JP6362131B2 - 建物の水平力補強構造 - Google Patents

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本発明は、地震や風などによって建物に作用する水平力に抵抗させるための建物の水平力補強構造に関するものである。
梁と柱とによって格子状に骨組みが形成される建物は、地震や風などによって建物に水平力が作用すると、格子の隅角部が回転して大きく変形してしまうため、それを抑えるためにブレースを格子の対角線上に配置することが知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献2−4には、ブレースと枠体によって構成される耐力壁を格子の内部に配置することで、耐震性能を増加させる水平力補強構造が開示されている。
例えば特許文献2には、縦枠となる直材を隣接する柱に接合させるとともに、直材の端部間を対角線状に折れ曲り材で連結した制震機構が開示されている。ここで、直材は、独立して鉛直荷重を負担できる部材ではなく、隣接する柱と一体化させることで、鉛直荷重の一部を負担できる部材である。
一方、特許文献3,4には、長方形の枠体の内部に正面視略X字状となるようにブレースを配置することで、建物の耐震性を向上させることができる構造が開示されている。
特開2006−125081号公報 特開2000−248776号公報 特開2002−106067号公報 特開2001−90376号公報
しかしながら、特許文献2の構造では、柱の間隔に合わせた制震機構しか設けることができない。また、特許文献3,4の構造のように、枠体とブレースとを一体化させた抵抗部材にすると、鉛直荷重を全体で負担することになるため、すべての部材に対して耐火用の被覆が必要になる。
そこで、本発明は、部材ごとに求められる機能を明確にすることによって、構成を簡素化することが可能な建物の水平力補強構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の建物の水平力補強構造は、梁材と柱材とによって骨組みが形成される建物の水平力補強構造であって、上下の前記梁材間に間隔を置いて立てられる鉛直荷重を負担する一対の補強柱と、前記補強柱の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材とを備え、前記補強柱及び斜材の端部は前記梁材に対してピン接合され、前記一対の斜材の交差部はピン接合されることを特徴とする。
また、梁材と柱材とによって骨組みが形成される建物の水平力補強構造であって、上下の前記梁材間に間隔を置いて立てられる一対の補強柱と、前記補強柱の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材とを備え、前記補強柱及び斜材の端部は接合金具を介して接合されるとともに、前記接合金具が前記梁材に対してボルト接合され、前記一対の斜材は前記交差部を境に上側斜材と下側斜材の2部材によってそれぞれ形成されるとともに、前記上側斜材の下端と前記下側斜材の上端とは連結金具を介して接合されることを特徴とする。
ここで、前記接合金具は、前面部と後面部とそれらを繋ぐ端面部とを有し、前記補強柱の前面と後面は前記接合金具の前面部と後面部とにそれぞれ溶接接合されるとともに、前記補強柱の端部と前記斜材の端部とを離隔させた状態で、前記斜材の前面と後面を前記接合金具の前面部と後面部とにそれぞれ溶接接合させ、前記端面部を前記梁材に対してボルト接合させる構成とすることができる。
また、前記連結金具は前記補強柱及び斜材の軸心を通る位置に配置される板状部材であって、前記上側斜材の下端を前記連結金具に溶接接合させるとともに、前記上側斜材の下端と前記下側斜材の上端とを離隔させた状態で、前記下側斜材の上端を前記連結金具に溶接接合させる構成とすることができる。
そして、前記斜材は、角形鋼管によって形成されるのが好ましい。
このように構成された本発明の建物の水平力補強構造は、鉛直荷重を負担する一対の補強柱と、補強柱の端部間を対角線状に連結して交差される一対の斜材とを備えている。
