JPH1158937A - 記録用シートおよびその製造方法 - Google Patents

記録用シートおよびその製造方法

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JPH1158937A
JPH1158937A JP9225446A JP22544697A JPH1158937A JP H1158937 A JPH1158937 A JP H1158937A JP 9225446 A JP9225446 A JP 9225446A JP 22544697 A JP22544697 A JP 22544697A JP H1158937 A JPH1158937 A JP H1158937A
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water
ink
cellulose
recording sheet
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JP9225446A
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English (en)
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Seiji Mizumoto
清治 水元
Masatake Kudou
眞丈 工藤
Hiroki Taniguchi
寛樹 谷口
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録用シートにおいて、耐水
性、インク吸収性およびインク定着性を改善する。 【解決手段】 基材の少なくとも一方の面に、非水溶性
セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースの第4
級アンモニウム塩など)と有機溶媒に可溶な親水性高分
子(ポリビニルピロリドンなど)とで構成されたインク
吸収層を形成し、記録用シートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録用シートおよ
びその製造方法、さらに詳しくはインクの吸収性、耐水
性に優れたインクジェット記録に有用な記録用シートお
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、フルカラー
化が容易であり、低騒音で印字品質に優れていることか
ら、近年急速に普及している。インクジェット記録に
は、安全性、記録適性の点から主に水系インクが使用さ
れ、ノズルから記録用シートに向けてインク小滴を飛翔
させることにより記録が行われる。このため記録用シー
トは、速やかにインクを吸収することが要求される。す
なわち、インク吸収性の低い記録用シートでは、記録終
了後もインクが記録用シートの表面に長時間残り、装置
の一部への接触、取り扱い者の接触や、記録シートの重
ね合わせにより、記録部分が汚れる。また、高密度画像
部では、多量に供給されたインクが吸収されないまま混
合して流れだし、不鮮明な画像となる。このため、基材
上に水溶性あるいは親水性樹脂からなるインク吸収層を
設けることによりインク吸収性を得ている。一方、記録
用シートには、耐水性が要求される。すなわち、水が付
着しても、インク受像層が溶解しない耐水性と、水溶性
インクが溶出しないインク定着性が要求される。
【0003】例えば、特開昭61−287782号公報
には、透明なシート状支持体に、水溶性セルロース誘導
体を含有する光透過性のインク受像層を形成したインク
ジェット記録用シートが開示されている。この文献に
は、インク受像層に水溶性高分子などを併用してもよい
ことが記載されている。特開昭61−193879号公
報には、インク吸収層に水溶性セルロースとポリビニル
ピロリドンとで構成したインクジェット記録用シートが
開示されている。特開平2−11384号公報には、イ
ンク受像層に、顔料である合成ケイ酸微粒子と水溶性高
分子と疎水性基を有する水溶性セルロース誘導体を含有
させたインクジェット記録用シートが開示されている。
この文献には、インク受像層にカチオン性水溶性高分子
やカチオン性酢酸ビニル共重合体を添加することが好ま
しいと記載されている。特開平7−179028号公報
には、インク受理層にゼラチンと水溶性セルロース誘導
体の混合物を含有するインクジェット記録用シートが開
示されている。この文献には、インク受像層に透明顔料
や水溶性高分子などを含有させてもよいことが記載され
ている。これらの記録用シートでは、インクの吸収性が
ある程度改善できる。しかし、インク受像層に水溶性セ
ルロース誘導体を用いるため、高い耐水性が期待できな
い。
【0004】特開昭63−191670号公報には、非
水溶性であるカルボキシメチルセルロースの第4級アン
モニウム塩を含有するインクジェット記録用シートが開
示され、特開昭63−191672号公報には、非水溶
性であるカルボキシメチルセルロース誘導体(ヒドロキ
シアルキルカルボキシメチルセルロースなど)の第4級
アンモニウム塩を含有するインクジェット記録用シート
が開示されている。これらの記録用シートでは、インク
の定着性と耐水性をある程度改善できる。しかし、非水
