JPH1162304A - 制振補強構造 - Google Patents

制振補強構造

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JPH1162304A
JPH1162304A JP22859797A JP22859797A JPH1162304A JP H1162304 A JPH1162304 A JP H1162304A JP 22859797 A JP22859797 A JP 22859797A JP 22859797 A JP22859797 A JP 22859797A JP H1162304 A JPH1162304 A JP H1162304A
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JP
Japan
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steel
damper
reinforcing
reinforcing beam
beams
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JP22859797A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Isoda
和彦 磯田
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既設の建物にも適用することができ、また施
工時にも余計な手間がかからずに高い耐震性を得ること
ができ、さらには地震発生後に速やかに復旧を図ること
のできる制震補強構造を提供することを課題とする。 【解決手段】 柱2,2、梁3,3間に、鉄骨補強梁5
と、偏芯X型の補強ブレース6,6,…が設けられ、鉄
骨補強梁5においてせん断力が最大となる補強ブレース
6,6との交差部近傍に、極軟鋼からなるダンパー部1
5が形成された構成となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新設・既設を問わ
ず、ビル等の各種建物に用いて好適な制振補強構造に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、阪神大震災以来、ビル等
の建物の耐震安全性がクローズアップされてきており、
中でも地震入力を劇的に低減できる制振構造が脚光を浴
びている。このために、各種制振構造が百花繚乱の如く
開発されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような制振構造には、以下のような課題が課せられて
いる。まず、特に既設の建物を建て替えることなく耐震
性能を向上できる制振補強構造が望まれており、しかも
その施工に際しては、建物を使用しながら工事を行うこ
とが要求されている。さらに既設の建物に制振性能を付
与するための装置や部材等を設置するには、通路や出入
口等の開口部を塞ぐことのないようにする必要がある。
また、大地震等が発生して制振効果を発揮した後には装
置や部材が変形するものもあるが、このような場合、耐
震性能を元通りに戻すには装置や部材の一部または全部
を交換する必要があり、その交換を容易に行い早期に復
旧を図ることのできる制振補強構造が望まれている。と
ころが、上記のような課題を全て解決することのできる
決定的な制振補強構造は依然として提供されていないの
が実状である。
【0004】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、既設の建物にも適用することができ、また
施工時にも余計な手間がかからずに高い耐震性を得るこ
とができ、さらには地震発生後に速やかに復旧を図るこ
とのできる制振補強構造を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
建物の躯体を構成する柱と梁の構面内において、互いに
上下に位置する前記梁の間に、その端部が前記梁に直交
する鉛直部材に接合された鉄骨補強梁が設けられるとと
もに、該鉄骨補強梁の中央部の上面と下面から、上下の
前記梁と前記鉛直部材との交差部に向けて斜めに延在す
る補強ブレースが設けられ、前記鉄骨補強梁には、前記
補強ブレースの端部と交差する部分の近傍のウェブが他
の部分のウェブよりも低強度の材質から形成されること
によって、ダンパー部が形成されていることを特徴とし
