JPH117849A - 透明導電膜形成剤、導電性基板および該基板の製造方法 - Google Patents

透明導電膜形成剤、導電性基板および該基板の製造方法

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JPH117849A
JPH117849A JP15993897A JP15993897A JPH117849A JP H117849 A JPH117849 A JP H117849A JP 15993897 A JP15993897 A JP 15993897A JP 15993897 A JP15993897 A JP 15993897A JP H117849 A JPH117849 A JP H117849A
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憲二 前田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】パターニングライン頭頂部が基板に対して平行
性の高い導電性基板を形成する方法および該導電性基板
を提供することを目的とする。 【構成】インジウム−スズ−ジケトン複合体からなる透
明導電膜形成剤、インジウム−スズ酸化物を基板上にパ
ターン形成してパターニングライン頭頂部が基板に対し
て平行である導電性基板、およびインジウム−スズ−ジ
ケトン複合体膜を有する基板に紫外線を照射し、非照射
部分の前記複合体を洗浄除去し、次いで焼成することを
特徴とする、インジウム−スズ酸化物を基板上にパター
ン化した状態で形成した導電性基板の製造方法により、
発光輝度、画像鮮明性およびコスト的に優れた導電性基
板を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明導電膜形成
剤、導電性基板および該基板の製造法に関する。なお、
本明細書において「%」とあるのは、「重量%」を意味
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ITO(インジウム・スズ酸化物
(Indium Tin Oxide))などの透明導電膜を有する基板
の形成法としては、真空下あるいはアルゴン等の不活性
ガス雰囲気下で行われるスパッタ法、蒸着法、イオンビ
ーム法、CVD法などの物理的手法が知られ、実用化さ
れている。しかし、これらの物理的手法には、設備費が
高価であるだけでなく、成膜時に複雑なパターニングが
困難である等の問題点がある。
【0003】さらに、酢酸インジウム、オクチル酸イン
ジウム或いはインジウムのアセチルアセトン錯体などの
キレート化合物を溶剤に溶かした塗布型の膜形成剤も近
年幅広く検討されているが、複雑なパターニングは困難
であった。
【0004】また、ITO以外の導電膜をパターニング
する方法としてエッチングやスクリーン印刷がある。し
かし、エッチングやスクリーン印刷によるパターニング
では、図1に示されるように、パターニングラインの頭
頂部が丸みを帯びる。特に、プラズマディスプレイパネ
ル(PDP)の分野では、パターニングラインの頭頂部
が丸みを帯びていると、発光輝度や画像の鮮明性が損な
われるという問題が生じる。
【0005】このように、従来のパターニング方法で
は、発光輝度、画像の鮮明性およびコストの点において
問題を抱えているため、パターニングライン頭頂部が基
板に対して平行性の高い安価なパターニング方法、導電
性基板が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点解決のため、安価な透明導電膜形成剤、該形成剤を用
いてパターニングライン頭頂部が基板に対して平行性の
高い導電性基板を形成する方法および該導電性基板を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、インジウム−ス
ズ−ジケトン複合体からなる安価な透明導電膜形成剤お
よび該形成剤を用いると、パターニングライン頭頂部が
基板に対して平行性の高い導電性基板が得られることを
見出した。該導電性基板は、図2に示されるように、パ
ターニングラインの頭頂部がほぼ基板と平行な平面に近
