JP3364313B2 - ポルフィリン/インジウム錯体及び陰イオン感応膜 - Google Patents

ポルフィリン/インジウム錯体及び陰イオン感応膜

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JP3364313B2 JP05077894A JP5077894A JP3364313B2 JP 3364313 B2 JP3364313 B2 JP 3364313B2 JP 05077894 A JP05077894 A JP 05077894A JP 5077894 A JP5077894 A JP 5077894A JP 3364313 B2 JP3364313 B2 JP 3364313B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶液中のイオンの活量測
定用のイオン選択性電極に使用する陰イオン感応膜並び
にそれに用いる錯体に関する。詳しくは、イオン選択性
電極の境界膜として使用した場合、塩素イオンに対して
優れた感応性を有する陰イオン感応膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、イオン選択性電極を医療用に応用
し、血液や尿等の生体液中に溶解しているイオン、例え
ばナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンなど
の定量を行う試みが盛んに行われている。これは、生体
液中の特定のイオン濃度が生体の代謝反応と密接な関係
にあることに基づいて該イオン濃度を測定することによ
り、高血圧症状、心臓疾患、腎疾患、神経障害等の種々
の診断を行うものである。
【0003】一般に、陰イオン選択性電極は、図1に示
すように試料液に浸漬する部分(一般には底部)に境界
膜として陰イオン感応膜12を設けて構成された筒状容
器11中に、内部電解液13及び内部基準電極14を設
けることにより基本的に構成される。
【0004】かかるイオン選択性電極を用い、溶液中の
イオンの活量の測定を行うためのイオン測定装置の代表
的な構造を図2に示す。即ちイオン選択性電極21は塩
橋22と共に試料溶液23に浸漬され、塩橋の他の一端
は比較電極24と共に飽和塩化カリウム溶液26に浸漬
される。両電極間の電位差はエレクトロメータ25で読
み取られ、該電位差より試料溶液中の特定のイオン種の
イオン活量を求めることができる。このようなイオン測
定装置に用いる陰イオン選択性電極の性能は、それに用
いる陰イオン感応膜の性能によって決定される。
【0005】従来から、陰イオン、特に塩素イオンを選
択的に検出するための陰イオン感応膜として種々の膜が
提案されている。例えば、 a)塩化銀を主体とする固体成形膜 b)ポリ塩化ビニル等の重合体、四級アンモニウム塩な
どの脂溶性陽イオンの塩及び可塑剤を混合して製膜した
膜 c)ポリ塩化ビニル等の重合体、有機スズ化合物等の有
機金属化合物及び可塑剤を混合して製膜した膜 d)ポリ塩化ビニル等の重合体、ポルフィリン錯体等の
有機金属錯体及び可塑剤を混合して製膜した膜等の膜が
知られている。
【0006】しかしながら,(a)のタイプの陰イオン
感応膜を用いたイオン選択性電極は、溶液中に臭素イオ
ン、シアンイオン、チオシアン酸イオン等が存在してい
ると、これらイオンの影響で膜表面が化学変化するため
電位が安定化しにくく、甚だしい場合には電位計測が不
可能となる場合がある。また、種々の生体液等の測定に
おいては、タンパク質等の影響を受け易く、やはり電位
が安定しないという欠点がある。
【0007】(b)のタイプの陰イオン感応膜を用いた
イオン選択性電極は、応答が遅く、また、膜中のイオン
感応物質が徐々に溶液中に溶解するため、電極寿命が短
いという欠点がある。更に、硝酸イオン、チオシアン酸
イオン等の脂溶性のイオンに対する選択性が極端に悪い
ことが知られている。
【0008】(c)のタイプの陰イオン感応膜を用いた
イオン選択性電極は、クロルイオンに対する選択性に優
れるものの、膜中の有機スズ化合物が徐々に加水分解さ
れ寿命が短いという欠点を有する。
【0009】(d)のタイプの陰イオン感応膜を用いた
イオン選択性電極はクロルイオンに対して良好な選択性
を示すものの、マトリックス膜に対する溶解性が低いた
め、寿命が短く、良好な応答性を示さない場合があると
いう欠点が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、生体液中の塩
素イオンを高感度でかつ高選択的に測定可能なイオン選
択性電極を与える陰イオン感応膜の開発が望まれてい
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる問
題点を解決し得る陰イオン感応膜を開発すべく鋭意研究
を重ねた。その結果、特定のポルフィリン/インジウム
錯体を含む膜状物が、塩素イオンに対して優れたイオン
感応性を有し、且つ良好な耐水性を有し、これを陰イオ
ン感応膜として用いることにより、長寿命でしかも塩素
イオンを高感度でかつ高選択的に測定可能なイオン選択
性電極が得られることを見い出し本発明を完成するに至
った。
【0012】即ち、本発明は、下記一般式で表わされる
何れかのポルフィリン/インジウム錯体に関する。
【0013】
【化5】
【0014】〔式中、R、Rは水素原子または低級
アルキル基、Rは水素原子、アリール基または置換ア
リール基、Xはハロゲンイオンまたは安定な陰イオンを
形成する原子団、Yは主鎖にエーテル、エステル、また
はアミド結合を有してもよい炭素数2〜12の2価の炭
化水素基、Zは下記式で示される1価の疎水性有機基〕
【化6】 〔但し、Aはエーテル結合を有してもよい炭素数8〜3
0の直鎖状の飽和炭化水素基、lは1または2の整数〕
他の発明は、上記ポルフィリン/インジウム錯体、高分
子化合物、および可塑剤を含有してなることを特徴とす
る陰イオン感応膜に関する。
【0015】本発明の陰イオン感応膜の構成成分の1つ
はポルフィリンのインジウム錯体である。陰イオン感応
膜中に特定構造のポルフィリンのインジウム錯体を含有
することが、陰イオン応答性を付与しかつ塩素イオンに
対する選択性を飛躍的に向上させるために必須である。
又、本発明で用いられるポルフィリン/インジウム錯体
は分子中に2本または3本の炭素数8〜30の直鎖状の
飽和炭化水素基を有しており、高分子化合物と可塑剤よ
りなるマトリックス膜への溶解性が高いという特長を有
している。
【0016】本発明の陰イオン感応膜に用いるポルフィ
リン/インジウム錯体の1つは下記一般式で表わされ
る。
【0017】
【化7】
【0018】〔式中、R、Rは水素原子または低級
アルキル基、Rは水素原子、アリール基または置換ア
リール基、Xはハロゲンイオンまたは安定な陰イオンを
形成する原子団、Yは主鎖にエーテル、エステル、また
はアミド結合を有してもよい炭素数2〜12の2価の炭
化水素基、Zは下記式で示される1価の疎水性有機基〕
【化8】 〔但し、Aはエーテル結合を有してもよい炭素数8〜3
0の直鎖状の飽和炭化水素基、lは1または2の整数〕
