JPH1192568A - スポンジ状球状粒子およびその製造方法 - Google Patents

スポンジ状球状粒子およびその製造方法

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JPH1192568A
JPH1192568A JP10022734A JP2273498A JPH1192568A JP H1192568 A JPH1192568 A JP H1192568A JP 10022734 A JP10022734 A JP 10022734A JP 2273498 A JP2273498 A JP 2273498A JP H1192568 A JPH1192568 A JP H1192568A
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泰興 佐々木
Osamu Murayama
修 村山
Tetsuo Sekikawa
▲てつ▼夫 関川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度と取り扱いに優れるポリビニルアセター
ルを骨格とするスポンジ状多孔性球状粒子を提供するこ
と。 【解決手段】 本発明の含水スポンジ状多孔性球状粒子
は、ポリビニルアルコール、アルギン酸およびデンプン
の混合液を、塩化カルシウム溶液に滴下し、ついで、ア
セタール化して得られる。本発明のスポンジ状球状粒子
は、(1) 微生物等が自由に移動できる空間を有し、(2)
粒子内部にも微生物が付着でき、(3) 流動性があり、
(4) 機械的強度(耐摩耗性)に優れ、かつ(5) 弾力性を
有するので、担体として利用したときの寿命が延びる。
また、乾燥しても復元可能であり、(6) 乾燥状態にして
圧縮できるので、搬送コストが減少する。また、(7) そ
のまま排水に投入するだけで自然に微生物が球状粒子に
付着できるので、微生物が簡単に固定化されるという特
徴を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポンジ状多孔性
球状粒子およびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、特に、微生物の固定化用担体として、強度と取り扱
いに優れるポリビニルアセタールを骨格とするスポンジ
状多孔性球状粒子、その製造方法、並びに廃水処理への
利用に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素あるいは微生物を担体に固定して反
応器内に充填し、いわゆるバイオリアクターとして、種
々の有用物質の生産に利用する、あるいは廃水処理等に
利用する試みは従来から行われている。固定化微生物を
用いるバイオリアクターの形式としては、反応槽の内部
に微生物を固定化して使用する固定床型あるいは固定化
微生物を流動させながら使用する流動床型とがあげられ
る。廃水処理において、特に脱窒を目的とする場合に
は、流動床型が用いられる。
【0003】この流動床型に用いる固定化微生物の担体
としては、比重が小さく、流動しやすい担体が望まれる
ため、無機の担体よりも有機高分子系の担体が用いられ
るのが一般的である。有機高分子系の担体としては、例
えば、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、ポリエ
チレングリコール等のゲル状担体、あるいはポリエチレ
ン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、セルロース等
の多孔質体がある。しかし、ゲル状担体は微生物との親
和性は優れているものの、一般に、機械的強度(耐摩耗
性能)が劣っており、流動床中での担体同士の摩擦や反
応槽内壁との摩擦により摩耗し易く、担体寿命が短いと
いう欠点がある。また、多孔質体は耐候性が低く、セル
ロースについてはそれ自身が生物分解を受け易く、長期
使用において担体が崩壊し易く、寿命が短いという問題
がある。
【0004】上記有機高分子のゲル状担体の中でも、ポ
リビニルアルコール(以下、PVAと略す)ゲルは、親
水性および流動性に優れているので、廃水処理用の担体
として利用されている。しかし、PVAゲルは、上述の
ように、機械的強度がまだ十分でなく、かつ、生産性も
高くない。そこで、PVAゲル状担体の機械的強度を高
め、さらに生産性性を高めるために、PVAゲルを球状
にしたり、ホルマール化する試みがなされている。例え
ば、特開平7−41516号公報には、PVAとアルギ
ン酸とを混合して塩化カルシウム溶液に滴下して球状に
成型した後、ホルムアルデヒドでホルマール化して球状
のポリビニルホルマール(PVF)ゲルを得る方法が開
示されている。また、特開平9−124731号公報に
は、特開平7−41516号と同様の方法で球状ゲル粒
子を得て、これを凍結、解凍して、網目構造を有する球
状ゲル粒子を開示している。このゲルは、硫酸ナトリウ
ムを添加してゲルの膨潤を抑制しつつホルマール化され
ており、ホルマール化度が30%程度であり、網目構造
も小さいので、ゲル自身の弾性も低く、乾燥した場合に
は、脆く崩れやすいと考えられる。従って、機械的強度
は改善されるものの、乾燥状態にできないため、含水状
態のまま運搬する必要があり、運搬コストが高いという
欠点が生じる。
【0005】また、上記方法で球状化されたPVFの表
面には、大きな開口部はないと考えられる。従って、上
記PVA球状粒子は、強度は改善されているものの、た
とえ、開口部があったとしても、その開口部は小さいと
考えられることから、微生物の付着が表面のみとなり、
微生物の付着が十分でないという欠点は解消されない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリビニル
アセタール樹脂を骨格とするゲル状粒子が有する上記問
題点を解決することを目的とするものである。本発明
は、ポリビニルアセタール樹脂をスポンジ状とすること
により、上記ゲル状のポリビニルアセタール球状樹脂の
有する問題点を見事に解決したものである。本発明によ
り、(1)表面に適度な大きさの開口部を有するのみな
らず、この開口部と連通する孔を有するので、孔内を微
生物および培地(あるいは廃水)が自由に移動できる、
(2)適度な大きさの孔を有する結果、微生物が表面の
みならず連通孔内にも付着でき、例えば、廃水処理の効
率は大きく上昇する、(3)高い気孔率を有して、見か
けの比重が小さいので流動しやすく、(4)気孔率が高
いにも係わらず、機械的強度(耐摩耗性)に優れかつ弾
力性を有し、(5)乾燥しても、高い機械強度を有する
ので、圧縮可能であり、搬送コストを大きく減少でき、
(6)乾燥後含水させて元の状態に戻り、もとの含水ゲ
ルが有する強度、スポンジ状弾性、高い気孔率を有し、
および(7)含水状のあるいは乾燥した球状粒子をその
まま排水に投入するだけで自然に微生物が球状粒子に付
着(あるいは結合、凝集)するという極めて優れた性質
を有し、そして優れた効果を奏する、ポリビニルアセタ
ール樹脂を骨格とするスポンジ状の球状粒子並びにその
製造方法が提供される。
【0007】本発明の「少なくとも一つの開口部とそれ
に繋がる連通気孔を有する、ポリビニルアセタール樹脂
を骨格とする含水スポンジ状多孔性球状粒子」(以下、
単に、「本発明の含水スポンジ状球状粒子」あるいは
「球状粒子」という場合がある)は、流動床型のバイオ
