JP4372861B2 - マカタイト型ケイ酸ナトリウムの製造方法 - Google Patents
マカタイト型ケイ酸ナトリウムの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの製造方法に関するもので、より詳細には、カルシウムイオン交換能に優れたマカタイト型ケイ酸ナトリウムを高収率でしかも高い生産性をもって製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリケイ酸塩が、洗剤用ビルダーとして有用なことは古くから知られている。
例えば、特公昭23−3328号公報には、酸性白土または類似粘土を鉱酸で処理してケイ酸以外の成分を溶出除去し以て活性ケイ酸を取得し、これにアルカリを作用せしめてポリケイ酸アルカリを生成させこれを脂肪酸石鹸や樹脂石鹸に配合することを特徴とする石鹸製造法が記載されている。
【0003】
また、特開平1−192718号公報には、シート状構造及び SiO2 /Na2 Oモル比1.9:1〜3.5:1を有するX線結晶性ケイ酸ナトリウムを水に溶解し、そしてこの溶液を温度20〜445℃で蒸発させることを特徴とするシート状構造及びSiO2 /Na2 Oモル比1.9:1〜3.5:1を有するX線結晶性ケイ酸ナトリウムの製造方法が記載されている。
【0004】
更に、特開平6−183724号公報には、層構造及び1.9乃至20:1、好ましくは3.5乃至4.5:1の SiO2 /Na2 Oモル比を有するケイ酸ナトリウムの製造方法において、実質的にδ−Na2 Si2 O5 よりなるケイ酸ナトリウムを少なくとも1種の酸と9乃至13のpH範囲において撹拌下に反応せしめることを特徴とする上記結晶性ケイ酸ナトリウムの製造方法が記載されている。
【0005】
公知のケイ酸ナトリウムには、天然或いは合成のものを含めて、ジケイ酸塩(Disilicate Na2 Si2 O5 )、マカタイト(Makatite Na2 Si4 O9 ・5H2 O)、マガデイアイト(Magadiite Na2 Si14O29・xH2 O)、ケニヤアイト(Kenyaite Na2 Si20O・xH2 O)等が知られている。
【0006】
本出願人の提案に係る特開平10−81509号公報には、下記式(1)
Na2 O・nSiO2 ・mH2 O ‥‥(1)
式中、nは3乃至5の数、特に4乃至5であり、mは0乃至10の数、
特に4.0乃至7.0、更に好ましくは5.0乃至7.0である、
で表される化学組成を有し、下記式(2)
RI =I031 /I200 ‥‥(2)
式中、I031 は面指数(031)のX線回折ピークの相対強度であり、
I200 は面指数(200)のX線回折ピークの相対強度である、
で定義されるX線回折強度比が0.2乃至1.20の範囲内にあり、且つ面指数(031)の回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが500オングストローム以下の範囲にあることを特徴とするケイ酸ナトリウムが記載されており、更にNa2O:SiO2のモル比が1.0:2.8乃至1.0:3.8の範囲にあるケイ酸ナトリウム水溶液に、下記式(3)
Na2 O・nSiO2 ・mH2 O ‥‥(3)
式中、nは3以上の数であり、mは0もしくは任意の正数である、
で表される化学組成を有し、且つ結晶子サイズが500オングストローム以下の固体のケイ酸ナトリウムを種として添加し、この組成物を常圧下に濃縮し、得られる固体反応生成物を粉砕し、水洗することを特徴とするケイ酸ナトリウムの製造方法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらのケイ酸ナトリウムの内、ジケイ酸塩は、理論上最も高いカルシウムイオン交換能を有しているが、洗濯水中に添加したときのpHが極めて高く、界面活性剤を分解したり、繊維を痛める傾向があり、更に本邦のような多湿の環境では、これが潮解して、洗剤の凝結やそれによる流動性低下を招く点で、未だ十分満足しうるものではなかった。
【0008】
一方、マカタイトの明確な記載はないが、その分子式からも明らかなとおり、ジケイ酸塩に比して、水分散時のpHがそれほど高くなく、高湿度下での潮解傾向も少ないことが予測されるが、その合成例は殆ど知られていなく、わずかに、シリカとナトリウムとから合成を行うことが報告されているが([L.Muculloch,Jour.Amer.Chem.Soc.,74,2453(1952)])、その合成条件の詳細は不明である。
【0009】
本出願人の提案に係る特開平10−81509号公報記載のケイ酸ナトリウムは、マカタイトの1種の変形と考えられ、優れたカルシウムイオン交換能を有する点で評価には値するが、未だ安定して高いカルシウムイオン交換能を有するものを製造することが難しく、実際の製造に際しても、原料組成物の濃縮や、固形反応生成物の粉砕や水洗が必要であるなど、製造操作が煩瑣で、生産性が低く、しかも収率も未だ低いという問題点を有している。
