JPH1176068A - 製パン機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 短時間で食パンを焼き上げるとともに、用意
する水の温度を自動的に判定し表示できる製パン機を提
供することを目的とする。 【構成】 練り工程中にオーブン室内を発酵温度に温度
制御し、１次発酵及びガス抜きの工程を省略した短時間
製パンプロセスを設け、該プロセスの開始時のオーブン
室内の温度に基づいて用意する水の温度を算出し表示部
に表示する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パンの原料となる小麦
粉やイースト，水等の材料を容器に入れるだけで自動的
にパンを作る製パン機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から知られているこの種の装置は、
所定の分量の材料をパン容器に入れ、所望の製パンコー
スを選択すると、製パン工程としてパン生地を混練する
練り工程，生地を発酵させる発酵工程，膨張した生地を
つぶすガス抜き工程，生地をパンの形に膨らます成形発
酵工程，膨らんだ生地を焼き上げる焼成工程を自動的に
実行し、パンを作るようになっている。このような装置
では、それぞれ独立した練り工程，発酵工程等のプロセ
スを順番に実行していくので、製パン完了までには最低
でも４時間から２時間程度の時間がかかるために、材料
の準備を含めるとパンを食べるまでにはかなりの時間を
必要としていた。これに対し、本出願人は、先に特願平
９−５４０２４号に示すような短時間でパンを作るコー
スを備えた製パン機を提案している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、短時間でパ
ンを作るためには開始初期の材料温度が重要であり、特
に用意する水の温度によってパンの出来は大きく左右す
る。すなわち、水の温度は雰囲気温度によって変化させ
る必要があった。そこで本発明は、製パン時間を短縮
し、短時間（１時間程度）でパンを作ることが可能な製
パン機を提供するとともに、用意する水の温度をオーブ
ン室内の温度に基づいて自動的に判定し、且つその温度
を表示できるようにした製パン機を提供するものであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は、ヒータ、練り装置、温度センサを備
えたオーブン室と、パン材料を投入し前記オーブン室内
に装着されるパン容器と、練り工程、発酵工程、焼き工
程をそれぞれ１回ずつ実行する短時間製パンプログラム
及びこのプログラムで必要なパン材料の種類、分量を記
憶した記憶手段と、該記憶手段に記憶されたデータを表
示する表示手段と、前記短時間製パンプログラムを選択
する選択手段と、該選択手段によって短時間製パンプロ
グラムを選択した時に前記温度センサで検出されるオー
ブン室内の温度に基づき、パン材料として用いられる水
の温度を算出して前記表示手段に表示する制御手段とを
備えた。

【０００５】また、上記短時間製パンプロセスは、オー
ブン室内を発酵温度に保持し、開始から所定時間の間、
低速回転から段階的に速度を上げていき、所定時間経過
を高速回転にしてパン生地を練り上げる練り工程と、オ
ーブン室内を練り工程と同一の発酵温度に保持しながら
パン生地を発酵する発酵工程と、該発酵工程終了後にそ
のままパン生地を焼き上げる焼き工程とからなる。

【０００６】更に、上記制御手段で算出される水の温度
は、温度センサで検出されるオーブン室内の温度が基準
値以上であれば基準値と同一の温度とし、オーブン室内
の温度が基準値未満であれば、基準値の倍数値からオー
ブン室内の温度を引いた温度とする。

【０００７】

【作用】この発明では、オーブン室内を発酵温度に保持
しながら練り工程を実行することによって、練り羽根の
作用によりある程度まとめられたパン生地が練り工程か
ら発酵を始めることになり、従来のように練り工程の後
に１次発酵して膨らんだパン生地のガスを抜き、再び発
酵させるという工程を省略することができ、製パン時間
を大幅に短縮することができる。そして、このような短
時間コースを選択したときに、注意しなければいけない
水の温度を自動的に判断して表示するので、短時間での
製パンが確実に行えるようになる。

【０００８】また、練り工程が開始してから所定時間の
間は、練り装置を段階的に徐々に加速させていき、粉の
飛び散りを防止しながら、通常の高速練りに近づけてい
くため、練り時間を短縮させることができる。このよう
に、練り工程中にオーブン室内を発酵温度に保持するこ
と、練り工程の初期に段階的に練り速度を加速させてい
くこと、及び使用する水の温度を周囲の温度によって切
り替えることによって、製パン時間の大幅な短縮が実現
されるのである。