リアクター、特に廃水処理等に適している。そして、そ
の特性により、農作物の水耕栽培における溶液保持材、
植物支持材、動植物細胞の固定化担体、人工水苔、土壌
改良材、配管洗浄部材、濾過材、吸水材等に好適に用い
られる。また、水中流動型洗浄部材あるいは水中流動型
マッサ一ジ部材としても使用できる。水中流動型洗浄
は、水中に球状粒子と洗浄対象物(例えば、野菜)とを
入れ、水槽の底部より泡を発生させて全体をバブリング
しながら、球状粒子と洗浄対象物とを接触させて、洗浄
対象物を洗浄する方法である。この方法は、表面がデリ
ケートな野菜や凹凸の多い野菜などを洗浄するのに好適
である。水中流動型マッサ一ジは、浴槽などの水槽中に
球状粒子を流動させながら人体に接触させることにより
皮膚に刺激を与えマッサージ効果を得る方法である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
つの開口部とそれに繋がる内部の連通気孔を有する、ポ
リビニルアセタール樹脂を骨格とする含水スポンジ状多
孔性球状粒子に関する。
【0009】好適な実施態様においては、前記ポリビニ
ルアセタールがポリビニルホルマールである。好適な実
施態様においては、前記開口部の平均孔径が約1〜50
μmである。そして、好適な実施態様においては、 前記
連通気孔に含まれる水が容易に空気と置換される。
【0010】さらに、好適な実施態様においては、前記
内部の連通気孔の平均気孔径が40〜100μmであ
り、平均気孔率が50〜98%である。そして、好適な
実施態様においては、アセタール化度が50〜85モル
%であり、さらに、好適な実施態様においては、見かけ
の比重が1.00〜1.20である。
【0011】また、本発明は、膨潤したときに、少なく
とも一つの開口部とそれに繋がる内部の連通気孔を有す
るポリビニルアセタール樹脂を骨格とするスポンジ状多
孔性球状粒子を形成する、乾燥スポンジ状多孔性球状粒
子に関する。
【0012】好適な実施態様においては、前記ポリビニ
ルアセタールがポリビニルホルマールである。また、好
適な実施態様においては、前記乾燥スポンジ状球状粒子
は、膨潤したときに、開口部の平均孔径が約1〜50μ
mである。そして、好適な実施態様においては、 前記連
通気孔に含まれる水が容易に空気と置換される。
【0013】さらに、好適な実施態様においては、前記
乾燥スポンジ状球状粒子は、膨潤したときに、内部の連
通気孔の平均気孔径が40〜100μmであり、平均気
孔率が50〜98%である。そして、好適な実施態様に
おいては、アセタール化度が50〜85モル%であり、
さらに、好適な実施態様においては、含水状態における
見かけの比重が1.00〜1.20である。
【0014】さらに、本発明は、以下の工程:(1)ポ
リビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る高分子多
糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを含有する
溶液に滴下することにより球状のポリビニルアルコール
成形物を得る工程;および(2)得られた球状のポリビ
ニルアルコール成形物をアセタール化する工程;を含
む、含水スポンジ状多孔性球状粒子の製造方法に関す
る。
【0015】また、本発明は、以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
ルコール成形物を得る工程; (2)得られた球状のポリビニルアルコール成形物をア
セタール化して含水スポンジ状多孔性球状粒子を得る工
程;および (3)得られた含水スポンジ状多孔性球状粒子を乾燥す
る工程;を含む、乾燥スポンジ状多孔性球状粒子の製造
方法に関する。
【0016】好適な実施態様においては、前記2つの方
法において、気孔形成剤が高温で膨潤し得る気孔形成剤
であり、前記陽イオンを含有する溶液の温度が、前記気
孔剤が膨潤する温度以上の温度である。好適な実施態様
においては、前記気孔形成剤がデンプン類である。
【0017】また、好適な実施態様においては、前記2
つの方法において、前記高分子多糖類がアルギン酸また
はその塩であり、陽イオンがカルシウムイオンである。
【0018】さらに、好適な実施態様においては、前記
2つの方法において、前記アセタール化がホルムアルデ
ヒドで行われる。
【0019】好適な実施態様においては、前記乾燥する
工程が前記スポンジ状多孔性球状粒子をプレスする工程
を含む。
【0020】また、本発明は、含水スポンジ状多孔性球
状粒子であって、以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
ルコール成形物を得る工程;および、(2)得られた球
状のポリビニルアルコール成形物をアセタール化する工
程;を含む方法で得られる、含水スポンジ状多孔性球状
粒子に関する。
【0021】好適な実施態様においては、 前記気孔形成
剤が高温で膨潤し得る気孔形成剤であり、前記陽イオン
を含有する溶液の温度が前記気孔剤が膨潤する温度以上
の温度である。
【0022】さらに、本発明は、乾燥スポンジ状多孔性
球状粒子であって、以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
ルコール成形物を得る工程; (2)得られた球状のポリビニルアルコール成形物をア
セタール化して含水スポンジ状多孔性球状粒子を得る工
程;および(3)得られた含水スポンジ状多孔性球状粒
子を乾燥する工程;を含む方法により得られる、乾燥ス
ポンジ状多孔性球状粒子に関する。
【0023】好適な実施態様においては、前記気孔形成
剤が高温で膨潤し得る気孔形成剤であり、前記陽イオン
を含有する溶液の温度が、前記気孔剤が膨潤する温度以
上の温度である。
【0024】好適な実施態様においては、前記乾燥工程
の後に、さらにプレス工程を経て得られた乾燥スポンジ
状多孔性球状粒子である。
【0025】また、本発明は、以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
含有する溶液中にノズルで押し出し、紐状のポリビニル
アルコール成形物を得る工程;および(2)得られた紐
状のポリビニルアルコール成形物をアセタール化して紐
状の含水スポンジ状多孔性ポリビニルアセタールを得る
工程;を含む、紐状または粒状の含水スポンジ状多孔性
ポリビニルアセタールの製造方法に関する。
【0026】さらに、本発明は、(1)ポリビニルアル
コール、陽イオンでゲル化し得る高分子多糖類および気
孔形成剤の混合液を、陽イオンを含有する溶液中にノズ
ルで押し出し、紐状のポリビニルアルコール成形物を得
る工程; (2)得られた紐状のポリビニルアルコール成形物をア
セタール化して紐状の含水スポンジ状多孔性ポリビニル
アセタールを得る工程; および、(3)得られた含水
スポンジ状多孔性ポリビニルアセタールを乾燥する工
程;を含む、紐状または粒状の乾燥スポンジ状多孔性ポ
リビニルアセタールの製造方法に関する。
【0027】さらに、本発明は、含水スポンジ状多孔性
球状粒子、乾燥スポンジ状多孔性球状粒子、紐状または
粒状の含水あるいは乾燥スポンジ状多孔性ポリビニルア
セタールからなる、微生物固定化用担体に関する。
【0028】そして、本発明は、前記微生物固定化用担
体を排水に添加する工程を含む、排水の処理方法に関す
