JPH1180150A - カリックスアレーン化合物 - Google Patents

カリックスアレーン化合物

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JPH1180150A
JPH1180150A JP9240799A JP24079997A JPH1180150A JP H1180150 A JPH1180150 A JP H1180150A JP 9240799 A JP9240799 A JP 9240799A JP 24079997 A JP24079997 A JP 24079997A JP H1180150 A JPH1180150 A JP H1180150A
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JP
Japan
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compound
sodium ion
calixarene
selective
ion
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JP9240799A
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English (en)
Inventor
Takao Okazaki
隆男 岡崎
Hiroyuki Yanagi
裕之 柳
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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  • Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶液中のナトリウムイオンに対する感度の高
く、すなわち、ナトリウムイオンと会合する能力が高
く、かつ、リチウムイオン等の他のイオンの影響を受け
にくいナトリウムイオン選択性イオノホアとなる新規な
化合物を提供する。 【解決手段】 4個のフェノール単位からなるカリック
スアレーンにおいて、隣接しないフェノール単位の1対
が(CH22O(CH23O(CH22鎖で架橋され
た、下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2及びXはそれぞれ独立に水素原子又は
炭素数1〜22の置換もしくは非置換の炭化水素基であ
る。)で表されるカリックスアレーン化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋構造を有する
新規なカリックスアレーン化合物に関する。さらに詳し
くは、イオン選択性電極などに用いるナトリウムイオン
選択性イオノホアとして好適に使用できるカリックスア
レーン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】試料中の特定のイオン成分を簡便かつ迅
速に測定できる手段として、イオン選択性電極を用いる
方法がある。この方法は電極を試料溶液に浸すだけで、
測定対象を破壊せずに長時間連続的に流体の特定のイオ
ン濃度を測定することが可能である。このためこの方法
は、鉄鋼業、化学工業、石油精製業などの各種工業プラ
ントにおいて生産プロセスの自動監視や制御に使われた
り、工業排水の自動計測や河川水の監視などの環境分
野、あるいは、病気の早期発見などを目的とした臨床的
な診断分野で使用されている。
【0003】種々のイオンの中でも、特にナトリウムイ
オンは、多くの分野で選択的に検知したり定量する必要
性が認められている。たとえば、臨床的な分野では、流
れている血液中や静止している生体細胞や体液中のナト
リウムイオン濃度の測定は重要な検査項目となってい
る。また、発電所においては、発電機や配管の腐食防止
のため、使用される高純度純水のナトリウムイオン濃度
が1−50μg/lの濃度レベルで測定され、ナトリウ
ム濃度が低くなるように管理されている。
【0004】さらに近年、産業の高度化、情報化に伴
い、各種の分析装置のニーズが高まるとともに、電子材
料分野において新素材や新材料が開発されてきた。これ
らの新素材を生産するプロセスにおいては、従来より高
純度な試薬を使用することが求められている。例えば、
半導体の製造においては、LSIデバイスの高集積化、
高性能化に伴い、MOSメモリにおける微細キャパシタ
の形成技術が重要課題になっており、キャパシタを微細
化するためには、原材料や洗浄液の超高純度化を図らな
ければならない。そのため、微量成分の濃度管理が重要
な役割を持つようになった。このような状況の中、イオ
ン選択性電極は高いイオン選択性を持ち、即ち他の金属
イオンの影響を受けることもなく、従来よりも微量の成
分を測定することが強く望まれている。
【0005】イオン選択性電極は、特定のイオンを選択
的に吸着するイオノホアを含んだ感応膜と作用電極と参
照電極を組み合わせたもので構成されており、これらの
電極間の電位差を測定することにより、イオン濃度を測
定することができる。このイオン選択性電極の特性はイ
オノホアとして用いられる化合物の特性に大きく依存す
る。従来、ナトリウムイオン選択性電極にはイオノホア
としてクラウンエーテルという環状エーテル化合物が用
いられてきた。その中で、ビス(12−クラウン−4)
誘導体はナトリウムイオン選択性が最も高く、対リチウ
ムイオンのナトリウムイオンの選択係数(logK
Na,Li)は、−3.0であった(この数値が小さいほど
良好な選択性を示す)。
【0006】また、最近、カリックスアレーンと称され
る環状化合物をナトリウムイオン選択性電極用のイオノ
ホアとして使用すれば、ビス(12−クラウン−4)誘
導体よりも著しく高いイオン選択性を示すと報告された
(例えば、新海ら、Chemistry Letter
s,1994年,p1115)。このカリックスアレー
ンは、複数個のフェノール単位をメチレン基で結合した
環状オリゴマーである(総説:C.D.Gutche
ら、”Calixarenes”,RoyalSoci
ety of Chemistry,Cambridg
e,1989年)。そして、ナトリウムイオン選択性の
優れたカリックスアレーン化合物として、下記一般式
(2)の構造を持つ化合物が報告されている(特開平7
−206852号公報)。
【0007】
【化2】
【0008】(式中、Rは炭素数1〜18の直鎖または
分岐のアルキル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐の
アルコキシエチル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐
のアルコキシカルボニルメチル基、または互いに架橋し
た3−オキサブタノ基であり、Xは水素または炭素数1
〜12のアルキル基である。) 上記化合物は、ナトリウムイオン選択性イオノホアとし
て優れた性能を有するものであるが、前記したような測
定精度向上の要求に応えるため、ナトリウムイオンに対
する感度及び選択性の更なる改良が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、溶
液中のナトリウムイオンに対する感度の高く、すなわ
ち、ナトリウムイオンと会合する能力が高く、かつ、リ
チウムイオン等の他のイオンの影響を受けにくいナトリ
ウムイオン選択性イオノホアを開発することを課題とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カリック
スアレーン化合物について研究を重ね、4個のフェノー
ル単位からなるカリックスアレーンにおいて、隣接しな
いフェノール単位の下端部(OH基の存在する側)の1
対が(CH22O(CH23O(CH22鎖で架橋され
たカリックスアレーン化合物の合成に初めて成功した。
さらに、これらの化合物は金属イオン、特にナトリウム
イオン選択的に錯体形成するとともに、高い錯体形成能
力をもつことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明は、下記の一般式(1)
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R1、R2及びXはそれぞれ独立に
水素原子又は炭素数1〜22の置換もしくは非置換の炭
化水素基である。)で示されるカリックスアレーン化合
物である。
【0014】また、他の発明は、上記の一般式(1)で
表されるカリックスアレーン化合物からなることを特徴
とするナトリウムイオン選択性イオノホアである。
【0015】さらに他の発明は、上記カリックスアレー
ン化合物、熱可塑性樹脂及び必要に応じて可塑剤を含ん
でなることを特徴とするナトリウムイオン選択性感応膜
である。
【0016】そして、さらに他の発明は、その一部が上
記のナトリウムイオン選択性感応膜で構成される容器中
に電解液及び内部電極が内蔵されてなることを特徴とす
るナトリウムイオン選択性電極である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のカリックスアレーン化合
物を表す前記一般式(1)において、R1、R2及びX
は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜22の置
換もしくは非置換の炭化水素基である。ここで上記炭素
数には置換基の炭素数は含まれない(以下、他の基につ
いても炭素数を言うときは置換基中の炭素は含まな
い。)。R1、R2又はXが置換もしくは非置換の炭化水
素基の場合、該炭化水素基の炭素数が23以上では、合
成時の収率が低下したり、ナトリウムイオンとの会合反
応が平衡に達するのにするのに時間がかかりすぎるため
好ましくない。なお、該炭化水素基の置換基としては、
アルキル基、アリール基等が挙げられる。R1及びR2
好適な例としては、たとえば、水素原子、メチル基、エ
チル基、イソプロピル基、n−オクチル基、n−デシル
基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、p−(n−
オクタデシル)ベンジル基,n−ヘキサコサニル基(n
−C2651),6,6,6−トリフェニルヘキシル基な
どが挙げられる。また、Xの好適な例として、水素原
子、メチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、n−ド
デシル基などが挙げられる。
【0018】本発明のカリックスアレーン化合物は、下
式に示すフローチャートに従って合成することができ
る。
【0019】
【化4】
【0020】{但し、式中R1及びR2、Xは前記一般式
(1)におけるR1及びR2、Xと同義であり、Zは、ハ
ロゲン原子又は有機スルホニル基である。} 即ち、先ず1段目の反応として一般式(3)で表される
テトラヒドロキシカリックス[4]アレーン化合物を塩
基の存在下、溶媒中で、一般式(4)で表されるポリエ
ーテルと反応させて環化し、一般式(5)で表されるカ
リックスアレーン化合物を得る。この化合物は、一般式
(1)においてR1及びR2が水素原子である目的の化合
物であるが、R1のみあるいはR1及びR2を炭化水素基
としたい場合には、後述する方法により該化合物をアル
キル化すればよい。
【0021】一般式(3)で表される原料のテトラヒド
ロキシカリックス[4]アレーン化合物は、C.D.グ
ッチェら著、総説カリックスアレーン、ロイヤル ソサ
イエティー オブ ケミストリー(C.D.Gutsc
he,Calixarenes,p.216−219,
Royal Society of Chemistr
y)等に記載されている公知の化合物である。
【0022】一般式(4)で表されるポリエーテルは、
ブリティン オブ ザ ケミカルソサイエティー オブ
ジャパン 第63巻、3044頁、1990年発行
{Y.Liu,Y.Inoue,T.Hakushi,
Bull.Chem.Soc.Jpn.63,3044
(1990)}等に記載の方法によって合成できる公知
の化合物である。ここで、式中のZは、ハロゲン原子あ
るいは有機スルホニル基であり、好適なハロゲン原子と
しては、塩素、臭素、よう素等が挙げられ、好適な有機
スルホニル基としては、メタンスルホニル基、p−トル
エンスルホニル基等が挙げられる。
【0023】上記の1段目の反応で用いられる塩基とし
ては金属水素化物、金属、金属水酸化物、金属アルコキ
シド、アルキル金属または金属炭酸塩等が用いられる。
好適な金属水素化物としては、水素化リチウム、水素化
ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等のア
ルカリ金属、アルカリ土類金属を有する化合物が挙げら
れる。金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等
のアルカリ金属が好適である。金属水酸化物としては、
アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むものであれ
ば特に制限されないが、たとえば水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム等が好
適である。金属アルコキシドとしては、ナトリウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシ
