JPH1171523A - 導電性シリコーンゴム組成物 - Google Patents

導電性シリコーンゴム組成物

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JPH1171523A
JPH1171523A JP23455697A JP23455697A JPH1171523A JP H1171523 A JPH1171523 A JP H1171523A JP 23455697 A JP23455697 A JP 23455697A JP 23455697 A JP23455697 A JP 23455697A JP H1171523 A JPH1171523 A JP H1171523A
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JP
Japan
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carbon
silicone rubber
composition
polymer
graphite
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Withdrawn
Application number
JP23455697A
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English (en)
Inventor
Satoshi Watanabe
聡志 渡辺
Nobuyuki Shiratori
伸之 白鳥
Hideo Matsuoka
秀男 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Momentive Performance Materials Japan LLC
Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
Toshiba Silicone Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素系導電材料が均一に分散し、配合設
計自由度が大きく、導電性付与効率が高く、かつ物理特
性にも優れる導電性シリコーンゴム組成物の提供。 【解決手段】 シリル基を有するビニル系ポリマーを被
覆した炭素系導電材料をポリシロキサンに配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性を有するシ
リコーンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、硬化してシリコーンゴムとな
るシリコーン組成物はよく知られており、その耐候性、
耐熱性、耐寒性、電気絶縁性等の優れた性質を利用し
て、電気・電子部品のボッティング材、コーティング
材、型取り用等の成形材料等に、幅広く使用されてい
る。また、本来絶縁材料であるシリコーン組成物に導電
性を付与して使用することも行われている。
【0003】上述したようなシリコーン組成物に導電性
を付与する方法としては、一般的には導電性カーボンブ
ラックを配合する方法が多用されている。すなわち、こ
のようなカーボンブラックとしては、主としてアセチレ
ンブラック、ケッチェンブラック等が用いられており、
金属に比して軽量で、かつ安価である等の利点を有す
る。
【0004】例えば特開昭54−139659号公報に
は、40〜100m2/gの比表面積を有するファーネ
スブラックとアセチレンブラックを併用した導電性オル
ガノポリシロキサンエラストマーが記載されている。ま
た、同55−20656号公報には比表面積が900m
2/g以上で、中空のシェル状粒子が存在するカーボン
ブラックを配合した液状オルガノポリシロキサン組成物
が、同55−108455号公報にはカーボンブラック
と導電性繊維を併用した押出成形型液状オルガノポリシ
ロキサン組成物が、さらに同56−120761号公報
には比表面積が80m2/g以上のカーボンブラックを
用いたシリコーンゴム組成物が記載されている。
【0005】一般に導電性を付与するのに好適なカーボ
ンブラックとは、例示の特許に見られる如く、高い比表
面積を有するものが多用されている。しかし、高比表面
積を有する配合材料は、シリコーン組成物の粘度を上昇
させ、加工性や配合設計の自由度を低下させ、また、混
練工程における分散性も劣っている。
【0006】一方、黒鉛も導電性付与剤として多用され
ている。黒鉛は、その結晶表面にカルボキシル基やキノ
ン基のような官能基をほとんど含まないため、シリコー
ン組成物に加工した場合、シリコーンとの相溶性に欠
け、分散性の悪さや物性の低下を引き起こすという問題
を抱えていた。
【0007】また、炭素繊維や黒鉛繊維も物理的接触効
率の高さから用いられるが、やはり分散性に難があり、
多用されるには至っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、シリコー
ンゴム組成物に対してカーボンブラックや黒鉛、炭素繊
維あるいは黒鉛繊維などを配合して導電化を図る場合、
分散性を中心として様々な技術的弊害があった。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、炭素系導電材料を配合した場合でも
分散性に優れ、かつ配合設計自由度が高く、導電性付与
効率を向上させたシリコーンゴム組成物を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の導電性シリコー
ンゴム組成物は、炭素系導電材料に対し、シリル基を有
するビニル系ポリマーで被覆したものを配合したことを
特徴とする。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本
発明におけるポリオルガノシロキサン組成物は、常温ま
たは加熱等によって硬化させることによりゴム弾性体と
なるものであり、(a)ポリオルガノシロキサンベース
ポリマーと、(b)硬化剤と、必要に応じて各種添加剤
等とを均一に分散させたものである。このような組成物
に用いられる各種成分のうち、(a)ポリオルガノシロ
キサンベースポリマーと(b)硬化剤とは、ゴム弾性体
を得るための反応機構に応じて適宜選択されるものであ