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、詳細に説
明する。本発明は、少なくとも一つの開口部とそれに繋
がる内部の連通気孔を有する、ポリビニルアセタールを
骨格とするスポンジ状球状粒子に関する。まず、本発明
において、「スポンジ状」とは、いわゆる合成スポンジ
のような、孔径の大きい気孔を有し、圧縮しても元に戻
る弾性があることを意味し、いわゆる「ゲル」とは異な
る概念を意味する。
【0030】一般に、ゲルとは、広義には、(1) 水分を
多量に含み、一様な分散状態をとった状態(例えば、寒
天、コンニャク、ゼリー等)および、(2) 水分が少な
く、空隙を持つ網目構造をとった状態(例えば、シリカ
ゲル)と定義されている。上記特開平7−41516号
あるいは特開平9−124731号公報に記載の含水ゲ
ル成形物は、その記載内容を検討すると、上記定義(2)
ではなく、(1) のゲルと考えられる。
【0031】ところで、含水スポンジと含水ゲルとは、
共にその内部に多数の孔とその孔に満たされた水を有し
ている。一般にゲルの場合、この孔が分子レベルから数
ミクロンと微細であり、スポンジでは、これよりも大き
い径のものを指すことが多い。しかし、気孔径だけで
は、明確に区別がつかず、この孔から、特別な操作をし
なくとも容易に水が流出でき、かつ空気と置換されて、
元の大きさ程度に復元できるものをスポンジといい、そ
うでないものをゲルということができる。ここで、「容
易に水が流出でき」とは、外圧を加えて変形させれば水
分が流出することをいう。
【0032】例えば、食器洗い、洗車等に用いられる海
綿状のものは、外圧により変形等させて、内部の孔に保
持された水が絞り出され、かつ、その内部の孔に、水の
代わりに空気を流入させることができるものであるか
ら、スポンジであり、他方、上記寒天、コンニャク等の
ゼリー状のものは、外圧をかけても、内部の孔に保持さ
れた水を絞り出すことができず、かつ、その孔に水の代
わりに空気を流入させることもできないので、いわゆる
「ゲル」ということができる。
【0033】また、外圧変化を伴わないで水分を取り除
く手段として、乾燥手段がある。この手段は、加熱等に
より孔内部の水分を除去する手段である。ゲルを乾燥さ
せたときには、著しく体積が収縮するが、これは、水の
表面張力によるものであると考えられる。表面張力は、
孔の大きさが微細な程、大きくなる。そして、常温常圧
状態で、微細形態の孔の内部に含まれる水(液体)が直
接気化すると、孔内で水の表面張力が働くため、孔の微
細形態が著しく損なわれて、つぶれた状態となるためと
考えられる。他方で、スポンジは、同じ力の表面張力が
作用したとしても、孔を形成する骨格自身の強度が高
く、この表面張力に対抗できるので、孔の形態は維持さ
れ、体積収縮も抑制される。ポリビニルホルマール(P
VF)の場合、ホルマール化度が高いほど、骨格強度は
高くなる。
【0034】上記のように、スポンジとゲルとは、気孔
径が異なる、外圧による変形の仕方が異なる、乾燥時の
挙動が異なる等の相違点がある。PVFの場合、気孔径
が小さいほど、また、ホルマール化程度が低い程、ゲル
としての性質が強くなる。例えば、平均気孔径が約60
μm程度のPVFでは、アセタール化度約30%以上程
度のものはスポンジ状であり、それ未満のものはゲル状
である。これに対して、平均気孔径が約15μm程度の
PVFは、アセタール化度が50%以上でなければ、ス
ポンジ状にならない。
【0035】また、「球状」は、真球のみならず、やや
変形した球形のもの(例えば、卵形等)も含む。
【0036】本発明において「開口部とそれに繋がる内
部の連通気孔」とは、粒子表面上の一つの開口部とそれ
に繋がる気孔が、内部で連絡して、空洞状(中空状)を
なしていることを意味する。
【0037】本発明のスポンジ状球状粒子の、開口部の
平均孔径は、約1〜約50μm、好ましくは、5〜20
μmである。そして、開口部は内部の気孔と連通してい
る。従って、本発明の孔の大きさおよびその構造は、通
常問題とされる分子レベルでの網目構造とは異なる。従
って、本発明のスポンジ状球状粒子は、網目構造を有す
る単なるゲルとは異なる。また、この孔の大きさは、水
や空気が自由に移動できる大きさであり、例えば、廃水
処理においては、微生物の生育に必要な養分および処理
されるべき物質が自由に移動できるため、微生物が増殖
し、汚染物質が速やかに除去されるという効果をもたら
す。従って、開口部の平均孔径が約1μmより小さい
と、微生物の付着は起こるものの、物質の移動が妨げら
れる可能性がある。また、約50μmより大きくなる
と、気孔率との関係でスポンジ強度の問題が生じる可能
性がある。
【0038】なお、内部の連通気孔の平均気孔径およ
び、開口部の孔径は、ASTM(Designation :D4404-84)
に基づき、例えば、POROUS MATERIALS, INC 社製ポロシ
メーターを用いる水銀圧入法で測定できる。
【0039】本発明のスポンジ状球状粒子の含水状態に
おける平均気孔率は、約50〜98%が好ましく、約7
0%〜95%がより好ましく、 最も好ましくは、約85
〜93%である。気孔率が約50%より小さいと、連通
気泡が生じにくくなり、気孔率が約98%を超えると、
粒子の耐摩耗性などの機械的強度が低下するため、用途
によってはその使用が制限される等の問題が生ずる場合
がある。
【0040】平均気孔率は、見かけ体積(Va)及び真
体積(V)を測定して、式:ε=(1―V/Va)×1
00(%)により求められる。見かけ体積(Va)は、
例えば、ノギスを用いて、3箇所で測定した、含水状態
のサンプルの直径の平均値として求められる。また、真
体積(V)は、例えば、島津製作所製乾式自動密度計ア
キュビック1330(商品名)を用いて測定される。
【0041】本発明において、「ポリビニルアセタール
樹脂を骨格とする」とは、ポリビニルアセタール樹脂で
球状の形態を維持していることを意味する。従って、ポ
リビニルアルコールの水酸基のすべてが、ポリビニルア
セタール化されていなくともよいこと、つまり、アセタ
ール度化が100%でなくともよいことを意味する。
【0042】本発明のスポンジ状球状粒子のアセタール
化度は、約50〜85モル%が好ましい。より好ましく
は、約50〜75モル%、さらに好ましくは、55〜7
0モル%である。アセタール化度が50モル%より小さ
い場合、分子架橋度が低くなり、従って、強度が十分で
なく、摩擦堅牢度が低くなる。従って、特に、流動床型
の担体として用いる場合、担体同士の摩擦や反応槽内壁
との摩擦により摩耗しやすく、担体寿命が低下する。ア
セタール化度が85モル%を超えると、気孔率が低下
し、見かけ比重が増加して含水率が低下する。そのた
め、流動床型の担体として用いる場合、沈降し易く(浮
遊しにくく)なるため、処理槽内における流動性が低下
する。さらに、球状粒子中の水酸基量が減少することに
より、球状粒子の親水性が低下するため好ましくない。
また、含水時の反発弾性も低くなり、好ましくない。特
に、乾燥球状粒子とする際に圧縮加工した場合、元の形
状に復元しにくくなる。
【0043】なお、アセタール化度は、重水素クロロホ
ルムおよびトリフルオロ酢酸水溶液中でのプロトンNM
R測定から次式により求められる。 アセタール化度F=(a/c)×100(%) aは、エーテル基に隣接するメチレンプロトン(例え
ば、4.667、5.150、5.313、および5.