溶性であるカルボキシメチルセルロースの第4級アンモ
ニウム塩は親水性であるもののインク吸収性が十分でな
い。そのため、記録終了後もインクが吸収されないまま
受像層の表面に残り、次第に混合して流れ出し、不鮮明
な画像となる。
【0005】特開平8−207428号公報には、イン
ク受容層がアルコールに可溶な水溶性樹脂とセルロース
ナイトレートカルボキシメチルエーテルを含有するイン
クジェット記録用シートが開示されている。この記録用
シートでは、インク吸収性と耐水性が改善できる。しか
し、インク定着性が期待できないことに加えて、インク
吸収性と耐水性とを高度に改善するには未だ不十分であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、耐水性、インク吸収性およびインク定着性を高度に
改善できる記録用シートおよびその製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、非水溶性のセルロース
誘導体と有機溶媒に可溶な親水性高分子とを組み合わせ
ると、耐水性、インク吸収性およびインク定着性の特性
がともに顕著に向上することを見いだし、本発明を完成
した。すなわち、本発明の記録用シートは、基材の少な
くとも一方の面に、非水溶性のセルロース誘導体と有機
溶媒に可溶な親水性高分子とで構成されたインク吸収層
が形成されている。この記録用シートにおいて、非水溶
性のセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース
又はその誘導体の第4級アンモニウム塩などで構成で
き、親水性高分子は、ポリビニルピロリドンなどで構成
できる。本発明には、基材の少なくとも一方の面に、非
水溶性のセルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親水性高
分子とを含むインク吸収層を形成する記録用シートの製
造方法も含まれる。なお、本明細書において、「有機溶
媒に可溶な親水性高分子」とは有機溶剤に可溶であり、
かつ水に対して親和性を有する種々の高分子を意味す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の記録用シートは、基材と
インク吸収層を備えており、インク吸収層は、少なくと
も非水溶性のセルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親水
性高分子とで構成されている。このような記録シート
は、飛翔するインク小滴により記録するインクジェット
記録用シートとして有用である。
【0009】[基材]基材は、用途に応じて不透明、半
透明や透明であってもよく、オーバーヘッドプロジェク
ター(OHP)用に用いる場合には、通常、透明であ
る。基材の材質には特に制限はなく、基材としては、例
えば、紙、塗工紙、不繊布、プラスチックフィルムが挙
げられ、これらの基材のうちプラスチックフィルムが好
ましい。
【0010】プラスチックフィルムを構成するポリマー
としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニ
ルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、
酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリ
アルキレンナフタレートなど)、ポリカーボネート、ポ
リアミド(ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミ
ド6/10、ポリアミド6/12など)、ポリエステル
アミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルエステル等が挙げられ、さらに、これ
らの共重合体、ブレンド物、架橋物を用いてもよい。こ
れらのフィルムのうち、通常、ポリオレフィン(特にポ
リプロピレン)、ポリエステル(特にポリエチレンテレ
フタレートなど)、ポリアミドなどが使用され、特に機
械的強度、作業性などの点からポリエステル(特にポリ
エチレンテレフタレート)が好ましい。
【0011】基材の膜厚は、用途によって選択でき、通
常、5〜250μm、好ましくは10〜200μm程度
である。厚みが10μm未満であると、強度および剛性
面からプリンタへの挿入、シートの反り、およびシート
の取扱に困難をきたし、250μmより厚いと、1枚当
たりの価格が上昇するとともに、シートの重量増大に伴
って多数のシートの取扱い性、持運び性が低下する。
【0012】プラスチックフィルムには、必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、帯電
防止剤、顔料などの慣用の添加剤を添加してもよい。ま
た、インク吸収層との接着性を向上させるため、コロナ
放電処理やアンダーコート処理などの表面処理を行って
もよい。
【0013】[インク吸収層]インク吸収層は、少なく
とも非水溶性のセルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親
水性高分子とで構成すればよく、その種類は特に制限さ
れない。非水溶性のセルロース誘導体には、セルロース