る。その反応機構としては、(1)有機過酸化物加硫剤
による架橋方法、(2)縮合反応による方法、(3)付
加反応による方法等が知られており、その反応機構によ
って、(a)成分と(b)成分すなわち硬化用触媒もし
くは架橋剤との好ましい組合せが決まることは周知であ
る。
【0012】このような各種の反応機構において用いら
れる(a)成分のベースポリマーとしてのポリオルガノ
シロキサンにおける有機基は、1価の置換または非置換
の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基のようなアルキ
ル基、フェニル基のようなアリール基、β−フェニルエ
チル基、β−フェニルプロピル基のようなアラルキル基
等の非置換の炭化水素基や、クロロメチル基、3,3,
3−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基が例示
される。なお、一般的にはメチル基が合成のし易さから
多用される。
【0013】以下、上記(1)〜(3)の夫々の反応機
構における(a)ポリオルガノシロキサンベースポリマ
ーと、(b)硬化剤とについて説明する。先ず、上記
(1)の架橋方法を適用する場合においては、通常、
(a)成分のベースポリマーとしては、一分子中のケイ
素原子に結合した有機基のうち、少なくとも2個がビニ
ル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニルなどのアルケニ
ル基であるポリオルガノシロキサンが用いられる。特に
合成の容易さ、原料の入手の易さから、上記基の中でも
ビニル基が好ましい。また、(b)成分の硬化剤として
は、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾ
イルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、クミル−t
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
−t−ブチルペルオキシヘキサン、ジ−t−ブチルペル
オキシド等の各種の有機過酸化物加硫剤が用いられ、特
に低い圧縮永久歪みを与えることから、ジクミルペルオ
キシド、クミル−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、
ジ−t−ブチルペルオキシドが好ましい。なお、これら
の有機過酸化物加硫剤は、1種または2種以上の混合物
として用いられる。
【0014】(b)成分の硬化剤である有機過酸化物の
配合量は、(a)成分のポリオルガノシロキサンベース
ポリマー100重量部に対し、0.05〜15重量部の
範囲が好ましい。有機過酸化物の配合量が0.05重量
部未満では加硫が十分に行われず、15重量部を超えて
配合してもそれ以上の格別な効果がないばかりか、得ら
れたシリコーンゴムの物性に悪影響を与えることがある
からである。
【0015】また、上記(2)の縮合反応を適用する場
合においては、(a)成分のベースポリマーとしては両
末端に水酸基を有するポリオルガノシロキサンが用いら
れる。(b)成分の硬化剤としては、まず架橋剤とし
て、エチルシリケート、プロピルシリケート、メチルト
リメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチ
ルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス
(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリプロペノキシ
シラン等のアルコキシ型;メチルトリアセトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシ型;メ
チルトリ(アセトンオキシム)シラン、ビニルトリ(ア
セトンオキシム)シラン、メチルトリ(メチルエチルケ
トキシム)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトキシ
ム)シラン等、およびその部分加水分解物が例示され
る。また、ヘキサメチル−ビス(ジエチルアミノキシ)
シクロテトラシロキサン、テトラメチルジブチル−ビス
(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘプ
タメチル(ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサ
ン、ペンタメチル−トリス(ジエチルアミノキシ)シク
ロテトラシロキサン、ヘキサメチル−ビス(メチルエチ
ルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、テトラメチル
−ビス(ジエチルアミノキシ)−モノ(メチルエチルア
ミノキシ)シクロテトラシロキサンのような環状シロキ
サン等も例示される。このように、架橋剤はシランやシ
ロキサン構造のいずれでもよく、またそのシロキサン構
造は直鎖状、分岐状および環状のいずれでもよい。さら
に、これらを使用する際には、1種類に限定される必要
はなく、2種以上の併用も可能である。
【0016】また、(b)成分の硬化剤のうち、硬化用
触媒としては、鉄オクトエート、コバルトオクトエー
ト、マンガンオクトエート、スズナフテネート、スズカ
プリレート、スズオレエートのようなカルボン酸金属
塩;ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズジラウレ
ート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオク
トエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ
オレエート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチ
ルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルビス(ト
リエトキシシロキシ)スズ、ジオクチルスズジラウレー
トのような有機スズ化合物が用いられる。
【0017】(b)成分の硬化剤うち、上記架橋剤の配
合量は(a)成分のベースポリマー100重量部に対し
0.1〜20重量部が好ましい。架橋剤の使用量が0.
