JPH1179728A - 結晶性層状ケイ酸、その製法及び用途 - Google Patents

結晶性層状ケイ酸、その製法及び用途

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JPH1179728A
JPH1179728A JP24595597A JP24595597A JPH1179728A JP H1179728 A JPH1179728 A JP H1179728A JP 24595597 A JP24595597 A JP 24595597A JP 24595597 A JP24595597 A JP 24595597A JP H1179728 A JPH1179728 A JP H1179728A
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silicic acid
crystalline layered
crystalline
sodium silicate
layered silicic
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Teiji Sato
悌治 佐藤
Masanori Tanaka
正範 田中
Kazuyoshi Sugano
和良 菅野
Madoka Minagawa
円 皆川
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Mizusawa Industrial Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶子サイズが微細でしかも高いカチオン交
換性、特に低pH領域での高いカチオン交換性と高い吸
油量とを有する微細な定形粒子構造の新規ポリケイ酸及
びその製法を提供する。更に、カルシウム交換能が高
く、優れた柔軟仕上げ効果を有する洗剤ビルダー乃至洗
剤ビルダー兼柔軟剤を提供する。 【解決手段】 結晶性ケイ酸ナトリウムを種として添加
し、この組成物を水熱処理し、得られるケイ酸ナトリウ
ムの結晶を分離し、次いでこの結晶を酸処理して得られ
る吸油量が100ml/100g以上で、電子顕微鏡で
観察される粒子面が四角形で、辺の長さ/厚さのアスペ
クト比が10乃至100である結晶性層状ケイ酸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規結晶性層状ケ
イ酸、その製造方法及びその用途に関するもので、より
詳細には、カルシウムイオン交換能や柔軟仕上げ効果に
優れた結晶性層状ケイ酸及びその製造法並びに洗剤ビル
ダー兼柔軟剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリケイ酸塩が、洗剤用ビルダーとして
有用なことは古くから知られている。例えば、特公昭2
3−3328号公報には、酸性白土または類似粘土を鉱
酸で処理してケイ酸以外の成分を溶出除去することで活
性ケイ酸を取得し、これにアルカリを作用せしめてポリ
ケイ酸アルカリを生成させこれを脂肪酸石鹸や樹脂石鹸
を配合することを特徴とする石鹸製造法が記載されてい
る。
【0003】また、特公平1−41116号公報には、
組成式(3) NaM・SiX2X+1・yH2O ・・・・(3) Mはナトリウムまたは水素を意味し、Xは1.9〜4の
数であり、そしてyは0〜20の数である、を有する結
晶性層状ケイ酸ナトリウムを含有するカルシウム及び/
またはマグネシウムイオンを含有する水を軟化するため
の水軟化剤が記載されている。
【0004】特開平8−268708号公報には、組成
式(4) xM2・(1−x)Na2O・ySiO2・zH2O ・・・・(4) Mはナトリウム以外のアルカリ金属、xは0.01〜1
の数、yは3〜5の数、zは1〜20の数である、を有
する結晶性含水アルカリ金属ケイ酸塩から成る無機陽イ
オン交換体が記載されている。
【0005】結晶性層状ケイ酸ナトリウムの水素イオン
交換体も公知であり、例えばクレイズ・アンド・クレイ
ミネラルズ第39巻5号490乃至497頁(1991
年)には、Na2 O−SiO2 −H2 Oから28日かけ
て水熱合成したナトリウム・オクトシリケートを、塩酸
でイオン交換して得られるハイドロジェン・オクトシリ
ケートについて、X線回折像と熱的挙動を測定した結果
が報告されている。
【0006】ジャーナル・オブ・コロイド・サイエンス
第19巻648乃至657頁(1964年)には、コロ
イダルシリカとNa2 O或いはNaOHとを含む混合物
(SiO2 /Na2 Oのモル比=4.6)を100℃で
1乃至3週間加熱して製造したSiO2 /Na2 Oのモ
ル比=8のナトリウム・ポリシリケートを酸処理し、ナ
トリウム分を全て除去することにより製造した結晶性ケ
イ酸は、中程度の強酸性交換基を有するカチオン交換体
であることが記載されており、このケイ酸を水洗し、3
0℃で乾燥したものは、pHが10になる迄は塩基を吸
収せず、10.8SiO2 :1.0Na2 Oに相当する
組成になるまではpHが一定であると報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらのケイ酸ナトリ
ウムの内、SiO2 /Na2 Oのモル比の少ないもの
は、理論上最も高いカルシウムイオン交換能を有してい
るが、実際には水溶性であるため理論的なカルシウムイ
オン交換能が達成されず、また、洗濯水中に添加したと
きのpHが極めて高く、界面活性剤を分解したり、繊維
を痛める傾向があり、更に本邦のような多湿の環境で
