JPH1195745A - 音場効果付与装置 - Google Patents

音場効果付与装置

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JPH1195745A
JPH1195745A JP9259728A JP25972897A JPH1195745A JP H1195745 A JPH1195745 A JP H1195745A JP 9259728 A JP9259728 A JP 9259728A JP 25972897 A JP25972897 A JP 25972897A JP H1195745 A JPH1195745 A JP H1195745A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズ等の非調和成分の性質を考慮して、距
離感に応じた音場効果を付与する。 【解決手段】 発生すべき楽音の基本成分およびその倍
音成分からなる調和成分信号に対し係数A1を乗算する
乗算器M1と、発生すべき楽音から調和成分を除いた非
調和成分信号に対し係数A2を乗算する乗算器M2と、
これらの乗算結果に対し係数B1、B2で定めるリバー
ブ効果を付与するリバーブ効果付与部301を備え、付
与すべき距離感が遠くなるほど、係数A1に対する係数
A2の比率が小さくなるように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ノイズ等
の非調和成分を含む楽音信号に対し、所望の音場感を付
与する音場効果付与装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、音場効果付与装置において
は、音響信号や音声信号などの楽音信号に対して臨場感
を与えるため、例えば、特開昭60−52896号公報
に記載されているように、リバーブ効果を付与すること
が行われている。かかるリバーブ効果は、実際の演奏に
おいて、発生楽音が楽器から聴取者に直接到達するほ
か、楽器から壁や天井等に反射することによって直接音
に対し一定時間遅延して到達する状態を模倣するもので
あり、一般的には、楽音信号と、この楽音信号を遅延さ
せた信号とのミキシング比を制御することによって付加
される。したがって、楽音信号に対して遅延信号のレベ
ルが大きくなるほど、距離感のある音場効果が付与され
ることとなる。
【0003】一方、従来の電子楽器等においては、自然
楽器の演奏によって発生する楽音をより忠実に再現する
ため、例えば、特開平4−11697号公報や特開平4
−340999号公報等に記載されているように、楽音
を合成する際に楽音の基本成分に対して、ノイズを付加
することが行われている。ここでノイズとは、具体的に
は、フルート等の管楽器であれば、息を吹き込む音など
であり、また、バイオリン等の弦楽器であれば、弓の擦
れる音などである。
【0004】このような自然楽器の楽音をより忠実に再
現する電子楽器において、所望の音場効果を付与する場
合、ノイズを付加した楽音信号を上記音場効果付与装置
に入力することによって行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自然楽器の
演奏に伴うノイズは、実際には、演奏位置が近ければ、
よく聞こえるが、演奏位置が遠くなって伝達距離が長く
になるにつれて聞こえなくなるという性質を有する。し
たがって、上記電子楽器によりノイズを付加した楽音信
号に対して、上記音場効果装置により距離感のある音場
効果を付与しようとした場合、楽音信号の遅延信号のレ
ベルが大きくなる結果、そこに含まれるノイズのレベル
も一律に大きくなってしまうことになる。このため、距
離感のある音場効果を付与しようとしても、ノイズの聞
こえ方が極めて不自然なものとなって、結果的に、距離
感に応じた音場効果が適切には付与されないので、状況
に応じた演奏雰囲気を十分に演出することができなかっ
た、という問題があった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、距離感に応じ
た音場効果を付与して、実際の状況により近い演奏雰囲
気を演出することが可能な音場効果付与装置を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明にあっては、少なくとも2以上の成分信号か