ド等のアルカリ金属を含有する化合物が好適に用いられ
る。アルキル金属としては、メチルリチウム、エチルリ
チウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フ
ェニルリチウム等のアルカリ金属を含有する化合物が好
適に用いられる。金属炭酸塩としては、アルカリ金属、
アルカリ土類金属を含有するものが好適に用いられ、さ
らに好ましくは、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、
重炭酸カルシウム、重炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等が用いられる。
【0024】また、上記の1段目の反応で使用する溶媒
は原料に対して不活性であれば何ら制約されずに使用で
きる。たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂
肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、
ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ホルムア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル等のニト
リル類等を単一溶媒または必要に応じて2−3種類の溶
媒を混合して用いることができる。さらに、反応で使用
する溶媒には、5%以下の水分を含んでいても良い。
【0025】特に、塩基として金属水素化物を用いる場
合には、反応溶媒としてはテトラヒドロフラン等のエー
テル類及びN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類
を使用することにより、合成収率が大きくなるため好適
である。また、塩基として金属炭酸塩を用いる場合に
は、反応溶媒としてはアセトン等のケトン類及びN,N
−ジメチルホルムアミド等のアミド類やアセトニトリル
等のニトリル類を使用するのが、合成収率が高いため好
適である。
【0026】前記一般式(4)で表されるポリエーテル
と原料である前記一般式(3)で示されるカリックスア
レーン化合物のモル比は広い範囲で選択できるが、通常
は前記一般式(4)で表されるポリエーテルが前記一般
式(3)で示されるカリックスアレーン化合物の0.1
−30倍の範囲で用いられる。反応温度は特に制限され
ないが、一般には10−150℃の範囲が好適である。
反応時間も特に制限されないが、一般には1−300時
間の範囲が好適である。
【0027】次に、2段目の反応として前記一般式
(5)で表されるカリックスアレーン化合物をアルキル
化し、前記一般式(1)においてR1とR2が独立に炭素
数1〜22の置換もしくは非置換の炭化水素基であるカ
リックスアレーン化合物(1’)とする場合について、
その方法を以下に説明する。 即ち、アルキル化は、前
記一般式(5)で表されるカリックスアレーン化合物を
塩基存在下、溶媒中で、下記一般式(8)で示されるア
ルキル化剤と反応させることにより行い、一般式(6)
で示されるカリックスアレーン化合物及び一般式(7)
で示されるカリックスアレーン化合物を与える。
【0028】R1−L (8) {式中、R1は前記一般式(1)における水素原子以外
のR1と同じであり、Lはハロゲン原子あるいは有機ス
ルホニル基である。} そしてさらに、一般式(7)で示されるカリックスアレ
ーン化合物を下記一般式(9)で示されるアルキル化剤
と反応させることにより、前記一般式(1)で表される
本発明のカリックスアレーン化合物を得る。
【0029】R2−L (9) {式中、R2は前記一般式(1)における水素原子以外
のR2と同じであり、Lはハロゲン原子あるいは有機ス
ルホニル基である。} 上記一般式(6)及び一般式(7)で示されるカリック
スアレーン化合物及び上記一般式(8)で示されるアル
キル化剤におけるR1及び上記一般式(9)で示される
アルキル化剤におけるR2は、前記一般式(1)のR1
びR2に対応する炭素数1〜22の置換もしくは非置換
の炭化水素基である。
【0030】また上記一般式(8)及び上記一般式
(9)で示されるアルキル化剤におけるLは、ハロゲン
原子あるいは有機スルホニル基である。好適なハロゲン
原子としては、塩素、臭素、よう素等が挙げられ、好適
な有機スルホニル基としては、メタンスルホニル基、p
−トルエンスルホニル基等が挙げられる。上記アルキル
化で使用する塩基及び反応溶媒は、第1段目の反応で使
用できるものとして例示したものが好適に使用できる。
使用する原料のモル比は広い範囲で選択できるが、通常
は一般式(8)または一般式(9)で示されるアルキル
化剤が、一般式(5)または一般式(7)で示されるカ
リックスアレーン化合物に対して、それぞれ、0.5−
50倍の範囲で用いられる。
【0031】いずれも本発明のカリックスアレーン化合
物である前記一般式(1’)、一般式(5)、一般式
(6)及び一般式(7)で示される各カリックスアレー
ン化合物の精製は、抽出、再結晶、カラムクロマトグラ
フィーによって行われる。
【0032】このようにして得られた本発明のカリック
スアレーン化合物は、金属あるいは分子との錯体形成能
力が高いため様々な用途に利用可能である。以下の説明
においては、該カリックスアレーン化合物のナトリウム
イオン選択性イオノホアとしての応用例として、ナトリ
ウムイオン抽出試薬として二相抽出測定を行う例、およ
びイオン選択性電極のイオノホアに利用する例について
説明する。
【0033】本発明のカリックスアレーン化合物を用い
てナトリウムイオンを二相抽出する場合には、該カリッ
クスアレーン化合物を有機溶媒に溶解し、ナトリウムイ
オンを含む水溶液又は有機溶媒溶液に添加した後、激し
く振とうして水−有機溶媒系二相抽出又は、有機溶媒−
有機溶媒系二相抽出を行う。なお、二相抽出を行う際に
は、該カリックスアレーン化合物を溶解させる有機溶媒
としてはナトリウムイオンを含む溶液の溶媒(水又は有
機溶媒)と相分離するような有機溶媒を選択する必要が
ある。このようにしてナトリウムイオンを抽出する場合
には、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウ
ム、カルシウム等の各イオンの影響を受けずに抽出する
ことができる。
【0034】本発明のカリックスアレーン化合物を溶解
するのに使用される有機溶媒としては、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼ
ン、重ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族