ている。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の制
振補強構造において、前記ダンパー部のウェブが極軟鋼
からなることを特徴としている。
【0007】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の制振補強構造において、互いに隣接する柱間に
は、その上下端部が上下の前記梁にそれぞれ接合された
間柱が前記鉛直部材として設けられ、前記鉄骨補強梁の
端部が前記間柱に接合されていることを特徴としてい
る。
【0008】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
のいずれかに記載の制振補強構造において、前記ダンパ
ー部が前記鉄骨補強梁に着脱自在に設けられていること
を特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る耐震補強構造
の第一および第二の実施の形態について、図1ないし図
6を参照して説明する。
【0010】[第一の実施の形態]図1に示すものは、
ラーメン構造からなるビル等の建物の一部を示すもの
で、この図において、符号1は本発明に係る制振躯体構
造を適用した例えば鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋
コンクリート造等からなる建物の躯体、2は躯体1を構
成する柱(鉛直部材)、3は互いに隣接する柱2,2間
に架設された梁をそれぞれ示している。
【0011】このような躯体1には、柱2と梁3の構面
内に、上下の梁3,3間において水平方向に延在し、そ
の両端が両側の柱2,2の中間部に接合された鉄骨補強
梁5と、この鉄骨補強梁5の上面と下面とから四方に延
出して偏芯X型に配置された4本の鉄骨からなる補強ブ
レース6とが設けられている。
【0012】鉄骨補強梁5には、その両端部にそれぞれ
ベースプレート7が一体に設けられている。そして、エ
ポキシアンカー又はケミカルアンカー等のアンカー部材
8が打設されることによって鉄骨補強梁5はベースプレ
ート7を介して柱2に接合されている。なお、ベースプ
レート7と柱2との間には無収縮モルタル等の充填材9
が充填されている。
【0013】偏芯X字状に配置された各補強ブレース6
は、その一端部6aが鉄骨補強梁5に接合されている。
そして、鉄骨補強梁5の上面側、下面側それぞれにおい
て、左右の補強ブレース6,6の軸線は鉄骨補強梁5の
中央部に対して所定寸法偏芯して交差するようになって
いる。そして、各補強ブレース6の他端部6bは、柱2
と梁3との接合部に、断面視略L字状のベースプレート
11および無収縮モルタル等の充填材12を介して、エ
ポキシアンカー又はケミカルアンカー等のアンカー部材
13によって接合されている。
【0014】前記鉄骨補強梁5のウェブ5aには、その
中央部の、補強ブレース6,6,…の軸線と交差する位
置の間、すなわち躯体1に水平方向の外力が入力された
ときに補強ブレース6を介して鉄骨補強梁5に作用する
せん断力が最大となる位置に、ダンパー部15が形成さ
れている。このダンパー部15は、この部分の鉄骨補強
梁5のウェブ5aが切り抜かれ、これに代えて、鉄骨補
強梁5のウェブ5aの他の部分を形成する高張力鋼等の
鋼材よりも大幅に低強度の材料、例えば極軟鋼(極低降
伏点鋼材)からなる板状のウェブ材(ウェブ)16が、
上下のフランジ5b,5cと両側のリブプレート17と
に溶接されることによって形成されている。
【0015】そして、図1に示したように、リブプレー
ト17は、ダンパー部15の両側に、各補強ブレース6
のフランジ6c,6dと対応する位置に、鉄骨補強梁5
の軸線と直交する面内に位置するよう一体に溶接されて
設けられたものである。
【0016】このような構成からなる躯体1では、地震
等により水平方向の外力が作用すると、補強ブレース
6,6,…を介して、鉄骨補強梁5のダンパー部15に
最大のせん断力が作用する。このせん断力が、ダンパー
部15を形成する極軟鋼からなるウェブ材16の強度よ
りも低い場合には、通常のブレース構造と同様に、前記
水平方向の外力に抗するようになっている。
【0017】地震が強大なものであり、鉄骨補強梁5に
作用するせん断力がダンパー部15のウェブ材16の降
伏強度を上回ると、ウェブ材16が降伏して変形する。
このようにして、鉄骨補強梁5に設けたダンパー部15
を先行して降伏させることにより、この部分で地震等に
よるエネルギーを吸収し、躯体1の他の部分が過大に変
