JPH07179032A - インキジェット記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像濃度、不透明性、表面光沢、色域及び感
触に於いて従来の写真プリントに匹敵する高品質の写真
画像を生成し得る、インキジェットプリンタのようなイ
ンキジェット記録デバイスで画像形成するために適した
不透明紙ベース画像記録媒体を提供する。 【構成】 ポリ（オレフィン）被覆紙下地の上に設けら
れたインキ受容層からなり、インキ受容層が少なくとも
１個の親水性樹脂からなるインキジェット印刷用記録媒
体。この記録媒体は、外観及び感触に於いて従来の写真
プリントに匹敵する高画像濃度の澄んで輝き光沢のある
カラー画像を記録することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インキジェット記録用
に適した不透明記録媒体に関する。更に詳しくは、本発
明は、外観及び感触に於いて従来のカラー写真プリント
に匹敵する高画像濃度の澄んで輝き光沢のあるカラー画
像を記録することが可能なインキジェット記録用に適し
た不透明記録媒体並びにこの記録媒体を使用するインキ
ジェット記録方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】インキジェット記録に於いて、画像記録
媒体の上へのインキ液滴の沈着を制御して所望の画像を
得るために多数の方法を利用することができる。連続イ
ンキジェット記録として知られている一つの方法に於い
ては、液滴の連続流を帯電させて画像記録媒体の表面上
に画像様形式で偏向させ、一方画像化されなかった液滴
を捕らえインキ溜めに戻している。ドロップオンデマン
ド(drop-on-demand)インキジェット記録として知られて
いる他の方法に於いては、個々のインキ液滴を必要に応
じて画像記録媒体の上に投映して所望の画像を形成させ
る。ドロップオンデマンド印刷に於いてインキ液滴の投
映を制御する普通の方法には、圧電トランスデューサ及
び熱バブル形成が含まれる。インキジェット記録は、殆
どノイズを発生させず経済的で多色の印刷を可能にする
記録方法として社会に急速に受け入れられてきている。

【０００３】インキジェット記録用のインキとして、安
全及び記録特性についての要求にかなった水性インキが
主に使用されており、多くの場合これらのインキには、
ノズル閉塞を防ぎ廃棄安定性を高めるための多価アルコ
ール又は類似物が含まれている。

【０００４】インキジェット記録用の記録媒体として、
従来、普通紙並びに下地及び該下地の上に形成されたイ
ンキ受容層からなるいわゆるインキジェット記録紙が使
用されてきた。実際、先行技術の表面画像観察用の記録
媒体の大部分には、多孔質インキ受容層が下地、例えば
紙の表面に設けられ、インキを受容層の多孔質の空間部
の中に受容させることによって記録剤を固定するシステ
ムが使用されてきた。インキジェット記録システムに使
用されてきた一つのこのような型の多孔質インキ受容層
は、高度のインキ吸収力を有する顔料充填水溶性親水性
樹脂又はポリマーからなっている。このようなポリマー
の例には、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、デンプ
ン、カチオンデンプン、アラビアゴム、アルギン酸ナト
リウムのような種々の天然に産する水溶性親水性樹脂及
びポリ（ビニルアルコール）、ポリ（アミド）、ポリ
（アクリルアミド）、ポリ（ビニルピロリドン）、第四
級ポリ（ビニルピロリドン）、ポリ（エチレンイミ
ン）、ポリ（ビニルピリジウムハライド）、メラミン樹
脂、ポリウレタン、ポリエステル、カルボキシメチルセ
ルロース、ポリ（ビニルホルマール）、ポリ（メチルメ
タクリレート）、ポリ（ビニルブチラール）等のような
種々の合成水溶性親水性樹脂が含まれる。このような樹
脂は例えば、米国特許第 4,868,581号及び同第 4,956,2
23号を含む先行技術に広く記載されている。