系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、ジ
エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の
エーテル系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、重クロロ
ホルム、トリクレン、ジクロロメタン、重ジクロロメタ
ン等のハロゲン系溶媒を1種類単独または2種類以上混
合して用いることができる。
【0035】本発明のカリックスアレーン化合物は、水
−有機溶媒系あるいは有機溶媒−有機溶媒系の全溶媒使
用量に対して、一般に、1.0mol/l〜0.000
01mol/lの範囲で使用される。
【0036】次に、イオン選択性電極のイオノホアに利
用する例について説明する。本発明のカリックスアレー
ン化合物を一成分としてナトリウムイオン選択性電極を
構成する形態は、なんら限定されないが、例えば、「イ
オン選択性電極」、G.J.ムーディ、J.D.R.ト
ーマス共著、宗森信、日色和夫共訳、1977年共立出
版社発行{G.J.Moody,J.D.R.Thom
as,Selective Ion Selectiv
e Electrodes,Merrow Publi
shing Co. Ltd.,England,19
77}等に記載された種々の公知の方法を用いて電極を
作成することができる。具体的に例示すれば、次の通り
である。
【0037】即ち、本発明のカリックスアレーン化合物
をナトリウムイオン選択性イオノホアとして熱可塑性樹
脂等とともに適当な方法、例えば、溶媒に溶解させた
後、溶媒を蒸発させて、ナトリウムイオン選択性感応膜
を製作できる。これを電極に取り付けるか、あるいは、
白金線、シリコン半導体のゲート部上に直接被膜を形成
させる方法によりナトリウムイオン選択性電極を構成す
ることができる。
【0038】前記、熱可塑性樹脂等としては、熱可塑性
樹脂単体あるいは必要に応じて熱可塑性樹脂に可塑剤を
配合したもの等が挙げられる。
【0039】本発明で使用される前記の熱可塑性樹脂等
としては、公知のものが何ら制限されずに使用される
が、本発明のカリックスアレーン化合物をナトリウムイ
オン選択性電極の一部分として用いる場合には通常水溶
液中で使用されるため、熱可塑性樹脂は水に溶解しない
ものであることが望ましい。本発明で使用される熱可塑
性樹脂として好適なものを例示すると、塩化ビニル、臭
化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等
のハロゲン化ビニルの単独重合体または共重合体;アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、また
は、メタクリル酸エステルの単独重合体または共重合
体;スチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等のス
チレンおよびその置換体の単独重合体または共重合体;
酢酸ビニル等のビニルエステルの単独重合体または共重
合体;ブタジエン、イソプレン等のジエン系重合体また
はこれらのジエンとスチレン、アクリロニトリル等の共
重合体;ポリウレタン類;シクロヘキサン重合体または
共重合体;酢酸セルロース、硝酸セルロース等の繊維系
化合物等が挙げられる。
【0040】一般にナトリウムイオン選択性電極に使用
するナトリウムイオン選択性感応膜は柔軟性を有するの
が好ましく、上記熱可塑性樹脂としてはポリシロキサン
類を使用するか、或いは、熱可塑性樹脂として例えばポ
リ塩化ビニル、アクリル酸メチル等を用いるときは可塑
剤を使用して柔軟性を付与して使用するのが好ましい。
このとき使用される可塑剤は特に限定されず公知のもの
を使用できるが、一般に好適なものを例示すれば、ジメ
チルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレ
ート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類;
ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の脂肪
酸エステル類;o−ニトロフェニルフェニルエーテル、
o−フルオロ−o’−ニトロジフェニルエーテル等のジ
フェニルエーテル類;o−ニトロフェニルオクチルエー
テル、n−オクチルフェニルエーテル等のフェニルエー
テル類等が挙げられる。これらの可塑剤の添加量は得ら
れる膜の性状に応じて適宜選択すればよいが、一般に
は、熱可塑性樹脂100重量部に対して可塑剤を30〜
300重量部の範囲で用いることができる。
【0041】また、使用する有機溶媒としては熱可塑性
樹脂および1式のカリックスアレーン化合物を溶解する
ものであれば公知のものを何ら制限なく用いることがで
きる。一般に用いられ有機溶媒としては、例えば、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、クロロホル
ム、1、2−ジクロロエタン、塩化メチレン、ジエチル
エーテル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエン等が挙げられる。
【0042】本発明のカリックスアレーン化合物と熱可
塑性樹脂等の配合割合は、目的の性質を発揮する限り限
定されるものではないが、一般には熱可塑性樹脂100
重量に対して、0.1〜20重量部の範囲で用いられ
る。
【0043】なお、本発明のカリックスアレーン化合物
と熱可塑性樹脂等からなる組成物は目的に応じて任意の
形状、例えば、膜状物、粒状物、繊維状物等に形成する
ことができるので、膜状に成形してナトリウムイオン選
択性電極として使用できる他、粒状あるいは繊維状に形
成してイオン吸着樹脂あるいはクロマトグラフィー材料
等として使用することもできる。
【0044】本発明のカリックスアレーン化合物をナト
リウムイオン選択性電極の一部分として用いる場合、熱
可塑性樹脂等と混合する際に下記一般式(10)で示さ
れる有機ホウ素化合物を含有させるとナトリウムイオン
選択性が向上する場合があるため、好ましい。
【0045】
【化5】
【0046】上記一般式(10)において、Yは水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基またはハロアルキル基を
表し、iは1〜5の整数を表し、Mはリチウム、ナトリ
ウム、カリウム、ルビシウム、セシウム、フランシウム
等のアルカリ金属を表す。
【0047】該有機ホウ素化合物の添加量は、目的の性
質を発揮する限り限定されるものではないが、一般には
1式のカリックスアレーン化合物1重量に対して、0.