い形状で形成されるため、発光輝度や画像の鮮明性に優
れている。
【0008】即ち、本発明は以下の透明導電膜形成剤、
導電性基板および導電性基板の製造方法を提供するもの
である。
【0009】項1.インジウム−スズ−ジケトン複合体
からなる透明導電膜形成剤。
【0010】項2.インジウム−スズ酸化物を基板上に
パターン形成してパターニングライン頭頂部が基板に対
して平行である導電性基板。
【0011】項3.項1に記載のインジウム−スズ−ジ
ケトン複合体膜を有する基板に紫外線を照射し、非照射
部分の前記複合体を洗浄除去し、次いで焼成することを
特徴とする、インジウム−スズ酸化物を基板上にパター
ン化した状態で形成した導電性基板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、基板に対して平
行とは、厳密に平行である状態のみならず、ほぼ平行で
ある状態も含む。
【0013】本発明のインジウム−スズ−ジケトン複合
体とは、ジケトンの炭素原子、インジウムおよびスズが
酸素原子を介して結合しているものをいう。
【0014】前記複合体を得る方法としては、ジケトン
の炭素原子、インジウムおよびスズが酸素原子を介して
結合しているものが得られる方法であれば特に制限され
ないが、インジウムアルコキシドなどのインジウム化合
物、スズアルコキシドなどのスズ化合物およびジケトン
化合物を加水分解する方法が挙げられる。
【0015】前記インジウム化合物としては、インジウ
ムアルコキシド、無水酢酸インジウム、無水塩化インジ
ウムなどが例示されるが、炭素数が1〜4で直鎖状また
は分枝状のアルコキシ基を有するインジウムアルコキシ
ドが好ましく使用される。
【0016】特に好ましいインジウム化合物は、インジ
ウムプロポキシドまたはインジウムブトキシドである。
【0017】前記複合体を製造する際には、インジウム
化合物の少なくとも1種を用いることができる。
【0018】前記スズ化合物としては、スズアルコキシ
ド、無水酢酸スズ、無水塩化スズなどが例示されるが、
炭素数が1〜4で直鎖状または分枝状のアルコキシを有
するスズアルコキシドが好ましく使用される特に好まし
いスズ化合物は、スズプロポキシドまたはスズブトキシ
ドである。
【0019】前記複合体を製造する際には、スズ化合物
の少なくとも1種を用いることができる。
【0020】金属アルコキシドが好ましく使用される理
由は、金属アルコキシドを使用すると、金属アルコキシ
ドが蒸留または再結晶化によって容易に高純度化できる
こと、加水分解反応速度が金属元素のまわりの電子状態
やアルキル基の立体構造に依存すること、2種以上の金
属アルコキシド間で複合アルコキシドが生成しうる系が
存在することなどの特徴を利用することによって、反応
を化学量論的に制御したり、微量成分の均一添加が容易
になるためである。
【0021】インジウム化合物とスズ化合物との配合比
率は、膜形成および導電性に支障のない限り制限されな
いが、得られる透明導電膜の表面抵抗が最小となる比率
が好ましい。配合比率は、各種の成分にもよるが、Sn
2/(In23+Sn02)重量比で0.025〜0.
15、特に0.05〜0.12の比率が好ましい。この
範囲内であれば、異なる組成物でも合成条件、膜形成の
際の処理条件が一定である限り透明導電膜の表面抵抗値
は極小値を示す。
【0022】前記ジケトン化合物としては、膜形成およ
び導電性に支障のない限り制限されず、少なくとも1種
のジケトン化合物を使用することができる。
【0023】好ましいジケトン化合物としては下記式
(I) R1−CO−CH2−CO−R2 (I) (式中、R1およびR2は同一または相異なって、炭素数
が1〜7で直鎖状または分枝状のアルキル基、メトキシ
基、エトキシ基およびアリール基を表す)で表される化
合物が挙げられる。
【0024】式(I)で表される化合物としては、ベン
ゾイルアセトン、アセチルアセトン、ジピバロイルメタ
ン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、ベンゾイル
酢酸エチル、ベンゾイル酢酸メチルなどが例示される。
【0025】ジケトン化合物の配合比率は、インジウム
