JP5690771B2 - 胴縁ブレース耐震壁 - Google Patents
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すなわち、図7で示される第1従来例においては、耐震壁ではなく制震パネルを示しているが、本願と類似のK型ブレースが開示されているため開示した。
この制震パネル30は、構造物の耐震性能を向上させるために用いられるエネルギー吸収デバイスであり、デバイス自体が平面骨組を構成しており、図7に示すように、第1の柱部材3と第2の柱部材4が対面するように配置されていて、各柱部材の上端部がつなぎ梁31で連結され、各柱部材の下端部がつなぎ梁32で連結されている。そして、第1の柱部材3は、断面形状がH形でその強軸方向が面内に向けられていると共に、2本のブレース10,11が取り付いて偏心K形ブレース構造(第1の柱部材3、ブレース10、ブレース11の3者の軸心が一点に会していないK形ブレース構造)を形成し、その2本のブレース10,11が取り付く間のウェブ50がせん断パネルとなってエネルギーを吸収するようになっている。一方、第2の柱部材4は、断面形状がH形でその強軸方向が面外に向けられていると共に、面内への座屈を防止する座屈拘束材19が配設されている。
(本発明と第1従来例との違い)
:本発明は、耐震壁(高耐力性能)。第1従来例は制振壁(エネルギー吸収性能)。
:(ブレース配置)本発明は(木構造)柱幅より外壁側に設置。第1従来例は(鉄骨構造体柱)壁内に設置。
:(2つのブレースと柱芯の偏芯)本発明は偏芯を少なくして降伏耐力を上げる。第1従来例は偏芯をさせることでパネル部を早めに変形させ降伏耐力を低くしている。
(本発明と第2従来例との違い)
:(ブレース配置)本発明は(木構造)柱幅より外壁側に設置。第2従来例は(鉄骨造壁構造体)壁パネル内部に設置。
(本発明と第2従来例との共通点)
:(耐力壁)高い耐力性能(降伏耐力)を目指す
:(圧縮力に抵抗)ブレースは引張力だけでなく圧縮力に対しても抵抗させる。
:(ブレース形状)軽みぞ形鋼等の形鋼を採用
すなわち、図7で示される制震パネルの場合、四角枠内にK型にブレース10,11を配置しているが、制震パネル面内の座屈防止のための座屈拘束材19を設けなければならず、四角枠のウェブ50によってエネルギーを吸収する構成で、このウェブ50の近傍には複数のリブ51と当て板52を設けなければならず、構造が複雑となっていた。
また、前述のいずれの従来構成においても、一対のブレースが用いられているが、各ブレースの配置は構造体の柱壁内への設置や壁パネルの壁体内部への設置であり、木造軸組み建築物への適用にあたっての、高耐力パネルを構成するための最適鋼種についてや、建物に作用する水平外力へ抵抗するための最適な鋼製部材構成については何ら配慮されていなかった。
次に、本発明と従来構成との比較について述べる。
(ブレース設置位置による従来問題の解決)
本発明による同縁ブレース耐震壁の設置位置は、柱壁幅内ではなく、建築物の柱面より外側である。
新築工事において、通常の木造軸組み建築物の耐力壁の仕様ならびに外装仕上げ材の施工手順は、柱壁幅内側に筋交いを設置して耐力壁とし、そして金属サイディング等の外装仕上げ材は、柱面上に胴縁を取り付けた上面に施工している。
また別の仕様としては、柱面の外側に構造用合板等の面材を張って耐力壁とし、面材の上に胴縁を取り付け、さらにその上に外装仕上げとして金属サイディングや窯業系サイディング等を施工する方法がある。この方法での不具合は、一続きの外壁面に対し仕上げ面の凹凸を出さないようにするため、部分的な構造用合板の設置施工が出来なかった。
それに対し本発明は、通常の外装仕上げ材の下地となる胴縁のスペースにブレースを設置することで、一続きの外壁面に対し仕上げ面に対し部分的な設置でも外壁面の凹凸を出すことなく高耐力な耐震壁を形成することができる。また、構造用合板の板厚分の外壁厚さ増加がなくなり、さらにその重量分の負担が軽減できる。
改修工事にあたって、これまで既存外壁を残したまま新しく外装材を張る場合は、窯業系サイディングを採用するのでは既存建物への重量負担が大きく、重量の軽い金属サイディングが多く採用されてきた。ただこの場合は、外装仕上げ面の改装にとどまり、耐震補強となる耐力壁の耐力増加は期待できなかった。
改修工事で本発明を採用した場合、既存外壁仕上げ面の上から胴縁ブレース耐震壁を施工することで高耐力な耐震改修が行うことができるのと同時に、その上に重量の軽いサイディングを張って外装改修も行うことが可能となった。また、各木柱の下部に設けた一対の下部金具が木柱の下部と土台とを一体状に接続することにより、耐震強度が大幅に向上する。
