は、好ましくは、前記二つの部材に、前記磁極部先端に
形成された折曲部とは別に、前記地板の面に対して垂直
に相手の部材側に折り曲げられたもう一つの折曲部を形
成し、それらの折曲部を重ねた箇所に前記コイルが巻回
されているようにする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図1〜図
4に示した第1実施例と、図5に示した第2実施例とに
よって説明する。尚、図1は第1実施例を透視的に示し
た平面図であり、図2は図1の中央横断面図であり、図
3は図1の下面図である。また、図4(a)〜図4
(e)は第1実施例の作動を説明するためのものであっ
て、夫々、要部の各作動状態を示した平面図である。更
に、図5は、本発明をカメラ用シャッタの駆動装置に適
用した場合の第2実施例を透視的に示した平面図であ
る。
【0007】先ず、本実施例の構成から説明する。地板
1とモータ枠2は、いずれも合成樹脂製であって、両者
は二つのビス3,4によって固定され、それらの間にモ
ータ室を形成している。地板1とモータ枠2によって軸
受けされている回転子5は、駆動ピン6と共に、磁性体
材料の粒子と樹脂材料を混合して一体成形したものであ
って、成型後、4極に着磁されている。この駆動ピン6
は、地板1に形成された窓部1aから外部へ突き出てお
り、図示していない負荷を作動させるようになってい
る。尚、この駆動ピン6を、周知のようにして回転子5
の永久磁石とは別の材料で製作して一体化するようにし
ても差し支えない。
【0008】本実施例においては、窓部1aに二つの規
制端面1a1 ,1a2 が形成されていて、駆動ピン6が
それらに当接することによって、駆動ピン6即ち回転子
5の回転角度が規制されるようになっている。但し、後
述する作動説明から明確に理解することができるが、本
実施例に用いられているモータ、即ちムービングマグネ
ット型モータは、このような規制端面1a1 ,1a2
形成されていなかったとしても、最終的には回転子が所
定の回転角度位置で停止するようになっている。しか
し、このような規制端面1a1 ,1a2 を設けていない
場合には、慣性力によって、所定の位置で直ちに停止せ
ず、その位置を中心にして何回か振動した後に停止する
ことになるので、機器の制御上は好ましくない。従っ
て、本実施例においては、規制端面1a1 ,1a2 が設
けられている。
【0009】回転子5の左側には二つの鉄芯部材7,8
が、右側にも二つの鉄芯部材9,10が配置されてい
る。これらの鉄芯部材7,8,9,10は磁性体の板材
で加工されており、夫々の長手方向の略中間部には折曲
部7a,8a,9a,10aが形成され、また、回転子
5の周面に対向している先端部には折曲部7b,8b,
9b,10bが形成されている。これらのうち、鉄芯部
材7,10は、根元部の孔を地板1の柱1b,1cの先
端に嵌合させて、モータ枠2に接するようにして配置さ
れ、夫々の折曲部7a,7b,10a,10bを地板1
側に向けて略垂直に形成している。また、鉄芯部材8,
9は、根元部の孔をモータ枠2の柱2a,2bの先端に
嵌合させて、地板1に接するようにして配置され、折曲
部8a,8b,9a,9bをモータ枠2に向けて略垂直
に形成している。
【0010】また、各鉄芯部材は、折曲部7b,8b,
9b,10bの垂直面が回転子5の周面に正しく対向す
るするように、モータ枠2に形成された各規制部によっ
て位置決めされており、鉄芯部材7は規制部2c,2d
によって規制され、鉄芯部材8は規制部2d,2eによ
って規制され、また、鉄芯部材9は規制部2f,2gに
よって規制され、鉄芯部材10は規制部2g,2hによ
って規制されている。そして、これらのうち、規制部2
c,2fは、図3に示されている規制部2e,2hと対
照的な形状をしている。また、規制部2e,2fは、他
の規制部と同様に、図1において各鉄芯部材の上下方向
への移動を抑制しているだけでなく、D字状の面で鉄芯
部材8,9がモータ枠2側に浮き上がるのを抑えてい
る。更に、折曲部7a,8aにはコイル11を巻回した
ボビン12が嵌装されており、折曲部9a,10aには
コイル13を巻回したボビン14が嵌装されている。
【0011】このような構成からも分かるように、従来
は、通常、U字形の一つの鉄芯部材によって二つの磁極
部を構成していたが、本実施例の場合には、それを二つ
の鉄芯部材に分離し、それらを、地板1の面に対して平
行であり且つ異なる二つの面に配置している。そして先
端部を相手側に略直角に曲げているので、回転子5の周
面に対する対向面を充分に確保できるようになってい
