JPH1160918A - 難燃性のポリエステルポリオール組成物 - Google Patents

難燃性のポリエステルポリオール組成物

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JPH1160918A JP9217237A JP21723797A JPH1160918A JP H1160918 A JPH1160918 A JP H1160918A JP 9217237 A JP9217237 A JP 9217237A JP 21723797 A JP21723797 A JP 21723797A JP H1160918 A JPH1160918 A JP H1160918A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低粘度物性でかつ難燃性であり、かつ原料と
して使用し硬質ウレタンフォームを形成した場合にフォ
ーム体を難燃性となし得るポリエステルポリオール組成
物を提供する。 【解決手段】 フェノキシアルコールから選ばれる1種
以上の化合物を、多塩基酸から選ばれる1種以上の化合
物と多価アルコールから選ばれる1種以上の化合物とと
もに反応させて得られた難燃性のポリエステルポリオー
ル組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性のポリエス
テルポリオール組成物に関し、詳しくは、難燃性の硬質
ウレタンフォーム(以下、単にフォーム体ともいう。)
の製造原料となし得るポリエステルポリオール組成物に
係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、硬質ウレタンフォームは、その優
れた断熱性能により、ビルや住宅などの断熱材として広
く使用されている。硬質ウレタンフォームの製造原料と
しては、芳香族ポリイソシアネート及びポリオール成分
の主成分と発泡剤、触媒、整泡剤などの各種添加剤が用
いられる。
【0003】このうちポリオール成分としてはポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオールなどから成
り、1種またはこれらを2種以上組み合わせて用いられ
る。
【0004】本来、硬質ウレタンフォームは可燃物であ
るため、ビルや住宅などの断熱材として使用する場合に
は燃えにくくする必要がある。従来、硬質ウレタンフォ
ームを燃えにくくする方法としては、有機リン酸エステ
ル系の難燃剤を使用するのが一般的である。またポリオ
ール成分に関しては、ポリオール成分にポリエステルポ
リオールを用い、そのポリエステルポリオールの割合を
多くする方法、つまり、分子中に芳香族を導入したポリ
エステルポリオールで、かつ、その芳香族の濃度が高い
ポリエステルポリオールを用いるのが一般的な方法であ
る。
【0005】ポリエステルポリオールの分子中に芳香族
を導入する方法としては、原料の酸成分として用いられ
る多塩基酸に芳香族多塩基酸を用いるという方法が一般
的に知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法でポリエステルポリオールを改良する方法はポリオ
ールの粘度が上昇してしまうため、硬質ウレタンフォー
ムの原料である芳香族ポリイソシアネートとの相溶性、
現場作業性、フォーム体製造マシンの制限などの問題点
が発生する。また、有機リン酸エステル系の難燃剤を増
量する方法はフォーム体物性の低下、コスト高などの問
題点が発生するため、硬質ウレタンフォームの難燃性能
の向上には限界が生じてしまう。
【0007】そこで本発明の課題は、従来のポリエステ
ルポリオールを改良して、低粘度物性でかつ難燃性であ
り、かつ原料として使用し硬質ウレタンフォームを形成
した場合にフォーム体を難燃性となし得るポリエステル
ポリオール組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に、請求項1の発明のポリエステルポリオール組成物
は、フェノキシアルコールから選ばれる1種以上の化合
物を、多塩基酸から選ばれる1種以上の化合物と多価ア
ルコールから選ばれる1種以上の化合物とともに反応さ
せて得られ、一般式が、
【化3】 (ただし、式中Rは炭素数2〜16個の脂肪族炭化水
素、及び/又は含酸素脂肪族炭化水素を示し、Aはフェ
ニル基、及び/又はアルキル基、及び/又はアルキレン
基を示し、Xは1〜5個以上の水酸基、及び/又はフェ
ノキシ基を示し、Pは水素、及び/又は−CO−O−R
−Xで表わされる基、及び/又は
【化4】 で表わされる基を示し、nは1〜5を示し、mは1〜4
を示す。)で表わされることを特徴とする。
【0009】このポリエステルポリオール組成物は低粘
度であり、かつ硬質ウレタンフォームの原料として使用
した場合、フォーム体は優れた難燃性能となし得る。