は、これが潮解して、洗剤の凝結やそれによる流動性低
下を招く点で、未だ十分満足しうるものではなかった。
【0008】一方、最後に引用した文献は、前記ポリケ
イ酸が、中程度の強酸型カチオン交換体であることを報
告している点で注目に値するものであるが、ポリケイ酸
のカルシウム等の多価金属イオンに対する交換能につい
ては述べられていず、また、pH10に達するまでは、
塩基の吸収が起きない点で、性能上も未だ満足するもの
ではない。
【0009】本発明者らは、結晶子サイズが微細でしか
も高いカチオン交換性と吸油量とを有する微細な定形粒
子構造の新規ポリケイ酸の合成に成功し、このポリケイ
酸は水性媒体への遅溶解性と高いカルシウム交換能との
組み合わせを有し、洗剤用ビルダー兼柔軟剤として有用
であることを見出した。
【0010】本発明の目的は、結晶子サイズが微細でし
かも高いカチオン交換性、特に低pH領域での高いカチ
オン交換性と高い吸油量とを有する微細な定形粒子構造
の新規ポリケイ酸を提供するにある。本発明の他の目的
は、上記新規ポリケイ酸を容易に且つ経済的に合成しう
る方法を提供するにある。本発明の更に他の目的は、単
位重量当たりのカルシウム交換能が顕著に高められてい
ると共に、優れた柔軟仕上げ効果をも有する洗剤ビルダ
ー乃至洗剤ビルダー兼柔軟剤を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(1) Y2 O・nSiO2 ・mH2 O ・・・・(1) 式中、Yはカチオン交換性の水素原子を表し、nは、7
乃至9の数であり、mは、1.2以上の数である、で表
される化学組成を有し、水湿潤ケーキについて測定した
面指数(001)面の結晶子サイズが7.4乃至80オ
ングストロームの範囲にあり、且つ吸油量(JIS−K
−5101−21)が100ml/100g以上である
ことを特徴とする結晶性層状ケイ酸が提供される。この
結晶性層状ケイ酸は、80℃以下の温度でm=1.2以
上となるように乾燥した状態で下記表1 (表1) 面間隔(オングストローム) 相対強度(I/I0 ) 7.38 100 5.92 10 4.62 58 3.69 79 3.58 44 3.31 33 2.89 13 のX線回折像と実質上同一のX線回折像を有することが
好ましい。実質上同一のX線回折像とは、結晶学的な特
性を損なわない範囲で、面間隔及び相対強度が多少変動
していてもよいことを意味する。本発明によればまた、
SiO2 /Na2 Oのモル比が3乃至6の範囲及びH2
O/Na2 Oのモル比が20乃至50の範囲にあるケイ
酸ナトリウム水溶液に、下記式(2) Na2 O・nSiO2 ・kH2 O ・・・・(2) 式中、nは7乃至9の数であり、kは7乃至20の数で
ある、で表される化学組成を有する結晶性ケイ酸ナトリ
ウムを種として添加し、この組成物を水熱処理し、得ら
れるケイ酸ナトリウムの結晶を分離し、次いでこの結晶
を酸処理することを特徴とする結晶性層状ケイ酸の製造
方法が提供される。本発明によれば更に、上記結晶性層
状ケイ酸から成ることを特徴とする洗剤ビルダー乃至洗
剤ビルダー兼柔軟剤が提供される。
【0012】本発明の結晶性ケイ酸において、 1.電子顕微鏡で測定して、面が四角形で且つアスペク
ト比(辺の長さ/厚さ)が10乃至100の範囲にある
鱗片状粒子から成ること、 2.濃度5g/100mlで測定して、7乃至9の水性
懸濁液pHを有すること、 3.理論的カチオン交換容量の75乃至200%のカル
シウムイオン交換容量を示すこと、 が好ましい。
【0013】
【発明の実施形態】
[結晶性層状ケイ酸]本発明の結晶性層状ケイ酸は、前
記式(1)で示されるカチオン交換性の水素原子とシリ
カとの比を有し、80℃以下でm=1.2以上となるよ
う乾燥した状態で前記表1に示すX線回折像を示すと共
に、水湿潤ケーキについて測定した面指数(001)面
の結晶子サイズが7.4乃至80オングストロームの範
囲にあり、且つ吸油量(JIS−K−5101−21)
が100ml/100g以上であることが特徴である。
【0014】図1は、本発明の結晶性層状ケイ酸を80
℃以下でm=1.2以上となるよう乾燥した状態でのX
線回折像である。
【0015】結晶のX線回折では、下記のBraggの
式(5) nλ = 2dhklSinθ ・・・・(5) 式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl
は結晶の(hkl)の面間隔であり、θは回折角であ
る、を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが
知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさと
の間にも、下記のScherrerの式(6) 式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸
法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半価幅(ラ
ジアン)、λ及びθは前記式(5)と同一である、で表
される関係がある。
【0016】図2は、結晶性層状ケイ酸の水湿潤ケーキ
について、面指数(001)のピークを拡大して示した
ものであるが、この半価幅から結晶子サイズを式(6)
に従って算出した(測定条件は、実施例を参照)。ここ
で、λは1.5405、θは11.19°で計算を行っ
たところ、ほぼ70オングストロームとなり、これは層
状ケイ酸の基本層が8乃至10層程度積み重ねられてい