る。また、略中央部に形成された両者の折曲部を重ね合
わせて、そこにコイルを巻回させた構成にしたので、ス
ペースの点で有利になっている。即ち、従来の場合に
は、図1の上下方向に、二つの磁極部のほかに、一方の
磁極部に巻回されたコイルの分だけ設置スペースを必要
としていたのに対し、本実施例の場合には、二つの磁極
部の設置スペースだけ、言い換えればコイルの巻き径の
分だけで収めることが可能になっている。そのために、
回転子5の直径と殆ど同じ寸法幅で、必須部品を細長い
スペース内に収めることが可能になっている。
【0012】尚、本実施例においては、鉄芯部材7,8
の両方に、ボビン12を嵌装するための折曲部7a,8
aを形成しているが、このような折曲部を形成するのは
どちらか一方にして、その折曲部の先端を他方の鉄芯部
材に取り付けるようにしても差し支えない。また、充分
な磁界が得られるのであれば、鉄芯部材7,8の先端部
に折曲部7b,8bを形成しなくてもよい。更に、ボビ
ン12を介さず、直接コイル11を巻回させる場合に
は、鉄芯部材7,8を一つの部材として製作しても差し
支えない。これらのことは、もう一組の鉄芯部材9,1
0についても同じことが言える。
【0013】次に、本実施例の作動を図1と図4を用い
て説明する。図1は本実施例の初期状態、即ち、各コイ
ル11,13に対する非通電状態をを示しており、図4
(a)はその状態における要部のみを示したものであ
る。尚、上記の構成の説明においては詳しく説明しなか
ったが、本実施例の場合には、折曲部7b,8b,9
b,10bの各々は、回転子5の周面部に対向している
角度範囲が同一であって、当然のことながら対向面積も
同一となるように形成されている。
【0014】この初期状態においては、図面上では分か
りにくいが、鉄芯部材7,8の折曲部7b,8bは、回
転子5の同一のS極5aに対向しているほか、僅かでは
あるが、折曲部7bはN極5bにも対向しており、ま
た、折曲部8bはN極5dにも対向している。その上、
折曲部7bがN極5bに対向している角度範囲の方が、
折曲部8bがN極5dに対向している角度範囲よりも極
めて僅かではあるが大きくなっている。そして、この状
態において、折曲部7b,8bがS極5aと対向してい
る角度範囲は30度以上となっている。このような関係
は、回転子5と折曲部9b,10bとの間においても、
回転子5の中心を中心点とする点対称になっているだけ
であり、全く同じ関係にある。
【0015】折曲部7b,8b,9b,10bと回転子
5との関係がこのようになっているため、この初期状態
においては、回転子5には自己の磁力によって時計方向
へ回転する力が作用している。しかし、このとき、図1
に示すように、駆動ピン6が窓部1aの規制端面1a1
に接しているので、回転子5は、これ以上、時計方向へ
回転できない。また、そのような力が作用しているの
で、多少の振動によっても反時計方向へは回転せず、こ
の状態が保たれている。しかしながら、このような積極
的な位置規制を必要としないときには、規制端面1a1
は不要であり、その場合には、回転子5は図4(a)の
位置よりも僅かに時計方向へ回転した位置でバランスを
保って停止していることになる。また、そのようなバラ
ンス状態においては、上記した折曲部7b,8bが夫々
S極5aと対向している角度範囲は同じであり、折曲部
7bがN極5bと対向している角度範囲は、折曲部8b
がN極5dと対向している角度範囲と同じであることは
言うまでもない。
【0016】さて、図4(a)に示された初期状態にお
いて、ボビン12,14に巻回されたコイル11,13
に対し、正方向への通電を同時に行うと、図4(b)に
示すように、折曲部7b,10bにはS極の磁界が発生
し、折曲部8b,9bにはN極の磁界が発生する。その
ため、回転子5は反時計方向へ回転され、駆動ピン6に
よって、図示していない所定の部材を作動させる。そし
て、この回転は、駆動ピン6が窓部1aの規制端面1a
2 に当接することによって停止する。その状態が、図4
(c)に示す状態である。そして、この状態は、たとえ
コイル11,13への通電を断っても保たれることにな
る。
【0017】次に、図4(c)に示した状態において、
ボビン12,14に巻回されたコイル11,13に対し
て、これまでとは逆方向への通電が同時に行われると、
図4(d)に示されているように、折曲部7b,10b
にはN極の磁界が発生し、折曲部8b,9bにはS極の
磁界が発生することになる。そのため、回転子5は時計
方向へ回転され、駆動ピン6が窓部1aの規制端面1a
1 に当接することによって停止する。その状態が、図4