【０００５】一般に、普通紙及び上記のインキジェット
記録紙のような媒体にインキで画像形成させる場合に
は、良好な品質の文字及びグラフィック画像を生じさせ
ることができる。しかしながら、このような記録媒体に
同じインキで写真画像を印刷するとき、その画像は従来
の写真プリントに比較した場合に比較的劣った品質のも
のとなる。最も注目すべきことに、表面光沢及び下地の
不透明化の欠落がある。

【０００６】例えば、米国特許第 5,141,599号には、ゼ
ラチン及びデンプンの混合物を含むインキ受容層でオー
バーコートしたポリ（オレフィン）被覆基紙からなるイ
ンキジェット印刷用の不透明紙ベース受容材料が開示さ
れている。その開示によれば、これらの受容材料は高い
表面光沢及び良好なカラー濃度を示し、耐汚れ性であ
る。このような受容材料はインキジェット印刷装置で絵
画的に画像形成したとき、外観及び感触に於いて従来の
写真プリントに近付いた画像を作るけれども、その上に
作られる画像はまだ写真プリントから習慣的に期待され
写真プリントにより示される同じ高画像品質のものでは
ない。

【０００７】上記の問題点に加えて、紙支持体の表面上
に被覆された多孔質インキ受容層からなる上記の型の記
録媒体は、典型的には、紙支持体又は下地にポリマー材
料又は樹脂の水溶液若しくは分散液及び／又は有機溶媒
（例えば、メタノール又はエタノール）溶液若しくは分
散液を、例えば、ブレードコーター、ナイフコーター、
グラビアコーター又はカーテンコーターの手段によるよ
うな従来公知の方法により適用し、そして乾燥して紙支
持体の上に層を形成させることによって製造されてい
る。この方法によりこのような記録媒体を形成させた場
合に、紙の繊維構造に浸透する水及び／又は溶媒被覆溶
液又は分散液の性質によって、非光沢又は異なった光沢
の表面を有する不均一なインキ受容層が作られる。「不
均一」なる用語は、インキ受容層のある領域が他の領域
よりも厚いと言うようにインキ受容層が平らでないこと
を意味する。この適用方法に伴う他の問題点は、紙が被
覆工程の間に吸収してそれにより被覆紙を波状に変形さ
せその結果画像品質が低下する多量の水及び／又は溶媒
のためにカール及び／又はしわになる紙の性質である。
また、複数個の記録ヘッドを有するプリンタを使用する
ことによって記録を行うとき、しわができることによっ
て形成される凸状部分が記録の間にヘッドと接触し、そ
れによってヘッドを詰まらせるか又は画像を汚すであろ
う。この方法に固有の更に他の問題点は、紙が被覆工程
の間に吸収する多量の水及び／又は溶媒のために被覆工
程の間に容易に引き裂かれる紙の性質である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】即ち、画像濃度、不透
明性、表面光沢、色域（即ち、色の範囲）及び感触に於
いて、従来の写真プリントに匹敵する高品質の写真画像
を生成し得る、インキジェットプリンタのようなインキ
ジェット記録デバイスで画像形成するために適した不透
明紙ベース画像記録媒体を提供するニーズがある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】これらの問題点を解決す
るためには、合成親水性樹脂又はこのような樹脂の混合
物からなるインキ受容層をポリ（オレフィン）被覆基紙
に適用してインキジェット記録媒体を形成する。このよ
うにして形成された不透明記録媒体は、従来の写真プリ
ントの外観及び感触を有するカラー絵画画像を与えるこ
とができる。更に、紙下地の上にポリ（オレフィン）皮
膜が存在することによって、紙下地の上にインキ受容層
を被覆する工程の間に、インキ受容層に存在する全ての
水及び／又は溶媒が紙下地に浸透することが防がれる。
更にこのことにより被覆工程の間に紙がカールするこ
と、しわになること又は引き裂かれることが防がれる。