らなる楽音信号に対し、音場効果を付与する音場効果付
与装置において、各成分信号のレベルを、それぞれ独立
に調整するレベル調整手段と、前記レベル調整手段によ
りレベル調整された各成分信号に所望の音場効果を付与
する音場効果付与手段と、前記レベル調整手段によるレ
ベル調整を、前記音場効果付与手段により付与される音
場効果に応じて制御するレベル制御手段とを具備するこ
とを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0009】<1:実施形態の構成>本実施形態は、本
発明に係る音場効果装置を組み込んだ電子楽器であり、
鍵盤の操作に対応して生成した楽音信号だけでなく、外
部から供給される信号に対しても、距離感を持たせた音
場効果を付与するものである。図1は、本実施形態に係
る電子楽器の全体構成を示す図である。この図に示すよ
うに、電子楽器の本体100は、外部に発音するための
スピーカ101、音場の効果や音量・音色等を設定する
ためのパネル操作子群102、設定状況を表示する表示
部103、および、88鍵からなる鍵盤104(図で
は、一部を省略)を有している。このうち、パネル操作
子群102は、複数の操作子を総称したものであり、各
操作子の設定情報を出力する。また、本実施形態におい
て、付与される音場効果は、パネル操作子群102によ
って、距離感を示すパラメータをセットすることで規定
される。また、鍵盤104の各鍵にはそれぞれ図示しな
いセンサが設けられており、鍵が押下されれば、当該鍵
の音高を示すノートデータを伴うキーオンデータが出力
される一方、ある鍵がリリースされれば、当該鍵の音高
を示すノートデータを伴うキーオフデータが出力され
る。また、この電子楽器の本体100には、オーディオ
装置200がケーブル201を介して接続されている。
この接続により、オーディオ装置200からの信号に対
しても音場効果が付与される。なお、オーディオ装置2
00からの信号は、自然楽器の楽音を再生した信号や、
マイクロフォン等により入力した音声等の信号を想定し
ている。
【0010】ここで、本実施形態に係る電子楽器は、次
の2つのモードにて音場効果を付与する。1つは「電子
楽器モード」であり、鍵盤104への押鍵操作により生
成した楽音信号に対して音場効果を付与するモードであ
る。また、他の1つは「自然音モード」であり、オーデ
ィオ装置200から供給される信号に対して音場効果を
付与するモードである。これらのモードは、パネル操作
子群102によって選択する構成として良いし、ケーブ
ル201を接続したか否かで、自動的に選択される構成
としても良い。
【0011】<1−1:電気的構成>次に、実施形態に
係る電子楽器の電気的構成について図2を参照して説明
する。CPU105は、ROM106に記憶されたプロ
グラムにしたがって、バスを介して接続される各部を制
御するものである。また、RAM107は、この電子楽
器の制御動作に用いるワークエリアを有し、パネル操作
子群102においてユーザが入力した数値等のデータを
記憶する。記憶装置108は、自動演奏で用いるMID
I規格の演奏データや、ユーザが独自に作成した音色を
規定するデータなどを記憶するものであり、例えばハー
ドディスク等が該当する。また、外部インターフェイス
110は、この電子楽器が「自然音モード」の場合に、
オーディオ装置200の信号、詳細には、A/D変換器
(ADC)114によってディジタルに変換されたオー
ディオ装置200の信号を入力するものである。
【0012】一方、音源109は、この電子楽器が「電
子楽器モード」の場合に、バスを介して入力したデータ
に基づいて、発生すべき楽音の調和成分および非調和成
分を示す信号をそれぞれ生成するものである。ここで、
楽音の調和成分とは、発生すべき基音の基本成分と、こ
の基本成分とは倍音関係にある倍音成分とからなるもの
であり、例えば、予め記憶された典型的な音色の基本波
形を、指定された音高に対応するピッチで読み出すこと
で生成される。一方、楽音の非調和成分とは、発生すべ
き楽音から調和成分を除いた上記ノイズに相当するもの
であり、例えば、ホワイトノイズを、指定された音色・
音高に対応する周波数特性を有するフィルタにより濾波
処理することで生成される。