そして、補強柱及び斜材の端部は、梁材に対してピン接合されるとともに、一対の斜材の交差部もピン接合される。このような接合にすることで、梁材に鉛直方向の荷重が作用した場合に、斜材の交差部が面外方向に移動することになって斜材が圧縮力を負担することがなくなる。
このため、常時荷重である鉛直力は、一対の補強柱のみが負担することになって、斜材は水平力にのみ抵抗させればよくなる。このように部材ごとに求められる機能を明確にすることによって、斜材の耐火被覆を省略するなど、構成を簡素化することができるようになる。
また、上下の梁材間に間隔を置いて立てられる一対の補強柱と、補強柱の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材とを備えた建物の水平力補強構造を次のような構成にする。
すなわち、補強柱及び斜材の端部は接合金具を介して接合されるとともに、接合金具が梁材に対してボルト接合されるようにする。また、一対の斜材は交差部を境に上側斜材と下側斜材の2部材によってそれぞれ形成されるとともに、上側斜材の下端と下側斜材の上端とは連結金具を介して接合されるようにする。
こうすることによって、部材ごとに求められる機能が明確になって、各部材の構成を簡素化することが可能になる。
さらに、斜材が角形鋼管によって形成されていれば、引張力だけでなく、圧縮力に対しても有効に機能させることができるようになる。このため、建物に水平力が作用したときには、一方の斜材が引張材として交差部の面外方向への移動を拘束するとともに、もう一方の斜材が座屈することなく圧縮材として機能して、変形を抑えることができる。
本実施の形態の建物の水平力補強構造の概略構成を説明する正面図である。 本実施の形態の建物の水平力補強構造に鉛直荷重が作用した状態を説明する説明図である。 本実施の形態の建物の水平力補強構造に水平力が作用した状態を説明する説明図である。 実施例の建物の水平力補強構造の構成を説明する正面図である。 実施例の建物の水平力補強構造の交差部の構成を説明する図であって、(a)は(c)のA−A矢視方向で見た断面図、(b)は(c)のB矢視方向で見た側面図、(c)は正面図である。 実施例の建物の水平力補強構造の接合金具周辺の構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は(a)を右側から見た側面図、(c)は(a)を下側から見た底面図である。 実施例の建物の水平力補強構造の梁側接合部の構成を説明する図であって、(a)は(b)を左側から見た側面図、(b)は正面図、(c)は(b)を右側から見た側面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の建物の水平力補強構造M1の概略構成を説明する正面図である。この水平力補強構造M1が設けられる建物は、梁材と柱材とによって骨組みが形成される住宅などの建物である。
まず、建物の構成から説明すると、この建物は、基礎M14の上に設置される梁材としての床梁M12と、床梁M12の上に立てられる柱材としての柱M11,・・・と、柱M11,M11間に架け渡される梁材としての天井梁M13とによって構造部材となる骨組構造体が構成される。
この骨組構造体を構成する柱M11、床梁M12及び天井梁M13は、H形鋼、溝形鋼(C形鋼)又は角形鋼管などの鋼材によって形成される。また、骨組構造体は、柱M11と梁(M12,M13)とをボルトで接合させる鉄骨構造体であってもよいし、柱と梁とを溶接によって剛接合させるラーメン構造体であってもよい。
本実施の形態の建物の水平力補強構造M1は、図1に示すように、上下に略平行に配置される天井梁M13及び床梁M12と、それらに略直交するように接合される略平行な柱M11,M11とによって、長方形に形成される開口部に設けられる。以下ではこの開口部のことを「面内空間」と呼ぶ場合がある。
そして、この開口部(面内空間)に、上下の梁材(M13,M12)間に間隔を置いて立てられる鉛直荷重を負担する一対の補強柱M2,M2と、補強柱M2,M2の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材M3,M3とが配置される。