001〜2.0重量の範囲で用いられる。好ましくは
0.1〜1.0の範囲で用いることにより、イオン選択
性電極として使用した場合、その測定感度を最も向上さ
せることができる。
【0048】一般式(10)で示される有機ホウ素化合
物において、Yで示されるアルキル基としては、その炭
素数やその置換基は限定されないが、一般には炭素数1
−4の非置換のアルキル基やハロアルキル基が用いられ
る。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、フルオロメチル基、クロロメチル
基、ブロモメチル基、ヨードプロピル基、クロロブチル
基、ジクロロエチル基、ジブロモプロピル基、トリフル
オロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモプロピ
ル基、ペンタフルオロエチル基、1、1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル基等
が挙げられる。
【0049】上記一般式(10)で示される有機ホウ素
化合物中、Yが水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリ
フルオロメチル基である化合物は、容易に入手可能であ
るか、または、入手物から目的アルカリ金属塩に塩交換
することによって容易に誘導が可能であるため、好適に
用いられる。また、アルカリ金属がカリウム、ルビジウ
ム、セシウムであれば、一般に水への溶解度が低いので
好適である。
【0050】以下に、熱可塑性樹脂等を用いて本発明の
カリックスアレーン化合物を含む膜を成形し、該膜を用
いてナトリウムイオン選択性電極を作成してナトリウム
イオン濃度を測定する方法について更に具体的に説明す
る。
【0051】膜の形成は、本発明のカリックスアレーン
化合物を熱可塑性樹脂と共に、あるいは可塑剤と有機ホ
ウ素化合物、あるいは可塑剤のみを添加して、有機溶媒
に溶解させ、これらを板上面に塗布または流し込んだ
後、有機溶媒を蒸発させて膜にする。なお、前記一般式
(10)で示される有機ホウ素化合物を添加する場合、
単独で有機溶媒に難溶であっても、本発明のカリックス
アレーン化合物と共存する場合、該カリックスアレーン
化合物に対しモル比で0.5以下であれば可溶すること
が多い。
【0052】この様にして形成された膜はナトリウムイ
オン選択性を有し、ナトリウムイオン選択性電極用のナ
トリウムイオン選択性感応膜となる。該膜を用いてナト
リウムイオン選択性電極を構成する場合、該膜の厚さは
特に限定されないが、一般的に1〜1000μmの範囲
で用いられる。
【0053】このような方法によって得られたナトリウ
ムイオン選択性感応膜を用いて構成されるナトリウムイ
オン選択性電極の形状は特に限定されないが、一般には
試料溶液に浸漬する部分の少なくとも一部が前記のナト
リウムイオン選択性感応膜で構成された容器内に内部標
準電極、及び内部電解液を内蔵した構造が好適である。
このような電極を構成する他の部材の材質は特に限定さ
れず、公知のものが使用できる。例えば、電極容器の材
質として、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル
等、内部電解液として塩化ナトリウム水溶液、塩化カリ
ウム水溶液等、内部電極としては、白金、金、カーボン
グラファイトなどの導電性物質あるいは銀−塩化銀、水
銀−塩化水銀等の難溶性金属塩化物等が使用される。
【0054】以下に図1、図2及び図3を用いて上記ナ
トリウムイオン選択性感応膜を用いて構成される代表的
なイオン選択性電極並びに該電極を用いて試料中のナト
リウムイオン濃度を測定する方法及び装置について説明
する。なお、図1は起電力を測定する装置の説明図であ
り、図2は図1のイオン選択性電極1に内蔵される各種
構成要素を示す説明図である。
【0055】即ち、図2に示すように、前記のようにし
て得られた本発明のカリックスアレーン化合物を含むナ
トリウムイオン選択性感応膜14をO−リング15を介
して膜ホルダー9と圧着する。そして、被膜ガラス管1
1に固定された銅線端子10に接続した銀−塩化銀内部
標準電極12と電気的に短絡するための内部標準液13
を満たし、イオン選択性電極1を構成する。次いで、図
3に示すように、磁気攪伴子3を入れた試料溶液2を磁
気攪伴機4で攪伴混合しておく。この測定液にイオン選
択性電極1および0.1mol/l酢酸リチウム塩橋6
の一端を浸漬する。6の他端は銀−塩化銀比較電極7と
ともに飽和塩化カリウム水溶液8に浸し、作用極と電気
的に接続する。このようにして得た2本の電極の端子を
エレクトロメータ5(例えばアドバンテスト社製R82
40)に接続することにより起電力を測定することがで
きる。測定された起電力は予め作成された検量線に基づ
きナトリウムイオン濃度に換算され、結果として試料の
ナトリウムイオン濃度を測定することができる。
【0056】なお、イオン選択性電極としては上述のも
のの他には図3に示すように白金線16の周囲に本発明
のカリックスアレーン化合物を含むナトリウムイオン選
択性感応被覆膜18で被覆し、ポリテトラフルオロエチ
レン製テープ17で境界部を保護した電極を使用しても
同様な測定が可能である。
【0057】
【実施例】以下、本発明の特徴をさらに明かにするため
に、実施例を挙げて説明するが本発明はこれらの例に限
定されるものではない。なお、本発明の説明に関連して
示す化学構造式の一部においては、慣例に従い炭素原子
や水素原子を省略していることがある。
【0058】実施例1 下記一般式(11)で示されるカリックスアレーン化合
物{以下、化合物(11)と略す。}を下記の方法で合
成した。
【0059】
【化6】
【0060】まず、下記一般式(12)で示されるカリ
ックスアレーン化合物{以下、化合物(12)と略
す。}を下記の方法で合成した。
【0061】
【化7】
【0062】即ち、下記一般式(13)で示されるテト
ラヒドロキシカリックス[4]アレーン9.98g(2
3.6mmol)をCH3CN(410ml)に溶解さ
せ、CH2(CH2OCH2CH2OTs−p)2(11.
9g、23.6mmol)と乳鉢ですりつぶしたNa2
CO3(25.0g、236mmol)を加え、10日
間加熱還流した。
【0063】
【化8】
【0064】室温で放冷した後、溶媒を留去し、蒸留水
(200ml)とCHCl3(100ml)を加えた。
1NHClaq.(100ml)を加えて、pHを1以
下にした。CHCl3(50ml×2)で抽出し、Mg
SO4で乾燥させた。溶媒留去したところ、淡黄色結晶
(14.6g)を得た。SiO2を吸着剤としたカラム
クロマトグラフィーによって、hexane−CHCl
3(95:5)を展開剤として精製した。その後、得ら
れた無色結晶をhexane−CHCl3(1:1)で
再結晶して、無色結晶4.22g(収率55%)を得
た。
【0065】得られた化合物について以下に分析結果を
示す。
【0066】(1)融点:300℃以上 (2)赤外吸収スペクトル(KBr):3333、14
67、1452、1129、757 cm-1 (3)1H核磁気共鳴スペクトル(500MHz、CD
Cl3、TMS):δ 8.14(s,2H)、7.0
6(d,J=7.4Hz,4H)、6.91(d,J=
7.5Hz,4H)、6.73(t,J=7.5Hz,
2H)、6.64(t,J=7.4Hz,2H)、4.