【0013】次に、DSP(ディジタル・シグナル・プ
ロセッサ)111は、CPU105による制御の下、後
述する音場効果付与のアルゴリズムを構築して、音源1
09あるいは外部インターフェイス110から供給され
る信号に対して音場効果を付与するものであり、演算用
に内部レジスタを有する。D/A変換器(DAC)11
2は、DSP111から供給される信号をアナログに変
換するものである。なお、アナログに変換された信号
は、アンプ113により増幅された後、スピーカ101
により外部に発音されることとなる。
【0014】<1−2:音場効果付与回路>次に、DS
P111によって等価的に構築される音場効果付与のア
ルゴリズムおよびその周辺について、図3を参照して説
明する。同図において、解析装置150は、この電子楽
器が「自然音モード」である場合に、オーディオ装置2
00のような外部からの信号を、調和成分を示す信号と
非調和成分を示す信号とに分離するものであり、例え
ば、次のようにして実行される。すなわち、かかる分離
処理は、まず、外部からの信号に対し周知のFFT(高
速フーリエ変換)処理を実行し、さらに、この処理結果
のうち、基本成分とその倍音成分とを調和成分として抽
出する一方、残余の成分を非調和成分とすることにより
実行される。ここで、解析装置150の処理主体は、図
2におけるCPU105であっても良いし、同等の機能
を有する独立の装置であっても良い。また、音源109
は、上述したように、この電子楽器が「電子楽器モー
ド」である場合に、発生すべき楽音の調和成分および非
調和成分を示す信号をそれぞれ生成するものである。
【0015】さて、この電子楽器がいずれのモードであ
るにせよ、DSP111には、調和成分を示す信号と非
調和成分を示す信号とがそれぞれ供給される。ここで、
調和成分を示す信号には、乗算器M1によって係数A1
が乗算される一方、非調和成分を示す信号には、乗算器
M2によって係数A2が乗算され、さらに、両者の乗算
結果が加算器S1によって加算される。次に、加算器S
1の加算結果には、図1および図2におけるパネル操作
子群102によって設定された効果が、リバーブ効果付
与部301によって付与される。詳細には、図3に示す
ように、加算器S1の加算結果は、乗算器M3によって
係数B1で乗算されて、直接音に相当する信号が求めら
れる。加算器S1の加算結果は、また、残響音発生器D
によって反射音に相当する時間分だけ遅延させられ、さ
らに、乗算器M4によって係数B2で乗算されて、反射
音に相当する信号が求められる。そして、直接音を示す
信号と反射音を示す信号とが加算器S2によって加算さ
れ、この加算結果が図2におけるDAC112に供給さ
れて、リバーブ効果が付与されることとなる。
【0016】一方、係数発生器302は、距離感を示す
パラメータに対応して係数A1、A2、B1およびB2
を出力するものである。ここで、係数A1、A2と距離
感を示すパラメータとについては、図4(a)に示すよ
うな関係があり、与えるべき距離感が遠くなるにつれ
て、調和成分の信号レベルが大となる一方、非調和成分
の信号レベルが小となり、調和成分に対する非調和成分
のレベル比率が小となるように設定されている。また、
係数B1、B2と距離感を示すパラメータとについて
は、図4(b)に示すような関係があり、従来技術で述
べたように、与えるべき距離感が遠くなるにつれて、直
接音に相当する信号レベルが小となる一方、反射音に相
当する信号レベルが大となり、直接音に対する反射音の
レベル比率が大となるように設定されている。
【0017】この結果、与えるべき距離感が遠くなった
場合に、反射音に相当する信号レベルは大きくなるが、
これに相関して非調和成分の信号レベルが小になるの
で、結果的に、反射音の信号に含まれる非調和成分の信
号レベルは小さく抑えられる。したがって、本実施形態
においては、上記ノイズの性質を適切に模倣することに
なり、付与される音場効果が極めて自然なものとなるこ
とが判る。
【0018】なお、本実施形態における係数発生器30
2は、実際には、CPU105がパネル操作群102に
よって設定された効果に応じて、その距離感を示すパラ
メータを作成し、このパラメータに対応する係数を供給
する構成となっている。あるいは、これと同等な機能を
有する独立な装置を用いて構成するとしても良い。ま