る場合に匹敵することが分かる。
【0017】本発明の結晶性層状ケイ酸は、このように
水湿潤状態での結晶子のサイズが小さいため、カチオン
の交換サイトへのアクセスが容易で、カチオン交換容量
が大きいと共に、交換速度も大きいという特徴を有す
る。また、結晶子サイズが小さいため、水中への分散性
や膨潤性にも優れていると共に吸油量も大きく、水中の
繊維や汚れ成分に付着して、両者を分離し、繊維に柔軟
性を付与するという作用もある。
【0018】本発明の結晶性層状ケイ酸は、一般に10
0ml/100g以上、特に100乃至120ml/1
00gの比較的大きい吸油量を有する。このようにカチ
オン交換体としては、例外的に大きい吸油量を有するた
め、この結晶性層状ケイ酸には、ノニオン系活性剤を担
持させることができ、これは、ノニオン系洗剤に対する
ビルダーとして極めて好都合である。
【0019】本発明の結晶性層状ケイ酸は、定形粒子性
を有し、電子顕微鏡で測定して、面が四角形で且つアス
ペクト比(辺の長さ/厚さ)が10乃至100、特に3
0乃至50の範囲にある鱗片状粒子から成る。辺の長さ
は、2乃至8μm、特に2乃至4μmの範囲にあること
が望ましい。図3は、本発明の結晶性層状ケイ酸の一例
の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である(後述の
実施例を参照)。
【0020】本発明の結晶性層状ケイ酸は、式(1)の
組成に示されるとおり、従来の層状ケイ酸塩のようには
アルカリ金属分を含有していないため、ほぼ中性であ
り、濃度5g/100mlで測定して、7乃至9、特に
7乃至8の水性懸濁液pHを有する。このため、本発明
の結晶性層状ケイ酸は、洗剤ビルダーとして用いた場
合、繊維を痛める傾向がなく、また樹脂配合剤あるいは
塗料配合剤として用いた場合にも樹脂を加水分解する傾
向がない。
【0021】本発明の結晶性層状ケイ酸の理論的カチオ
ン交換容量は、前記式(1)の化学組成で与えられる。
理論的カチオン交換容量(カルシウムイオン交換容量)
を計算すると、有り姿基準で132乃至157となる。
本発明の結晶性層状ケイ酸は、理論的カチオン交換容量
の75乃至200%、特に75乃至140%のカルシウ
ムイオン交換容量を示す。理論的カチオン交換容量より
も大きいイオン交換容量を示すという事実は、疑問を招
くものと思われるが、これはカチオン交換サイト以外の
シラノール基の水素もイオン交換に寄与しているためと
考えられる。また、本発明の結晶性層状ケイ酸は、pH
8以下の条件においても320meq/g以上にも達す
るカチオン交換能を示し、従来公知の結晶性層状ケイ酸
がpH10まではカチオン交換能を示さないのとはまる
きり相違している。ちなみに、結晶性層状ケイ酸ナトリ
ウムであるNa型アイラーアイト(Na-Ilerite Na2
O・8SiO2 ・9H2 O)の理論的カチオン交換容量
(カルシウムイオン交換容量)を計算すると、有り姿基
準で142となる。
【0022】本発明の結晶性層状ケイ酸では、結晶性層
状ケイ酸ナトリウムに比して、著しく軽量化されている
という利点がある。即ち、ナトリウム原子が水素原子に
置換されていることによる軽量化に加えて、水和水(結
晶水)及び層間水の少なくとも一部が脱離されているこ
とによる軽量化がある。このため、本発明の結晶性層状
ケイ酸では、有り姿重量基準のイオン交換容量が結晶性
層状ケイ酸ナトリウムに比べてはるかに大きく、洗剤の
コンパクト化への寄与が大きい。
【0023】本発明の結晶性層状ケイ酸は、前記式
(1)で規定される化学組成を有するべきである。nの
値が7乃至9の範囲にあることが特に好ましい。nの値
が上記範囲を下回ると、水性媒体への溶解性が大きくな
る傾向があるので、実際のイオン交換容量が小さくなる
傾向があり、またnの値が上記範囲を上回ると、理論的
イオン交換容量が小さくなるので何れも好ましくない。
【0024】[結晶性層状ケイ酸の製造方法]本発明の
結晶性層状ケイ酸は、SiO2 /Na2 Oのモル比が3
乃至6、特に3.5乃至4.4の範囲及びH2 O/Na
2 Oのモル比が20乃至50、特に30乃至35の範囲
にあるケイ酸ナトリウム水溶液に、下記式(2) Na2 O・nSiO2 ・kH2 O ‥‥(2) 式中、nは7乃至9の数であり、kは7乃至20の数で
ある、で表される化学組成を有する結晶性ケイ酸ナトリ
ウムを種として添加し、この組成物を水熱処理し、得ら
れるケイ酸ナトリウムの結晶を分離し、次いでこの結晶
を酸処理することにより製造される。
【0025】本発明の製造方法では、特定組成のケイ酸
ナトリウムの水溶液中に、前記式(2)の組成の固体の
ケイ酸ナトリウムを種として添加することが特に重要で
ある。前記式(2)のケイ酸ナトリウムはNa型アイラ
ーアイト(Na-Ilerite)として知られている。
【0026】種の添加なしに、ケイ酸ナトリウム水溶液
から、Na−アイラーアイト型のケイ酸ナトリウムを合
成しようとすると、前述した従来技術に示されるよう
に、28日間にも及ぶ極めて長期間にわたる合成が必要
である。しかも、高粘度のスラリーを扱わねばならな
く、収率も低いという不利益もある。更に、反応生成物
も、粘結したケーキ状であって、内容物を取り出しにく
く、精製操作も容易でないという欠点も認められる。
【0027】これに対して、本発明に従い、固体のケイ
酸ナトリウムを種として使用すると、通常の水ガラス等
を原料として使用することが可能となると共に、この添
加組成物を密閉容器中において撹拌下で加熱させるのみ
で、比較的短時間で反応が進行し、図4に示すX線回折