【0010】
従って、本発明の目的は、カルシウムイオン交換能が高いマカタイト型ケイ酸ナトリウムを、従来よりも高い収率でしかも高い生産性をもって製造しうる方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ケイ酸ナトリウムの水性溶液乃至分散液に、ケイ酸ナトリウム中のSiO 2 分100重量部当たり、マカタイトの種結晶を1.0乃至50重量部、及び晶出促進剤としての炭酸ナトリウム(無水換算)を40乃至200重量部添加し、この混合組成物を加熱することを特徴とするマカタイト型ケイ酸ナトリウムの製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
1.炭酸ナトリウムが無水塩であること、
2.混合組成物を60乃至150℃、特に80乃至120℃の温度に維持して晶出を行わせること、
が好ましい。
【0012】
【発明の実施形態】
[作用]
ケイ酸ナトリウムの水性溶液乃至分散液に、マカタイトの種結晶及び晶出促進剤としての炭酸ナトリウムを添加し、この混合組成物を加熱することにより、高いカルシウムイオン交換能を有するマカタイト型ケイ酸ナトリウムを高収率でしかも高い生産性をもって製造することができる。
【0013】
本発明の製法においては、ケイ酸ナトリウムの水性溶液乃至分散液を原料として用いるが、この原料中にマカタイトの種結晶を添加することが必須不可欠であり、この種結晶を添加しない場合には、マカタイト型ケイ酸ナトリウムを晶出させることが困難である。
【0014】
本発明では、この種結晶を含むケイ酸ナトリウム溶液等に、晶出促進剤としての炭酸ナトリウムを添加することが重要な特徴であり、これにより、マカタイト型ケイ酸ナトリウムを高収率でしかも高い生産性をもって製造することができる。しかも、この方法で得られたマカタイト型ケイ酸ナトリウムは高いカルシウムイオン交換能を有すると共に、このイオン交換能の経時的安定性にも優れている。
【0015】
後述する例を参照されたい。即ち、晶出促進剤としての炭酸ナトリウムを添加しない以外は本発明と同様にマカタイト型ケイ酸ナトリウムの合成を行った場合(比較例1参照)、原料のケイ酸ソーダ中のシリカ(SiO2)分がすべて反応してマカタイトに合成される量を100%(理論量)として得られたマカタイト型ケイ酸ナトリウムの収率は高々10%のオーダーである。これに対して、種結晶を含むケイ酸ナトリウムの溶液等に、晶出促進剤としての炭酸ナトリウムを添加して、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの合成を行うと、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの収率が67.2%以上に向上する。
【0016】
本発明のマカタイト型ケイ酸ナトリウムの合成法において、用いる晶出促進剤は、種々の水溶性塩類のうちでも炭酸ナトリウムであることが重要である。即ち、後述する例に示すとおり、炭酸ナトリウムを晶出促進剤として添加した珪酸ナトリウムからマカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出させる能力及び速度が無機塩類の中でも特に大であり、しかも生成する晶出混合物は、がちがちの固まりでも或いは過度に粘稠なものでもなく、特に反応容器からの取り出しや水への分散などの取り扱いの容易なものであると共に、生成物であるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは高いカルシウムイオン交換能を示すと共に、このカルシウムイオン交換能の経時的低下も少なく、更に例えば洗剤組成物などへの分散性が良好であるなどの利点を有している。
【0017】
本発明者らの研究によると、ケイ酸ナトリウム溶液からのマカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出に際しては、反応系からの系外への水分の除去が必須要件であったが、この反応系からの水分の除去は、反応系を取り扱いの難しい著しい増粘状態とすると共に、この増粘状態がマカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出をも困難にするという問題があった。これに対して、ケイ酸ナトリウム溶液中に炭酸ナトリウムを添加すると、反応系外に水分を追い出す必要性なしに、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出が可能となるのであって、これは、この炭酸ナトリウム晶出促進剤は、原料であるケイ酸ナトリウムの水性溶液或いは分散液中に容易に溶解乃至混和すると共に、それ自体水分を保持するか或いはその周囲に水和層を保持することにより、ケイ酸ナトリウムの水分を奪うことにより、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出を促進しているためと認められる。
