JP4435895B2 - 変性ケイ酸塩、その製法及び用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規組成の変性ケイ酸塩、その製法及び用途に関するもので、向上したカチオン交換能と高い吸油量と遅水溶解性とを組み合わせで有し、カチオン交換体、特にビルダーとして有用な変性ケイ酸塩、及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリケイ酸塩が、洗剤用ビルダーとして有用なことは古くから知られている。
例えば、特公昭23−3328号公報には、酸性白土または類似粘土を鉱酸で処理してケイ酸以外の成分を溶出除去して活性ケイ酸を取得し、これにアルカリを作用せしめてポリケイ酸アルカリを生成させこれを脂肪酸石鹸や樹脂石鹸を配合することを特徴とする石鹸製造法が記載されている。
【0003】
また、特開平1−192718号公報には、シート状構造及びSiO2/Na2Oモル比1.9:1〜3.5:1を有するX線結晶性ケイ酸ナトリウムを水に溶解し、そしてこの溶液を温度20〜445℃で蒸発させることを特徴とするシート状構造及びSiO2/Na2Oモル比1.9:1〜3.5:1を有するX線結晶性ケイ酸ナトリウムの製造方法が記載されている。
【0004】
更に、特開平6−183724号公報には、層構造及び1.9乃至20:1、好ましくは3.5乃至4.5:1のSiO2/Na2Oモル比を有するケイ酸ナトリウムの製造方法において、実質的にδ−Na2Si2O5よりなるケイ酸ナトリウムを少なくとも1種の酸と9乃至13のpH範囲において攪拌下に反応せしめることを特徴とする上記結晶性ケイ酸ナトリウムの製造方法が記載されている。
【0005】
公知のケイ酸ナトリウムには、天然或いは合成のものを含めて、ジケイ酸塩(Disilicate Na2Si2O5)、マカタイト(Makatite Na2Si4O9・5H2O)、マガデイアイト(Magadiite Na2Si14O29・xH2O)、ケニヤアイト(Kenyaite Na2Si20O・xH2O)等が知られている。
【0006】
本出願人の提案に係る特開平10−81509号公報には、下記式(3)
Na2O・nSiO2・mH2O ‥‥(3)
式中、nは3乃至5の数、特に4乃至5であり、
mは0乃至10の数、特に4.0乃至7.0、
更に好ましくは5.0乃至7.0である、
で表される化学組成を有し、下記式(4)
RI =I031/I200 ‥‥(4)
式中、I031は面指数(031)のX線回折ピークの相対強度であり、
I200は面指数(200)のX線回折ピークの相対強度である、
で定義されるX線回折強度比が0.2乃至1.20の範囲内にあり、且つ面指数(031)の回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが500オングストローム以下の範囲にあることを特徴とするケイ酸ナトリウムが記載されており、更にこのケイ酸ナトリウムは洗剤ビルダーとして有用であることも記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらのケイ酸ナトリウムの内、ジケイ酸塩は、理論上最も高いカルシウムイオン交換能を有しているが、洗濯水中に添加したときのpHが極めて高く、界面活性剤を分解したり、繊維を痛める傾向があり、更に本邦のような多湿の環境では、これが潮解して、洗剤の凝結やそれによる流動性低下を招く点で、未だ十分満足しうるものではなかった。
【0008】
一方、マカタイトの明確な記載はないが、その分子式からも明らかなとおり、ジケイ酸塩に比して、水分散時のpHがそれほど高くなく、高湿度下での潮解傾向も少ないことが予測されるが、その合成例は殆ど知られていなく、わずかに、シリカとナトリウムとから合成を行うことが報告されているが([L.Muculloch,Jour.Amer.Chem.Soc.,74,2453(1952)])、その合成条件の詳細は不明である。
【0009】
本出願人の提案に係る特開平10−81509号公報記載のケイ酸ナトリウムは、マカタイトの1種の変形と考えられ、優れたカルシウムイオン交換能を有する点で評価には値するが、未だ安定して高いカルシウムイオン交換能を有するものを製造することが難しく、実際の製造に際しても、原料組成物の濃縮や、固形反応生成物の粉砕や水洗が必要であるなど、製造操作が煩瑣で、生産性が低く、しかも収率も未だ低いという問題点を有している。
【0010】
洗剤ビルダーとしての用途には、優れたカルシウムイオン交換能を有することと、実際の洗濯時には粒子の形で存在する(粒子の形で存在しないとイオン交換能が生きてこない)と共に、排水として排出された後には沈殿等を形成することなく、水中に溶解することが要求される。更に、洗剤の界面活性剤成分としては、生分解性の見地から、近年ノニオン系界面活性剤が主に使用されるに至っているが、この界面活性剤の担持性の点で、洗剤ビルダーとしては吸油量の大きいものが要求されている。
【0011】
しかしながら、従来公知の無機洗剤ビルダーには、これら三つの要求を同時に満足するものは未だ知られていない。例えば、ジケイ酸ナトリウムは、粒子の状態では比較的大きなカルシウムイオン交換能を有するとしても、それ自体潮解性を有すると共に、洗濯水中に溶解する傾向があり、高いカルシウムイオン交換能を生かすに至っていない。
また、ケイ酸塩系ビルダーの殆どのものは、吸油量が小さく、ノニオン系界面活性剤に対する担持性に劣っている。
更に、非晶質アルミノケイ酸塩系ビルダーは、カルシウムイオン交換能と吸油量についてはほぼ満足できるものの、遅水溶解性という特性に欠けており、排水中で沈殿となることが問題である。