像のNa−アイラーアイト型ケイ酸ナトリウムが高収率
で得られるのである。また、目的のNa−アイラーアイ
ト型ケイ酸ナトリウムを高純度で回収することができ
る。
【0028】本発明において、種として使用する固体ケ
イ酸ナトリウムは、前記式(2)で規定する化学組成を
有するものであり、これを種として原料のケイ酸ナトリ
ウム溶液に添加することにより、目的のX線回折像と高
いカルシウムイオン交換能とを有するNa−アイラーア
イト型ケイ酸ナトリウムを取得することができる。
【0029】これ以外の固体ケイ酸ナトリウム、例え
ば、マカタイト(Makatite Na2 O・4SiO2 ・5
2 O)等を種として用いた場合は、Na型アイラーア
イトが出来ずに副成物が生成する(詳細は後述する比較
例を参照)。
【0030】ケイ酸ナトリウム水溶液としては、SiO
2 /Na2 O及びH2 O/Na2 Oのモル比が前記範囲
にあるものが使用され、勿論、この原料溶液は、ケイ酸
ナトリウムそのものの他、シリカゲルや固体の非晶質シ
リカ等のシリカ成分や、水酸化ナトリウム、水等を上記
のモル比となるように混合して用いることもできる。
【0031】結晶の種は、ケイ酸ナトリウム水溶液中の
シリカ(SiO2 )を基準にして、0.01乃至10重
量%、特に1乃至5重量%の量で添加するのがよく、上
記範囲を下回ると合成のための時間が長くなり、上記範
囲を上回ると経済性の点で不利となる。
【0032】Na−アイラーアイト型ケイ酸ナトリウム
の合成はオートクレーブ等を用いた水熱合成で行うのが
よく、反応温度は80乃至130℃、特に100乃至1
20℃、反応時間は10乃至200時間、特に20乃至
50時間程度が適当である。反応は、静置条件下に行っ
ても、また攪拌条件下に行ってもよい。
【0033】得られたNa−アイラーアイト型ケイ酸ナ
トリウムの結晶は、母液から分離し、必要により水洗し
て次の酸処理工程に付する。また、残留する母液は、未
反応のケイ酸ナトリウムを含むので、次の水熱合成に循
環する。
【0034】得られたケイ酸ナトリウムの結晶の化学的
組成は、用いた種結晶と同様に、前記式(2)で示され
るものであり、そのX線回折像は図4に示すとおりであ
る(後述の比較例参照)。その粒子構造は、図5の走査
型電子顕微鏡写真に示すとおりである。
【0035】結晶の酸処理は、ケイ酸ナトリウム結晶を
水性分散液の状態で酸と接触させることにより行う。酸
としては、硫酸、塩酸等の鉱酸類が適当であり、これら
の酸は一般に0.05乃至0.5Nの濃度で用いるのが
よい。一方、ケイ酸ナトリウムの結晶は、シリカとして
の系中の濃度が0.6乃至12重量%となるように酸処
理を行うのがよい。酸処理時の温度は20乃至80℃の
範囲が好適である。処理時間は0.5乃至24時間が好
適である。酸処理後の結晶性層状ケイ酸は水洗及び乾燥
を行って製品とする。乾燥は80℃迄の温度で行うのが
よい。また、用途によっては、更に110乃至300℃
の温度で仮焼することもできる。
【0036】結晶性層状ケイ酸は、一般に必要でない
が、用途によっては、粒子の表面を無機酸化物、例えば
酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜
鉛、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、;シラン系、チタニウム系或いはジルコニウム系の
カップリング剤で被覆し或いは表面処理しておくことが
できる。また、この粒子表面を、金属石鹸、樹脂酸石
鹸、各種樹脂乃至ワックス類等によるコーティング等を
所望により施すことができる。
【0037】[用途]本発明の結晶性層状ケイ酸は、カ
チオン交換性を有するので、種々のイオン交換体として
使用することができ、特に洗剤用ビルダーとして有用で
ある。本発明のケイ酸ナトリウムは、洗浄力や可溶化力
の増大、表面活性の相乗的増大、金属イオン封鎖作用、
汚れの再沈着防止作用等に優れている。
【0038】本発明の結晶性層状ケイ酸は、pH8以下
の条件においても160mgCaCO3 /g(320m
eq/100g)以上にも達するカチオン交換能を示
し、従来公知の結晶性層状ケイ酸がpH10まではカチ
オン交換能を示さないのとはまるきり相違している。図
6は、本発明の結晶性層状ケイ酸についてのカチオン交
換能のpH依存性を示しており、かなり低いpH領域か
らカチオン交換能を示すという予想外の効果を示してい
る。
【0039】また、図7は、本発明の結晶性層状ケイ酸
及びNa−アイラーアイト型ケイ酸ナトリウムについて
のイオン交換等温線を示している。この結果は、結晶性
層状ケイ酸の方が、ケイ酸ナトリウムに比してカーブの
立ち上がりが急であり、洗剤ビルダーとしての特性によ
り優れていることを示している。
【0040】既に指摘したとおり、この結晶性層状ケイ
酸は高い吸油量を示すと共に、そのpHも低い範囲にあ
るため、ノニオン系界面活性剤の担体としても適してお
り、ノニオン系界面活性剤を用いる洗剤のビルダーとし
て特に有用である。勿論、この結晶性層状ケイ酸は、ア
ニオン系界面活性剤を用いる通常の洗剤のビルダーとし
ても有用である。これらの用途に対して、この結晶性層
状ケイ酸は、全体当たり15乃至30重量%の量で用い
るのがよい。
【0041】更に、この結晶性層状ケイ酸は、洗剤ビル
ダー兼柔軟仕上げ剤としても有用である。図8は結晶性
層状ケイ酸のタオルへの吸着等温線であり、タオルによ
く吸着されることを示している。本発明の洗剤ビルダー
兼柔軟仕上げ剤では、洗濯時の高いpHでカルシウムイ