【0018】
[製法]
1.原料ケイ酸ナトリウム
本発明では、原料として、ケイ酸ナトリウムの水性溶液乃至分散液を使用する。この原料溶液は、いわゆる水ガラスのようなケイ酸ナトリウムの透明な溶液であってもよいし、また固体のケイ酸ナトリウムであってもよいし、更にこれらの組み合わせであってもよい。
用いる原料ケイ酸ナトリウムは、Na2O:SiO2のモル比が1.0:2.5乃至1.0:3.5、特に1.0:2.8乃至1.0:3.2の範囲にあるものが好適である。Na2 Oの量比が上記範囲よりも多いと、必要な炭酸ナトリウム晶出促進剤の量が多くなって不利であり、一方、SiO2 の量比が上記範囲よりも多くなると、反応性が低下したり、生成するマカタイト型ケイ酸ナトリウムのカルシウムイオン交換能が低下するので不利である。
【0019】
原料ケイ酸ナトリウム水性溶液乃至分散液中の水分量にも一定の好適範囲があり、水分量はモル比(H 2 O/SiO 2 )で4乃至40、特に5乃至30の範囲にあるのが好ましい。即ち、水分量が上記範囲よりも多いと有機晶出促進剤の量が多く必要となる傾向があり、水分量が上記範囲よりも少ないと、生成するマカタイト型ケイ酸ナトリウムのカルシウムイオン交換能が低下する傾向があると共に、反応混合物の粘度が高くなりすぎて、生産性が低下する傾向がある。
【0020】
2.種結晶
本発明では、上記ケイ酸ナトリウムにマカタイト型ケイ酸ナトリウムの種結晶を添加する。この種結晶は、下記式(3)
Na2 O・nSiO2 ・mH2 O ‥‥(3)
式中、nは3以上の数であり、mは0もしくは任意の正数である、
で表される化学組成とマカタイト型結晶構造を有し、結晶子サイズ(後述する測定法による)が600オングストローム以下の固体のケイ酸ナトリウムが特に適している。
【0021】
ケイ酸ナトリウム中のSiO2 100重量部当たり、マカタイトの種結晶を1乃至50重量部、特に5乃至30重量部の量で添加することが好ましく、上記範囲よりも少ないときには、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの収率が不十分であり、一方上記範囲よりも多い量で用いても格別の利益はなく、経済的には不利となる。
【0022】
3.炭酸ナトリウム晶出促進剤
本発明では、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出を効率よく且つ迅速に行うために、炭酸ナトリウムを原料ケイ酸ナトリウムの水溶液乃至分散液に添加する。
炭酸ナトリウムには、十水塩、七水塩、一水塩、及び無水塩があるが、反応系に余分の水分を持ち込まないという点では無水塩の使用が好ましいが、勿論、本発明はこの場合に限定されない。
炭酸ナトリウムは、反応系に粉末の形で添加することもできるし、また水溶液或いは水分散液の形で添加することもできる。
【0023】
本発明において、炭酸ナトリウム系晶出促進剤は、ケイ酸ナトリウム中のSiO2 100重量部当たり5乃至300重量部、特に10乃至200重量部の量で添加することが好ましい。
炭酸ナトリウム系晶出促進剤の量が上記範囲を下回るときには、上記範囲にある場合に比してマカタイト型ケイ酸ナトリウムを晶出させるに十分な効果がなく、また反応混合物の粘度が上がりすぎて、その取り扱いの際の作業性が低下するなどの不都合があり、一方上記範囲を上回ると、晶出促進の点では格別の効果がなく、経済的にはかえって不利となる。
【0024】
一般に必要でないが、所望によっては、炭酸ナトリウムを他の無機系或いは有機系の晶出促進助剤と組み合わせて用いることもできる。
無機系晶出促進助剤としては、水溶性アルカリ金属塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムナトリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム等が挙げられ、さらにクエン酸、酒石酸、酢酸、硫酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、チオシアン酸、硝酸、塩素酸などのアルカリ塩が好適であるが、水溶性のものであれば、この例に限定されない。これらの内でもナトリウム塩が好適である。
【0025】
一方、有機系の晶出促進助剤としては、水混和性有機溶媒、特に沸点が60℃以上の有機溶媒が使用され、好適なものとして、多価アルコール乃至そのエーテル誘導体が例示される。また、有機晶出剤として、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤も好適に使用され、更にノニオン性水溶性高分子やアニオン性水溶性高分子も使用される。勿論、これらは単独でも或いは2以上の組み合わせでも用いることができる。
【0026】