た、係数A1、A2、B1およびB2の特性は、図4に
示した例に限定されない。要は、付与すべき距離感が遠
くなるほど、係数A1に対する係数A2の比率が小さく
なるように設定すれば良い。
【0019】<2:実施形態の動作>次に実施形態に係
る電子楽器の基本動作について説明する。図5は、この
電子楽器の基本動作を示すフローチャートである。ま
ず、この電子楽器の電源が投入されると、CPU105
は、ROM106に記憶されたプログラムのロードや、
RAM107におけるワークエリアの確保などの初期設
定処理を実行する(ステップS501)。ここでは、特
に、DSP111において用いる係数、詳細には、係数
発生器302が出力する係数を、 A1=0.5、 A2=0.5、 B1=0.8、 B2=0.2 として設定する。なお、この設定は、距離感が最も近接
している場合の音場効果である(図4参照)。また、こ
の初期設定にて、パネル操作子群102の設定状況にか
かわらず係数を設定したのは、本実施形態においては、
状態変化(イベント)が発生して初めてその変化に対応
する設定を行う構成としているからであり、仮に、電源
投入後、パネル操作子群102が操作されなければ、係
数が設定されないまま音場効果を付与する、という不都
合を回避するための措置である。
【0020】次に、初期設定を実行した後、CPU10
5は、パネル設定の処理を実行する(ステップS50
2)。このパネル処理の詳細については後述するが、パ
ネル操作子群102の設定変更や、鍵盤104の押鍵・
離鍵の発生などのイベントに対応する処理であり、特
に、「電子楽器モード」であれば、楽音信号を生成する
処理をも含み、また、「自然音モード」であれば、オー
ディオ装置200からの信号を、調和成分を示す信号と
非調和成分を示す信号とに分離する処理をも含むもので
ある。このパネル設定を実行すると、CPU105は、
調和成分の信号と非調和成分の信号とについての音場効
果を付与するための信号処理を実行する(ステップS5
03)。この信号処理についても後述するが、DSP1
11に対して、図3に示した音場付与のアルゴリズムを
構築させるための処理である。そして、CPU105
は、信号処理にて処理された信号をDAC112に供給
し、アンプ113およびスピーカ101を介して実際に
外部に発音させる発音処理を実行する(ステップS50
4、図8参照)。以後、この電子楽器は、電源が遮断さ
れるまで、ステップS502、S503、S504の循
環処理を繰り返し実行する。これにより、イベントに応
じた処理が行われることとなる。
【0021】<2−1:パネル処理>ここで、上記ステ
ップS502におけるパネル設定処理の詳細について、
図6を参照して説明する。上述したように、このパネル
設定処理は、イベントに応じた処理を実行するものであ
るが、イベントが発生したか否かについては、例えば、
次のようにして検出される。例えば、パネル操作子群1
02の設定内容変更に関するイベントは、パネル設定処
理が実行される毎に、パネル操作子群102の設定内容
を記憶しておくとともに、前回の記憶内容と今回の設定
内容とを比較することで検出可能である。また、鍵盤1
04の押鍵・離鍵に関するイベントは、キーオンデータ
あるいはキーオフデータにより検出可能であり、また、
MIDI規格の演奏データによって、楽音発生を行うの
であれば、そのイベントは、ノートオンメッセージやノ
ートオフメッセージなどにより検出可能である。
【0022】さて、パネル設定処理においてCPU10
5は、まず、遠近変更イベントの有無を判別する(ステ
ップS601)。かかる遠近変更イベントとは、パネル
操作子群102によって、付与すべきリバーブ効果の設
定内容、すなわち、音場効果の距離感を示すパラメータ
が変更された旨のイベントをいう。ここで、遠近変更イ
ベントが発生したと判別すれば、CPU105は、係数
発生器302として、変更後のパラメータに応じて、リ
バーブの効果を規定する係数B1、B2を設定変更し、
また、これに伴い調和成分および非調和成分のレベル比
率を定める係数A1、A2を設定変更する(ステップS
602)。これらの係数について設定変更が完了した場
合、あるいは、遠近変更イベントでない場合、CPU1
05は、現時点における電子楽器のモードが「自然音モ
