JPH1194800A - 発生ガス分析方法及び分析装置 - Google Patents

発生ガス分析方法及び分析装置

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JPH1194800A
JPH1194800A JP26791397A JP26791397A JPH1194800A JP H1194800 A JPH1194800 A JP H1194800A JP 26791397 A JP26791397 A JP 26791397A JP 26791397 A JP26791397 A JP 26791397A JP H1194800 A JPH1194800 A JP H1194800A
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JP
Japan
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sample
gas
heating
skimmer
heat
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JP26791397A
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Ken Ogura
謙 小椋
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化、腐食性を考慮することなく試料を高温
に加熱でき、加熱によって発生したガスを直ちに分析で
きる構造とする。 【解決手段】 雰囲気ガスが導入される加熱室3と、加
熱室3の内部に配置され、試料2が接近して設けられる
と共に試料2に熱を伝達する熱伝達部材6と、熱伝達部
材6を加熱するためのエネルギーを供給する加熱手段1
と、ガスが流入するスキマー19を先端に有し、スキマ
ー19がガスの平均自由行程と略同等あるいはそれ以下
の距離を有して試料2に接近するように加熱室3内に挿
入されたガス流路部材7と、ガス流路部材7に流入した
ガスを分析する質量分析計18とを備える。熱伝達部材
6が試料2を間接に加熱するため、酸化、腐食性を考慮
する必要がなく、サンプリングノズル16が接近してい
るため、ガスを直ちに分析できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料を間接加熱し
て試料ガスを発生させ、発生した試料ガスを質量分析計
で分析する発生ガス分析装置及び分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3はヒータによる試料の間接加熱方式
の従来の発生ガス分析装置を、図4はレーザによる直接
加熱方式の従来の発生ガス分析装置をそれぞれ示す。
【0003】図3に示す装置は、試料100が充填され
た試料皿110を反応管120内に載置して加熱するこ
とにより試料100から試料ガスを発生させるものであ
る。反応管120は先端(右端)が開放されており、そ
の内部にはガス導入口120aから雰囲気ガスが導入さ
れ、試料100から発生したガスと雰囲気ガスとが質量
分析計130に供給されて分析される。
【0004】反応管120はガス排出口140aを有し
た排気管140内に挿入されており、この排気管140
の外周にヒータ150が配置されて試料100の加熱が
行われる。この場合、排気管140の先端(右端)は開
口されることによって試料ガスを質量分析計の方へ導く
ためのサンプリングノズル145となっている。
【0005】これらの反応管120及び排気管140
は、第1の真空容器160内に設置されており、第1の
真空容器160には、第2の真空容器170が連結され
ている。第2の真空容器170には、スキマーノズル1
75が取り付けられており、このスキマーノズル175
は第1の真空容器160の中に延びてサンプリングノズ
ル145に同軸的に接近して設けられる。質量分析計1
30は第2の真空容器170内に設けられる。なお、反
応管120内には熱電対180が挿入されて加熱温度の
測定が行われる。また、第1の真空容器160における
反応管120及び排気管140の設置部位外周には、冷
却管190が巻回されている。
【0006】この装置では、真空ポンプによって第1の