上記一般式で示されるポルフィリン/インジウム錯体の
ポルフィリンは、そのメソ位の1つにフェニル基が導入
されており、合成する際に原料の入手が容易であり且つ
収率が比較的良好であるため好適である。
【0019】上記一般式中R、Rは水素原子または
低級アルキル基である。水素原子である場合ポルフィリ
ン合成時の収率が良く好適である。又、一般に低級アル
キル基の導入によりポルフィリン/インジウム錯体の可
塑剤への溶解性が向上する。
【0020】低級アルキル基としては炭素数1〜4のア
ルキル基が挙げられるが、ポルフィリンの合成時の収率
を勘案すると炭素数3以下であることが好ましい。炭素
数が4の場合ポルフィリン合成時の収率が著しく低下す
る場合がある。好適に採用される低級アルキル基を例示
すれば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基等が挙げられる。R、Rは同種である必要はな
いが、異種である場合ポルフィリン合成時に異性体が生
成し収率が低下するため同種であることが望ましい。
【0021】上記一般式中Rで示される基は水素原
子、アリール基または置換アリール基である。Rが水
素原子、アリール基あるいは置換アリール基である場合
ポルフィリンの合成が容易となるため好適に採用され
る。
【0022】該アリール基あるいは置換アリール基とし
ては、アンスリル基、ナフチル基、フェニル基およびそ
れらの置換体がポルフィリン合成時の収率の観点から好
適なものとして例示される。特に、ナフチル基、フェニ
ル基およびそれらの置換体が、得られる陰イオン感応膜
のクロルイオン応答性が向上する点からも最も好まし
い。
【0023】前記アリール基に置換基を導入することに
より、得られるイオン感応膜のクロルイオン選択性が向
上する場合がある。導入する置換基は特に制限されない
が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ハロゲノ原
子、シアノ基、ニトロ基等を用いることにより、得られ
る陰イオン感応膜のクロルイオン選択性が良好となる。
特に、シアノ基、アルコキシ基はクロルイオン選択性の
向上が著しいので最も好ましい。これらアルキル基、ア
ルコキシ基、アシル基は炭素数4以下であることが望ま
しい。炭素数が4以上であるとポルフィリン/インジウ
ム錯体のマトリックス膜への溶解性が悪くなる場合があ
る。
【0024】又、上記置換アリール基の置換基の数とし
ては、合成の容易さを勘案すれば4以下であることが好
ましく、さらにはポルフィリン合成時の収率の向上の観
点から2以下が好適である。
【0025】前記一般式中Rで示されるアリール基あ
るいは置換アリール基として、好適なものを例示すれば
以下のとおりである。即ち、フェニル基、1−ナフチル
基、2−ナフチル基、4−クロロフェニル基、3−クロ
ロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロ−1
−ナフチル基、4−クロロ−2−ナフチル基、5−クロ
ロ−1−ナフチル基、5−クロロ−2−ナフチル基、8
−クロロ−1−ナフチル基、8−クロロ−2−ナフチル
基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル
基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシ−1−ナフ
チル基、4−メトキシ−2−ナフチル基、5−メトキシ
−1−ナフチル基、5−メトキシ−2−ナフチル基、8
−メトキシ−1−ナフチル基、8−メトキシ−2−ナフ
チル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニ
ル基、2−エトキシフェニル基、4−エトキシ−1−ナ
フチル基、4−エトキシ−2−ナフチル基、5−エトキ
シ−1−ナフチル基、5−エトキシ−2−ナフチル基、
8−エトキシ−1−ナフチル基、8−エトキシ−2−ナ
フチル基、4−アセチルフェニル基、3−アセチルフェ
ニル基、2−アセチルフェニル基、4−アセチル−1−
ナフチル基、4−アセチル−2−ナフチル基、5−アセ
チル−1−ナフチル基、5−アセチル−2−ナフチル
基、8−アセチル−1−ナフチル基、8−アセチル−2
−ナフチル基、4−シアノフェニル基、3−シアノフェ
ニル基、2−シアノフェニル基、4−シアノ−1−ナフ
チル基、4−シアノ−2−ナフチル基、5−シアノ−1
−ナフチル基、5−シアノ−2−ナフチル基、8−シア
ノ−1−ナフチル基、8−シアノ−2−ナフチル基、4
−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニト
ロフェニル基、4−ニトロ−1−ナフチル基、4−ニト
ロ−2−ナフチル基、5−ニトロ−1−ナフチル基、5
−ニトロ−2−ナフチル基、8−ニトロ−1−ナフチル
基、8−ニトロ−2−ナフチル基、3,5−ジクロロフ
ェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジ
アセチルフェニル基等である。
【0026】前記一般式中Xは、ハロゲンイオンまたは
安定な陰イオンを形成する原子団である。ハロゲンイオ
ンまたは安定な陰イオンを形成する原子団は、本発明に
用いるポルフィリン/インジウム錯体のインジウム原子
の原子価を3価に保つために必要となる。一般に該イン
ジウム原子の原子価が3価であることにより得られる陰
イオン感応膜のクロル選択性が良好となる。
【0027】該ハロゲンイオンまたは安定な陰イオンを
形成する原子団としては、公知のものが特に制限なく使
用されるが、一般に好適に使用されるものを例示すれば
以下のとおりである。即ち、フッ素イオン,塩素イオ
ン,臭素イオン,ヨウ素イオン,硝酸イオン,過塩素酸
イオン,水酸イオン,チオシアン酸イオン,酢酸イオン
等である。特に、Xが塩素イオンである場合得られる陰
イオン感応膜のクロル応答性が向上するため最も好適に
用いられる。
【0028】前記一般式中Yで示される主鎖にエーテ
ル、エステル、またはアミド結合を有してもよい炭素数
2〜12の2価の炭化水素基は、Zで示される基とポル
フィリンユニットを結合するために必要である。ここで
いう炭化水素基の炭素数とは、エステル結合、アミド結
合に含まれる炭素原子を除いた数である。該炭素数が2
未満であると疎水性有機基を有するポルフィリン化合物
の合成が著しく困難となり好ましくない。また、該炭素
数が12を越えると得られるポルフィリン化合物のマト
リックス膜への溶解性が低下する。
【0029】前記一般式中Yで示される2価の炭化水素
基としては上記条件を満たすものであれば特に制限され
ない。一般に合成時の収率を勘案してYとして望ましい
ものを例示すれば以下の通りである。
【0030】
【化9】
【0031】上記例示の2価の炭化水素基中、nが2〜
10のものが原料の入手が容易であるため好適である。
尚、本願明細書中において、具体的に示される2価の炭
化水素基(Y)は、右端がZで示される1価の疎水性有
機基と結合し左端がポルフィリン環側に結合する。前記
一般式中Zで示される2本または3本の炭素数8〜30
