JPH11511963A - クニッツタイプのプラスマカリクレイン阻害剤 - Google Patents

クニッツタイプのプラスマカリクレイン阻害剤

Info

Publication number
JPH11511963A
JPH11511963A JP9501470A JP50147097A JPH11511963A JP H11511963 A JPH11511963 A JP H11511963A JP 9501470 A JP9501470 A JP 9501470A JP 50147097 A JP50147097 A JP 50147097A JP H11511963 A JPH11511963 A JP H11511963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
xaa
group
amino acid
kunitz
polypeptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9501470A
Other languages
English (en)
Inventor
エス デニス,マーク
エー ラザラス,ロバート
Original Assignee
ジェネンテック インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ジェネンテック インコーポレーテッド filed Critical ジェネンテック インコーポレーテッド
Publication of JPH11511963A publication Critical patent/JPH11511963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/81Protease inhibitors
    • C07K14/8107Endopeptidase (E.C. 3.4.21-99) inhibitors
    • C07K14/811Serine protease (E.C. 3.4.21) inhibitors
    • C07K14/8114Kunitz type inhibitors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/02Non-specific cardiovascular stimulants, e.g. drugs for syncope, antihypotensives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Plasma Technology (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 プラスマカリクレインを阻害できる、強力で特異的なセリンプロテアーゼ阻害剤が提供される。阻害剤は、プラスマカリクレインの阻害が示されている疾病と障害の治療のための薬理組成物で提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 クニッツタイプのプラスマカリクレイン阻害剤 発明の分野 本発明は、プラスマカリクレイン阻害活性を有するクニッツタイプ(Kunitz-ty pe)ドメインを少なくとも1つ含む新規ポリペプチドに関する。本発明はさらに 、これらの新規ポリペプチドをコードするDNAと、これらのプラスマカリクレ イン阻害剤を生産するための組換え材料および方法に関する。本発明はまた新規 プラスマカリクレイン阻害剤を含み、プラスマカリクレインの阻害が示される疾 病および障害の治療用の薬理組成物に関する。 関連分野 カリクレイン カリクレインは、血管拡張の内因性経路のコンタクトシステムに関与する多因 子凝固カスケードのセリンプロテアーゼである。カリクレインはまた高分子量キ ノーゲン(HMWK)を分裂させてブラジキニン(強力な血管拡張剤および内皮 細胞活性剤)を生成させ、プロウロキナーゼとプラスミノーゲン(フィブリン溶 解性)を活性化でき、表面結合第XII因子から第XIIa因子の相互活性化をフィー ドバックする。さらに、エラスターゼを放出させる好中球を刺激することもでき る。第XIIa因子とカリクレインは共に、フィブリン溶解を起こすプラスミンを生 成することができる。このように、コンタクト活性化経路において中心的役割を 果たすにもかかわらず、プラスマカリクレインは、フィブリンの沈澱と溶解の両 方、血圧調節、炎症システムの補体活性化と支持に関与している。コンタクト活 性化経路とカリクレイン−キニンシステムの総説としては、Bhoola,K.D.,ら( 1992)Pharmacological Rev.,44(1):1-80と、Wachtfogel,Y.T.,(1993),Th romb.Res.,72:1-21参照。 プレカリクレインはカリクレインの前駆体であって、分子量80,000Da のポリペプチド鎖1本を含む糖タンパク質であり、正常プラスマに約50μg/ ml(600nM)の濃度で存在している。血液中では、75%のプレカリクレ インが高分子量キニノーゲン(HMWK)に結合して循環している。カリクレイ ンは、ジスルフィド結合した、43,000と33,000−36,000Da の2本の鎖からなる。カリクレインの軽鎖は酵素ドメインを含んでおり、重鎖は 凝固の表面依存性活性化に必要とされているようである。 生理的機能の種々の列(array)における役割のために、治療的介入の型とし てプラスマカリクレインの制御は広く研究されてきた。 疾病におけるコンタクト活性化経路 コンタクト活性化は、炎症と凝固の制御の一部に関与する表面媒介経路である 。この経路に関与するタンパク質は、第XII因子(ハーゲマン因子)、プレカリ クレイン(フレッチャー(Fletcher)因子)、高分子量キニノーゲン(HMWK) およびC1阻害剤(Schmaier,A.H.ら、Hemostasis and Thrombosis: Basic Pr inciples and Clinical Practice (Colman,R.W.,Hirsh,J.,Marder,V.,& Sa lzman,E.W.,編)1987、18−38頁、J.B.Lipponcott Co.,フィラデル フィア)である。チモーゲン第XII因子とプレカリクレインが、この経路におけ る最初のイベントとして活性型セリンプロテアーゼに変換される。このプラスマ プロテアーゼシステムの関与が、敗血症ショック、成人呼吸困難症候群(ARD S)、散在性血管内凝固(DIC)および種々の他の疾病状態を含む種々の臨床 的発現に、重要な役割を果たすことが示唆されてきた(Coleman R.W.(1989)N.E ngl.J.Med320:1207-1209;Bone,R.C.(1992)Arch.Intern.Med.152:1381-1389) 。 内因性凝固のコンタクトシステムと補体システムは、敗血症および敗血症ショ ック、特に致死的敗血症ショックの場合、過剰に活性化される。致死的ショック の病原に役割を果たしていると考えられる、多くの血管作動性のメディエーター 、例えばブラジキニン、FXIIa、FXIIf およびC5a、の発生に、コンタクトシ ステムが関与し得る。ブラジキニン、FXIIa、XIIfは強力な低血圧症のインデュ ーサーであり、C5aは血管拡張、血管透過のインデューサーである。FXII、プ レカリクレインおよび高分子量キニノーゲンは、非致死性ショックの間では、か なり減少するが、致死性敗血症ショックの間では、各々正常値の30%、57% 、27%にまで著しく抑えられる。これらの変化は、敗血症状態がグラム陽性菌 、グ ラム陰性菌のいずれによるものであっても起こる。 コンタクト活性化経路はまた、フィブリン沈澱および溶解の両方に関与してお り、好中球活性化、補体活性化、および血圧制御の引き金にもなっている。敗血症ショック 敗血症ショックは、合衆国の集中治療ユニットの最も一般的なヒトの死因であ る(Parillo,J.E.ら(1990),Ann.Int.Med.113:227-242;Schmeichel C J .& McCormic D.,(1992)Bio Technol.10:264-267)。それは血流を侵害する感 染のローカルな病巣により通常開始される。敗血症とショックは、グラム陰性、 グラム陽性細菌、カビ(fungal)微生物のいずれの感染によっても起こり得る。 これらの生物はすべて、共通のパターンの心臓血管の機能不全を誘導するようで ある。最近、積極的な液体注入療法が、敗血症ショックの治療の最初の手段とし て受け入れられてきている。液体の適当な注入により、心臓の出力上昇と血管の 抵抗の低下がおこる。治療を行っても、敗血症ショックにより、系統的な血管抵 抗を大きく減少させ、血流分配不全が拡大する。積極療法は、約50%の割合で 、ショックと死亡を防ぐ。非常に低い血管抵抗から起こる、応答のない(unresp onsive)低血圧症は、液体注入では治すことができない。敗血症ショックによる 死亡のうち、約75%が継続的な低血圧症であり、残りは複数の器官系の不全に よる。 敗血症ショックにおける心臓出力増加と血管拡張は、炎症メディエーターの作 用に寄与している。敗血症ショックでは、カリクレイン−キニン系の成分が枯渇 し、この系の活性化を示唆している。このことは心臓ショックの場合ではおこら ず、カリクレイン−キニン系が敗血症の鍵であることを示唆している(Martinez -Brotons F.