形したり損壊したりするのを防ぐようになっている。
【0018】ここで、地震等による外力が作用した場合
の、鉄骨補強梁5に作用する応力について、図2に示し
たモデル図を参照しつつ検討してみる。このモデル図に
おいて用いる符号について説明すると、 Q;偏芯X型ブレースの負担する水平力、 N;各補強ブレース6の軸力、 P;各補強プレース6によって鉄骨補強梁5に作用する
鉛直方向力、 Q1,Q2;鉄骨補強梁5の端部、中央部におけるせん断
力、 M;鉄骨補強梁5の最大曲げモーメント、 h;上下の梁3,3の間隔、 L;柱2,2のスパン L1;左右の補強ブレース6と鉄骨補強梁5の交点の間
隔、 をそれぞれ示している。すると、 Q=2N・cosθ、 P=2N・sinθ=Q・tanθ、 Q1=P・L1/L、 Q2=P・(1−L1/L)、 M=Q1(L−L1)/2 となる。
【0019】上記関係において、鉄骨補強梁5において
は、その上下の補強ブレース6,6,…の軸力の水平成
分が釣り合うため、軸力が0(ゼロ)となる。
【0020】そして、L=5(m)、L1=1(m)、
Q=200(t)、θ=45(゜)と仮定すると、鉄骨
補強梁5の両端部のアンカー部材8に作用するせん断力
は、Q1=40(t)となる。すなわち、200(t)
の水平力に対して、鉄骨補強梁5の端部におけるせん断
力は40(t)のみとなる。したがって、鉄骨補強梁5
の端部のアンカー部材8を軽微なものとすることができ
る。
【0021】上述した制振補強構造の躯体1では、柱
2,2、梁3,3間に、鉄骨補強梁5と、偏芯X型の補
強ブレース6,6,…が設けられ、鉄骨補強梁5におい
てせん断力が最大となる補強ブレース6,6との交差部
近傍に、極軟鋼からなるダンパー部15が形成された構
成となっている。これにより、地震等の水平方向の外力
によってダンパー部15に降伏強度以上のせん断力が作
用したときには、鉄骨補強梁5に組み込まれたダンパー
部15のウェブ材16が先行降伏するので、躯体1の他
の部分の変形や損壊を防ぐことができ、これによって既
設の躯体1の耐震性を高いものとすることができる。そ
して、このようにダンパー部15が、鉄骨補強梁5に作
用するせん断力が最大となる部分に設けられているの
で、地震時等の変形に対して効率良く地震エネルギーを
吸収でき、ダンパー効果を発揮することができる。
【0022】しかも、極軟鋼からなるダンパー部15の
降伏は、これを普通鋼材で形成した場合に比較して小さ
な変形で発生するので、履歴吸収エネルギーを大きくす
ることができ、効率の高いせん断降伏型の鋼材系ダンパ
ーを構築することができる。また、鉄骨補強梁5のフラ
ンジ5b,5cは極軟鋼ではなく通常の高張力鋼等で形
成しているため、鉄骨補強梁5の横座屈が生じにくく安
定した履歴特性を有する。
【0023】そして、躯体1における層間変位を降伏す
るダンパー部15の変形に集約するため、この部位のせ
ん断歪が大きくとれ、小さな変形から有効なダンパーが
構築できる。したがって、剛性が大きく従来の制振構造
を適用することが困難であった鉄筋コンクリート造の躯
体1に対しても有効な制振補強を行うことができる。
【0024】さらに、このようなダンパー部15を備え
て躯体1を高い耐震性を有したものとすることによっ
て、地震時の応答が小さくなるため、通常の躯体構造と
比較して躯体1を構成する部材断面を小さくすることが
可能となり、コストダウンに貢献することができる。
【0025】これに加えて、ダンパー部15が鉄骨補強
梁5に形成されているので、このダンパー部15が降伏
した後の状態においても、鉄骨補強梁5の上下のフラン
ジ5b,5cの残留変形は最大変形と比較して十分小さ
い。したがって、躯体1において、依然として柱2,梁
3および鉄骨補強梁5,補強ブレース6からなる架構の
大部分が降伏せずに弾性を保持しており、躯体1全体と
しては有害な残留変形を残さずに、その機能を維持する
ことができる。
【0026】しかも、補強ブレース6は降伏しないた
め、地震被災後において面外座屈の心配がない。このよ
うな補強ブレース6は壁内に内蔵することが多いが、壁
を外して補強ブレース6を取り替える必要がないため、
補修工事が少なくてすみ工期も短縮することができる。
【0027】また、このようなダンパー部15を備えた
躯体1では、補強ブレース6,6の上端部がダンパー部
15の両側に位置した構成となっているため、これら補
強ブレース6,6間に、例えば通路等の開口部を形成す
ることができ、建物内のレイアウトへの影響を最小限と
することができる。