水混和性有機溶媒としては、水と混和可能なそれ自体公知の有機溶媒が使用され、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ダイグライム等の多価アルコールエーテル誘導体;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒:アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルフォキシド等が挙げられる。
【0027】
これらの水混和性有機溶媒のうちでも、沸点が60℃以上の有機溶媒、特に沸点が90℃以上の有機溶媒が、ケイ酸ナトリウムと混合及びマカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出を安定に行う上で望ましい。特に好適な有機溶媒は、多価アルコール或いはそのエーテル誘導体である。
【0028】
ノニオン系界面活性剤としては、それ自体公知のノニオン界面活性剤が何れも使用され、一般に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等が使用される。例えば、これらのノニオン界面活性剤では一般に、ポリオキシエチレン単位の含有量が増加すると、水和層が増大するので、エチレンオキサイドの付加モル数を調節することにより、所望の晶出促進作用を得ることができる。
【0029】
また、アニオン系界面活性剤としては、たとえば第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフエノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩等アニオン界面活性剤であれば如何なるものでもよい。これらの界面活性剤のより具体的な化合物名は、たとえば、堀口博著「合成界面活性剤」(昭 41 三共出版)に開示してある。
【0030】
更に、ノニオン系またはアニオン系の水溶性高分子としても、それ自体公知の任意のものを用いることができる。アニオン系高分子としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、又はポリアクリル酸ナトリウムと、ポリアクリルアミドとの共重合体、ポリメタクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、アクリルアミドーアクリル酸共重合体、無水マレイン酸ービニルエーテル共重合体、キトサン、スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体等が使用される。
一方、ノニオン系高分子としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉、シアノ化澱粉、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ビーガム、ゼラチン、ポリエチレングリコール等があげられる。
これらの水溶性高分子は、単独でもあるいは2種以上の組合せでも使用することができるが、一般には、他の有機晶出促進剤との組み合わせで用いることが望ましい。
【0031】
本発明において、炭酸ナトリウム晶出促進剤と共に、無機系或いは有機系の晶出促進助剤を併用することができる。
【0032】
[マカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出]
本発明では、ケイ酸ナトリウム、種結晶及び炭酸ナトリウム晶出促進剤を含有する混合組成物を60乃至150℃、特に80乃至120℃の温度に維持して晶出を行わせる。一般に常圧下に晶出を行わせることが好ましい。晶出のための時間は、ケイ酸アルカリの組成、炭酸ナトリウム晶出促進剤或いは更に晶出促進助剤の配合量、種結晶の配合量、並びに温度によっても相違するが、一般的にいって、5乃至72時間、特に10乃至40時間程度である。
【0033】
この混合組成物の形成は、一方注加法でも同時注加法でもよく、例えばケイ酸アルカリの水溶液に炭酸ナトリウム晶出促進剤或いはその水溶液を注加する方法や、水性媒体中に、ケイ酸アルカリまたはその水溶液とに炭酸ナトリウム晶出促進剤或いはその水溶液を同時注加する方法を採用しうる。
【0034】
マカタイト型ケイ酸ナトリウムの晶出は、撹拌下に行っても、非撹拌下に行ってもよいが、非撹拌下に行った方が晶出速度が高く、且つ収率も向上する傾向がある。晶出反応は、連続的に行うことも、バッチ式に行うこともできる。前者の場合、例えば、パイプ状(スタティックミキサー等)の反応容器等を用いてピストンフロー等による移動床式の晶出操作が望ましい。また、コンベアベルト等で形成される樋の中に反応混合物を注加して移動下に晶出を行わせてもよい。本発明の混合組成物はかなり高粘度であり、前後の混合物間の相互拡散の影響は殆ど無視しうるものであり、晶出操作が円滑に進行する。
【0035】