化合物およびスズ化合物の総量1モルに対し0.5〜3
モルが好ましい。さらに好ましい配合比率は、1〜2モ
ルである。配合比率が0.5モル未満の場合には、紫外
線照射による膜の固定化作用が弱くなり、配合比率が3
モルを超える場合には、膜形成剤の有機溶媒への溶解性
が低下し、膜形成剤の基板への付与が困難になる。
【0026】インジウム化合物、スズ化合物およびジケ
トン化合物を加水分解に供する際には、それぞれを溶媒
に溶解した後、それぞれの溶液を混合したものを使用す
ることもできるし、化合物を混合した後、溶媒に溶解し
たものを使用することもできる。
【0027】加水分解は、インジウム、スズおよびジケ
トン化合物の間で重縮合反応を生じることによりインジ
ウム−スズ−ジケトン複合体を形成する。また、加水分
解の反応条件を変更することにより、膜形成剤の粘度調
節による成膜性の向上および膜の緻密化による表面抵抗
の低減を図ることができる加水分解としては、インジウ
ム−スズ−ジケトン複合体が形成される限り特に制限さ
れないが、例えば、インジウム化合物、スズ化合物およ
びジケトン化合物を溶解した溶液に水またはアルコール
で希釈された水を加え加水分解する方法が挙げられる。
【0028】加水分解の反応温度は室温程度から溶剤の
沸点までの範囲で選択できるが、加水分解反応による重
縮合反応を促進させ重合度を上げるためには、15〜5
0℃の低温で加水分解反応を行い、添加する水もエタノ
ールなどのアルコールで希釈し、全属元素1モル当たり
の時間添加量が0.05〜0.5モル/hr程度、好ま
しくは0.1〜0.2モル/hrのゆっくりした速度で
反応を行うのがよい。この添加速度は適宜変更すること
ができるが、0.5モル/hrを越えると、水酸化物の
沈殿が極度に生じ、その後の処埋によっても沈殿が有機
溶剤に溶けなくなる場合がある。
【0029】加水分解反応時の液のpHは2〜6の範
囲、好ましくはpH3〜5の範囲が挙げられる。pH2
未満の場合、重縮合反応が十分進まず膜の緻密化が達成
されなくなる場合がある。またpH6を越えると、加水
分解反応は進むものの生成する液そのものが不安定で液
の状態が変動し、その後の処理が十分に行えなくなる。
pH調製は添加する水のpHを2〜6に調節する簡便な
方法でよく、pH調製剤としては特に制限されないが、
塩酸、硝酸が適当である。
【0030】本発明のインジウム−スズ−ジケトン複合
体を形成する際に、アルコール、有機酸、アミン類など
のキレート化合物のうちの少なくとも1種を加えてもよ
い。該キレート化合物は、加水分解反応を制御する役
割、複合体の有機溶媒への可溶化を促進する役割、膜形
成時の膜形成能を向上させる役割を果たす。
【0031】前記アルコールとしては、炭素数が6〜1
5で直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールまたは炭素
数が6〜15の環状アルコールが例示され、これらのう
ちの少なくとも1種を用いることができる。好ましいア
ルコール類としては、2−エチルヘキシルアルコール、
ラウリルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシ
エタノール、2−エトキシエタノールが例示される。
【0032】前記有機酸としては、炭素数が2〜15で
直鎖状または分枝状の脂肪族カルボン酸または炭素数が
7〜15の環状カルボン酸が例示され、これらのうちの
少なくとも1種を用いることができる。好ましい有機酸
としては、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸
(オクチル酸)、ラウリン酸、ナフテン酸、アビエチン
酸、カプロン酸が例示される。
【0033】前記アミン類としては、窒素原子により金
属に配位するアミノ化合物または窒素原子および酸素原
子により金属に配位するアルカノールアミンが例示さ
れ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができ
る。好ましいアミン類としては、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミンが例示される。