ら(1987)Thromb.Haemostas.58:709-713)。図1に示すように、実際 に敗血症ショックが起こっている間、DICと低血圧症は起こっておらず、多く の生理システムの種々の成分の間で知られている相互作用は、コンタクト経路の 活性化が敗血症ショック、多臓器不全、死亡の状態を起こしているかもしれない ことを、示唆している(Bone,R.C.,上述)。ARDS ARDSは複雑な肺の障害であり、合衆国で年間150,000人が罹患し、 死亡率が50%である。白血球、血小板、および凝固の蛋白分解経路および補体 が、ARDSを媒介している。ARDSは、コンタクト活性化経路の活性化およ びC1阻害剤の枯渇に関与している。肺血症に誘導されたARDSは、トラウマ 誘導ARDSに比べて、より深刻なDICとフィブリン溶解を招き、フィブリン 分解産物の増加とATIIIレベルの減少を招く(Carvalho,A.C.ら(1988)J.Lab.Cli n.Med.112:270-277)。散在性血管内凝固 散在性血管内凝固(DIC)は、組織損傷と侵入微生物の応答によって起こる 障害であり、広い範囲でのフィブリン沈澱とフィブリノーゲンレベルの枯渇で特 徴づけられる(Muller-Berghaus,G(1989)Semin.Thromb.Hemostasis,15:58-87) 。プロトロンビンと活性化した一部のトロンボプラスチンの時間が延長される。 DICは、多くの種類の疾病の臨床の場で観察されてきた(Fruchtman,S.M.&Ra nd,J.H.Thrombosis in Cardiovascular Disorders,Fuster,V &Verstraete M. 編(1992)501-513頁、W.B.Saunders、フィラデルフィア)。 低血圧症、DIC、好中球活性化はすべてに、第XIIa因子、プラスマキノ−ゲ ン、およびカリクレインの相互作用により開始される。これら3種のタンパク質 のいずれかが欠損しても、血小板、他の凝固因子、および内皮細胞によるシステ ムの重複のためのうっ血性の障害は起こらない。プラスマカリクレイン阻害剤 敗血症ショックとそれに関連した障害に対する多数の治療のアプローチが同定 されており、例えば種々のサイトカイン拮抗薬、Mabs(エンドトキシン、組 織因子、腫瘍表皮壊死症因子(TNF)、好中球などへの)、キニン拮抗薬、細 菌透過性増加タンパク質、PAF拮抗薬、C1阻害剤、DEGR−FXa、およ び活性化プロテインCなどが、その他のものの中から同定されている。疾病の複 雑な性質のため、複数の薬剤または複数の経路に作用する薬剤を含むアプローチ が、敗血症ショックの治療に有効である可能性がある(Schmeichel C.J.&McCorm ick D.,上述)。凝固、コンタクト活性化、フィブリン溶解、炎症、補体活性化 、および低血圧経路のプロテアーゼを可逆的に阻害する、強力なセリンプロテア ーゼ阻害剤は、これらの経路により影響される疾病の治療の1つのアプローチで あ る。 タンパク質阻害剤は、種々の生理プロセスでのプロテアーゼの制御において重 要な役割を担う。プラスマカリクレインの主な生理的阻害剤はC1阻害剤、不可 逆的に阻害するセルピン(serpin)である。C1阻害剤は、また、第XIIa因子、 および補体経路プロテアーゼClrとClsの主要な生理的阻害剤である。他の 主要なカリクレイン阻害剤であるα2−マクログロブリンは、キニン生成機能を 阻害するが、エステル分解活性は部分的にしか阻害しない。抗トロンビンIIIも また、カリクレインを阻害するが、ヘパリンが存在してもその速度は遅い。α2 −抗プラスミンとα1−抗トリプシンはカリクレインをほとんど阻害しない。P1 の位置にArg、P2の位置にAlaを含むα1プロテイナーゼ阻害剤の変異体 (α1−プロテイナーゼ阻害剤−ピッツバーグ)は、C1阻害剤に比べて、第XII f因子(FXIIf)とカリクレインの阻害剤としてより強力であることが示されてき た(Schapira,M.ら(1987)J.Clin.Invest 80:582-585;Patston,P.A.ら(1990)J.Bi ol.Chem.265:10786-10791)。この変異体で処理したラットは、FXIIfの注射に よる低血圧症から部分的に保護された。 最近、E.coliからの142残基タンパク質であるエコチンが、約160pMの K1で強力にプラスマカリクレインを阻害することが示された。しかしながらエ コチンは完全には選択的でなく、第XIIa因子、第Xa因子、およびヒト白血球エラ スターゼも強力に阻害する(Seymour,J.L.ら(1994)Biochemistry33:3949-3958) ウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI、アプロチニン)は、セリンプロテアー ゼ阻害剤のクニッツドメインファミリーのよく研究されたメンバーであり、約3 0nMのK1でプラスマカリクレインを穏やかに阻害する(Fritz,H.,およびWund erer,G.,(1983)Arzeim-Forsch.Drug Res.33.479-494;Creighton,T.E.,およびCha rles,I.G.(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.52:511-519)。しかしな がら、BPTIはプラスミンの阻害剤としてより強力である。 アプロチニンは、急性の膵臓炎、敗血症、および出血性ショック、成人呼吸困 難症候群および多数の(multiple)トラウマなどを含む種々の臨床場面で用いら れている。最近、臨床と心肺バイパスモデルの両方でその可能性が示されている (Westaby,S.,(1993)Ann.Thorac.Surg.55:1033-1041;Watchfogel,T.,ら(1993)J . Thorac.Cardiovasc.Surg.106:1-10)。 クニッツタイプセリンプロテアーゼの広いスペクトルのため、アプロチニンは 、コンタクト活性化経路により開始される凝固カスケードの活性化を防ぐことが できる。虚血症および低酸素症による組織損傷から起こる好中球と他の炎症反応 の活性化もまた防ぐことができる。これらの利点は、そのカルクレインまたはプ ラスミン阻害活性に由来すると考えられている。しかしながら、アプロチニンは あまり強力でなく、選択的でないという事実が、これらの効果の解釈を困難にし ている。 血液損失の減少、好中球の脱顆粒の防止、血小板活性化と結集、およびカリク レイン−Cq−阻害剤とC1−C1阻害剤複合体の生成により証明されたように 、刺激を受けた体外灌流の間、アプロチニンは、コンタクト、好中球、および血 小板活性化システムを阻害する(Watchfogel,T.,ら(1993)J.Thorac.Cardiovasc. Surg.106:1-10)。それは、ブタのLPS誘導内毒素ショックの間、プラスマカ リクレインを阻害するために用いられており、動脈低血圧を防ぐ結果となる(se ibeck,M.(1993)J.Trauma34:193-198)。アプロチニンは、血流力学におけるプラ スマカリクレイン−キニンシステムの関与および肝硬変の患者の腎臓の機能を調 べるためにも用いられている(MacGilchrist,A.,(1994)Clin.Sci.87:329-335) 。アプロチニンは、腎臓の流れと濾過を改善するので、腎臓の水力学(hydrodyn amics)にも有利であることが示されている。 Traysylol(商標)(アプロチニン、バイエルAG、Leverkusen,ドイツ)は現 在、バイパス手段の間、心肺バイパス循環を通って最初の血液通過においてマス で(massively)活性化されたプラスマのコンタクトシステムを阻害することが 示されている(Westsby,S.(1993)Ann.Thorac.Surg.55:1033-41)。アプロチニン は、心肺バイパスの間カリクレインシステムのコンタクト活性化を阻害し、ヘパ リンとの協同作用で、内因性凝固カスケードの阻害を通じてトロンビンの生成を 防ぐ(Westaby,上述)。Trayslol(商標)はまた、敗血症、出血性ショック、術 後の壊死の膵臓炎、術後の肺のエンボリズムの予防に用いられている。クニッツドメイン クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤(例えばBPTI、アプロチニン) は、よく性質が知られているタンパク質ファミリーであり、該ファミリーには、 長い結合ループを有する特徴的な三次折り畳み構造を含み、そのループが同系の セリンプロテアーゼの活性部位にフィットするという構造のホモロジーが広く存 在する(Bode,W.,およびHuber,R.,(1992)Eur.J.Biochem.204:433-451)。クニ ッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤は、ゆっくり、しっかりと結合するセリン プロテアーゼの可逆的阻害剤であることが知られており、活性部位に結合して通 常のメカニズムに従って阻害する(Laskowski,Jr.,M.Kato,I.,(1980)Ann.Rev.Bi ochem.49:593-626)。P1とP1’残基の間の開裂はそれが起こった場合も非常に ゆっくりである(Bode,W.およびHuber,R.,(1992)Eur.J.Biochem.204:433-451;La skowski,M.,Jr.