また、胴縁ブレース耐震壁が上下に分割されているため、工事がしやすく、運搬も容易である。
本発明の胴縁ブレース耐震壁には、高耐力化のために圧縮力も負担するブレースとしており、その最適鋼種を400N級、440N級、490N級、540N級及び590N級の何れかの高張力鋼としている。
ブレースの立面配置を2個の三角形部とすることにより、建物へ水平方向に力が作用したときにブレースへ作用する引張力と圧縮力に対して同時に抵抗して、高耐力な耐震壁になっている。
ブレース断面は、耐震壁として必要な耐力に応じた軽みぞ形鋼等の形鋼形状とし、さらに部材接合収まりに適したものとしている。
引張力に対しては通常のブレース同様に、鋼材の引張強さに応じた耐力で抵抗し、高張力鋼とすることでより大きな耐力を持つ耐震壁となる。
さらに圧縮力に対しても、ブレースを固定する距離等で定まる細長比を限界細長比以下にすることで、鋼材の引張強さに応じた弾性座屈耐力以上の力で抵抗させることが可能となり、高耐力な耐震壁にもできる。
ブレースの高張力鋼を採用することで単位面積あたりの耐力が増加し、同等の耐力を持つ耐力壁よりブレースの板厚や断面積が少なくすることができる。このブレースの薄肉化により、さらに耐震壁の軽量化が計られ、工場での部材製作、部材運搬、現場での施工性等について格段の優位性を持つことになる。
本発明では、外側に金属サイディング、窯業系サイディング、セメント系サイディング、構造用合板等の何れかのサイディングからなる面材がドリルねじ等で取り付けられることで、胴縁ブレースの耐力に加えて面材のせん断耐力も加算されて耐力壁の高性能化が図られる。
本発明の鋼製胴縁にワンタッチ目地ジョイナーキャップ等が接合固定されて外装仕上げが行われる仕様の場合、ドリルねじのねじ頭隠し、さらにサイディング同士の接合目地部分隠しとして有用である。また同様にワンタッチ目地ジョイナーキャップ仕様で、高い固定度でワンタッチ目地ジョイナーキャップ等により取り付けられるケースでは、サイディング同士の接合目地部分隠しとして有用である。
さらに、サイディング等の面材が胴縁ブレース耐力壁の上に覆われるとき、圧縮力に作用するブレースの面外変形カバーとしても機能し、より耐震壁として高耐力化が図れる。
胴縁ブレース耐震壁の各鋼板部位は、Znめっき、Alめっき、Zn−Al合金めっき、あるいはZn−Al−Mg合金めっきが施された高耐食性鋼板である。
胴縁ブレース耐震壁の各鋼板部位の接合は、ドリルねじやリベット等による無溶接接合としている。溶接接合ではないため、溶接後のめっき補修は必要なく作業手間の軽減につながっている。また組立て場所についても溶接設備が必要でないため、工場あるいは現場での接合組立てが可能となっている。
すなわち、互いに間隔をあけて土台上で鉛直方向に配設された第1、第2木柱のうち前記第1木柱に設けられ互いに独立して設けられた上部縦枠及び下部縦枠と、前記上部縦枠の上部に設けられた第1上部金具と、前記上部縦枠の下部に設けられた上部中間金具と、前記第1上部金具と前記第2の木柱の上部に設けられた第2上部金具との間を接続するための上部横枠と、前記上部中間金具と前記第2上部金具間を接続する上部斜材と、前記下部縦枠の下部に設けられた第1下部金具と、前記下部縦枠の上部に設けられた下部中間金具と、前記第1下部金具と前記第2の木柱の下部に設けられた第2下部金具との間を接続するための下部横枠と、前記下部中間金具と前記第2下部金具間を接続する下部斜材とを備え、前記第1上部金具、上部中間金具、下部中間金具および第1下部金具は前記第1木柱に固定され、前記第2上部金具および第2下部金具は前記第2木柱に固定され、前記上部縦枠、上部横枠および上部斜材で上部三角形部を形成し、前記下部縦枠、下部横枠および下部斜材で下部三角形部を形成し、前記上部三角形部および下部三角形部は互いに独立して胴縁ブレース耐震壁を構成することができ、木造柱幅より外壁側に設置できるため、木造軸組み構造における新築時及び改築時における高強度の耐力壁を簡単に構成することができる。
また、胴縁ブレース耐力壁が上下二段の三角形部に分割されているため、運搬が容易であると共に、木柱の高さに応じて上下二段とする三角形部間の距離を変えることができ、木柱の高さに可変的に対応することができる。