オンを捕捉し、すすぎ時の中性付近のpHではカルシウ
ムイオンを放出し、洗濯された布帛類に吸着されて柔軟
性を付与するものと思われる。
【0042】本発明の結晶性層状ケイ酸はまた、洗浄補
助剤として、種々の洗浄用薬剤、例えば、衣料用又は台
所用の粉末或いは液体洗剤、トイレット用洗剤乃至防汚
剤、台所用クレンザー、衣料用柔軟仕上げ剤、金属、自
動車、床、磁器或いはガラス用クリーナー、床用ポリッ
シュ、シャンプー、浴用剤、石ケン、洗顔用乳液乃至ク
リーム、練歯磨等に配合し得る。
【0043】洗浄補助剤の配合量は、用途や剤型等によ
っても相違するが、一般的に言って、1乃至30重量%
の範囲から、前述した作用が得られるように配合量を定
めるのがよい。
【0044】また、本発明の結晶性層状ケイ酸は、pH
がほぼ中性であり、しかも鱗片状の定形粒子であり、更
にカチオン交換性も有するので、種々の樹脂に対する配
合剤、特に充填剤、表面改質剤、ガスバリアー性向上
剤、絶縁性向上剤、金属イオンイミグレーション防止剤
として使用することができる。
【0045】樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、
ポリエチレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、
イオン架橋オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等の熱可塑性ポリエステル;6−ナイロン、6,6
−ナイロン、6,8−ナイロン等のポリアミド:塩化ビ
ニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の塩素含有樹脂類;ポ
リカーボネート;ポリスルホン類;ポリアセタール等の
熱可塑性樹脂や各種塗料樹脂を挙げることができる。勿
論、重合後の樹脂に配合する代りに、重合前の単量体中
に予め配合して、重合後の樹脂中に配合剤が含有される
ようにしてもよい。
【0046】このような用途に対して、本発明の結晶性
層状ケイ酸は、樹脂100重量部当り0.001乃至1
00重量部、特に0.01乃至50重量部の量で用いら
れる。
【0047】更に、本発明の結晶性層状ケイ酸は、塗料
配合剤、例えば体質顔料、レオロジー調節剤、艶消し剤
等として、種々の塗料にも配合することができる。
【0048】塗料の種類としては、油性塗料、ニトロセ
ルロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド
塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹
脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料等の慣
用のそれ自体公知の塗料の他に、ロジン、エステルガ
ム、ペンタレジン、クマロン・インデンレジン、フェノ
ール系レジン、変性フェノール系レジン、マレイン系レ
ジン、アルキド系レジン、アミノ系レジン、ビニル系レ
ジン、石油レジン、エポキシ系レジン、ポリエステル系
レジン、スチレン系レジン、アクリル系レジン、シリコ
ーン系レジン、ゴムベース系レジン、塩素化物系レジ
ン、ウレタン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミ
ド系レジン、フッ素系レジン、天然或いは合成の漆等の
1種或いは2種以上を含有する塗料が挙げられる。
【0049】また、用いる塗料は、その用い方によっ
て、溶剤型塗料、水性塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗
料等の任意のものであってよい。
【0050】この溶液型塗料の有機溶媒としては、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘプタ
ン、n−ヘキサン、アイソマー等の脂肪族炭化水素系溶
媒;シクロヘキサン、等の脂環族炭化水素系溶媒;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;エタノール、プロ
パノール、ブタノール、ダイアセトンアルコール等のア
ルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ
等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエ
ステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶
媒等の1種または2種以上を用いることができる。原料
溶液中の樹脂分濃度は、一般に5乃至70重量%、特に
10乃至60重量%の範囲にあるのが適当である。
【0051】また、水性塗料としては、水溶液型の塗料
の他、自己乳化型或いは界面活性剤乳化型の塗料が使用
される。水性塗料の樹脂としては、水性媒体に水溶化さ
れた或いは自己乳化されたアルキド樹脂、ポリエステル
樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂或いはこれらの2種
以上の組み合わせを挙げることができる。自己乳化型樹
脂では、カルボキシル基をアンモニア或いはアミン類で
中和することにより、或いは含有されるアミンを4級化
することにより自己乳化性が付与される。また、種々の
ラテックス樹脂も使用される。樹脂分濃度は、一般に1
0乃至70重量%、特に20乃至60重量%の範囲にあ
るのが適当である。
【0052】紫外線(UV)硬化型塗料としては、ハイ