【００１０】

【作用】本発明の記録媒体は一般的に、支持体材料及び
支持体材料の上に被覆されたインキ受容層からなってい
る。このインキ受容層又はインキ吸収層は、支持体の上
に被覆してインキジェット印刷デバイスにより画像形成
することができる吸収層を作ることができる、任意の適
当な合成親水性インキ受容性樹脂若しくはポリマー又は
このような樹脂若しくはポリマーの混合物からなってい
てもよい。支持体材料はポリ（オレフィン）被覆紙を含
んでなる。

【００１１】本明細書で使用する用語「親水性」は、そ
の表面が水により濡れ得るという意味に於いて又は材料
の塊が著しい量の水を吸収し得るという意味に於いて、
一般的に水に対して受容性である材料を記述するのに使
用するものとする。更に詳しくは、水による表面濡れ性
を示す材料は親水性表面を有していると言い、他方水に
より濡れない表面を有する材料は疎水性表面を有してい
ると言う。本明細書で使用する用語「合成親水性樹脂又
はポリマー」は、著しい量の水を吸収し得る非天然的に
生じる樹脂又はポリマーを意味する。適当な合成親水性
樹脂の例には、ポリ（ビニルアルコール）、ポリ（アミ
ド）、ポリ（ビニルピロリドン）、ポリ（アクリルアミ
ド）、ポリ（エチレンイミン）、ポリ（ビニルピリジニ
ウムハライド）、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリエ
ステルアイオノマー、カルボキシメチルセルロース、炭
素数２〜６のポリ（アルキレンオキシド）及びポリアク
リル酸の塩が含まれる。従来の写真プリントと同じ品質
及び感触を有する写真画像を記録し得るという点に於い
て本発明の記録媒体で使用されるインキ受容層に対して
劣っていることが分かった、アルブミン、ゼラチン、カ
ゼイン、デンプン、カチオンデンプン、アラビアゴム、
アルギン酸ナトリウム等のような天然に産する親水性樹
脂は特に除かれる。更に、このような天然に産する樹脂
をポリ（オレフィン）被覆紙基体の上に被覆し写真画像
を記録するための記録媒体として使用したとき、インキ
受容層は画像を最初に印刷して数日経過した後でも、汚
れる傾向及び記録媒体の表面からのインキが画像を形成
した記録媒体の上に重ねられた他の記録媒体の裏側の上
に裏移りする傾向があった。

【００１２】本発明の記録媒体で使用するための特に適
当なインキ受容層は、米国特許第 4,903,040号に開示さ
れているようなビニルピロリドンポリマー中に分散され
たポリエステルアイオノマー、即ちポリ（シクロヘキシ
レンジメチレンイソフタレート−共−ソジオスルホベン
ゼンジカルボキシレート）の水性分散液のような、ポリ
（オレフィン）被覆基紙の上に被覆されている層であ
る。

【００１３】本発明の記録媒体で使用するための他の特
に適当なインキ受容層は、米国特許第 4,903,039号に開
示されているようなビニルピロリドンポリマー中に分散
されたポリエステルアイオノマー、即ちポリ（シクロヘ
キシレンジメチレン−共−オキシジエチレンイソフタレ
ート−共−ソジオスルホベンゼンジカルボキシレート）
の水性分散液のような、ポリ（オレフィン）被覆基紙の
上に被覆されている層である。

【００１４】本発明の記録媒体で使用するための他の特
に適当なインキ受容層は、米国特許第 4,903,039号に開
示されているようなビニルピロリドンポリマー中に分散
されたポリエステルアイオノマー、即ちポリ（シクロヘ
キシレンジメチレン−共−オキシジエチレンイソフタレ
ート−共−ソジオスルホベンゼンジカルボキシレート）
の水性分散液のような、ポリ（オレフィン）被覆基紙の
上に被覆されている層である。本発明の記録媒体で使用
するための更に他の特に適当なインキ受容層は、米国特
許第 4,903,041号に開示されているようなビニルピロリ
ドンポリマー中に分散されたポリエステルアイオノマ
ー、即ちポリ［シクロヘキシレンジメチレン−共−キシ
リレンテレフタレート−共−マロネート−共−ソジオイ
ミノビス（スルホニルベンゾエート）］の水性分散液の
ような、ポリ（オレフィン）被覆基紙の上に被覆されて
いる層である。