この補強柱M2は、梁材(M13,M12)の軸方向に対して略直交する方向に向けて立てられる。すなわち、一対の補強柱M2,M2は、梁材の軸方向に間隔を置いて略平行に立てられる。
また、補強柱M2は、上端が天井梁M13の下面に対して梁側接合部M4を介してピン接合されるとともに、下端が床梁M12の上面に対して梁側接合部M4を介してピン接合される。ここで、ピン接合とは、軸力及びせん断力のみを伝達させる接合構造であり、曲げモーメントはほとんど又はまったく伝達させない。
さらに、対角線上で対峙する上方の梁側接合部M4と下方の梁側接合部M4との間は、斜めに配置される斜材M3によって繋がれる。すなわち一対の斜材M3,M3は、長方形の開口部の中に、正面視略X字状となるように配置される。
そして、一対の斜材M3,M3の交差部M5も、ピン接合によって接合される。このピン接合も、軸力及びせん断力のみを伝達させる接合構造であり、曲げモーメントはほとんど又はまったく伝達させない。
次に、本実施の形態の建物の水平力補強構造M1の動作及び作用について、図2,3を参照しながら説明する。
図2は、水平力Pが作用しない常時荷重wのときの水平力補強構造M1の動作を説明する図である。ここで、常時荷重wは、建物の躯体重量(自重)、家具や設備の重量、居住者の重量などに基づいて設定される。
図2の左側の図は、上階や屋根からの常時荷重wが天井梁M13に作用する前の状態を示している。そして、天井梁M13に常時荷重wが作用すると、図2の右側の図に示すように、天井梁M13側の梁側接合部M4,M4には、常時荷重wに起因する鉛直力V,Vが作用することになる。
このようにして水平力補強構造M1の上方にある2つの梁側接合部M4,M4に鉛直力V,Vが作用すると、そこに上端が接続される補強柱M2,M2は圧縮されることになる。
他方、斜材M3,M3に鉛直力V,Vによって同時に圧縮力が作用すると、図2の右図に二点鎖線で示すように、斜材M3,M3を繋ぐ交差部M5が面内空間の外側(面外)へ移動して力が逃げてしまうので、斜材M3,M3は圧縮されない。
すなわち水平力補強構造M1の上方にある2つの梁側接合部M4,M4に鉛直力V,Vが作用すると、補強柱M2,M2には圧縮応力が発生して圧縮力を負担することになるが、引張力による拘束を受けることなく面外方向に移動する斜材M3,M3には圧縮応力が発生せず圧縮力を負担することはない。
このため、常時荷重wである鉛直力V,Vは、補強柱M2,M2のみが負担することになって、斜材M3,M3は負担しないことになる。このような鉛直力V,Vを負担しない斜材M3,M3は、火災時においてその圧縮力の負担機能を期待されないので、耐火被覆を省略して簡素化することができる。
これに対して図3は、水平力Pが作用するときの水平力補強構造M1の動作を説明する図である。ここで、水平力Pは、地震や風によって建物の側面に作用する荷重に基づいて設定される。
図3の左側の図は、天井梁M13の左端に水平力Pが作用することで、長方形の開口部が平行四辺形状に変形し始めた状態を示している。このように開口部が変形し始めると、一方の斜材M3(接続される隅角部が鈍角側)は縮む方向に変形し、他方の斜材M3(接続される隅角部が鋭角側)は伸びる方向に変形することになる。
そして、図3の右側の図に示すように、一方の斜材M3が引張材として動作すると、交差部M5の面外方向への移動が拘束されることになる。また、交差部M5が面内空間に留まると、もう一方の斜材M3が圧縮材として機能するようになる。さらに、圧縮材となる斜材M3は、交差部M5を境に2つに分かれるため、座屈長さが斜材M3の約半分になって負担可能な圧縮力が大きくなる。
このように水平力Pに対して、一方の斜材M3が引張材として機能し、他方の斜材M3が圧縮材として機能すれば、長方形の開口部の変形が抑えられて、建物全体の変形も低減することができる。
また、補強柱M2,M2によって常時荷重wによる鉛直力V,Vを負担させ、斜材M3,M3によって水平力Pに抵抗させるというように、部材ごとに求められる機能が明確になっていれば、それぞれの部材にとって余剰となる構成を浮かび上がらせることができるようになるので、構成を簡素化することができる。