骨格を有する非水溶性化合物、例えば、セルロースエス
テル類、セルロースエーテル類などが含まれ、これらの
非水溶性セルロース誘導体は、組合わせて使用してもよ
い。セルロースエステル類としては、例えば、セルロー
ス有機酸エステル(セルロースアセテート、セルロース
プロピオレート、セルロースブチレート、セルロースカ
プロレート、セルロースカプリレート、セルロースアセ
テートブチレート、セルロースアセテートプロピオレー
トなど)、無機酸エステル(セルロースニトレートな
ど)などが挙げられる。これらのセルロースエステル類
は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0014】セルロースエーテル類には、例えば、アラ
ルキルセルロース(ベンジルセルロース,フェネチルセ
ルロース,トリチルセルロースなど)、アルキルセルロ
ース(メチルセルロース,エチルセルロースなどのC
1-4 アルキルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロ
ース(ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピ
ルセルロースなどのヒドロキシC1-4 アルキルセルロー
スなど)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(ヒ
ドロキシエチルメチルセルロース,ヒドロキシエチルエ
チルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス,ヒドロキシプロピルエチルセルロースなどのヒドロ
キシC1-4 アルキルC1-4 アルキルセルロースなど)、
シアノアルキルセルロース(シアノエチルセルロースな
ど)、カルボキシアルキルセルロース、又はそれらの誘
導体もしくはそれらの塩(第4級アンモニウム塩など)
が含まれる。セルロースエーテル類の誘導体としては、
酸(酢酸,プロピオン酸,酪酸などのC1-4 有機酸エス
テル、これらの有機酸の混合酸、硫酸,硝酸などの無機
酸など)でエステル化されたセルロースエーテルエステ
ル誘導体が含まれる。これらのセルロースエーテル類は
単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0015】これらのセルロース誘導体のうち、カルボ
キシアルキルセルロース、特にカルボキシメチルセルロ
ース(以下、単にCMCと略称する場合がある)又はそ
の誘導体の塩(特に第4級アンモニウム塩)が好まし
い。CMC誘導体としては、例えば、アルキルカルボキ
シメチルセルロース類(メチルカルボキシメチルセルロ
ース、エチルカルボキシメチルセルロースなどのC1-3
アルキルカルボキシメチルセルロース類)、ヒドロキシ
アルキルカルボキシメチルセルロース類(ヒドロキシメ
チルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルカ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボ
キシメチルセルロースなどのヒドロキシC 1-3 アルキル
カルボキシメチルセルロース類)などが挙げられる。
【0016】CMC又はその誘導体において、無水グル
コース単位当たりのカルボキシメチル基の平均置換度
は、非水溶性が維持できる範囲、例えば、0.4〜3.
0、好ましくは0.7〜3.0、さらに好ましくは1.5
〜3.0程度の範囲から選択できる。また、CMC誘導
体において、カルボキシメチル基以外の置換基(アルキ
ル基やヒドロキシアルキル基など)の平均置換度は、例
えば、0.1〜1.5、好ましくは0.2〜1.0程度
の範囲から選択できる。CMC又はその誘導体の第4級
アンモニウム塩は、CMC又はその誘導体のナトリウム
塩と第4級アンモニウム塩との反応により合成できる。
【0017】第4アンモニウム塩としては、各種のアル
キル基又はアリール基を含む長鎖のアルキル基を有する
化合物が使用できる。第4級アンモニウム塩としては、
例えば、モノC8-20アルキルトリC1-2 アルキルアンモ
ニウム塩(ラウリルトリメチルアンモニウム塩、セチル
トリメチルアンモニウム塩、テトラデシルジメチルベン
ジルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウ
ム塩など)、ジC8-20アルキルジC1-2 アルキルアンモ
ニウム塩(ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジメ
チルオレイルリノリルアンモニウム塩など)、トリC
8-20アルキルモノC1-2 アルキルアンモニウム塩(トリ
ステアリルメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチル
アンモニウム塩、メチルトリラウリルアンモニウム塩な
ど)、トリC1-2 アルキルC6-12アリールアンモニウム
塩(トリメチルフェニルアンモニウム塩など)、N−C
8-20アルキル−窒素含有複素環化合物の塩(ラウリルピ
リジニウム塩、セチルピリジニウム塩などのN−C8-20
アルキルピリジニウム塩、ラウリルイソキノリニウム
塩、ラウリルニコチニウム塩、ラウリルキナルデイニウ