【００１５】本発明の記録媒体で使用するための特に好
ましいインキ受容層は、６０〜７０重量％の上記米国特
許第 4,903,039号、同第 4,903,040号及び同第 4,903,0
41号に開示及び記載されている種類の水分散性ポリエス
テルアイオノマー、２５〜３０重量％のポリ（ビニルピ
ロリドン）、０〜５重量％の炭素数２〜６のアルキレン
オキシドのホモポリマー又はコポリマー及び０〜５重量
％のポリ（ビニルアルコール）の水性分散液のような、
ポリ（オレフィン）被覆基紙の上に被覆されている層で
ある。重合したアルキレンオキシド成分は、アルキレン
がエチレン、プロピレン、ブチレン等のような炭素結合
を指し、１００，０００〜５，０００，０００重量平均
分子量の分子量により特徴付けられるアルキレンオキシ
ドのホモポリマー及びコポリマーを含む非イオン界面活
性ポリマーからなっている。ポリ（エチレンオキシド）
が特に好ましいポリ（アルキレンオキシド）である。

【００１６】本発明の記録媒体で使用するインキ受容層
には、本発明の記録媒体の非粘着特性に寄与させその耐
摩擦及び／又は指紋付着性を制御する目的のための二酸
化チタン、酸化亜鉛、シリカ及び架橋ポリ（メチルメタ
クリレート）又はポリスチレンビーズのようなポリマー
ビーズのようなマット剤；インキ吸収性樹脂又は層のエ
ージング性(aging behavior)を改良し、次いでそれに適
用したインキの吸収及び乾燥を促進し、インキ受容層の
表面均一性を向上させ、そして乾燥した被膜の表面張力
を調整する目的のための、非イオン性炭化水素若しくは
炭化フッ素界面活性剤又は第四級アンモニウム塩のよう
なカチオン性界面活性剤のような界面活性剤；蛍光染
料；ｐＨ調節剤；消泡剤；滑剤；防腐剤；粘度調整剤；
色止め剤；防水剤；分散剤；ＵＶ吸収剤；防カビ剤；帯
電防止剤等を含む種々の公知の添加剤が含まれていても
よい。このような添加剤は目的に応じて公知の化合物又
は材料から選択することができる。

【００１７】インキ受容層は水性又は有機溶媒媒体のよ
うな揮発性媒体中の合成親水性樹脂又はポリマー及び所
望により上記のその他の添加剤の溶液又は分散液から、
浸漬被覆、ロール被覆、リバースロール被覆、エアーナ
イフ被覆、ドクターブレード被覆、ビード被覆及びカー
テン被覆のような公知の被覆方法により沈着させ、次い
で熱空気ドライヤー、熱空気オーブン、熱ドラム等のよ
うな乾燥器でできるだけ迅速に乾燥させることによっ
て、支持体材料に便利に適用する。

【００１８】インキ受容層は記録液体又はインキを吸収
し捕捉するに十分な乾燥厚さを有していてよく、その厚
さは記録液体の量に依存して変化するが、１〜３０μ
ｍ、好ましくは５〜２０μｍの範囲である。

【００１９】基紙の被膜に使用されるポリ（オレフィ
ン）は、好ましくは低密度ポリ（エチレン）（ＬＤＰ
Ｅ）及び／又は高密度ポリ（エチレン）（ＨＤＰＥ）の
ものである。しかしながら、ポリ（プロピレン）のよう
なその他のポリオレフィンも使用することができる。界
面活性剤、光学的増白剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定
剤等のようなその物理的及び光学的性質を向上させるた
めのその他の公知の添加剤が含有されていてもよいポリ
（オレフィン）層の被覆厚さは、６〜６５μｍ、好まし
くは１０〜４０μｍである。