およびKato,I.,(1980)Annu.Rev.Biochem.49:593-626;P1残基は 、基質あるいは阻害剤に結合する分裂ペプチドの前の位置を指し、Schecterおよ びBerger(1967)Biochem.Biophys.Res.Commun.,27:157-162で定義されたS1結合 部位にフィットする。残基の番号は、BPTIの番号に対応し、残基15はP1 の位置である。)。 結合ループのいくつかのコンタクト残基(位置11,15,17,および19 )が、クニッツドメインのなかで比較的変化しやすい(Creighton,T.E.およびI. G.Charles,(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.52:511-519)。位置1 3は通常Proである。位置12はほとんど常にGlyである。ジスルフィド結 合を形成する位置14と38のシステイン残基は、常にクニッツドメインの中に みられる。しかしながら、システインに代えてAla、Gly、SerまたはT hrなどの他の残基が置換してもよい(Marks,C.B.ら(1987)Science,235:1370-1 373)。 アルツハイマーアミロイドβプロテイン前駆体(APPI)の58残基のクニ ッツプロテアーゼ阻害剤ドメイン、および他のクニッツドメインは、残基13と 39が、残基17と34と同様に、非常に近位である(図3)(Hynes,T.R.ら(1 990)Biochemistry 29:10018-10022)。位置16と18の残基は、一般にクニッ ツドメインの中で比較的変わりにくい(Creighton,T.E.およびI.G.Charles,(198 7)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.52:511-519)。しかしながら、これら の位置における異なる残基も結合を変えるかもしれない。したがって、位置11 から19,34,38,および39の残基は、すべて、セリンプロテアーゼに対 する 結合親和性および特性に影響を及ぼすかもしれない(図3)。 他の残基も同様に重要である。例えば、他のクニッツドメインは位置52に種 々の残基を有しているが、APPIとBPTIは位置52にメチオニンを有して いる(図2)。この位置のメチオニンは、タンパク質の生産に関して有利となり 得る他の残基によって置換されることができる。例えば、メチオニンは、酸化に 対する感受性が高くメチオニンスルホキシドを形成するが、これは精製を複雑に っすることができる。またタンパク質を、融合タンパク質として組換えて生産し 、メチオニンの位置でCNBrで開裂させることができる(Auerswald,E.A.ら(1 988)Biol.Chem.Hoppe-Seyler 369:27-35)。したがって、インタクトな生産物を 生産するためには。目的とするタンパク質中の他のメチオニン残基を除くことが 必要である。位置52の置換は、クニッツドメインの第一結合ループから遠く離 れているので、阻害活性において重要な作用を有しているとは考えられていない (図3)。 カリクレインおよびFXIaなどのトリプシン様プロテアーゼの基質および阻害 剤は、P1残基にArgまたはLysを有している(欧州特許公報O33994 2A2)。しかしながらメチオニンは、場合によってはP1の位置に見られるこ とがあるが、依然としてセリンプロテアーゼの強い阻害剤である(McGrath,M.E. ら(1991)J.Biol.Chem.266:6620-6625)。クニッツドメインのP1の位置にVal ,LeuまたはIle等の残基を導入すると、ヒト白血球エラスターゼ(HLE )の強力な阻害剤となり、同時に野生型の阻害活性を失う(Beckmann,J.ら(1991 )Eur.J.Biochem.176:675-682;Sinha,S.ら(1991)J.Biol.Chem.266:21011-21013) 。 最近、BPTIに構造が類似しているAPPIは(Hynes,T.ら(1990)Biochemi stry 29:10018-10022)、組織因子−第VIIa因子(TF-FVIIa)の強力で特異的 な活性部位阻害剤を選択するために、変異体の多数のライブラリのファージのデ ィスプレイのための骨格として用いられた(Dennis,M.S.,およびLazarus,R.A.,( 1994)J.BIol.Chem.269:22129-22136;Dennis,M.S.,およびLazarus,R.A.,(1994)J. BIol.Chem.269:22137-22144)。組織因子−第VIIa因子に対して、この研究で生 産された変異体を直接比較すると、P1残基をLysからArgへ代えることに より、プラスマカリクレインに対する結合親和性の95倍の増加を示す。このデ ータは、 以前BPTIについてP1の位置のArgとLysについて示されたものと矛盾 しない(Scott,C.F.らBlood 69:1431-1436)。この研究で、P1の位置のLys をArgへ変換すると、20倍の強さのプラスマカリクレイン阻害剤となった。 これらの研究ではどれも、プロテアーゼが、組織因子−第VIIa因子、第XIa因子 またはプラスミンなどの他のセリンプロテアーゼの阻害を示したため、プラスマ カリクレインの特異的阻害剤を示唆しなかった。 APPIは、容易にE.coliなどのバクテリア(Castro,M.ら(1990)FEBS Lett.2 67:207-212)およびP.pastorisなどの酵母で発現した。タンパク質のX線結晶構 造は、知られている(Hynes,T.R.ら(1990)BIochemistry29:10018-10022)。さら に、それはヒトの配列由来であって、治療に有用な変異体に対する免疫原性を最 小限にするであろう。 最近の進歩にもかかわらず、対象となる治療手段を進歩させるために、プラス マカリクレインの強力で特異的な阻害剤の必要性が残されている。 発明の要旨 本発明は、凝固、コンタクト活性化、フィブリン溶解、炎症、補体活性化、低 血圧経路のプロテアーゼの、強力な可逆的阻害剤となる組成物を提供する。特に 、本発明は、プラスマカリクレインの強力な阻害剤を提供する。本発明の組成物 は、セリンプロテアーゼ阻害剤ポリペプチドを含む。本発明のポリペプチド阻害 剤は、プラスマカリクレインの強力な阻害剤となり得る、非天然の(non-native )クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを少なくとも1つ含む。 好適な実施態様において、本発明は、非天然の(non-native)クニッツタイプ セリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドを提供し 、該クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインは、第1結合ループXa a5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’−Xaa3’ −Xaa4’およびXaa19’を含む第2結合ループを有するドメインであって 、Xaa5は、Pro,Asp,Glu,Ser,Thr,Arg,およびLe uからなる群から選ばれるアミノ酸;Xaa4は、Glyアミノ酸;Xaa3は、 Hi s,Pro,Arg,Leu,GlyおよびThrからなる群から選ばれるアミ ノ酸;Xaa2はCys;Xaa1はArg;Xaa1’は、AlaおよびGly からなる群から選ばれるアミノ酸;Xaa2’は、Ala,Leu,Asn,T rpおよびSerからなる群から選ばれるアミノ酸;Xaa3’は、Hisおよ びIleからなる群から選ばれるアミノ酸;Xaa4’は、Pro、Tyr,L euおよびTrpからなる群から選ばれるアミノ酸;およびXaa19’は、Va l、Tyr,Trp,SerおよびPheからなる群から選ばれるアミノ酸であ る。 本発明のさらに好適な実施態様において、ポリペプチドは以下の配列を有する クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを含み: R1−Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’ −Xaa3’−Xaa4’−R2−Xaa19’−R3 1は10アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa11に相当するアミノ酸はC ysであり;R2は14アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa15’に相当す るアミノ酸はCysであり;R3は24アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xa a23’、Xaa36’、Xaa40’に相当するアミノ酸はCysである。本発明の この態様に従って本発明のポリペプチドは、上述のごとく定義されたXaa5− Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’−Xaa3’−X aa4’のアミノ酸を含む第1の結合ループと、Xaa19’のアミノ酸を含む第 2の結合ループを含む約58アミノ酸のクニッツタイプドメインを含む。 クニッツタイプドメインの例としては、 からなる群より選ばれたR1を有し、 からなる群より選ばれたR2を有し、 からなる群より選ばれたR3を有する。 