JPH1180580A - ジスアゾ顔料組成物の製造方法およびその用途 - Google Patents

ジスアゾ顔料組成物の製造方法およびその用途

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JPH1180580A
JPH1180580A JP25032697A JP25032697A JPH1180580A JP H1180580 A JPH1180580 A JP H1180580A JP 25032697 A JP25032697 A JP 25032697A JP 25032697 A JP25032697 A JP 25032697A JP H1180580 A JPH1180580 A JP H1180580A
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敏男 大芝
Hitoshi Sugamo
等 巣鴨
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分散性、透明性、着色力、光沢に優れるジスア
ゾ顔料組成物、その製造方法、及びオフセットインキを
提供する。 【解決手段】ベンジジン類のテトラゾ溶液と、アセトア
セトアニリド類、あるいはピラゾロン類のカップラー液
とをカップリングさせたジスアゾ顔料スラリーと該色素
に対し30〜300%の低粘度油性ワニスとを分散メデ
ィアを内蔵する分散装置でフラッシングして得られる微
細な顆粒状のジスアゾ顔料組成物、及びその顔料組成物
をオフセットインキ用ビヒクルでインキ化してなるオフ
セットインキ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷インキ用とし
て有用なジスアゾ顔料の水ペースト、乾燥品、およびそ
の製造方法およびそれを用いた着色組成物に関する。さ
らに詳しくは、分散性、透明性、着色力、光沢を向上せ
しめた顆粒状のジスアゾ顔料の水ペースト、乾燥顔料、
およびその製造方法、およびそれを用いた印刷インキに
関する。
【0002】
【従来の技術】ベンジジン類のテトラゾ溶液と、アセト
アセトアニリド類、あるいはピラゾロン類を含むカップ
ラー液とをカップリングして得られたジスアゾ顔料は、
印刷インキ、塗料、プラスチックの着色等の各種用途に
広く使用されている。しかし、ジスアゾ顔料は、乾燥に
より一次粒子が大きく成長し透明性が低下するとともに
強い凝集が生じ、分散性が低下する等、顔料としての商
品価値が低下する事があった。また、乾燥前の水ペース
トをオフセットインキ用ビヒクルでフラッシングするイ
ンキ化法もあるが、フラッシング時の条件によっては、
透明性が低下する等インキの著しい品質の低下等をとも
なう事があった。
【0003】このような問題点を解決する手段として、
顔料スラリーに低粘度の油性ワニスを加え高速攪拌でス
ラリーフラッシングを行った後、水分を除去して粒状着
色剤を得る方法が、特公平5ー69147号をはじめ多
数示されているが、このような着色剤を使用したインキ
は必ずしも透明性、光沢、着色力を満足するものではな
かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分散性、透
明性、着色力、光沢に優れ、かつ作業性に優れる顆粒状
のジスアゾ乾燥顔料組成物、及び乾燥前の水ペースト顔
料組成物、その製造方法、及びオフセットインキを提供
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、合成後の未乾
燥状態のジスアゾ顔料水スラリーを油性ワニスとともに
分散メディアを内蔵する分散装置内でフラッシングする
ことを特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法に関す
る。更に本発明は、ジスアゾ顔料100部に対して油性
ワニスを30〜300重量部を使用してなる上記ジスア
ゾ顔料の製造方法に関する。更に本発明は、上記製造方
法で得られたジスアゾ顔料組成物に関する。更に本発明
は、顆粒状である上記ジスアゾ顔料組成物に関する。更
に本発明は、上記ジスアゾ顔料組成物をビヒクルに分散
してなる着色組成物に関する。更に本発明は、オフセッ
トインキである上記着色組成物に関する。更に本発明
は、上記顆粒状ジスアゾ樹脂組成物を油性ワニスとフラ
ッシングすることを特徴とするオフセットインキの製造