【００２０】ポリ（オレフィン）層は、インキ受容層か
らの溶媒が支持体材料の紙下地の孔及び繊維に浸透する
のを防ぎ、特に広範囲に異なった種類の紙を支持体材料
の成分として使用する場合に、ポリ（オレフィン）被覆
基紙上へのインキ受容層の一層均一で予測可能な被覆が
できるようにする。ポリ（オレフィン）層はまた、支持
体材料上へのインキ受容層の被覆工程の間、本発明で教
示されるようなインキ受容層と紙との間に位置するポリ
（オレフィン）層又は被膜が存在しないと吸収するであ
ろう大量の水及び／又は有機溶媒のために紙が引き裂か
れるのを防ぐ。更に、ポリ（オレフィン）層が存在する
と、被覆工程の間にそうでなければ吸収するであろう多
量の水及び／又は有機溶媒のために紙がカールする及び
／又はしわになることが防がれる。更にまた、本発明の
記録媒体中にインキ受容層と組合わさってポリ（オレフ
ィン）層が存在すると、品質が従来のカラー写真プリン
トに匹敵する澄んで輝き光沢のあるカラー画像が作られ
ることを見出した。ポリ（オレフィン）層は溶媒被覆又
は溶融押出のようなよく知られた方法の何れか一つによ
り適用することができるが、好ましくは溶融押出被覆方
法により適用する。

【００２１】本発明の記録媒体の紙成分は合成紙を含む
任意の高品質の紙であってもよい。紙の厚さは５０〜５
００μｍの範囲内である。使用する紙の厚さが上記の範
囲よりも小さい場合には、得られる紙の剛性が弱く、印
刷の間プリンタ内での移送に問題が生じる。記録媒体の
機械取り扱い性を改良し摩擦及び抵抗などを制御する目
的のために、任意に、追加のバッキング層又は被覆物を
紙の裏側（即ち、被覆してない）表面に適用することが
できる。典型的に、バッキング層はバインダー及び充填
材からなっている。典型的な充填材には、無定形及び結
晶性シリカ、ポリ（メチルメタクリレート）、中空球ポ
リスチレンビーズ、微結晶性セルロース、酸化亜鉛、タ
ルク等が含まれる。バッキング層の充填材量は一般にバ
インダー成分の２重量％より少なく、充填材物質の平均
粒子サイズは１０〜３０μｍ、好ましくは１５〜２０μ
ｍの範囲内である。バッキング層に使用されるバインダ
ーの典型は、アクリレート、メタクリレート、ポリスチ
レン及びポリ（塩化ビニル）−ポリ（酢酸ビニル）コポ
リマーのような水吸収性でないポリマーである。更に、
記録媒体の静電気障害を防ぐために帯電防止剤をバッキ
ング層に含有させることもできる。特に適した帯電防止
剤はドデシルベンゼンスルホネートナトリウム塩、オク
チルスルホネートカリウム塩、オリゴスチレンスルホネ
ートナトリウム塩、ジブチルナフタレンスルホネートナ
トリウム塩、ラウリルスルホスクシネートナトリウム塩
等のような化合物である。

【００２２】帯電防止剤はバインダーの重量基準で０．
１〜１５重量％の量でバインダー組成物に添加する。帯
電防止剤の量が少なすぎると、帯電防止効果は殆ど実現
されない。他方、この量が多すぎると接着性の問題が起
こる。