【0028】加えて、鉄骨補強梁5の上下に取り付けた
補強ブレース6の軸力の水平成分が釣り合うので、この
鉄骨補強梁5には軸力が生じない。したがって、鉄骨補
強梁5の端部の柱2への接合部はせん断力に対して設計
すれば良く、アンカー部材8を軽微なものとすることが
できる。
【0029】さらに加えて、鉄骨補強梁5が床スラブを
受けないため、地震時の鉄骨補強梁5の変形による床ス
ラブのクラックや残留変形といった問題が何ら生じな
い。
【0030】また、上記躯体1は、外観上の形態は、一
般的に用いられている偏芯X型ブレースを有した架構と
同様であり、構造計画や建築計画上に特別な制約を受け
ることなく本構造を適用することができる。しかもこの
ようなブレース架構では、制振壁などに比較して、ブレ
ースの隙間を利用してダクト等の設備配管スペースを確
保することができるという点で有利である。
【0031】これ以外にも、上記ダンパー部15は、鉄
骨補強梁5と一体化して工場で製作することができるの
で、現場での特別なダンパー取付作業を行う必要が無
く、通常の鉄骨構造と同様に施工することができ、施工
時に余計な手間を掛けることなく上記耐震構造の躯体1
を構築することが可能である。しかも、このような鉄骨
補強梁5や補強ブレース6は、一般的な構造材料と同様
の寸法となるため、運搬や取付も通常の耐震補強工事な
どと全く同様に行うことができる。
【0032】[第二の実施の形態]次に、本発明に係る
制振躯体構造の第二の実施の形態について説明する。こ
こでは、鉄骨補強梁の両端部を、躯体の柱とは別に設け
た補強柱に接合して設ける場合の例を用いて説明する。
以下に説明する第二の実施の形態において、前記第一の
実施の形態と共通する構成については同符号を付し、そ
の説明を省略する。
【0033】図3に示すように、鉄骨造の躯体21に
は、柱22と梁23の構面内に、間柱(鉛直部材)24
と鉄骨補強梁5’,補強ブレース6’が設けられた構成
となっている。
【0034】間柱24,24は、互いに隣接する柱2
2,22間に、所定間隔を隔てて配設されており、その
上下端部が上下の梁23,23に一体に接合されてい
る。
【0035】鉄骨補強梁5’は、その両端部がジョイン
トプレート26を介して間柱24,24にボルト接合さ
れている。
【0036】補強ブレース6’は、鉄骨補強梁5’の中
央部の上面と下面とから四方に延出するいわゆる偏芯X
型に配置されている。各補強ブレース6’は、その一端
部6a’が鉄骨補強梁5’に接合されており、鉄骨補強
梁5’の上面側、下面側それぞれにおいて、左右の補強
ブレース6’,6’の軸線が鉄骨補強梁5’の中央部に
対して所定寸法偏芯して交差するようになっている。そ
して、各補強ブレース6’の他端部6b’は、その端部
が梁23と間柱24との接合部に接合されている。
【0037】前記鉄骨補強梁5’のウェブ5a’には、
その中央部の、補強ブレース6’,6’,…の軸線と交
差する位置の間、すなわち躯体21に水平方向の外力が
入力されたときに補強ブレース6’を介して鉄骨補強梁
5’に作用するせん断力が最大となる位置に、ダンパー
部15’が形成されている。ダンパー部15’は、鉄骨
補強梁5’のウェブ5a’の他の部分を形成する高張力
鋼等の鋼材よりも大幅に低強度の材料、例えば極軟鋼
(極低降伏点鋼材)からなる板状のウェブ材16から形
成されている。
【0038】上述したような制振躯体構造においても、
前記第一の実施の形態で示した制振躯体構造と同様の効
果を奏することができる。さらに、上記に加えて、間柱
24,24間に鉄骨補強梁5’,補強ブレース6’を配
置したので、通路等の空間がある場合にも空間を確保し
たうえで制振補強効果を得ることができる。
【0039】なお、上記第一および第二の実施の形態に
おいて、極軟鋼からなるウェブ材16を鉄骨補強梁5,
5’のウェブ5a,5a’に溶接して設ける構成とした
が、これを以下のような着脱可能な構造としても良い。
図4に示すように、鉄骨補強梁5”のウェブ5a”には
開口部31が形成されており、この開口部31にはダン
パー部15”が設けられている。このダンパー部15”
は、極軟鋼からなる板状のウェブ材(ウェブ)32と、
このウェブ材32を鉄骨補強梁5”に着脱自在に接続す
るための取付金具33とから構成されている。取付金具
33は、断面視L字状のアングル材からなり、高力ボル
ト等のボルト・ナット34,34,…によって、ウェブ
材32を鉄骨補強梁5”の上下のフランジ5b”,5
c”に接続する構成となっている。このようなダンパー
部15”を用いた制振補強構造においても、上記第一お