ム塩)、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩(ベ
ンザルコニウム塩などのC8-20アルキルベンジルジメチ
ルアンモニウム塩)、アルキルフェノキシエチルベンジ
ルジメチルアンモニウム塩(ベンゼトニウム塩などの4
−C1-10アルキルフェニルオキシエトキシエチルベンジ
ルジメチルアンモニウム塩、メチルベンゼトニウム塩、
ラウリルフェノキシエチルジメチルアンモニウム塩な
ど)などが挙げられる。第4級アンモニウム塩を構成す
る陰イオンとしては、塩素、臭素、フッ素などのハロゲ
ンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンなど
が利用できる。
【0018】これらの第4級アンモニウム塩は単独で又
は二種以上組合わせて反応に利用できる。
【0019】[親水性高分子]耐水性を損なうことなく
とインク吸収性を向上させるため、本発明では、前記非
水溶性のセルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親水性高
分子とを組み合わせてインク吸収層を形成する。有機溶
媒に可溶な親水性高分子としては、例えば、親水性天然
高分子又はその誘導体(澱粉、コーンスターチ、ゼラチ
ン、カゼインなど)、セルロース誘導体(メチルセルロ
ース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、セルローススルフェ
ート、シアノエチルセルロースなど)、ビニルアルコー
ル系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体など)、エチレン系重合体(エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体など)、酢酸ビニル系共重
合体(酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体、酢酸ビ
ニル−ビニルピロリドン共重合体など)、ポリアルキレ
ンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、エチレンオキ
サイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体な
ど)、カルボキシル基又はスルホン酸基を有する重合体
[アクリル系重合体(ポリ(メタ)アクリル酸、メタク
リル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル
酸−ポリビニルアルコール共重合体、ポリビニルスルホ
ン酸など)]、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメ
チルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテルなどのポ
リビニルアルキルエーテル、メチルビニルエーテル−無
水マレイン酸共重合体などのポリビニルアルキルエーテ
ル−無水マレイン酸共重合体など)、スチレン系重合体
(スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸な
ど)、窒素含有重合体(又はカチオン性ポリマー)(ポ
リビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、
ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの第
4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート塩酸塩、ポリビニルピリジン、ポリビ
ニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポリアミドポ
リアミン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリ
ル、ポリビニルピロリドンなど)などが挙げられる。こ
れらの親水性高分子は単独で又は二種以上組み合わせて
使用できる。
【0020】これらの親水性高分子のうち、ポリアルキ
レンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、エチレンオ
キサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体など
のエチレンオキサイドの単独又は共重合体)、ビニルア
ルコール系重合体(特にポリビニルアルコールなど)、
ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、
ポリビニルイソブチルエーテルなどのポリビニルC1-4
アルキルエーテル、C 1-4 アルキルビニルエーテル−無
水マレイン酸共重合体など)、窒素含有重合体(ポリビ
ニルピロリドンなどのビニルピロリドンの単独又は共重
合体など)、(メタ)アクリル酸の単独又は共重合体、
若しくはそれらの塩などが好ましい。これらの親水性高
分子は、有機溶媒に可溶である限り、アルカリ成分又は
酸成分との塩を形成してもよい。
【0021】前記セルロース誘導体と親水性高分子との
割合は、セルロース誘導体や親水性高分子の種類や濃度
