JPH118416A - 熱電発電素子の製造方法 - Google Patents

熱電発電素子の製造方法

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JPH118416A
JPH118416A JP9156785A JP15678597A JPH118416A JP H118416 A JPH118416 A JP H118416A JP 9156785 A JP9156785 A JP 9156785A JP 15678597 A JP15678597 A JP 15678597A JP H118416 A JPH118416 A JP H118416A
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JP
Japan
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thermoelectric
block
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wiring
forming
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JP9156785A
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English (en)
Inventor
Yoichi Nagata
洋一 永田
Shigeru Watanabe
渡辺  滋
Yumiko Sakamaki
由美子 酒巻
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Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腕時計などの小型携帯型電子機器で利用可能
な、小型で高い出力電圧の熱電発電素子の製造方法を提
供する。 【解決手段】 n型とp型の熱電半導体焼結体にそれぞ
れ細かいピッチで細い溝加工を施し、この加工部同志を
はめ合わせてから固着一体化する。つぎにこの一体化し
たブロックにたいして溝と直角方向に新たに細かいピッ
チで細い溝加工を施し、この溝を絶縁樹脂で埋めた後に
上下面を削り、露出した面に配線孔を有する感光性樹脂
を形成し、配線孔に導電性樹脂を埋め込むことによっ
て、熱電半導体が直列接続した熱電発電素子80を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は熱電発電に用いる
熱電発電素子の製造方法であり、とくに、小型でかつ多
数の熱電対で構成される熱電発電素子の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】熱電対はその両端に温度差を与えること
により電圧を発生する。この電圧を電気エネルギーとし
て利用するのが熱電発電である。
【0003】熱電発電によれば、熱エネルギーから電気
エネルギーへの変換が直接できるため、廃熱利用に代表
されるような熱エネルギーの有効的な利用法として注目
されている。
【0004】さらに、熱電発電素子は構造が簡単で他の
発電機に比べて小型化に有利な条件を備え、酸化還元電
池のように電解液の漏洩や消耗の問題もないことから、
電子式の腕時計などの携帯型電子機器への応用も期待さ
れる。
【0005】熱電発電素子の一般的構造およびその製造
方法としては、たとえば特開昭58−64075号公報
や、特開平8−43555号公報に開示されている。す
なわち熱電発電素子は、多数の熱電対が平面的に形成さ
れるようにp型とn型の熱電半導体(それぞれおおむね
柱状)を規則的に配置し、これらの熱電対は電気的に直
列接続したものである。
【0006】熱電対を平面的に設けることで熱発電素子
は板状となり、そのおもてと裏とはそれぞれ熱電対の温
接点が位置する面と冷接点が位置する面とになる。そし
て、熱電発電素子の発電は板状の素子の表裏の温度差に
よって行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、現在性能指
数が最も高いと言われているBiTe系材料を用いた熱
電対の出力電圧は1対あたり400μV/℃ほどであ
る。
【0008】携帯型電子機器は通常、室温近辺で使用さ
れるため、機器の内部での温度差はあまり期待できな
い。たとえば腕時計の場合、体温と外気温とにより生じ
る時計内部での温度差はせいぜい2℃である。