真空容器160の内部が10-4Paの圧力まで排気され
る。そして、ヒータ150によって反応管120の内部
を加熱して試料100を加熱すると共に、ガス導入口1
20aから反応管120内に雰囲気ガスを導入する。雰
囲気ガス存在下の加熱によって試料100から発生した
試料ガスは雰囲気ガスと共にサンプリングノズル14
5、スキマーノズル175を経て、第2の真空容器17
0内に導入され、同容器170内の質量分析計130に
よって試料ガスの成分が分析される。
【0007】しかしながら、図3に示す従来の装置で
は、反応管120及び排気管140がヒータ150によ
って高温に加熱されると共に、管の内面が試料ガスある
いは雰囲気ガスに曝されるため、これらの管120、1
40の耐熱温度が加熱の上限となる。このため、試料1
00を加熱する温度が反応管120及び排気管140の
耐熱温度に制限され、石英製の反応管を使用しても18
00℃のような高温での加熱ができず、分析可能温度に
限界を生じている。また、試料ガスあるいは雰囲気ガス
が酸化性や腐食性のガスの場合には、反応管120及び
排気管140がこれらのガスとの反応によって劣化する
ため、充分な加熱ができないばかりでなく、分析を行う
ことができないという問題を有している。
【0008】図4に示す装置は、試料室200と分析室
210とがゲートバルブ220を介して連結されてお
り、試料室200内に試料100が設けられ、分析室2
10内に質量分析計130が設けられている。試料10
0は試料室200内に挿入された予備加熱のためのヒー
ターを備えた試料台270に保持されており、試料室2
00の外部に設けられたレーザ発振器230からのレー
ザ光の照射によって直接加熱される。このレーザ発振器
230の光路上には、レーザ光を試料100に集光させ
る集光レンズ240が挿入されている。又、試料100
とゲートバルブ220との間には、コリメータ250が
配置され、一定方向に飛び出した試料ガスの一部が質量
分析計130に導入されるようになっている。さらに、
加熱された試料100の表面温度を測定する放射温度計
260が試料室200の外部に設けられている。
【0009】この装置では、真空ポンプによって試料室
200及び分析室210の内部が10-6Paの圧力に調
整されており、レーザ発振器230からのレーザ光を照
射することによって試料100を加熱する。この加熱に
よって試料100からガスが発生し、発生したガスはコ
リメータ250、ゲートバルブ220を通って分析室2
10に導入され、質量分析計130によって分析され
る。従って、図4に示す従来の装置では、レーザ光が試
料100の表面に直接照射されるので、試料100の表
面状態が変化する。この変化によってレーザ光の吸収率
が変化するため、熱の発生量も変化する。このため、安
定した加熱ができないと共に加熱の制御が難しいという
問題を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】本発明は、このような従来の問題点を考慮
してなされたものであり、試料を加熱する温度が周囲の
部材によって制限されることがなく、発生した試料ガス
又は雰囲気ガスが酸化性や腐食性のガスであっても分析
が可能で、さらには、試料の加熱を正確且つ安定に制御
できる発生ガス分析装置及び分析方法を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、試料を10
00〜2000℃のような高温に加熱して試料ガスを発
生させる方法、さらに試料と反応性のある雰囲気ガスの
流通条件下に試料を加熱する方法を検討した結果、黒鉛
のような材質のサセプターに試料を取り付け、サセプタ
ーの試料と反対の面にキセノンランプ光を集光して加熱
することにより上記の問題を解決できることを見いだし
た。
【0013】すなわち、本発明の第1は、(a)加熱手
段により熱伝達部材を加熱する工程、(b)加熱された
熱伝達部材を介して試料を加熱し、試料ガスを発生させ
る工程、(c)発生した試料ガスを試料ガスの平均自由
行程と同等以下の距離でスキマーに導入する工程、及び
(d)導入された試料ガスを質量分析計に導入し、分析
する工程、必要に応じて、(e)雰囲気ガスを試料に供
給して雰囲気ガスの存在下に試料を加熱し、スキマー及
びその上流に設けられたサンプリングノズル間を差動排