(e)に示されている。その後、ボビン12,14に巻
回されたコイル11,13に対する通電を断つと、図4
(a)に示す初期状態に復帰する。尚、本実施例におい
ては、規制端面1a1 ,1a2 をモータ側に設けている
が、このような作用をする規制部は、駆動される機器側
に設けられていても差し支えない。
【0018】このような構成の本実施例によれば、通常
のムービングマグネット型モータよりも大きな駆動力が
得られるようになっているので、以下、そのことについ
て説明する。尚、本実施例においては、鉄芯部材7,8
と回転子5との関係は、鉄芯部材9,10と回転子5と
の関係と、配置が異なるだけで、実質的には同じである
から、鉄芯部材7,8と回転子5との関係についてだけ
説明することにする。先ず第1に、図4(a)に示す非
通電状態において、折曲部7b,8bは、回転子5の同
一のS極5aの角度範囲(90度)に対して、夫々の隣
接するN極5b,5dとの境を基点にして1/3(30
度)以上の角度範囲で対向している。そのため、各折曲
部7b,8bと回転子5のS極5aとの間には、大きな
磁力が作用するようになっている。
【0019】この種のモータとして要求度の高い、直径
10mmの回転子を備えたモータを試作してみたとこ
ろ、その磁力は、約30度(1/3)の対向角度を境に
して増減傾向が著しく変わり、対向角度が大きくなるほ
ど良好に得られることが分かった。そして、このこと
は、回転子の直径が多少異なっても、殆ど同じであるこ
とが分かった。また、その対向角度を45度に余り近付
けると、両折曲部7b,8b間に磁路が形成され、効率
が著しく低下してしまうため、上限は40度位であるこ
とも分かった。しかし、この上限は、折曲部7b,8b
と回転子5との間隔などによっても左右されるので、特
定はできない。更に、本実施例においては、回転子5の
磁極が、夫々90度に形成されているが、例えばS極5
a,5cが80度であり、N極5b,5dが100度で
あっても構わない。その場合にも、折曲部7b,8bと
回転子5のS極5aとの対向角度は、夫々、80度の約
1/3以上にするのが好適である。
【0020】第2に、図4(a)に示す非通電状態にお
いて、折曲部7b,8bは、回転子5のS極5aに対向
しているだけではなく、隣接するN極5b,5dにも対
向している。このような関係が得られていることによっ
て、回転子5の始動が好適に行える。即ち、ボビン12
に巻回されているコイル11に対し、正方向の電流が供
給されたとき、図4(a)に示すように、折曲部7bに
はS極が発生し、折曲部8bにはN極が発生する。その
ため、折曲部7b,8bが、回転子5のN極5b,5d
に対向していない場合に比較して、折曲部7bとN極5
bとの間には大きな吸引力が作用し、折曲部8bとN極
5dとの間には大きな反発力が作用することになる。そ
のため、ムービングマグネット型モータの弱点である起
動性が大幅に改善されたことになる。このことから、折
曲部7b,8bと、回転子5のN極5b,5dとの対向
角度は、夫々45度以下の範囲で選択されることにな
る。また、一方の対向角度を0にしても差し支えない。
【0021】次に、図5を用いて本発明の第2実施例を
説明する。本実施例は、本発明を、カメラ用のシャッタ
に適用したものであって、第1実施例の固定子が4極で
あったのに対して、2極で構成したものである。尚、図
5は、カメラ用のシャッタの閉鎖状態を透視的に示した
ものである。また、第1実施例で説明した部材及び部位
と実質的に同じ部材,部位には同じ符号を用いてある。
【0022】先ず、本実施例の構成を説明する。合成樹
脂製のシャッタ地板21には、その中央部に円形の開口
部21aが形成されていて、その表面側には、モータ枠
2が二つのビス3,4によって固定され、それらの間に
モータ室を形成している。4極に着磁されている回転子
5は、シャッタ地板21とモータ枠2によって軸受けさ
れており、回転子5と一体の駆動ピン6は、シャッタ地
板21に形成された窓部21bから、シャッタ地板21
の背面側にある羽根室に突き出している。その羽根室内
には、シャッタ羽根22,23が、シャッタ地板21の
軸21c,21dに回転可能に取り付けられ、シャッタ
羽根22,23に形成された二つの小判状の長孔には、
上記した駆動ピン6が嵌合している。
【0023】モータ室内において、回転子5の左側には
二つの鉄芯部材7,8が配置されているが、それらの平
面形状は、第1実施例の場合とは異なり、円弧状に形成
されている。これらの鉄芯部材7,8は、夫々の長手方
向の略中間部に折曲部7a,8aを形成しておりまた、