【0012】
従って、本発明の目的は、優れたカルシウムイオン交換能、制御された遅水溶解性及び高い吸油量の組み合わせを有し、その結果洗剤ビルダーとして有用な変性ケイ酸塩及びその製法を提供するにある。
本発明の他の目的は、カルシウムイオン交換の立ち上がり速度が大きくしかもイオン交換容量自体も向上している変性ケイ酸塩を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、上記変性ケイ酸塩を、面倒な操作を必要とすることなく、比較的短時間の内に、高生産性をもって製造できる方法を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、110℃乾燥物当たりの酸化物基準で表して、アルカリ金属をM及び周期律表第2族金属をRとして、下記式(1)
nSiO2・mAl2O3・M2O・pRO・qH2O ‥(1)
式中、nは3乃至5の数であり、mは0.006乃至0.1の数であり、
pは0.006乃至0.1の数であり、qは10以下の数である、
の化学的組成を有し、且つ下記式(2)
D=[S4/(S6+S4)]×100 ‥(2)
式中、S6は27Al固体NMRで測定して、化学シフト30ppm乃至−50ppmの範囲のピーク面積を表し、S4は上記NMRにおいて化学シフト30ppm乃至100ppmの範囲のピーク面積を表す、
で定義される同型置換度(D)が75%以上の範囲にあることを特徴とする変性ケイ酸塩が提供される。
【0014】
本発明の変性ケイ酸塩においては、
(1)カルシウムイオン交換能が150mgCaCO3 /g以上、好ましくは200mgCaCO3/g以上の範囲にあること、
(2)アンモニウムアルカリ性で塩化カルシウムを111ppm含む常温の水に対して変性ケイ酸塩100ppm添加した後、30分後の溶解量が添加量の30%以下であり、120分後の溶解量が添加量の40%以上である遅水溶解特性を有すること、
(3)JISK−5101−21で測定して80ml/100g以上の吸油量を有すること、
(4)アルカリ金属がナトリウムであり、且つ周期律表第2族金属がマグネシウムであること、
(5)下記式(4)
RI =I031/I200 ‥‥(4)
式中、I031は面指数(031)のX線回折ピークの相対強度
であり、
I200は面指数(200)のX線回折ピークの相対強度
である、
で定義されるX線回折強度比が0.2乃至1.05の範囲内にあること,
(6)面指数(031)のX線回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが450オングストローム以下の範囲にあること,
が好ましい。
【0015】
本発明によればまた、ケイ酸アルカリ、水溶性周期律表第2族金属塩及びアルミン酸アルカリ金属塩または水溶性アルミニウム塩を、種結晶の存在下、水溶性アルカリ金属塩を含む水及び水混和性有機溶媒からなる反応媒質中で反応させて変性ケイ酸塩を製造するに際して、アルカリ酸化物換算での前記水溶性アルカリ金属塩1モル当り、前記ケイ酸アルカリをSiO 2 換算で3乃至5モル、水溶性周期律表第2族金属塩を酸化物換算で0.006乃至0.1モル及び前記アルミン酸アルカリ金属塩または水溶性アルミニウム塩をAl 2 O 3 換算で0.006乃至0.1モルの量で使用することを特徴とする上記変性ケイ酸塩の製法が提供される。
本発明によれば更に、上記変性ケイ酸塩からなることを特徴とする洗剤用ビルダーが提供される。
本発明によれば更に、(A)上記の変性ケイ酸塩と、(B)実質上不揮発性の水混和性乃至水溶性でノニオン性またはアニオン性の有機物質及び水溶性無機塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の安定化成分とを含有し、成分(A)100重量部当たり成分(B)が5.0乃至300重量部の量で存在することを特徴とするビルダー組成物が提供される。
本発明のビルダー組成物においては、前記有機物質が水混和性有機溶媒、ノニオン性乃至アニオン性界面活性剤、或いはノニオン性乃至アニオン性水溶性高分子であること、及び水溶性無機塩が食塩、炭酸ナトリウムまたは硫酸ナトリウムであることが好ましい。
【0016】
【発明の実施形態】
[変性ケイ酸塩]
本発明の変性ケイ酸塩は、110℃乾燥物当たりの酸化物基準で表して、アルカリ金属をM及び周期律表第2族金属をRとして、M2O 1モル当たり、
【表1】
の化学的組成を有すること、すなわちシリカ成分及びアルカリ金属成分に加えて、変性成分として、アルミニウム分及び周期律表第2族金属成分の組み合わせを特定の量比で含有していること、及び
且つ下記式(2)
D=[S4/(S6+S4)]×100 ‥‥(2)
式中、S6は27Al固体NMRで測定して、化学シフト30ppm乃至−50ppmの範囲のピーク面積を表し、S4 は上記NMRにおいて化学シフト30ppm乃至100ppmの範囲のピーク面積を表す、
で定義される同型置換度(D)が75%以上、特に好適には80%以上の範囲にあることが特徴である。
【0017】
即ち、本発明の変性ケイ酸塩では、ケイ酸塩に対する変性成分として、アルミニウム分及び周期律表第2族金属成分の組み合わせを特定の量比で含有していることにより、優れたカルシウムイオン交換能、制御された遅水溶解性及び高い吸油量の組み合わせが達成され、更に、本発明の変性ケイ酸塩では、カルシウムイオン交換の立ち上がり速度を大きくし、しかもイオン交換容量自体も向上させることができる。かくして、本発明の変性ケイ酸塩は、洗剤ビルダー、特にノニオン系洗剤のビルダーとしての用途に特に適したものとなる。
【0018】