気する工程、からなる発生ガス分析方法に関するもので
ある。
【0014】本発明の第2は、試料を加熱して試料ガス
を発生させるための加熱手段(1)、加熱手段(1)か
らのエネルギーが供給されて加熱され、この熱を前記試
料に伝達して試料を加熱する熱伝達部材(6)、試料ガ
スが流入するスキマー(19)、及びスキマー(19)
からの試料ガスを分析する質量分析計(18)、必要に
応じて設けられる雰囲気ガス導入口(9)、雰囲気ガス
排気口(10)、スキマー上流にスキマーと同軸的に設
けられたサンプリングノズル(16)及び差動排気口
(17)からなり、熱伝達部材(6)が試料に熱伝達可
能に接近又は接触して設けられており、試料とスキマー
(19)が試料ガスの平均自由行程と同等以下の距離を
有して接近して設けられており、加熱手段(1)により
熱伝達部材(6)を加熱し、加熱された熱伝達部材
(6)により伝達される熱により試料を加熱して試料ガ
スを発生させ、発生した試料ガスをスキマー(19)を
経て質量分析計(18)に供給し、必要に応じて、雰囲
気ガスを試料に供給して雰囲気ガスの存在下に試料を加
熱し、サンプリングノズル(16)及びスキマー(1
9)間を差動排気しながら、試料ガスを分析する発生ガ
ス分析装置に関するものである。
【0015】本発明によれば、加熱手段からのエネルギ
ーによって熱伝達部材が加熱され、熱伝達部材の加熱に
よって試料が間接加熱される。従って、試料を反応管内
に配置して加熱する必要がなく、加熱温度が反応管等の
周囲の部材の耐熱温度に制限されることがなく、高温度
でも加熱を行うことができる。熱伝達部材は、例えば黒
鉛のような高温度の加熱、急激な温度上昇や冷却に耐
え、熱伝導性が良く、不活性なものを使用することがで
きる。さらに、本発明によれば、スキマーが試料ガスの
平均自由行程と同等か、それ以下の距離で試料に接近し
ており、試料ガスが凝縮、分解したり、周囲の部材に付
着する前に直ちにスキマーから質量分析計に試料ガスを
導入することができる。このため、発生した試料ガスの
一部の種類ではなくできるだけ全体に近い種類を分析す
ることができる。又、反応管等の周囲の部材と酸化性や
腐食性の試料ガス又雰囲気ガスとの反応を考慮する必要
がなく、質量分析を行うことができる。かかる加熱は熱
伝達部材を介した間接加熱であり、レーザ光を試料に直
接に照射する必要がなく、レーザ光の照射による試料表
面の状態変化がなくなる。このため、試料の加熱を正確
且つ安定して制御することができる。本発明では、必要
により、加熱室に雰囲気ガスが導入される。雰囲気ガス
としては、不活性ガス、酸化性や腐食性の反応性ガス、
分子イオン検出用のガス等を使用することができる。多
量の雰囲気ガスは試料の加熱にも貢献し、不要の雰囲気
ガスは排気口から排出され、さらにサンプリングノズル
とスキマー間を差動排気することにより、所定の圧力で
試料ガスを質量分析計に導入することができる。従っ
て、反応性ガスを使用して、一定温度での反応性ガスに
よる試料の酸化性、腐食性等を把握することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の分析装置の一実
施形態の断面図、図2はその要部の断面図であり、加熱
手段1が上方に、試料2が配置される加熱室3が下方に
配置されている。1は加熱手段、2は試料、3は加熱
室、4は光源、5は反射鏡、6は熱伝達部材(またはサ
セプタという)、7はガス流路部材、8は加熱用窓、9
は雰囲気ガス導入口、10は排気口、11はスペーサ、
11aはガス通過孔、12は反射板、13は外側容器1
3、14は内側容器、15はフランジ部、16はサンプ
リングノズル、16aはピンホール、17は差動排気
口、18は質量分析計、19はスキマー、19aはピン
ホール、20は排気口、21は放射温度計である。
【0017】加熱手段1は、例えば光をエネルギーと
し、光を照射することによって加熱するものであり、高
温で発光するキセノンランプ等からなる光源4と、加熱
室3に向かって開放された反射鏡5とを備えている。反
射鏡5は楕円形となっており、その曲率の中心部分に光
源4が配置され、光源4が発した光を後述する熱伝達部
材としてのサセプタ6の上面(試料と反対側)に集光す
る。
【0018】この加熱手段1は、そのエネルギーによっ
てサセプタ6を加熱するものであれば、図示する形態以