【0034】前記アルコール、有機酸およびアミン類を
加える場合には、インジウム化合物およびスズ化合物の
総量1モルに対し0.5〜2モル加えることが好まし
い。さらに好ましくは、0.5〜1モルの配合比が選択
される。配合比が0.5モル未満の場合には、金属と紫
外線感応性化合物との混合物の有機溶媒への可溶化促進
効果が不十分であり加える意味がない。配合比が2モル
を超える場合には、インジウムおよびスズの含有率が小
さくなり、膜形成剤として実用に適さないという問題を
生じる。
【0035】本発明の導電性基板は、次のようにして製
造される。本発明の透明導電膜形成剤を必要に応じて粘
度調整し基板に付与する。膜形成剤の付与された基板の
パターニングが必要な部分を除いてマスクし、紫外線照
射する。次いで、基板を溶媒で洗浄すると、マスクされ
た部分の膜形成剤が洗い流され、マスクされず紫外線照
射を受けた部分のみが基板に残る。そして、該基板を焼
成するとパターニングされた導電性基板を得ることがで
きる。
【0036】膜形成剤を粘度調整する際に使用する有機
溶剤としては、膜形成剤を溶解するものであれば任意の
ものが使用可能であるが、芳香族炭化水素のベンゼン、
トルエン、キシレン等、石油系溶剤であるリグロイン、
ヘキサン等、テルペン系溶剤のテルピン油、リモネン
等、植物油系のパイン油、ケイ皮油、ローズマリー油
等、グリコール系溶剤であるブチルカルビトール、エチ
ルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール等、その他テ
ルピネオール、メンタノールなどの有機溶剤が例示され
る。なお、これらの有機溶剤は単独でも、2種類以上組
み合わせても使用可能である。
【0037】該有機溶剤は、基板への付与方法を考慮
し、膜形成剤の溶解性、基板との濡れ性などを確認した
上で決定されるのが望ましい。選択に際しては、焼成温
度、組成物の極性、表面張力、液体の沸点に注意して選
択する必要がある。
【0038】希釈された膜形成剤中のインジウムおよび
スズの含有率は、インジウムおよびスズを酸化物に換算
した濃度(ITO濃度)で1〜20%、好ましくは2〜
10%である。含有率が1%未満では基板に付与される
膜の膜圧が薄く実用に適さない。また、含有率が20%
を超える場合には、基板に対する膜の密着性が低下し膜
にクラックが入ることがある。
【0039】また、膜形成剤を粘度調整する際に使用す
る増粘剤としては、エチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースなどのセルロース類、トールロジン、ガム
ロジンなどに代表される各種ロジン類、アクリル樹脂、
酢酸ビニル樹脂などの高分子樹脂類などが挙げられる。
【0040】これらの増粘剤の添加量は塗布液中の含量
の20%以下、好ましくは15%以下とすべきである。
20%を超える場合、成膜時にクラックが入ったり、紫
外線照射の際照射による分解効率が悪くなりパターニン
グ不十分となる。
【0041】膜形成剤を基板に付与する方法としては、
コーティング法としては、スピンコート法、ディップコ
ート法、スプレー法などがあり、一般的な方法が選択可
能である。
【0042】紫外線照射された膜形成剤は、分解し基板
との密着性を有するようになる。従って、次の洗浄工程
で紫外線照射部分のみが基板に残ることになり、パター
ニングが施される。
【0043】使用する紫外線の光源としては、殺菌用紫
外線ランブ、低圧、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプな
どが使用可能であり、光源の紫外線線量に応じて膜形成
剤の分解速度は左右される。紫外線線量の大きいものほ
ど短時間で分解が起こる。
【0044】照射する紫外線の波長は、300nm以
下、好ましくは260nm以下のものが適当である。3
00nmを超えると組成物中の膜形成剤による吸収が弱
く、分解が十分に起こらない。
【0045】紫外線を照射する時間は、パターニングに
影響のない限り特に限定されず、紫外線の波長に影響さ
れるが、基板製造時の作業性を考慮すると好ましくは1
〜30分照射するのがよい。
【0046】紫外線照射後の洗浄に使用される溶媒は、