添付図面の図1には、特開平10−81509号公報に記載のケイ酸ナトリウムを合成する際に、マグネシウム分を共存させて変性したもの(比較例3)と、アルミニウム分を共存させて変性したもの(比較例2)とについて、洗浄系(詳細は後述する例参照)でのカルシウム交換能(CaCO3mg/g)と添加後の経過時間との関係がプロットされている。
【0019】
この図1によると、アルミニウム分で変性されたケイ酸ナトリウムでは、初期のカルシウム交換能、即ちカルシウムイオン交換の立ち上がり速度が大きく、一方マグネシウム分で変性されたケイ酸ナトリウムでは、経時にかかわらず、優れたカルシウムイオン交換能が維持され、しかも到達するカルシウムイオン交換容量も高いレベルに維持されることが明らかである。
【0020】
また、図2には、未変性のケイ酸ナトリウム(比較例1)とマグネシウム分及びアルミニウム分で変性されたケイ酸ナトリウム(実施例1)とについて、図1と同様に、洗浄系でのカルシウム交換能(CaCO3mg/g)と添加後の経過時間との関係がプロットされている。
この図2の結果によると、本発明の変性ケイ酸塩では、マグネシウム分での変性による上記作用と、アルミニウム分での変性による上記作用とが総合されて、未変性のケイ酸塩に比して、カルシウムイオン交換の立ち上がり速度が顕著に向上すると共に、到達イオン交換容量自体も顕著に向上していることが明らかである。
【0021】
本発明による変性ケイ酸塩においては、変性に用いたアルミニウム成分がケイ酸骨格中に組み込まれているという予想外の事実が、27Al固体NMR(核磁気共鳴)スペクトル測定の結果により明らかとなった。
【0022】
図3は、本発明の変性ケイ酸塩の27Al固体NMRのスペクトルであり、化学シフト30ppm乃至−50ppmの範囲のピーク面積(S6)が六配位のAl量を示し、化学シフト30ppm乃至100ppmの範囲のピーク面積(S4)が四配位のAl量を示している。
かくして、前記式(2)の右辺の分母は全Al量を表すものであり、一方右辺の分子は四配位のAl量を表すものである。
【0023】
本発明の変性ケイ酸塩では、四配位のAlが多く存在することからシリカ四面体層中に同型置換の形で組み込まれていると考えられる。
【0024】
本発明では、用いたAl成分の内75%以上、特に80%以上の量がケイ酸塩のシリカ骨格中に組み込まれているのであって、これは、本発明の変性ケイ酸塩のカルシウムイオン交換容量が増大していることの理論的根拠を与える。
【0025】
即ち、ケイ酸塩中のシリカ四面体層中で、Si→Alとなる同形置換により、同形置換されていないものに比して、四面体層の負電荷が大きくなり、カチオン交換容量が増大しているわけである。
実際に、本発明の変性ケイ酸塩は、一般に150mgCaCO3/g以上、好適には200mgCaCO3/g以上、特に200乃至350mgCaCO3/gのカルシウムイオン交換能を示す。
【0026】
ケイ酸塩の遅水溶解性は、アンモニウムアルカリ性で塩化カルシウムを111ppm含む常温の水に対して変性ケイ酸塩100ppm添加した後、30分後の溶解量と120分後の溶解量とを測定することにより、評価することができる。上記の水及び濃度を使用する理由は、実際の洗濯に近い条件での溶解性を求めるためである。
【0027】
図4には、特開平10−81509号公報に記載のケイ酸ナトリウムを合成する際に、マグネシウム分を共存させて変性したもの(比較例3)と、アルミニウム分を共存させて変性したもの(比較例2)と、本発明に従い、マグネシウム分及びアルミニウム分の両者を共存させて変性したもの(実施例1)とについて、経時と溶解度との関係をプロットしたものが示されている。
【0028】
この図4によると、マグネシウム分で変性されたケイ酸ナトリウムでは、初期(30分後)の溶解量が既に30%より大であり、一方アルミニウム分で変性されたケイ酸ナトリウムでは、長時間経時(240分後)の溶解量が50%よりも小さいのに対して、本発明に従いマグネシウム分及びアルミニウム分の両者を共存させて変性したもの(実施例1)では、30分後の溶解量が30%以下に抑制できる一方で、120分経過後の溶解量を40%以上、1週間では90%以上に向上させ得るという利点が達成される。
【0029】
即ち、洗剤ビルダーでは、実際の洗濯時には粒子の形で存在する(粒子の形で存在しないとイオン交換能が生きてこない)と共に、排水として排出された後には沈殿等を形成することなく、水中に溶解することが重要であることは既に指摘したとおりであるが、本発明の変性ケイ酸塩はこの要求に応えうるものである。
【0030】
本発明の変性ケイ酸塩は、JISK−5101−21で測定して、80ml/100g以上、特に80乃至200ml/100gの吸油量を有しており、ノニオン型界面活性剤の担持能力に優れている。
【0031】
本発明の変性ケイ酸塩におけるSiO2/Na2O のモル比は、公知のケイ酸塩ではマカタイトに最も近いものである。
図5に本発明の変性ケイ酸塩のX線回折像を示す。また、図6に公知のマカタイト型ケイ酸塩のX線回折像を示す。図から明らかなように(031)面と(200)のX線回折ピークの強度比が逆転していることがわかる。また、面指数(031)のX線回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが450オングストローム以下の範囲にあることがわかる。
【0032】
図7は、本発明の変性ケイ酸塩の走査型電子顕微鏡写真である。この写真から、本発明の変性ケイ酸塩は、一般に一次粒径が0.01乃至3.0μmの板状結晶の形で存在することが了解される。
【0033】
本発明の変性ケイ酸塩には、変性に用いるアルカリ土類金属分及びアルミニウム分に関して、表1に示した一定の範囲にあることが好適である。