ード」であるか否かを判別する(ステップS603)。
ここで、「自然音モード」である場合、CPU105
は、オーディオ装置200からの外部信号を、例えば、
上述したようにFFT解析して、調和成分の信号と非調
和成分の信号とに分離する(ステップS604)。
【0023】一方、現時点における電子楽器のモードが
「自然音モード」でなく「電子楽器モード」である場
合、CPU105は、キーオンイベントが発生したか否
かを判別する(ステップS605)。ここで、キーオン
イベントとは、鍵盤104に対する押鍵操作がユーザに
よってなされた場合や、演奏データに基づいて楽音を発
生しているのであればノートオンデータが出力された場
合などのように、今まさに楽音を発生させるべきタイミ
ングに至った状態をいう。そして、キーオンイベントが
発生したと判別した場合、CPU105は、音源109
に対して、発生すべき楽音の音色を示すデータと、当該
キーオンイベントに伴うノートデータとを転送する。な
お、MIDI規格のデータであれば、ノートデータを伴
うノートオンメッセージを転送する。すると、音源10
9は、例えば、指定された音色の波形データを、ノート
データにしたがったピッチで読み出すことにより、指定
された音色であって、かつ、指定された音高についての
楽音の調和成分信号を生成することとなる(ステップS
606)。続いて、音源109は、発生すべき楽音の音
色と音高とに対応して、例えば、ホワイトノイズを濾波
処理して、非調和成分信号を生成する(ステップS60
7)。なお、非調和成分信号は、このほかに、例えば、
指定された音色がフルートであれば、演奏者の息の吹き
込む音等を電気的に作成しても良いし、また、バイオリ
ンであれば、弓の擦れる音等を電気的に作成しても良
い。これらのステップS606、S607により、当該
キーオンイベントに対応して、楽音信号の調和成分と非
調和成分とが生成されることとなる。
【0024】一方、キーオンイベントが発生していない
と判別した場合、CPU105は、さらに、キーオフイ
ベントが発生したか否かを判別する(ステップS60
8)。ここで、キーオフイベントとは、鍵盤104に対
する離鍵操作がユーザによってなされた場合や、演奏デ
ータに基づいて楽音を発生しているのであればノートオ
フメッセージが出力された場合などのように、キーオン
イベントで発生させた楽音を、今まさに、消音させるべ
きタイミングに至った状態をいう。そして、キーオフイ
ベントが発生したと判別した場合、CPU105は、音
源109に対して、当該キーオフデータを供給する。な
お、MIDI規格のデータであれば、ノートデータを伴
うノートオフメッセージを転送する。すると、音源10
9は、現時点において当該ノートデータで示される音高
の楽音生成を停止する(ステップS609)。これによ
り、キーオンイベントにより発生した楽音が当該キーオ
フイベントにより消音することとなる。なお、キーオフ
イベントも発生していないと判別した場合、CPU10
5は、パネル操作子群102のうち、操作された操作子
の変更内容に応じた処理を実行する(ステップS61
0)。例えば、音量の調節や音色の変更等の設定をした
場合、これらの設定内容を書き換える処理が実行され
る。
【0025】そして、調和成分の信号と非調和成分の信
号とが得られた場合(ステップS604、S606・S
607)、消音処理が終了した場合(ステップS60
9)、あるいは、その他処理が終了した場合(ステップ
S610)、CPU105は、処理の手順を再び図5に
示すメインルーチンに戻して循環処理を続行することと
なる。
【0026】<2−2:信号処理>ここで、上記ステッ
プS503における信号処理について、特に、この信号
処理の実行により、いかにしての図3に示すアルゴリズ
ムが構築されるかについて説明する。なお、この信号処
理は、CPU105の演算能力が高ければ、CPU10
5自体によって実行される構成でも良いが、本実施形態
では、CPU105の負荷を減らすため、上述したよう
にCPU105の制御下においてDSP111によって
実行される構成とする。したがって、本実施形態では、
係数発生器302に相当するCPU105が、距離感を
示すパラメータに応じて係数を供給するとともに、以下
に示す制御手順となるようにDSP111を制御するこ
ととなる。
