JP2889424B2 - イオン選択性カリックスアレーン誘導体 - Google Patents

イオン選択性カリックスアレーン誘導体

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JP2889424B2 JP4028849A JP2884992A JP2889424B2 JP 2889424 B2 JP2889424 B2 JP 2889424B2 JP 4028849 A JP4028849 A JP 4028849A JP 2884992 A JP2884992 A JP 2884992A JP 2889424 B2 JP2889424 B2 JP 2889424B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なカリックスアレ
ーン誘導体に関し、特に、イオン選択性電極などに用い
ることができるナトリウムイオン選択性カリックスアレ
ーン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ナトリウムを選択的に検知したり
定量することは多くの分野でその必要性が認められてい
る。例えば、臨床検査の分野においては、ヒト血清、血
漿及び尿中のナトリウム濃度を知ることは種々の病気を
診断する上で無くてはならない手段となっている。特に
血清中のナトリウム濃度は健康なヒトで135〜145
ミリモル/リットルと極めて狭い範囲に維持されてお
り、この数値の変動は身体の重大な異常に直結している
ので、その値を測定する診断的意義は大きい。また、ナ
トリウムイオンは広く自然界に存在するために、これら
を制御しなくてはならない工業的プロセス中や廃水中、
および河川中においてもその濃度の測定が広く行われて
いる。その他、最近では健康食に対する一般人の関心が
高まり、食品メーカや消費者団体、個人消費者が食品中
のナトリウム濃度を測定したいという大きなニーズを持
っている
【0003】これらのニーズを満たしうる技術がイオン
選択性電極である。イオン選択性電極法は試料を破壊す
ることなく、簡単な設備でイオン濃度を測定することの
できる極めて有用な測定手段である。この他、イオン選
択性電極法の利点は、広い範囲にわたって測定が可能で
あること、短時間で測定が行えること、一本の電極で繰
り返し測定が行えることなどである。イオン選択性電極
以外にナトリウムイオン濃度を測定する手段としてはプ
ラズマ発光分光分析法、原子吸光法、炎光法等がある
が、何れもガス供給装置が必要であるなど装置が大きく
価格も高価である。
【0004】イオン選択性電極でナトリウムイオン濃度
を測定する際にはその電極が有する固有の選択性に注意
する必要がある。何れの電極も共存するイオンに対する
許容限界濃度が存在し、それ以上の濃度環境でのナトリ
ウムイオン測定は結果に大きな誤差を含む。電極の選択
性が高いほど高濃度の妨害イオン存在下での測定が可能
となり、使用に際しては予め性能を把握しておく必要が
ある。
【0005】イオン選択性電極は、無機物から構成され
るものと有機物から構成されるものとがある。後者はニ
ュートラルキャリアーと呼ばれる環状または非環状のリ
ガンドを主成分としており、この化合物がナトリウムイ
オンと選択的に錯化する現象を利用している。
【0006】従来よりナトリウムイオン用のニュートラ
ルキャリアーとして用いられているのは、環状化合物で
あるクラウンエーテルから誘導されたものであり、特に
ビス−12−クラウン−4誘導体が使われてきた。これ
は、ナトリウムイオンのニュートラルキャリアーとして
これまで知られているもののうち最も選択性が高く、カ
リウムイオンに対する選択係数Kは、およそ1×10-2
である(この数値が低いほど良好な選択性を示す)。
【0007】最近、カリックスアレーンと称される環状
化合物が注目されている。カリックスアレーンは、複数
個のフェノール単位をメチレン基で結合した環状オリゴ
マーであり、その特徴的な構造の解析が進むにしたがい
ホスト・ゲスト化学の研究の対象として研究者の注目の
的になってきている。それとともにカリックスアレーン
は、機能性材料として実用面での価値も検討されてい
る。イオン選択性電極のニュートラルキャリアーについ
ても、カリックス〔4〕アレーン誘導体を使用する報告
が見られる[例えば、Diamondら:Anal. Chim. Acta, V
ol.204, p223,(1988)及び Analyst, Vol.114, p155
1]。カリックスアレーン系でこれまで最も選択性の優
れた化合物は Shonoら[Anal. Chem., Vol.62, No.14,
(1990)]によって合成された化合物である。この化合物
は、カリックス〔4〕アレーンのテトラ(n−デシル)
オキシカルボキシメチルエーテル誘導体であり、カリウ
ムイオン及びアンモニウムイオンに対する選択係数がそ
れぞれKNa,K=4×10-3、KN a,NH4=5×10-5とい