外のものを使用することができる。従って、炭酸ガスレ
ーザ等のレーザ光をサセプタ6に照射するレーザ管、誘
導加熱によってサセプタ6を加熱する誘導加熱装置、そ
の他のものであってもよい。
【0019】加熱室3は空洞状となっており、その内部
にはサセプタ6及びガス流路部材7が設けられる。加熱
室3の上面は加熱手段1と対向しており、この上面に開
口部が形成され、この開口部にガラス、石英、マイカ、
LiF等の板状の適当な窓材が取り付けられることによ
って加熱用窓8が形成されている。加熱手段1からの光
は、この加熱用窓8から加熱室3内に侵入して、サセプ
タ6に集光されサセプタ6が加熱される。
【0020】加熱室3には、必要に応じて雰囲気ガスを
内部に導入する雰囲気ガス導入口9が形成され、雰囲気
ガス導入口9と反対側にはガスを排気するための排気口
10が設けられている。雰囲気ガスとして、分析の目的
に応じたガスが使用される。例えば、試料2の酸化や腐
食を検査するガスとしては、O2、O3、SO、SO2
SO3、COS、H2S、HCl、NO、NO2、CO等
の反応性ガスが使用される。又、試料2から発生したガ
スを単にガス流路部材7に導入するには、キャリヤガス
として、N2、He、Ar等の不活性ガスが使用され
る。さらに、試料2の分子イオンを推定するためのガス
としては、ブタン、メタン等の低分子量の炭化水素ガス
を使用することができる。
【0021】サセプタ6は、加熱室3の内部における加
熱手段1からの光の集光位置に配置される。サセプタ6
は加熱手段1からの光によって加熱され、この加熱によ
って発生した熱を試料2に伝達して試料2を加熱する熱
伝達部材として作用する。このため、サセプタ6として
は、試料、雰囲気ガスの種類に応じて、黒鉛、セラミッ
ク、金、白金、タンタル、ステンレス、アルミニウム合
金、その他の良好な熱伝導性、より好ましくは良好な熱
伝導性及び大きな耐食性を有した材料が使用される。
【0022】この実施形態では、黒鉛によって矩形断面
に形成されたサセプタ6が使用されている。黒鉛は大き
な熱伝導性を有しており、試料2に熱を効率良く、しか
も迅速に伝達させることができる。又、黒鉛は耐熱性及
び熱衝撃性が大きく、高温に加熱することができると共
に、急激な加熱や冷却に耐えることができる。さらに、
熱膨張率が小さいため、高温に加熱されても変形が少な
く、試料2に対して均一に熱を伝達できるばかりでな
く、熱の伝達効率が低下することがない。これに加え
て、黒鉛は炭素からなるため、多くの試料に対して不活
性であり、又、加熱によって生じるガスがCO、CO2
であり、加熱用窓8を曇らせることがない。
【0023】試料2はかかるサセプタ6の下側に配置さ
れる。このような配置では、加熱手段1からの光はサセ
プタ6を照射してサセプタ6を加熱するが、サセプタ6
によって遮断されるため、加熱手段1からの光が試料2
に直接照射されることがない。試料2はサセプタ6から
の熱が良好に伝達されるようにサセプタ6に接近又接触
するように配置される。熱伝導の観点からは、試料2は
サセプタ6に接触していてもよいが、試料2とサセプタ
6とが反応する場合には、試料2はサセプタ6と小さな
間隔を有した接近状態で配置することが好ましい。
【0024】サセプタ6の下面は試料2から発生した試
料ガスあるいは雰囲気ガスが通過できるように開放され
ており、この開放部分からの試料2の落下を防止するた
め、ジルコニアなどの断熱材からなるスペーサ11が配
置される。スペーサ11の中央部分には、ガス通過孔1
1aが形成されることによって、試料2から発生したガ
スが通過可能となっている。さらに、サセプタ6の周囲
には、複数の反射板12が設けられている。複数の反射
板12は同心円上に配置されてサセプタ6の周囲を包囲
しており、熱線を反射させて熱線を有効に利用すると共
に、輻射による放熱を防止している。
【0025】ガス流路部材7は外側容器13及びその内
部に挿入された内側容器14との2重構造となってお
り、下方から加熱室3内に挿入される。外側容器13に
はフランジ部15が形成されており、このフランジ部1
5が加熱室3に当接することによってガス流路部材7が
加熱室3を閉鎖するように取り付けられる。
【0026】外側容器13の先端には、サンプリングノ
ズル16が上方に突出するように形成されている。サン
プリングノズル16は先尖の円錐形状となっており、そ