本発明の製法によれば、原料のケイ酸ソーダ中のシリカ(SiO2)分がすべて反応してマカタイトに合成される量を100%(理論量)として得られたマカタイト型ケイ酸ナトリウムの収率は30%以上、特に50%以上の収率で合成することができる。また、得られるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは、それ自体高いカルシウムイオン交換能を有すると共に、このカルシウムイオン交換能の経時的な低下も少ないという利点を有している。
【0036】
晶出したマカタイト型ケイ酸ナトリウムを含む反応生成物は、これをそのままのスラリーの状態、或いは乾燥してこれを洗剤用ビルダーの用途に供給することができる。この反応組成物は、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの他に、炭酸ナトリウム晶出促進剤或いは更に晶出促進助剤を当然含有しているが、この炭酸ナトリウム晶出促進剤及び晶出促進助剤は、それ自体洗剤に対する配合成分でもあって、これを洗剤の用途に有効に利用できると共に、これらの成分は、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの経時によるカルシウムイオン交換能の低下を抑制し、しかも洗剤組成物中へのマカタイト型ケイ酸ナトリウム粒子の分散を助長させるような好適な作用をももたらす。
【0037】
勿論、本発明による反応混合物からは、晶出したマカタイト型ケイ酸ナトリウムを湿潤スラリー或いは乾燥粉末の形で単離することも可能であり、例えば、この反応混合物を水に分散させることにより、マカタイト型ケイ酸ナトリウムが水中に容易に分散してその水性スラリーが形成されるので、これを濾過等により固液分離して湿潤ケーキ、或いは更にこれを乾燥して乾燥粉末を、それぞれ得ることができる。
【0038】
[マカタイト型ケイ酸ナトリウム]
本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは、下記式(1)
Na2 O・nSiO2 ・mH2 O ‥‥(1)
式中、nは3乃至5の数、特に4乃至5であり、mは0乃至10の数、特に4.0乃至7.0、更に好ましくは5.0乃至7.0である、
で表される化学組成を有し、且つマカタイト型の結晶構造を有する。
【0039】
図1は本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウム(実施例2)のX線回折像を示す。
公知のマカタイト型のケイ酸ナトリウムは、ASTMカードによれば、次のX線回折像を有している。
【0040】
本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは、マカタイト型である限り、任意のX線回折像を有するものであってよいが、図1と実質上同一のX線回折像を有するものが好適である。
図1のマカタイト型ケイ酸ナトリウムと上記ASTMカード記載のマカタイト型ケイ酸ナトリウムとを対比すると、両者は回折ピーク位置においては、ほぼ一致しているが、両者を3強線で比較すると、
図1のマカタイト型ケイ酸ナトリウム:
のように相違している。
【0041】
また、本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは、下記式(2)
RI =I031 /I200 ‥‥(2)
式中、I031 は面指数(031)のX線回折ピークの相対強度であり、I200 は面指数(200)のX線回折ピークの相対強度である、で定義されるX線回折強度比が0.4乃至1.20の範囲内にあり、且つ面指数(031)の回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが600オングストローム以下の範囲にあるものが好適である。。
【0042】
結晶のX線回折では、下記のBraggの式(4)
nλ = 2dhkl Sinθ ‥‥(4)
式中、nは次数であり、λはX線の波長であり、dhkl は結晶の(hkl)
の面間隔であり、θは回折角である、
を満足するとき、干渉に強度ピークが現れることが知られており、この干渉ピークの鋭さと結晶の大きさとの間にも、下記のScherrerの式(5)
式中、Lhkl は結晶の(hkl)面に垂直な方向の寸法、Kは約0.9の定数、Hは干渉ピークの半価幅(ラジアン)、λ及びθは前記式(1)
と同一である、
で表される関係がある。
【0043】
図2は、図1のX線回折像の測定に使用した各ケイ酸ナトリウムについて、面指数(031)の回折ピークの半価幅を求めるため、走査速度を遅くして求めた回折ピークを示している。この半価幅から、前記式(5)により、結晶子のサイズを算出することができる。
【0044】
X線回折強度比(RI )を上記の範囲とし、且つ面指数(031)の結晶子サイズを前記範囲に抑制することにより、マカタイト型ケイ酸ナトリウムのカルシウムイオン交換能を100mgCaCO3 /g以上、特に150mgCaCO3 /g以上に向上させることができる。
【0045】