方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のジスアゾ顔料とは、ベン
ジジン類のテトラゾ溶液と、アセトアセトアニリド類、
あるいはピラゾロン類のカップラー液とをカップリング
させたものである。ベンジジン類としては、3,3’−
ジクロロベンジジンや2,2’,5,5’−テトラクロ
ロベンジジン、3,3’−ジアニシジン等がある。アセ
トアセトアニリド類としては、アセトアセトアニリド、
アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−m−キ
シリジド、アセトアセト−o−アニシジド、アセトアセ
ト−2,5−ジメトキシアニリド、アセトアセト−p−
アニシジド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−
クロロアニリド、アセトアセト−o−クロロアニリド等
がある。ピラゾロン類としては、3−メチル−1−フェ
ニル−5−ピラゾロン、3−カルボエトキシ−1−フェ
ニル−5−ピラゾロン、3−メチル−1−(4’−メチ
ルフェニル)−5−ピラゾロン等がある。
【0007】本発明のジスアゾ顔料の合成は、従来公知
のジスアゾ顔料の合成方法に準じて実施できる。すなわ
ち、ベンジジン類のテトラゾ溶液と、アセトアセトアニ
リド類、あるいはピラゾロン類のカップラー液とをカッ
プリングさせることで得られる。
【0008】本発明は、ジスアゾ顔料スラリーに低粘度
油性ワニスを添加し、分散メディアを内蔵する分散装置
でフラッシングする事を特徴とする。フラッシング後の
顔料組成物は粒径が0.1mm〜1.0mmの微細な顆
粒状となり、分離、精製して水を含む顆粒物とするか、
これを乾燥したものをオフセットインキ用顔料として使
用する。顔料スラリーに添加する低粘度油性ワニスとし
ては、例えばオフセット用樹脂とオフセット用溶剤から
なるオフセットインキ用ビヒクルを更にオフセット用溶
剤で希釈したものを添加する。ロジン処理を行った顔料
スラリーを使用してもよい。オフセットインキ用を作成
する時のビヒクルとしては、ロジン変性フェノール樹脂
等の樹脂20〜50重量%、アマニ油、桐油、大豆油等
の植物油0〜30重量%、n−パラフィン、イソパラフ
ィン、アロマチック、ナフテン、α−オレフィン等の溶
剤10〜60重量%からなるものが使用できる。
【0009】ロジン変性フェノール樹脂としては次のよ
うなものがある。例えば、p−オクチルフェノール、p
−ノニルフェノールのようなp−アルキルフェノールと
パラホルムアルデヒド、及びロジンをトルエンに溶解さ
せ、酸、あるいはアルカリ触媒下で反応後、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、あるいは、ロジンを200
℃で溶融し、レゾール樹脂を加えて反応後、グリセリン
でエステル化したロジン変性フェノール樹脂、あるい
は。ロジンのグリセリンエステルにレゾール樹脂を加え
て反応させたロジン変性フェノール樹脂、あるいはロジ
ン変性アルキド樹脂とフェノール樹脂を反応させたロジ
ン変性フェノール樹脂等がある。オフセットインキ用ビ
ヒクルを希釈する溶剤としては0号ソルベント、5号ソ
ルベント、7号ソルベント、AFソルベント等(いずれ
も日本石油株式会社製)がある。
【0010】顔料スラリーに低粘度油性ワニスを添加し
てフラッシングさせる時のワニスの配合量は、上記で調
整した顔料に対し30〜300重量%、好ましくは40
〜200重量%である。上記数値の下限は、顔料水スラ
リーのフラッシング性により制限を受け、上記数値の上
限は、得られるフラッシング物の取扱性により制限を受
ける。顔料スラリーのフラッシングに使用する低粘度油
性ビヒクルの粘度は1から100ポイズ、好ましくは5
から20ポイズである。例えばロジン変性フェノール樹
脂40部をAFソルベント60部に溶解する事で得られ
るが、通常のオフセットワニスにオフセット用溶剤を加
えて粘度を低下させた物でもよい。顔料スラリーはカッ
プリング後のスラリーでも精製して塩分を除去したスラ
リーでもよい。
【0011】本発明の顔料製造方法の概略を述べると、
例えば、BYK社製ディスパーマットベッセル等の分散
装置内に顔料スラリーを加え、更に低粘度の油性ワニ
ス、及びジルコニアビーズを加え2000rpm、10
分間攪拌する事でフラッシング物が得られる。フラッシ
ング物はビーズと明確に分離し、デカンテーションで分
離後、精製できる。フラッシング物は含水率が50%以