【０００９】

【実施例】以下、図面を基に、本発明の実施例について
説明する。図１において、１は製パン機本体で、底部に
基台２を固定し、該基台２には上面にオーブン室３を下
面にはモータ４が配設されている。５は蓋体で、オーブ
ン室３の上面に開閉自在に取り付けられている。６は基
板ケースで、モータ４の上面に取り付けられ回路基板７
を内蔵し上面に操作パネル８を備えている。

【００１０】９は各種パン材料が投入される水平断面長
方形のパンケースで、底部中央に回転軸１０が突出さ
れ、該回転軸１０に練り羽根１１を取り付けて前記オー
ブン室３内に着脱される。１２は温度センサで、オーブ
ン室３の外壁に設けられている。１５はヒータで、オー
ブン室３の内部下方においてパンケース９を囲むように
ほぼ水平に配設されている。

【００１１】図２は本発明の機能ブロック図を示し、１
６は制御部で、メモリ１７を内蔵したマイクロコンピュ
ータ１８と、トランス１９及びブザー２０を備えたパワ
ーボード２１とから構成されている。パワーボード２１
には、モータ４，温度センサ１２，ヒータ１５及びマイ
クロコンピュータ１８が接続され、マイクロコンピュー
タ１８には、操作パネル８が備えられており、これら制
御部１６は、前記基板ケース６内に内装されている。

【００１２】操作パネル８は、ＬＣＤからなる表示部２
２と、製パンメニューを選択するメニューキー２３と、
タイマー時間の設定を行うタイマーキー２４と、動作を
開始させるスタートキー２５と、動作を停止させるスト
ップキー２６とを備えている。メニューキー２３で選択
する製パンメニューは、食パンコース，フランスパンコ
ース，マフィンコース，生地コース等複数備えられる
他、１時間以内でパンを作れる短縮コースを備えてお
り、各メニューに沿った製パンプログラムが前記マイク
ロコンピュータ１８のメモリ１７に書き込まれている。

【００１３】図３は本発明の特徴的構成である短縮コー
スのシーケンスを示すタイムチャートである。以下、こ
の図３を基に短縮コースの各工程の動作を説明する。

【００１４】まず、メニューキー２３で短縮コースが選
択されると、温度センサ１２でオーブン室内の温度Ｔ１
を検出し、この温度Ｔ１と基準となる温度Ｔａを比較し
て、Ｔａ≦Ｔ１の関係であれば、雰囲気が高温であると
判断して基準温度Ｔａと同じ温度の水を用意するように
促す表示を操作パネル８の表示部２２にて行う。また、
Ｔａ＞Ｔ１の関係であれば、雰囲気が低温であると判断
して基準温度Ｔａの倍数値２Ｔａから検出温度Ｔ１を引
いた温度の水を用意するように促す表示を行う。これ
は、雰囲気温度の違いによるパンの出来のばらつきを防
止するためである。

【００１５】ちなみに、本出願人が実験の結果得たデー
タによれば、水の温度を判定する基準温度Ｔａの値を２
５℃に設定しておくと、雰囲気温度に影響されることな
く、一定の品質のパンを得ることができた。これによる
と、検出したオーブン室内の温度Ｔ１が２１℃であった
場合、基準値Ｔａ（２５℃）よりも低いので、用意する
水の温度（２Ｔａ−Ｔ１）は、２５＊２−２１＝２９と
なり、２９℃のぬるま湯を用意すれば良いことになる。

【００１６】パンケース９にパン材料をセットした後、
スタートキー２５を押すとモータ４が駆動して練り羽根
１１が回転し練り工程が開始する。練り羽根は、練り開
始初期の所定時間ｔ１の間に低速から中速まで段階的に
加速していく。これは、練り初期の分離したパン材料を
飛び散らせない目的と、短縮した練り時間の中で少しで
も多くの練り動作を与える目的がある。