35(d,J=13.0Hz,4H)、4.12(m,
4H)、4.06(t,J=6.7Hz,4H)、4.
03(m,4H)、3.38(d,J=13.0Hz,
4H)、2.09(m,2H) (4)13C核磁気共鳴スペクトル(126MHz、CD
Cl3):δ 153.5(2C)、152.0(2
C)、133.3(4C)、129.1(4CH)、1
28.5(4CH)、127.9(4C)、125.5
(2CH)、118.9(2CH)、76.8(2CH
2)、70.1(2CH2)、70.0(2CH2)、3
1.5(4CH2)、30.7(CH2) (5)質量分析スペクトル(NBA,SIMS):m/
e=553(M++1)、552(M+) これらの分析結果により得られた化合物が、化合物(1
2)であることが確認できた。
【0067】つぎに、上記の合成法によって得られた化
合物(12)を原料として化合物(11)を合成した。
【0068】化合物(12)(108mg、0.18m
mol)のN,N−ジメチルホルムアミド(25ml)
溶液に60%NaH in oil(22mg、0.5
5mmol)を、窒素雰囲気下で攪拌しながら加えた。
1時間後、EtI(580mg、3.6mmol)を加
え、1晩攪拌した。ほとんどの溶媒を減圧留去し、蒸留
水(20ml)とCHCl3(10ml)を加えた。こ
の混合物に1NHClaq.を加え、pHを1以下にし
たのち、CHCl3(10ml×2)で抽出した。有機
層を1つにし、MgSO4で乾燥した。溶媒を留去した
後、SiO2を吸着剤としたカラムクロマトグラフィー
によってCHCl3を展開剤として精製し、無色結晶
(101mg、収率89%)を得た。得られた化合物の
分析結果を示す。
【0069】(1)融点:216.0− 217.5 ℃ (2)赤外吸収スペクトル(KBr):2921、14
55、1129、767cm-1 (3)1H核磁気共鳴スペクトル(500MHz、CD
Cl3、TMS):δ 7.13(d,J=7.4H
z,4H)、6.94(t,J=7.4Hz,2H)、
6.19(t,J=7.4Hz,2H)、6.09
(d,J=7.4Hz,4H)、4.41(d,J=1
3.3Hz,4H)、4.27(dd,J=7.7,
5.9Hz、4H)、4.05(dd,J=7.7,
5.9Hz,4H)、3.85〜3.80(m,8
H)、3.17(d,J=13.3Hz,4H)、1.
85(m,2H)、1.46(t,J=7.0Hz,6
H) (4)13C核磁気共鳴スペクトル(126MHz、CD
Cl3):δ 158.1(2C)、154.7(2
C)、136.7(4C)、133.0(4C)、12
9.1(4CH)、127.4(4CH)、122.1
(4CH)、72.4(2CH2)、70.7(2C
2)、70.4(2CH2)、66.8(2CH2)、
30.8(4CH2)、30.6(CH2)、15.8
(2CH3) これらの分析結果より得られた化合物が、化合物(1
1)であることが確認できた。
【0070】実施例2 下記一般式(14)で示されるカリックスアレーン化合
物{以下、化合物(14)と略す。}を下記の方法で合
成した。
【0071】
【化9】
【0072】化合物(12)(1.00g、1.81m
mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(250m
l)に溶解させ、攪伴した。60%NaH in oi
l(217mg、5.43mmol)を加えた。10分
後、蒸留水(1.00ml)を加えた。1時間後、ブロ
モエタン(135μl、198mg、1.81mmo
l)を加えた。1晩攪伴し、ほとんどの溶媒を減圧留去
した。蒸留水(100ml)とクロロホルム(50m
l)、6NHClを加え、水層を酸性にした後、CHC
3(3×50ml)で抽出し、MgSO4で乾燥させ
た。溶媒を減圧留去し、中圧液クロマトグラフィー[S
iO2,CHCl3−AcOEt(9:1)]で精製し、
無色結晶(865mg、収率82.3%)を得た。
【0073】得られた化合物の分析結果を示す。
【0074】(1)融点:209.0−210.0℃以
上 (2)赤外吸収スペクトル(KBr):3367、32
97、2918、1451、1204、1093、76
5 cm-1 (3)1H核磁気共鳴スペクトル(500MHz、CD
Cl3、TMS):δ 8.23(s,1H)、7.1
0(d,J=7.5Hz,2H)、7.00(d,J=
7.5Hz,2H)、6.97(d,J=7.5Hz,
2H)、6.88(d,J=7.5Hz,2H)、6.
78(t,J=7.5Hz,1H)、6.70(t,J
=7.5Hz,2H)、6.59(t,J=7.4H
z,1H)、4.54(d,J=12.1Hz,2
H)、4.43(d,J=13.0Hz,2H)、4.