ソリッドレジン、例えばUV硬化型のアクリル樹脂、エ
ポキシ樹脂、ビニルウレタン樹脂、アクリルウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂等が単独或いは2種以上の組み合
わせで使用される。
【0053】粉体塗料としてはポリアミド、ポリエステ
ル、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、セルロース誘導
体、ポリエーテル、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂の
他、エポキシ樹脂、エポキシ/ノボラック樹脂、イソシ
アネート或いはエポキシ硬化型ポリエステル樹脂等が挙
げられる。
【0054】本発明によれば、前記結晶性層状ケイ酸
が、下記式(7) 100Bρ PVC = ───────────── ・・・・(7) Bρ+0.01OArPρ 式中、OArは顔料の吸油量(ml/100g)であり、
Pρは顔料の密度(g/ml)であり、Bρは樹脂(ビ
ヒクル)の密度(g/ml)である、で表される顔料体
積濃度(PVC)が40乃至60%と高いため、塗料樹
脂中に高濃度に含有させ得るという利点をもたらすもの
である。
【0055】
【実施例】本発明を次の例で説明する。なお、実施例に
おける、測定方法は下記の方法で行った。
【0056】(1)X線回折 理学電気(株)製ガイガーフレックスRAD−1Bシス
テム用をいて、Cu−Kαにて以下の条件で測定した。 ターゲット Cu フィルター Ni 管電圧 40kV 管電流 20mA 走査速度 4deg/min 時定数 0.5sec スリット DS(SS) 1deg RS 0.15mm
【0057】(2)結晶子サイズ測定時の X線回折条
件 理学電気(株)製ガイガーフレックスRAD−1Bシス
テム用をいて、Cu−Kαにて以下の条件で測定した。 ターゲット Cu フィルター Ni 管電圧 40kV 管電流 20mA 走査速度 0.25deg/min 時定数 0.5sec スリット DS(SS) 1/6deg RS 0.15mm
【0058】(3)CEC(カルシウム)の測定方法 硬水500ml(CaCl2 =5.38mM、NH4OH-NH4Cl
緩衝液(pH=10)=0.6%)に試料0.54gを
加え、マグネチックスターラーで10分間撹拌する。撹
拌後直ちに6号濾紙にて吸引濾過し、濾液を正確に10
ml採取する。適量の脱イオン水とNH4OH-NH4Cl 緩衝液
(pH=10)3mlを加えブラックTを指示薬として
1/100M EDTAで滴定し、次式(8)より計算
した。 Ca結合能(CaCO3mg/g)=(C2-C1)×f×50.045/W ・・・・(8) C2:ブランク(濃度mM) C1:ろ液(濃度mM) W:試料重量(g) f:EDTAの力価
【0059】(4)CEC(マグネシウム)の測定方法 硬水500ml(MgCl2・6H2O=5.38mM、NH4OH-NH4Cl
緩衝液(pH=10)=0.6%)に試料0.54gを加
え、マグネチックスターラーで10分間撹拌する。撹拌
後直ちに6号濾紙にて吸引濾過し、濾液を正確に10m
l採取する。適量の脱イオン水とNH4OH-NH4Cl 緩衝液
(pH=10)3mlを加えブラックTを指示薬として
1/100M EDTAで滴定し、次式(9)より計算
した。 Mg結合能(MgCO3mg/g)=(C2-C1)×f×42.16/W ・・・・(9) C2:ブランク(濃度mM) C1:濾液(濃度mM) W:試料重量(g) f:EDTAの力価
【0060】(5)CEC(pH依存性)の測定方法 硬水500ml(CaCl2=0.538mM、NaCl+NaOH=3.81
mM)に試料0.054gを加え、マグネチックスター
ラーで10分間撹拌する。撹拌後直ちに6号濾紙にて吸
引濾過し、濾液を正確に100ml採取する。適量の脱
イオン水とNH4OH-NH4Cl 緩衝液(pH=10)3mlを
加えブラックTを指示薬として1/100M EDTA
で滴定し、次式(10)より計算した。 Ca結合能(CaCO3mg/g)=(C2-C1)×f×50.045/W ・・・・(10) C2:ブランク(濃度mM) C1:濾液(濃度mM) W:試料重量(g) f:EDTAの力価
【0061】(6)CEC(イオン交換等温線)の測定
方法 硬水500ml(2[Ca]+[Na]=4.89mMとなるようCaC
l2水溶液、NaCl水溶液を変動させる。NH4OH-NH4Cl緩衝
液(pH=10)=0.6%)に試料0.054gを加
え、マグネチックスターラーで10分間撹拌する。撹拌
後直ちに6号濾紙にて吸引濾過し、濾液を正確に100
ml採取する。適量の脱イオン水と NH4OH-NH4Cl緩衝液
(pH=10)3mlを加えブラックTを指示薬として
1/100MEDTAで滴定し、次式(11)より計算
した。 Ca結合能(CaCO3mg/g)=(C2-C1)×f×50.04/W ・・・・(11) C2:ブランク(濃度mM) C1:濾液(濃度mM) W:試料重量(g) f:EDTAの力価
【0062】(7)タオルへの吸着等温線 イオン交換水3Lに木綿タオル33g、試料340〜2
500mgを投入し、2時間撹拌する。撹拌後のサスペ
ンジョンを一定量分取し、6号濾紙にて吸引濾過した。
濾過残分を濾紙ごと860℃で灰化強熱し、濾過残分重
量よりサスペンジョン濃度を求めた。物質収支よりタオ
ルへの吸着量を算出した。
【0063】(8)吸油量 JIS−K−5101−21に準拠して測定した。