図3は、面指数(031)の結晶子サイズとカルシウムイオン交換能との関係をプロットしたものであるが、この結果から、面指数(031)の結晶子サイズを小さくすることが、ケイ酸ナトリウムのカルシウムイオン交換能を増大させる上で極めて有効である。
【0046】
図4は、面指数(031)の回折ピーク位置とカルシウムイオン交換能との関係を示す。この結果によると、この回折ピークの低角側へのシフトにより、やはり、カルシウムイオン交換能が増大しているという事実が明らかとなる。
【0047】
本発明では、以上のように、マカタイト型ケイ酸ナトリウムの面指数(031)の方向への結晶の成長乃至配列を抑制することにより、マカタイト型ケイ酸ナトリウムのカルシウムイオン交換能を顕著に向上させることが可能となるものであるが、このX線回折像の違いにより、粒子構造もかなり特異なものとなっている。
【0048】
即ち、図5は、図1のX線回折像を有するマカタイト型ケイ酸ナトリウムの粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真(3000倍)である。
本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは、板状または針状の結晶であることが多く、一般に板状の場合平均粒径が5乃至30μmの範囲にあり、針状の場合、電子顕微鏡観察下に求めた一次粒子の粒径が一般に短径が0.05乃至1.0μm、長径が1.0乃至15μm、特に短径が0.1乃至0.5μm、長径が2.0乃至10.0μmで且つアスペクト比が1乃至300の範囲にある棒状結晶であり、この棒状結晶が集合して鞠状の二次粒子を形成する場合もある。
【0049】
また、このマカタイト型ケイ酸ナトリウムの粉体特性として、JIS K5101−21による吸油量は、70ml/100g以上、好ましくは70乃至150ml/100gの範囲にある。
【0050】
更に、本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは、5g/100mlの水性サスペンジョンとしたときのpH(25℃)が10.5乃至11.5の範囲にあり、ジケイ酸塩のpH12.9に比べてかなり低い範囲にある。
【0051】
本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウムは溶解特性や保存性の改良の為、その表面に各種改質剤を被覆することが出来る。
例えば、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び、高分子化合物又は水酸基反応性官能基を有する有機ケイ素化合物、具体的にはII a、III a、IV a、V a、VIa、VII a、VIII a、I b、II b、III b又はIV b 族特にシリカ、ケイ素、アルミナ、水酸化アルミニウムなどが好適で、高分子化合物としてはポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ABS樹脂、シリコーン樹脂などがあげられる。
【0052】
有機ケイ素化合物としてはアルキルアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、フルオロジシラザン、2、4、6、8ーテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサンなどや一般に用いられるシランカップリング剤があげられる。
【0053】
本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウム及びその組成物は、カチオン交換性を有するので、種々のイオン交換体として使用することができ、特に洗剤用ビルダーとして有用である。本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウム及びその組成物は、洗浄力や可溶化力の増大、表面活性の相乗的増大、pH緩衝作用、金属イオン封鎖作用、汚れの再沈着防止作用等に優れている。
本発明によるマカタイト型ケイ酸ナトリウム及びその組成物は、洗浄補助剤として、種々の洗浄用薬剤、例えば、衣料用又は台所用の粉末或いは液体洗剤、トイレット用洗剤乃至防汚剤、台所用クレンザー、衣料用柔軟仕上げ剤、金属、自動車、床、磁器或いはガラス用クリーナー、床用ポリッシュ、シャンプー、浴用剤、石ケン、洗顔用乳液乃至クリーム、練歯磨等に配合し得る。
洗浄補助剤の配合量は、用途や剤型等によっても相違するが、一般的に言って、0.01乃至20重量%、特に0.1 乃至5重量%の範囲から、前述した作用が得られるように配合量を定めるのがよい。本発明の洗浄補助剤は、種々のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤との組み合わせで、特に優れた洗浄作用を示す。
【0054】