33(q,J=7.1Hz,2H)、4.20(m,4
H)、4.07(m,4H)、3.93(m,4H)、
3.32(m,4H)、2.05(m,2H)、1.4
9(t,J=7.1Hz,3H) (4)13C核磁気共鳴スペクトル(126MHz、CD
Cl3):δ 155.0(C)、154.0(C)、
153.7(2C)、135.8(2C)、134.5
(2C)、133.4(2C)、129.1(2C
H)、128.43(2CH)、128.37(2C
H)、128.2(2CH)、128.0(2C)、1
24.4(2CH)、123.3(CH)、118.2
(CH)、76.2(2CH2)、70.5(2C
2)、70.2(2CH2)、70.1(CH2)、3
1.7(2CH2)、30.9(CH2)、30.7(2
CH2)、15.7(CH3) これらの分析結果により得られた化合物が、化合物(1
4)であることが確認できた。
【0075】実施例3及び比較例1 化合物(11)のナトリウムイオン選択性イオノホアと
しての能力をナトリウムイオン抽出試薬としての能力を
評価するために水−重クロロホルム系におけるナトリウ
ムイオン抽出平衡常数(Ke)及び重クロロホルム中に
おけるナトリウムイオン会合常数(Ka)を測定した。
なお、上記会合定数(Ka)と抽出平衡定数(Ke)
は、それぞれ下記の濃度平衡式A及びBにおける平衡定
数であり、
【0076】
【化10】
【0077】
【化11】
【0078】次の式によって求められる。
【0079】
【数1】
【0080】会合定数(Ka)の値が高いほどナトリウ
ムイオンを吸着する能力が高く、抽出平衡定数(Ke)
が高いほど水中に含まれるナトリウムイオンを重クロロ
ホルム中へ抽出する能力が高いことを意味する。
【0081】(式中、HとPic-はカリックスアレー
ン化合物とピクレート{ピクレートは,2,4,6−ト
リニトロフェノキシド[2,4,6−(NO2362
-]の慣用名である。}を示す。[基質]H2Oと[基
質]CDCl3は、それぞれ水溶液中と重クロロホルム中で
の各基質濃度を表す。会合定数と抽出平衡定数の値が高
いほど試料中のより微量のナトリウムイオンを検出する
ことが可能である。
【0082】これらの会合定数と抽出平衡定数はCra
mの方法(K.E.Koenig,G.M.Lein,
P.Stuckler,T.Kaneda,D.J.C
ram,J.Am.Chem.Soc.,101,35
53−3566(1979).)に従って次のようにし
て測定した。
【0083】0.1mol/lのナトリウムピクレート
を含む水溶液と0.1mol/lの化合物(11)の重
クロロホルム溶液を調製した。重クロロホルム溶液をポ
リプロピレン製遠心管に入れた後、ナトリウムピクレー
トを含む水溶液を同量加え、直ちに蓋をした。25℃の
恒温室で激しく1分間振り混ぜ、試験管ミキサーで5分
間攪拌した。1時間静置した後、遠心分離器で水層と重
クロロホルム層とに分離した。両層を一定量分取し、ア
セトニトリルで希釈し、ピクレート塩含有量を紫外−可
視光線吸収スペクトルによって定量した。ピクレート塩
含有量と式Aと式Bに基づいて、会合定数(Ka)と抽
出平衡定数(Ke)を計算した。その結果を表1に示
す。
【0084】
【表1】
【0085】また、比較例1として、従来最も優れたイ
オン選択性をもつカリックスアレーン化合物として知ら
れている前記一般式(2)で表されるカリックスアレー
ン化合物の中で、その基本骨格が化合物(11)に対応
する化合物である下記一般式(15)で示されるカリッ
クスアレーン化合物{特開平7−206852号公報に
開示されている。以下、化合物(15)と略す。}につ
いて同様な方法で、会合定数と抽出平衡定数を測定し
た。結果を表1に示す。
【0086】
【化12】
【0087】化合物(11)と化合物(15)との結果
を比較すると、表1からわかるように化合物(11)か
らなる抽出試薬の抽出平衡定数(Ke)は、化合物(1
5)からなる抽出試薬の1.1倍であり、より高い抽出
性能を持つことがわかる。また、会合定数(Ka)は、
化合物(11)の方が化合物(15)より大きく、ナト
リウムイオンの吸着性に優れていることが判る。従っ
て、1式のカリックスアレーン化合物をナトリウムイオ
ン選択性電極の感応物質として利用した場合には、一般
式(2)で示されるカリックスアレーン化合物を使用し
たときよりも高感度測定が可能であることがわかる。
【0088】実施例4〜13 他の本発明のカリックスアレーン化合物のナトリウムイ
オン選択性イオノホアとしての能力をナトリウムイオン
抽出試薬としての能力として測定した例を示す。
【0089】表2に示す種々のカリックスアレーン化合
物について、実施例3と同様にして会合定数(Ka)を
測定した。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】いずれのカリックスアレーン化合物の会合
定数(Ka)も化合物(15)の会合定数(Ka、表1
参照)より高く、試料中のナトリウムイオンとより多く
会合することが可能であり、より微量のナトリウムイオ
ンを吸着することが可能であることが判る。従って、本
発明のカリックスアレーン化合物をナトリウムイオン選
択性電極の感応物質として利用した場合には、前記一般
式(2)で示されるカリックスアレーン化合物を用いた
場合よりも高感度測定が可能である。
【0092】実施例14 本発明のカリックスアレーン化合物をナトリウムイオン
選択性イオノホアとして利用し、該化合物と熱可塑性樹
脂及び可塑剤を含んでなるナトリウムイオン選択性感応
膜の製造例及び作製したナトリウムイオン選択性感応膜
で構成される容器中に電解液及び内部電極が内蔵されて
なることを特徴とするナトリウムイオン選択性電極への
応用例を示す。
【0093】実施例1で得られた化合物(11)(5m
g)と有機ホウ素化合物であるカリウムテトラクロロフ
ェニルボレート(1mg)と熱可塑性樹脂であるポリ塩
化ビニル(50mg)と可塑剤であるo−ニトロフェニ
ルオクチルエーテル(100mg)を1、2−ジクロロ
エタンに溶解した。この溶液を平滑なガラス板状に流延
した後、溶媒を蒸発させてナトリウムイオン選択性感応
膜を製作した。
【0094】作製したナトリウムイオン選択性感応膜を
図2に示すように電極に装着し、図1に示した装置を用
いて電極性能を評価した。容器中の内部電極には銀−塩
化銀標準電極を用い、容器中の電解液には0.1mol