よび第二の実施の形態で示した躯体1,21と同様の耐
震性能を得ることができる。しかも、ダンパー部15”
が、取付金具33,ボルト・ナット34を介して鉄骨補
強梁5”に着脱自在に取り付けられているので、地震等
によりウェブ材32がせん断変形した後に、これを新規
のものに容易に交換することができ、地震後の復旧を速
やかに行うことができる。さらに、将来、よりダンパー
性能に優れた材料が新規に開発された場合、これと交換
することも可能である。
【0040】なお、上記第一および第二の実施の形態に
おいて、鉄骨補強梁5,5’および補強ブレース6、
6’を、柱2,2間の全面,または中央部にのみ設ける
構成としたが、これに限定するものではなく、他の架構
形式としても良い。例えば、図5に示すように、柱2,
2間の中央部に間柱24’を一本のみ設け、この間柱2
4’と柱2との間にダンパー部15を備えた鉄骨補強梁
5および補強ブレース6を設けるようにしても良い。ま
た、図6に示すように、上下2層分の間隔で設けられた
梁3,3間に、前記第二の実施の形態として間柱24,
鉄骨補強梁5’,補強ブレース6’を設け、さらに、間
柱24とその両側の柱2との間に小梁40を設け、これ
ら鉄骨補強梁5’と小梁40とで床(図示なし)を支持
する構成としても良い。これ以外にも、例えば上記した
ような間柱24,鉄骨補強梁5,5’および補強ブレー
ス6,6’等からなるブレース架構を、プレキャストコ
ンクリート製等の壁に内蔵させて一体化した制振壁と
し、現場において躯体1,21に組み込む構成としても
良い。
【0041】そして、上記補強ブレース6、6’の偏芯
距離や、ウェブ材16の厚さを調整することにより、ダ
ンパー部15,15’,15”の降伏変位や負担力を種
々に設定することが可能である。また、鉄骨補強梁5,
5’,5”の梁成が大きい場合や、ウェブ5a,5a’
の板厚が小さい場合には、ここに補剛リブを設けること
により、ウェブ5a,5a’の面外座屈を防止できる。
【0042】さらに、上記第一および第二の実施の形態
においては、躯体1を鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄
筋コンクリート造とし、躯体21を鉄骨造としたが、鉄
骨鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート造,鉄骨造は
もちろんのこと、これ以外の充填鋼管コンクリート造、
あるいは各種複合構造等であっても良い。もちろん、躯
体1,21は既設のものに限らず、新設のものであって
も良い。
【0043】これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない
範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また
上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものと
しても良いのは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および2
に係る制振補強構造によれば、上下の梁間に、その端部
が鉛直部材に接合された鉄骨補強梁が設けられるととも
に、鉄骨補強梁の中央部の上面と下面から、上下の梁と
鉛直部材との交差部に向けて斜めに延在する補強ブレー
スが設けられ、鉄骨補強梁には、補強ブレースの端部と
交差する部分の近傍のウェブが、例えば極軟鋼などの低
強度の材質からなるダンパー部が形成された構成となっ
ている。これにより、強大な地震等が発生した場合、躯
体の梁とは別に設けた鉄骨補強梁のダンパー部に降伏強
度以上のせん断力が入力されると、これが先行してせん
断降伏するようになっている。したがって、躯体の他の
部分の変形や損壊を防ぐことができ、躯体を高い耐震安
全性を有するものとすることができる。しかも、極軟鋼
等からなるダンパー部の降伏は、これを普通鋼材で形成
した場合に比較して小さな変形で発生するので、履歴吸
収エネルギーを大きくすることができ、効率の高いせん
断降伏型の鋼材系ダンパーを構築することができる。そ
して、上記のようにして躯体の耐震性を高めることによ
って、通常の構造等と比較して躯体を構成する部材断面
を小さくすることが可能となり、コストダウンに貢献す
ることができる。しかも、上記躯体は、外観上の形態
は、一般的に用いられているブレースを有した架構と同
様であり、構造計画や建築計画上に特別な制約を受ける