以下、前記した実施の形態の実施例について、図4−7を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一符号又は同一用語を使って説明する。
前記実施の形態では、モデル化した水平力補強構造M1について説明した。これに対して本実施例では、建物の水平力補強構造1の詳細な構成について説明する。
この水平力補強構造1が設けられる建物は、図4に示すように、基礎(図示省略)の上に設置される梁材としての床梁12と、床梁12の上に立てられる柱材(図示省略)と、柱材間に架け渡される梁材としての天井梁13とによって構造部材となる骨組構造体が構成される。
ここで、床梁12(又は天井梁13)は、上面を形成する上フランジ12a(13a)と、それに略平行となるように配置されて下面を形成する下フランジ12b(13b)と、上フランジ12a(13a)と下フランジ12b(13b)との間を略中央で繋ぐウェブ12c(13c)とによって、断面視略H字形に形成される(図7(a),(c)参照)。
また、床梁12(又は天井梁13)は、水平力補強構造1と接合される箇所が、補強プレート121(131)によって補強される。この補強プレート121(131)は、図4,7に示すように、床梁12(又は天井梁13)の軸方向に補強柱2の幅程度の間隔を置いて略平行に配置されるとともに、ウェブ12c(13c)の両側にそれぞれ配置される。
そして、梁材と柱材とによって長方形に形成された開口部(面内空間)に、水平力補強構造1として、上下の梁材(13,12)間に軸方向に間隔を置いて略平行に立てられる一対の補強柱2,2と、補強柱2,2の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材3,3とが配置される。
補強柱2及び斜材3は、例えば断面視略正方形又は略長方形の角形鋼管によって形成される。また、補強柱2の断面は、斜材3の断面よりも大きくすることができる。
さらに、補強柱2は、上端2aが天井梁13の下フランジ13bに対して梁側接合部4を介してピン接合されるとともに、下端2bが床梁12の上フランジ12aに対して梁側接合部4を介してピン接合される。
また、対角線上で対峙する上方の梁側接合部4と下方の梁側接合部4との間は、斜めに配置される斜材3によって繋がれる。すなわち一対の斜材3,3は、長方形の開口部の中に、正面視略X字状となるように配置される。
そして、一対の斜材3,3の交差部5は、ピン接合によって接合される。また斜材3は、交差部5を境に上側斜材31と下側斜材32の2部材によって形成される。
続いて図5−7を参照しながら、交差部5及び梁側接合部4の詳細について説明する。
図5には、交差部5の詳細な構成を示した。図5(c)は、図4と同じく正面図を示している。そして、図5(a)は、図5(c)のA−A矢視方向で見た断面図を示している。また、図5(b)は、図5(c)のB矢視方向で見た側面図を示している。
交差部5では、上側斜材31の下端31bと下側斜材32の上端32aとが、連結金具としての連結プレート51を介して接合される。具体的には、上側斜材31の下端31bと下側斜材32の上端32aには、軸心を通るように一文字状の切り込みが設けられる。
そして、下端31b,31b及び上端32a,32aの切り込みに、長方形の鋼板を連結プレート51として挿し込む。ここで、図5(c)に示すように、下端31b,31b及び上端32a,32aは、連結プレート51に挿し込まれた際に互いに干渉しないように斜めに切り落とされている。
このため、連結プレート51に挿し込まれた下端31b,31b及び上端32a,32a間は、互いに離隔している。そして、この状態のままで、溶接接合を行う。
詳細には、上側斜材31の下端31bの両側縁と連結プレート51の表面とを溶接部52A,52Bにより接合させる。また、下側斜材32の上端31aの両側縁と連結プレート51の表面とを溶接部52C,52Dにより接合させる。これらの溶接部52A−52Dは、例えばすみ肉溶接によって形成される。
このように下端31b,31b及び上端32a,32aと連結プレート51とは溶接接合をさせるが、下端31b,31b及び上端32a,32a間は互いに離隔している。