/l塩化ナトリウム水溶液を用いた。イオン選択性の測
定は単独溶液法を用いた。すべての金属塩は対アニオン
として塩化物イオンを用いて、25℃で行った。
【0095】ナトリウムイオンに対する各金属イオンM
の選択係数(logKNa,M)は、各金属イオンの溶液で
のイオン選択性電極の起電力を用いて、ネルンストの式
から導き出される下記の式Cによって計算した。
【0096】
【数2】
【0097】ここでENaはNaの起電力、EMは金属
(M)イオンの起電力、Sはナトリウムイオン濃度とl
ogENaとの関係における傾きをそれぞれ表す。この選
択係数(log KNa,M)が小さくなるほどナトリウム
イオンがその対象金属イオンに対して高選択的であるこ
とを示す。
【0098】リチウム又はカリウムの塩化物を1×10
-1Mの濃度で蒸留水に溶解させた試料溶液を用いて、起
電力を測定し、ナトリウムイオンのリチウムイオン及び
カリウムイオンに対する選択係数を求め、結果を表3に
示した。
【0099】
【表3】
【0100】比較例2 化合物(15)を用いた場合についても同様な方法でl
ogKNa,M測定した。この結果を表3に示す。
【0101】表3に示すように、実施例15の勾配
(S)は、56mV/decadeと高い値を示た。こ
れは、化合物(11)を含んだ感応膜を使用して、ナト
リウムイオン選択性電極ができることを示している。ま
た、対リチウムイオンのナトリウムイオン選択係数は、
化合物(11)を用いた場合の方が化合物(15)を用
いた場合より小さく、高いイオン選択性を示した。
【0102】実施例15〜24 実施例14と同様の方法によって、表4に示す種々のカ
リックスアレーン化合物を含むナトリウムイオン選択性
膜をそれぞれ作製し、実施例14と同様の方法でナトリ
ウムイオン選択性電極を作製し、対リチウムのナトリウ
ムイオン選択性電極の選択係数(log KNa,Li)を
測定した。その結果を表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】いずれの実施例においても対リチウムイオ
ンのナトリウムイオン選択係数は、比較例2より小さ
く、高いイオン選択性を示した。
【0105】以上の結果により、本発明のカリックスア
レーン化合物をナトリウムイオン選択性電極として用い
た場合、従来のナトリウムイオン選択性電極と比較して
ナトリウム濃度を正確に測定できることは明らかであ
る。
【0106】
【発明の効果】本発明のカリックスアレーン化合物は、
従来知られている化合物の中で最もイオン選択性の優れ
たカリックスアレーン化合物として知られている前記一
般式(2)で示されるカリックスアレーン化合物よりも
高いナトリウムイオン選択性を持っており(特にリチウ
ムイオンに対して)、なおかつ、ナトリウムイオンとの
会合能力が高い。したがって、例えば、本発明のカリッ
クスアレーン化合物をナトリウムイオン選択性電極のイ
オノホアとして用いた場合、前記一般式(2)で示され
るカリックスアレーン化合物よりも高いナトリウムイオ
ン選択性を持ち、高い感度を示し微量のナトリウムイオ
ンを定量することが可能である。
【0107】また、本発明のカリックスアレーン化合物
は、その金属イオンや分子を会合する能力に基づく種々
の応用が可能である。とりわけ、金属イオン、特にナト
リウムイオンに対して選択的に錯体形成するので、その
ような金属イオンを抽出したり、分析するための、溶媒
抽出試薬、カラム充填剤、イオン選択性電極、抽出フロ
ーインジェクション分析(FIA)などに利用できると
ともに、金属イオン液膜輸送剤として利用できる。
【0108】また、本発明のカリックスアレーン化合物
は、市販品されているテトラヒドロキシカリックス
[4]アレーンより、3段階以内で容易に合成すること
ができるという特徴もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カリックスアレーン化合物を用いて起電力を
測定する装置の説明図である。
【図2】 図1の電極に内蔵される各種構成要素を示す
説明図である。
【図3】 本発明の応用例として、ナトリウムイオン選
択性感応膜を被覆した白金線の概略図である。
【符号の説明】
1・・・イオン選択性電極 2・・・試料溶液 3・・・磁気攪伴子 4・・・磁気攪伴機 5・・・エレクトロメーター(アドバンテスト社製R8
240) 6・・・0.1mol/l酢酸リチウム塩橋 7・・・銀−塩化銀比較電極 8・・・飽和塩化カリウム水溶液 9・・・膜ホルダー 10・・銅線 11・・皮膜ガラス管 12・・銀−塩化銀内部標準電極 13・・0.1mol/l塩化ナトリウム内部標準液 14・・カリックスアレーン化合物を含むナトリウムイ
オン選択性感応膜 15・・O−リング 16・・白金線 17・・ポリテトラフルオロエチレン製テープ 18・・カリックスアレーン化合物を含むナトリウムイ
オン選択性感応被覆膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2及びXはそれぞれ独立に水素原子又は
    炭素数1〜22の置換もしくは非置換の炭化水素基であ
    る。)で示されるカリックスアレーン化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のカリックスアレーン化合
    物からなることを特徴とするナトリウムイオン選択性イ
    オノホア。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のカリックスアレーン化合
    物、熱可塑性樹脂及び必要に応じて可塑剤を含んでなる
    ことを特徴とするナトリウムイオン選択性感応膜。
  4. 【請求項4】 その一部が請求項3記載のナトリウムイ
    オン選択性感応膜で構成される容器中に電解液及び内部
    電極が内蔵されてなることを特徴とするナトリウムイオ
    ン選択性電極。
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JP (1) JPH1180150A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011099886A (ja) * 2009-11-04 2011-05-19 Canon Inc 電子写真感光体の製造方法

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