【0009】したがって、時計駆動に必要な1.5V以
上の電圧を得るためには、おおよそ2000対以上の直
列化したBiTe系の熱電対が必要となる。
【0010】さらに腕時計の場合、元々の内容積が小さ
い上に機械部品や電気回路部品を収納しなくてはなら
ず、熱電発電素子そのものは非常に小さいことが必須条
件である。
【0011】多数の熱電対を小型に製造するためには、
その直列化用の配線も微小かつ高精度に形成する必要が
あるが、この微小な配線の形成方法としては通常、配線
材料を蒸着する方法や配線材料をスクリーン印刷する方
法などを用いる。
【0012】配線材料を蒸着する方法は、配線しようと
する端面の全面に配線材料を真空蒸着法で形成し、フォ
トレジストで配線材料を残す部分を保護するようパター
ニングした後にエッチングにより不要部を除去するとい
った方法や、配線材料を形成したい部分に穴のあいた蒸
着マスクを用いて必要部分にだけクロム(Cr)や銅
(Cu)といった配線材料を蒸着する方法などが一般的
である。
【0013】しかし、クロムや銅などといった金属の蒸
着では蒸着材料の密着性を向上させるために蒸着面の高
レベルの平坦化、すなわち蒸着面の研磨工程が前処理と
して必須である。
【0014】このような蒸着法の場合は、同時に、配線
材料を配線面上に保持するために中間絶縁層が必要とな
るが、この中間絶縁層と熱電半導体材料とを同時に研磨
すると、硬さの違いから界面での段差ができやすく、そ
の箇所での配線の断線が多くなり非常に問題である。
【0015】一方、配線材料をスクリーン印刷により厚
膜形成する方法は、形成する配線材料のピッチが細かい
場合、配線材料の変形により隣接する配線同士の短絡等
が発生し、これが高精度な配線の実現を困難とする要因
となる。
【0016】〔発明の目的〕本発明の目的はかかる問題
を解決し、小型でかつ出力電圧を大きくするために多数
の熱電対を有する熱電発電素子を、容易かつ効率よく製
造する方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の熱電発電素子の製造方法においては、下記
の製造方法を採用する。
【0018】本発明の熱電発電素子の製造方法は、複数
のn型熱電半導体からなる第1の熱電体と複数のp型熱
電半導体からなる第2の熱電体とを絶縁層を介しつつ規
則的に配置あるいは固定し熱電発電素子ブロックを形成
する工程と、熱電発電素子ブロックの配線端面および配
線端面と同一面の絶縁層を平坦化する工程と、熱電発電
素子ブロックの配線端面に配線孔を有する感光性樹脂を
形成する工程と、配線孔の内部に導電性樹脂を埋め込み
硬化処理を行うことで配線を形成する工程とからなり、
第1の熱電体と第2の熱電体が直列した複数の熱電対を
形成することを特徴とする。
【0019】[作用]本発明の熱電発電素子の製造方法
においては、熱電半導体の柱を整然とした配列として固
定し、その端面にフォトリソグラフィー技術を用いて感
光性樹脂により配線の必要な部分へ配線孔を形成し、さ
らにこの配線孔へ導電性接着剤を埋め込み、硬化処理を
することで配線形成する。
【0020】このために本発明の熱電発電素子の製造方
法においては、熱電半導体の柱の端面の配線は高精度で
形成することが可能となり、従来問題であった熱電発電
素子の直列配線の確実性が著しく向上し、結果として多
数の熱電半導体で構成された小型の熱電発電素子を容易
かつ効率的に得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱電発電素子の製
造方法を実施するため最適な実施形態を説明する。はじ
めに本発明のの第1の実施の形態を図面を用いて説明を
行う。
【0022】〔第1の実施形態説明:図1から図5、図
8から図13〕図1から図5は本発明の第1の実施の形
態における熱電発電発電素子の製造方法の斜視図であ
り、図11、図12は本発明の第1の実施の形態におけ
る熱電発電素子の製造方法の要部断面図である。また図
8から図10は本発明の第1の実施の形態における熱電
発電素子の製造方法の要部上面図である。そして図13
は本発明の第1の実施の形態による熱電発電素子の製造
方法で製造する熱電発電素子の斜視図である。
【0023】はじめに、図1に示すように、n型熱電半
導体ブロック1とp型熱電半導体ブロック2とを用意す
る。n型熱電半導体ブロック1およびp型熱電半導体ブ
ロック2は、加工後にそれぞれ柱形状の第1の熱電体お
よび第2の熱電体となる半導体金属ブロックである。