また、前記第1下部金具は、前記土台および第1木柱に木ねじを介して固定され、前記第2下部金具は、前記土台および第2木柱に木ねじを介して固定され、前記第1上部金具は、梁および第1木柱に固定され、前記第2上部金具は前記梁および第2木柱に固定されていることにより、木柱の上部と梁を接続することができ、ならびに木柱の下部と土台を接続することができ、木柱の上部と梁の接続ならびに木柱の下部と土台の接続によって他の柱固定金具を必要とせずに耐力壁の強度を大幅に向上させることができる。
また、前記第2上部金具と第2下部金具との間は互いに独立した上部横材用縦枠と下部横材用縦枠が設けられ、前記上部縦枠と上部横材用縦枠との間は上部中間水平横材によって接続され、前記上部斜材と上部中間水平横材とは上部接続部によって接続され、前記下部縦枠と下部横材用縦枠との間は下部中間水平横材によって接続され、前記下部斜材と下部中間水平横材とは下部接続部によって接続されていることにより、上部中間水平横材及び下部中間水平横材を介して胴縁ブレース耐震壁の耐震強度を大幅に向上させることができる。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは1階においては土台であり、2階においては梁であるが、ここでは1階の場合について説明する。
前記土台1上には、互いに間隔をあけて鉛直方向に配設された第1木柱3Aおよび第2木柱4Aが軸組みによって設けられている。
前記第1、第2木柱3A,4Aの外側の面には、本発明による胴縁ブレース耐震壁30を形成するため、互いに独立して形成された上部三角形部60及び下部三角形部61が設けられている。
尚、一例として、前記上部斜材10および下部斜材11は断面コ字型で形成され、この断面コ字型の形状は、図示のものに限らず、リップのないもの或いはリブのないもの等も採用できる。
図5において、符号70aで示されるものは上部横材用縦枠であり、符号70bで示されるものは下部横材用縦枠であり、この上部横材用縦枠70aは前記第2上部金具64と第2下部金具67との間に設けられ、前記上部縦枠3と上部横材用縦枠70aとの間は上部中間水平横材71によって接続され、上部斜材10と前記上部中間水平横材71とは鋼板ねじ62aによる上部接続部72によって接続されている。
また、前記下部縦枠3aと下部横材用縦枠70bとの間は下部中間水平横材73によって接続され、下部斜材11と前記下部中間水平横材73とは鋼板ねじ62aによる下部接続部74によって接続されている。
すなわち、図1および図5および図6においては、各木柱3A,4Aの外壁側面と上部縦枠3、下部縦枠3aおよび上部横材用縦枠70aおよび下部横材用縦枠70bと第1上部金具63、第2上部金具64、第1下部金具66および第2下部金具67との間には、窯業系サイディング用胴縁100と窯業系サイディング80を挟持した状態で施工された場合を示している。
次に、第1下部金具66を土台1と第1木柱3Aに木ねじ62で固定すると共に、第2下部金具67を土台1と第2木柱4Aに木ねじ62を介して固定する。
従って、本発明による胴縁ブレース耐力壁30は、新築、改築を問わず、全ての木造建築の壁に耐力性を付加して耐震性を向上することができると共に、また、モルタル等の外壁の外面からも胴縁ブレース耐力壁30を取り付けることができ、既存の建物の耐震性の向上を容易に得ることができる。また、胴縁ブレース耐力壁30の外側に仕上げる外壁は、新築で外壁重量の制約がない場合は、金属サイディング以外の窯業系サイディング等を取り付けて、耐震工事を完了することができる。
すなわち、互いに間隔をあけて土台1上で鉛直方向に配設された第1、第2木柱3A,4Aのうち前記第1木柱3Aに設けられ互いに独立して設けられた上部縦枠3及び下部縦枠3aと、前記上部縦枠3の上部に設けられた第1上部金具63と、前記上部縦枠3の下部に設けられた上部中間金具5Aと、前記第1上部金具63と前記第2木柱4Aの上部に設けられた第2上部金具64との間を接続するための上部横枠65と、前記上部中間金具5Aと前記第2上部金具64間を接続する上部斜材10と、前記下部縦枠3aの下部に設けられた第1下部金具66と、前記下部縦枠3aの上部に設けられた下部中間金具5Bと、前記第1下部金具66と前記第2木柱4Aの下部に設けられた第2下部金具67との間を接続するための下部横枠68と、前記下部中間金具5Bと前記第2下部金具67間を接続する下部斜材11とを備え、前記第1上部金具63、上部中間金具5A、下部中間金具5Bおよび第1下部金具66は前記第1木柱3Aに固定され、前記第2上部金具64および第2下部金具67は前記第2木柱4Aに固定され、前記上部縦枠3、上部横枠65および上部斜材10で上部三角形部を形成し、前記下部縦枠3a、下部横枠68および下部斜材11で下