更に、本発明の性能を損なわない程度に他の添加物も併用して使用することができる。例えば、粒子が再付着するのを防止するために各種無機微粒子やカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース型の付着防止剤、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体型重合体型の抗付着物形成剤が用いられたり、多孔性吸油体として非晶質シリカ、非晶質アルミノケイ酸塩を用いることができる。
【0055】
他のビルダーと併用も可能である。他のビルダーとしては炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硼酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム及びトリポリ燐酸ナトリウムの如き燐酸塩又はトリポリ燐酸塩、ジケイ酸(Na2Si2O5 )、結晶性アルカリ金属ケイ酸塩としては、カネマイト(NaHSi2O5・3H2O )、アイラーアイト(Na2Si8O17)、マガディアイト(Na2Si14029・10H2O )、ケニヤアイト(Na2Si20O41・10H2O )、ニトリロ酢酸、クエン酸、酒石酸、硫酸ナトリウム、三燐酸五ナトリウム、ニトリロ−三スルホン酸ナトリウム、各種ゼオライトが使用される。例えば、ゼオライト又はジケイ酸ナトリウム(SKS−6等:ヘキスト製)との混合割合は、本発明マカタイト型ケイ酸ナトリウム:ゼオライト又はジケイ酸ソーダが99:1乃至1:99、好ましくは99:5乃至50:50の割合で使用される。
【0056】
【実施例】
本発明を次の実施例で説明する。
以下の実施例における、測定は下記の方法で行った。
【0057】
(1)X線回折
理学電気(株)製ガイガーフレックスRAD−1Bシステム用をいて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター Ni
管電圧 40kV
管電流 20mA
カウントフルスケール 10kcps
走査速度 4deg/min
時定数 0.5sec
スリット DS(SS) 1deg RS 0.15mm
【0058】
(2)CECの測定方法
試料0.65gを精秤して500mlのビーカーに投入する。次に硬水(アンモニウムアルカリ性CaCl2水溶液、300mgCaO/l)を500ml加え、マグネチックスターラーで10min撹拌する。撹拌後直ちに6号濾紙にて吸引濾過し、ろ液を正確に10ml採取する。そこで適量の脱イオン水を加えピペットにてNH4OH-NH4Cl緩衝液(pH=10)2〜3mlを加えブラックTを指示薬として1/100M EDTAで滴定し、次式より計算した。
Ca結合能(CaCO3mg/g)={(C2-C1)×f×50000}/{(100−I)×W}
C2:ブランク(濃度M)
C1:ろ液(濃度M)
W:試料重量(g)
I:試料の860℃での強熱減量(%)
f:EDTAの力価
【0059】
(3)吸油量
JIS K-5101-21に準拠して測定した。
【0060】
(4)SEMによる粒径
走査型電子顕微鏡(日立製S-570)で得られた写真像から、代表的な粒子を選んで、スケールを用いて粒子像の長径と短径を測定し、一次粒子径として示した。
【0061】
(5)収率
原料のケイ酸ソーダ中のシリカ(SiO2 )分がすべて反応してマカタイトに合成される量を100%(理論量)として得られたマカタイトの量より収率を計算する。
【0062】
(実施例1)
粉末3号ケイ酸ナトリウム(SiO 2 58.4%,SiO 2 /Na 2 Oモル比=3.19)に、該ケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO 2 )基準に対して165重量部の水と15重量部のマカタイト種結晶を添加し撹拌機にて均一に混合した。これに該ケイ酸ナトリウムに対して47重量部の炭酸ナトリウム(無水)を添加しゲル状物質を得た。これを95℃で20時間反応した。得られたゲル状物質を濾過後水洗、乾燥し、粉末のマカタイト型ケイ酸ナトリウムを得た。この反応仕込み条件及び生成粉末の性状について表1に示した。濾過後の水洗については反応液と同量の水を用いて2回、濾過水洗を行った。
(以下の実施例等も同じ)
【0063】
(実施例2)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.2%,SiO2 /Na2Oモル比=3.09)に、該ケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO2 )基準に対して15重量部のマカタイト種結晶を添加し撹拌機にて均一に混合した。これに該ケイ酸ナトリウムに対して100重量部の炭酸ナトリウムを添加しゲル状物質を得た。これを95℃で20時間反応した。得られたゲル状物質を濾過後水洗、乾燥し、粉末のマカタイト型ケイ酸ナトリウムを得た。この反応仕込み条件及び生成粉末の性状について表1に示した。
【0064】