の先端部には、ピンホール16aが形成され、このピン
ホール16aからガスがサンプリングノズル16内に流
入する。17は、外側容器13の側面に形成された差動
排気口であり、内部に流入したガスを排出する。
【0027】内側容器14は外側容器13との間に差動
排気のための隙間を有するように外側容器13の内部に
挿入されており、内側容器14の内部には質量分析計1
8が設けられている。質量分析計18としては、単収束
型、2重収束型、4重極型、タイム・オブ・フライト
型、その他のタイプの質量分析計あるいは質量分析器を
適宜使用することができる。
【0028】内側容器14の先端には、スキマー19が
上方に突出するように形成されている。スキマー19は
サンプリングノズル16と同様に先尖の円錐形状となっ
ており、その先端部にはガスが流入するピンホール19
aが形成されている。このスキマー19は、そのピンホ
ール19aがサンプリングノズル16のピンホール16
aに接近するように、サンプリングノズル16内に同軸
的に挿入される。又、内側容器14の後端部分(図で下
端部分)はガスを排出する排気口20となっている。
【0029】この実施形態において、サンプリングノズ
ル16は試料2に極力接近するように配置される。この
ため、試料2とサンプリングノズル16のピンホール1
9aとの距離が、ガスの平均自由行程と同等かあるいは
それ以下の距離となるように設定される。さらに詳しく
は、ガスが複数の場合には、最も短い平均自由行程と同
等か、それ以下の距離に設定されるものである。
【0030】平均自由行程はガス粒子が他の粒子と衝突
したときから次に衝突するまでの自由行程の平均値であ
り、サンプリングノズル16と試料2との距離をこの平
均自由行程と同等か、それ以下とすることにより、試料
から発生したガスを他のガスと衝突する以前に、又、周
囲の部材に付着する以前に、サンプリングノズル16内
に直ちに流入させることができる。このため、ガスが凝
集したり、分解する前にサンプリングノズル16に捕獲
でき、試料から発生したそのもののガスを分析に供する
ことができる。これにより、正確な分析を行うことがで
きる。具体的な数値で示すと、圧力10Paの酸素ガス
雰囲気で、試料2を1800℃まで加熱した場合の平均
自由行程は5mm以上であり、これに対し、試料2の表
面とピンホール19aとの距離を3mm程度に設定する
ことによって平均自由行程以下の距離とすることができ
る。
【0031】この実施形態における試料2としては、有
機物、無機物を問わず適用することができ、又、その形
状も塊状のもの、粉体を固めたものを問わず適用するこ
とができる。又、液体や、加熱や雰囲気ガスとの反応に
よって液体が生成されるものも試料2とすることができ
る。このように液体状の試料や液体を生成する試料の場
合あるいは剥がれやすい粉体の場合には、サセプタ6を
天地逆さに用いると共に、サセプタ6を下方から加熱す
る構造とすることにより可能である。21は、以上の試
料の表面温度を測定する放射温度計である。
【0032】次に、この実施形態による測定を説明す
る。サセプタ6に接近するように試料2を配置し、真空
ポンプを作動させて加熱室3内を101〜10-3Paの
圧力に、外側容器13内を10-3〜10-5Paの圧力
に、内側容器14内を10-4〜10-6Paの圧力に調整
する。そして、加熱手段1の光源4を発光させて、その
光をサセプタ6の上面に集光、照射し、サセプタ6を加
熱する。試料2はこのサセプタ6から放射される輻射熱
や雰囲気ガスの伝熱によって、あるいは試料とサセプタ
が接触している場合には熱伝導によって、間接的に加熱
される。
【0033】このような間接加熱では、試料2の全体を
比較的均一に加熱することができる。又、キセノン光や
レーザ光を試料2に直接に照射するものではなく、直接
照射による試料表面の状態変化がなく、安定した加熱を
制御良く行うことができる。さらに、加熱される部分は
サセプタ6とサセプタを介した試料2だけであり、その
他の部分の耐酸化性や耐腐食性を考慮する必要がない。
このため、その他の部分の耐熱温度に制限されることな
く、例えば1800℃のような充分な高温となるまで加
熱することができる。
【0034】以上のようにして試料2から発生したガス
は、ガスの平均自由行程と同等あるいはそれ以下の距離