ことなく本構造を適用することができる。また、極軟鋼
等からなるダンパー部は鉄骨補強梁と一体化して工場で
製作することができるので、現場でのダンパー取付作業
を行う必要が無く、施工の手間を掛けることなく上記制
振補強構造の躯体を構築することが可能である。
【0045】請求項3に係る制振補強構造によれば、互
いに隣接する柱間に間柱が鉛直部材として設けられ、鉄
骨補強梁の端部が間柱に接合された構成となっている。
これにより、補強効果をより一層高めることができ、し
かも通路等の空間を確保することができる。
【0046】請求項4に係る制振補強構造によれば、ダ
ンパー部が鉄骨補強梁に着脱自在に設けられた構成とな
っている。これにより、地震等によりダンパー部がせん
断変形した後に、これを新規のものに容易に交換するこ
とができるので、地震後の復旧を速やかに行うことがで
きる。さらに、将来、よりダンパー性能に優れた材料が
新規に開発された場合、これと交換することも可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る制振補強構造の一例を示す立面
図である。
【図2】 前記制振補強構造における応力の作用状態を
示す図である。
【図3】 本発明に係る制振補強構造の他の一例を示す
立面図である。
【図4】 本発明に係る制振補強構造のさらに他の一例
を示す図であって、鉄骨補強梁に着脱自在に設けたダン
パー部を示す正面図および側断面図である。
【図5】 本発明に係る制振補強構造のさらに他の一例
を示す立面図である。
【図6】 本発明に係る制振補強構造のさらに他の一例
を示す立面図である。
【符号の説明】
1,21 躯体 2,22 柱 3 梁(鉛直部材) 5,5’,5” 鉄骨補強梁 5a,5a’ ウェブ 6,6’ 補強ブレース 15,15’,15” ダンパー部 16,32 ウェブ材(ウェブ) 23 梁 24 間柱(鉛直部材)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の躯体を構成する柱と梁の構面内に
    おいて、 互いに上下に位置する前記梁の間に、その端部が前記梁
    に直交する鉛直部材に接合された鉄骨補強梁が設けられ
    るとともに、該鉄骨補強梁の中央部の上面と下面から、
    上下の前記梁と前記鉛直部材との交差部に向けて斜めに
    延在する補強ブレースが設けられ、 前記鉄骨補強梁には、前記補強ブレースの端部と交差す
    る部分の近傍のウェブが他の部分のウェブよりも低強度
    の材質から形成されることによって、ダンパー部が形成
    されていることを特徴とする制振補強構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制振補強構造において、
    前記ダンパー部のウェブが極軟鋼からなることを特徴と
    する制振補強構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の制振補強構造に
    おいて、互いに隣接する柱間には、その上下端部が上下
    の前記梁にそれぞれ接合された間柱が前記鉛直部材とし
    て設けられ、前記鉄骨補強梁の端部が前記間柱に接合さ
    れていることを特徴とする制振補強構造。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の制
    振補強構造において、前記ダンパー部が前記鉄骨補強梁
    に着脱自在に設けられていることを特徴とする制振補強
    構造。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005299171A (ja) * 2004-04-09 2005-10-27 Takenaka Komuten Co Ltd 構造物の制震構造
JP2007297854A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Toshiba Corp 建築構造物
JP2008133662A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Toyota Motor Corp 建物の耐震構造
CN109487918A (zh) * 2018-11-23 2019-03-19 智聚装配式绿色建筑创新中心南通有限公司 一种支撑式减震壁

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