好適なポリペプチドはまた、プラスマカリクレインを阻害しかつクニッツタイ プセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを含むポリペプチドを含み、該クニッツタ イプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインは、上述の第1と第2の結合ループを有 し、R1はAPPIのアミノ酸残基1−10(SEQ ID NO:6)あるい はその保存性の(conservative)アミノ酸置換物を表し、R2はAPPIのアミ ノ酸残基20−33(SEQ ID NO:14)あるいはその保存性の(cons ervative)アミノ酸置換物を表し、R3はAPPIのアミノ酸残基35−58( SEQ ID NO:23)あるいはその保存性の(conservative)アミノ酸置換物を 表す。 好適な実施態様において、ポリペプチドは、Xaa5−Xaa4−Xaa3−X aa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’−Xaa3’−Xaa4’の第1結合ルー プと、Xaa19’を含む第2の結合ループを含み、Xaa5はGlu,Asp, Pro群から選ばれたアミノ酸;Xaa4はGly;Xaa3はHis;Xaa2 はCys;Xaa1はArg;Xaa1’はAla;Xaa2’はAla;Xaa3 ’はHis;Xaa4’はPro;およびXaa19’はVal、Trp、Tyr から選ばれるクニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを含む。 本発明に従えば、セリンプロテアーゼ阻害剤はプラスマカリクレインの強力な 阻害が可能である。したがって本発明で好適なポリペプチドは、プラスマカリク レインに対するみかけの解離定数(Ki *)が約500ピコモル(pM)未満であ る。より好ましくは、本発明のポリペプチドは、プラスマカリクレインに対する Ki *は約300pM未満であり、最適には約100pM未満である。本発明の好 適な実施態様において、セリンプロテアーゼ阻害剤は、プラスマカリクレインを 強力かつ特異的に阻害することができる。本発明のこの態様において、セリンプ ロテアーゼインヒビターはプラスマカリクレインを阻害するが、第Xa因子、組 織因子−第VIIa因子、トロンビン、第XIIa因子、または活性化プロテインCなど の凝固カスケードの他のセリンプロテアーゼを検知されるほどには阻害しない。 さらなる実施態様において、本発明は、発明のポリペプチドをコードする分離 された核酸、好ましくはDNAを含む混合物を包含する。本発明はさらに、DN A分子とリンクして働く発現制御配列と;DNA分子を含み、制御配列がベクタ ーで形質転換された宿主細胞に認識される発現ベクター、好ましくはプラスミド と;ベクターで形質転換された宿主細胞を含む。 本発明の好適な発現ベクターは、例えばpBR322、phGH1,pBO4 75,pRIT5、pRIT2T、pKK233−2、pDR540,およびp PL−ラムダから選択されてもよく、最適なベクターはpSAlz1である。 本発明の発現ベクターを含む好適な宿主細胞は、例えば、E.coli K12株294(A TCCNo.31446)、E.coli株JM101株、E.coli B、E.coli X1776(ATCCNo.31537)、E. coli c600、E.coli W3110(F-,ガンマ-,プロトロピック、ATCCNo.27325)、Bachil lus subtisSalmonella typhimuriumSerratia marcesansPsudomonas 種か ら選択されてもよく、最適な宿主細胞は、E.coli W3110(ATCCNo.27325)、および これらの誘導体、例えばプロテアーゼ欠損株27C7(ATCC No.55244)などである。 本発明の組成物は、上記アミノ酸配列のいずれかをコードする核酸配列を精製 または合成する工程、核酸配列を適当な宿主内で発現させることができる適当な 発現ベクターに結さつする工程、核酸配列が結さつされている発現ベクターで宿 主を形質転換する工程、核酸配列の発現に適した条件で宿主を培養する工程を含 む方法によって製造してもよく、このとき選択された核酸配列によりコードされ たタンパク質は、宿主によって発現される。好ましくは、その後ポリペプチドは 宿主細胞培養から回収される。この方法で、結さつ工程は、さらにアミノ酸配列 が宿主により分泌される適当な発現ベクターに核酸を結さつし、核酸が適当な分 泌シグナルとリンクして働くようにしてもよい。分泌シグナルは、リーダー配列 、例えばstII,lamB,ヘルペスgD、lpp、アルカリンホスファター ゼ、インベルターゼ、およびアルファ因子から構成される群から選択されてもよ く、好ましくはstIIである。 本発明はさらにここで記載された組成物の治療への適用まで拡張する。したが って本発明は薬理的に許容されるな賦形剤(excipient)と精製された本発明の ポリペプチドを含む薬理組成物を含む。 これらの適用は、例えば、プラスマカリクレイン阻害が示されているほ乳類の 治療方法で、薬理的に有効な量の薬理組成物をほ乳類に投与することを含む治療 方法を含む。そのような徴候としては、炎症、敗血症ショック、低血圧症、AR DS、DIC、心肺バイパス手術、手術後の手術からの出血(bleeding from po stoperative surgery)が含まれる。 図面の説明 図1:凝固、コンタクト、フィブリン溶解、炎症、および補体経路を調節する 選択された酵素とメディエーターの概略図。これらの経路の活性化は、示された 臨床状態を招く。 図2:ほ乳類由来のクニッツドメインの配列を並べた図。並べられているのは 、アルツハイマーアミロイドβプロテイン前駆体からのAPPI(残基1−58 残基)(SEQIDNO.34);ヒトTEPI(組織因子タンパク質阻害剤ま たはLACI、Broze Jr.,G.J.ら(1990)Biochemistry 29:7539-7546)からのT EPI−KDI(クニッツドメイン1)(残基22−79)(SEQIDNO. 35)、TEPI−KD2(残基93−150)(SEQIDNO.36)TE PI−KD3(残基185−242)(SEQIDNO.37);各々ヒトイン ター−α−トリプシン阻害剤のITI−KD1およびITI−KD2(残基22 −79および78−135)(SEQIDNO.38と39)(Vetr,H.ら(1989 )FEBS Lett 245:137-140);コラーゲンα3(VI)鎖前駆体のコラーゲンα3 (VI)(残基2899−2956)(SEQIDNO.40)(Chu,M.L.(199 0)らEMBO J.9:385-393);HKIB9(7−60)(SEQIDNO.41)ヒ トクニッツタイププロテアーゼ阻害剤HKIB9(Norris,K.,1994年1月 19日に提出された遺伝子バンクデータベースより(1993年12月31日、 公開39.0)); BPTI(1−58)(SEQIDNO.42)、アプロ チニンまたはウシ塩基性膵臓トリプシン阻害剤(Creighton,T.E.,およびCharles ,I.G.(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.52:511-519)。不変配列のモ チーフ配列もリストされている。 図3:APPIと他のクニッツドメインのモデル。数字は、APPIと他のク ニッツドメインで見いだされた残基を意味する;残基15は残基P1に相当する 。影のついた領域は、AIPPと他のクニッツドメインの第1(残基11−19 )と第2(残基34を含む)結合ループを意味する。位置14と38、5と55 、および30と51のシステイン残基の間のジスルフィド結合は、点線で示され ている。 図4Aと図4B:選択されたクニッツドメインのプラスマカリクレインとFXI a因子へのみかけの平衡解離定数の決定。阻害活性は、種々の阻害剤濃度におけ る活性比(阻害割合/非阻害割合)で表されている。みかけの平衡解離定数は、 方程式1へのデータの非線形回帰分析により決定された。図4Aでは、以下の存 在 における0.5nMプラスマカリクレインの活性比が示される:APPI(●) 、BPTI(■)、KALI−10(○)、およびKALI−DY(□)。 図4Bにおいて、以下の存在における3.5nM第XIa因子の活性比が示される :APPI(●)、BPTI(■)、KALI−10(○)、およびKALI− DY(□)。Ki *値は、表IIIとIVで示される。 図5Aと図5B:APPI(●)、BPTI(■)、およびKALI−DY( □)の濃度が、APTTアッセイ(図5A)でのエラグ酸により開始される、ま たはPTアッセイ(図5B)でのTF膜により開始される、凝固時間の延長の倍 数に対してプロットされている。非阻害凝固時間は、APTTとPTで、各々3 3.6秒と14秒であった。 発明の詳細な説明 I.定義 説明全般に用いられている略語は:FXIIaが第XIIa因子;HMWKが高分子量 キノーゲン;FXIaが第XIa因子;FXaが第Xa因子;TFが組織因子;FVIIaが第 VIIa因子;BPTIは塩基性膵臓トリプシン阻害剤;APPIはアルツハイマー アミロイドβ−タンパク質前駆体阻害剤;Ki *がみかけの平衡解離定数;BSA がウシ血清アルブミン;HPLCが高速液体クロマトグラフィー;PTがプロト ロンビン時間;APTTが活性化部分的トロンビン時間。 「クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメイン」「クニッツタイプドメ イン」「クニッツドメイン」などは、1936年に結晶型ではじめて単離された (Kunitz,M.およびNorthop,J.H.,(1936)J.Gen.Physiol.19:991-1007)セリンプ ロテアーゼ阻害剤BPTI(ウシ膵臓トリプシン阻害剤;CreightonおよびCharl es(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.52:511-519)のシステイン残基 の保存を特徴とする約58アミノ酸残基タンパク質ドメインを意味し、互換的に 用いられている。クニッツドメインはシステイン残基の位置、3次折り畳み構造 、構造的特徴が共通している。図3は、システイン残基の位置を示す、アルツハ イマーアミロイドβタンパク質前駆体のクニッツドメインの3次構造のモデルで あ る。 1,2,または3のクニッツドメインを含有するタンパク質のファミリーが同 定されている。そのファミリーは;LACI(リポタンパク質結合凝固阻害剤、 TEPIまたは組織因子蛋白阻害剤;Broze Jr.,G.J.ら(1990)Biochemistry 29: 7539-7546)も;APPI(アルツハイマーアミロイドβタンパク質前駆体;Hyn es,T.R.ら(1990)BIochemistry 29:10018-10022);ヒトタイプVIコラーゲンα3 鎖(WO93/14119参照)およびインターαトリプシン阻害剤(Hochstra sser,K.,E.,(1985)Biol.Chem.Hoppe-Seyler 366:473)。図2は、ほ乳類由来の クニッツドメインの配列を並べたものである。クニッツドメインは、アカウミガ メ卵白、ケロニアニン(chelonianin)(Kato,I.,およびTominaga,N.,(1979)Fed .Proc.38:3342-3357)、およびβ1ブンガロトキシン(bungarotoxin)(Kondo,K .,ら(1982)J.Biochem.91:1519)のB鎖でも同定されている。これらはまた多く のヘビ毒液でも同定されている。クニッツドメインは、通常ジスルフィド結合で 存在する特異的な間隔で配置された6つのシステインを含む(Bode,W.,およびHu ber,R.,(1992)Eur.J.Biochem.204:433-451)。これらの3つのジスルフィド橋は 、タンパク質を安定させ、クニッツドメインの3次元折り畳み特性全体に部分的 に関与している(図3)。58残基クニッツタイプセリンプロテアーゼBPTI およびAPPIでは、システインは残基5,14,30,38,51,および5 5に存在している。しかしながら1つのシステイン橋を除去しても、大きな構造 の変化はもたらされない(Eigenbrot,C.,ら(1990)Protein Eng.3:591-598)。 クニッツドメインタイプセリンプロテアーゼ阻害剤の結晶構造は、BPTI( 上述)およびAPPI(Hynes,T.R.ら(1990)BIochemistry 29:10018-10022)で 決定されている。中央の逆平行な3本鎖βシートおよびC末端αヘリックスがド メインの核を形成している(Bode,W.,およびHuber,W.,上述)。コアドメインの セグメントは、適当に折り畳まれたタンパク質の外にさらされた第1結合ループ を支持する骨格を形成する(「第1結合ループ」はここで定義されたもの)(Bo de,W.,およびHuber,W.,上述)。第2結合ループは、第1結合ループとともに、 クニッツドメインと同系のプロテアーゼターゲットとの間の相互作用を定義する ことに関与する(「第2結合ループ」はここで定義されたもの)(Ruhlman,A., ら(1 973)J.Mol.Biol.77:417-436)。 ここで用いられる「非天然」とは、天然に存在するクニッツドメインと異なる アミノ酸配列を有するクニッツタイプドメインを意味する。天然に存在するクニ ッツドメインは、例えば、図2および関連分野の説明に記載されたものである。 本発明の非天然クニッツタイプドメインのアミノ酸配列は、天然に存在するクニ ッツドメインと、少なくともここに記載された第1および第2結合ループが修飾 されている理由で相違している。1つの実施態様において、非天然クニッツタイ プドメインは、天然に存在するクニッツドメインの1またはそれ以上のアミノ酸 の置換により、天然に存在しているクニッツドメインから得られる。そのような 修飾は例えば、天然に存在するクニッツドメインをコードするDNA配列の変換 により行うことができる。いくつかの例では、非天然クニッツタイプドメインは 、天然に存在するクニッツドメインの1つまたはそれ以上のアミノ酸側の鎖の直 接の化学修飾により、天然に存在するクニッツタイプドメインから得ることが可 能である。 クニッツドメインの「第1の結合ループ」は、P5−P4−P3−P2−P1−P1 ’−P2’−P3’−P4’(BPTIとAPPIの残基11−19)を指す。「 第2の結合ループ」は、P19’−P20’−P21’−P22’−P23’−P24’(B PTIとAPPIの残基34−39)を指す。 「P1」という用語は、ここでは、以前Schecter,I.,およびBerger,A.,(1967)B iochem.biophys.Res.Commun.27:157-162により定義されたように、セリンプロ テアーゼ阻害剤に結合した分裂ペプチドの前の位置を意味するように用いられて いる。同様にして「P1」という用語は、セリンプロテアーゼ阻害剤に結合した 分裂ペプチドの後の位置を意味するように用いられている。数字の増加は、分裂 結合に先立つおよび後にくる(すなわちP2’とP3’)次の連続した位置を意味 する。残基の数字は、BPTIのそれに対応し、残基15がP1位置となる。 本発明のポリペプチドにおいて、記号Xaaはアミノ酸位置に関してPと入れ 替わる。したがって、Xaa1はP1と、Xaa1’はP1’と均等である。 APPIは、ヒトアルツハイマー症アミロイドβタンパク質前駆体、残基28 7−344からの58アミノ酸ポリペプチドを意味する(Castro,M.ら(1990)FEB S Lett.267:207-212)。このタンパク質において、P5−P4−P3−P2−P1− P1’−P2’−P3’−P4’は、第1結合ループの残基11−19に対応する。 P19’は第2結合ループの残基34に対応する。 本発明の範囲で「アミノ酸」という用語は、天然に存在するLアルファアミノ 酸または残基を意味する。アミノ酸を意味する通常用いられる1および3文字の 略語をここで用いている(Lehninger,A.L.,Biochemistry,第2版、71−92頁 (1975)Worth Publishers,ニューヨーク)。 本発明の範囲で用いられる「保存的」アミノ酸置換という用語は、機能的に均 等なアミノ酸を置換するアミノ酸置換を意味する。保存的アミノ酸変化は、得ら れるタンパク質のアミノ酸配列内の静かな(silent)変化となる。例えば、類似 する極性の1つまたはそれ以上のアミノ酸は、機能的均等物として作用し、タン パク質のアミノ酸配列内の静かな(silent)変化となる。保存的アミノ酸置換は 、Taylor,W.R.,(1986)J.Mol.Biol.188:233-258の表1、240ページのアミノ酸 置換として定義される。最大の保存的アミノ酸置換は以下のものを含む: (1)親水性:His,Trp,Tyr,Phe,Met,Leu,Ile,V al,Ala; (2)中性疎水性:Cys,Ser,Thr; (3)極性:Ser,Thr,Asn,Gln; (4)酸性/負に荷電:Asp,Glu; (5)荷電:Asp,Glu,Arg,Lys,His; (6)塩基性/正に荷電:Arg,Lys,His; (7)塩基性:Asn,Gln,His,Lys,Arg; (8)鎖の向きに影響を与える残基:Gly,Pro;および (9)芳香族:Trp,Tyr,Phe,His。 さらにいくつかの特定のアミノ酸に代えて構造の類似したアミノ酸が置換でき る。構造の類似した群は以下のものを含む:(Ile,Leu,およびVal) ;(PheおよびTyr);(LysおよびArg);(GlnおよびAsn) ;(AspおよびGlu):および(GlyおよびAla)。保存的アミノ酸置 換の例示は好適には以下のものに従う:Alaに代えてGlyまたはSer;A rgに代えてLys;Asnに代えてGlnまたはHis;Aspに代えてGl u;Cysに代えてSer;Glnに代えてAsn;Gluに代えてAsp;G lyに代えてAlaまたはPro;Hisに代えてAsnまたはGln;Ile に代えてLeuまたはVal;Leuに代えてIleまたはVal;Metに代 えてArg、Gln、またはGlu;Pheに代えてMet、Leu、またはT yr;Serに代えてThr;Thrに代えてSer;Trpに代えてTyr; Tyrに代えてTrpまたはPhe;Valに代えてIleまたはLeu。 「発現ベクター」は、適当な宿主内で、DNAによりコードされたタンパク質 の発現に作用し得る適当な制御配列にリンクして働くDNA配列を含むDNA構 成物を意味する。そのような制御配列は通常、転写に作用するプロモーター、転 写を制御する任意のオペーレーター配列、適当なmRNAリボゾーム結合部位を コードする配列、転写と翻訳の終了を制御する配列を含む。