JPH1192312A - 燻煙殺虫剤および燻煙方法 - Google Patents

燻煙殺虫剤および燻煙方法

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JPH1192312A
JPH1192312A JP9296196A JP29619697A JPH1192312A JP H1192312 A JPH1192312 A JP H1192312A JP 9296196 A JP9296196 A JP 9296196A JP 29619697 A JP29619697 A JP 29619697A JP H1192312 A JPH1192312 A JP H1192312A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の燻煙方法に比べ熱量の少ない熱源でも燻
煙の継続可能な燻煙殺虫剤、および該燻煙殺虫剤に点火
具を接触させるだけで、安全に、かつ効率よく燻煙せし
める実用的な燻煙方法の提供。 【解決手段】ピレスロイド系殺虫剤およびカーバメート
系殺虫剤から選ばれた1種または2種を2〜15重量%
と、アゾジカルボンアミド(発泡剤)を70〜97重量
%と、酸化亜鉛および炭酸亜鉛から選ばれた1種または
2種を1〜15重量%とを含有する燻煙剤組成物を、緩
燃焼性材料からなる点火具を接触させた時その接触させ
た部分に噴孔が形成される合成樹脂製フィルム袋に封入
してなる燻煙殺虫剤。該燻煙殺虫剤に点火具を接触させ
て前記発泡剤を熱分解せしめ、前記噴孔から燻煙剤組成
物を継続して噴煙せしめる噴煙方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燻煙殺虫剤および燻
煙方法に関し、より詳しくはピレスロイド系殺虫剤およ
びカーバメート系殺虫剤から選ばれた1種または2種と
有機発泡剤を含有する燻煙殺虫剤および該殺虫剤を用い
た燻煙方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家庭内に生息するゴキブリ、ナンキンム
シ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類などの害虫、ダ
ニ類の駆除や防除のために燻煙剤が使用されてきた。燻
煙剤は短時間高濃度空間処理剤に該当し、手間をかけず
に広い空間を処理できる長所がある反面、効力、人体に
対する安全性、火災に対する安全性など十分な配慮が要
求される。現在市販されている燻煙剤には二つのタイプ
がある。その一つは可燃物と酸素遊離物質、例えば硝酸
塩、クロム酸塩、過塩素酸塩などを含むもので、点火し
た位置から適宜の速度で燃焼し、その燃焼部にある揮散
されるべき物質が空中に揮散するものである。他方は、
殺虫成分と有機発泡剤、さらに必要に応じて増量剤(有
機物または無機物)を加えて調製したものであり、有機
発泡剤の熱分解の際に発生するガスの力を利用して殺虫
成分を揮散させるものである。そして、有機発泡剤とし
ては、臭いが少なくガス量の多いアゾジカルボンアミド
が代表的である。また、燻煙剤の内容物と関連して燻煙
方法も多様化しており、従来のマッチによる点火から、
生石灰に水を加えて発熱させる方法、アルカリ金属の硫
化物の空気酸化を利用する方法など種々開発され実用化
に至っている。これらの方法は火を使わないというメリ
ットはあるが、在庫中の危険防止や破損防止のため、包
装容器の強固性、気密性が要求され、二重プラスチック
容器あるいは金属アルミニウム缶を使用するなど高コス
トを余儀無くされている。また、生石灰に水を加える方
法では、点火する水の量を間違えると燻煙が開始しない
という使用上の問題もある。本発明者は先に、殺虫剤と
分解温度が250℃以下の有機発泡剤を含有する燻煙剤
を袋詰めしてなる燻煙殺虫剤に、点火具を接触させて前
記有機発泡剤を熱分解せしめ、接触部分より殺虫成分を
噴煙せしめることを特徴とする燻煙殺虫剤の燻煙方法を
開発した〔特開昭58−18301号公報(特公平1−