【0010】前記課題を達成するために、請求項2の発
明のポリエステルポリオール組成物は、請求項1の発明
において、フェノキシアルコールが反応混合物の重量に
対して1〜60重量%の割合で反応させて得られたこと
を特徴とする。
【0011】このポリエステルポリオール組成物は、硬
質ウレタンフォームの原料とした場合、フォーム物性を
低下させない物性を有する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、アルコール成分に多価
アルコールとフェノキシアルコールを用い、種々の多塩
基酸とのエステル化反応により得られた末端に水酸基を
有するポリエステルポリオールであり、フェノキシアル
コールが分子鎖の末端カルボン酸とエステル化反応する
ことにより、高分子量化を抑えるため、ポリオールの低
粘度化を実現し、かつ、分子中の芳香族濃度を高くする
ことができるため、硬質ウレタンフォームの原料に使用
したときの難燃性に優れたポリエステルポリオールとす
ることができる。
【0013】本発明で上記の性能を発揮するために使用
されるフェノキシアルコールとしては、メチレングリコ
ールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエ
ーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルな
どに代表されるポリオキシアルキレンモノフェニルエー
テルや、メチレングリコールノニルフェニルエーテル、
エチレングリコールノニルフェニルエーテル、プロピレ
ングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレング
リコールノニルフェニルエーテルなどに代表されるポリ
オキシアルキレンアルキルフェニルエーテルがあげら
れ、1種または2種以上用いられる。
【0014】上記フェノキシアルコールの反応混合物の
重量に対する割合は、請求項2に記載のとおりであり、
1%未満では難燃性能の向上は見られず、また、60%
を越えると難燃性能向上は頭打ちとなるばかりか、フォ
ーム体とした場合のフォーム物性が著しく低下してしま
う。そのため、望ましくは3〜40%である。
【0015】また、同時に使用される多塩基酸として
は、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリ
メリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、フマル酸、無水マレイン酸などがあげられ、1種
または2種以上用いられる。
【0016】上記酸成分とエステル化反応させる多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、トリエタノールアミン、ジグリセリ
ン、ペンタエリスリトール、メチルグリコシドなどがあ
げられ、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0017】上記フェノキシアルコール、多塩基酸と多
価アルコールの反応は通常のエステル化反応によって行
われる。すなわち、酸成分とアルコール成分をエステル
化触媒を用いて、エステル化反応を行い、ポリエステル
ポリオールを得る。また、エステル化以外の方法として
は、繊維、ペットボトル等に代表されるポリエステル樹
脂を、多価アルコールにてエステル交換反応する際、多
価アルコールの一部をフェノキシアルコールに置き換え
てエステル交換反応しても、本発明のポリエステルポリ
オールが得られる。
【0018】上記記載のエステル化触媒としては、パラ
トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、ルイス酸、有機スズ
化合物、有機チタン系化合物、活性白土、酸性イオン交
換樹脂などが使用できる。
【0019】上記フェノキシアルコールとしては、反応
のしやすさにより、望ましくはエチレングリコールモノ
フェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニル
エーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテ
ルがあげられる。多塩基酸では無水フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、アジピン酸が望ましい。多価アル
コールではエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロ
ールプロパンが望ましい。
【0020】本発明のポリエステルポリオールの樹脂物
性に関して、水酸基価は酸成分とアルコール成分のモル
比によって高いものから低いものまで生成することは可
能であるが、50〜500(KOHmg/g)が望まし
い。酸価は4.0(KOHmg/g)以下、水分は0.