回転子5の周面に対向している先端部には折曲部7b,
8bを形成している。また、鉄芯部材7は、根元部の孔
をシャッタ地板21の柱21eの先端に嵌合させて、モ
ータ枠2に接するようにして配置され、夫々の折曲部7
a,7bをシャッタ地板21側に向けて略垂直に形成し
ている。また、鉄芯部材8は、根元部の孔をモータ枠2
の柱2aの先端に嵌合させて、シャッタ地板21に接す
るようにして配置され、折曲部8a,8bをモータ枠2
に向けて略垂直に形成している。また、鉄芯部材7,8
は、第1実施例の場合と同じようにして形成されている
規制部2dによって、折曲部7b,8bの相互位置を規
制されるようになっている。更に、折曲部7a,8aに
は第1実施例と同様にしてコイル11を巻回したボビン
12が嵌装されている。
【0024】次に、本実施例の作動を説明する。図5に
示した本実施例の閉鎖状態、即ちモータの初期状態(非
通電状態)においては、一見、折曲部7b,8bと回転
子5との対向角度関係が、上記した第1実施例の場合と
同じに見えるが、実際には、回転子5のN極に対する対
向角度関係が第1実施例の場合とは逆の関係になってい
て、折曲部7bとN極との対向角度よりも、折曲部8b
とN極との対向角度の方が大きくなっている。その他の
点については、第1実施例の場合と同じである。そのた
め、図5に示した状態においては、回転子5には、自己
の磁力によって反時計方向へ回転する力が働いており、
駆動ピン6が窓部21bの上方の端面に当接して、シャ
ッタ羽根22,23による開口部21aの閉鎖状態が維
持されている。
【0025】この閉鎖状態において、ボビン12に巻回
されたコイル11に対し、正方向への通電が行われる
と、本実施例においては、折曲部7bにはN極の磁界が
発生し、折曲部8bにはS極の磁界が発生する。そのた
め、回転子5は時計方向へ回転されるから、駆動ピン6
によって、シャッタ羽根22は軸21cで時計方向に、
また、シャッタ羽根23は軸21dで反時計方向に回転
され、開口部21aを開いていく。そして、その作動
は、駆動ピン6が窓部21bの下方の端面に当接するこ
とによって停止する。その状態が、開口部21aの全開
状態である。
【0026】所定時間の経過後に、ボビン12に巻回さ
れたコイル11に対し、逆方向への通電が行われると、
折曲部7bにはS極の磁界が発生し、折曲部8bにはN
極の磁界が発生することになる。そのため、回転子5は
反時計方向へ回転され、駆動ピン6が、シャッタ羽根2
2,23を、先程とは逆に作動させ、開口部21aを閉
じさせていく。シャッタ羽根22,23が開口部21a
を閉じた後、駆動ピン6は、窓部21bの上方の端面に
当接して停止し、且つコイル11への通電が断たれて、
図5の状態に復帰する。
【0027】このように、本実施例のモータは、基本的
には、非通電状態において、二つで一組の固定子磁極
を、4極に着磁された回転子5の同一極に対して対向さ
せるようにしたタイプのモータであるが、このような構
成のモータにおいても、従来のモータよりは大きな駆動
力が得られるようになっている。しかし、その理由は、
第1実施例の説明において具体的に述べたので、ここで
は、重複を避けるために省略する。
【0028】
【発明の効果】上記のように、本発明によれば、回転子
の軸方向から見て、4極に着磁された回転子と、複数の
磁極部を該回転子の周面に対向させた固定子とを、横に
長く並べた配置構成のムービングマグネット型モータに
おいて、駆動力を大きくすることができ、しかも小型化
にも有利であるという特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を透視的に示した平面図である。
【図2】図1の中央横断面図である。
【図3】図1の下面図である。
【図4】第1実施例の作動を説明するためのものであっ
て、図4(a)〜図4(e)は、夫々、要部の各作動状
態を示した平面図である。
【図5】第2実施例を透視的に示した平面図である。
【符号の説明】
1 地板 1a,21b 窓部 1a1 ,1a2 規制端面 1b,1c,2a,2b,21e 柱 2 モータ枠 2c,2d,2e,2f,2g,2h 規制部 3,4 ビス 5 回転子 6 駆動ピン 7,8,9,10 鉄芯部材 7a,7b,8a,8b,9a,9b,10a,10b
折曲部 11,13 コイル 12,14 ボビン 21 シャッタ地板 21a 開口部 21c,21d 軸 22,23 シャッタ羽根

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地板に対して回転可能に軸受けされてお
