JPH115761A - 2’−アルキル−3’−メトキシアセトフェノンアセタール誘導体 - Google Patents

2’−アルキル−3’−メトキシアセトフェノンアセタール誘導体

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JPH115761A
JPH115761A JP17523797A JP17523797A JPH115761A JP H115761 A JPH115761 A JP H115761A JP 17523797 A JP17523797 A JP 17523797A JP 17523797 A JP17523797 A JP 17523797A JP H115761 A JPH115761 A JP H115761A
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一登 梅津
Yasuo Yoshida
康夫 吉田
Yusuke Hamada
祐介 濱田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2−アルキル−3−メトキシ安息香酸の製造原
料として有用な化合物を提供すること。 【解決手段】一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は各々低級アルキル基を示す
が、R1とR2は互いに結合してアルキレン基を形成して
も良い。)で表される2’−アルキル−3’−メトキシ
アセトフェノンアセタール誘導体の提供。 【効果】新規な2’−アルキル−3’−メトキシアセト
フェノンアセタール誘導体が提供される。本発明化合物
を用いると、工業的にも入手しやすい原料を用いて、反
応温度等が制御しやすいなど工業的にも実施容易な温和
な条件で、工業的に従来よりも容易かつ有利に、医・農
薬の中間体として極めて有用な2−アルキル−3−メト
キシ安息香酸を製造することが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医・農薬中間体の
工業的製造に有用な、新規な2’−アルキル−3’−メ
トキシアセトフェノンアセタール誘導体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】本発明の2’−アルキル−3’−メトキ
シアセトフェノンアセタール誘導体は文献未記載の新規
化合物である。
【0003】一方、2−アルキル−3−メトキシ安息香
酸は医薬〔ジャーナル オブ メディシナル ケミスト
リー(J.Med.Chem.)、第32巻、第409頁(198
9年);ケミストリー オブ ファーマシューティカル
ブルチン(Chem.Pharm.Bull.)、第39巻、第291
0頁(1991年)〕、農薬(特開平6−199763
号公報)等の中間体として極めて有用な化合物であるこ
とが知られている。しかし、これまで2−アルキル−3
−メトキシ安息香酸の製造は、グリニャール(Grignar
d)反応を用いる方法(特開昭58−170780号公
報)、ザンドマイヤー(Sandmeyer)反応を経由する方
法(特開平6−199763号公報)、メチルマグネシ
ウムブロミドを用いる方法〔ジャーナル オブ オルガ
ニック ケミストリー(J.Org.Chem.)、第43巻、1
372頁(1978)〕等の、工業的に実施するには原
料入手が困難で反応条件も制御が煩雑である等の工業化
には好ましくない諸条件を使用する方法か、あるいは、
濃縮等の操作時の安全性が低く、さらに水溶性のため廃
水中に混入して回収や再使用も困難なエーテル化合物で
あるテトラヒドロフランを用い、しかも極低温で反応さ
せなければならないため工業的実施には決して有利では
ない方法〔ジャーナル オブ オルガニックケミストリ
ー(J.Org.Chem.)、第59巻、4042頁(199
4)、同第46巻、3881頁(1981)〕によらね
ばならなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、2−
アルキル−3−メトキシ安息香酸を工業的に製造する際
の製造原料として有用な中間体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)
で表される2’−アルキル−3’−メトキシアセトフェ
ノンアセタール誘導体が文献未記載の新規化合物であっ
て、このものは、医・農薬中間体、特に2−アルキル−
3−メトキシ安息香酸の製造中間体として好適な化合物
である事を見出し、これらの知見に基づき本発明を完成