【0024】本発明の実施の形態ではn型熱電半導体ブ
ロック1としてn型熱電半導体であるn型のBiTeS
eの焼結体を使用し、p型熱電半導体ブロック2として
p型熱電半導体であるp型のBiTeSbの焼結体を用
い、大きさはともに12mm×12mm×4mmとす
る。
【0025】続いて図2に示す工程では、n型熱電半導
体ブロック1に縦溝26を形成し、縦隔壁27を残して
n型溝入ブロック21とする。同様に、p型熱電半導体
ブロック2からp型溝入ブロック22を形成するが、こ
のとき、n型溝入ブロック21とp型溝入ブロック22
とで、縦溝のピッチを同一にし、かつ、一方のブロック
の縦溝幅が他方のブロックの縦隔壁幅よりも大きくなる
ようにする。
【0026】この縦溝26の幅への制限は、後述の工程
でn型溝入ブロック21とp型溝入ブロックを溝同士で
嵌め合わせるために設定してある。
【0027】なお、縦溝26の加工はワイヤーソーによ
る研磨加工により行う。
【0028】ここではワイヤーソーのワイヤー断面は円
形であるため、縦溝26の加工溝底は厳密には曲面とな
るが、図面の都合上、図2においては平らな底として図
示してある。
【0029】そして、それぞれのブロックには深さ3m
m(外形の4mm方向を厚さ方向とする)、ピッチ12
0μm、幅70μmの縦溝26をワイヤーソーにより形
成する。
【0030】図3を用いて説明する工程では、図2に示
したn型溝入ブロック21とp型溝入ブロック22で、
互いに縦溝26に相手の縦隔壁27を挿入し合って組み
合わせて一体化する。組み合わせた2つのブロックは嵌
合部に接着層62を設けて固着することで一体化ブロッ
ク3とする。
【0031】一体化ブロック3を作製する際の接着で注
意すべき点は、接着層62には2つのブロックの接合以
外に、n型溝入ブロック21とp型溝入ブロック22と
の間の電気的絶縁性を確保する働きをも持たせなければ
ならないことにある。
【0032】ワイヤーソーのような研磨加工によって縦
溝26の内壁が非常に平滑に加工できた場合には、流動
性の高い接着剤中に固着前の一体ブロック3を部分的に
浸漬し、毛管現象により接着剤を縦溝26と縦隔壁27
との隙間に充填すれば絶縁性は確保できる。
【0033】ここで接着層62に用いる接着剤として
は、低粘度の常温硬化型のエポキシ系の接着剤を用いる
こととする。
【0034】一方、縦溝26の内壁がやや粗面となった
場合には、確実に絶縁性を保つ必要性があるが、これに
ついては後述の第2の実施の形態において説明を行う。
【0035】さて、このように図3において完成した一
体化ブロック3は、次に図4で示した再度の溝加工工程
により横溝46を形成し、溝入一体化ブロック43にす
る。横溝46の加工は図2での縦溝26の工程と同様に
実施し、残った部分が横隔壁47となる。すなわちワイ
ヤーソーによる研磨加工により横溝46を形成する。な
お、本工程での横溝46は縦溝26に交差した方向に形
成するもので、一般的には図4に示したとおり直交させ
るのが最適である。
【0036】横溝46は、図4に示すように、一体化ブ
ロック3のp型熱電半導体側の面から形成しても、これ
とは逆にn型熱電半導体側の面から形成してもよい。す
なわち横溝46は、一体化ブロック3の上下いずれの側
からでも形成可能である。また横溝46の深さは、一体
化ブロック3でのn型熱電半導体とp型熱電半導体の縦
溝26や縦隔壁27の嵌合部を切断する所まで形成する
ことが好ましい。
【0037】横溝46の幅は、縦溝26とは異なり、な
るべく細くするのがよい。これは次の工程でわかるとお
り、熱電発電素子としての発電能力に寄与するのは横隔
壁47の部分であり、横溝46の領域をできるだけ小さ
くするのが素子性能面から好ましいからである。
【0038】したがって本発明の実施の形態では、ピッ
チ120μm、幅40μm、深さ3mmの横溝46を形
成する。なお、溝幅40μmはワイヤーソー加工での細
幅としてのほぼ限界値である。
【0039】図4の工程に続いて、図5に示すように、
横溝46にエポキシ系の絶縁性樹脂を充填し硬化して絶
縁樹脂層54を形成する。絶縁樹脂層54で固めた溝入
一体化ブロック43は、その上下面を研削で除去し、n
型熱電半導体とp型熱電半体の縦溝26と縦隔壁27と
の嵌合部を残すように仕上げ、熱電発電素子ブロック5
3を形成する。
【0040】この状態の熱電発電ブロック53の真上か
らみた上面図を図8に示す。なお、この状態の熱電発電
素子ブロック53はn型熱電半導体とp型熱電半導体が