の直鎖状の飽和炭化水素基を有する1価の疎水性有機基
は、ポルフィリン/インジウム錯体の可塑剤への溶解性
を飛躍的に高め、且つ良好なイオン応答性を発現するた
めに必要となる。
【0032】該炭素数8〜30の直鎖状の飽和炭化水素
としては、n−オクチル基、n−デシル基,n−ドデ
シル基,n−テトラデシル基,n−ヘキサデシル基,n
−オクタデシル基,ドコシル基,エチルオキシデシル
基,ヘキシルオキシデシル基等が好ましいものとして挙
げられる。炭素数が7以下である場合得られるポルフィ
リン/インジウム錯体の耐水性が不十分となる傾向にあ
り、また、炭素数が30を越えると得られるポルフィリ
ン/インジウム錯体のマトリックス膜への溶解性が不十
分となる傾向にある。尚、本発明でいう直鎖状の飽和炭
化水素基とは、完全に直鎖状のものの他に炭素数2個ま
での分枝を有する分枝状のものも含むものである。
【0033】上述の通り本発明に用いる1価の疎水性有
機基は2本または3本の炭素数8〜30の直鎖状の飽和
炭化水素基を有するものである。該炭素数8〜30の直
鎖状の飽和炭化水素基が1本であると得られる陰イオン
感応膜の均一性が十分でなく、また4本以上になるとポ
ルフィリンの合成時の収率が著しく悪化する。
【0034】該疎水性有機基は、前記一般式で示される
ように2本または3本の炭素数8〜30の直鎖状の飽和
炭化水素基とそれを連結する原子団とから構成される。
該連結する原子団は3つまたは4つの反応性基を有する
化合物(以下骨格化合物と略記する)から誘導されたも
のである場合に合成時の収率が向上するので好適であ
る。
【0035】上記反応性基としては、アミノ基、ヒドロ
キシカルボニル基、ヒドロキシ基が合成時の収率が良好
であるため好ましく、これら反応性基を有する骨格化合
物としては、アンモニア、グリセリン、アスパラギン
酸、グルタミン酸、ジエタノールアミン、トリス(ヒド
ロキシメチル)アミノメタン等が合成時の収率が良好で
あり且つ得られるポルフィリンの安定性が良好であるた
め好適に用いられる。
【0036】本発明における2本または3本の炭素数8
〜30の直鎖状の飽和炭化水素基を有する1価の疎水性
有機基は以下に示す基である。
【0037】
【化10】
【0038】(但し、Aはエーテル結合を有してもよい
炭素数8〜30の直鎖状の飽和炭化水素基、lは1また
は2の整数)前記一般式中Aで示される炭素数8〜30
の直鎖状の飽和炭化水素基として一般に好適に使用され
るものを例示すれば、n−オクチル基、n−デシル基,
n−ドデシル基,n−テトラデシル基,n−ヘキサデシ
ル基,n−オクタデシル基,ドコシル基,エチルオキシ
デシル基,ヘキシルオキシデシル基等が挙げられる。
【0039】前記一般式中、R、R、R、X、Y
およびZで示される基はどのような組み合わせであって
も良いが、得られるイオン感応膜の安定性、クロルイオ
ン選択性、合成時の収率の良さ、原料入手の容易さを勘
案すると、下記一般式で表されるポルフィリン/インジ
ウム錯体が好ましい。
【0040】
【化11】
【0041】即ち、上記一般式中、Rはハロゲノ基、
または炭素数4以下のアルコキシル基である場合クロル
イオン選択性の向上が著しく且つポルフィリン環合成時
の収率が良い。又、nが2〜10のものが原料の入手が
容易である。更に又、mが8〜18のものがマトリック
ス膜との相溶性に優れる。
【0042】本発明のイオン感応膜に用いるポルフィリ
ン/インジウム錯体の他の1つは下記一般式で表わされ
る。
【0043】
【化12】
【0044】上記一般式中、R、R、X、Yおよび
Zで示される基については、前述したもう一方のポルフ
ィリン/インジウム錯体で例示されたものがそのまま制
限なく採用される。
【0045】上記一般式中、R、R、X、Yおよび
Zで示される基はどのような組み合わせであっても良い
が、得られるイオン感応膜の安定性と合成時の収率の良
さを勘案すると、下記一般式で表されるポルフィリン/
インジウム錯体が好ましい。
【0046】
【化13】
【0047】即ち、上記一般式中、R、Rはメチル
基、エチル基等の低級アルキル基が、nは1〜3のもの
が合成時の収率が良い。更に又、mは8〜18のものが
マトリックス膜との相溶性に優れる。上記一般式中lは
1または2である。
【0048】本発明の陰イオン感応膜は、含有するポル
フィリン/インジウム錯体中に陰イオンと特異的な相互
作用を行うインジウム原子と、2本または3本の炭素数
8〜30の直鎖状の飽和炭化水素基を有するため、可塑
剤への溶解性が高くかつ良好なイオン応答性を有する。
また、炭素数8〜30の直鎖状の飽和炭化水素基がポル
フィリンに対して非対称に導入されることにより、ポル
フィリン/インジウム錯体の結晶性が低下し陰イオン感
応膜中で相分離することなく長期に安定して使用可能と
なる。
【0049】本発明のポルフィリン/インジウム錯体の
合成方法は一般に公知の方法を組合わせて合成すること
ができるが、次に示す方法が効率良く合成できるため好
適に採用される。
【0050】最初に、ヒドロキシ基を有するポルフィリ
ンを合成する。合成方法としては、ピロール、置換ベン
ズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドを2:1:
1の割合(モル比)でプロピオン酸に溶解し5時間加熱
還流する方法が好適に用いられる。反応後得られた固体
をシリカゲル粒子と展開溶媒を用いてカラム精製するこ
とによりヒドロキシ基を有するポルフィリンが得られ
る。ここで用いる展開溶媒としてはクロロホルム、アセ
トン、メタノール、酢酸エチル等の公知の溶媒が単独あ
るいは2種以上混合した形で用いられる。得られたポル
フィリンは一般に紫色の固体であり金属光沢を示すこと
が多い。
【0051】得られたポルフィリンは、薄層クロマト
(以下TLCと略記する)分析で単一のピークを示すこ
とより、純粋な化合物であることが確認される。TLC
分析に用いる担体としてはシリカゲルあるいはアルミナ
がまた展開溶媒としてはクロロホルム、アセトン、メタ
ノール、酢酸エチル等の公知の溶媒が単独あるいは2種
以上混合した形で用いられる。更に、プロトンNMRの
8.9ppmのピロール環に基づくピーク、7.6〜
8.2ppmのベンゼン環に基づくピークよりその構造
が確認される。また、アセトニトリル溶液の紫外可視吸
光スペクトル分析を行った際の400nm付近の強い吸
収と、蛍光分析行った際の700nm付近の発光(励起
波長400nm)よりポルフィリン環の生成を確認でき
る。
【0052】次に、公知の合成方法の組み合わせにより
合成された疎水性有機基を有する1価の有機化合物(以
下疎水性有機化合物と略記する)と上記ヒドロキシ基を
有するポルフィリンを反応させ、疎水性有機基を有する
ポルフィリンを合成する。合成方法としては、公知の方
法が採用可能であるが、ヒドロキシ基を有するポルフィ
リンとブロモアルキル基を有する疎水性有機化合物とを
両者が可溶な有機溶媒に溶かし、そこに適当なアルカリ
性塩を添加し加熱還流する方法が好適に採用される。両
者が可溶な有機溶媒としてはアセトン、ジメチルフォル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、エタノール等が用い