したものである。
【0006】すなわち本発明は一般式(1)
【0007】
【化2】 (式中、R1、R2及びR3は各々低級アルキル基を示す
が、R1とR2は互いに結合してアルキレン基を形成して
も良い。)
【0008】で表される2’−アルキル−3’−メトキ
シアセトフェノンアセタール誘導体を提供する事によっ
て上記課題を解決するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明化合物について詳細
に説明する。
【0010】本発明化合物は、一般式(1)
【0011】
【化3】 (式中、R1、R2及びR3は各々低級アルキル基を示す
が、R1とR2は互いに結合してアルキレン基を形成して
も良い。)
【0012】で表される2’−アルキル−3’−メトキ
シアセトフェノンアセタール誘導体である。ここで、一
般式(1)において、R1、R2及びR3で示される低級
アルキル基とは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖
又は分枝鎖のアルキル基であればよく、この様なアルキ
ル基としては具体的にはメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル
基等を例示できる。また、R1とR2は互いに結合して形
成されるアルキレン基とは、炭素数2〜6の直鎖又は分
枝鎖のアルキレン基であればよく、具体的には例えばエ
チレン基、プロピレン基(1−メチルエチレン基)、ト
リメチレン基等を例示できる。
【0013】この様な置換基R1、R2及びR3を有す、
一般式(1)で表される本発明化合物としては、具体的
には3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノンジメ
チルアセタール、2’−エチル−3’−メトキシアセト
フェノンジメチルアセタ−ル、3’−メトキシ−2’−
メチルアセトフェノンジエチルアセタール、2’−エチ
ル−3’−メトキシアセトフェノンジエチルアセター
ル、3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノンエチ
レンアセタール、2’−エチル−3’−メトキシアセト
フェノンエチレンアセタール、3’−メトキシ−2’−
メチルアセトフェノントリメチレンアセタール、2’−
エチル−3’−メトキシアセトフェノントリメチレンア
セタール、3’−メトキシ−2’−ブチルアセトフェノ
ンジメチルアセタール、3’−メトキシ−2’−メチル
アセトフェノンジイソブチルアセタール、3’−メトキ
シ−2’−メチルアセトフェノン−プロピレンアセター
ル等を例示できる。
【0014】次に本発明化合物の製造について説明す
る。
【0015】本発明化合物は、例えば一般式(2)
【0016】
【化4】 (式中、R1及びR2は前記と同じ意味を示す。)
【0017】で表される3’−メトキシアセトフェノン
アセタール誘導体に、溶媒中で、有機リチウム試薬を作
用させておいた上で、更にアルキル化剤を作用させアル
キル化することにより製造できる。
【0018】本発明化合物の製造において用いられる一
般式(2)で表される3’−メトキシアセトフェノンア
セタール誘導体としては、具体的には3’−メトキシア
セトフェノンジメチルアセタール、3’−メトキシアセ
トフェノンジエチルアセタール、3’−メトキシアセト
フェノンエチレンアセタール、3’−メトキシアセトフ
ェノントリメチレンアセタール、3’−メトキシアセト
フェノンジイソブチルアセタール、3’−メトキシアセ
トフェノン−プロピレンアセタール等を例示できる。
【0019】一般式(2)で表される3’−メトキシア
セトフェノンアセタール誘導体を得る方法は特に制限さ
れないが、例えば3’−メトキシアセトフェノンとメタ
ノール、トリメチルオルトホルメートとの反応による方
法(特表平5−500367号公報等)や、3’−メト
キシアセトフェノンとジオール類との脱水反応〔ジャー
ナル オブ ケミカルソサイェティー(J.Chem.So
c.),第244頁(1962年)等〕等の公知の方法に
より、容易に高収率で製造することが可能である。
【0020】本発明化合物の製造において用いる溶媒と
しては、脂肪族炭化水素溶媒及び芳香族炭化水素溶媒を
例示できる。脂肪族炭化水素溶媒としては、炭素数5〜
15、好ましくは炭素数6〜8の、直鎖あるいは分岐鎖
の脂肪族炭化水素溶媒、具体的にはヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、オクタン、デ