などに応じて、耐水性やインク吸収性を損なわない範
囲、例えば、固形分換算で、前者/後者=5/95〜9
5/5(重量%)、好ましくは10/90〜90/10
(重量%)、さらに好ましくは20/80〜80/20
(重量%)程度の範囲から選択でき、通常、20/80
〜60/40(重量%)、特に20/80〜50/50
(重量%)程度である。
【0022】なお、必要に応じて、有機溶媒に不溶な親
水性又は水可溶性高分子、例えば、アルギン酸ナトリウ
ム、アラビアゴム、デキストリンなどを添加してもよ
い。
【0023】インク吸収層には、粉粒体(顔料など)を
含有させてもよい。粉粒体としては例えば、無機粉粒体
(ホワイトカーボン、微粒子状珪酸カルシウム、ゼオラ
イト、アミノ珪酸マグネシウム、焼成珪成土、微粒子状
炭酸マグネシウム、微粒子状アルミナ、シリカ、タル
ク、カオリン、デラミカオリン、クレー、重質炭酸カル
シウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸
化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水
酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウ
ム、セリサイト、ベントナイト、スメクタイトなどの鉱
物質粉粒体など)、有機粉粒体(ポリスチレン樹脂、ア
クリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミ
ン樹脂などの架橋又は非架橋有機微粒子、微小中空粒子
などの有機質粉粒体など)が挙げられる。これらの粉粒
体は1種又は2種以上適宜選択して併用可能である。
【0024】インク吸収層に含まれる粉粒体の割合は、
0〜50重量%、好ましくは0.05〜40重量%、さ
らに好ましくは0.1〜30重量%程度である。
【0025】インク吸収層は、さらに特性を損なわない
範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、
増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱
安定剤など)、帯電防止剤、アンチブロッキング剤など
を添加してもよい。
【0026】インク吸収層の厚みは、用途に応じて選択
でき、例えば、1〜50μm、好ましくは3〜30μm
程度である。インク吸収層が薄すぎると、インクの吸収
量が少なく、逆に厚すぎると、シートの反りが生じたり
コストが上昇する。
【0027】[製造方法]本発明の記録用シートは、前
記基材の少なくとも一方の面に非水溶性のセルロース誘
導体と有機溶媒に可溶な親水性高分子とを含むインク吸
収層を形成することにより製造できる。インク吸収層
は、非水溶性セルロース誘導体と親水性高分子と有機溶
媒とを用いて調製した塗布液を基材に塗布することによ
り形成できる。
【0028】有機溶剤としては、前記非水溶性セルロー
ス誘導体と親水性高分子とを溶解可能であり、かつ比較
的低沸点の溶媒が望ましい。有機溶剤の種類は、非水溶
性セルロース誘導体と親水性高分子の種類によって適宜
選択されるが、例えば、アルコール類(メチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチル
アルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール
類)、アミド類(ホルムアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミドなど)、ケトンまたはケトン
アルコール類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロ
ヘキサノン、ジアセトンアルコールなど)、エーテル類
(テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、エステル類
(ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸ベンジル、酪酸エチル
など)、脂肪族炭化水素系溶剤(ヘキサン,シクロヘキ
サンなど)、芳香族炭化水素系溶剤(ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等)、ハロゲン含有溶剤(エチレンクロラ
イド、クロロホルム、ジクロロエチレンなど)、ニトリ
ル類(アセトニトリルなど)、有機酸又はその酸無水物
(酢酸,マレイン酸,無水酢酸,無水マレイン酸な
ど)、アルキレングリコール類(エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、チオジグ
リコール、ヘキシレングリコールなどのC1-6 アルキレ
ングリコールなど)、ポリオキシアルキレングリコール
類(ジエチレングリコール,トリエチレングリコールな
どのオキシアルキレン単位が2〜6個程度のアルキレン
グリコール類)、多価アルコール(グリセリン、1,
2,6−ヘキサントリオールなど)、エチレングリコー
ルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(また
はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチ
ルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテ
ル類、ピリジン、ピペラジンなどが挙げられる。これら
の有機溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用でき
る。
【0029】塗布液は、慣用の流延または塗布方法、例
えば、ロールコーター、エヤナイフコーター、ブレード
コーター、ロッドコーター、バーコーター、コンマコー
ター、グラビアコーター、シルクスクリーンコータ法な
どにより、基材の少なくとも一方の面に流延または塗布
される。インク吸収層は、前記成分を含む塗布液を基材
の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥することにより形
成できる。なお、前記インク吸収性層の上には、必要に
より、多孔質層、ブロッキング防止層、滑性層、帯電防
止層などを形成してもよい。
【0030】本発明の記録用シートは、インクの小滴を
飛翔させて記録するインクジェット方式による記録用シ
ートとして有用であるが、オフセット印刷、フレキソ印
刷などの印刷用シート(特に水性インキ用シート)など
としても利用できる。
【0031】
【発明の効果】本発明ではインク吸収層を、非水溶性の
セルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親水性高分子とで
構成するので、耐水性及びインク定着性を高度に改善で
きる。また、有機溶媒に可溶な親水性高分子を含有させ
ることにより印字品質を改善しつつ、相反する特性であ
る耐水性とインク吸収性とを両立できる。
【0032】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、実施例中、「部」は重量部を示
す。また、実施例及び比較例で得られた記録用シートの
各種特性の評価法は次の通りである。 (インクジェット記録)得られた記録用シートに、イン
クジェットプリンター(キャノン(株)製、BJC−4
20J)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラ
ックの各色をベタで印字させ、記録画像を形成した。 (インク吸収性)インク吸収性の評価は、印字終了後、
一定時間毎に印字パターン上にPPCコピー紙を載せ、
その上から荷重(250g/cm2 )を10秒間かけた
後、コピー紙を剥離し、インクの裏移りの有無を目視で
判断し、裏移りが認めなくなるまでの時間でインク吸収
性を評価した。
【0033】(耐水性)耐水性の評価は、印字後、印字
部を、水を含ませた綿棒を10往復させて拭き、下記の
基準で、インクの取れ具合を目視で判断した。
【0034】○:変化なし △:インクが少し取れ、印字部が薄くなる ×:拭いた部分の印字部が完全に取れる (印字状態)印刷状態の評価は、下記の基準で、印字パ
ターンを目視で評価した。 ○:印字パターンが均一に印字されている △:印字パターンに若干のむらが認められる ×:印字パターンに著しいむらが認められる (インク定着性)印字部を30℃の水に1分間浸漬した
後、垂直に引き上げ、水をよく切り乾燥した。乾燥後、
下記の基準で印字部を目視で評価した。 ○:印字部が完全に残っている △:印字部ににじみが認められる ×:印字部が残っていない 実施例1 CMC(カルボキシメチル基の置換度DS=1.74)
のベンザルコニウム塩の5重量%エタノール溶液40重
量部と、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量36×
104 )の5重量%エタノール溶液120重量部とを混
合して、塗工液を得た。厚さ100μmの易接着処理済
ポリエチレンテレフタラートフィルム(ICIジャパン
(株)製、メリネックス705、以下、単にPETフィ
ルムという場合がある)に、前記の塗工液を塗布し、1
00℃で3分間乾燥することにより、厚さ8μmのイン
ク吸収層を形成し、記録シートを得た。
【0035】実施例2 CMC(カルボキシメチル基の置換度DS=1.74)
のラウリルトリメチルアンモニウム塩の5重量%エタノ
ール溶液40重量部と、ポリビニルピロリドン(重量平
均分子量36×104 )の5重量%エタノール溶液80
重量部を混合して、塗工液を得た。PETフィルムに、
塗工液を塗布し、100℃で3分間乾燥することによ
り、厚さ8μmのインク吸収層を形成し、記録シートを
得た。
【0036】実施例3 CMC(カルボキシメチル基の置換度DS=2.41)
のトリオクチルメチルアンモニウム塩の4重量%トルエ
ン溶液40重量部と、ポリエチレンオキサイド(重量平
均分子量1×104 )の5重量%トルエン溶液60重量
部を混合して、塗工液を得た。PETフィルムに、塗工
液を塗布し、120℃で5分間乾燥することにより、厚
さ10μmのインク吸収層を形成し、記録シートを得
た。
【0037】実施例4 CMC(カルボキシメチル基の置換度DS=1.74)
のベンザルコニウム塩の5重量%メタノール溶液40重
量部と、ポリビニルメチルエーテル(重量平均分子量8
×104 )の10重量%メタノール溶液40重量部を混
合して、塗工液を得た。PETフィルムに、塗工液を塗