られる。アルカリ性塩としては水酸化カリウム、炭酸カ
リウム等が好適に採用される。
【0053】反応後得られた固体をシリカゲル粒子と展
開溶媒を用いてカラム精製することにより疎水性有機基
を有するポルフィリンが得られる。ここで用いる展開溶
媒としてはクロロホルム、アセトン、メタノール、酢酸
エチル等の公知の溶媒が単独あるいは2種以上混合した
形で用いられる。得られたポルフィリンは一般に紫色の
固体であり金属光沢を示すことが多い。また、一般に疎
水性有機基の導入によりポルフィリンの融点が下がると
共に有機溶媒への溶解性が向上する。
【0054】得られたポルフィリンは、TLC分析で単
一のピークを示すことより、純粋な化合物であることが
確認される。TLC分析に用いる担体としてはシリカゲ
ルあるいはアルミナがまた展開溶媒としてはクロロホル
ム、アセトン、メタノール、酢酸エチル等の公知の溶媒
が単独あるいは2種以上混合した形で用いられる。更
に、プロトンNMRの8.9ppmのピロール環に基づ
くピーク、7.6〜8.2ppmのベンゼン環に基づく
ピークおよび0.8ppm〜1.6ppmの直鎖アルキ
ル基に基づくピークよりその構造が確認される。
【0055】最後に、疎水性有機基を有するポルフィリ
ンを公知の方法によりインジウムイオンと反応させ本発
明に用いるポルフィリンのインジウム錯体が合成でき
る。合成方法としては公知の方法が使用可能であるが、
ポルフィリンとインジウム塩を溶媒中で加熱還流する方
法が好適に採用される。用いるインジウム塩としては、
塩化インジウム、酢酸インジウム、トリスアセチルアセ
トナトインジウム等が好適に採用される。また、反応溶
媒としては原料が可溶なものであれば公知の溶媒が使用
可能であるが、一般に、酢酸、エタノール、ピリジン、
ジメチルフォルムアミド等が好適に採用される。
【0056】反応後得られた固体をシリカゲル粒子と展
開溶媒を用いてカラム精製することにより本発明で用い
るポルフィリン/インジウム錯体が得られる。ここで用
いる展開溶媒としてはクロロホルム、アセトン、メタノ
ール、酢酸エチル等の公知の溶媒が単独あるいは2種以
上混合した形で用いられる。得られたポルフィリン/イ
ンジウム錯体は一般に青紫色の固体または粘稠な液体で
ある。融点は含有する直鎖疎水基の炭素数に依存してお
り、炭素数が14以下の場合融点は室温以下であり、炭
素数が15以上の場合40℃から80℃の範囲であるこ
とが多い。一般に水には不溶であるが、ほとんどの有機
溶媒に溶解する。
【0057】得られたポルフィリン/インジウム錯体は
TLC分析で単一のピークを示すことより、純粋な錯体
であることが確認される。TLC分析に用いる担体とし
てはシリカゲルあるいはアルミナがまた展開溶媒として
はクロロホルム、アセトン、メタノール、酢酸エチル等
の公知の溶媒が単独あるいは2種以上混合した形で用い
られる。また、得られたポルフィリン/インジウム錯体
アセトニトリル溶液の蛍光分析行った際、原料には観察
された700nm付近の発光(励起波長400nm)が
消失することによりポルフィリン/インジウム錯体の生
成を確認できる。更に、得られたポルフィリン/インジ
ウム錯体のインジウム元素分析を行うことにより化合物
の組成が決定できる。元素分析は公知の方法が採用可能
であるが、適当な溶媒に溶かした後誘導結合プラズマ発
光分光分析(以下ICPと略記する)する方法が好適に
採用される。
【0058】本発明の陰イオン感応膜においてポルフィ
リン/インジウム錯体は後述する高分子化合物と可塑剤
よりなるマトリックス膜に対して1重量%〜20重量%
の範囲、好ましくは2重量%〜10重量%の範囲で含有
することが望ましい。ポルフィリン/インジウム錯体が
1重量%より少ない場合には、イオンに対する応答性が
低下する傾向がある。また、20重量%より多い場合に
は、ポルフィリン/インジウム錯体が析出する傾向があ
り、時にはポルフィリン/インジウム錯体の相と高分子
の相とに相分離を起こし膜状物が不均一になる場合があ
る。
【0059】本発明の陰イオン感応膜の構成成分の他の
1つは高分子化合物である。本発明の陰イオン感応膜中
に高分子化合物が存在することにより、膜としての形状
が保持されると共に、ポルフィリン/インジウム錯体を
膜中に固定化することが可能となる。
【0060】本発明の陰イオン感応膜は、通常水溶液中
で使用されるため、高分子化合物は水に溶解しないもの
であることが好ましい。本発明で使用される高分子化合
物として好適なものを例示すると、例えば、塩化ビニ
ル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル
の単独重合体または共重合体;スチレン、クロロスチレ
ン、ブロモスチレン等のスチレン及びその置換体の単独
重合体または共重合体;アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の
アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独
重合体または共重合体;酢酸ビニル等のビニルエステル
の単独重合体または共重合体;ブタジエン、イソプレン
等のジエン系重合体またはこれらジエンとスチレン、ア
クリロニトリル等との共重合体;ポリウレタン類;シロ
キサン重合体または共重合体;酢酸セルロース、硝酸セ
ルロース等の繊維素誘導体が挙げられる。特に、ハロゲ
ン化ビニルの単独重合体または共重合体、または、シロ
キサン重合体または共重合体が本発明の陰イオン感応膜
を生体液中で使用した場合に寿命が長く好適である。
【0061】本発明の陰イオン感応膜の構成成分の更に
他の1つは可塑剤である。可塑剤の存在により陰イオン
感応膜が柔軟性を持ち操作性が向上すると共に、イオン
に対する応答性が向上する。
【0062】該可塑剤は特に限定されず公知のものを使
用できるが、好適に使用できるものを例示すれば以下の
通りである。即ち、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジオクチルフタレート、等のフタル酸エステル
類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の
脂肪酸エステル類;オルトニトロフェニルオクチルエー
テル、オルトニトロフェニルフェニルエーテル、2−フ
ルオロ−2'−ニトロフェニルエーテル等のオルトニト
ロフェニルエーテル類等である。更に好ましくは、ジオ
クチルフタレート、または、ジオクチルアジペートを用
いた場合に得られる陰イオン感応膜のクロルイオン選択
性が良好である場合が多く好適に採用される。
【0063】これらの可塑剤の添加量は陰イオン感応膜
の使用目的に応じて適宜選択すればよいが、一般には高
分子化合物100重量部に対して可塑剤を30〜300
重量部の範囲で選べば好適である。
【0064】本発明の陰イオン感応膜の製造方法は従来
公知の方法が採用される。一般に好適に採用される代表
的な製造方法を例示すれば次の通りである。
【0065】前記ポルフィリン/インジウム錯体を高分
子化合物、可塑剤と共に有機溶媒に溶解し、該溶液を板