う選択性を示すことが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しなしながら、以上述
べたような物質を用いるイオン選択性電極の選択性は必
ずしも充分ではない。本発明の目的は、ナトリウムイオ
ンに対する選択性がさらに高く、イオン選択性電極のニ
ュートラルキャリアー等として一層好適な新しい化合物
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ナトリウ
ムイオンに対する選択性をさらに上げるべく研究を重ね
た結果、特定のカリックス〔4〕アレーン誘導体から成
る選択性のより高い化合物の合成に成功し、本発明を完
成させるに至った。即ち、本発明は下記一般式化2で示
されるカリックス〔4〕アレーン誘導体である。
【0010】
【化2】 (但し、Rは炭素数1から20の直鎖または分岐のアル
キル基またはアルコキシ基である)
【0011】 この一般式化2で示されるカリックス
〔4〕アレーン誘導体は、ナトリウムイオンに対する選
択性が極めて優れている。例えば、該誘導体をイオン選
択性電極のニュートラルキャリアーとして用いた場合、
前述したビス−12−クラウン−4誘導体よりも選択係
数が小さく、より大きな選択性を示す。また、本発明に
従う一般式化2のカリックス〔4〕アレーン誘導体は、
他の形態により、ナトリウムイオンの分離や分析に利用
することもできる。例えば、本発明のカリックス〔4〕
アレーン誘導体は、ナトリウムイオンに対する吸収剤と
しても使用できる。
【0012】一般式化2の本発明のカリックス〔4〕ア
レーン誘導体がナトリウムイオンに対して著しく高い選
択性を有する正確な理由は未だ明らかではないが、一般
式化2で示される式中のフェニルエーテルの酸素原子と
カルボニル酸素原子の計8個から構成される空隙がナト
リウムイオンの配位に適合しているためと考えられる。
Rについては、炭素数が1から20であれば如何なる分
岐をしていても良く、直鎖または分岐のアルキル基また
はアルコキシ基から選ばれる。イオン選択性電極に供す
る場合、用いる可塑剤との親和性を考慮するとRが極端
に長い場合は可塑剤との相溶性が低下する場合もある。
【0013】Rとして好ましい基の例は、炭素数が1か
ら12の直鎖または分岐のアルキル基またはアルコキシ
基であり、特に好ましいのは、炭素数が1から10のア
ルコキシ基である。本発明に従うカリックス〔4〕アレ
ーン誘導体の特に好ましい例としては、テトラ(エチル
オキシカルボニルメトキシ)−p−tert−オクチル
カリックス〔4〕アレーンを挙げることができる。
【0014】一般式化2で示される本発明のカリックス
〔4〕アレーン誘導体は、次式化3で示されるp−te
rt−オクチルカリックス〔4〕アレーンを原料として
合成することができる。
【0015】
【化3】
【0016】化学式化3で示される化合物はp−ter
t−オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮合環
化反応により1段で合成することが可能である。このよ
うにp−アルキルフェノール中、反応1段で合成できる
カリックス〔4〕アレーンの原料はp−tert−ブチ
ルとp−tert−オクチルのみである。例えばp−n
−オクチルフェノール等直鎖のアルキル基を有するフェ
ノールを原料として反応した場合はフェノールの3,5
−位が反応にあずかるため工業的に好適な収率で目的と
する環状化合物を合成することが不可能である。この
点、p−tert−オクチルカリックス〔4〕アレーン
を原料とする本発明のイオン選択性カリックス〔4〕ア
レーン誘導体は、きわめて簡単な反応工程で合成するこ
とができる点においても工業的な価値が高い。
【0017】一般式化2で示される本発明の化合物は化
学式化3のカリックス〔4〕アレーンと下記一般式化4
で示されるハロゲン化合物とをアルカリ存在下、溶媒中
で反応することにより合成される。
【0018】
【化4】 R−COCH2
【0019】前記一般式化4中、Xはハロゲン原子であ
れば反応に供することが可能であるが、一般的には塩素
原子及び、臭素原子が好ましく用いられる。本反応に用
いる溶媒は上記の原料と反応しない溶媒であれば如何な
るものを用いても良い。一般にはアセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアルキルア
ミド類、及びこれらの混合溶媒系が好適に用いられる。
【0020】本反応に用いるアルカリは特に限定されな
いが水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化化合
物、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸化合物、リチ
ウム、ナトリウム等の金属、カリウムt−ブトキシド、
ナトリウムメチラート等のアルコラート類が好適に用い
られる。
【0021】本発明の前記一般式化2で示される化合物
の性状は白色または黄白色の固体であることが多く、同