布し、100℃で3分間乾燥することにより、厚さ10
μmのインク吸収層を形成し、記録シートを得た。
【0038】実施例5 CMC(カルボキシメチル基の置換度DS=1.74)
のステアリルトリメチルアンモニウム塩の5重量%メタ
ノール溶液20重量部と、ポリアクリル酸(重量平均分
子量75×104 )の1重量%メタノール溶液100重
量部を混合して、塗工液を得た。PETフィルムに、塗
工液を塗布し、100℃で3分間乾燥することにより、
厚さ8μmのインク吸収層を形成し、記録シートを得
た。
【0039】実施例6 メチルカルボキシメチルセルロース(カルボキシメチル
基の置換度DS=1.74)のベンザルコニウム塩の5
重量%メタノール溶液40重量部と、ポリビニルピロリ
ドン(重量平均分子量36×104 )の5重量%メタノ
ール溶液120重量部を混合して、塗工液を得た。PE
Tフィルムに、塗工液を塗布し、100℃で3分間乾燥
することにより、厚さ8μmのインク吸収層を形成し、
記録シートを得た。
【0040】実施例7 ヒドロキシエチルカルボキシメチルセルロース(カルボ
キシメチル基の置換度DS=1.74)のベンザルコニ
ウム塩の5重量%エタノール溶液40重量部と、ポリビ
ニルピロリドン(重量平均分子量36×104 )の5重
量%メタノール溶液120重量部を混合して、塗工液を
得た。PETフィルムに、塗工液を塗布し、100℃で
3分間乾燥することにより、厚さ8μmのインク吸収層
を形成し、記録シートを得た。
【0041】比較例1 ポリビニルピロリドン(重量平均分子量36×104
の5重量%エタノール溶液をPETフィルムに塗布し、
100℃で3分間乾燥することにより、厚さ8μmのイ
ンク吸収層を形成し、記録シートを得た。
【0042】比較例2 ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量1×104
の5重量%トルエン溶液をPETフィルムに、塗工液を
塗布し、120℃で5分間乾燥することにより、厚さ8
μmのインク吸収層を形成し、記録シートを得た。
【0043】比較例3 CMC(カルボキシメチル基の置換度DS=1.74)
のベンザルコニウム塩の5重量%エタノール溶液をPE
Tフィルムに塗布し、100℃で3分間乾燥することに
より、厚さ8μmのインク吸収層を形成し、記録シート
を得た。
【0044】実施例、比較例で得られた記録用シートの
評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 表から明らかなように、実施例の記録用シートを用いる
と、インク吸収性、耐水性、印刷状態、インク定着性が
良好である。これに対して、比較例の記録シートでは、
インク吸収性、耐水性、印刷状態、インク定着性にバラ
ンスの取れた性能が得られない。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも一方の面に、非水溶性
    セルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親水性高分子とで
    構成されたインク吸収層が形成されている記録用シー
    ト。
  2. 【請求項2】 非水溶性セルロース誘導体が、カルボキ
    シメチルセルロース又はその誘導体の第4級アンモニウ
    ム塩である請求項1記載の記録用シート。
  3. 【請求項3】 有機溶媒に可溶な親水性高分子が、ビニ
    ルピロリドンの単独又は共重合体、エチレンオキサイド
    の単独又は共重合体,ビニルアルコール系重合体,ビニ
    ルエーテル系重合体および(メタ)アクリル酸の単独又
    は共重合体から選択された少なくとも一種である請求項
    1記載の記録用シート。
  4. 【請求項4】 非水溶性セルロース誘導体と親水性高分
    子との割合が、前者/後者=5/95〜95/5(重量
    %)である請求項1記載の記録用シート。
  5. 【請求項5】 基材の少なくとも一方の面に、非水溶性
    セルロース誘導体と有機溶媒に可溶な親水性高分子とを
    含むインク吸収層を形成する記録用シートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004237463A (ja) * 2003-02-03 2004-08-26 Mitsui Chemicals Inc インクジェット記録媒体用水性組成物
US6994208B2 (en) 2001-05-11 2006-02-07 Nitta Corporation Curved conveyor
JP2007515567A (ja) * 2003-12-22 2007-06-14 アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ 第4級窒素含有セルロースエーテルを含んでいる紙

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JP2004237463A (ja) * 2003-02-03 2004-08-26 Mitsui Chemicals Inc インクジェット記録媒体用水性組成物
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