57081号公報)参照〕。そしてさらに、特開昭63
−267705号公報、特開昭64−42401号公報
では、前記特開昭58−18301号公報記載技術の改
良として、ペルメトリンと、酸化防止剤と、有機発泡剤
とを含有する燻煙剤を、緩燃焼性材料からなる点火具を
接触させた時その接触させた部分にのみ穴が開く合成樹
脂フィルム、または溶融点が90〜120℃の合成樹脂
フィルムに袋詰めすることを特徴とする燻煙殺虫剤、お
よびこれを用いた燻煙方法を開示した。これらの燻煙殺
虫剤および燻煙方法は簡便かつ効率よく殺虫成分を燻煙
せしめるシステムを提供するものであったが、好ましい
有機発泡剤として4,4’−オキシビス(ベンゼンスル
ホニルヒドラジッド)を使用したため、臭いなど、使用
性の点で改善の余地が残されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、使用性およ
び安全性などに優れた有機発泡剤であるアゾジカルボン
アミドを活用すると共に、これを配合した燻煙剤組成物
を合成樹脂製フィルム袋に封入してなる燻煙殺虫剤を、
従来の燻煙方法に比べて熱量の少ない熱源で安全に、か
つ効率よく燻煙させうる燻煙殺虫剤および燻煙方法を提
供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定の補助剤を
配合したアゾジカルボンアミド発泡剤を用いることによ
って、目的の燻煙システムを達成できることを見出し、
さらに検討を加え本発明を完成させた。
【0005】すなわち請求項1の発明は、ピレスロイド
系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ばれた1種
または2種を2〜15重量%と、アゾジカルボンアミド
を70〜97重量%と、酸化亜鉛および炭酸亜鉛から選
ばれた1種または2種を1〜15重量%とを含有する燻
煙剤組成物を、緩燃焼性材料からなる点火具を接触させ
た時その接触させた部分に噴孔が形成される合成樹脂製
フィルム袋に封入したことを特徴とする燻煙殺虫剤に係
るものである。
【0006】本発明で用いるピレスロイド系殺虫剤とし
ては、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、
シペルメトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメト
リン、レスメトリン、エトフェンプロックスなどが挙げ
られ、害虫に対して速効性で、かつ人畜に対して安全性
が高いので、家庭内に生息するゴキブリ、ナンキンム
シ、シラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類などの駆除また
は防除に好適である。なお、化学構造中に不整炭素また
は二重結合などを含み、これに基づく光学異性体や幾何
異性体が存在する場合は、これらの各々または任意の混
合物も本発明におけるピレスロイド系殺虫剤に包含され
ることはもちろんである。特に好ましい化合物は、より
残効性が期待されるフェノトリン、ペルメトリン、シフ
ェノトリン、シペルメトリンである。また、カーバメー
ト系殺虫剤としては、メトキサジアゾンなどが挙げられ
る。
【0007】ピレスロイド系殺虫剤およびカーバメート
系殺虫剤から選ばれた1種または2種は、燻煙剤組成物
中に2〜15重量%配合される。2重量%未満では所望
の効果が得られないし、一方15重量%を越えると発泡
剤の噴出力に影響を及ぼすので、好ましくない。
【0008】本発明では、ピレスロイド系殺虫剤の他
に、他のタイプの殺虫剤や殺ダニ剤、カビ類、菌類など
を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、またはピレス
ロイド系殺虫剤の共力剤、安定剤、香料、賦形剤などを
配合してもよい。殺虫剤としては、有機リン系殺虫剤の
フェニトロチオン、ジクロルボス、ダイアジノン、トク
チオンなど、またはシラフルオフェン、ハイドロプレ