部三角形部61を形成し、前記上部三角形部60および下部三角形部61は互いに独立している構成であり、また、前記第1下部金具66は、前記土台1および第1木柱3Aに固定され、前記第2下部金具67は、前記土台1および第2木柱4Aに固定され、前記第1上部金具63は、前記梁2および第1木柱3Aに固定され、前記第2上部金具64は前記梁2および第2木柱4Aに固定されている構成であり、また、前記第2上部金具64と第2下部金具67との間は互いに独立した上部横材用縦枠70aと下部横材用縦枠70bが設けられ、前記上部縦枠3と上部横材用縦枠70aとの間は上部中間水平横材71によって接続され、前記上部斜材10と上部中間水平横材71とは上部接続部72によって接続され、前記下部縦枠3aと下部横材用縦枠70bとの間は下部中間水平横材73によって接続され、前記下部斜材11と下部中間水平横材73とは下部接続部74によって接続されている構成である。
2 梁
3 上部縦枠
3A 第1木柱
3a 下部縦枠
3Aa 第1木柱上部
3Ab 第1木柱下部
4A 第2木柱
4Aa 第2木柱上部
4Ab 第2木柱下部
5A 上部中間金具
5B 下部中間金具
10 上部斜材(ブレース)
11 下部斜材(ブレース)
30 胴縁ブレース耐震壁
60 上部三角形部
61 下部三角形部
62 木ねじ
62a 鋼板ねじ
63 第1上部金具
64 第2上部金具
65 上部横枠
66 第1下部金具
67 第2下部金具
68 下部横枠
70a 上部横材用縦枠
70b 下部横材用縦枠
71 上部中間水平横材
72 上部接続部
73 下部中間水平横材
74 下部接続部
80 窯業系サイディング
81 金属サイディング
100 窯業系サイディング用木胴縁
101 金属サイディング用木胴縁
Claims (3)
- 互いに間隔をあけて土台(1)上で鉛直方向に配設された第1、第2木柱(3A,4A)のうち前記第1木柱(3A)に設けられ互いに独立して設けられた上部縦枠(3)及び下部縦枠(3a)と、前記上部縦枠(3)の上部に設けられた第1上部金具(63)と、前記上部縦枠(3)の下部に設けられた上部中間金具(5A)と、前記第1上部金具(63)と前記第2木柱(4A)の上部に設けられた第2上部金具(64)との間を接続するための上部横枠(65)と、前記上部中間金具(5A)と前記第2上部金具(64)間を接続する上部斜材(10)と、前記下部縦枠(3a)の下部に設けられた第1下部金具(66)と、前記下部縦枠(3a)の上部に設けられた下部中間金具(5B)と、前記第1下部金具(66)と前記第2木柱(4A)の下部に設けられた第2下部金具(67)との間を接続するための下部横枠(68)と、前記下部中間金具(5B)と前記第2下部金具(67)間を接続する下部斜材(11)とを備え、
前記第1上部金具(63)、上部中間金具(5A)、下部中間金具(5B)および第1下部金具(66)は前記第1木柱(3A)に固定され、前記第2上部金具(64)および第2下部金具(67)は前記第2木柱(4A)に固定され、
前記上部縦枠(3)、上部横枠(65)および上部斜材(10)で上部三角形部を形成し、前記下部縦枠(3a)、下部横枠(68)および下部斜材(11)で下部三角形部(61)を形成し、前記上部三角形部(60)および下部三角形部(61)は互いに独立していることを特徴とする胴縁ブレース耐震壁。 - 前記第1下部金具(66)は、前記土台(1)および第1木柱(3A)に固定され、前記第2下部金具(67)は、前記土台(1)および第2木柱(4A)に固定され、前記第1上部金具(63)は、梁(2)および第1木柱(3A)に固定され、前記第2上部金具(64)は前記梁(2)および第2木柱(4A)に固定されていることを特徴とする請求項1記載の胴縁ブレース耐震壁。
- 前記第2上部金具(64)と第2下部金具(67)との間は互いに独立した上部横材用縦枠(70a)と下部横材用縦枠(70b)が設けられ、前記上部縦枠(3)と上部横材用縦枠(70a)との間は上部中間水平横材(71)によって接続され、前記上部斜材(10)と上部中間水平横材(71)とは上部接続部(72)によって接続され、前記下部縦枠(3a)と下部横材用縦枠(70b)との間は下部中間水平横材(73)によって接続され、前記下部斜材(11)と下部中間水平横材(73)とは下部接続部(74)によって接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の胴縁ブレース耐震壁。
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