このため、上側斜材31,31と下側斜材32,32との間では、軸心を通る位置に配置された板状の連結プレート51を介して軸力及びせん断力のみが伝達されて、曲げモーメントはほとんど伝達されない。よって、このような交差部5の構造は、建築分野ではピン接合と呼ぶ。
一方図6には、斜材3を構成する下側斜材32の下端32b及び補強柱2の下端2bを接合する接合金具41の詳細な構成を示した。図6(a)は、図4と同じく正面図を示している。そして、図6(b)は、図6(a)の右側から見た側面図を示している。また、図6(c)は、図6(a)の下側から見た底面図を示している。
なお、この図6では、補強柱2の下端2bと下側斜材32の下端32bとを接合金具41を介して接合させる場合についてのみ図示しているが、補強柱2の上端2aと上側斜材31の上端32aとを接合金具41を介して接合させる場合も同様の接合構造となる。
この接合金具41は、平板状の前面部411と、それに略平行に配置される平板状の後面部412と、それらの下縁間を繋ぐ平板状の端面部413とによって主に構成される。
この接合金具41は、長方形の鋼板を断面視略コ字形となるように折り曲げ加工することによって製作される。そして、端面部413には、ボルト42を通すためのボルト孔414を穿孔する。なお、図6(b)の補強柱2の背面には、ボルト42を締結させるための作業孔21が図示されている。
端面部413の幅は、補強柱2及び斜材3の幅と略同じ幅に形成される。要するに、前面部411と後面部412との間隔は、補強柱2及び斜材3の幅と略同じになる。
そして、接合金具41の前面部411と後面部412との間に、補強柱2の下端2bと下側斜材32の下端32bとを挿し込む。ここで、図6(a)に示すように、補強柱2の下端2bと下側斜材32の下端32bとは離隔させた状態にする。
また、補強柱2の下端2bと下側斜材32の下端32bは、接合金具41の端面部413からも離隔した状態にする。さらに、図6(c)に示すように、補強柱2の真下に2つのボルト孔414,414が配置されるようにする。
そして、補強柱2の前面と後面を、接合金具41の前面部411と後面部412とにそれぞれ溶接部43A,43Aによって接合させる。また、下側斜材32の前面と後面も、接合金具41の前面部411と後面部412とにそれぞれ溶接部43B,43Bによって接合させる。これらの溶接部43A,43Bは、例えばすみ肉溶接によって形成される。
このようにして接合金具41を介して補強柱2の端部(2a,2b)と斜材3の端部(31a,32b)を接合させた後に、接合金具41の端面部413を梁材(12,13)に対してボルト接合させる。
図7には、上階と下階との間に配置される床梁12に対して設けられる梁側接合部4,4の詳細な構成を示した。図7(b)は、図4と同じく正面図を示している。そして、図7(a)は、図7(b)の左側から見た側面図を示している。また、図7(c)は、図7(b)の右側から見た側面図を示している。
上階側の接合金具41の端面部413は、床梁12の上フランジ12aの上面に載せられる。この際、床梁12の補強プレート121,121の真上に補強柱2の下端2bが配置されるようにする。
そして、補強柱2の下端2bの作業孔21からボルト孔414にボルト42を挿入し、床梁12のウェブ12c側からナット42aをボルト42先端に装着して締結を行う。ボルト42,42による接合は、ウェブ12cを挟んで両側で行われる。
一方、下階側の接合金具41の端面部413は、床梁12の下フランジ12bの下面に密着させる。この際、床梁12の補強プレート121,121の真下に補強柱2の上端2aが配置されるようにする。
そして、補強柱2の上端2aの作業孔21からボルト孔414にボルト42を挿入し、床梁12のウェブ12c側からボルト42先端にナット42aを装着して締結を行う。ボルト42,42による接合は、ウェブ12cを挟んで両側で行われる。
このように構成された梁側接合部4は、接合金具41と梁材(12,13)との間がボルト接合となる。また、接合金具41に対して、補強柱2の端部(2a,2b)と斜材3の端部(31a,32b)とが離隔した状態で溶接接合される。