1(%)以下が望ましい。
【0021】また、本発明は以下の態様とすることがで
きる。 (イ)フェノキシアルコールとして、エチレングリコー
ルモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフ
ェニルエーテル及びポリエチレングリコールモノフェニ
ルエーテルの群中より選択した1種以上の化合物が用い
られてなる請求項1または請求項2に記載のポリエステ
ルポリオール組成物。これらの化合物を用いた場合には
反応性が良好で製造時間を短くして良好なポリエステル
ポリオール組成物が得られる。
【0022】(ロ)多塩基酸として、無水フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸及びアジピン酸の群中より選
択した1種以上の化合物が用いられてなる請求項1又は
請求項2に記載のポリエステルポリオール組成物。これ
らの化合物を用いた場合は、反応時間を短くして良好な
ポリエステルポリオールが得られる。
【0023】(ハ)多価アルコールとして、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、グリセリン及びトリメチロールプロパンの群中より
選択した1種以上の化合物が用いられてなる請求項1又
は請求項2に記載のポリエステルポリオール組成物。こ
れらの化合物を用いた場合は、反応時間を短くして良好
なポリエステルポリオール組成物が得られる。
【0024】(ニ)前記(イ)(ロ)(ハ)に基づいて
なる請求項1又は請求項2に記載のポリエステルポリオ
ール組成物。こうした場合には反応時間を非常に短くし
て良好なポリエステルポリオール組成物を得ることがで
きる。
【0025】次に、本発明の実施例および比較例を説明
する。
【0026】実施例1 ジムロート冷却器を接続した1リットル四つ口フラスコ
に、プロピレングリコールモノフェニルエーテル49g
(5重量%)、テレフタル酸622g、エチレングリコ
ール464g、触媒(有機スズ化合物)1.5gを充填
し混合物を攪拌しながら窒素気流下で加熱脱水反応させ
る。加熱脱水反応は窒素気流下、常圧の220〜230
℃で3〜4時間加熱した。その結果、表1の実施例に示
すポリエステルポリオールAを得た。
【0027】実施例2 プロピレングリコールモノフェニルエーテル298g
(30重量%)、テレフタル酸459g、エチレングリ
コール343g、触媒(有機スズ化合物)1.5gを実
施例1と同様の反応装置と方法により、表1の実施例に
示すポリエステルポリオールBを得た。
【0028】実施例3 プロピレングリコールモノフェニルエーテル88g(1
0重量%)、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレー
ト)595g、トリエチレングリコール350g、触媒
1.5gを実施例1と同様の反応装置を用いエステル交
換反応した結果、表1の実施例に示すポリエステルポリ
オールCを得た。
【0029】実施例4 Dean−Stark水分離器を接続した1リットル四
つ口フラスコに、エチレングリコールノニルフェニルエ
ーテル298g(30重量%),テレフタル酸432
g,エチレングリコール370g、触媒(パラトルエル
スルホン酸)1.5gを充填し、トルエンを加え加熱脱
水反応させる。この加熱脱水反応は常圧の150℃で3
〜4時間加熱した。次いでこの処理物を脱トルエンした
後、表1の実施例に示すポリエステルポリオールDを得
た。
【0030】比較例1 プロピレングリコールモノフェニルエーテル5g(0.