ベクターは、プラス ミド、ファージ粒子、または「ファージミド」または単にゲノムへの挿入を可能 にするものであってよい。 適当な宿主にいったん形質転換されれば、ベクターは複製し、宿主ゲノムとは 独立に機能することができ、いくつかの場合、ゲノムそれ自体に融合することも あり得る。本明細書で、「プラスミド」「ベクター」または「ファージミド」と は、プラスミドが現在ベクターの最も一般的に用いられる型であるので、相互に 変換可能なものとして用いられることもある。しかしながら本発明は、均等な機 能を提供し、この分野で知られあるいは知られるようになる他の型の発現ベクタ ーを含むことを意図している。 「作用的にリンクされた」とは、2つのDNAまたはポリペプチド配列の関係 を述べるとき、それらが互いに機能的に関連していることを単に意味する。例え ば、前配列は、それがシグナル配列として機能するならば、ペプチドと作用的に リンクされており、シグナル配列の開裂を含む可能性の高いマチュア形のタンパ ク質の分泌関与している。プロモーターは、配列の転写を制御するならコード配 列に作用的にリンクしている。リボゾーム結合部位は、翻訳させるように位置し ているなら、コード配列に作用的にリンクしている。発見および好適な実施態様 本発明者は、クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤の第1および第2の結 合ループ位置に見いだされる、特定の鍵となるアミノ酸配列の入れ替えまたは置 換が、プラスマカリクレインに対する阻害剤の強さを、飛躍的に改善できること を発見した。したがって本発明は、プラスマカリクレインを強く阻害するように デザインされた非天然クニッツタイプドメインを1またはそれ以上含むポリペプ チドを提供する。 本発明によれば、クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤の残基P5−P4− P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’−P4’に対応する残基11−19および 34は、プラスマカリクレインの強力な阻害が達成されるような天然に存在する アミノ酸の中から選択される。セリンプロテアーゼサブサイトとクニッツタイプ ドメインセリンプロテアーゼ阻害剤の第1結合ループの側鎖との間の多くの相互 作用のうち(P5−P4’)(Bode,W.,およびHuber,R.,(1992)Eur.J.Biochem.20 4:433-451;Laskowski,Jr.,M.Kato,I.,(1980)Ann.Rev.Biochem.49:593-626)、P1 残基の特異性ポケットとの相互作用が効果的に重要で、したがって特異性決定 の第1要素であることを表す(図3参照)。クニッツタイプドメイン/セリンプ ロテアーゼ複合体において、クニッツタイプドメインの残基15の側鎖は、分裂 ペプチド結合の前のP1位置をうめる。本発明の好適な実施態様によれば、プラ スマカリクレインは、Argが位置15(P1)にみられるクニッツタイプドメ インを含むポリペプチドにより強く阻害される。好適なポリペプチドは、位置P1 にArgを有するクニッッドメインを含むが、LysもまたP1にみられる。 クニッツタイプドメインの結晶構造は、セリンプロテアーゼと接触すると考え られる、第1の結合ループ内の他の残基を明らかにする(Hynes,T.R.ら(1990)上 述;Bode,W.およびHuber,R.,(1992)上述;Kossiakoff,A.A.(1993)ら,Biochem.Soc .Trans.21:614-618)。P1位置のアミノ酸は、通常、セリンプロテアーゼ活性部 位への阻害剤の親和性を支配するが(Scott,C.F.ら(1987)Blood 69:1431-1436;L askowski,Jr.,M.Kato,I.,(1980)上述;Beckmann,J.ら(1988)Eur.J.Biochem.176: 675-682;Sinha,S.ら(1991)J.Biol.Chem.266:21011-21013)、この領域外の残基 (第2の結合ループの残基34と同様に11−14と16−19)もまた、セリ ンプ ロテアーゼへの結合親和性と特異性での役割をになうことが知られている(Koss iakoff,A.A.(1993)ら,上述;Roberts,B.L.ら(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:2 429-2433)。 本発明者は、位置15のArgに加えて、第1の結合ループの位置11−14 と16−19のアミノ酸残基が、位置11(P5)におけるSer、Thr,A rg,Leu,Asp,Pro,またはGlu;位置12(P4)におけるGl y;位置13(P3)におけるGly,Thr,His,Pro,Arg,また はLeu;位置16(P1’)におけるAlaまたはGly;位置17(P2’) におけるSer,Ala,Leu,Asn,またはTrp;位置18(P3’) におけるHisまたはIle;および位置19(P4’)におけるPro,Ty r,Leu,またはTrpであるとき、強力なプラスマカリクレイン阻害剤とな ることを発見した。通常、クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤の位置14 (および38)に存在するCysは保存される。位置34(P19’)での第2の 結合ループにおいてアミノ酸Phe,Val,Tyr,Trp,およびSerが 好ましい。 より好ましくは、位置15のArgに加えて、第1の結合ループの位置11− 14と16−19のアミノ酸残基が、位置11(P5)におけるAsp,Pro ,またはGlu;位置12(P4)におけるGly;位置13(P3)におけるH is,Pro,Arg,またはLeu;位置16(P1’)におけるAlaまた はGly;位置17(P2’)におけるAla,Leu,Asn,またはTrp ;位置18(P3’)におけるHisまたはIle;および位置19(P4’)に おけるPro,Tyr,Leu,またはTrpであるとき、強力なプラスマカリ クレイン阻害剤となる。通常、クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤の位置 14(および38)に存在するCysは保存される。位置34(P19’)での第 2の結合ループにおいて、アミノ酸Val,Tyr,Trp,およびSerが好 ましい。 本発明者はまた、プラスマカリクレインへの有効性を増加する非天然クニッツ タイプドメインの少なくとも1つを含むポリペプチドが、ヒトプラスマに見いだ される第XIa因子セリンプロテアーゼも阻害することを発見した。これに対し、 非天然クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤は、FXIIa、FXa、トロンビン、 TF -FVIIa、または活性化プロテインCの阻害剤ではなかった。したがって、選択さ れたクニッツ阻害剤の変形体の多くがプラスミンをわずかに阻害するが、選択さ れた変形体では、中程度の(>60%)阻害が観察された。 本発明の好適な実施態様によれば、本発明のポリペプチドは、非天然クニッツ タイプドメインを少なくとも1つ含み、プラスマカリクレインを阻害するが、プ ラスミンを阻害しない。本発明のこの態様によれば、ポリペプチドは、第2の結 合ループの位置11がGlu,Asp,またはPro;位置12−19が各々G ly,His,Cys,Arg,Ala,Ala,His、およびPro、位置 34がVal,Tyr,またはTrpであるクニッツタイプセリンプロテアーゼ 阻害剤ドメインを含む。この群のポリペプチドから特に好ましいものは、位置1 1がAspであるクニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインを含むポリ ペプチドである。 したがって本発明は、上述の第1または第2の結合ループを有するクニッツタ イプドメインを少なくとも1つポリペプチドを提供する。クニッツタイプドメイ ンの残りの残基は、クニッツタイプドメインの3次構造全体が保持されるような 天然に存在するアミノ酸から選ばれる。したがってクニッツタイプドメインに特 徴的なシステイン残基は、通常位置5,14,30,38,51,および55に 保持される。 本発明の好適な実施態様において、種々のクニッツタイプドメインの第1また は第2の結合ループの側面(flanking)残基は、天然に存在するクニッツタイプ ドメインを構成する残基から選ばれる。例えば、典型的なクニッツタイプドメイ ンは58アミノ酸から構成される。本発明によれば、アミノ酸残基11−19と 34は、上述のごとく、プラスマカリクレインの強力な阻害が達成するように選 択される。側面残基、すなわち残基1−10、20−33,および35−58は 、上述のごとく適当なシステイン残基の保存に加えて、適当な3次元構造と所望 の活性が保持されるように、天然に存在するクニッツドメインの対応する残基か ら選ばれてもよい。 本発明の好適な実施態様において、側面残基1−10,20−33,および3 5−58は、この分野でよく知られた他のクニッツタイプセリンプロテアーゼ阻 害剤の対応する側面領域から選ばれる。そのようなクニッツタイプセリンプロテ アーゼ阻害剤は、図2に記載されたものを含む。