アルカリ土類金属分及びアルミニウム分の量が表1の範囲を下回ると、前述した変性の効果が小さくなり、カルシウムイオン交換能が低下したり、所望の遅水溶解特性をが得られなくなる傾向がある。
一方、アルカリ土類金属分の含有量が、表1の範囲を上回ると、1次粒子の凝集の程度が硬くなり、吸油量が小さくなる傾向がある。
また、アルミニウム分の含有量が、表1の範囲を上回ると、変性ケイ酸塩の結晶化に長時間を要するようになり、好ましくない。
本発明では、アルカリ金属がナトリウムであり、且つアルカリ土類金属がマグネシウムであることが好ましい。
【0034】
本発明の変性ケイ酸塩は、熱的に安定化されているという利点をも有している。
図8は未変性のケイ酸ナトリウム(比較例1)及び本発明の変性ケイ酸ナトリウム(実施例1及び3)についての示差熱重量分析の曲線を示している。この結果によると、未変性のケイ酸ナトリウムの脱水による吸熱ピーク(ピーク頂点)は145乃至149℃であるのに対して、本発明の変性ケイ酸ナトリウムの脱水による吸熱ピークは150乃至155℃(ピーク頂点)であり、耐熱性が向上している。
【0035】
[変性ケイ酸塩の製造]
本発明の変性ケイ酸塩は、ケイ酸アルカリ、水溶性マグネシウム塩及びアルミン酸アルカリ金属塩または水溶性アルミニウム塩を、種結晶の存在下、水溶性アルカリ金属塩を含む水及び水混和性有機溶媒からなる反応媒質中で反応させることにより製造される。
【0036】
原料として用いるケイ酸ナトリウムは、水性溶液でもよいし、分散液でもよい。この原料は、いわゆる水ガラスのようなケイ酸ナトリウムの透明な溶液であってもよいし、また固体のケイ酸ナトリウムであってもよいし、更にこれらの組み合わせであってもよい。
用いる原料ケイ酸ナトリウムは、Na2O :SiO2 のモル比が1.0:2.5乃至1.0:4.0、特に1.0:2.8乃至1.0:3.5の範囲にあるものが好適である。
【0037】
また、原料ケイ酸ナトリウム水性溶液乃至分散液中の水分量にも一定の好適範囲があり、水分量はモル比(H2O/SiO2)で4乃至40、特に5乃至30の範囲にあるのが好ましい。
【0038】
変性に用いるマグネシウム分やアルミニウム分は、水溶性であることが必須不可欠であり、水不溶性の化合物を用いたのでは所望の変性効果が得られない。
水溶性マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウムの鉱酸塩が好適に使用されるが、勿論これに限定されない。
水溶性のアルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウムの鉱酸塩も使用可能であるが、アルミン酸ナトリウムを用いるのが最も好ましい。
これらの変性成分の使用量は、前記表1の量比を満足する量であればよく、反応系に仕込んだマグネシウム分及びアルミニウム分の全量が生成物中に含まれることになる。
【0039】
本発明の合成法では、変性ケイ酸塩の結晶化を促進するために、種結晶を使用する。種結晶としては、変性ケイ酸塩の結晶を用いるが、未変性のケイ酸塩、特にマカタイト型ケイ酸ナトリウムを使用することもできる。この種結晶は前記式(1)の化学組成と前記式(2)の同形置換度を有するものが好適である。
【0040】
ケイ酸ナトリウム中のSiO2100重量部当たり、種結晶を1.0乃至50.0重量部、特に5.0乃至30.0重量部の量で添加することが好ましい。
【0041】
また、反応を促進し、変性ケイ酸塩の収率を向上させるために、反応系中に水溶性アルカリ金属塩及び水混和性有機溶媒を存在させるのが有効である。
【0042】
水溶性アルカリ金属塩としては、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム等が挙げられるが、水溶性のものであれば、この例に限定されない。これらの内でもナトリウム塩、特に食塩、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムが好適である。
【0043】
水溶性アルカリ金属塩は、ケイ酸ナトリウム中のSiO2分100重量部当たり、1乃至300重量部、特に5乃至100重量部の量で添加することが好ましい。
【0044】
水混和性有機溶媒としては、特に沸点が60℃以上の有機溶媒が使用され、好適なものとして、多価アルコール乃至そのエーテル誘導体が例示される。
具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ダイグライム等の多価アルコールエーテル誘導体等が挙げられる。
これらのうちでも、沸点が60℃以上の有機溶媒、特に沸点が90℃以上の有機溶媒が、安定化の持続性の点で好適である。特に好適な有機溶媒は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等である。
【0045】
水混和性有機溶媒は、ケイ酸ナトリウム中のSiO2分100重量部当たり、1乃至300重量部、特に5乃至100重量部の量で添加することが好ましい。
【0046】
変性ケイ酸塩の晶出は、ケイ酸ナトリウム、水溶性マグネシウム塩、水溶性アルミニウム化合物、種結晶、水溶性アルカリ金属塩、及び水混和性有機溶媒を含有する混合組成物を80℃以上、特に90乃至130℃の温度に維持して反応させることにより行わせる。この反応に際して、攪拌を行うことが必要であるが、この混合組成物はかなり粘性があるので、通常の攪拌羽根では攪拌が困難であるので、ニーダーや他の混練装置を用いて攪拌を行うことが推奨される。晶出のための時間は、ケイ酸アルカリの組成、その他の原料の種類或いはその添加量、種結晶の配合量、並びに温度によっても相違するが、一般的にいって、3乃至100時間、特に5乃至30時間程度である。