5重量%)、テレフタル酸655g、エチレングリコー
ル488g、触媒1.5gを実施例1と同様の反応装置
と方法により、表1の比較例に示すポリエステルポリオ
ールEを得た。
【0031】比較例2 プロピレングリコールモノフェニルエーテル680g
(63重量%)、テレフタル酸264g、エチレングリ
コール199g、触媒1.5gを実施例1と同様の反応
装置と方法により、表1の比較例に示すポリエステルポ
リオールFを得た。
【0032】比較例3 テレフタル酸654g、エチレングリコール488g、
触媒1.5gを実施例1と同様の反応装置と方法によ
り、表1の比較例に示すポリエステルポリオールGを得
た。
【0033】前記した実施例1〜4および比較例1〜3
で得られた各ポリエステルポリオールの樹脂物性は表1
に示すとおりであった。
【表1】
【0034】また、実施例1〜4および比較例1〜3に
て得た各ポリエステルポリオールを原料として硬質のウ
レタンフォームを作り、得られた各ウレタンフォームに
ついて燃焼試験を行った。前記ウレタンフォームの製法
はイソシアネート、ポリオール、触媒、発泡剤及び整泡
剤を表2の処方により配合し、成形型内にて発泡させて
フォーム体とした。
【表2】
【0035】使用原料 ポリエステルポリオール;実施例1〜4及び比較例1〜
3で得たポリエステルポリオール。 ポリエーテルポリオール A;EL−455AR(旭硝
子(株)製のポリエーテルポリオール)。 ポリエーテルポリオール B;EL−455S(旭硝子
(株)製のポリエーテルポリオール)。 触媒;POLYCAT−43(サンアプロ(株)製) 整泡剤;SH−193(東レ・ダウコーニング・シリコ
ーン(株)製) 発泡剤;フロン HCFC−141b(ダイキン工業
(株)製) イソシアネート;MILLIONATE MR−100
(日本ポリウレタン工業(株)製) このウレタンフォームの燃焼試験の結果は表3に示すと
おりである。
【表3】 なお、燃焼性能の評価はJIS A 1321に準じて
行い、CA値(発煙係数)、tdθ(温度時間面積)、
残炎の測定値より燃焼性能を判別した。
【0036】表1において、従来のポリエステルポリオ
ール(比較例G)と本実施例A〜Dのフェノキシアルコ
ールを使用したポリエステルポリオールを比較すると、
実施例のポリエステルポリオールは、いずれも同じ水酸
基価でありながら低粘度となっていることがわかる。
【0037】表3において、比較例1のポリエステルポ
リオール(E)では、難燃性能の向上、樹脂粘度の低下
の効果は薄く、比較例2のポリエステルポリオール
(F)では、難燃性能の向上、樹脂の粘度低下に効果は
みられるものの、フォームの常温での収縮、強度等にお
いて明らかにフォーム物性の低下がみられ、組成物重量
に対しフェノキシアルコールが1〜60重量%の範囲外
では性能の向上は望めないことが確認された。なおフォ
ーム収縮については、発泡後室温において体積変化率で
5%以上収縮したものを×とした。各実施例のポリエス
テルポリオールのフォーム体は収縮が少なくて良好であ
った。
【0038】
【発明の効果】請求項1及び請求項2の発明のポリエス
テルポリオールは、原料のアルコール成分にフェノキシ
アルコールを一部使用したことにより、イソシアネート
と反応させた硬質ウレタンフォームの燃焼性能を向上さ
せ、かつ、低粘度のポリオールとなし得た。したがっ
て、難燃性能の要求されるビルや住宅などの断熱材とし
て使用されている硬質ウレタンフォームの原材料として
使用することができる。
【0039】請求項2の発明によれば、硬質ウレタンフ
ォームの原料に使用した場合、フォーム物性を低下させ
ることなく難燃性を確保させ得る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノキシアルコールから選ばれる1種
    以上の化合物を、多塩基酸から選ばれる1種以上の化合
    物と多価アルコールから選ばれる1種以上の化合物とと
    もに反応させることより得られ、一般式が 【化1】 (ただし、式中Rは炭素数2〜16個の脂肪族炭化水
    素、及び/又は含酸素脂肪族炭化水素を示し、Aはフェ
    ニル基、及び/又はアルキル基、及び/又はアルキレン
    基を示し、Xは1〜5個の水酸基、及び/又はフェノキ
    シ基を示し、Pは水素、及び/又は−CO−O−R−X
    で表わされる基、及び/又は 【化2】 で表わされる基を示し、nは1〜5を示し、mは1〜4
    を示す。)で表されることを特徴とするポリエステルポ
    リオール組成物。
  2. 【請求項2】 フェノキシアルコールが反応混合物の重
    量に対して1〜60重量%の割合で反応させて得られた
    ことを特徴とする請求項1に記載のポリエステルポリオ
    ール組成物。
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