326ppm)のピーク強度の合計をあらわし、cはメ
チンプロトン(例えば、4.153、4.442pp
m)のピーク強度の合計を表す。
【0044】本発明のスポンジ状球状粒子の含水状態に
おける見かけの比重は、約1.00〜1.20であるこ
とが流動性を良好に発揮する上で好ましい。好ましく
は、1.00〜1.05である。見かけ比重が1.00
より小さい場合、流動床型に用いても担体は浮遊するだ
けで、流動性に欠け、例えば廃水の処理が困難となる。
また、見かけ比重が1.20を超えると沈降し易くな
り、この場合も流動性に欠ける。
【0045】なお、含水状態における見かけの比重は、
以下の計算式で求めた。 含水状態における見かけの比重D20=(W/V)×(S
T /S20) D20:水温20℃における完全含水状態のポリビニルア
セタール 多孔性球状粒子の比重(g/ml) W:水温T℃における完全含水状態のポリビニルアセタ
ール 多孔性球状粒子の重量(g) V:水温T℃における完全含水状態のポリビニルアセタ
ール 多孔性球状粒子の体積(ml) ST :水温T℃における蒸留水の比重(g/ml) S20:水温20℃における蒸留水の比重(g/ml)
【0046】本発明のスポンジ状球状粒子は、含水状態
での大きさが約lmm〜20mmであることが好まし
い。この大きさの粒子は、流動性もよく、廃水処理等で
処理能力を発揮することができる。粒子の大きさが約2
0mmを超えると、粒子の流動性が低下するばかりでな
く、有効表面積が小さくなるため、微生物を高濃度で維
持することが困難となり、処理能力が低下する。粒子の
大きさがlmmより小さい場合は、排出口に回収フィル
ターを設置した汚水処理装置等に使用した場合に、回収
フィルターが目詰まりするおそれがある。なお、本発明
のスポンジ状球状粒子の大きさは、後述するように任意
に調節し得る。
【0047】本発明の含水スポンジ状球状粒子から水分
を除くことにより得られる乾燥スポンジ状多孔性球状粒
子(以下、「乾燥スポンジ状球状粒子」という)は、そ
のスポンジ状の弾力性を有することに起因して、復元性
に優れている。この点が、従来のゲルと大きく異なる点
でもある。すなわち、本発明の乾燥スポンジ状球状粒子
は、含水状態にすると膨潤し、膨潤したときに、少なく
とも一つの開口部とそれに繋がる連通気孔を有するポリ
ビニルアセタール樹脂を骨格とするスポンジ状多孔性球
状粒子を形成する。本発明の乾燥スポンジ状球状粒子
は、水酸基を適度に有するために水分の吸収を容易に
し、そして、膨潤した後は、上記含水スポンジ状多孔性
球状粒子が有する開口部、平均気孔径、含水状態におけ
る見かけの比重等の特徴を有する。なお、乾燥スポンジ
状多孔性球状粒子には、乾燥後、圧縮して得られる、圧
縮された乾燥スポンジ状多孔性球状粒子がふくまれるこ
とはいうまでもない。
【0048】上記の特徴を有する本発明のスポンジ状球
状粒子は、(1)表面に適度な大きさの開口部を有する
のみならず、この開口部と連通する孔を有するので、孔
内を微生物および培地(あるいは廃水)が自由に移動で
きる、(2)適度な大きさの孔を有する結果、微生物が
表面のみならず連通孔内にも付着でき、例えば、廃水処
理の効率は大きく上昇する、(3)高い気孔率を有し
て、見かけの比重が小さいので流動しやすく、(4)気
孔率が高いにも係わらず、機械的強度(耐摩耗性)に優
れかつ弾力性を有し、(5)乾燥しても、高い機械強度
を有するので、圧縮可能であり、搬送コストを大きく減
少でき、(6)乾燥後含水させて元の状態に戻り、もと
の含水ゲルが有する強度、スポンジ状弾性、高い気孔率
を有し、および(7)含水状のあるいは乾燥した球状粒
子をそのまま排水に投入するだけで自然に微生物が球状
粒子に付着(あるいは結合、凝集)するという極めて優
れた性質および効果を有する。従って、本発明のスポン
ジ状球状粒子および乾燥スポンジ状球状粒子は、微生物
の固定化用担体として、極めて優れている。
【0049】また、本発明の含水スポンジ状球状粒子あ
るいは乾燥スポンジ状球状粒子は、用途に応じて、包括
固定化用の担体としても用いることができる。包括固定
化は、(1 )微生物を高濃度に保持し、排水の高速処理
を図ることができ、(2 )特定の微生物を固定化するこ
とにより、特定物質の処理または有機物の回収が可能と
るという特徴を有している。
【0050】本発明の含水スポンジ状球状粒子あるいは
乾燥スポンジ状球状粒子に微生物を包括固定化するに
は、例えば、微生物と微生物固定化剤とを含む混合溶液
に、本発明のスポンジ状球状粒子あるいは乾燥スポンジ
状球状粒子を含浸させ、微生物固定化剤を不溶化させる
ことで達成できる。
【0051】微生物固定化剤としては、特に制限はない
が、アルギン酸ナトリウムは本発明に用いるポリビニル
アセタール系の樹脂と適合性があり、充填、固定化しや
すいので、好適に用いられる。本発明の含水または乾燥
スポンジ状多孔性球状粒子を、微生物を含むアルギン酸
ソ一ダの混合溶液に含浸させ、ついで、塩化カルシウム
水溶液等の多価金属塩水溶液と反応させ、アルギン酸ナ
トリウムを多孔性球状粒子の表面及び/または連通孔内
でゲル化させることにより、微生物を包括固定したスポ
ンジ状多孔性球状粒子を得ることができる。なお、微生
物固定化剤を連通孔内に流入させるために、減圧処理を
行うことが望ましい。
【0052】このように、本発明のスポンジ状球状粒子
は、吸着法(付着、凝集、生物膜形成等を含む)および
固定化法の担体として、並びに、流動床型および固定床
型バイオリアクター用の担体としても使用可能である。
流動床型のバイオリアクターは、特に廃水処理等に好適
に用いられ、有機物質等の分解のほか、硝化脱窒などの
酸化還元や、付加、置換、変換、脱離などの化学反応を
行うことができる。
【0053】また、本発明の方法を応用して、球状以外
の形状の含水スポンジ状多孔性粒子および乾燥スポンジ
状多孔性粒子を作成することができる。粒子の形態とし
ては、サイコロ(立方体)状、長方形状等の形態挙げら
れる。これらの粒子は、上記本発明の含水スポンジ状球
状粒子および乾燥スポンジ状球状粒子と実質的に同一の
性質、特徴および効果を有し、流動床型のバイオリアク
ターに用いられる。もちろん、その形態を生かして、固
定床型バイオリアクターにも用いられる。また、これら
のスポンジ状多孔性粒子から、球状粒子を製造すること
もできる。
【0054】次に、本発明のスポンジ状球状粒子の製造
方法を説明する。その製造方法には、 以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
ルコール成形物を得る工程;および(2)得られた球状
のポリビニルアルコール成形物をアセタール化する工
程;が含まれる。
【0055】すなわち、本発明の方法においては、ま
ず、PVA、陽イオンでゲル化し得る高分子多糖類およ
び気孔形成剤の混合液を作成する。次いでこの混合液
を、陽イオンを含む溶液中に滴下することにより、液滴
中の高分子多糖類が球状のままゲル化して、ポリビニル
アルコール成形物を製造する。
【0056】PVAとしては、平均重合度が500〜3
800のPVAが望ましい。PVAは、完全ケン化であ
ってもよく、部分ケン化物であってもよく、また、低重
合度物を混合したものであってもよい。平均重合度が5
00未満の場合は、高気孔率を有するスポンジ状球状粒
子を得ることが困難になり、平均重合度が3800を超
える場合は、水に溶解したときの粘度が高くなりすぎる
ため、混練工程において取り扱いが困難となる。なお、
重合度の異なるポリビニルアルコール原料をブレンドし
て使用することもでき、また、上記重合度範囲のPVA
に限らず、例えば、重合度1500のPVAと重合度3
00のPVAとを混合して使用してもよい。
【0057】PVAの濃度は、特に限定されるものでは
ないが、一般に、5〜15重量%が好ましく、7〜10
重量%がより好ましく、7〜9重量%がさらに好まし
い。PVA濃度が15重量%を超える場合は、溶液の粘
度が高くなりすぎて、取り扱いが困難となるばかりでな
く、球状に成型するために滴下する際に、糸を引いたよ
うなしずく状の粒子が生成され、真球又は真球に近い球
状の粒子ができにくくなる。さらに、気孔率が低下し