このため、補強柱2及び斜材3には、梁材(12,13)から接合金具41を介して軸力及びせん断力のみが伝達されて、曲げモーメントはほとんど伝達されない。よって、このような梁側接合部4の構造は、建築分野ではピン接合と呼ぶ。
そして、斜材3が角形鋼管のように剛性の高い部材で形成されていれば、引張力だけでなく、圧縮力に対しても有効に機能させることができるようになる。また、圧縮材となる斜材3は、交差部5を境に上側斜材31と下側斜材32に分かれるため、座屈長さが斜材3の約半分になって負担可能な圧縮力が大きくなる。
このため、水平力Pが作用したときには、一方の斜材3が引張材として交差部5の面外方向への移動を拘束するとともに、もう一方の斜材3が座屈することなく圧縮材として機能して、開口部の変形を抑えることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、連結金具として軸心を通る位置に配置される連結プレート51を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば斜材3の前面側又は後面側の少なくとも一方に配置される鋼板によって連結金具を構成することができる。
M1,1 水平力補強構造
M11,11 柱(柱材)
M12,12 床梁(梁材)
M13,13 天井梁(梁材)
M2,2 補強柱
2a 上端(端部)
2b 下端(端部)
M3,3 斜材
31 上側斜材
31a 上端(端部)
31b 下端(端部)
32 下側斜材
32a 上端(端部)
32b 下端(端部)
M4,4 梁側接合部
41 接合金具
411 前面部
412 後面部
413 端面部
42 ボルト(ボルト接合)
43A,43B 溶接部(溶接接合)
M5,5 交差部
51 連結プレート(連結金具)
52A−52D 溶接部(溶接接合)
P 水平力
V 鉛直力(鉛直荷重)

Claims (5)

  1. 梁材と柱材とによって骨組みが形成される建物の水平力補強構造であって、
    上下の前記梁材間に間隔を置いて立てられる鉛直荷重を負担する一対の補強柱と、
    前記補強柱の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材とを備え、
    前記補強柱及び斜材の端部は前記梁材に対してピン接合され、前記一対の斜材の交差部はピン接合されることを特徴とする建物の水平力補強構造。
  2. 梁材と柱材とによって骨組みが形成される建物の水平力補強構造であって、
    上下の前記梁材間に間隔を置いて立てられる一対の補強柱と、
    前記補強柱の端部間を対角線状に連結するとともに交差される一対の斜材とを備え、
    前記補強柱及び斜材の端部は接合金具を介して接合されるとともに、前記接合金具が前記梁材に対してボルト接合され、
    前記一対の斜材は前記交差部を境に上側斜材と下側斜材の2部材によってそれぞれ形成されるとともに、前記上側斜材の下端と前記下側斜材の上端とは連結金具を介して接合されることを特徴とする建物の水平力補強構造。
  3. 前記接合金具は、前面部と後面部とそれらを繋ぐ端面部とを有し、
    前記補強柱の前面と後面は前記接合金具の前面部と後面部とにそれぞれ溶接接合されるとともに、
    前記補強柱の端部と前記斜材の端部とを離隔させた状態で、前記斜材の前面と後面を前記接合金具の前面部と後面部とにそれぞれ溶接接合させ、
    前記端面部を前記梁材に対してボルト接合させることを特徴とする請求項2に記載の建物の水平力補強構造。
  4. 前記連結金具は前記補強柱及び斜材の軸心を通る位置に配置される板状部材であって、
    前記上側斜材の下端を前記連結金具に溶接接合させるとともに、
    前記上側斜材の下端と前記下側斜材の上端とを離隔させた状態で、前記下側斜材の上端を前記連結金具に溶接接合させることを特徴とする請求項2又は3に記載の建物の水平力補強構造。
  5. 前記斜材は、角形鋼管によって形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の水平力補強構造。
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