【００２３】所望ならば、接着促進下塗層をポリ（オレ
フィン）被覆紙支持体材料とインキ受容層との間に介在
させてインキ受容層のポリ（オレフィン）被覆紙支持体
材料に対する接着性を改良することができる。このよう
な接着促進層には化学的下塗被膜及びコロナ処理のよう
な表面処理が含まれていてよい。現在コロナ処理が好ま
しい。下塗層を形成するための当該技術分野で公知の従
来の材料の例には、ハロゲン化フェノール又は部分的に
加水分解された塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーが含
まれる。このようなコポリマーには便利にコポリマーの
６０〜９８重量％の塩化ビニル及び０．５〜３重量％の
ヒドロキシル単位が含まれている。コポリマーの分子量
（数平均分子量）は１０，０００〜３０，０００、好ま
しくは１６，５００〜２５，０００の範囲内である。

【００２４】下塗り剤は、比較的薄い、例えば、一般的
に２μｍより小さい、好ましくは１μｍより小さい乾燥
被膜厚さを有する下塗層を作る濃度レベルで適当に適用
される。本発明の記録媒体は、例えば、ポリ（ビニルア
ルコール）、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等のようなインキ浸透
性粘着防止性保護層でオーバーコートされたそのインキ
受容層を有していてもよい。オーバーコート層又はトッ
プコート層もインキ液滴の展開を適当に制御して画像品
質を改良する上で助けとなる表面特性を与えることがで
きる。上記のような機能を有するインキ浸透性層は、ポ
リマー材料の１０μｍ以下の、好ましくは０．０１〜３
μｍの薄いフィルムを形成することにより得ることがで
きる。

【００２５】実際に、種々の添加剤をオーバーコートの
被膜に使用することができる。これらの添加剤には、被
覆混合物の濡れ又は展開作用を制御する界面活性剤、帯
電防止剤、懸濁剤、摩擦性を制御するか又は被覆製品の
スペーサーとして作用する微粒子が含まれる。

【００２６】本発明の記録媒体に画像形成するために使
用されるインキは公知のインキである。インキジェット
印刷で使用されるインキ組成物は、典型的には、溶媒又
はキャリヤー液体、染料又は顔料、保湿剤、有機溶媒、
洗浄剤、増粘剤、防腐剤等からなる液体組成物である。
溶媒又はキャリヤー液体は主として水であってよい。し
かし、多価アルコールのような有機溶媒が主な溶媒又は
キャリヤー液体であるインキも使用される。水と多価ア
ルコールとの混合溶媒が特に有用である。このような組
成物で使用される染料は典型的に水溶性直接又は酸性型
染料である。このような液体インキ組成物は例えば、米
国特許第 4,381,946号、同第 4,239,543号及び同第 4,7
81,758号を含む先行技術に広範囲に記載されている。

【００２７】

【実施例】本発明を下記の例を参照して更に説明する。例１〜４ 下記の表Ｉに記載した４種の異なった紙支持体を、６．
５９重量％のポリ［１，４−シクロヘキシレンジメチレ
ン−共−ｐ−キシリレン（４０／６０）テレフタレート
−共−マロネート−共−３，３′−ソジオイミノビス
（スルホニルベンゾエート）］（イーストマン・ケミカ
ル社(Eastman Chemical Company)からAQ38S として入手
した）、２．８３重量％のポリ（ビニルピロリドン）
（ＢＡＳＦ社(BASF Corporation)から商品名Kollidon 9
0 で供給された）、０．２重量％のポリ（エチレンオキ
シド）（アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical
Company)から入手した）、０．２重量％のポリ（ビニル
アルコール）（エアー・プロダクツ・アンド・ケミカル
ス社(Air Products and Chemicals)により商品名AIRVOL
325で販売された）、０．０７重量％の１５μｍの平均
粒子サイズを有するポリ（メチルメタクリレート−共−
ジビニルベンゼン）粒子、０．１１重量％のプロピレン
グリコールブチルエーテル（ユニオン・カーバイド社(U
nion Carbide Corporation) から商品名Propasol-Bで入
手した）及び９０．０重量％の蒸留水からなる水性被覆
組成物を用いて、１６ｇ／m²の乾燥被覆量で被覆した。
層の乾燥は１００℃の温度で５分間加熱空気を用いて行
った。全ての支持体は被覆溶液を適用する直前にコロナ
放電処理した。