下の微細な顆粒状であり、このまま乾燥することができ
る。
【0012】更に詳細には、500ccのBYK社製デ
ィスパーマットベッセルにカップリング後の顔料スラリ
ー100g(顔料6g)、10ポイズ油性ワニス6g、
1.2mmφジルコニアビーズ1000gを添加し、2
000rpmで10分間攪拌すればよい。顔料スラリー
はフラッシングされ、約0.1mmφの微細な顆粒状顔
料が得られる。この水分を含む顆粒はフラッシャーでオ
フセットインキ用ビヒクルで脱水、分散しオフセットイ
ンキとすることができる。この顆粒は既にスラリーフラ
ッシングが終了しているので、フラッシャーでの脱水温
度を40から80℃に代えても通常の水ペーストに見ら
れるような透明性の変化は無く、また通常の水ペースト
のフラッシングインキに比べ極めて透明である。
【0013】本発明で得られた乾燥顔料をオフセットイ
ンキ用ビヒクルで練肉したオフセットインキは、上記の
脱水、分散したインキと同程度の透明性のあるものが得
られる。顔料スラリーのフラッシングに使用する10ポ
イズの低粘度油性ワニスは、例えば、タマノール356
(荒川化学工業株会社製:ロジン変性フェノール樹脂)
40部にAFソルベント(日本石油株式会社製:オフセ
ットインキ用溶剤)60部を160℃にて加熱溶解させ
たものが好ましく使用できるが、ロジン変性フェノール
樹脂に限らず、石油樹脂、アルキド樹脂でも構わない。
また、得られた顔料組成物のインキ化に使用するオフセ
ットインキ用ビヒクルはタマノール356、50重量部
に対し、アマニ油20重量部、AFソルベン30重量部
を加え、160℃にて加熱溶解したものが好ましく使用
できる。
【0014】本発明は、上記により調整された顔料組成
物の水ペースト及び乾燥品をオフセットインキ用ビヒク
ルに配合して脱水、分散、あるいは練肉してオフセット
インキを作成する。顔料スラリーのフラッシングに使用
する10ポイズの油性ワニス、及び顔料のインキ化に使
用するオフセットインキ用ビヒクルは例えば、上記に例
示したようなロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、ア
ルキド樹脂、またはこれらの乾性油変成樹脂等の樹脂2
0〜50重量%、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油0
〜30重量%、n−パラフィン、イソパラフィン、アロ
マチック、ナフテン、α−オレフィン等の溶剤0〜60
重量%からなるものである。さらに、その他のインキ溶
剤、ドライヤー、レベリング改良剤等、各種の公知のイ
ンキ用添加剤を配合して印刷インキ組成物とされる。
【0015】以下、実施例に基づき本発明をより詳細に
説明する。例中、特に断りの無い限り、部は重量部、%
は重量%を意味する。
【実施例1】氷水580部に35%塩酸30部と3,
3’−ジクロロベンジジン32.6部を加え、続いて、
亜硝酸ナトリウム13.8部を加えてテトラゾ化し、テ
トラゾ溶液を得た。一方、水300部に水酸化ナトリウ
ム17部とアセトアセトアニリド36.0部を20℃で
仕込みカップラーのアルカリ溶液とした。このアルカリ
溶液に80%酢酸35部を滴下し、カップラーを酸析し
て下漬液を調整し、この下漬液にテトラゾ溶液を20℃
に調整して注入しカップリングさせた。得られた顔料ス
ラリー200g(顔料12g)をBYK社製ディスパー
マット500cc容器に入れ、1.2mmのジルコニア
ビーズ1000gを加え、2000rpmで攪拌しなが
ら10ポイズの油性ワニス(タマノール356、40部
をAFソルベント60部に160℃で加熱溶解した)1
2gを1分間かけて添加し、10分攪拌した。フラッシ
ング物は、微細な顆粒状となり、容器上部にビーズと明
確に分離した状態になった。デカンテーションで顆粒状
の顔料組成物を分離、水洗し、含水率40%の水ペース
ト39.6gを得た。
【実施例2】実施例1で得られた水分を含む顆粒を40
℃で乾燥し、顆粒状の乾燥顔料組成物を得た。
【0016】
【比較例1】実施例1のカップリング後顔料スラリー2
00gを500cc容器に入れ、特殊機化工業製ハイス
ピードミキサー3000rpmで攪拌しながら10ポイ
ズのワニス12gを5分間かけて添加し、30分攪拌し
た。フラッシング物を濾過、水洗し、含水率60%の水
ペーストを得た。
【比較例2】比較例1で得られた水ペーストを40℃で
乾燥し、粉末状の乾燥顔料組成物を得た。