じ置換基を有するp−tert−ブチルカリックス
〔4〕アレーン誘導体よりも有機溶媒に対する溶解度は
高い。例示すれば、ハロゲン化炭化水素類、エーテル
類、アミド類、芳香族類に対して良好な溶解性を示し、
ケトン類、炭化水素類にはわずかに溶解する。
【0022】前記一般式化2で示される本発明の化合物
の利点の1つは、この良好な溶解性が可塑剤に対しても
発現されることである。即ち、ニュートラルキャリアー
としてイオン選択性電極を構成するのに使用される化合
物は可塑剤に溶解していることが必須の条件となるが、
従来から知られたp−tert−ブチルカリックス
〔4〕アレーン誘導体のような化合物は可塑剤に対する
溶解性が低く膜中で結晶化を起こすことがしばしばであ
った。このため、p−tert−ブチルカリックス
〔4〕アレーン誘導体では長期にわたり安定した電位を
得ることが困難で、これを防止するために長鎖のアルキ
ル基を分子内に導入する必要があった。一方、本発明の
p−tert−オクチルカリックス〔4〕アレーン誘導
体は、可塑剤に対しても溶解性に富んでおり、種々の可
塑剤を使用することができる点において工業的に有用で
ある。
【0023】本発明の一般式化2で示されるカリックス
アレーン誘導体はNMR、IR、元素分析及び質量分析
といった通常の分析手段によって同定される。質量分析
の際、一般式化2で示される化合物はその分子量が18
00以下である場合のみ2次イオン質量分析(SIM
S)法によって当該化合物の分子イオンピーク(M+
を観察することができる。さらに前記一般式化2で示さ
れる化合物を本法によって測定する場合、しばしば分子
イオンピークと共に分子イオンにナトリウム1個分、す
なわち分子量にして23多い分子イオンピーク(M+2
+)が観察される。
【0024】本発明の一般式化2で示されるカリックス
〔4〕アレーン誘導体金属イオン、特にナトリウムイオ
ンに対して選択的に配位する能力を有しており、ナトリ
ウムイオン選択性電極のイオン感応物質(ニュートラル
キャリアー)やナトリウムイオン吸収剤などとして使用
することができる。以下、このような使用態様について
説明する。
【0025】本発明の前記一般式化2で示される化合物
を一成分としてナトリウム選択性電極を構成する態様に
ついては特に限定されず、例えば、イオン選択性電極
(共立出版、1977)第7章;イオン・セレクティブ
・エレクトローズ・イン・アナリティカル・ケミストリ
ー(プレナム・プレス、1987)[Ion Selective El
ectrodes in Analytical Chemistry (Prenum Press 197
8)]第3章及び第4章;アナリティカルケミストリー
(Analytical Chemistry)47巻2238頁(197
5)等に記載された種々の公知の方法が用いられる。具
体に的に例示すれば次のごとくである。
【0026】本発明の前記一般式化2で示される化合物
をニトロベンゼン、ジフェニルエーテル、ブロモベンゼ
ン等の水に不溶性の有機溶媒に溶解し、ガラスキャピラ
リー、セラミック多孔膜、高分子多孔膜に保持させる方
法、または、シリコンゴム、可塑剤を含むポリ塩化ビニ
ル、可塑剤を含むポリメチルメタクリレート等を適当な
方法、たとえば、共通溶媒に溶解した後溶媒を蒸発せし
めて膜状物を一旦形成し、この膜状物を電極に取り付け
るか、あるいは銀線、または白金線、またはシリコン半
導体のゲート部上に直接皮膜を形成させる方法により、
ナトリウム電極を構成することができる。ここにおいて
用いる可塑剤は公知のものが特に限定されずに用いられ
る。例示すれば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレ
ート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類、
ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の脂肪
酸エステル類、オルソニトロフェニルオクチルエーテ
ル、2−ニトロ,2’−フルオロジフェニルエーテル、
2−ニトロフェニルフェニルエーテル等のフェニルエー
テル類が挙げられる。一般式化2で示される本発明のカ
リックスアレーン誘導体を含む膜状物をナトリウム選択
性電極として使用する場合の電極の概略図を図1から図
3に示す。
【0027】図1は起電力を測定する装置の説明図で、
図2は図1の電極1に内蔵される各種構成要素を示す説
明図である。図3は本発明の前記一般式化2で表される
ような化合物を被覆した白金線の概略図である。以下に
測定装置の概略を記す。
【0028】上記のようにして得られたカリックスアレ
ーン誘導体を含む膜状物を図2の16のごとくo−リン
グ17を介してアクリル製膜ホルダー11と圧着する。
銀線の端子12と電気的に短絡するための内部標準液1
5を満たし、作用電極1を構成する。
【0029】磁気攪拌子3を入れた試料溶液2を磁気攪
拌機で攪拌混合しておく。この測定液に電極1及び0.