【００２８】

【表１】

【００２９】インキ受容層中に存在する水が紙の中に浸
透するのを防ぐために、紙支持体材料とインキ受容層と
の間にポリ（エチレン）層を有する例１、３及び４は、
紙支持体材料の引き裂きなしに平滑で光沢があり欠陥の
ない被覆物になった。しかしながら、ポリ（オレフィ
ン）層が存在しない紙支持体の表面に被覆した硫酸バリ
ウム／ゼラチン層を有する例２は、インキ受容層から紙
の中への水の浸透を防ぐことができず、波状でしわのつ
いた紙になり、これは完全に乾燥するまで非常に弱いも
のであると観察された。このことは、支持体材料上のイ
ンキ受容材料の高品質の被膜を得るために適当なポリ
（オレフィン）層が必要であることを示している。

【００３０】比較試験 例１〜４の支持体のそれぞれ及び現在インキジェット記
録方法に使用されている先行技術の記録媒体の代表的な
ものである４種の市販の不透明インキジェット記録媒体
（以下、記録媒体Ａ、Ｂ、Ｃ及びＤと言う）を、ヒュー
レット−パッカード・デスク・ライター(Hewlett-Packa
rd Desk Writer)550C ４色インキジェットプリンタで画
像形成し、その上に記録された画像を下記の規準、即ち
不透明度、光沢、感触及び全体画像品質について目視観
察により評価した。これらの規準の夫々について、画像
は１〜３の尺度にランク分けし、３は従来の写真プリン
トに最も近く合致したことを表し、１は従来の写真プリ
ントに最も悪く合致したことを表す。同じ画像を各ケー
スで使用し、これは４インチ（１０．１６cm）×６イン
チ（１５．２４cm）の横縦比でプリントしたフォトＣＤ
４ベースの画像からなっていた。その結果を下記の表II
に要約する。

【００３１】

【表２】

【００３２】表IIの結果は、本発明の記録媒体が、イン
キジェット印刷デバイスで絵画的に画像形成した場合
に、匹敵する先行技術の記録媒体よりも一層従来の写真
プリントに似ている画像を作ることを示している。記録
媒体Ｄ、即ちゼラチン被覆紙は、画像を最初に印刷して
数日経過した後でも、汚れる傾向及びプリントの表面か
らのインキがその上に重ねられたプリントの裏側の上に
裏移りする傾向があったことが更に観察された。

【００３３】

【発明の効果】以上のように、本発明は、画像濃度、不
透明性、表面光沢、色域及び感触に於いて従来の写真プ
リントに匹敵する高品質の写真画像を記録し得る、イン
キジェットプリンタのようなインキジェット記録装置で
画像形成するために適した不透明紙ベース画像記録媒体
を提供する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ダグラス イー．ガーマン アメリカ合衆国，ニューヨーク 14580, ウェブスター，スタッフォード クレセン ト 1245 (72)発明者 トーマス ピーター ニコラス アメリカ合衆国，ニューヨーク 14618, ロチェスター，サザン パークウェイ 143 (72)発明者 マイケル エフ．シレロ アメリカ合衆国，ニューヨーク 14619, ロチェスター，ウエストフィールド スト リート 291

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリ（オレフィン）被覆基紙を含む支持
   体材料及び該ポリ（オレフィン）被覆基紙の上に被覆さ
   れた合成親水性樹脂を含んでなるインキ受容層からなる
   インキジェット印刷用記録媒体。
2. 【請求項２】 主として水性インキの液滴を記録媒体上
   に適用することを含んでなり、該記録媒体がポリ（オレ
   フィン）被覆基紙を含む支持体材料及び該ポリ（オレフ
   ィン）被覆基紙の上に被覆された合成親水性樹脂を含ん
   でなるインキ受容層からなるインキジェット記録方法。