柱状に規則的に並んでおり、n型熱電半導体のそれぞれ
の柱が第1の熱電体51であり、p型熱電半導体のそれ
ぞれの柱が第2の熱電体52となっている。
【0041】なお本発明の実施の形態では、熱電発電ブ
ロック53の真上と真下の面が配線端面に相当するが、
熱電発電ブロック53を形成する工程で、既に配線端面
はある程度の平坦化がなされているので、熱電発電ブロ
ック53の配線端面の平坦化工程は省略可能である。
【0042】また絶縁膜61あるいは絶縁スペーサー7
1や接着層62や絶縁樹脂層54をすべてまとめた中間
層が絶縁層50に相当している。
【0043】さらに図示はしないが、上記のようにして
得られた熱電発電素子ブロック53の上面に、ドライフ
ィルムである感光性樹脂56を貼り付け、形成する。
【0044】この感光性樹脂56は、後述の配線形成の
工程において配線の厚さが充分となるように設定する。
ここではネガ型のドライフィルムである感光性樹脂56
としては厚さが30μmのものを用いることとする。
【0045】そして図11の断面図に示すように感光性
樹脂56は、フォトマスクを介して紫外光で感光させた
後に所定の部分(ネガ型の場合は未露光部)を溶解除去
するという、いわゆるフォトリソグラフィ技術を用いて
感光性樹脂56に上面配線孔57を形成する。
【0046】とくにこの熱電発電素子ブロック53の上
面配線孔57の形状については図9に示すように、近接
する第1の熱電体51と第2の熱電体52の端が感光性
樹脂56の一つの上面配線孔57から1つずつ露出する
ように形成する。
【0047】感光性樹脂56は、上面配線孔57を形成
した後に、ポストベ−ク処理として温度150℃で1時
間加熱処理する。
【0048】そして図12の断面図に示すように、感光
性樹脂56の上面配線孔57の内部に、熱硬化形導電性
接着剤である導電性樹脂61を埋め込んだ後に、所定の
硬化処理を行うことにより、上面配線62を形成する。
【0049】とくに導電性樹脂61は、一つ一つの上面
配線孔57にディスペンサーで定量埋め込む方法や、全
面に導電性接着剤61を塗布した後に余分な量を削ぎ取
るといった方法により、埋め込みを行う。
【0050】また導電性樹脂61は銀(Ag)系導電フ
ィラーを含有する、エポキシ系の加熱硬化型導電性接着
剤であり、体積抵抗率が0.0002Ωcm程度の低抵
抗なものを選択する。導電性樹脂61は、温度120℃
で1時間加熱という条件で硬化処理することとする。
【0051】なお感光性樹脂56は前の工程であらかじ
め硬化処理済みであるため、導電性樹脂61の硬化条件
では感光性樹脂56の変形はなく、導電性樹脂61の形
成には影響はない。
【0052】そしてこの熱電発電ブロック53の上面配
線62を形成した後、さらに発電素子ブロック53の下
面についても上面配線62とほぼ同様の工程により下面
配線を形成する。下面配線は上面配線と異なるのはその
形状についてのみである。
【0053】図10に示すように、下面の配線孔は、隣
接する第1の熱電体51と第2の熱電体52との端が一
つの下面の配線孔から一つずつ露出し、かつ後述の工程
で下面配線を形成した結果、上面配線62と併せて第1
の熱電体51と第2の熱電体52が一列を直列に接続す
ることが可能となるように、斜めに折れ曲がった形状を
有する第1の下面配線孔58aと、複数段を直列化する
第2の下面配線孔58bのような形状となるように形成
する。
【0054】そして図は省略するが、上面配線62を形
成工程と同様に、感光性樹脂56の第1の下面配線孔5
8aや第2の下面配線孔58bの内部に、熱硬化型導電
性接着剤である導電性樹脂61を埋め込んだ後に、所定
の硬化処理を行うことにより下面配線を形成する。
【0055】なおこの導電性樹脂61の形成に関して
も、前述の熱電発電素子ブロック53の上面配線62を
形成した方法にしたがう。
【0056】以上のような工程により、図13に示すよ
うな熱電発電素子80を得る。熱電発電素子80は、整
列した柱状の第1の熱電体51と第2の熱電体52が上
面配線62と下面配線とで交互に接続しており、複数の
直列した熱電対を形成している。
【0057】また本発明の実施の形態では、感光性樹脂
56は配線を保護する役目をしているため除去しない。
【0058】仮に感光性樹脂56の熱伝導の悪さの影響
が大きい場合でも、一般的に用いられている熱伝導性ペ
ースト等を利用すれば実用上全く問題ない。
【0059】本発明の実施の形態により得られる熱電発
電素子においては、蒸着等により形成した薄膜配線より