1重量部未満では、硬化後のゴムに充分な強度が得られ
ず、また20重量部を超えると得られるゴムが脆くな
り、いずれも実用に耐え難い。また、硬化用触媒の配合
量は(a)成分のベースポリマー100重量部に対し
0.01〜5重量部が好ましい。これより少ない量では
硬化用触媒として不十分であって、硬化に長時間を要
し、また空気との接触面から遠い内部での硬化が不良と
なる。他方、これよりも多い場合には、保存安定性が低
下してしまう。より好ましい配合量の範囲としては、
0.1〜3重量部の範囲である。
【0018】上記(3)の付加反応を適用する場合の
(a)成分のベースポリマーとしては、上記(1)にお
けるベースポリマーと同様なものが用いられる。また、
(b)成分の硬化剤としては、硬化用触媒として、塩化
白金酸、白金オレフィン錯体、白金ビニルシロキサン錯
体、白金黒、白金トリフェニルホスフィン錯体等の白金
系触媒が用いられ、架橋剤として、ケイ素原子に結合し
た水素原子が1分子中に少なくとも平均2個を超える数
を有するポリオルガノシロキサンが用いられる。
【0019】(b)成分の硬化剤のうち、硬化用触媒の
配合量は、(a)成分のベースポリマーに対し白金元素
量で1〜1000ppmの範囲となる量が好ましい。硬
化用触媒の配合量が白金元素量として1ppm未満で
は、充分に硬化が進行せず、また1000ppmを超え
ても特に硬化速度の向上等が期待できない。また、架橋
剤の配合量は、(a)成分中のアルケニル基1個に対
し、架橋剤中のケイ素原子に結合した水素原子が0.5
〜4.0個となるような量が好ましく、さらに好ましく
は1.0〜3.0個となるような量である。水素原子の
量が0.5個未満である場合は、組成物の硬化が充分に
進行せずに、硬化後の組成物の硬さが低くなり、また水
素原子の量が4.0個を超えると硬化後の組成物の物理
的性質と耐熱性が低下する。
【0020】本発明の導電性シリコーンゴム組成物にお
いて、上記硬化機構およびポリシロキサンベースポリマ
ーは特に限定されるものではないが、導電特性からは
(3)の付加反応、または(1)の有機過酸化物加硫に
よるものが好ましく、またポリシロキサンベースポリマ
ーの重合度は1000以上のもの、いわゆるミラブル型
と称するものが好ましい。これは、混合時の剪断応力が
適度であるために、配合によって前述の効果がより発揮
されるものと推察される。
【0021】次に、本発明の導電性シリコーンゴム組成
物においては、このようなポリオルガノシロキサン組成
物に導電性付与剤としてシリル基を有するビニル系ポリ
マーで被覆された炭素系導電材料を配合する。
【0022】炭素系導電材料とは、ベンゼン分子が含有
するπ電子を導電性の源泉とする一群の材料を指す。ベ
ンゼン分子が2次元状に連接したポリベンゼン平面と、
この平面が2段以上重なったグラファイト状の結晶部を
その構造中に有する材料が該当し、具体的にはカーボン
ブラック、黒鉛、備長炭を代表とする白炭、ガラス状カ
ーボン、カーボンファイバー、グラファイトファイバ
ー、気相成長系カーボンファイバー、キッシュグラファ
イトなどや直接肉眼で認知することが困難であるC60
70に代表されるフラーレン類や分子性同素体であるカ
ーボンナノチューブ、カルビン類、クムレン、ポリイン
も、ビニル系ポリマーで被覆が可能な状態であれば対象
材料となる。これらは必ずしも単体で被覆されることを
条件とせず、たとえばフラーレンC60と備長炭粉末を混
合し、外力により賦形化させ、それにポリマー被覆する
などの2種以上の炭素系材料の組み合わせも対象材料と
なる。
【0023】次に、本発明の導電性シリコーンゴム組成
物においては、このようなポリオルガノシロキサン組成
物に導電性付与剤としてシリル基を有するビニル系ポリ
マーで被覆された炭素系導電材料を配合する。炭素系導
電材料としては、黒鉛、膨脹黒鉛、カーボンブラック等
の粉体を用いることが好ましい。このうち、黒鉛に関し
ては、固定炭素分の高い高純度の物が導電性発現のうえ
で望ましい。また、カーボンブラックに関しては、表面
純度の高いものが導電性発現のうえで望ましい。この粉
体は、一般に樹脂の充填剤として用いられる大きさのも
のであればよく、0.01〜1000μmの範囲で適宜
選択できる。さらに、この粉体は、球状、板状、棒状、
繊維状、さいころ状等の形状のものを用いることができ
る。
【0024】シリル基を有するビニル系ポリマーで被覆
された炭素系材料は、対応するモノマーを用いて重合、
被覆することによって得ることができる。モノマーとし
ては、ラジカル重合可能なビニル基とシリコーンゴムと