カン、ドデカン等を、芳香族炭化水素溶媒としては、具
体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等を例示でき
る。これらの溶媒は単独で用いても良いし、2種以上を
混合して用いても良い。好ましくは、ヘキサン、シクロ
ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンが
用いられる。溶媒の使用量は、反応時の撹拌が可能な量
以上あれば差し支えないが、通常は一般式(2)で表さ
れる3’−メトキシアセトフェノンアセタール誘導体1
モルに対し、0.3〜2L(リットル)、好ましくは
0.6〜1Lの範囲で用いられる。
【0021】本発明化合物の製造において用いられる有
機リチウム試薬としては、3’−メトキシアセトフェノ
ンアセタール誘導体の2’−位のアニオン化ができるも
のであれば何れのものでもよいが、好ましいものとし
て、例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、se
c−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等に代
表されるアルキルリチウム、及びフェニルリチウムが挙
げられる。有機リチウム試薬の使用量は、一般式(2)
で表される3’−メトキシアセトフェノンアセタール誘
導体1モルに対し、1.0〜1.2モルの範囲で用いら
れる。
【0022】有機リチウム試薬を作用させる際の温度
は、−10℃〜40℃、好ましくは5〜20℃で行なえ
ばよく、作用させる時間は通常は0.5〜5時間であれ
ばよい。
【0023】本発明化合物の製造において用いられるア
ルキル化剤としては、例えばヨウ化メチル、臭化メチ
ル、臭化エチル等に代表されるアルキルハライド類;硫
酸ジメチル、硫酸ジエチル等に代表される硫酸エステル
類;メチルメタンスルホネート、メチルトリフルオロメ
タンスルホネート等に代表されるアルキルスルホネート
類等を例示できる。アルキル化剤の使用量は、一般式
(2)で表される3’−メトキシアセトフェノンアセタ
ール誘導体1モルに対し、1〜4モルの範囲で用いられ
る。
【0024】アルキル化の反応温度は、−10℃〜50
℃、好ましくは5〜30℃で行なえばよく、反応時間は
通常は0.5〜6時間であればよい。反応時の圧力は、
常圧、加圧、減圧のいずれでも差し支えないが、通常は
常圧で行う。
【0025】反応終了後、過剰のアルキルリチウムを、
水やアルカリ水溶液などを用いて不活性化した後、抽
出、洗浄、溶媒留去などの操作を施す事により、目的物
である一般式(1)で表される本発明の2’−アルキル
−3’−メトキシアセトフェノンアセタール誘導体を取
り出すことができる。
【0026】次に、参考として本発明化合物から医・農
薬中間体として有用な2−アルキル−3−メトキシ安息
香酸への誘導方法を示す。
【0027】下記スキーム(化5)に示す様に、一般式
(1)で表される本発明の2’−アルキル−3’−メト
キシアセトフェノンアセタール誘導体は、これに例えば
塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の無機酸又は有機酸の水溶
液を室温で作用させてアセタール部位の脱保護(脱アセ
タール化反応)を行うことにより、一般式(3)で表さ
れるアセトフェノン誘導体とすることができ、次いでこ
の一般式(3)で表されるアセトフェノン誘導体に例え
ば次亜塩素酸ナトリウム水溶液を作用させてハロホルム
反応を行うことにより、一般式(4)で表される2−ア
ルキル−3−メトキシ安息香酸を容易に製造できる。
【0028】
【化5】 (式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を示す。)
【0029】この様に本発明化合物を用いると2−アル
キル−3−メトキシ安息香酸の製造を従来よりも容易に
行うことができるようになる。
【0030】なお、ハロホルム反応は、例えばオーガニ
ック シンセシス コレクティブヴォリューム 2(Or
g.Synth.,Coll.Vol.2),第428頁(1943)に記
載の条件で行う事ができる。
【0031】また、脱保護(脱アセタール化反応)及び
ハロホルム反応は、いずれも常圧、加圧、減圧のいずれ
の条件下で実施しても差し支えない。
【0032】
【実施例】次に、本発明化合物について、実施例により
具体的に説明する。
【0033】実施例1 3’−メトキシアセトフェノンジメチルアセタール5.