【0027】図7は、信号処理の手順を示すフローチャ
ートである。第1に、DSP111は、調和成分の信号
に対して係数A1を乗算し、この乗算結果を内部レジス
タに格納する(ステップS701)。このステップが、
図3における乗算器M1の演算に相当している。第2
に、DSP111は、非調和成分の信号に対し係数A2
を乗算し、この乗算結果を内部レジスタに格納する(ス
テップS702)。このステップが、図3における乗算
器M2の演算に相当している。第3に、DSP111
は、上記ステップS701およびS702における乗算
結果をそれぞれ内部レジスタから読み出すとともに、両
者を加算し、この加算結果を内部レジスタに格納する
(ステップS703)。このステップが、図3における
加算器S1の演算に相当している。
【0028】第4に、DSP111は、上記ステップS
703の加算結果を内部レジスタから読み出して係数B
1を乗算し、この乗算結果を内部レジスタに格納する
(ステップS704)。このステップが、図3における
乗算器M3の演算に相当している。第5に、DSP11
1は、以前の信号処理のステップS703において格納
された加算結果を内部レジスタから読み出して係数B2
を乗算し、この乗算結果を内部レジスタに格納する(ス
テップS705)。なお、ここでいう「以前の信号処
理」とは、現時点における信号処理よりも、反射音の遅
延時間に相当する時間前に実行された信号処理をいう。
したがって、ここで読み出される乗算前の信号は、反射
音に相当する時間だけ遅延していることになる。このス
テップが、図3における乗算器M4の演算に相当してい
る。第6に、DSP111は、上記ステップS704お
よびS705における乗算結果をそれぞれ内部レジスタ
から読み出すとともに、両者を加算して、この加算結果
をDAC112に供給する(ステップS706)。この
ステップが、図3における加算器S2の演算に相当して
いる。
【0029】以上のように、DSP111において図3
に示すアルゴリズムが構築される結果、調和成分および
非調和成分からなる楽音信号に対して、ノイズ的な非調
和成分の性質を考慮してリバーブ効果が付与されるの
で、スピーカ101から発せられる楽音には、距離感の
ある音場効果が伴うことになる。
【0030】<3:実施形態の具体的動作>次に、本実
施形態にかかる電子楽器の具体的動作について説明す
る。上述したように、この電子楽器において電源が投入
されると、メイルルーチンの処理が実行されて、初期設
定の後、処理手順がステップS501〜S503におい
て循環することとなる。この循環過程において、例え
ば、ユーザが鍵盤104のいずれかのキーを押鍵する
と、これがキーオンイベントとなるから、押鍵直後のパ
ネル設定処理によって、当該押鍵に対応する楽音信号の
調和成分および非調和成分が生成され、続く信号処理に
よってリバーブ効果が付与された後、発音処理によって
外部に発音されることとなる。また、ステップS502
〜S504の循環過程において、例えば、ユーザが鍵盤
104のいずれかのキーを離鍵すると、これがキーオフ
イベントとなるから、離鍵直後のパネル設定処理によっ
て、当該鍵に対応する楽音信号の生成が停止される。こ
れにより、当該離鍵に対応して消音が行われることとな
る。一方、ステップS502〜S504の循環過程にお
いて、例えば、ユーザがパネル操作子群102を操作す
ると、これがイベントとして検出されるから、操作直後
のパネル設定処理により、その設定内容が変更され、以
後、変更後の設定内容で循環処理が続行されることとな
る。したがって、例えば、ユーザが距離感を示すパラメ
ータをパネル操作子群102で変更すれば、その直後の
パネル設定処理のステップS602において係数A1、
A2、B1およびB2が変更されるから、以降は、変更
後の内容で規定されるリバーブ効果が付与されることと
なる。
【0031】<4:応用例・変更例>なお、本発明は、
既述した実施形態に限定されるものではなく、以下のよ
うな各種の応用例・変形例が可能である。 <4−1:ハードウェアによる効果付与>上述した実施
形態では、DSP111あるいはCPU105によりソ
フトウェア的に構築したアルゴリズムで音場効果を付与
する構成としたが、実際に乗算器や加算器などを用いて
ハードウェア的に付与する構成としたも良い。 <4−2:成分の細分化>また、実施形態では、楽音信