ン、ピリプロキシフェンなどの化合物を例示できる。ま
た、殺ダニ剤としては、サリチル酸フェニル、3−ヨー
ド−2−プロピニルブチルカーバメートなどがあり、さ
らに、防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、2−メルカ
プトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズ
イミダゾール、トリホリン、3−メチル−4−イソプロ
ピルフェノール、o−フェニルフェノールなどを例示で
きるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
【0009】本発明は、発泡剤として、全体量あたり7
0〜97重量%のアゾジカルボンアミドに、特定の補助
剤、すなわち酸化亜鉛および炭酸亜鉛から選ばれた1種
または2種を全体量あたり1〜15重量%配合したこと
に特徴を有する。アゾジカルボンアミドは発泡剤固有の
臭いが少なく、ガス量が多いので優れた発泡性能を示す
が、分解温度が210℃と高いため、高温を持続する熱
源を必要とし、また高温で熱分解を受けやすい殺虫成分
には適用が難しいという欠点がある。しかるに、本発明
者は、簡便かつ安全で、しかも効率的な燻煙方法との組
合せにおいて、アゾジカルボンアミドに酸化亜鉛および
炭酸亜鉛から選ばれた1種または2種を特定量配合する
方法が、アゾジカルボンアミドの分解温度を下げるうえ
で極めて有用であることを知見したものである。一方、
有機発泡剤の分解温度を下げるものとして知られている
他の補助剤、例えばステアリン酸亜鉛、オクチン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム、尿素、メラミン、グアニ
ジンなどのみでは効率のよい燻煙性能が得られなかっ
た。さらに、有機発泡剤の分解温度を下げる別の手段と
して、分解温度の低い他のタイプの発泡剤を混合する方
法もあるが、不快な臭気が回避できないので家庭用には
問題が多い。
【0010】本発明では、全体量あたり70〜97重量
%のアゾジカルボンアミドが用いられる。70重量%未
満では発泡剤の噴出力が不足し、殺虫成分が十分核酸し
ない。一方、97重量%を越えると他の成分、例えば殺
虫剤成分が少なくなり所望の殺虫効果が得られない等の
問題がある。また、酸化亜鉛および炭酸亜鉛から選ばれ
た1種または2種の配合量は、全体量あたり1〜15重
量%、好ましくは2〜5重量%の範囲から選択される。
1重量%未満では補助剤としての効果が得られず、一
方、15重量%を越えると噴出力が強まって燻煙に要す
る時間は短縮されるものの、殺虫成分の揮散率が低下し
たり、燻煙後の補助剤沈降による汚染が目立つようにな
るため、好ましくない。補助剤を配合したアゾジカルボ
ンアミド発泡剤は140〜205℃で分解し、熱量の少
ない熱源でも燻煙可能となるものであるが、燻煙性能に
支障を来さない限りにおいて、前記した他の補助剤をさ
らに添加してもよい。
【0011】さらに、本発明の燻煙殺虫剤の特徴とし
て、燻煙剤組成物を合成樹脂製フィルム袋に封入したこ
とがあげられる。従来の燻煙剤は、強固な二重プラスチ
ック容器あるいは金属アルミニウム缶などへの収納を必
要としたが、本発明では、簡便性を考慮した合成樹脂製
フィルム袋入りとしたものである。合成樹脂製フィルム
袋の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナ
イロン、ポリエステル等が一般的に使用できるが、噴煙
を効率よく持続せしめるべく検討した結果、厚さは20
〜50μm程度が好ましく、またポリエチレンと他の合
成樹脂製フィルムとをラミネートしたもの、例えばポリ
エチレンラミネートセロハン、ポリエチレンラミネート
ポリプロピレンなどが特に有効であった。
【0012】また、本発明で用いる緩燃焼性材料からな
る点火具としては、蚊取線香、仏壇線香、炭火、ケイ素
鉄と金属酸化物などからなる導火棒などが挙げられる