したがって好適な実施態様にお いて、残基1−10は から選ばれ、残基20−33は から選ばれ、残基35−58は から選ばれ、それは、図2に示すように、アルツハイマーアミロイドβプロテイ ン前駆体、残基287−344(Castro,M.ら(1990)FEBS Lett.267:207-212)か らのAPPI(残基1−58)(SEQIDNO.34);ヒトTEPI(組織 因子タンパク質阻害剤またはLACI、Broze Jr.,G.J.ら(1990)Biochemistry 2 9:7539-7546)からのTEPI−KD1(クニッツドメイン1)(残基22−7 9)(SEQIDNO.35)、TEPI−KD2(残基93−150)(SE QIDNO.36)TEPI−KD3(残基185−242)(SEQIDNO .37);各々ヒトインター−α−トリプシン阻害剤のITI−KD1およびI TI−KD2(残基22−79および78−135)(SEQIDNO.38と 39)(Vetr,H.ら(1989)FEBS Lett 245:137-140);コラーゲンα3(VI)鎖 前駆体のコラーゲンα3(VI)(残基2899−2956)(SEQIDNO .40)(Chu,M.L.(1990)らEMBO J.9:385-393);HKIB9(7−60)(S EQIDNO.41)ヒトクニッツタイププロテアーゼ阻害剤HKIB9(Norr is,K.,1994年1月19日に提出された遺伝子バンクデータベースより(1 993年12月31日、公開39.0)); BPTI(1−58)(SEQI DNO.42)、アプロチニンまたはウシ塩基性膵臓トリプシン阻害剤(Creigh ton,T.E.,およびCharles,I.G.(1987)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.52:5 11-519)のクニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインの均等残基に対応 している。 本発明の好適な実施態様によれば、上述の第1または第2の結合ループの残基 は、APPIの側面領域1−10(SEQIDNO.6),20−33(SEQ IDNO.14),35−58(SEQIDNO.23)で提供される。 当業者であれば、得られるポリペプチドはここで定義されたようにプラスマカ リクレインを強力に阻害することができることを念頭にいれて、上述の保存アミ ノ酸置換がここで述べられたようにポリペプチド全体に実施できることが理解で きるであろう。 熟練した技術者は、クニッツタイプドメインがより大きな機能性タンパク質の 中にみられることを認識するであろう。セリンプロテアーゼ阻害剤TFPIは、 例えば、3つのクニッツタイプドメインを含む。したがって、本発明は、上述の ごとく、強力にプラスマカリクレインを阻害することが期待され得るクニッツタ イプドメインを少なくとも1つ含むポリペプチドを含有する。平衡解離定数の決定 本発明によれば、1またはそれ以上の上述の非天然クニッツタイプドメインを 含むポリペプチドは、プラスマカリクレインを強力に阻害することができる。本 発明者は、プラスマカリクレインを強力に阻害することが期待されるクニッツタ イプドメイン変異体の第1と第2の結合ループに見いだされるアミノ酸を考慮に いれた。 強力な阻害は、ポリペプチドのプラスマカリクレインに対するみかけの解離定 数(Ki *)が約500ピコモル(pM)未満であるときに起こる。より好ましく は、本発明のポリペプチドは、プラスマカリクレインに対するKi *は約300p M未満であり、最適には約100pM未満である。 みかけの解離定数(Ki *)は、堅く結合した阻害剤由来の方法(Bieth,J.,(19 74)Proteinase Inhibitors,vol:463-469;Williams,J.W.Morrison,J.F.,(1979)Me thods Enzymeol 63:437-467)を用い、クニッツドメインとセリンプロテアーゼ の相互作用で観察されたように(Bode,W.およびHuber,R.,(1992)上述;Laskowski ,Jr.,M.Kato,I.,(1980)Ann.Rev Biochem.上述)、酵素と阻害剤が1:1の化学 量で可逆的複合体を形成すると仮定して、決定されることができる。データは、 非線形回帰分析により方程式1に適用する。 ここでVi/Voは、活性比(非阻害割合で除した定常状態の阻害割合)、[Eo] は プラスマカリクレイン活性部位の総濃度、[Io]は阻害剤総濃度である。 ヒトプラスマに見いだされる他の関連するセリンプロテアーゼとのみかけのKi 値を測定することにより、APPI、BPTIなどの天然に存在するクニッツ タイプセリンプロテアーゼ阻害剤の相対的特異性を、非天然クニッツドメインを 1またはそれ以上含むポリペプチドと同様に、決定することができる。連続的に 希釈したポリペプチド阻害剤の部分標本に、活性化プロテインC,トロンビン、 FXa、FXIa、FXIIa、組織因子−FVIIa、またはプラスミンを加えることがで きる。インキュベーションと適当な基質の添加の後、実施例部分で記載するよう に、阻害剤濃度に対する活性比のプロットを行う。 本発明によれば、トリプシンアフィニティクロマトグラフィーと逆相高速クロ マトグラフィーで精製された、選択された変異体は、プラスマカリクレインを、 みかけの解離定数(Ki *)約300pM未満で、強力に阻害する。 特定の例として、そのような変異体、KALI−DYは、APPIと6つの鍵 となる残基(11Asp,13His,17Ala,18His,19Pro, および34Tyr)が異なっているが、プラスマカリクレインをKi *=15±1 4pMで阻害し、天然に存在するセリンプロテアーゼ阻害剤、APPIと比較し て10,000倍を越える結合親和性の増加を示している。 APPIのような天然に存在するクニッツセリンプロテアーゼ阻害剤と同様に 、変異体も、第XIa因子を、高い親和性、Ki *値が約0.3から15nMの範 囲で阻害した。KALI−DYは、第XIa因子をKi *=8.2±3.5nMで 阻害した。KALI−DYはプラスミン、トロンビン、第Xa因子、第XIIa因子、 活性化プロテインC,または組織因子−第VIIa因子を阻害しなかった。プロテア ーゼの特異性と一致して、KALI−DYと他の非天然阻害剤は、プロトロンビ ン時間アッセイで凝固時間を延長しなかったが、活性化部分的トロンボプラスチ ン時間アッセイでは1μMで3.5倍を越えて凝固時間を延長した。凝固アッセイ BPTIおよびAPPIなどの天然クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤 と比較して、プラスマカリクレインに対する本発明のポリペプチド阻害剤の増加 した親和性は、活性化部分的トロンボプラスチンタイム(APTT)アッセイに おける凝固時間の延長能力に反映される。本発明の範囲の好適なポリペプチド阻 害剤は、活性化部分的トロンボプラスチンタイム(APTT)アッセイにおける 凝固時間を延長したが、プロトロンビンタイム(PT)アッセイでは延長しなか った。当業者によって理解されるであろうが、APTTアッセイは、凝固の内因 性経路の測定の指標である。したがって、好適な実施態様において、本発明によ るポリペプチドは、APTTアッセイで少なくとも1倍、通常約2から4倍凝固 時間を延長する。好適な実施態様において、本発明の阻害剤は、凝固時間を3. 5倍の率で延長する。化学合成 クニッツドメイン変異体を製造する1つの方法は、タンパク質の化学合成と、 その後のネイティブなコンフォメーション、すなわち正しいジスルフィド結合架 橋を得るために適当な酸化条件における処理を含む。このことは、当業者によく 知られた方法論を用いて達成される(Kelley,R.F.およびWinkler,M.E.Genetic E ngineering Principles and Methods, の中(Setlow,J.K.,編).,Plenum Press,N.Y .,(1990)12巻 1-19頁 ; Stewart,J.M.およびYoung,J.D.(1984)Solid Phase Pept ide Synthesis,Pierce Chemical Co.Rockford,IL)。 本発明のポリペプチド、特に58アミノ酸残基を含むものは、固相ペプチド合 成(Merrifield,(1964)J.Am.Chem.Soc.,85:2149;Houghten,(1985)Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 82:5132)を用いて調製することができる。固相合成は、上述のStewa rtおよびYoungの2と4ページの図1−1と1−2に示されるように、保護され たアミノ酸の適当な樹脂への結合により、推定されるペプチドのカルボキシ末端 から開始する。 この発明のポリペプチドの合成において、そのαアミノ基が適当に保護された ものカルボキシル末端アミノ酸は、クロロメチル化ポリスチレン樹脂へ結合する (上述のStewartおよびYoungの図1〜4、10ページ参照)。 αアミノ保護基を、例えばメチレンクロライドのトリフロロ酢酸(TFA)で 除去し、例えばTEA中で中和した後、合成の次のサイクルをすすめることがで きる。 残りのαアミノ酸、および必要であれば、側鎖で保護されたアミノ酸は、つい で順次縮合により所望の順序で結合され、樹脂に結合した中間化合物を得る。