1モル酢酸リチウム塩橋5の一端を浸漬する。5の他端
は銀−塩化銀標準電極14とともに飽和塩化カリウム水
溶液6に浸漬し、作用極と電気的に接続する。このよう
にして得た2本の電極の端子をエレクトロメータ(8:
例えばアドバンテスト社製R8240)に接続すること
により測定を行うことができる。作用電極としては上述
のものの他に、図3に示すごとく、白金線の周囲に16
と同様のカリックス〔4〕アレーン誘導体を含む膜状物
22を被覆し、ポリテトラフルオロエチレン製テープ2
3で境界部を保護した電極を使用しても同様な測定が可
能である。
【0030】本発明の一般式化2で示されるカリックス
〔4〕アレーン誘導体は、ナトリウムイオンの選択的吸
収剤としても使用することができる。吸収剤としての利
用の態様は、ナトリウムイオンの存在状態により相違す
るが、代表的な例を具体的に示せば、次のごとくであ
る。即ち、水溶液中にカリウム塩と共存するナトリウム
塩を選択的に抽出除去するに際し、本発明の前記一般式
化2で示される化合物を、水と混和しない有機溶媒に溶
解し、その有機溶媒を水相と接触させることにより、該
ナトリウムイオンを水相より選択的に有機溶媒中に抽出
する。
【0031】
【発明の効果】本発明のカリックスアレーン誘導体は、
金属イオン、特にナトリウムイオンに対する選択性がき
わめて優れている。かくして、本発明のカリックスアレ
ーン誘導体を用いるイオン選択性電極のナトリウムイオ
ン選択性は、従来より知られているものより更に高い。
また、本発明のカリックスアレーン誘導体は、ナトリウ
ムイオンの吸収剤としても優れた効果を発揮する。しか
も本発明のカリックスアレーン誘導体は、合成に必要な
反応工程が少なくてすみ、製造の点からも実用的価値が
大きい。
【0032】以下、本発明の特徴をさらに明らかにする
ため、実施例に沿って本発明を説明するが本発明はこれ
らの例に限定されるものではない。
【0033】
【実施例】実施例1 :25,26,27,28−テトラ(エチルオ
キシカルボニルメトキシ)−p−tert−オクチルカ
リックス〔4〕アレーンの合成 先ず、次のようにしてp−tert−オクチルカリック
ス〔4〕アレーンを合成した:p−tert−オクチル
フェノール100gに37%ホルムアルデヒド溶液4
3.3mlを加え、さらに水酸化ナトリウム0.91g
を10mlの水に溶かして加えた。これを攪拌しなが
ら、5時間30分、110℃で加熱還流を行った後、生
成した固体を取り出し乳鉢にいれ、すりつぶし、ジフェ
ニルエーテルを1l加えて窒素気流下において250℃
で4時間加熱攪拌を行った。室温まで放冷し、酢酸10
mlを加えた。溶媒を留去し、メタノールを反応液に加
え、沈澱物を回収した。これをトルエンでソックスレー
抽出し、目的物31gを得た。
【0034】このようにして得られたp−tert−オ
クチルカリックス〔4〕アレーン200mg(0.24
ミリモル)および炭酸カリウム0.3g(58ミリモ
ル)をアセトン25mlに溶解し、30分加熱還流し
た。反応液にブロモ酢酸エチル0.97g(5.8ミリ
モル)を加え、16時間加熱還流した。
【0035】冷却後、反応液を300mlのドライアイ
スを飽和させた冷水中にあけ、50mlのクロロホルム
を添加し、有機相に抽出した。分離した有機相を無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、溶媒及び過剰に添加したブロモ
酢酸エチルを留去、アセトン:メタノール混合溶媒から
再結晶させ、目的物197mgを得た。
【0036】得られたものについて以下の分析を行っ
た。 融点;141−144.8℃ 赤外吸収スペクトル;1757、1473、136
4、1194、1153、1069、868cm-1 プロトンNMR;tert−オクチル(0.696(s;36
H),1.096(s;24H),1.545(s;8H))、メチル(1.345,1.26
4,1.186(tri;12H))、CH3横メチレン(4.225,4.147
(q;8H))、カルボニル横メチレン(4.784(s,8H))、フ
ェニル横メチレン(4.879,4.784,3.251,3.102(dd,8
H))、芳香環(6.746(s,8H)) 質量分析スペクトル;m/e=1217.9(M
+)、1239.7(M+23) 元素分析
【0037】
【表1】 ─────────────────────────────────── 炭素(%) 水素(%) ─────────────────────────────────── C7612212としての計算値 74.96 9.27 実測値 74.67 9.30 ───────────────────────────────────
【0038】以上の分析結果より、次式化5で示される
目的物が合成されていることが確認された。
【0039】
【化5】
【0040】実施例2:実施例1と同様な方法を用いて