前記有機溶剤が例示され、アルコール、トルエン、キシ
レン、ベンゼンなどが好ましい。
【0047】紫外線照射、溶剤での洗浄工程を経た基板
は、次に400〜800℃、好ましくは500〜600
℃で10分以上焼成される。400℃未満、あるいは1
0分未満の焼成では、膜形成剤が熱分解し、ITO化が
不十分となり、実用に耐え得るだけの導電性が実現され
ない。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、従来のパターニング法
では実現されなかった、頭頂部が平行なパターニングラ
インを有し、発光輝度、画像鮮明性およびコスト的に優
れた導電性基板を得られる。
【0049】
【実施例】
実施例1 インジウムイソプロポキシド150g(37gの酸化イ
ンジウムを含有する)、スズイソプロポキシド14g
(3gの酸化スズを含有する)にベンゾイルアセトン3
8.9g、トルエン150gを加える。これに水3.8
gをエタノ−ル50gで希釈したものを徐々に滴下して
加水分解反応を起こす。その後、モノエタノールアミン
18.1g、ロジン16.3gを加え加熱還流した後、
減圧下で100℃に加熱し、インジウム、スズを含有す
る膜形成剤を得た。
【0050】得られた膜形成剤をITO濃度(インジウ
ムおよびスズを酸化物に換算した濃度)で10%になる
ようにトルエンで濃度調整しコーティング用の塗布液と
した。この塗布液をガラス基板上にスピンコート法で塗
布した後、紫外線照射(230nm、30分)を行っ
た。紫外線照射後、基板をトルエンで洗浄し、膜が残存
していることを目視で確認した後、このガラス基板を大
気中で585℃、15分焼成して、導電性基板を得た。
得られた導電性基板のシート抵抗値は3×103Ω/□
を示し、パターニングラインの直角部(折れ曲がり部)
は丸みを帯びずきれいな直角であった。
【0051】比較例1 紫外線照射を行わない以外は実施例1と同様の操作を行
った。トルエンでの洗浄により膜が洗い流されたことが
目視で確認された。基板を大気中で585℃で15分焼
成し、得られた基板の抵抗を測定を行ったが、導電性は
確認されなかった。
【0052】実施例2 インジウムイソプロポキシド85g(酸化インジウムに
換算すると20g)、スズイソプロポキシド8g(酸化
スズに換算すると1.6g)にアセチルアセトン16.
5g、トルエン150gを加える。これに水2.1gを
エタノール50gで希釈したものを徐々に滴下して加水
分解反応を起こす。その後、モノエタノ一ルアミン1
0.6g、ロジン9.1gを加え加熱還流した後、減圧
下で100℃に加熟し、インジウム、スズを含有する膜
形成剤を得た。
【0053】得られた膜形成剤をテルピネオールでIT
O濃度が8%になるように濃度調整しコーティング用の
塗布液とした。この塗布液をガラス基板上にスピンコー
ト法で塗布した後、紫外線照射(230nm、30分)
を行った。紫外線照射後、基板をトルエンで洗浄し、膜
が残存していることを目視で確認した後、このガラス基
板を大気中で585℃に15分焼成して、導電性基板を
得た。得られた導電性基板のシート抵抗値は、2×10
3Ω/□を示し、パターニングラインの直角部(折れ曲
がり部)は丸みを帯びずきれいな直角であった。
【0054】比較例2 アセチルアセトンに代えてアセチルアセトンと当モルの
オクチル酸を使用した以外は実施例2と同様の方法で合
成を行い、膜形成剤を得た。得られた膜形成剤をテルピ
ネオールでITO濃度が8%になるように濃度調整しコ
ーティング用の塗布液とした。この塗布液をガラス基板
上にスピンコート法で塗布した後、紫外線照射(230
nm、30分)を行う。紫外線照射後基板をトルエンで
洗浄したところ、洗浄により膜が洗い流されたことが目
視で確認された。基板を大気中で585℃で15分焼成
し、抵抗の測定を行ったが、導電性は確認されなかっ
た。
【0055】実施例3 インジウムイソプロポキシド85g、スズイソプロポキ
シド8gにアセト酢酸エチル21.6g、トルエン15
0gを加える。これに水2.1gをエタノール50gで
希釈したものを徐々に滴下して加水分解反応を起こす。
その後、モノエタノールアミン10.6g、ロジン9.