状面に塗布または流し込んだ後、有機溶媒を蒸発せしめ
て陰イオン感応膜とする方法が挙げられる。上記有機溶
媒としては、高分子化合物、可塑剤及びポルフィリン/
インジウム錯体を溶解するものであれば公知のものがな
んら制限されず使用し得る。一般に好適に用いられる有
機溶媒を具体的に例示すれば、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン
等が挙げられる。
【0066】上記に示した方法により得られる陰イオン
感応膜は、一般に青紫色の均一な膜となる。本発明の陰
イオン感応膜の膜厚は、用いる構成成分の量と膜面積を
調製することにより制御可能であるが、イオン選択性電
極として使用する際の操作性を勘案して1μm〜1mm
の範囲であることが望ましい。
【0067】本発明の方法により得られる陰イオン感応
膜が適用可能なイオン選択性電極は、公知の構造を有す
るものが特に制限なく採用される。一般には、試料溶液
に浸漬する部分の少なくとも一部が前記陰イオン感応膜
で構成された容器内に内部標準電極、及び内部電解液を
内蔵した構造が好適である。例えば代表的な態様として
は前記の図1に示した構造がある。即ち、図1のイオン
選択性電極は、電極筒体11の低面部に陰イオン感応膜
12を装着して構成される容器内に、内部電解液13が
満たされ、且つ内部基準電極14を設けてなるものであ
る。なお、15は液シール用のOリングである。
【0068】該電極においては、陰イオン感応膜以外の
材質等は特に制限されず、従来のものが限定なく採用さ
れる。例えば電極筒体の材質としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリメタクリル酸メチル等、内部電解液としては塩
化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液等、内部基準
電極としては白金、金、カーボングラファイトなどの導
電性物質あるいは銀−塩化銀、水銀−塩化水銀等の難溶
性金属塩化物等が使用される。
【0069】本発明の方法によって得られる陰イオン感
応膜を適用し得るイオン選択性電極は、図1に示した構
造に限定されず、前記陰イオン感応膜を有する電極であ
ればいかなる構造であってもよい。他のイオン選択性電
極の好適なものを例示すれば、金、白金、グラファイト
等の導電体あるいは、塩化銀、塩化水銀等のイオン導伝
体に前記陰イオン感応膜を直接貼付けて構成されるイオ
ン選択性電極等である。
【0070】また、かかる陰イオン感応膜を使用したイ
オン選択性電極は公知の方法で使用することができる。
例えば、前記した図2に示すような使用態様が基本的で
ある。即ち、イオン選択性電極21は、塩橋22と共に
試料溶液23中に浸漬され、塩橋の他の一端は比較電極
24と共に飽和塩化カリウム溶液26に浸漬される。上
記比較電極としては一般に公知のものが採用されるが、
公的に使用されるものを例示すれば、カロメル電極、銀
−塩化銀電極、白金板、カーボングラファイト等であ
る。
【0071】
【発明の効果】本発明で得られる陰イオン感応膜は、イ
オン感応部分がポルフィリンのインジウム錯体で構成さ
れているため、血液、尿等の生体液中に存在する炭酸水
素イオン、リン酸イオン、硝酸イオン等の妨害イオンに
対して塩素イオンの応答性が著しく高く、これをイオン
選択性電極の陰イオン感応膜として使用することによ
り、血液、尿等の生体液中の塩素イオンの定量を極めて
正確に行うことが可能である。 更に、ポルフィリン/
インジウム錯体中に2本または3本の炭素数8〜30の
直鎖状の飽和炭化水素基が存在するためにマトリックス
膜への溶解性が非常に高い。従って、高濃度に膜中に含
有することが可能であるため、生体液中の塩素イオンの
定量を長期にわたって安定に測定することが可能であ
る。以上の点より、本発明の陰イオン感応膜の工業的価
値は極めて大きい。
【0072】
【実施例】以下に本発明をさらに具体的に説明するため
に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0073】尚本実施例中において、プロトンNMRを
1HNMRと略記する。また、本実施例中のポルフィリ
ン/金属錯体の組成比とは、高分子化合物及び可塑剤よ
りなるマトリックス膜に対するポルフィリン/金属錯体
の重量比(重量%)である。
【0074】製造例1 (1)2lの三口フラスコにプロピオン酸1lを入れ、
そこにp−ヒドロキシベンズアルデヒド13.2g
(0.1mol)、ベンズアルデヒド30.5ml
(0.3mol)およびピロール28ml(0.4mo
l)を加えた。30分加熱還流した後、溶液温度を10
0℃まで下げ、減圧下に溶媒を留去した。残渣をメタノ
ール中に入れ超音波洗浄器で洗浄した。続いて温水(9
5℃)で2回洗浄し、再びメタノール洗浄し乾燥した。
乾燥後、クロロホルム/アセトン(14:1)混合溶媒
によりシリカゲルカラム精製を2回おこなった。流出分
を集め溶媒を減圧下に留去し残渣をカラム精製(シリカ
ゲル、クロロホルム/アセトン=20:1)した。1回
の精製では十分でなかったため再び同じ条件でカラム精
製を行い金属光沢を有する紫色固体3.9g(収率3.
1%)を得た。
【0075】精製物のHNMR(CDCl中、TM
Sを基準(0.00ppm)とする。)及びTLC分析
(シリカゲル薄層、展開液クロロホルム/アセトン=1
4/1)を行い、次に示す結果を得た。
【0076】HNMR:7.5〜8.5ppm(w;
19H、フェニル−H)、8.9ppm(s;8H,ピ
ロール−H) TLC:Rf値;0.81、シングルピーク (2)5−p−ヒドロキシフェニル−10,15,20
−トリフェニルポルフィリン3.4g(5.4mmo
l)と1,3−ジドデシル−2−(4−ブロモブチル)
グリセリン3.04g(5.4mmol)およびジメチ
ルホルムアミド70mlを100mlのナス型フラスコ
にいれオイルバス中90℃で攪拌した。そこに、50重
量%水酸化カリウム水溶液0.8g(5.9mmol)
を注ぎそのまま3時間反応させた。反応物を800ml
の水にあけ、メチレンクロライド300mlで抽出し
た。液相分離濾紙で脱水後溶媒を減圧留去し残渣をカラ
ム精製(シリカゲル,クロロホルム/アセトン(30:
1))し紫色固体4.0g(収率67%)を得た。精製
物のHNMR(CDCl中、TMSを基準(0.0
0ppm)とする。)及びTLC分析(シリカゲル薄
層、展開液クロロホルム/アセトン=14/1)を行
い、次に示す結果を得た。
【0077】1HNMR:0.9ppm(w;6H、C
−CH)、1.0〜2.1ppm(m;40H,CH
)、3.3〜3.9ppm(m;11H、O−C
H)、4.2ppm(t;2H、フェニル−O−C
H)、7.5〜8.5ppm(m;19H、フェニル−
H)、8.9ppm(s;8H,ピロール−H) TLC:Rf値;0.92、シングルピーク (3)上記で得られたポルフィリン0.4g(0.36
mmol)を酢酸100mlと共に200mlの三角フ
ラスコに入れた。そこに酢酸ナトリウム0.23g
(2.88mmol)と三塩化インジウム・4水塩0.