相互作用できるシリル基の両方を有するモノマーが好ま
しい。具体的には、メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン等の反応性のシラ
ンカップリング剤、ビニルトリエチルシラン、メタクリ
ロキシメチルトリメチルシラン等のシリル基を有するビ
ニルモノマー等を例示することができる。シリル基を有
しないモノマーは、重合、被覆は可能であるが、一般に
いわれているように有機ポリマーとシリコーンゴムとの
相溶性の問題から所定の効果を発現させるには好ましく
なく、シリコーンと相溶性を持たせるために、シリル基
を有することが重要である。
【0025】炭素材料の被覆方法としては、先ず、炭素
材料を水中に分散させ、これを撹拌しながらシリル基を
有するビニルモノマー及び重合開始剤を加えて、撹拌を
継続して、重合反応を行うことにより進行できる。この
場合、水との割合は0.5/1〜1/50の範囲で適宜
選定するとよい。
【0026】重合開始剤としては、ラジカル重合に一般
に用いられている、亜硫酸、2,2−アゾビス(イソブ
チルアミジン)塩酸塩(AIBA)、亜硫酸水素ナトリ
ウム、過硫酸カリウム、2,2−アゾイソブチロニトリ
ル(AIBN)等を適宜用いることができる。この重合
開始剤の濃度は、モノマーの種類にもよるが、1×10
~3〜5×10~1mol/lの範囲で適宜選択するとよ
い。重合開始温度は、常温から水の沸騰温度である10
0℃まで採用できるが、操作性及び反応性から50℃〜
90℃の範囲が好ましい。最適反応時間は、重合開始剤
の濃度や反応温度に影響されるが、30分から5時間の
範囲で十分である。
【0027】本発明のビニル系ポリマーで被覆された炭
素系導電材料をシリコーンゴム組成物に配合した場合、
被覆されない状態よりも、より優れた性能を発揮する理
由は、必ずしも明らかではない。しかし、最近の研究知
見から次のことが推測される。
【0028】ここに例示の炭素系導電材料の導電性の源
泉はグラファイト状結晶部に存在するπ電子にある。π
電子による電気伝導現象は、電子の粒子性の側面よりも
波動性の側面が強く示される。シリコーンゴムという電
場環境において、より効率的なπ電子波動が生じるため
には、電場の熱力学的にみたエネルギーの均質性が求め
られる。
【0029】炭素系導電材料は、表面自由エネルギーが
高く、これをそのままポリオルガノシロキサンに配合し
た場合、界面に大きいエネルギーギャップを生じる。こ
れはπ電子の伝導の妨害要因となる、これに対して、炭
素系導電材料の周囲をビニル系ポリマーで被覆した場
合、ポリオルガノシロキサンとビニル系ポリマーおよび
ビニル系ポリマーと炭素系材料という2種類の界面が生
じ、ビニル系ポリマーにはシリル基があるため、相溶化
剤的作用が期待でき、表面エネルギーの界面変化がより
ゆるやかとなる。
【0030】この結果、導電性付与効率が、より向上し
たと考えられる。また、分散性に優れるのは、ビニル系
ポリマー層の存在により、炭素系導電材料の二次凝集の
防止及び大きな吸油能の低下及びシリル基を介在とする
ポリオルガノシロキサン相との親和力の増大などが考え
られる。この親和力は、シリコーンゴム組成物とした場
合の物性向上にも寄与すると予想される。
【0031】なお、この被覆の反応においては、反応条
件を制御することにより、モノマーの重合量(樹脂含有
率:重合物の被覆した炭素材料に対する重量比)を任意
に変化させることができるので、シリル基を有するビニ
ル系ポリマーとコアとなる炭素系導電材料との重量比
は、任意に変化させることができる。シリコーンゴムに
配合する場合は、この量は0.1〜50重量%とするこ
とが好ましい。50重量%以上では、反応中の炭素材料
の凝集が生じ易くなり、取扱上あまり好ましくない。
【0032】また、ポリオルガノシロキサンに対する炭
素系導電材料の配合量は、ポリシロキサンベースポリマ
ーの重合度と得られるシリコーンゴム組成物の特性によ
り任意に選ばれるものであり、特に限定はされないが、
一般にはポリシロキサンベースポリマー100重量部に
対し1〜500重量部、好ましくは5〜200重量部の
範囲で用いられる。
【0033】なお、本発明の導電性シリコーンゴム組成
物には、充填剤、顔料、耐熱性向上剤、難燃剤等を随時
付加的に配合してもよく、本発明の効果を損なわない範
囲で他のポリオルガノシロキサンを併用してもよい。こ
のようなものとしては、通常、煙霧質シリカ、沈澱法シ
リカ、けいそう土等の補強性充填剤、酸化チタン、酸化
アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、マイ
カ、クレイ、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、水酸化セリウ
ム、ガラスビーズ、ポリジメチルシロキサン、アルケニ
ル基含有ポリシロキサン等が例示される。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、以下の文中における「部」は、全て「重量部」を示
すものとする。
【0035】まず、炭素系導電材料の調製について記
す。
【0036】(参考例1)平均粒径約40μmの黒鉛
(日本黒鉛工業製 CMX−40)90gに蒸留水29
00mlを加え、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら80
℃に昇温した後、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン20g、重合開始剤として2,2−アゾイソ
ブチロニトリル(AIBN)4.8gを加えて4時間撹
拌した。反応終了後、室温まで冷却して、ろ別し、固体
をメタノールで洗浄、減圧乾燥してシリル基を有するビ
ニルポリマーで被覆された黒鉛を得た。この被覆黒鉛の
樹脂含有率は12wt%であった。
【0037】(参考例2)モノマーとして、ビニルトリ
メトキシシランを用いた以外は、参考例1と同様の操作
を行い、被覆黒鉛を得た。この被覆黒鉛の樹脂含有率は
10wt%であった。
【0038】(参考例3)DBP吸油量110[ml/
100g]のファーネス法カーボンブラック(三菱化学
製#40)を炭素系材料とし、モノマーとして、ビニル
トリエトキシシランを用いた以外は、参考例1と同様の
操作を行い、被覆カーボンブラックを得た。この被覆黒
鉛の樹脂含有率は9wt%であった。
【0039】(参考比較例1)シリル基を有しないビニ
ルモノマーとして、スチレンを用いて、参考例1と同様
の操作を行い、ポリスチレンで被覆された黒鉛を得た。
この被覆黒鉛の樹脂含有率は13wt%であった。
【0040】(参考比較例2)シリル基を有しないビニ
ルモノマーとして、メチルメタクリレートを用い、重合
開始剤として亜硫酸水溶液を用いて、65℃で反応させ
た以外は参考例3と同様の操作を行い、ポリメチルメタ
クリレートで被覆されたカーボンブラックを得た。この
被覆カーボンブラックの樹脂含有率は9wt%であっ
た。
【0041】実施例1及び比較例1〜2 両末端がジメチルビニルシリル基である、メチルビニル
シロキサン単位を0.30モル%含有する平均重合度約
6500のビニル基含有ポリジメチルシロキサン100
部に参考例1に示された被覆黒鉛を70部の割合でニー
ダに仕込み混練を行った後、さらに架橋剤として2,5
−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサ
ン1.5部を仕込み均一に混合してシリコーンゴム組成
物を得た。まず、このコンパウンドのウィリアムス可塑
度(常温)を測定し、次に、基礎物性と導電性を、各シ
リコーンゴム組成物を用いて作成した2mm厚さ、但し
導電性は1mm厚さの試料シートの体積抵抗率を測定す
ることによって評価した。なお、試料シートは、シート
成形後、170℃、10分間の条件でプレス加硫を行
い、次いで、二次加硫として200℃、4時間の熱空気
加硫を行って作成したものである。これらの測定結果を
表1に各組成物の組成と共に併せ示す。
【0042】なお、表1に示したウィリアムス可塑度、
基本物性、体積抵抗率の測定方法は以下に基づく。
【0043】(1)ウィリアムス可塑度 JIS K6300「未加硫ゴム物理試験方法」に示さ
れる方法で行われる。但し、試験温度は室温で行い予熱
も行わない。
【0044】(2)基礎物性 JIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」に示され
る方法で行われる。測定項目は、硬さ、引張強さ、伸び
の3項目とした。
【0045】(3)体積抵抗率 定電流印加法による電圧値測定からの抵抗値を計算する
という方法で行った。テスターとして(株)アドバンテ
スト製「デジタルマルチメーターR6871E」を用い
た。
【0046】また、本発明との比較としてシリル基含有
ビニルポリマー被覆黒鉛の代わりに参考比較例1に示し
たポリスチレン被覆黒鉛を用いたもの(比較例1)及び
被覆していない黒鉛(CMX−40)を用いたもの(比
較例2)をその他の条件は実施例1と同様にして導電性