となるように接近したサンプリングノズル16のピンホ
ール16aから外側容器13内に直ちに流入する。この
とき、外側容器13内は、加熱室3の圧力よりも1/1
000程度に減圧されており、円滑に外側容器13内に
流入する。従って、低温で凝集する特性を有したガスで
あっても凝集することなく外側容器13内に流入するこ
とができる。これらに加えて、サンプリングノズル16
が円錐形となっており、ガスはその内面に沿って急激に
膨張するため、方向性を有した分子線を形成する。
【0035】サンプリングノズル16から外側容器13
内に流入したガスは、次に、サンプリングノズル16内
に挿入されているスキマー19のピンホール19aから
内側容器14内に流入する。このとき、内側容器14は
外側容器13の圧力の1/10程度となっているため、
雰囲気ガスを供給した場合にも、雰囲気ガスの大部分は
外側容器13と内側容器14の間に拡散して差動排気口
17から排出されるので、所定の圧力の試料ガスと雰囲
気ガスが内側容器14内に流入する。そして、流入した
試料ガスが質量分析計18によって分析される。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが本発
明はこれらに限定されるものではない。 [実施例1]雰囲気ガスとして圧力0.002〜6.5P
aの酸素中で、炭化珪素SiCで被覆された黒鉛を加熱
し、酸化、分解により生成するガス状のC、CO、S
i、CO2、SiOを分析した結果を図5に示す。酸化
反応の開始に対応する温度1460℃、1518℃で酸
化、分解により生成するガス状のC、Siのイオン電
流、それぞれ、イオン電流(m/e=12)、イオン電流(m/
e=28)の急激な増加が認められた。ここで、m/eは質量
電荷比を示す。即ち、Cはm/e=12であり、Siはm/e=28
である。
【0037】[実施例2]試料が液体の場合には、サセプ
タと試料容器を兼ねた円筒容器の使用も可能である。円
筒容器の備える要件は、熱伝導、耐衝撃性に優れている
こと、加熱雰囲気で不活性であること、試料に対して不
活性であることである。図6に示す試料ガスの出口とし
てのピンホール23を備えたタンタル製の平べったい円
筒容器22を用いて、円筒容器22に試料2として銀
(Ag)を入れて、10-6Paに排気した加熱室中で、
キセノン光により1035〜1160℃に加熱し、液体
状態の銀から発生する蒸気を分析した。1035〜11
60℃に加熱された円筒容器内は銀の蒸気で満たされ、
蒸気はピンホール23からスキマー19の方に向かって
噴出する。噴出蒸気は分子線を形成し、スキマー19を
経て四重極型質量分析計18に導入され、質量電荷比m/
e=109の位置にガス状の銀イオンに基づくイオン電流(m
/e=109)が検出された。熱力学データによる銀の平衡蒸
気圧とイオン電流(m/e=109)を比較すると、図7に示
すように、イオン電流(m/e=109)は平衡蒸気圧と正し
く相関することが判る。図7で、太線は銀の熱力学デー
タによる平衡蒸気圧(右縦軸スケール、単位Pa)を、
丸印はイオン電流(m/e=109)(左縦軸スケール単位ア
ンペア(A))を、横軸は試料温度(単位℃)を示す。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱伝達部材としてのサセプタを加熱し、その熱によって
試料を間接的に加熱するため、他の部分の装置材料によ
る制限を受けずに、試料をより高温に加熱することがで
きると共に、酸化、腐食環境での試料の加熱ができ、広
範な分析を行うことができる。又、試料ガスが流入する
サンプリングノズルをガスの平均自由行程又それ以下の
距離で試料に接近させるため、ガスを直ちに分析に供す
るすることができ、凝集性ガスや分解性ガスであって
も、凝集したり、分解することなく、分析することがで
きる。さらに、試料を間接的に加熱してガスを発生さ
せ、発生したガスを直ちにサンプリングノズルに導入し
て分析するため、試料の加熱を制御良く、しかも充分に
行うことができ、発生したガスの分析も正確に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析装置の一実施形態の全体の断面図
である。
【図2】一実施形態のガス発生部分の拡大断面図であ
る。
【図3】ヒータ加熱方式の従来の分析装置の断面図であ
る。