【0017】実施例1及び比較例1で得られた顔料のオ
フセットインキ試験を実施した。使用ビヒクルはタマノ
ール356(荒川化学(株)製ロジン変性フェノール樹
脂)50部に対し、アマニ油20部、AFソルベント
(日本石油(株)製インキ溶剤)30部を加え、160
℃に加熱して溶解させた。このビヒクル98部にオクチ
ル酸アルミニウム2部を加えオフセットインキ用ビヒク
ルとし、次の試験を実施した。
【0018】オフセットインキ用ビヒクル178gを1
lテストフラッシャーに入れ、80℃に調製後、顔料分
144gの顔料組成物を加え30分間攪拌した。フラッ
シング排液を排水後、ビヒクル60gを加え、110
℃、70mmHgで1時間減圧加熱攪拌してインキ中の
水分を除去した。冷却後、ビヒクル200部添加して取
り出し、3本ロールで練肉分散した。この練肉インキ5
6.0gにビヒクル、インキ溶剤、計51gを加えタッ
クが6.0になるようにインキの調子を調製した。
【0019】(透明性)クリプトメーターで透明性を比
較した。比較例1に比べ、実施例1が透明であった。 (着色力)アート紙にRIテスターにて展色刷りした時
のグレタグ値を測定した。比較例1が1.2に対し、実
施例1は1.4と高着色力であった。 (光沢)アート紙にRIテスターにて展色刷りした時の
光沢(スガ試験機株式会社製:60°光沢)は比較例1
が73.5%であるのに対し、実施例1は76.5%と
高かった。
【0020】実施例2及び比較例2で得られた乾燥顔料
のオフセットインキ試験を実施した。オフセットインキ
用ワニス178gと顔料144gをミックスし、3ロー
ルで練肉した。この練肉インキ56.0gにワニス、イ
ンキ溶剤、計51gを加えタックが7.0になるように
インキの調子を調整した。 (作業性)比較例2の粉末状顔料に対し、実施例2の顆
粒状顔料は飛散が少なく作業性に優れた。 (分散性)比較例2が2パスでGR値が7.5μ以下に
なったのに対し、実施例2は1パスで7.5μ以下にな
り、分散性が優れた。 (透明性)クリプトメーターで透明性を比較した。比較
例2に比べ、実施例2が透明であった。実施例2が乾燥
時の結晶成長が小さい事を示す。 (着色力)アート紙にRIテスターにて展色刷した時の
グレタグ値を測定した。比較例2が1.1に対し、実施
例2は1.3と高着色力であった。 (光沢度試験)アート紙にRIテスターにて展色刷した
時の光沢は比較例2が、71.5%であるのに対し、実
施例2は74.5%と高かった。
【発明の効果】本発明によれば、顔料スラリーを低粘度
ワニスと共に分散メディアを内蔵する分散装置でフラッ
シングする事で、分散性、透明性、着色力、光沢に優れ
た微細な顆粒状のジスアゾ顔料組成物が提供される。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成後の未乾燥状態のジスアゾ顔料水スラ
    リーを油性ワニスとともに分散メディアを内蔵する分散
    装置内でフラッシングすることを特徴とするジスアゾ顔
    料組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】ジスアゾ顔料100部に対して油性ワニス
    を30〜300重量部を使用してなる請求項1記載のジ
    スアゾ顔料の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の製造方法で得られた
    ジスアゾ顔料組成物。
  4. 【請求項4】顆粒状である請求項3記載のジスアゾ顔料
    組成物。
  5. 【請求項5】請求項3又は4記載のジスアゾ顔料組成物
    をビヒクルに分散してなる着色組成物。
  6. 【請求項6】オフセットインキである請求項5記載の着
    色組成物。
  7. 【請求項7】請求項4記載の顆粒状ジスアゾ樹脂組成物
    を油性ワニスとフラッシングすることを特徴とするオフ
    セットインキの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014201741A (ja) * 2013-04-04 2014-10-27 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation 乾燥フラッシュ顔料を用いた、相転移インクのための低コストプロセス

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