【0047】
晶出した変性ケイ酸塩は、母液から分離し、必要により水洗し、乾燥、粉砕、分級等の処理をして製品とする。
【0048】
[用途]
本発明による変性ケイ酸塩は、カチオン交換性を有するので、特に洗剤用ビルダーとして有用である。本発明による変性ケイ酸塩は、洗浄力の増大、表面活性の相乗的増大、pH緩衝作用、金属イオン封鎖作用、汚れの再沈着防止作用等に優れている。
【0049】
本発明による変性ケイ酸塩は、洗剤ビルダーとして、種々の洗浄用薬剤、例えば、衣料用又は台所用の粉末或いは液体洗剤、トイレット用洗剤乃至防汚剤、台所用クレンザー、衣料用柔軟仕上げ剤、金属、自動車、床、磁器或いはガラス用クリーナー、床用ポリッシュ、シャンプー、浴用剤、石ケン、洗顔用乳液乃至クリーム、練歯磨等に配合し得る。
【0050】
洗剤ビルダーとしての配合量は、用途や剤型等によっても相違するが、一般的に言って、0.01乃至20重量%、特に0.1 乃至5重量%の範囲から、前述した作用が得られるように配合量を定めるのがよい。本発明の洗剤ビルダーは、種々のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤との組み合わせで、特に優れた洗浄作用を示す。
【0051】
本発明の洗剤ビルダーでは、製造時に反応系中に存在させた水溶性アルカリ金属塩或いは水混和性有機溶媒を変性ケイ酸塩中に共存させておくと、変性ケイ酸塩の経時的安定性が向上し、洗剤ビルダーとしての性能の点でも補助的効果があることがわかった。勿論、上記水溶性アルカリ金属塩或いは水混和性有機溶媒は、変性ケイ酸塩の合成後、変性ケイ酸塩に添加し配合することもできる。更に、水溶性でノニオン性またはアニオン性の有機物質を配合することもできる。これらの安定化成分は、変性ケイ酸塩100重量部当たり5.0乃至300重量部の量で存在するのがよい。
【0052】
変性ケイ酸塩に配合するノニオン系界面活性剤としては、それ自体公知のノニオン界面活性剤が何れも使用され、一般に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等が使用される。例えば、これらのノニオン界面活性剤では一般に、ポリオキシエチレン単位の含有量が増加すると、水和層が増大するので、エチレンオキサイドの付加モル数を調節することにより、所望の晶出促進作用を得ることができる。
【0053】
更に、変性ケイ酸塩に配合するアニオン系界面活性剤としては、たとえば第1級高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、第1級高級アルキルスルホン酸塩、第2級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフエノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩等アニオン界面活性剤であれば如何なるものでもよい。これらの界面活性剤のより具体的な化合物名は、たとえば、堀口博著「合成界面活性剤」(昭 41 三共出版)に開示してある。
【0054】
更にまた、変性ケイ酸塩に配合するノニオン系またはアニオン系の水溶性高分子としては、それ自体公知の任意のものを用いることができる。アニオン系高分子としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、又はポリアクリル酸ナトリウムと、ポリアクリルアミドとの共重合体、ポリメタクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、アクリルアミドーアクリル酸共重合体、無水マレイン酸ービニルエーテル共重合体、キトサン、スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体等が使用される。
一方、ノニオン系高分子としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉、シアノ化澱粉、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ビーガム、ゼラチン、ポリエチレングリコール等があげられる。
これらの水溶性高分子は、単独でもあるいは2種以上の組合せでも使用することができるが、一般には、他の有機系安定化成分との組み合わせで用いることが望ましい。
【0055】
更に、本発明の性能を損なわない程度に他の添加物も併用して使用することができる。例えば、粒子が再付着するのを防止するために各種無機微粒子やカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース型の付着防止剤、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体型重合体型の抗付着物形成剤が用いられたり、多孔性吸油体として非晶質シリカ、非晶質アルミノケイ酸塩を用いることができる。
【0056】
また、他のビルダーと併用も可能である。他のビルダーとしては炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硼酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム及びトリポリ燐酸ナトリウムの如き燐酸塩又はトリポリ燐酸塩、ジケイ酸(Na2Si2O5)、結晶性アルカリ金属ケイ酸塩としては、カネマイト(NaHSi2O5・3H2O )、マカタイト(Na2Si4O9・5H2O)、アイラーアイト(Na2Si8O17)、マガディアイト(Na2Si14O29・10H2O)、ケニヤアイト(Na2Si20O41・10H2O)、ニトリロ酢酸、クエン酸、酒石酸、硫酸ナトリウム、三燐酸五ナトリウム、ニトリロ−三スルホン酸ナトリウム、各種ゼオライトが使用される。