て、球状粒子が固くなる。また、PVA濃度が5重量%
より低い場合、球状粒子の骨格を形成するポリビニルア
セタール樹脂の量が少なく、球状粒子の強度が低下する
ので、好ましくない。
【0058】陽イオンでゲル化し得る高分子多糖類とし
ては、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カ
ラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分
子多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。ゲル
化速度の速さ、ゲルの状態などを考慮するとアルギン酸
ナトリウムが最適である。アルギン酸ナトリウムの分子
量は、特に限定されないが、高分子量のアルギン酸ナト
リウムを用いた場合は、ゲル化速度が早く、きれいな粒
子が製造されやすい。アルギン酸ナトリウムの分子量が
高すぎると、溶液にした際の粘度が高くなりすぎて、し
ずく状の粒子となりやすく、好ましくない。例えば、2
0℃、4%濃度で30dPA ・ sec 程度の粘性をもつアル
ギン酸ナトリウムが好適に用いられるが、これに限定さ
れない。
【0059】陽イオンでゲル化し得る高分子多糖類の濃
度が高い場合は、溶液の粘度が増大し、混合液の滴下に
支障をきたすことが多い。他方、濃度が低い場合は、ゲ
ルの生成反応速度が小さくなり、球状粒子が得られにく
くなる。アルギン酸ナトリウムの場合は、分子量にもよ
るが、約0.3〜3重量%が好ましく、特に、約0.5
〜1.5重量%が好適である。アルギン酸ナトリウムの
濃度が0.3重量%より少さい場合は、水面又は水中に
おける水溶性高分子多糖類自身の表面張力よりも分散力
の方が強くなり、高分子多糖類が水をかかえ込めなくな
り、水面上で拡散する。他方、アルギン酸ナトリウムの
濃度が約3重量%を超えると、滴下に際して、糸を引い
た状態で溶液中に注入される結果、均一径の球状粒子が
得られにくくなる。
【0060】気孔形成剤は、直接、球状粒子の成型等に
は関与しないが、後に取り除かれて、空洞を形成する。
これにより、連通孔を有するスポンジ状球状粒子が得ら
れる。アセタール化反応を酸性条件下で行うので、酸性
条件下で溶解除去される気孔形成剤が、製造上好適であ
る。気孔形成剤は高温で膨潤し得ることが望ましい。例
えば、PVA、陽イオンでゲル化する高分子多糖類との
混合物中では、気孔形成剤は粒子状であるが、陽イオン
含有溶液で球状に成型する際に膨潤させれば、気孔形成
剤を含有する空間が膨張して連続するようになり、連通
孔が形成されやすくなる。また、混合液の作成を気孔形
成剤が膨潤する温度で行ってもよいが、望ましくは膨潤
させない。
【0061】このような気孔形成剤として、デンプンが
好適である。デンプンは、その種類を問わない。例え
ば、タピオカデンプン、コーンスターチ等が挙げられ
る。添加するデンプンの濃度は、約3〜8%が適切であ
る。約8%より高くなると、ホルマール化反応速度が遅
くなるとともに、作成した含水スポンジ状球状粒子の反
発弾性が低下するという問題があり、約3%より低くな
ると、ホルマール化反応時の収縮が大きくなり、作成し
た含水スポンジ状球状粒子の気孔率が低下するという問
題がある。反応温度は、通常、35℃以上が好ましい。
気孔形成剤を膨張させて用いる場合は、その膨張開始温
度以上とする。従って、予め、その気孔形成剤の膨潤温
度を検討しておくことが好ましい。例えば、タピオカデ
ンプンは約60℃から膨潤(糊化)を始め、約70℃で
ピークとなる(粘度が最も高くなる)。このとき、体積
は約2〜十数倍に増大する。また、コーンスターチは約
75℃から膨潤(糊化)を始め、約88℃でピークとな
り、体積は約2〜十数倍に増大する。また、アセチル化
したデンプン等を用いることにより、より糊化温度を低
下させることができる。
【0062】上記PVA、陽イオンでゲル化し得る高分
子多糖類および気孔形成剤の混合液は、以下のようにし
て作成することができる。まず、PVAに適切な濃度と
なるように水を加え、高温で、例えば、121℃、30分
処理して、PVAの水溶液を得る。必要に応じて、予め
適当な温度の温水で洗浄したPVAを用いてもよい。こ
のPVA水溶液と適切な濃度の高分子多糖類(例えば、
アルギン酸ナトリウム)水溶液及び気孔形成剤(例え
ば、デンプン)の分散液を混合する。
【0063】次に、得られた混合液を球状に成形する。
適切な口径を有するノズルからこの混合液を、陽イオン
を含有する溶液中に滴下することにより、混合液中の高
分子多糖類が陽イオン溶液中で、球状のままゲル化し、
成形され、ポリビニルアルコール成形物が得られる。ノ
ズルの大きさにより、球状のポリビニルアルコール成形
物粒子の大きさが調整される。
【0064】高分子多糖類のゲル化に用いる陽イオンを
含有する溶液も特に限定されないが、塩化カルシウム、
塩化亜鉛、硫酸アルミニウム等の金属塩溶液が好適に用
いられる。これらの金属塩の濃度は、金属塩の種類や水
溶液の温度により多少異なるが、塩化カルシウムの場合
は約1〜10重量%程度である。濃度が高すぎると、後
の工程のアセタール化反応時に酸と反応して塩が生成す
るので、好ましくない。
【0065】本発明の多孔性球状粒子の連通孔をより作
りやすくし、気孔率を高めるためには、この陽イオン溶
液の温度を、気孔形成剤が膨潤する温度以上の温度とす
ることが好ましい。気孔形成剤としてデンプンを用いる
場合は、温度は球状ゲル内部が迅速にデンプンが糊化す
る温度以上となるようにすることが好ましい。
【0066】上記反応で得られたポリビニルアルコール
成形物は、ついで、アセタール化され、ポリアセタール
骨格を有する球状粒子とされる。まず、得られたポリビ
ニルアルコール成形物を単離し、酸性条件下でアルデヒ
ドと反応させる。なお、塩化カルシウムなどの多価金属
塩を酸性水溶液中に少量添加しておくと球状粒子が崩れ
ることなく、均一径を有する球状粒子が製造できる。
【0067】酸性条件とするのは、アセタール反応促進
のためである。例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の無機
酸、マレイン酸等の有機酸が用いられる。中でも、強酸
が好ましく、5〜25%の硫酸溶液、好ましくは、10
〜20%硫酸溶液が用いられる。
【0068】アセタール化に用いるアルデヒドとして
は、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアル
デヒド、ブチルアルデヒド、アクリルアルデヒドまたは
グリオキザ一ルなどの脂肪族あるいは芳香族アルデヒド
が挙げられる。共存する酸により容易にアルデヒドに変
換するようなアセタールを利用しても良い。PVAとの
反応性、水溶性、価格、取り扱い性、反応生成物の強度
および反発弾性、および反応後の処理の容易性等を考慮
すると、ホルムアルデヒドが好適に用いられる。
【0069】反応に用いるアルデヒドの濃度は、目的と
するアセタール化度を考慮して決定すればよいが、共存
する酸触媒の濃度、反応温度および反応時間に応じて、
適宜選定することが必要である。アルデヒド濃度が高い
ほど反応速度が速くなるが、アセ夕一ル化度の制御は困
難となる。一般に、アセタール化度が高い球状粒子の強
度は向上するが、アセタール化度が高すぎると、得られ
るスポンジ状多孔性球状粒子の気孔率が低下するととも
に見かけ比重が増して含水率が低下する傾向にあり、残
存する水酸基が減少するので、親水性が低下する。ま
た、粒子の反発弾性も低下する。アセタール化度の調整
は、反応液のアルデヒド類の配合量、反応液の温度、反
応時間を調整することにより行うことができる。反応温
度は、通常、約30℃〜80℃、好ましくは、約60℃
〜80℃である。
【0070】上記酸性条件下のアセタール反応中に、硫
酸ナトリウムを添加することもできる。硫酸ナトリウム
は、PVAの溶出を防止するためである。本発明におい
ては、できるだけ気孔を大きくするために、通常は添加
しない。
【0071】なお、上記気孔形成剤、特にデンプンは、
酸性条件下、アセタール反応後に、溶出して除去、洗浄
され、開口部とその開口部に連通する孔が形成される。