が、線香を棒状としたものが好ましい。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の構成におい
て、ピレスロイド系殺虫剤がフェノトリン、ペルメトリ
ン、シフェノトリンおよびシペルメトリンから選ばれた
1種または2種を用いたものである。
【0014】請求項3の発明は、請求項1または2の構
成において、合成樹脂製フィルム袋の材質として好まし
いポリエチレンラミネートフィルムを用いたものであ
る。
【0015】請求項4の発明は、ピレスロイド系殺虫剤
およびカーバメート系殺虫剤から選ばれた1種または2
種を2〜15重量%と、アゾジカルボンアミドを70〜
97重量%と、酸化亜鉛および炭酸亜鉛から選ばれた1
種または2種を1〜15重量%とを含有する燻煙剤組成
物を合成樹脂製フィルム袋に封入してなる燻煙殺虫剤を
用い、緩燃焼性材料からなる点火具に点火し炎を消した
後フィルム袋に接触させて該フィルム袋に噴孔を形成さ
せると共に、前記アゾジカルボンアミド(発泡剤)を熱
分解せしめ、前記噴孔から燻煙剤組成物を継続して噴煙
せしめることを特徴とする燻煙殺虫剤の燻煙方法に係る
ものである。緩燃焼性材料からなる点火具は、生石灰と
水との反応のような高温持続型ではないが、燻煙剤組成
物の特性と、フィルム袋の材質とを組み合わせることに
より、燻煙剤組成物封入袋に接触させるだけで、噴煙を
開始、継続せしめることを可能としたものである。
【0016】請求項5の発明は、請求項4の構成におい
て、ピレスロイド系殺虫剤としてフェノトリン、ペルメ
トリン、シフェノトリンおよびシペルメトリンから選ば
れた1種または2種を用いたものである。
【0017】請求項6の発明は、請求項4または5の構
成において、緩燃焼性材料からなる点火具として棒状線
香を用いたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】請求項1の構成によると、発泡剤
として、アゾジカルボンアミドに特定の補助剤を配合
し、分解温度が140〜205℃に調整されたものを用
いると共に、特定の材質の合成樹脂製フィルム袋に封入
することによって、安全に、かつ効率よく燻煙させうる
燻煙殺虫剤が提供される。従来の燻煙殺虫剤に比べ、低
温で熱量の少ない熱源を接触させても燻煙殺虫剤の燻煙
継続が可能なので、高温で熱分解を受けやすいピレスロ
イド系殺虫剤やカーバメート系殺虫剤を含有する燻煙剤
組成物などの場合、特にメリットが大きい。ピレスロイ
ド系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ばれた1
種または2種の種類、燻煙剤組成物の剤型や用量は使用
目的や使用場所に応じて適宜選択することができるが、
例えば剤型は顆粒状、粒状より粉状が好ましく、また、
用量は燻煙後処理面に有効成分として0.1mg〜1.
0g/m2 沈降するように設定するのが適当である。な
お、ピレスロイド系殺虫剤に抵抗性が発達した害虫に対
処するには、作用機作の異なる、例えばカーバメート系
殺虫剤のメトキサジアゾンや有機リン系殺虫剤のフェニ
トロチオンなどを併用するのが好ましい。
【0019】実施にあたっては、燻煙剤組成物を合成樹
脂製フィルム袋に封入してなる燻煙殺虫剤を、紙コップ
もしくはプラスチックカップ、または陶器のような簡単
な容器の中に入れ、棒状線香の如き緩燃焼性材料を基材
とする点火具を用いて簡単に噴煙できるので極めて実用
的である。
【0020】請求項2の構成によると、ピレスロイド系
殺虫剤として特に有用なフェノトリン、ペルメトリン、
シフェノトリンおよびシペルメトリンから選ばれた1種
または2種を用いたので、より残効性に優れた燻煙殺虫
剤が提供される。
【0021】請求項3の構成によると、合成樹脂製フィ
ルム袋の材質として特に好ましいポリエチレンラミネー
トフィルム、例えばポリエチレンラミネートセロハンフ
ィルムを用いたので、より燻煙効率の高い燻煙殺虫剤が
提供される。
【0022】請求項4の構成によると、ピレスロイド系
殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ばれた1種ま
たは2種、アゾジカルボンアミドおよび特定の補助剤を
含み、かつ合成樹脂製フィルム袋に封入された燻煙殺虫
剤に、点火具を接触させてフィルム袋に噴孔を形成させ
ると共に、有機発泡剤を熱分解せしめ、前記噴孔から燻
煙剤組成物を継続して噴煙せしめる有用な燻煙方法が提
供される。
【0023】請求項5の構成によると、ピレスロイド系
殺虫剤として特に有用なフェノトリン、ペルメトリン、
シフェノトリンおよびシペルメトリンから選ばれた1種
または2種を用いたので、効力的および実用的により優
れた燻煙方法が提供される。
【0024】請求項6の構成によると、緩燃焼性材料か
らなる点火具として棒状線香を用いたので、より一層実
用的な燻煙方法が提供される。
【0025】
【実施例】次に、具体的実施例および試験例に基づい
て、本発明の燻煙殺虫剤および燻煙方法をさらに詳細に
説明する。
【0026】実施例1 ペルメトリン6.0重量%、アゾジカルボンアミド9
0.0重量%、および酸化亜鉛4.0重量%を混合して
なる粉状の燻煙組成物20gをポリエチレンラミネート
セロハンフィルム製袋に封入して本発明の燻煙殺虫剤を
得た。この燻煙殺虫剤を紙コップの中に入れ、閉め切っ
た6畳の部屋の中央に置いた。一端に点火した後、炎を
吹き消した棒状の蚊取線香をフィルム製袋の一部に接触
させたところ、接触部に孔があき、ここから噴煙が勢い
よく噴出して、部屋全体に拡散した。5時間後の調査で
は、部屋に数多くのゴキブリの死骸が観察され、高い殺
虫効果を示す一方、噴煙による汚染はほとんど認められ
なかった。
【0027】実施例2 フェノトリン5.0重量%と3−ヨード−2−プロピニ
ルブチルカーバメート3.0重量%に、アゾジカルボン
アミド83.9重量%、および炭酸亜鉛8.0重量%を
混合し、さらに香料0.1重量%を添加してなる燻煙組
成物20gをポリエチレン製フィルム袋に封入して本発
明の燻煙殺虫剤を得た。この燻煙殺虫剤を陶器製容器中
に入れ、10畳の部屋の中央に置き、部屋を閉め切っ
た。仏壇線香からなる点火具を用いて噴煙を開始させた
後、部屋を退出し、一昼夜放置した。処理前後のゴキブ
リ、屋内塵性ダニ、およびカビ類の密度の推移を調べた
ところ、処理後においていずれの密度も著しく減少して
いることが認められた。
【0028】試験例 実施例1に準じて表1に示す各種燻煙剤組成物を調製
し、その20gを合成樹脂製フィルム袋に封入した後、
点火具として蚊取線香を用いて下記の燻煙試験を行っ
た。試験結果も併せて表1に示す。 (1)発泡性能:噴煙継続の状況を良好な順に〇,△,
×で評価した。なお、発泡性能を×と評価したものは以
下の試験項目の評価を行わなかった。 (2)殺虫成分の揮散率:噴煙を捕集し、これに含まれ
る殺虫成分量を分析して、燻煙前初期量に対する揮散率
を求めた。なお、表1中、「a」「b」とあるのは殺虫
成分の項に示された殺虫成分の揮散率である。 (3)殺虫効力:部屋の四隅に、ピレスロイド感受性チ
ャバネゴキブリ、およびピレスロイド抵抗性チャバネゴ
キブリをそれぞれ10匹ずつ含むシリンダーを置き、燻
煙48時間後に死虫率を調べた。なお、表1中、「感」
は感受性ゴキブリを、そして「抵」は抵抗性ゴキブリを
示す。 (4)使用性:燻煙時の臭気、および処理後の汚染状況
を調べた。いずれも良好な場合を〇、いずれか一方また
は両方が不良の場合を×で示し、そして特別な所見があ
る場合それを加えた。 なお、表1中、収納形態の項に「ポリエチフィルム」、
「ポリエチラミセロハン」、「ポリエチラミポリプロピ
レン」または「アルミフィルム」とあるのは、それぞれ
「ポリエチレンフィルム製袋」、「ポリエチレンラミネ
ートセロハンフィルム製袋」、「ポリエチレンラミネー
トポリプロピレンフィルム製袋」、「アルミニウム製
袋」に燻煙剤組成物を封入したことを意味する。
【0029】
【表1】
【0030】試験の結果、本発明の燻煙殺虫剤および燻