例えば、ゼオライト又はジケイ酸ナトリウム(SKS−6等:ヘキスト製)との混合割合は、本発明の変性ケイ酸塩:ゼオライト又はジケイ酸ソーダが99:1乃至1:99、好ましくは95:5乃至50:50の割合で使用される。
【0057】
【実施例】
本発明を次の実施例で説明する。
以下の実施例における、測定は下記の方法で行った。
【0058】
(1)X線回折
理学電気(株)製ガイガーフレックスRAD−1Bシステム用をいて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター Ni
管電圧 40kV
管電流 20mA
カウントフルスケール 10kcps
走査速度 4deg/min
時定数 0.5sec
スリット DS(SS) 1deg RS 0.15mm
【0059】
(2)結晶子サイズ測定時の X線回折条件
理学電気(株)製ガイガーフレックスRAD−1Bシステム用をいて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット Cu
フィルター Ni
管電圧 40kV
管電流 20mA
カウントフルスケール 4kcps
走査速度 0.25deg/min
時定数 0.5sec
スリット DS(SS) 0.5deg RS 0.15mm
【0060】
(3)固体NMRの測定及びS6 :S4 比の算出
各試料の27Al固体NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定はChemagnetics製のCMX-300型NMR装置を用いた。
(測定条件)
装 置 Chemagnetics CMX-300
測定核 27Al
観測周波数 78.233 MHz
観測範囲 25000 Hz
データポイント データポイント4k、サンプリングポイント1k
測定法 1 pda(1Hゲーテッドデカップルによる27Al MAS)
パルス幅 1.33 sec(27Al 30゜パルス)
積算繰り返し pd=2 sec
試料回転数 6.0 kHz
積算回数 2900回
ウインドウ処理 1b=150 Hz(指数関数ウインドウ)
温 度 室温
化学シフト基準 硫酸アルミニウム飽和水溶液(外部基準:0.0ppm)
【0061】
(4)示差熱重量分析測定条件
装置 理学電気(株)製 Thermoflex TG-8110
パン アルミニウムパン
標準物質 αアルミナ
昇温速度 10℃/min
Gas flow 60ml/min (N2)
目標温度 450℃
【0062】
(5)CEC測定方法
試料0.05g(無水物換算、あらかじめ860℃で強熱残分を測定しておく)に相当する量を精秤して500mlのビーカーに投入する。25℃に調整した硬水(アンモニウムアルカリ性CaCl2水溶液、56mgCaO/l)を500ml加え、25℃に調整しながらマグネチックスターラーで10分間攪拌する。攪拌後直ちに6号濾紙にて吸引濾過し、濾液を正確に100ml採取する。それにNH4OH−NH4Cl緩衝液(pH=10)2〜3mlを加えブラックTを指示薬として1/100M EDTA溶液で滴定し、次式より算出した。
Ca結合能(CaCO3mg/g)={(C2−C1)×f×100}
C2:ブランク滴定量(ml))
C1:濾液滴定量(ml)
f:EDTAの力価
【0063】
(6)溶解性測定方法
試料0.1g(無水物換算、あらかじめ860℃で強熱残分を測定しておく)に相当する量を精秤して1000mlのビーカーに投入する。25℃に調整した硬水(アンモニウムアルカリ性CaCl2水溶液、56mgCaO/l)を1000ml加え、25℃に調整しながらマグネチックスターラーで攪拌する。所定時間毎に100mlを採取し、6号濾紙にて吸引濾過する。濾滓を濾紙とともに乾燥後磁製坩堝に入れ860℃で焼成した後重量を精秤し、供試料に対する溶解率を算出した。
【0064】
(7)吸油量測定方法
JIS K−5101−21に準拠して測定した。
【0065】
(8)化学組成分析方法
110℃乾燥物をマイクロウェーブ分解法により分解し、各成分分析を行った。
【0066】
(実施例1)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)2.4重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)3.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0067】
(実施例2)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)8.0重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)9.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム20重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0068】
(実施例3)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)0.8重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)1.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0069】