    り略等間隔な角度範囲で周面が4極に着磁されている回
    転子と、前記回転子と一体であって該回転子の回転方向
    に応じて往復作動を行う出力部材と、前記回転子の周面
    に該回転子の異なる角度位置で対向するように配置され
    た二つの磁極部を有し非通電時においてはそれらの磁極
    部を該回転子の同一磁極に対向させている鉄芯部材と、
    通電時には前記二つの磁極部に異なる極性を生じさせる
    ようにして前記鉄芯部材に巻回されており正方向へ通電
    したときには前記回転子を正方向へ所定の角度だけ回転
    させ逆方向へ通電したときには逆方向へ所定の角度だけ
    回転させるコイルとを備えており、前記二つの磁極部と
    前記同一磁極部との非通電時における対向関係は、前記
    二つの磁極部が、それらの間に所定の間隔を保てる範囲
    で、前記同一磁極に隣接している夫々の磁極との境界か
    ら、該同一磁極の角度範囲の約1/3以上にわたり、該
    同一磁極に対向しているようにしたことを特徴とするム
    ービングマグネット型モータ。
  2. 【請求項2】 前記二つの磁極部と前記回転子との非通
    電時における対向関係は、夫々の磁極部が、更に、前記
    同一磁極に隣接している夫々の磁極と、該隣接磁極の角
    度範囲の1/2以下で対向しているようにしたことを特
    徴とする請求項1に記載のムービングマグネット型モー
    タ。
  3. 【請求項3】 前記回転子は、前記同一磁極の角度範囲
    が、前記隣接磁極の角度範囲よりも小さくなるように構
    成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    ムービングマグネット型モータ。
  4. 【請求項4】 前記鉄芯部材と前記コイルとをもう一組
    設け、その鉄芯部材の二つの磁極部を、前記の対向関係
    と略同じ対向関係で前記回転子に対向させるようにした
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のムー
    ビングマグネット型モータ。
  5. 【請求項5】 前記鉄芯部材の二つの磁極部が、前記地
    板の面に対して平行な二つの異なる面に配置されてお
    り、また、前記コイルが、その巻き軸を前記地板の面に
    対し垂直にして、前記鉄芯部材に巻回されているように
    したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の
    ムービングマグネット型モータ。
  6. 【請求項6】 前記鉄芯部材が、板材で作られた二つの
    部材で構成され、且つ各部材に一つずつの磁極部が形成
    され、それらの磁極部の先端は、前記回転子の回転軸に
    平行に夫々相手の磁極部側に折り曲げられていることを
    特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のムービング
    マグネット型モータ。
  7. 【請求項7】 前記二つの部材に、前記磁極部先端に形
    成された折曲部とは別に、前記地板の面に対して垂直に
    相手の部材側に折り曲げられた折曲部を形成し、それら
    の折曲部を重ねた箇所に前記コイルが巻回されているこ
    とを特徴とする請求項6に記載のムービングマグネット
    型モータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001327143A (ja) * 2000-05-18 2001-11-22 Nidec Copal Corp 電磁アクチュエータ及びカメラ用シャッタ装置
JP2011081168A (ja) * 2009-10-07 2011-04-21 Vitai Technology Co Ltd 4極以上を有する磁石部材とシャッター

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JP4574800B2 (ja) * 2000-05-18 2010-11-04 日本電産コパル株式会社 電磁アクチュエータ及びカメラ用シャッタ装置
JP2011081168A (ja) * 2009-10-07 2011-04-21 Vitai Technology Co Ltd 4極以上を有する磁石部材とシャッター

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