煙方法によれば、簡便なうえ、燻煙性能、殺虫効力とも
に優れ、しかも燻煙時の臭気および処理後の汚染もほと
んどないか、もしくは僅かであることから、極めて実用
性の高いことが明らかとなった。なお、ピレスロイド抵
抗性ゴキブリに対しても十分な殺虫効果を奏するため
に、ピレスロイド系殺虫剤に加えて、他のタイプの殺虫
剤、例えばカーバメート系殺虫剤のメトキサジアゾンを
配合するのが好ましかった。これに対し、発泡剤とし
て、アゾジカルボンアミド単独(対照例1)や、アゾジ
カルボンアミドに酸化亜鉛や炭酸亜鉛以外の補助剤を主
体として添加したアゾジカルボンアミド発泡剤(対照例
3)を用いた場合には、発泡性能が低かった。また、酸
化亜鉛や炭酸亜鉛の配合量が1〜15重量%の範囲外の
もの(対照例4,5)も、発泡性能または汚れ等の使用
性の点で問題があった。さらに、オキシビスベンゼンス
ルホニルヒドラジッド(対照例2)のように分解温度の
低い別の発泡剤を配合した場合は、燻煙性能はよいもの
の、臭いが悪く好ましくなかった。なお、対照例6のよ
うに、燻煙組成物の収納形態として合成樹脂製フィルム
袋を使用しないものは、本発明の燻煙システムには適合
しなかった。
【0031】
【発明の効果】請求項1ないし3のいずれかの発明によ
れば、アゾジカルボンアミドに酸化亜鉛および炭酸亜鉛
から選ばれた1種または2種を配合した発泡剤を、ピレ
スロイド系殺虫剤およびカーバメート系殺虫剤から選ば
れた1種または2種と共に合成樹脂製フィルム袋に封入
することによって、従来の燻煙方法に比べ熱量の少ない
熱源でも燻煙の継続可能な燻煙殺虫剤が提供される。
【0032】請求項4ないし6のいずれかの発明によれ
ば、前記有用な燻煙殺虫剤に緩燃焼性材料からなる点火
具を接触させるだけで、安全に、かつ効率よく噴煙せし
める極めて実用的な燻煙方法が提供される。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピレスロイド系殺虫剤およびカーバメー
    ト系殺虫剤から選ばれた1種または2種を2〜15重量
    %と、アゾジカルボンアミドを70〜97重量%と、酸
    化亜鉛および炭酸亜鉛から選ばれた1種または2種を1
    〜15重量%とを含有する燻煙剤組成物を、緩燃焼性材
    料からなる点火具を接触させた時その接触させた部分に
    噴孔が形成される合成樹脂製フィルム袋に封入したこと
    を特徴とする燻煙殺虫剤。
  2. 【請求項2】 ピレスロイド系殺虫剤がフェノトリン、
    ペルメトリン、シフェノトリンおよびシペルメトリンか
    ら選ばれた1種または2種である請求項1記載の燻煙殺
    虫剤。
  3. 【請求項3】 合成樹脂製フィルム袋がポリエチレンラ
    ミネートフィルム製袋である請求項1または2記載の燻
    煙殺虫剤。
  4. 【請求項4】 ピレスロイド系殺虫剤およびカーバメー
    ト系殺虫剤から選ばれた1種または2種を2〜15重量
    %と、アゾジカルボンアミドを70〜97重量%と、酸
    化亜鉛および炭酸亜鉛から選ばれた1種または2種を1
    〜15重量%とを含有する燻煙剤組成物を合成樹脂製フ
    ィルム袋に封入してなる燻煙殺虫剤に、緩燃焼性材料か
    らなる点火具を接触させてフィルム袋に噴孔を形成させ
    ると共に、前記アゾジカルボンアミドを熱分解せしめ、
    前記噴孔から燻煙剤組成物を継続して噴煙せしめること
    を特徴とする燻煙殺虫剤の燻煙方法。
  5. 【請求項5】 ピレスロイド系殺虫剤がフェノトリン、
    ペルメトリン、シフェノトリンおよびシペルメトリンか
    ら選ばれた1種または2種である請求項4記載の燻煙殺
    虫剤の燻煙方法。
  6. 【請求項6】 緩燃焼性材料からなる点火具が棒状線香
    である請求項4または5記載の燻煙殺虫剤の燻煙方法。
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