【0072】以上の工程で、本発明のスポンジ状多孔性
球状粒子が製造される。PVAと、陽イオンでゲル化す
る高分子多糖類と、気孔形成剤の配合割合、これらを配
合した混合液を滴下するノズルの口径および、PVAの
アセタ一ル化度を調整することによって、真球に近い均
一粒子径に近いポリビニルアセタール樹脂を骨格とす
る、種々のスポンジ状の球状粒子を、簡単にかつ大量に
製造することができる。
【0073】得られたスポンジ状多孔性球状粒子は、含
水状態であり、運搬等に不便であるので、乾燥して、乾
燥スポンジ状多孔性球状粒子とすることができる。乾燥
方法としては、常圧加熱乾燥、フリーズドライ乾燥、静
置乾燥、流動乾燥等があるが、 常圧加熱流動乾燥法
が、スポンジ同士の固着防止あるいは処理能力の点で好
ましい。乾燥の後、さらに、圧縮(プレス)することが
好ましい。湿潤状態で圧縮しても、まもなく元に戻って
しまうからである。従って、まず、水分含量が10%以
下になるまで乾燥してから、球状粒子をプレスし、多孔
性球状粒子中に含有された気体を押し出し圧縮する。圧
縮して得られた乾燥スポンジ状多孔性球状粒子は、水中
に投入すると、速やかに吸水して元の形状と大きさに復
元し、すぐに、流動させることができるようになる。こ
れに対し、圧縮しないで乾燥したスポンジ状多孔性球状
粒子は、取り込んだ空気が離れ難く、水面上に浮いたま
まとなって、流動させることができるようになるまで時
間がかかる。また、圧縮し、乾燥することにより水分量
も10重量%以下となり、多孔質体の体積と重量を大幅
に減少でき、搬送コストを格段に低下することができ
る。
【0074】圧縮率は高い程良く、1/2〜1/10が
好ましい。1/2〜1/10に圧縮された圧縮粒子は、
水中に投入すると速やかに2倍から10倍に膨れ、元の
大きさと形状に復元する。
【0075】また、本発明の含水スポンジ状多孔性粒子
および乾燥スポンジ状多孔性粒子は、そのまま、廃水に
添加すれば、微生物がこれらの粒子表面に付着し、廃水
が効率よく処理される。この場合に、プレスした乾燥ス
ポンジ状多孔性球状粒子を用いると、粒子の内部にまで
速やかに微生物が浸透、固定化できるため、より効果的
である。
【0076】以上、本発明の含水および乾燥多孔性球状
粒子に関して説明したが、本発明の方法を応用して得ら
れる、球状以外の形状の含水または乾燥スポンジ状多孔
性ポリビニルアセタールは、PVA、陽イオンでゲル化
し得る高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を滴下す
ることなく、陽イオンを含有する溶液と接触させる点が
異なるだけで、実質的に上記球状粒子と同じ方法でも、
製造される。
【0077】例えば、上記混合液を、射出口が円形、長
方形、正方形等のノズルから、滴下することなく、直
接、陽イオンを含有する溶液中に射出することにより、
切り口が円筒形、角形等の紐状に成形し、ついでアセタ
ール化して、得られた含水スポンジ状多孔性ポリビニル
アセタールを裁断し、含水スポンジ状多孔性ポリビニル
アセタール粒子が得られる。さらに、乾燥後、球状とし
てもよい。
【0078】さらに、得られた含水スポンジ状多孔性粒
子を乾燥、圧縮して、乾燥スポンジ状多孔性粒子とする
こともできる。あるいは、含水スポンジ状多孔性樹脂を
そのまま乾燥、圧縮した後、裁断してもよい。乾燥スポ
ンジ状多孔性樹脂は、適度の弾性を有しているので、型
くずれすることなく裁断できる。裁断後、角を削り、球
状にしてもよい。このようにして得られた紐状の含水ス
ポンジ状多孔性ポリビニルアセタールはそのまま、固定
床型のバイオリアクターとして使用可能であり、また、
これらの粒状物は、流動床型のバイオリアクターに用い
られる。
【0079】以下、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明がこれらの実施例に限定されないことはいう
までもない。なお、気孔径、気孔率及びアセタール化度
は上記の方法に基づいて測定したものであり、以下の実
施例及び比較例における%とは重量%を意味する。
【0080】
【実施例】
(実施例1:含水スポンジ状多孔性球状粒子の製造)平
均重合度が1500で、完全ケン化のPVA樹脂を熱水
に溶解した後、冷却した。これとは別に、アルギン酸ナ
トリウム水溶液とタピオカデンプンの水分散液とを準備
し、最終的に、8.0%PVA、1.0%アルギン酸お
よ6%タピオカデンプンの濃度になるようにこれらの溶
液を混合した。混合液の温度は40℃であった。この混
合液を口径4mmのノズルから押し出して液滴を形成
し、この液滴を70℃の3%塩化カルシウム水溶液50
00ml中にゆっくり滴下すると、この液滴がゲル化し
て凝固し始めると同時にデンプンが糊化し、約15分後
には、無色半透明の球状粒子が生成した。得られた球状
粒子を10.0%ホルムアルデヒドと15.0%硫酸か
らなる70℃の水溶液に添加し、約15分間反応させる
ことにより白色球状粒子を得た。得られた白色球状粒子
を、水中で圧縮と開放を交互に繰り返して、水洗浄し、
デンプン、アルギン酸、および未反応の酸およびホルム
アルデヒドを除去した。このようにして得られた球状粒
子の粒子径は、約4〜5mmであり、真球に近い、スポ
ンジ状の柔軟性および弾性に富んでいた。
【0081】得られた球状粒子を、t−ブチルアルコー
ル凍結乾燥法により乾燥し、内部の走査電子顕微鏡写真
を図1に示した。球状粒子は、スポンジ状の内部に多数
の連通孔を有する多孔質体であった。また、開口部の大
きさは、約5〜30μm、平均で約10μm であった。
連通孔の大きさは、約30〜100μm 、平均約60μ
mであった。さらに、得られた粒子のアセタール化度は
約80%、平均気孔率は90%、含水状態における見か
け比重は、1.04であった。
【0082】得られた多孔質体の球状粒子を60℃、常
圧で乾燥させたところ、その体積はほとんど変わらなか
った。また、開口部の大きさは、約5〜30μmで、平
均約10μm 、連通孔の大きさは、約20〜100μm
、平均約50μmであった。平均気孔率は90%であ
った。
【0083】(比較例1)気孔形成剤を添加せず、アセ
タール化反応を50℃で行った以外は、実施例1と同様
にして、白色球状粒子を得た。この白色球状粒子のアセ
タール化度は約40%であり、含水状態における見かけ
比重は1.05であった。
【0084】得られた白色球状粒子を60℃、常圧で乾
燥させたところ、その体積は著しく収縮し、開口部の大
きさを測定することができなかった。
【0085】(実施例2)PVAを7.5%、気孔形成
剤としてコーンスターチを5%とし、アセタール化反応
を75℃で行った以外は実施例1と同様にして、白色球
状粒子を得た。この実施例では、気孔形成剤であるコー
ンスターチはアセタール化反応時に膨潤した。
【0086】得られた球状粒子の気孔径の大きさは、約
20〜80μmであり、平均約50μmであった。得ら
れた粒子のアセタール化度は約65%、気孔率は約85
%、含水状態における見かけの比重は、約1.05であ
った。
【0087】(実施例3)PVAを7.5%、気孔形成
剤としてコーンスターチを5%とし、3%塩化カルシウ
ム水溶液の温度を60℃、アセタール化反応を60℃で
30分間行った以外は、実施例1と同様にして、白色球
状粒子を得た。この実験においては、アセタール化反応
時に、気泡形成剤であるコーンスターチは膨潤しなかっ
た。
【0088】得られた球状粒子の気孔径の大きさは、約
5〜20μmであり、平均約15μmであった。得られ
た粒子のアセタール化度は約67%、気孔率は約75
%、含水状態における見かけの比重は、約1.07であ
った。
【0089】(実施例4:乾燥スポンジ状多孔性球状粒
子の製造)次に、実施例1で得られた直径約4mmのス
ポンジ状多孔性球状粒子を60℃で1時間乾燥した。水
分含有率は3.0%であった。これを1.0×107
/m2 の圧力でプレスしたところ、厚みが約0.75〜
1.5mmの円盤状に圧縮された。20個の圧縮サンプ
ルを水中に投入し、振盪したところ、速やかに吸水して
膨れ、8秒ですべて水面下に沈んだ。沈んだ粒子を取り
出して、水分含有率50%の湿潤状態で測定したとこ