528g(1.80mmol)を加え2時間加熱還流し
た。放冷後、酢酸を減圧留去した。残渣をクロロホルム
溶液として塩酸で洗浄し溶媒を減圧留去した後カラム精
製(シリカゲル、クロロホルム/メタノール(99/
1))し青紫色固体360mg(収率79%)を得た。
【0078】得られたポルフィリン/インジウム錯体の
構造を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】精製物のTLC分析(シリカゲル薄層、展
開液クロロホルム/メタノール=99/1)及びインジ
ウム元素分析(ジクロロエタン溶媒でICP発光分析)
を行い、次に示す結果を得た。
【0081】TLC:Rf値;0.20、シングルピー
クインジウム元素分析:インジウム含量;9.0重量%
(計算値 9.13%) 製造例2(製造No.2〜10) 製造例1と同様にして、表2に示すアルデヒド化合物と
p−ヒドロキシベンズアルデヒド及びピロールを用いて
ポルフィリンを合成した。更に製造例1と同様にして
1,3−ジドデシル−2−(4−ブロモブチル)グリセ
リンと反応させた後、ポルフィリン/インジウム錯体を
合成した。得られたポルフィリン/インジウム錯体の構
造とインジウム元素分析結果を表2に併せて記す。
【0082】
【表2】
【0083】製造例3(製造No.11〜16) (1)2lの三口フラスコにプロピオン酸1lを入れ、
そこにp−ヒドロキシカルボニルベンズアルデヒド1
4.9g(0.1mol)、ベンズアルデヒド30.5
ml(0.3mol)およびピロール28ml(0.4
mol)を加えた。30分加熱還流した後、溶液温度を
100℃まで下げ、減圧下に溶媒を留去した。残渣をメ
タノール中に入れ超音波洗浄器で洗浄した。続いて温水
(95℃)で2回洗浄し、再びメタノール洗浄し乾燥し
た。洗浄により固体の色は黒褐色から黒紫色に変化し
た。乾燥後、クロロホルム/アセトン(14:1)によ
りシリカゲルカラム精製を2回おこなった。流出分を集
め溶媒を減圧下に留去し残渣をカラム精製(シリカゲ
ル、クロロホルム/アセトン=20:1)し紫色固体
4.3g(収率5.1%)を得た。
【0084】精製物のHNMR(CDCl中、TM
Sを基準(0.00ppm)とする。)及びTLC分析
(シリカゲル薄層、展開液クロロホルム/アセトン=1
4/1)を行い、次に示す結果を得た。
【0085】HNMR:7.6〜8.6ppm(w;
19H、フェニル−H)、8.9ppm(s;8H,ピ
ロール−H) TLC:Rf値;0.78、シングルピーク (2)5−p−ヒドロキシカルボニルフェニル−10,
15,20−トリフェニルポルフィリン3.4g(5.
4mmol)と表3に示す疎水性有機化合物5.4mm
olをジシクロヘキシルカルボジイミド1.24g(6
mmol)と共にジメチルホルムアミド100ml中に
入れ、氷冷下に1時間室温で12時間攪拌した。反応物
を800mlの水にあけ、メチレンクロライド300m
lで抽出した。液相分離濾紙で脱水後溶媒を減圧留去し
残渣をカラム精製(シリカゲル,クロロホルム/アセト
ン(30:1))しポルフィリンを得た。更に、製造例
1と同様にして、ポルフィリンをインジウム錯体とし
た。得られたポルフィリン/インジウム錯体の構造とイ
ンジウム元素分析結果を併せて表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】製造例4(製造No.17〜21) 5−p−ヒドロキシフェニル−10,15,20−トリ
フェニルポルフィリン4.0g(5.4mmol)と表
4に示す疎水性有機化合物5.4mmolをジシクロヘ
キシルカルボジイミド1.24g(6mmol)と共に
ジメチルホルムアミド100ml中に入れ、氷冷下に1
時間、引き続き室温で12時間攪拌した。反応物を80
0mlの水にあけ、メチレンクロライド300mlで抽
出した。液相分離濾紙で脱水後溶媒を減圧留去し残渣を
カラム精製(シリカゲル,クロロホルム/アセトン(3
0:1))ポルフィリンを得た。製造例1と同様にし
て、上記ポルフィリンをインジウム錯体とした。得られ
たポルフィリン/インジウム錯体の構造とインジウム元
素分析結果を併せて表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】製造例5(製造No.22) (1)ジ(3,4−ジエチルピロール)メタン3.87
g(15mmol)、p−ヒドロキシベンズアルデヒド
1.22g(10mmol)、ベンズアルデヒド1.0
6g(10mmol)、p−トルエンスルホン酸1.1
4g(6mmol)、メタノール300mlを室温で2
時間攪拌した。クロラニル5.9g(24mmol)の
テトラヒドロフラン溶液60mlを加え、室温で1時間
攪拌した。溶媒を減圧留去し、シリカゲル/クロロホル
ムでカラム精製し紫色固体1.3g(収率28%)を得
た。
【0090】精製物のHNMR(CDCl中、TM
Sを基準(0.00ppm)とする。)及びTLC分析
(シリカゲル薄層、展開液クロロホルム/アセトン=1
4/1)を行い、次に示す結果を得た。
【0091】HNMR:1.7〜2.1ppm(t;
24H、C−CH)、3.9〜4.4ppm(q;1
6H,CH)、7.5〜8.5ppm(m;9H、フ
ェニル−H)、10.1ppm(s;2H、C=CH−
C) TLC:Rf値;0.75、シングルピーク (2)5−(4−ヒドロキシフェニル)−15−フェニ
ルオクタエチルポルフィリン0.19g(0.3mmo
l)、1,3−ジドデシル−2−(4−ブロモブチル)
グリセリン0.17g(0.3mmol)、ジメチルフ
ォルムアミド10mlを90℃に加熱した。50重量%
水酸化カリウム水溶液0.05g加え、3時間攪拌し
た。反応物を100ml水に加え、塩化メチレンで抽出
した。溶媒を減圧留去し、シリカゲル/クロロホルムで
カラム精製し紫色固体0.11g(収率32%)を得
た。
【0092】精製物のHNMR(CDCl中、TM
Sを基準(0.00ppm)とする。)及びTLC分析
(シリカゲル薄層、展開液クロロホルム/アセトン=1
4/1)を行い、次に示す結果を得た。
【0093】0.9ppm(w;6H、C−CH)、
1.0〜1.7ppm(m;40H,CH)、1.7
〜2.1ppm(t;24H、C−CH)、3.3〜
3.9ppm(m;11H、O−CH)、3.9〜4.