も強度や取り扱い性が格段に優れた配線を形成すること
がでるため、先端が尖った針状端子や、バンプのような
小型の突起端子、あるいは板バネのように弾性的に接触
する弾性端子などを下面配線の端に接触させることによ
り、発電出力を外部へ容易に引き出すことができる。
【0060】また本発明の実施の形態では、配線孔の形
成にフォトリソグラフィ技術を応用しているため、スク
リーン印刷法では形成が難しい、高密度かつ高精度な配
線パターン形成を実現することが可能である。
【0061】〔第2の実施形態説明:図1から図3、図
6、図7〕つぎに本発明の第2の実施の形態について図
1〜図3と図6と図7を用いて説明を行う。図6、図7
は本発明の実施の形態における熱電発電素子の製造方法
の要部断面図である。
【0062】第2の実施の形態が第1の実施の形態と異
なる部分は、とくに一体化ブロック3を形成するとき
に、n型溝入ブロック21とp型溝入ブロック22とを
電気絶縁性を確保しながら接着するという接着方法の部
分である。
【0063】まず第1の実施の形態と同様の工程によ
り、図1に示すようなn型熱電半導体ブロック1とp型
熱電半導体ブロック2とにそれぞれワイヤーソーによる
研磨加工を施すことにより、図2に示すn型溝入ブロッ
ク21とp型溝入ブロック22を形成する。
【0064】縦溝26の内壁がやや粗面となった場合に
は、確実に絶縁性を保つため、図6あるいは図7で示し
た断面構造を提供するような製造方法が好ましい。図6
は絶縁膜を形成する工程を説明する図であり、図7はそ
れとは別に絶縁スペーサーを用いる工程を説明する図で
ある。
【0065】図6はn型溝入ブロック21の縦溝内壁に
絶縁膜61を形成し、これをp型溝入ブロック22と組
み合わせる。続いて、接着剤を前記のように毛管現象を
利用して充填し、さらに硬化させて接着層62とし、図
3に示すような一体化ブロック3を完成するものであ
る。
【0066】接着層62の形成に必要な接着剤として
は、常温硬化型のエポキシ系の接着剤を用いることとす
る。
【0067】絶縁膜61としては、酸化シリコンや酸化
アルミニウム、窒化シリコンなどの無機膜、あるいはポ
リイミドなどの有機膜の何れをも用いることができる。
なお、絶縁膜61はp型溝入ブロック22の縦溝内壁側
に形成してもよい。さらに、絶縁膜61をn型、p型溝
入ブロック21、22の双方の縦溝内壁に形成すれば、
一層確実に絶縁性の確保ができる。
【0068】一方、図7は絶縁性スペーサー71を分散
させた接着剤を用いて一体化ブロック3を作製する方法
を示した図である。例えば絶縁性スペーサー71として
平均粒径8μmの球形のガラスビーズをエポキシ接着剤
に5重量%添加する。この結果、ガラスビーズは接着層
62にほぼ均一に分散され、n型溝入ブロック21とp
型溝入ブロック22とはこのガラスビーズにより空間的
に強制的に隔てられ、電気的な絶縁も確保されることに
なる。
【0069】一体化ブロック3の完成後以降は、第1の
実施の形態と同様の工程に従うことにより、形成される
すべての熱電対が配線以外では確実に絶縁された熱電発
電素子を得ることが可能となる。
【0070】さて、本発明により得られる熱電発電素子
は、直列に10000対の熱電対を形成することがで
き、上面と下面に温度差を1℃与えたときに生ずる起電
力は約2V以上である。
【0071】この熱電発電素子は腕時計などの小型携帯
型電子機器の中に充分に収納可能な大きさであり、かつ
得られた開放電圧は腕時計を駆動するには充分な値であ
り、昇圧回路と組み合わせることによってはさらに種々
の携帯型機器の駆動も可能である。
【0072】なお本発明の実施の形態においては、導電
性樹脂61としては、熱硬化型導電性接着剤を用いたた
め、上面配線62と下面配線の形成は熱電発電素子ブロ
ック53の片面ずつ行ったが、硬化処理中に導電性接着
剤の粘度が低下してそれぞれの配線孔より流出すること
がないようであれば、熱電発電素子ブロック53の配線
処理は両面について平行して行ってもよい。
【0073】また、導電性樹脂61としても、良好な電
気伝導性と密着性とを有し、配線孔57へ埋め込みが可
能な材料であれば、たとえば含有する導電フィラーがニ
ッケル(Ni)やカーボン(C)であるような導電性樹
脂など、どのような材料でも利用可能である。
【0074】密着性や段差による断線が問題とならない
ようであれば、配線形成の処理工程において、熱電発電
素子ブロック53の全面に、金(Au)やクロム(C
r)や銅(Cu)といった導電性材料をスパッタリング