ろ、すべてが、圧縮前の大きさ、および形状(球状)に
復元した。開口部の大きさ、内部の連通孔の大きさ、平
均気孔率も、圧縮前と等しかった。
【0090】なお、水分含有率は、以下の式で求めた。 水分含有率=(1−W2/W1)×100(%) W1=含水スポンジの重量 W2=乾燥スポンジの重量(W1の含水スポンジを、1
05℃、2時間乾燥した後の重量)
【0091】これに対して、乾燥はしたが、圧縮してい
ない20個のサンプルを、水に投入して振盪したとこ
ろ、すべての粒子は水面で浮遊した。粒子の表面は水を
吸収しているにも係わらず、粒子内部の空気が抜けない
ため、2時間経過後も、浮遊したままであった。
【0092】(実施例5:耐久性試験−1)バイオリア
クター内での流動を想定した模擬テストとして、直径1
50mm、高さ400mmの容器に、体積で水量の10
%に相当する量の、実施例1のスポンジ状多孔性球状粒
子を添加し、曝気しながら流動したところ、この球状粒
子は均一に分散し、流動した。この曝気、流動を1ヶ月
間連続して行い、粒子を取り出して観察したが、この粒
子には、摩擦による摩耗や破損などは全くみられず、耐
摩耗性に富んでいることが確認された。比較として用い
たポリウレタンスポンジ、セルローススポンジ、および
アルギン酸カルシウム球状ゲルは摩耗していた。比較例
で得られたゲル状球状粒子にも、摩耗が見られたが、ポ
リウレタンスポンジ、セルローススポンジ、およびアル
ギン酸カルシウム球状ゲル程ではなかった。
【0093】(実施例6:耐久性試験−2)実施例4と
同様の容器の側壁内面に耐水性のサンドペーパー(10
0番手)を貼りつけ、撹拌羽根を300rpmの速度で
回転させて粒子を機械的に流動させ、粒子と内壁との間
で摩擦が発生する様に設定した。実施例4と同量の実施
例1のスポンジ状多孔性球状粒子、直径3mmの、市販
のポリウレタンスポンジ、市販のセルローススポンジお
よびアルギン酸カルシウム球状ゲルをそれぞれの容器に
添加して、撹拌、流動を行った。ポリウレタンスポン
ジ、セルローススポンジ、およびアルギン酸カルシウム
球状ゲルは、いずれも24時間後に表面が削れて摩耗さ
れているのが確認されたが、本発明の多孔性球状粒子
は、1週間後においても、摩擦による摩耗は全く見られ
ず、耐摩耗性に富んでいることが確認された。なお、ア
ルギン酸カルシウムゲルは、1%濃度のアルギン酸ソー
ダ水溶液を2%濃度の塩化カルシウム水溶液に滴下凝固
することにより作成したものであった。
【0094】(実施例7:スポンジ状多孔性球状粒子の
微生物分解性試験)実施例1で得られたスポンジ状多孔
性球状粒子を2mmの大きさの、多数の穴を有するポリ
プロピレン容器の体積の約10%になるように充填し、
この容器ごと活性汚泥法曝気槽内に浸潰した。半年後に
この容器を取り出し、容器内のスポンジ状多孔性球状粒
子について観察したところ、スポンジ状多孔性球状粒子
の表面には好気性の微生物が高密度に付着しており、こ
れらの微生物による粒子の浸食はみられなかった。
【0095】(実施例8:包括固定化微生物の製造)遠
心分離にて50g/リットル程度に濃縮した活性汚泥と
2%のアルギン酸ナトリウムとを体積比1:1の割合で
混合したものを調製し、これに実施例1で得られた多孔
性球状粒子担体を含浸させた。含浸量を増加させるため
に減圧下にて該混合液を流入させ、微生物を含浸させた
球状粒子担体を得た。
【0096】得られた球状粒子担体を、さらに5%塩化
カルシウム水溶液に添加して撹拌し、約3時間反応させ
た。これにより球状粒子担体中のアルギン酸ナトリウム
は不溶化し、微生物が包括され固定化された。
【0097】得られた包括固定化された微生物を有する
球状担体を、実施例4と同じ容器に実施例4と同量充填
し、曝気しながら流動させたところ、この球状粒子は均
一に分散し、流動した。この流動を1か月連続して行っ
た後、この粒子を取り出して観察したが、摩擦による摩
耗や破損などはまったくみられず、耐摩耗性に富んでい
ることが確認された。また多孔性球状粒子の微生物によ
る浸食劣化はまったく受けておらず、球状粒子の担体と
しての寿命が長いことが確認された。
【0098】
【発明の効果】本発明により、(1)表面に適度な大き
さの開口部を有するのみならず、この開口部と連通する
孔を有するので、孔内を微生物および培地(あるいは廃
水)が自由に移動できる、(2)適度な大きさの孔を有
する結果、微生物が表面のみならず連通孔内にも付着で
き、例えば、廃水処理の効率は大きく上昇する、(3)
高い気孔率を有して、見かけの比重が小さいので流動し
やすく、(4)気孔率が高いにも係わらず、機械的強度
(耐摩耗性)に優れかつ弾力性を有し、(5)乾燥して
も、高い機械強度を有するので、圧縮可能であり、搬送
コストを大きく減少でき、(6)乾燥後含水させて元の
状態に戻り、もとの含水ゲルが有する強度、スポンジ状
弾性、高い気孔率を有し、および(7)含水状のあるい
は乾燥した球状粒子をそのまま排水に投入するだけで自
然に微生物が球状粒子に付着(あるいは結合、凝集)す
るという極めて優れた性質を有し、そして優れた効果を
奏する、ポリビニルアセタール樹脂を骨格とするスポン
ジ状の球状粒子並びにその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた球状粒子の内部の走査電
子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 29/14 C08L 29/14

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの開口部とそれに繋がる
    内部の連通気孔を有する、ポリビニルアセタール樹脂を
    骨格とする含水スポンジ状多孔性球状粒子。
  2. 【請求項2】 前記ポリビニルアセタールがポリビニル
    ホルマールである、請求項1に記載の含水スポンジ状多
    孔性球状粒子。
  3. 【請求項3】 前記開口部の平均孔径が1〜50μmで
    ある請求項1または2に記載の含水スポンジ状多孔性球
    状粒子。
  4. 【請求項4】 前記連通気孔に含まれる水が容易に空気
    と置換される、請求項1ないし3いずれかの項に記載の
    含水スポンジ状多孔性球状粒子。
  5. 【請求項5】 前記内部の連通気孔の平均気孔径が40
    〜100μmであり、平均気孔率が50〜98%であ
    る、請求項1ないし4いずれかの項に記載の含水スポン
    ジ状多孔性球状粒子。
  6. 【請求項6】 アセタール化度が50〜85モル%であ
    る、請求項1ないし5いずれかの項に記載の含水スポン
    ジ状多孔性球状粒子。
  7. 【請求項7】 含水状態における見かけの比重が1.0
    0〜1.20である、請求項1ないし6いずれかの項に
    記載の含水スポンジ状多孔性球状粒子。
  8. 【請求項8】 膨潤したときに、少なくとも一つの開口
    部とそれに繋がる内部の連通気孔を有するポリビニルア
    セタール樹脂を骨格とするスポンジ状多孔性球状粒子を
    形成する、乾燥スポンジ状多孔性球状粒子。
  9. 【請求項9】 前記ポリビニルアセタールがポリビニル
    ホルマールである、請求項8に記載の乾燥スポンジ状多
    孔性球状粒子。
  10. 【請求項10】 膨潤したときに、前記開口部の平均孔
    径が1〜50μmである、請求項8または9に記載の乾
    燥スポンジ状多孔性球状粒子。
  11. 【請求項11】 膨潤したときに、前記連通気孔に含ま
    れる水が容易に空気と置換される、請求項8ないし10
    いずれかの項に記載の乾燥スポンジ状多孔性球状粒子。
  12. 【請求項12】 膨潤したときに、前記内部の連通気孔
    の平均気孔径が40〜100μmであり、平均気孔率が
    50〜98%である、請求項8ないし11いずれかの項
    に記載の乾燥スポンジ状多孔性球状粒子。
  13. 【請求項13】 アセタール化度が50〜85モル%で
    ある、請求項8ないし12いずれかの項に記載の乾燥ス
    ポンジ状多孔性球状粒子。
  14. 【請求項14】 含水状態における見かけの比重が1.