4ppm(m;18H,CH及びフェニル−O−C
H)、7.5〜8.5ppm(m;9H、フェニル−
H)、10.1ppm(s;2H、C=CH−C) TLC:Rf値;0.61、シングルピーク (3)上記ポルフィリン100mgを製造例1と同様に
してインジウム錯体とし、青紫色固体90mg(収率8
0%)を得た。
【0094】精製物のTLC分析(シリカゲル薄層、展
開液クロロホルム/メタノール=99/1)及びインジ
ウム元素分析(ジクロロエタン溶媒でICP発光分析)
を行い、次に示す結果を得た。
【0095】TLC:Rf値;0.18、シングルピー
クインジウム元素分析:インジウム含量;8.5重量%
(計算値 8.63%)得られたポルフィリン錯体の構
造を表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】製造例6(製造No.23〜26) 5−(4−ヒドロキシフェニル)−15−フェニルオク
タエチルポルフィリン0.19g(0.3mmol)、
表6に示す疎水性有機化合物0.3mmol、ジメチル
フォルムアミド10mlを90℃に加熱した。50重量
%水酸化カリウム水溶液0.05g加え、3時間攪拌し
た。反応物を100ml水に加え、塩化メチレンで抽出
した。溶媒を減圧留去し、シリカゲル/クロロホルムで
カラム精製しポルフィリンを得た。製造例1と同様にし
て、上記ポルフィリンをインジウム錯体とした。得られ
たポルフィリン/インジウム錯体の構造とインジウム元
素分析結果を併せて表6に示す。
【0098】
【表6】
【0099】製造例7(製造No.27) (1)メチルピロポルフィリンエチルエステル(アルド
リッチ社製)0.107g(0.2mmol)をジエチ
レングリコールジメチルエーテル20mlと1,4−ジ
オキサン20mlの混合溶媒に溶かした。10重量%水
酸化ナトリウム水溶液1mlを加え、80℃で10時間
加熱した。溶媒留去後、塩化メチレンに溶かし、水で洗
浄した。溶媒を減圧留去し、シリカゲル/クロロホルム
でカラム精製し紫色固体58mg(収率57%)を得
た。
【0100】精製物のHNMR(CDCl中、TM
Sを基準(0.00ppm)とする。)及びTLC分析
(シリカゲル薄層、展開液クロロホルム/アセトン=1
4/1)を行い、次に示す結果を得た。
【0101】HNMR:−3.7ppm(s;2H、
N−H)、1.8〜2.0ppm(t;6H、C−CH
)、3.2〜3.5ppm(t;2H、C−CH
CO)、3.9〜4.5(q;6H、2−ピロール−C
−C)、10ppm(s;4H、C=CH−C) TLC:Rf値;0.81、シングルピーク (2)メチルピロポルフィリンカルボン酸0.051g
(0.1mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド
0.03g(0.15mmol)、ジメチルアミノピリ
ジン0.01g、塩化メチレン20mlを氷冷下に10
分間攪拌した。グルタミン酸ジドデシルエステル0.0
5g(0.1mmol)を塩化メチレン20mlに溶か
し添加した。氷冷下に1時間攪拌した後、不溶分を濾去
し、濾液を水で洗浄した。溶媒を減圧留去し、残渣をシ
リカゲル/クロロホルムでカラム精製し紫色固体63m
g(収率63%)を得た。
【0102】精製物のHNMR(CDCl中、TM
Sを基準(0.00ppm)とする。)及びTLC分析
(シリカゲル薄層、展開液クロロホルム/アセトン=1
4/1)を行い、次に示す結果を得た。
【0103】HNMR:−3.7ppm(s;2H、
N−H)、0.6〜1.7ppm(m;46H、C−C
H−C及びC−CH)、1.8〜2.0ppm(t;
6H、C−CH)、2.1〜2.7ppm(m;4
H、CO−CH−CH)、3.2〜3.5ppm
(t;2H、C−CH−CO)、3.9〜4.5
(m;10H、2−ピロール−CH−C及びO−CH
−C)、4.7〜5.1ppm(m;1H、CO−C
H−N)、10ppm(s;4H、C=CH−C) TLC:RF値;0.93、シングルピーク (3)上記で得られたポルフィリン60mgを製造例1
と同様にしてインジウム錯体とした。青紫色固体54m
g(収率78%)を得た。
【0104】精製物のTLC分析(シリカゲル薄層、展
開液クロロホルム/メタノール=99/1)及びインジ
ウム元素分析(ジクロロエタン溶媒でICP発光分析)
を行い、次に示す結果を得た。
【0105】TLC:Rf値;0.26、シングルピー
クインジウム元素分析:インジウム含量;10.3重量
%(計算値 10.25%)得られたポルフィリン錯体
の構造を表7に示す。
【0106】
【表7】
【0107】製造例8(製造No.28〜31) メチルピロポルフィリンカルボン酸0.051g(0.
1mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド0.0
3g(0.15mmol)、ジメチルアミノピリジン
0.01g、塩化メチレン20mlを氷冷下に10分間
攪拌した。そこに表8に示す疎水性有機化合物0.1m
molを塩化メチレン20mlに溶かし添加した。氷冷
下に1時間攪拌した後、不溶分を濾去し、濾液を水で洗
浄した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲル/クロロ
ホルムでカラム精製しポルフィリンを得た。得られたポ
ルフィリン60mgを製造例1と同様にしてインジウム
錯体とした。
【0108】精製物の構造とインジウム元素分析(ジク
ロロエタン溶媒でICP発光分析)を併せて表8に示
す。
【0109】
【表8】
【0110】製造例9(製造No.32、比較例に用い
る) 製造例1と同様にして、テトラフェニルポルフィリン
(同仁化学製)100mgをインジウム錯体とした。収
量105mg(85%)。得られた化合物の構造とイン
ジウム元素分析(ジクロロエタン溶媒でICP発光分
析)結果を表9に併せて示す。
【0111】製造例10(製造No.33、比較例に用
いる) 2lの三口セパラフラスコにプロピオン酸500mlを
入れ、そこにp−ドデシルオキシベンズアルデヒド3
3.4g(0.115mol)およびピロール7.6g
(0.115mol)を加えた。モーター攪拌下90分
加熱還流した。溶液温度を100℃まで下げた後、減圧
下に溶媒を留去した。残渣をカラム精製(クロロホル
ム,シリカゲル)した後、第2流出分を集めクロロホル
ム−エタノール(1:1)混合溶媒より再結晶し紫色燐
片状晶9.6g(収率25%)を得た。
【0112】更に上記で得られたポルフィリン100m
gを製造例1と同様にしてインジウム錯体とし青紫色固
体92mg(収率83%)を得た。得られた化合物の構
造とインジウム元素分析(ジクロロエタン溶媒でICP
発光分析)結果を表9に併せて示す。
【0113】製造例11(製造No.34、比較例に用
いる) 製造例1で得られたポルフィリン0.4g(0.36m
mol)を酢酸100mlと共に200mlの三角フラ
スコに入れた。そこに酢酸ナトリウム0.23g(2.
88mmol)と三塩化鉄0.233g(1.44mm
ol)を加え2時間加熱還流した。放冷後、酢酸を減圧
留去した。残渣をクロロホルム溶液として塩酸で洗浄し
溶媒を減圧留去した後カラム精製(シリカゲル、クロロ
ホルム/アセトン(14/1))し紫色固体249mg
(収率65%)を得た。得られた化合物の構造と鉄元素
分析(ジクロロエタン溶媒でICP発光分析)結果を表
9に併せて示す。
【0114】製造例12(製造No.35、比較例に用
いる) 製造例1で得られたポルフィリン0.4g(0.36m
mol)を酢酸100mlと共に200mlの三角フラ
スコに入れた。そこに酢酸ナトリウム0.23g(2.