法あるいは蒸着法で形成してもよい。これは感光性樹脂
56がマスクの代わりになるからである。
【0075】さらに、本発明の実施の形態では感光性樹
脂56としてはドライフィルムを用いたが、配線に必要
な厚さで形成可能であればどのような料でもよく、感光
性ポリイミドやゴム系フォトレジストあるいは珪皮酸系
フォトレジスト等で置き換えが可能である。
【0076】そのうえ、n型溝入ブロック21やp型溝
入ブロック22や溝入一体化ブロック43を形成する工
程での、縦溝26や横溝46の形成には、ワイヤーソー
による研磨加工を適用したが、可能であればダイシング
ソーを用いた研削加工によって行ってもよい。
【0077】また熱電発電ブロック53を形成する工程
において、溝入一体化ブロック43の上下面は研削で上
下面の平坦化を行ったが、ダイシングソーなどによる切
断加工をしてもよい。
【0078】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
製造方法によれば、熱電半導体部材に精密な機械加工で
ある溝加工を適用することで熱電半導体柱を規則的に配
列し、さらにフォトリソグラフィ技術で高精度に形成し
た配線孔に導電性樹脂の配線を形成するため、従来の小
型熱電発電素子に用いられていたものよりも正確で強度
や信頼性が高い配線を実現することができ、その結果、
小型で高集積密度、高出力電圧の熱電発電素子を容易か
つ効率的に製造可能である。
【0079】そして、本発明の製造方法により熱電発電
素子として小型で高い出力電圧が得られることから、腕
時計などの携帯型電子機器において温度差発電が利用で
きるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態における熱電発電素子の製
造方法を示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態における熱電発電素子の
製造方法を示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態における熱電発電素子の
製造方法を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における熱電発電素子の
製造方法を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態における熱電発電素子の
製造方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 n型熱電半導体ブロック 2 p型熱電半導体ブロック 3 一体化ブロック 26 縦溝 43 溝入一体化ブロック 46 横溝 51 第1の熱電体 52 第2の熱電体 54 絶縁樹脂層 61 絶縁膜 71 絶縁性スペーサー 56 感光性樹脂 61 導電性樹脂

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のn型熱電半導体からなる第1の熱
    電体と複数のp型熱電半導体からなる第2の熱電体とを
    絶縁層を介しつつ規則的に配置あるいは固定し熱電発電
    素子ブロックを形成する工程と、 熱電発電素子ブロックの配線端面および配線端面と同一
    面の絶縁層を平坦化する工程と、 熱電発電素子ブロックの配線端面に配線孔を有する感光
    性樹脂を形成する工程と、 配線孔の内部に導電性材料で配線を形成する工程とを有
    し、 第1の熱電体と第2の熱電体が直列した複数の熱電対を
    形成することを特徴とする熱電発電素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数のn型熱電半導体からなる第1の熱
    電体と複数のp型熱電半導体からなる第2の熱電体とを
    絶縁層を介しつつ規則的に配置あるいは固定し熱電発電
    素子ブロックを形成する工程と、 熱電発電素子ブロックの配線端面および配線端面と同一
    面の絶縁層を平坦化する工程と、 熱電発電素子ブロックの配線端面に配線孔を有する感光
    性樹脂を形成する工程と、 配線孔の内部に導電性樹脂を埋め込み硬化処理を行うこ
    とで配線を形成する工程とを有し、 第1の熱電体と第2の熱電体が直列した複数の熱電対を
    形成することを特徴とする熱電発電素子の製造方法。
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