シリコーンゴム組成物を調整した。これらの結果も表1
に併せて示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2及び比較例3 25℃における粘度が5000cStの両末端がジメチ
ルビニルシリル基で閉塞されたポリジメチルシロキサン
ベースオイル100部に、参考例2に示されたシリル基
含有ビニルポリマー被覆黒鉛を50部及び白金重量とし
て0.2%の塩化白金酸のイソプロピル溶液0.5部お
よび両末端がトリメチルシリル基で閉塞され25℃にお
ける粘度が20cStのメチルハイドロジェンポリシロ
キサン1.0部を混合し均一分散させてコンバンドを得
た。これを厚さ1mmの試料シートで、導電性を測定し
た。試料シートはシート成形後150℃×30分でプレ
ス加硫を行い作成した。また比較として、シリル基含有
ビニルポリマー被覆黒鉛のかわりに黒鉛CMX−40を
同量用いたもの(比較例3)をその他の条件は実施例2
と同様にして導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0049】これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】実施例3及び比較例4〜5 分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃におけ
る粘度が7000cStであるポリジメチルシロキサン
100重量部に、参考例3に示された被覆カーボンブラ
ックを60部、充填剤として結晶性シリカ10部、架橋
剤としてエチルシリケート2部、架橋触媒としてジブチ
ルスズジラウレート0.2部を均一に混合して、導電性
シリコーンゴムを調製した。これを厚さ1mmのシート
状に延伸し、25℃、60RHで7日間放置し、ゴムシ
ートを得た。
【0052】また比較として、参考例3に示された被覆
カーボンブラックの代わりに参考比較例2に示された被
覆カーボンブラックを同量用いたもの(比較例4)及び
被覆を行わないカーボンブラック(#40)を同量用い
たもの(比較例5)をその他の条件は実施例3と同様に
して導電性シリコーンゴム組成物を調製した。これらの
結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】なお、比較例5はカーボンブラックによる
強い物理吸着能により、架橋剤や架橋触媒が失活したた
め架橋が完成に至らなかったものと考えられる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、高い導電性を保持し、
かつ粘度及び物理特性も良好な導電性シリコーンゴム組
成物を得ることができる。このような導電性シリコーン
ゴム組成物は、液晶素子、電卓、リモコン送信器などの
ラバースイッチング、複写機、ファクシミリ、レーザー
ビームプリンタなどOA機器用導電性ローラー、除電ブ
レード、EMIシールド部品、導電性インク、導電性接
着剤、ローラーへの上塗り導電性塗料などの材料として
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 秀男 埼玉県戸田市新曽南3丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリル基を有するビニル系ポリマーで被
    覆された炭素系導電材料を配合したことを特徴とする導
    電性シリコーンゴム組成物。
JP23455697A 1997-08-29 1997-08-29 導電性シリコーンゴム組成物 Withdrawn JPH1171523A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2474474A (en) * 2009-10-14 2011-04-20 Dow Corning Silicone rubber compositions
CN115461394A (zh) * 2020-02-25 2022-12-09 卡博特公司 用于导电和emi屏蔽应用的含有碳纳米结构体的基于有机硅的组合物

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GB2474474A (en) * 2009-10-14 2011-04-20 Dow Corning Silicone rubber compositions
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