    00〜1.20である、請求項8ないし13いずれかの
    項に記載の乾燥スポンジ状多孔性球状粒子。
  15. 【請求項15】 以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
    高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
    含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
    ルコール成形物を得る工程;および(2)得られた球状
    のポリビニルアルコール成形物をアセタール化する工
    程;を含む、含水スポンジ状多孔性球状粒子の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記気孔形成剤が高温で膨潤し得る気
    孔形成剤であり、前記陽イオンを含有する溶液の温度
    が、前記気孔剤が膨潤する温度以上の温度である、請求
    項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記気孔形成剤がデンプン類である請
    求項15または16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記高分子多糖類がアルギン酸または
    その塩であり、陽イオンがカルシウムイオンである、請
    求項15ないし17いずれかの項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記アセタール化がホルムアルデヒド
    で行われる、請求項15ないし18いずれかの項に記載
    の方法。
  20. 【請求項20】 以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
    高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
    含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
    ルコール成形物を得る工程; (2)得られた球状のポリビニルアルコール成形物をア
    セタール化して含水スポンジ状多孔性球状粒子を得る工
    程;および(3)得られた含水スポンジ状多孔性球状粒
    子を乾燥する工程;を含む、乾燥スポンジ状多孔性球状
    粒子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記気孔形成剤が高温で膨潤し得る気
    孔形成剤であり、前記陽イオンを含有する溶液の温度
    が、前記気孔剤が膨潤する温度以上の温度である、請求
    項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記気孔形成剤がデンプン類である、
    請求項20または21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記高分子多糖類がアルギン酸または
    その塩であり、陽イオンがカルシウムイオンである、請
    求項20ないし22いずれかの項に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記アセタール化が、ホルムアルデヒ
    ドで行われる、請求項20ないし23いずれかの項に記
    載の方法。
  25. 【請求項25】 前記乾燥する工程が前記含水スポンジ
    状多孔性球状粒子をプレスする工程を含む、請求項20
    ないし24いずれかの項に記載の方法。
  26. 【請求項26】 含水スポンジ状多孔性球状粒子であっ
    て、以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
    高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
    含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
    ルコール成形物を得る工程;および、(2)得られた球
    状のポリビニルアルコール成形物をアセタール化する工
    程;を含む方法で得られる、含水スポンジ状多孔性球状
    粒子。
  27. 【請求項27】 前記気孔形成剤が高温で膨潤し得る気
    孔形成剤であり、前記陽イオンを含有する溶液の温度
    が、前記気孔剤が膨潤する温度以上の温度である方法で
    得られる、請求項26に記載の含水スポンジ状多孔性球
    状粒子。
  28. 【請求項28】 乾燥スポンジ状多孔性球状粒子であっ
    て、以下の工程: (1)ポリビニルアルコール、陽イオンでゲル化し得る
    高分子多糖類および気孔形成剤の混合液を、陽イオンを
    含有する溶液に滴下することにより球状のポリビニルア
    ルコール成形物を得る工程; (2)得られた球状のポリビニルアルコール成形物をア
    セタール化して含水スポンジ状多孔性球状粒子を得る工
    程;および(3)得られた含水スポンジ状多孔性球状粒
    子を乾燥する工程;を含む方法により得られる、乾燥ス
    ポンジ状多孔性球状粒子。
  29. 【請求項29】 前記気孔形成剤が高温で膨潤し得る気
    孔形成剤であり、前記陽イオンを含有する溶液の温度
    が、前記気孔剤が膨潤する温度以上の温度である方法で
    得られる、請求項28に記載の乾燥スポンジ状多孔性球
    状粒子。
  30. 【請求項30】 前記乾燥工程の後に、さらにプレス工
    程を経て得られる、請求項28または29に記載の乾燥
    スポンジ状多孔性球状粒子。
  31. 【請求項31】 請求項1ないし7のいずれかまたは請
    求項26あるいは27に記載の含水スポンジ状多孔性粒
    子からなる、微生物固定化用担体。
  32. 【請求項32】 請求項8ないし14のいずれかまたは
    請求項28ないし30のいずれかの項に記載の乾燥スポ
    ンジ状多孔性球状粒子からなる、微生物固定化用担体。
  33. 【請求項33】 以下の工程:(1)ポリビニルアルコ
    ール、陽イオンでゲル化し得る高分子多糖類および気孔
    形成剤の混合液を、陽イオンを含有する溶液中にノズル
    で押し出し、紐状のポリビニルアルコール成形物を得る
    工程;および(2)得られた紐状のポリビニルアルコー
    ル成形物をアセタール化して紐状の含水スポンジ状多孔
    性ポリビニルアセタールを得る工程;を含む、紐状また
    は粒状の含水スポンジ状多孔性ポリビニルアセタールの
    製造方法。
  34. 【請求項34】(1)ポリビニルアルコール、陽イオン
    でゲル化し得る高分子多糖類および気孔形成剤の混合液
    を、陽イオンを含有する溶液中にノズルで押し出し、紐
    状のポリビニルアルコール成形物を得る工程; (2)得られた紐状のポリビニルアルコール成形物をア
    セタール化して紐状の含水スポンジ状多孔性ポリビニル
    アセタールを得る工程; および、(3)得られた含水
    スポンジ状多孔性ポリビニルアセタールを乾燥する工
    程;を含む、紐状または粒状の乾燥スポンジ状多孔性ポ
    リビニルアセタールの製造方法。
  35. 【請求項35】 排水を処理する方法であって、該方法
    は、請求項31または32に記載の微生物固定化用担
    体、または、請求項33あるいは34で製造された含水
    あるいは乾燥スポンジ状多孔性ポリビニルアセタールを
    該排水に添加する工程を含む、排水の処理方法。
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