【００１７】所定時間ｔ１経過後は、練り羽根１１が高
速で回転し時間ｔ２の間混練の動作が行われる。温度セ
ンサ１２では、オーブン室３内の温度を監視し続け、所
定温度Ｔ２になるようにヒータ制御している。所定温度
Ｔ２は、イースト菌が活動しやすい温度に設定してお
り、練り工程中において積極的にイースト菌の発酵を助
成する環境を作っている。すなわち、練り工程中にオー
ブン室３内を発酵温度にして生地を発酵させる１次発酵
の作業と、発酵によって発生したガスを生地中に分散さ
せるガス抜きの作業とが並行して実行されることにな
る。よって以下の作業工数が簡素化し、時間的に大きく
短縮することが可能になるのである。

【００１８】このような練り工程が終了すると、モータ
４が停止して練り動作が中止するが、一方温度センサ１
２では、継続して発酵温度Ｔ２に保持するようにヒータ
制御を続ける。この状態で発酵工程が時間ｔ３の間実行
され、最終的なパンの形状に膨張させる成形発酵がなさ
れる。従って、練り工程終了後はモータ４は動作せず、
ガス抜きを行うことなくそのまま成形発酵が行われるこ
とになる。

【００１９】発酵工程が終了すると、パンの形状に膨ら
んだパン生地を焼き上げる焼成工程が実行される。この
工程では、イースト菌の活動を早急に止めるために所定
の焼成温度Ｔ３までヒータ１１を連続通電させて一気に
温度を上昇させている。通常の製パンコースにおける焼
成温度よりも高い温度で、且つ短い時間ｔ４の間実行さ
れる。

【００２０】このような短縮コースは、各工程の時間ｔ
１〜ｔ４の合計が１時間以内で構成し、発酵温度Ｔ２を
３０℃前後，焼成温度Ｔ３を１５０℃前後に設定してお
くのが望ましい。また、短縮コースを用いて製パンを行
う場合、次の表１に示す材料レシピィで調理することで
充分おいしいパンを作ることができた。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】この発明では、従来の半分以下の時間で
パンを作ることができ、早くパンを食べることができ
る。また、製パン時間が短縮されたことによってランニ
ングコストを低く抑えることができる。また、用意する
水の温度が自動的に算出されるので、季節によらず、常
に一定のパンが作れるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の製パン機を示す内部断面図である。

【図２】本発明の制御系を示すブロック図である。

【図３】本発明の動作を示すタイムチャート図である。

【符号の説明】

１ 本体 ４ モータ ８ 操作パネル １２ 温度センサ １５ ヒータ １６ 制御部 １７ メモリ ２２ 表示部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヒータ、練り装置、温度センサを備えた
   オーブン室と、 パン材料を投入し前記オーブン室内に装着されるパン容
   器と、 練り工程、発酵工程、焼き工程をそれぞれ１回ずつ実行
   する短時間製パンプログラムを記憶した記憶手段と、 実行中の工程や製パン時間等を表示する表示手段と、 前記短時間製パンプログラムを選択する選択手段と、 該選択手段によって短時間製パンプログラムを選択した
   時に前記温度センサで検出されるオーブン室内の温度に
   基づき、パン材料として用いられる水の温度を算出して
   前記表示手段に表示する制御手段と、 を備えてなる製パン機。
2. 【請求項２】 上記請求項１記載の製パン機において、 短時間製パンプロセスは、オーブン室内を発酵温度に保
   持しながらパン生地を練り上げる練り工程と、 オーブン室内を練り工程と同一の発酵温度に保持しなが
   らパン生地を発酵する発酵工程と、 該発酵工程終了後にそのままパン生地を焼き上げる焼き
   工程とからなり、 前記練り工程は練り開始から所定時間の間、低速回転か
   ら段階的に練り速度を上げていき、所定時間経過後に高
   速回転とすることを特徴とする製パン機。
3. 【請求項３】 上記請求項１及び２記載の製パン機にお
   いて、 前記制御手段で算出される水の温度は、温度センサで検
   出されるオーブン室内の温度が基準値以上であれば基準
   値と同一の温度とし、オーブン室内の温度が基準値未満
   であれば、基準値の倍数値からオーブン室内の温度を引
   いた温度とすることを特徴とする製パン機。