【0064】(9)pH JIS−K−5101−26(3.2)に準じて測定し
た5%サスペンジョンのpH値
【0065】(10)SEMによる粒径 走査型電子顕微鏡(日立製S−570)で得られた写真
像から、代表的な粒子を選んで、スケールを用いて粒子
像の長径と短径を測定し、一次粒子径として示した。
【0066】(実施例1)4号粉末ケイ酸ナトリウム
(SiO2 =77.8重量%、Na2 O=20重量%)
315g、粉末シリカ(SiO2 =91.8重量%)
5.8g、水584gを混合し、所定組成のケイ酸ナト
リウム懸濁液(SiO2 /Na2 O=4.1、H2 O/
Na2 O=32.3)を調製した。該ケイ酸ナトリウム
懸濁液中のシリカ(SiO2 )を基準にして、1重量%
の結晶性層状ケイ酸ナトリウム(Na型アイラーアイ
ト)(3.67g)を種として加えた後、1.5リット
ルオートクレーブに移し、撹拌下(60rpm)にて1
20℃で48時間水熱処理を行った。濾過、水洗により
母液と分離した後、風乾し粉末の結晶性層状ケイ酸ナト
リウム(Na型アイラーアイト)を得た。次に、0.0
56N硫酸水溶液1400mlに得られた結晶性ケイ酸
ナトリウム25gを分散させ撹拌下24時間酸処理を行
った。濾過、水洗した後、風乾し結晶性層状ケイ酸(H
型アイラーアイト)を得た。得られた生成物について物
性測定を行った。その結果を表2に示す。また、SEM
写真を、図3に示す。
【0067】(実施例2)4号粉末ケイ酸ナトリウム
(SiO2 =77.5重量%、Na2 O=19重量%)
18g、水34.2gを混合し、所定組成のケイ酸ナト
リウム懸濁液(SiO2 /Na2 O=4.2、H2 O/
Na2 O=35)を調製した。該ケイ酸ナトリウム懸濁
液中のシリカ(SiO2 )を基準にして1重量%(0.
21g)の結晶性層状ケイ酸ナトリウム(Na型アイラ
ーアイト)を種として加えた後、50mlオートクレー
ブに移し、静置下にて120℃で48時間水熱処理を行
った。濾過、水洗により母液と分離した後、風乾し粉末
の結晶性層状ケイ酸ナトリウム(Na型アイラーアイ
ト)を得た。次に、0.1N硫酸水溶液100mlに得
られた結晶性ケイ酸ナトリウム1.5gを分散させ撹拌
下3時間酸処理を行った。濾過、水洗した後、風乾し結
晶性層状ケイ酸(H型アイラーアイト)を得た。得られ
た生成物について物性測定を行い、その結果を表2に示
す。
【0068】(実施例3)合成時の反応温度を100℃
で行った以外は、実施例1と同様にして合成、酸処理を
行った。得られた生成物について物性測定を行い、その
結果を表2に示す。
【0069】(実施例4)合成時の反応温度を130℃
で行った以外は、実施例1と同様にして合成、酸処理を
行った。得られた生成物について物性測定を行い、その
結果を表2に示す。
【0070】(実施例5)合成時に種として添加する結
晶性層状珪酸ナトリウムの添加量を、該ケイ酸ナトリウ
ム懸濁液中のシリカ(SiO2 )を基準にして0.5重
量%(1.84g)で行った以外は、実施例1と同様に
して合成、酸処理を行った。得られた生成物について物
性測定を行い、その結果を表2に示す。
【0071】(実施例6)合成時に種として添加する結
晶性層状珪酸ナトリウムの添加量を、該ケイ酸ナトリウ
ム懸濁液中のシリカ(SiO2 )を基準にして5重量%
(18.35g)で行った以外は、実施例1と同様にし
て合成、酸処理を行った。得られた生成物について物性
測定を行い、その結果を表2に示す。
【0072】(比較例1)4号粉末ケイ酸ナトリウム
(SiO2 =77.5重量%、Na2 O=19重量%)
18g、水34.2gを混合し、所定組成のケイ酸ナト
リウム懸濁液(SiO2 /Na2 O=4.2、H2 O/
Na2 O=35)を調製した。該懸濁液を50mlオー
トクレーブに移し、撹拌下にて100℃で28日間水熱
処理を行った。濾過、水洗により母液と分離した後、風
乾し粉末の結晶性層状ケイ酸ナトリウム(Na型アイラ
ーアイト)を得た。得られたNa型アイラーアイトのS
EM写真を図5に示す。次に、0.1N硫酸水溶液10
0mlに得られた結晶性ケイ酸ナトリウム1.5gを分
散させ撹拌下3時間酸処理を行った。濾過、水洗した
後、風乾し結晶性層状ケイ酸(H型アイラーアイト)を
得た。得られた生成物について物性測定を行い、その結
果を表2に示す。
【0073】(比較例2)合成時の反応温度を50℃で
行った以外は、実施例1と同様にして合成を行った。反
応時間250時間まで行ったが、結晶化は起こらなかっ
た。
【0074】(比較例3)合成時に添加する種にマカタ
イト(Makatite Na2 O・4SiO2 ・5H2O)を
用いた。添加量は、該ケイ酸ナトリウム懸濁液中のシリ
カ(SiO2 )を基準にして10重量%(8.16g)
で行った。それ以外は実施例1と同様にして合成を行っ
た。得られた生成物についてXRD測定を行ったとこ
ろ、マカタイトが副成した。
【0075】
【表2】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、結晶子サイズが微細で
しかも高いカチオン交換性、特に低pH領域での高いカ
チオン交換性と高い吸油量とを有する微細な定形粒子構
造の新規ポリケイ酸の合成に成功し、このポリケイ酸は
水性媒体への遅溶解性と高いカルシウム交換能との組み
合わせを有し、洗剤用ビルダー兼柔軟剤として有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた結晶性層状ケイ酸のX線回
折像である。
【図2】図1のX線回折像の測定に使用した結晶性層状