89g(0.030mol)、及びシクロヘキサン30
mlを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら冷却し、n−
ブチルリチウム(20%−シクロヘキサン溶液)10.
6g(0.033mol)を5℃で滴下した。滴下終了
後、同温度で3時間攪拌した。その後、ジメチル硫酸
5.7g(0.045mol)を滴下すると、発熱して
液温が22℃まで上昇した。発熱が終わった後、5℃で
1時間攪拌し、さらに25℃まで昇温して2時間攪拌し
た。次いで、2%−水酸化ナトリウム水溶液40mlを
滴下して攪拌したのち分液し、シクロヘキサン層を水1
00mlで2回洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾
燥した。シクロヘキサンを減圧留去したのち残渣を蒸留
し、3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノンジメ
チルアセタール5.85gを得た。収率は92.7%
(3’−メトキシアセトフェノンジメチルアセタール基
準)であった。 (3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノンジメチ
ルアセタールの物性) 沸点:81〜82℃(0.2mmHg) (確認データ) MS(m/e):210(M+) 60MHz1H−NMR(CDCl 3)δ値:1.57
(s,3H,CH3)、2.34(s,3H,CH3)、
3.19[s,6H,(CH3O)2C−]、3.82
(s,3H,CH3O)、6.6〜7.4(m,3H,
芳香核水素)
【0034】参考例1 3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノンジメチル
アセタール105.1g(0.50mol)、5%−塩
酸水溶液36.5g(0.050mol)及びメタノー
ル500mlを仕込み、25℃にて3時間攪拌した。そ
の後、5%−水酸化ナトリウム水溶液で中和し、メタノ
ールを減圧留去し、残渣にトルエンを加え、水、飽和食
塩水で順次洗浄したのち分液し、得られたトルエン層を
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。トルエンを減圧留去し
て、3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノン8
0.5g(0.49mol)を得た。収率は98.0%
(3’−メトキシ−2’−メチルアセトフェノンジメチ
ルアセタール基準)であった。
【0035】参考例2 12.6%−次亜塩素酸ナトリウム水溶液118.2g
(0.20mol)に3’−メトキシ−2’−メチルア
セトフェノン8.21g(0.050mol)を40〜
50℃にて滴下した後、40℃にて4時間攪拌を続け反
応させた。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、無
水亜硫酸ナトリウムを加え過剰の次亜塩素酸ナトリウム
を分解し、得られた水層をトルエンで2回洗浄した。次
いで、水層に10%−塩酸水溶液を加えて酸析した後、
酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を飽和食塩水洗浄した
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。最後に、酢酸エチ
ルを減圧留去し、析出した結晶を真空乾燥して、3−メ
トキシ−2−メチル安息香酸7.74g(0.047m
ol)を得た。収率は93.2%(3’−メトキシ−
2’−メチルアセトフェノン基準)であった。 (確認データ) 融点:147.9〜149.1℃ MS(m/e):166(M+ ) 60MHz1 H−NMR(CDCl3)δ値:2.51
(s,3H,CH3 )、3.86(s,3H,OC
3)、6.90〜7.77(m,3H,芳香核水
素)、9.57(brs,1H,COOH)
【0036】
【発明の効果】本発明により、新規な2’−アルキル−
3’−メトキシアセトフェノンアセタール誘導体が提供
される。本発明化合物を用いると、工業的にも入手しや
すい原料を用いて、反応温度等が制御しやすいなど工業
的にも実施容易な温和な条件で、工業的に従来よりも容
易かつ有利に、医・農薬の中間体として極めて有用な2
−アルキル−3−メトキシ安息香酸を製造することが可
能になる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は各々低級アルキル基を示す
    が、R1とR2は互いに結合してアルキレン基を形成して
    も良い。)で表される2’−アルキル−3’−メトキシ
    アセトフェノンアセタール誘導体。
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