号を、調和成分と調和外成分との2つの成分に分離した
が、これに限られず、例えばノイズの種類等に応じて成
分をさらに細分化してても良い。この場合、係数発生器
302では分離する成分の数に応じた係数を、距離感を
示すパラメータに相関させてそれぞれ生成することとな
る。 <4−3:調和成分と非調和成分との入力>さらに、
「自然音モード」では、外部から入力した1つの信号を
調和成分と非調和成分に分離したが、予め別々に録音し
たものをそれぞれ入力する構成としても良い。 <4−4:モードの混在>くわえて、実施形態では、
「自然音モード」と「電子楽器モード」とを別モードと
したが、両モードを混在させたモードがあっても良い。
この構成により、例えば、調和成分を電子楽器で作成
し、非調和成分を、録音したノイズ等を用いることが可
能となる。 <4−5:効果の種類>一方、実施形態では、付与すべ
き効果の種類をリバーブとして、距離感に応じて、直接
音と反射音とのミキシング比を制御する構成としたが、
本発明はこれに限られない。すなわち、本発明は、調和
成分に対するノイズ等の非調和成分のミキシング比を制
御することにより、楽音信号に距離感を付与する効果の
すべてに適応可能である。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ノイズ等の非調和成分の性質を考慮して、距離感に応じ
た音場効果を付与するので、実際の状況により近い演奏
雰囲気を演出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態かかる電子楽器の構成を示
す図である。
【図2】 同実施形態の電気的構成を示すブロック図で
ある。
【図3】 同実施形態における音場効果付与のアルゴリ
ズムを示すブロック図である。
【図4】 (a)は、距離感を示すパラメータと係数A
1、A2との関係について示す図であり、(b)は、距
離感を示すパラメータと係数B1、B2との関係につい
て示す図である。
【図5】 同実施形態のメイン動作を示すフローチャー
トである。
【図6】 同メイン動作におけるパネル設定処理の詳細
を示すフローチャートである。
【図7】 同メイン動作における信号処理の詳細を示す
フローチャートである。
【図8】 同メイン動作における発音処理の詳細を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
101……スピーカ、102……パネル操作子群(設定
手段)、103……表示部、104……鍵盤、200…
…オーディオ装置、105……CPU、106……RO
M、107……RAM、108……記憶装置、109…
…音源、110……外部インターフェイス、111……
DSP、112……D/A変換器、113……アンプ、
301……リバーブ効果付与部(音場効果付与手段)、
302……係数発生器(レベル制御手段)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2以上の成分信号からなる楽
    音信号に対し、音場効果を付与する音場効果付与装置に
    おいて、 各成分信号のレベルを、それぞれ独立に調整するレベル
    調整手段と、 前記レベル調整手段によりレベル調整された各成分信号
    に所望の音場効果を付与する音場効果付与手段と、 前記レベル調整手段によるレベル調整を、前記音場効果
    付与手段により付与される音場効果に応じて制御するレ
    ベル制御手段とを具備することを特徴とする音場効果付
    与装置。
  2. 【請求項2】 前記楽音信号は、少なくとも、 発生すべき楽音の基本成分およびその倍音成分からなる
    調和成分の信号と、 発生すべき楽音から調和成分を除いた非調和成分の信号
    とからなることを特徴とする請求項1記載の音場効果付
    与装置。
  3. 【請求項3】 前記レベル調整手段は、前記音場効果付
    与手段により付与される音場効果の距離感が遠くなるに
    つれて、前記調和成分の信号に対する前記非調和成分の
    信号のレベル比率を小となるように制御することを特徴
    とする請求項2記載の音場効果付与装置。
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