1gを加え加熱還流した後、減圧下で100℃に加熟
し、膜形成剤を得た。
【0056】得られた膜形成剤をテルピン油でITO濃
度が8%になるように濃度調整しコーティング用の塗布
液とした。この塗布液をガラス基板上にスピンコート法
で塗布した後、紫外線照射(230nm、30分)を行
った。紫外線照射後基板をトルエンで洗浄し、膜が残存
していることを目視で確認した後、このガラス基板を大
気中で585℃で15分焼成して、導電性基板を得た。
得られた導電性基板のシート抵抗値は、4×103Ω/
□を示した。
【0057】実施例4 インジウムブトキシド90gとスズブトキシドに表1に
示す配合比のアセチルアセトンとトルエン150gを加
える。これに水2.1gをエタノール50gで希釈した
ものを滴下して加水分解反応を起こす。更に各種有機物
を表1に示す配合比で加え、加熱還流し、その後減圧下
で100℃に加熱し、膜形成剤を得た。
【0058】
【表1】 アセチルアセトン 各種有機物 組成物1 1 2 (モノエタノールアミン) 組成物2 2 1 (モノエタノールアミン) 組成物3 2 1 (2−エトキシエタノール) (表中の数値は、インジウムおよびスズの総量1モルに
対するモル数を示す。)得られた膜形成剤をトルエンに
溶解し塗布液(ITO濃度8%)を作成した。その時の
トルエンへの溶解性、スピンコートを行った膜の状態お
よび紫外線照射による膜の基板への固定化の評価を表2
に示す(表中の記号はそれぞれ、○:良い、△:やや悪
い、×:悪い、を示す)。
【0059】
【表2】 組成物 1 2 3 トルエンへの溶解性 ○ ○ ○ コート膜の状態 ○ ○ ○ 紫外線照射による膜の基板への固定化 ○ ○ ○ 実施例5 インジウムブトキシド90g、表3に示す比率のスズブ
トキシドにインジウムおよびスズの総モル量と当モル量
のベンゾイルアセトンとトルエン150gを加える。こ
れに加水分解率25%に相当する水により加水分解反応
を起こす。更にインジウムおよびスズの総モル量の2倍
モル量のオクチル酸を加え、加熱還流し、その後減圧下
で100℃に加熱し、膜形成剤を得た。
【0060】得られた膜形成剤にITO濃度が10%に
なるようにメンタノールを加え、塗布液とした。この塗
布液をさらにインジウムおよびスズの酸化物換算の濃度
で3%になるようにトルエンで希釈し、スピンコート法
でガラス基板に塗布した。この膜に紫外線照射(230
nm、30分)を行った後、大気中で585℃、15分
焼成して、ITO膜および酸化インジウム膜(組成物1
0)を有する基板を得た。得られた基板の表面抵抗値を
表3に示す。
【0061】
【表3】 In 2 3/SnO 2比率(重量比) 表面抵抗値 組成物4 97.5/2.5 4×104Ω/□ 組成物5 95/5 9×103Ω/□ 組成物6 92.5/7.5 4×103Ω/□ 組成物7 90/10 6×103Ω/□ 組成物8 87.5/12.5 7×103Ω/□ 組成物9 85/15 2×104Ω/□ 組成物10 100/0 >106Ω/□ 実施例6 前記組成物6の膜形成剤を表4に示すITO濃度になる
ようキシレンで溶解し、コーティング用の塗布液を作成
した。これらの塗布液を用いてスピンコート法によるコ
ーティング、紫外線照射処理(230nm、30分)を
行った後、大気中で585℃、15分焼成して、導電性
基板を得た。これらの膜の表面抵抗値は以下のようにな
った。なお、組成物15の場合、膜が形成されず、基板
に粉末が付着した状態であった。
【0062】
【表4】 ITO濃度(%) 表面抵抗値 組成物11 0.5 >106Ω/□ 組成物12 3 5×103Ω/□ 組成物13 8 3×103Ω/□ 組成物14 15 4×104Ω/□ 組成物15 25 −
【図面の簡単な説明】
【図1】頭頂部が丸みを帯びたパターニングラインを有
する従来の導電性基板を示した模式図である。
【図2】頭頂部が基板に平行なパターニングラインを有
する本発明の導電性基板を示した模式図である。
【符号の説明】
1、1′ 導電性基板 2、2′ パターニングライン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インジウム−スズ−ジケトン複合体からな
    る透明導電膜形成剤。
  2. 【請求項2】インジウム−スズ酸化物を基板上にパター
    ン形成してパターニングライン頭頂部が基板に対して平
    行である導電性基板。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のインジウム−スズ−ジケ
    トン複合体膜を有する基板に紫外線を照射し、非照射部
    分の前記複合体を洗浄除去し、次いで焼成することを特
    徴とする、インジウム−スズ酸化物を基板上にパターン
    化した状態で形成した導電性基板の製造方法。
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