一般式化2中Rがオクチルオキシ基である化合物を合成
した。この際、予めブロム酢酸とn−オクチルアルコー
ルをベンゼン中で酸触媒の存在下反応させてできたエス
テル化合物を、実施例1のブロム酢酸エチルの代わりに
用いた。合成された化合物は実施例1と同様な分析法で
目的物であることを確認した。
【0041】応用例:実施例1及び実施例2から得られ
た本発明の化合物5mg、ポリ塩化ビニル(平均重合度
1000)50mg、o−ニトロフェニルオクチルエー
テル100mgを2.5mlのテトラヒドロフランに溶
解した。この溶液を平滑なガラス板上に流延したのち、
テトラヒドロフランを蒸発せしめて約150μ厚の膜を
得た。この膜を図2に示すように装着し、図1に示した
装置を用いて電極性能を評価した。全ての測定は25℃
でおこなった。ナトリウムイオンの選択性の決定は10
-1モル/リットルの点におけるそれぞれの電位から求め
た。具体的には、選択性を求めようとする対象イオン及
びナトリウムイオンのこの濃度での電位をそれぞれE
M、ESとした場合、EM−ESを25℃でのネルンス
トの式から算出される理論勾配59mV/decadeで除
し、選択性の代表値とした。本法を用いることにより、
ネルンスト勾配の得られないような感度の低い電極が見
かけ上大きな選択性を与える弊害を避けることができ
る。この値は小なるほどナトリウムイオンがその対象イ
オンに対して選択的であることを示す。また、塩化ナト
リウムのみを10-1〜10-4モル/リットルの濃度範囲
で含む水溶液の起電力を測定して、起電力と塩化ナトリ
ウム濃度が10倍変化するについての起電力の変化量を
mV/decadeの単位で求めた。結果を表2に示す。尚、
比較のために、従来より最適のナトリウム選択性物質と
して知られた下記構造式化6について同様の方法で試験
を行い、結果を表2に示した。
【0042】
【化6】
【0043】
【表2】 ────────────────────────────────── R 勾配 ナトリウムイオンに対する選択性(logK) ────────────────────────────────── Li K NH4 Rb Cs Mg Ca Ba ───────────────────────── OCH2CH3 59 -4.5 -3.1 -6.6 -5.1 -5.8 -6.0 -6.4 -6.7 OC8H17 58 -4.4 -3.0 -6.3 -5.1 -5.3 -5.7 -6.4 -6.4 化6 59 -3.0 -2.0 -3.0 -2.4 -2.0 -3.8 -3.8 -4.0 ──────────────────────────────────
【0044】表2より明らかなように、本発明のカリッ
クスアレーン化合物を用いたナトリウム選択性電極は従
来の最適のものといわれている化合物に比しても選択性
が優れており、ナトリウム選択性電極の成分として有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカリックスアレーン誘導体によって構
成されたイオン選択性電極を用いて起電力を測定する装
置の典型例を概示する説明図である。
【図2】図1の電極1に内蔵される各構成要素を示す説
明図である。
【図3】本発明の応用例として、本発明の化合物を被覆
した白金線の概略図である。
【符号の説明】
1 電極 2 測定溶液 3 磁気回転子 4 磁気攪拌機 5 0.1モル酢酸リチウム塩橋 6 塩化カリウム飽和水溶液 7 飽和かんこう電極 8 エレクトロメータ(アドバンテスト社製R824
0) 11 アクリル製膜ホルダー 12 銀線 13 被覆ガラス管 14 銀−塩化銀内部標準電極 15 10−3モル塩化ナトリウム内部標準液 16 カリックスアレーン誘導体を含む膜状物 17 ○−リング 21 白金線 22 カリックスアレーン誘導体を含む膜状物 23 ポリテトラフルオロエチレン製テープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Journal of the Am erican Chemical So ciety,Vol.111,No.23, (1989)p.8681−8691 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/712 C07C 49/255 G01N 27/333 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式化1で示され、イオン選択
    性電極のニュートラルキャリアーとして用いられること
    を特徴とするナトリウムイオン選択性カリックスアレー
    ン誘導体。 【化1】 (但し、Rは炭素数1から10の直鎖または分岐のアル
    コキシ基である)
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