(実施例4)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)2.4重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)3.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに炭酸ナトリウム50重量部、エチレングリコール30重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で30時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0070】
(実施例5)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、ケイ酸カリウム水溶液(SiO2分19.4%)50重量部、変性ケイ酸塩種晶11重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)2.7重量部、塩化アルミニウム水溶液(Al2O3分8.1%)9.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム55重量部、エチレングリコール33重量部を加えゲル状物質を得た。それを100℃で40時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0071】
(実施例6)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化カルシウム2水塩(試薬1級)3.0重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)3.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0072】
(実施例7)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化亜鉛(試薬1級)2.0重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)3.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末の変性ケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表2に示した。
【0073】
(比較例1)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末のケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表3に示した。
【0074】
(比較例2)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)3.0重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で48時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末のケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表3に示した。
【0075】
(比較例3)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)2.4重量部加え、家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末のケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表3に示した。
【0076】
(比較例4)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)0.4重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)0.3重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム30重量部、エチレングリコール20重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で20時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末のケイ酸塩を得た。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表3に示した。
【0077】
(比較例5)
JIS3号ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2分28.2%、Al2O3分0.021%、MgO分0.007%、CaO分0.006%、SiO2/Na2Oモル比=3.09)のシリカ(SiO2)基準100重量部に対して、変性ケイ酸塩種晶10重量部、塩化マグネシウム6水塩(試薬1級)25重量部、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3分24.1%)30重量部、イオン交換水350重量部を加え家庭用ミキサーにて十分に混合した。さらに、それに塩化ナトリウム100重量部、エチレングリコール100重量部を加えゲル状物質を得た。それを110℃で48時間反応した。得られた生成物を濾過、水洗、乾燥、粉砕し粉末を得たが、X線分析の結果非晶質の粉末であった。この反応の仕込み条件及び得られた粉末の性状について表3に示した。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ酸アルカリ、水溶性周期律表第2族塩及びアルミン酸アルカリ金属塩または水溶性アルミニウム塩を、種結晶の存在下、水溶性アルカリ金属塩を含む水及び水混和性有機溶媒からなる反応媒質中で反応させることにより特定の変性ケイ酸塩が得ることができる。