【図4】レーザ加熱方式の従来の分析装置の断面図であ
る。
【図5】本発明における、酸素中で炭化珪素SiCで被
覆された黒鉛を加熱して分析した結果を示す図である。
【図6】本発明における、サセプタと試料容器を兼ねた
円筒容器を示す横断面図である。
【図7】本発明における、銀の平衡蒸気圧と分析測定さ
れたイオン電流(m/e=109)の相関関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 加熱手段 2 試料 3 加熱室 4 光源 5 反射鏡 6 熱伝達部材(サセプタ) 7 ガス流路部材 8 加熱用窓 9 雰囲気ガス導入口 10 雰囲気ガス排気口 11 スペーサ 11aガス通過孔 12 反射板 13 外側容器 14 内側容器 15 フランジ部 16 サンプリングノズル 16aピンホール 17 差動排気口 18 質量分析計 19 スキマー 19aピンホール 20 排気口 21 放射温度計 22 円筒容器 23 ピンホール 24 蓋

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)加熱手段により熱伝達部材を加熱
    する工程、(b)加熱された熱伝達部材を介して試料を
    加熱し、試料ガスを発生させる工程、(c)発生した試
    料ガスを試料ガスの平均自由行程と同等以下の距離でス
    キマーに導入する工程、及び(d)導入された試料ガス
    を質量分析計に導入し、分析する工程、必要に応じて、
    (e)雰囲気ガスを試料に供給して雰囲気ガスの存在下
    に試料を加熱し、スキマー及びその上流に設けられたサ
    ンプリングノズル間を差動排気する工程、からなる発生
    ガス分析方法。
  2. 【請求項2】 試料を加熱して試料ガスを発生させるた
    めの加熱手段(1)、加熱手段(1)からのエネルギー
    が供給されて加熱され、この熱を前記試料に伝達して試
    料を加熱する熱伝達部材(6)、試料ガスが流入するス
    キマー(19)、及びスキマー(19)からの試料ガス
    を分析する質量分析計(18)、必要に応じて設けられ
    る雰囲気ガス導入口(9)、雰囲気ガス排気口(1
    0)、スキマー上流にスキマーと同軸的に設けられたサ
    ンプリングノズル(16)及び差動排気口(17)から
    なり、熱伝達部材(6)が試料に熱伝達可能に接近又は
    接触して設けられており、試料とスキマー(19)が試
    料ガスの平均自由行程と同等以下の距離を有して接近し
    て設けられており、加熱手段(1)により熱伝達部材
    (6)を加熱し、加熱された熱伝達部材(6)により伝
    達される熱により試料を加熱して試料ガスを発生させ、
    発生した試料ガスをスキマー(19)を経て質量分析計
    (18)に供給し、必要に応じて、雰囲気ガスを試料に
    供給して雰囲気ガスの存在下に試料を加熱し、サンプリ
    ングノズル(16)及びスキマー(19)間を差動排気
    しながら、試料ガスを分析する発生ガス分析装置。
JP26791397A 1997-09-12 1997-09-12 発生ガス分析方法及び分析装置 Withdrawn JPH1194800A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008304340A (ja) * 2007-06-08 2008-12-18 Hitachi Ltd 試料分析法および装置
JP2009115651A (ja) * 2007-11-07 2009-05-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 試料導入装置、試料分析装置及び試料分析システム
JP2011232109A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Ngk Insulators Ltd 発生気体分析装置
JP2011232108A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Ngk Insulators Ltd 発生気体分析装置

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