ケイ酸について面指数(001)の回折ピークの半価幅
を求めるため、走査速度を遅くして求めた回折ピークで
ある。
【図3】実施例1で得られた結晶性層状ケイ酸の粒子構
造を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率:5000倍)で
ある。
【図4】比較例1の結晶性層状ケイ酸ナトリウムのX線
回折像である。
【図5】比較例1の結晶性層状ケイ酸ナトリウムの粒子
構造を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率:5000倍)
である。
【図6】実施例1で得られた結晶性層状ケイ酸のカチオ
ン交換能のpH依存性である。
【図7】実施例1で得られた結晶性層状ケイ酸および比
較例1の結晶性層状ケイ酸ナトリウムのイオン交換等温
線である。
【図8】実施例1で得られた結晶性層状ケイ酸のタオル
への吸着等温線である。
【図9】図8で得られた吸着等温線をLangmuir
型単分子吸着式に基づきプロットしたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C30B 29/16 C30B 29/16 (72)発明者 皆川 円 東京都中央区日本橋室町4丁目1番21号 水澤化学工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) Y2 O・nSiO2 ・mH2 O ・・・・(1) 式中、Yはカチオン交換性の水素原子を表し、 nは、7乃至9の数であり、 mは、1.2以上の数である、で表される化学組成を有
    し、水湿潤ケーキについて測定した面指数(001)面
    の結晶子サイズが7.4乃至80オングストロームの範
    囲にあり、且つ吸油量(JIS−K−5101−21)
    が100ml/100g以上であることを特徴とする結
    晶性層状ケイ酸。
  2. 【請求項2】 80℃以下の温度でm=1.2以上とな
    るように乾燥した状態で下記表1 【表1】 面間隔(オングストローム) 相対強度(I/I0 ) 7.38 100 5.92 10 4.62 58 3.69 79 3.58 44 3.31 33 2.89 13 のX線回折像と実質上同一のX線回折像を有することを
    特徴とする請求項1記載の結晶性層状ケイ酸。
  3. 【請求項3】 電子顕微鏡で測定して、面が四角形で且
    つアスペクト比(辺の長さ/厚さ)が10乃至100の
    範囲にある鱗片状粒子から成る請求項1または2記載の
    結晶性層状ケイ酸。
  4. 【請求項4】 濃度5g/100mlで測定して、7乃
    至9の水性懸濁液pHを有する請求項1乃至3の何れか
    に記載の結晶性層状ケイ酸。
  5. 【請求項5】 理論的カチオン交換容量の75乃至20
    0%のカルシウムイオン交換容量を示す請求項1乃至4
    の何れかに記載の結晶性層状ケイ酸。
  6. 【請求項6】 SiO2 /Na2 Oのモル比が3乃至6
    の範囲及びH2 O/Na2 Oのモル比が20乃至50の
    範囲にあるケイ酸ナトリウム水溶液に、下記式(2) Na2 O・nSiO2 ・kH2 O ・・・・(2) 式中、nは7乃至9の数であり、kは7乃至20の数で
    ある、で表される化学組成を有する結晶性ケイ酸ナトリ
    ウムを種として添加し、この組成物を水熱処理し、得ら
    れるケイ酸ナトリウムの結晶を分離し、次いでこの結晶
    を酸処理することを特徴とする結晶性層状ケイ酸の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 水熱処理を80乃至130℃の温度で、
    10乃至200時間行う請求項6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 ケイ酸ナトリウム水溶液中のシリカ(S
    iO2 )分を基準にして種を0.01乃至10重量%添
    加する請求項6または7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至5の何れかに記載の結晶性
    層状ケイ酸から成ることを特徴とする洗剤ビルダー。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至5の何れかに記載の結晶
    性層状ケイ酸から成ることを特徴とする洗剤ビルダー兼
    柔軟仕上げ剤。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至5の何れかに記載の結晶
    性層状ケイ酸から成ることを特徴とする樹脂配合剤。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至5の何れかに記載の結晶
    性層状ケイ酸から成ることを特徴とする塗料配合剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005305336A (ja) * 2004-04-22 2005-11-04 Fuji Kagaku Kk シリカ吸着材及びその製造方法
JP2007084383A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Mizusawa Ind Chem Ltd 非晶質板状シリカ
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