(実施例3及び実施例4)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.2%,SiO2/Na2Oモル比=3.09)に、該ケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO2)基準に対して5重量部のマカタイト種結晶を添加し撹拌機にて均一に混合した。これに、該ケイ酸ナトリウムに対して100重量部の炭酸ナトリウムを添加しゲル状物質を得た。これを95℃で40時間反応した。得られたゲル状物質を濾過後水洗、乾燥し、粉末のマカタイト型ケイ酸ナトリウムを得た(実施例3)。
また、マカタイト種結晶の添加量を15重量部とし、更に炭酸ナトリウムの添加量を25重量部とし、実施例3と同様にゲル状物質を得、これを95℃で20時間反応した。得られたゲル状物質を濾過後水洗、乾燥し、粉末のマカタイト型ケイ酸ナトリウムを得た(実施例4)。
実施例3及び4において、反応仕込み条件及び生成粉末の性状について表1に示した。
尚、実施例4は、本発明の範囲外の参考例である。
【0065】
(比較例1)
粉末3号ケイ酸ナトリウム(SiO2 58.4%,SiO2 /Na2 Oモル比=3.19)に、該ケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO2 )基準に対して165重量部の水と15重量部マカタイト種結晶を添加し、撹拌機にて十分に混合した。それを常圧下95℃で96時間反応した。得られたゲル状物質を濾過、水洗、乾燥し、粉末のマカタイト型ケイ酸ナトリウムを得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表1に示した。
【0066】
(比較例2)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.2%,SiO2/Na2Oモル比=3.09)に、該ケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO2)基準に対して100重量部の炭酸ナトリウムを加えてゲル状物質を得た。それを常圧下95℃で800時間反応した。得られたゲル状物質は濾過、水洗する過程で全て溶解した。
【0067】
(比較例3)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.2%,SiO2 /Na2 Oモル比=3.09)に、該ケイ酸ナトリウムのシリカ(SiO2 )基準に対して15重量部のマカタイト種結晶を添加し、撹拌機にて十分に混合した。更に3重量部の炭酸ナトリウムを加えスラリー状物質を得た。それを常圧下95℃で20時間反応した。得られた得られたスラリー状物質を濾過、水洗した。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表1に示した。収率を測定したところ先に加えた種結晶しか得られなかった。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ酸ナトリウムの水性溶液乃至分散液に、マカタイトの種結晶及び炭酸ナトリウム晶出促進剤を添加し、この混合組成物を加熱することにより、高いカルシウムイオン交換能を有するマカタイト型ケイ酸ナトリウムを高収率でしかも高い生産性をもって製造することができる。
得られたマカタイト型ケイ酸ナトリウムは高いカルシウムイオン交換能を有すると共に、このイオン交換能の経時的安定性にも優れている。
更に、得られるマカタイト型ケイ酸ナトリウム及びこれを含む生成組成物は、分散性が良好で、洗剤用ビルダー等として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2のマカタイト型ケイ酸ナトリウムのX線回折像である。
【図2】図1のX線回折像の測定に使用したマカタイト型ケイ酸ナトリウムについて、面指数(031)の回折ピークの半価幅を求めるため、走査速度を遅くして求めた回折ピークを示す。
【図3】面指数(031)の結晶子サイズとカルシウムイオン交換能との関係をプロットしたグラフである。
【図4】面指数(031)の回折ピーク位置とカルシウムイオン交換能との関係を示すグラフである。
【図5】図1のX線回折像を有するケイ酸ナトリウムの粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真(3000倍)である。
Claims (3)
- ケイ酸ナトリウムの水性溶液乃至分散液に、ケイ酸ナトリウム中のSiO 2 分100重量部当たり、マカタイトの種結晶を1.0乃至50重量部、及び晶出促進剤としての炭酸ナトリウム(無水換算)を40乃至200重量部添加し、この混合組成物を加熱することを特徴とするマカタイト型ケイ酸ナトリウムの製造方法。
- 炭酸ナトリウムが無水塩である請求項1に記載の製造方法。
- 混合組成物を60乃至150℃の温度に維持して晶出を行わせる請求項1または2に記載の製造方法。
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