88mmol)二塩化マンガン・4水塩0.285g
(1.44mmol)を加え2時間加熱還流した。放冷
後、酢酸を減圧留去した。残渣をクロロホルム溶液とし
て塩酸で洗浄し溶媒を減圧留去した後カラム精製(シリ
カゲル、クロロホルム/アセトン(14/1))し深緑
色固体210mg(収率49%)を得た。得られた化合
物の構造とマンガン元素分析(ジクロロエタン溶媒でI
CP発光分析)結果を表9に併せて示す。
【0115】
【表9】
【0116】実施例1 製造例1で得られたポルフィリン錯体(製造No.1)
を表10に示す量、ポリ塩化ビニル(重合度1000、
サン・アロー化学製)200mg及び可塑剤としてo−
ニトロフェニルオクチルエーテル400mgをテトラヒ
ドロフラン10mlに溶解させた後、直径6cmのガラ
ス製シャーレに流延した。溶媒を20℃大気圧の条件下
で24時間かけて蒸発させ膜状物を得た。結果を表10
に示す。
【0117】
【表10】
【0118】得られた膜状物をそれぞれ図1に示すよう
に電極に装着した後、図2に示した装置により、種々の
陰イオンについて、室温での濃度と電位差の関係を測定
した。得られた結果より公知の方法[G.J.Mood
y,J.D.Thomas著,宗森信,日色和夫訳「イ
オン選択性電極」,共立出版,18ページ(1977)
に記載の方法]により各陰イオンに対する塩素イオン選
択係数を求めた。結果を表11にまとめて示す。
【0119】
【表11】
【0120】比較例1 製造例9で得られた直鎖疎水基を含有しないポルフィリ
ン/インジウム錯体(製造No.32)、製造例10で
得られた対称的に直鎖疎水基を有するポルフィリン/イ
ンジウム錯体(製造No.33)、製造例11で得られ
た疎水性有機基を有するポルフィリン/鉄錯体(製造N
o.34)、製造例12で得られた疎水性有機基を有す
るポルフィリン/マンガン錯体(製造No.35)をそ
れぞれ用いて実施例1全く同様に膜状物を得た。結果を
表10に併せて示す。得られた膜状物を用いて実施例1
と同様にして各陰イオンに対する塩素イオン選択係数
求めた。結果を表11に併せて示す。
【0121】表10より明らかなように、本発明の陰イ
オン感応膜はポルフィリン環に非対称に導入された疎水
性有機基により、1重量%から17重量%の範囲で相分
離することなく膜中に分散可能である。これに対して、
直鎖疎水基がないもの(比較膜1)、および対称的に直
鎖疎水基が導入された(比較膜2)比較例のポルフィリ
ン/インジウム錯体では、可塑剤への溶解性が不十分で
あるため、1重量%を越える含量では相分離を起こして
いる。
【0122】本実施例中のイオン選択係数は、その値が
小さいほど陰イオン感応膜の塩素イオンに対する選択性
が良好であることを示している。表11よりわかるよう
に本発明の陰イオン感応膜を用いたイオン選択性電極
は、生体液中に存在する硫酸イオン、リン酸イオン、硝
酸イオンに対する塩素イオンの選択性が優れており生体
液中の塩素イオン濃度を正確に測定可能である。これに
対して、中心金属として鉄を有する比較膜5、および中
心金属としてマンガンを有する比較膜6ではこれらイオ
ンに対する塩素イオンの選択性が不十分であるため生体
液中の塩素イオンの正確な測定は不可能である。
【0123】実施例2 製造例2〜8で得られたポルフィリン/インジウム錯体
(製造No.2〜31)を表12に示す量、ポリ塩化ビ
ニル(重合度1000、サン・アロー化学製)200m
g及び可塑剤としてo−ニトロフェニルオクチルエーテ
ル400mgをジクロロエタン10mlに溶解させた
後、直径6cmのガラス製シャーレに流延した。溶媒を
20℃大気圧の条件下で24時間かけて蒸発させ膜状物
を得た。結果を表12に示した。
【0124】
【表12】
【0125】表12より明らかなように、本発明の陰イ
オン感応膜はポルフィリンに非対称に導入された疎水性
有機基により、相分離することなく膜中に分散可能であ
る。
【0126】得られた膜状物について実施例1と同様に
して各陰イオンに対する塩素イオン選択係数を求めた。
結果を表13に示す。
【0127】
【表13】
【0128】表13よりわかるように本発明の陰イオン
感応膜を用いたイオン選択性電極は、生体液中に存在す
る硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオンに対する塩素
イオンの選択性が優れており生体液中の塩素イオン濃度
の測定に好適である。
【0129】実施例3 製造例5で得られたポルフィリン/インジウム錯体(製
造No.22)を40mg、表14に示す高分子化合物
を表14に示す量及び表14に示す可塑剤を表14に示
す量テトラヒドロフラン10mlに溶解させた後、直径
6cmのガラス製シャーレに流延した。溶媒を20℃大
気圧の条件下で蒸発させ膜状物を得た。結果を表14に
示す。
【0130】
【表14】
【0131】表14より明らかなように、本発明の陰イ
オン感応膜はポルフィリンに非対称に導入された疎水性
有機基により、相分離することなく膜中に分散可能であ
る。
【0132】得られた膜状物について実施例1と同様に
して各陰イオンに対する塩素イオン選択係数を求めた。
結果を表15にまとめて示す。
【0133】
【表15】
【0134】表15よりわかるように本発明の陰イオン
感応膜を用いたイオン選択性電極は、生体液中に存在す
る硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオンに対する塩素
イオンの選択性が優れており生体液中の塩素イオン濃度
の測定に好適である。
【0135】実施例4 実施例1〜3で用いた陰イオン感応膜及び比較例の膜を
それぞれ図1に示すように電極に装着した後、図2に示
した装置により、初期のクロルイオン応答性(100m
Mの塩化ナトリウム水溶液を試料溶液とした時の膜電位
と、10mMの塩化ナトリウム水溶液を試料溶液とした
時の膜電位の差の絶対値)を測定した。長期に渡るイオ
ン選択性電極の安定性を検討するため、37℃のトリス
−リン酸緩衝液中に1年間浸漬した後、再びクロルイオ
ン応答性を測定した。浸漬前後のクロルイオン応答性を
表16に併せて示した。
【0136】
【表16】
【0137】比較例2 比較例1で用いた比較膜の中で相分離を起こしていない
比較膜2、比較膜4を用いて実施例4と同様にして長期
に渡るイオン選択性電極の安定性を検討した。結果を表
16に併せて示す。
【0138】表16より明らかなように、ポルフィリン
/インジウム錯体の含量が少ない比較膜ではクロルイオ
ンに対する感度が低下しているのに対して、本発明の陰
イオン感応膜は長期に渡って安定なクロルイオン応答性
を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の陰イオン感応膜を用いるイオン選択
性電極の一例の構成を示す断面図である。
【図2】 図1のイオン選択性電極を用いて電位差を測
定する装置の説明図である。
【符号の説明】
11 電極筒体 12 陰イオン感応膜 13 内部電解液 14 内部基準電極 15 Oリング 21 イオン選択性電極 22 塩橋 23 試料溶液 24 比較電極 25 エレクトロメーター 26 飽和塩化カリウム水溶液 27 記録計

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で表わされるポルフィリン/
    インジウム錯体。 【化1】 〔式中、R、Rは水素原子または低級アルキル基、
    は水素原子、アリール基または置換アリール基、X
    はハロゲンイオンまたは安定な陰イオンを形成する原子
    団、Yは主鎖にエーテル、エステル、またはアミド結合
    を有してもよい炭素数2〜12の2価の炭化水素基、Z
    下記式で示される1価の疎水性有機基〕 【化2】 〔但し、Aはエーテル結合を有してもよい炭素数8〜3
    0の直鎖状の飽和炭化水素基、lは1または2の整数〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポルフィリン/インジウ
    ム錯体、高分子化合物、および可塑剤を含有してなるこ
    とを特徴とする陰イオン感応膜。
  3. 【請求項3】 下記一般式で表わされるポルフィリン/
    インジウム錯体。 【化3】 〔式中、R、Rは水素原子または低級アルキル基、
    Xはハロゲンイオンまたは安定な陰イオンを形成する原
    子団、Yは主鎖にエーテル、エステル、またはアミド結
    合を有してもよい炭素数2〜12の2価の炭化水素基、
    Zは下記式で示される1価の疎水性有機基〕 【化4】 〔但し、Aはエーテル結合を有してもよい炭素数8〜3
    0の直鎖状の飽和炭化水素基、lは1または2の整数〕
  4. 【請求項4】 請求項3記載のポルフィリン/インジウ
    ム錯体、高分子化合物、および可塑剤を含有してなるこ
    とを特徴とする陰イオン感応膜。
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