本発明の変性ケイ酸塩は、特定の化学組成と27Al固体NMRスペクトルの特定の範囲のピーク面積から算出される同型置換度(D)が75%以上のものであり、高いカチオン交換性を有し、特に洗剤用ビルダーとして有用である。また、本発明による変性ケイ酸塩は、洗浄力の増大、表面活性の相乗的増大、pH緩衝作用、金属イオン封鎖作用、汚れの再沈着防止作用等に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例2及び3の洗浄系でのカルシウム交換能(CaCO3 mg/g)と添加後の経過時間との関係をプロットした図を示す。
【図2】実施例1と比較例1の洗浄系でのカルシウム交換能(CaCO3 mg/g)と添加後の経過時間との関係をプロットした図を示す。
【図3】本発明の実施例1の27Al固体NMRのスペクトルで、化学シフト30ppm乃至−50ppmの範囲のピーク面積(S6)が六配位のAl量と、化学シフト30ppm乃至100ppmの範囲のピーク面積(S4)が四配位のAl量を示したスペクトル図を示す。
【図4】実施例1と比較例2及び3の溶解度と経時の関係をプロットした図を示す。
【図5】本発明の実施例1の変性ケイ酸ナトリウムのX線回折像を示す。
【図6】比較例1のマカタイト型ケイ酸ナトリウムのX線回折像を示す
【図7】本発明の実施例1の変性ケイ酸ナトリウムの走査型電子顕微鏡写真(倍率:10000倍)を示す。
【図8】本発明の実施例1及び3と比較例1の示差熱重量分析の曲線を示す。
【図9】面指数(031)のX線回折ピークの半価幅を求めるための回折ピークを示す。
Claims (10)
- 110℃乾燥物当たりの酸化物基準で表して、アルカリ金属をM及び周期律表第2族金属をRとして、下記式(1)
nSiO2・mAl2O3・M2O・pRO・qH2O ‥(1)
式中、nは3乃至5の数であり、
mは0.006乃至0.1の数であり、
pは0.006乃至0.1の数であり、
qは10以下の数である、
の化学的組成を有し、且つ下記式(2)
D=[S4/(S6+S4)]×100 ‥(2)
式中、S6は27Al固体NMRで測定して、化学シフト30ppm乃至−50pp
mの範囲のピーク面積を表し、
S4は上記NMRにおいて化学シフト30ppm乃至100ppmの範囲のピーク面
積を表す、
で定義される同型置換度(D)が75%以上の範囲にあることを特徴とする変性ケイ酸塩。 - カルシウムイオン交換能が150mgCaCO3/g以上の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の変性ケイ酸塩。
- アンモニウムアルカリ性で塩化カルシウムを111ppm含む常温の水に対して変性ケイ酸塩100ppm添加した後、30分後の溶解量が添加量の30%以下であり、120分後の溶解量が添加量の40%以上である遅溶解特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の変性ケイ酸塩。
- JISK−5101−21で測定して80ml/100g以上の吸油量を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の変性ケイ酸塩。
- アルカリ金属がナトリウムであり、且つ周期律表第2族金属がマグネシウムであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の変性ケイ酸塩。
- ケイ酸アルカリ、水溶性周期律表第2族金属塩及びアルミン酸アルカリ金属塩または水溶性アルミニウム塩を、種結晶の存在下、水溶性アルカリ金属塩を含む水及び水混和性有機溶媒からなる反応媒質中で反応させて変性ケイ酸塩を製造するに際して、アルカリ酸化物換算での前記水溶性アルカリ金属塩1モル当り、前記ケイ酸アルカリをSiO 2 換算で3乃至5モル、水溶性周期律表第2族金属塩を酸化物換算で0.006乃至0.1モル及び前記アルミン酸アルカリ金属塩または水溶性アルミニウム塩をAl 2 O 3 換算で0.006乃至0.1モルの量で使用することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の変性ケイ酸塩の製法。
- 請求項1乃至5の何れかに記載の変性ケイ酸塩からなることを特徴とする洗剤用ビルダー。
- (A)請求項1乃至5の何れかに記載の変性ケイ酸塩と、(B)実質上不揮発性の水混和性乃至水溶性でノニオン性またはアニオン性の有機物質及び水溶性無機塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の安定化成分とを含有し、成分(A)100重量部当たり成分(B)が5.0乃至300重量部の量で存在することを特徴とするビルダー組成物。
- 前記有機物質が水混和性有機溶媒、ノニオン性乃至アニオン性界面活性剤、或いはノニオン性乃至アニオン性水溶性高分子であることを特徴とする請求項8に記載のビルダー組成物。
- 水溶性無機塩が食塩、炭酸ナトリウムまたは硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項8または9に記載のビルダー組成物。
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