あ るいは、成長する固相ポリペプチド鎖へのペプチド添加の前に、いくつかのアミ ノ酸を互いに結合してペプチドを形成してもよい。 2つのアミノ酸、アミノ酸とペプヂド、あるいはペプチドとペプチドの間の縮 合は、アジド法、無水混合酸法、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)法 、活性エステル法(p−ニトロフェニルエステル法、BOP[ベンゾトリアゾー ル−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム=ヘキサフルオ ロホスフェート]法、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル法)、およびウッ ドワード剤(Woodward Reagent)K法などの通常の縮合方法にしたがって行うこ とができる。 固相法におけるペプチド鎖の延長の場合、ペプチドはC末端アミノ酸で不溶性 キャリアに結合している。不溶性キャリアとしては、C末端アミノ酸のカルボキ シ基と反応して後で容易に分裂する結合を形成するもの、例えば、クロロメチル 樹脂とブロモメチル樹脂などのハロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、アミノ メチル樹脂、ペンズヒドリルアミン樹脂、およびt−アルキルオキシカルボニル −ヒドラジド樹脂を用いることができる。 ペプチドの化学合成に共通なことは、その鎖が完全に組み立てられた後、その 基が完全に除かれるまで、その部位に適当な保護基を有する種々のアミノ酸部分 の反応性側鎖基を保護することである。そのものがカルボキシル基で反応し、つ いでαアミノ保護基を選択的に除去して、その場所で引続き反応させる間、アミ ノ酸またはフラグメントのαアミノ基を保護することもまた共通している。した がって、合成の工程として、側鎖保護基を有する種々のこれらの残基を含むペプ チド鎖中の所望の配列内に位置する各アミノ酸残基を含む中間化合物が製造され ることが、共通している。ついでこれらの保護基は、共通して実質的にほぼ同時 に除去され、精製の後所望の産物が生産される。 αおよびεアミノ側鎖基を保護するために適用可能な保護基を例示すれば、ベ ンジルオキシカルボニル(Zと省略)、イソニコチニルオキシカルボニル(iN OC)、O−クロロベンジルオキシカルボニル[Z(NO2]、p−メトキシベ ンジルオキシカルボニル[Z(OMe)]、t−ブトキシカルボニル、(Boc )、t−アミイオキシカルボニル(Aoc)、イソボロニルカルボニル、アダマ チロキシカルボニル、2−(4−ビフェニル)−2プロピルオキシカルボニル( Bpoc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、メチルスルホ ニルイエトキシカルボニル(Msc)、トリフルオロアセチル、フタリル、ホル ミル、2−ニトロフェニルスルフェニル(NPS)、ジフェニルホスフィノチオ ニル(Ppt)、ジメチロホスフィノチオニル(Mpt)、などがある。 カルボキシ基の有力な基の例としては、ベンジルエステル(OBzl)、シク ロヘキシルエステル(Chx)、4−ニトロベンジルエステル(ONb)、t− ブチルエステル(obut)、4−ピリジルメチルエステル(OPic)、など がある。アミノ基とカルボキシル基以外の官能基を有するアルギニン、システイ ン、セリンなどの特異的アミノ酸が、必要な場合適当な保護基で保護されるこ液 体HFおよび1またはそれ以上の硫黄を含有するスカベンジャーなどの薬剤で、 とが望ましい。例えば、アルギニン中のグアニジノ基は、ニトロ、p−トルエン スルホニル、ベンジルオキシカルボニル、アダマチロキシカルボニル(adamatyl oxycarbonyl)、p−メトキシベンゼンスルホニル、4−メトキシ−2、6−ジ メチルベンゼンスルホニル(Mds)、1,3,5−トリメチルフェニスルホニ ル(Mts)、などにより保護されることができる。システインのチオール基は 、p−メトキシベンジル、トリフェニルメチル、アセチルアミノメチル エチル カルバモイル、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチル−ベンジル(Tm b)等で保護されることができ、セリンのヒドロキシル基はベンジル、t−ブチ ル、アセチル、テトラヒドロピラニル等で保護されることができる。 上述のStewartとYoungは、ペプチド調製のための手順に関する詳細な情報を提 供する。αアミノ基の保護は、14−18頁に記載されており、側鎖ブロックは 18−28頁に記載されている。アミン、ヒドロキシル、およびスルフヒドリル 官能基の保護基の表は149−151頁に載せられている。 所望のアミノ酸配列が完成した後、樹脂からペプチドを分離するだけでなく、 残りすべての側鎖保護基を分離する薬剤、例えば液体HFおよび1またはそれ以 上の硫黄を含有するスカベンジャーなどの薬剤を用いた処理により、中間ペプチ ドが樹脂支持体から除去される。HF分離の後、タンパク配列をエーテルで洗浄 し、より大容量の希酢酸に移し、水酸化アンモニウムで約pH8.0に調節して 撹拌する。 好ましくは、ポリペプチドの残基のアルキル化を防ぐために、(例えばメチオ ニン、システイン、チロシン残基のアルキル化)チオ−クレゾールとクレゾール 清掃具混合物が用いられる。樹脂はエーテルで洗浄し、すぐにより大容量の希酢 酸に移して溶解させ、分子間の架橋を最小化する。250μMポリペプチド濃度 は、0.1M酢酸溶液の約2リットル中に希釈する。ついでこの溶液を、撹拌し て、そのpHを水酸化アンモニウムを用いて約8.0に調節する。pH調節によ り、ポリペプチドは所望のコンフォメーション配置をとる。 クニッツドメインは上述の化学合成によっても、準合成(semisynthesis)に よっても生産され得る。化学合成または準合成製造方法は、非天然アミノ酸残基 の取り込みを可能にする。このことはクニッツドメインでなされており、記載さ れている(Beckmann,J.ら(1988)Eur.J.Biochem.176:675-682;Bigler,T.L.ら(199 3)Prot.Sci.2:786-799)。 ここで述べたクニッツタイプドメインを1またはそれ以上含有するポリペプチ ドに対しては、大きな生分子の化学合成のための米国特許5,403,737号 に記載された化学結さつ技術が、特に有用である。変異および合成技術 本発明のポリペプチドをコードできる変異体DNAを製造するためには、種々 の技術が利用できる。例えば、APPI分子の様な天然クニッツタイプドメイン に関し、生成タンパク質のアミノ酸配列の変化をコードしている天然に存在する DNA配列を基礎として、変異DNAを製造することが可能である。これらの変 異体DNAは、本発明のポリペプチドを得るために用いることができる。 その例示として、APPI(Castroら、上述)または他の天然に存在するクニ ッツドメインポリペプチドをコードする発現ベクターを入手して、部位特異的変 異(Kunkelら(1991)Methods Enzymol.204:125-139;Carter,P.,ら(1986)Nucl.Aca d.Res.13:4331;Zoller,M.J.ら(1982)Nucl.Acids Res.10:6487)、カセット変異 (Wells,J.A.,ら(1985)Gene 34:315)制限選択変異(Wells,J.A.,ら(1986)Philo s.Trans,R.Soc.London Ser A317,415)または他の知られた技術をDNAに施す ことができる。ついで変異DNAは、親のDNAの代わりに、適当な発現ベクタ ーへ挿入して、用いられる。変異DNAを有する発現ベクターを含有する宿主細 菌を増殖させることにより、クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤変異体が 生産され、これは上述したように分離が可能である。 上述したクニッツタイプドメインを1またはそれ以上含むポリペプチドのため には、クニッツタイプドメインを、例えば大きな生体分子の化学的合成のために 米国特許5,403,737号に記載されたように、化学的結さつ技術を用いて 、より大きな生体分子中に結さつすることができる。 オリゴヌクレオチドで媒介される変異は、本発明のクニッツタイプ変異体の調 製のために好適な方法である。この技術は、Adelmanら(1983)DNA、2:183に記 載されたようにこの分野でよく知られている。要するに、1本鎖型のプラスミド またはバクテリオファージでAPPIの未変化また天然のDNA配列を含むもの をテンペレートとし、そのテンペレートへ所望の変異をコードするオリゴヌクレ オチドをハイブリダイズして、天然のクニッツタイプドメイン、例えばAPPI の天然または変化されていないDNAを変化させる。ハイブリダイズの後、DN Aポリメラーゼを用いてテンペレートの第2の相補鎖全体を合成し、こうしてオ リゴヌクレオチドをプライマーとして取り込み、クニッツドメインサブユニット DNA中の選択的変化をコードするようになる。 一般的に、少なくとも25ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドが用いら れる。最適のオリゴヌクレオチドは、変異をコードするヌクレオチドの両側のテ ンペレートに完全に相補的な12から15のヌクレオチドであろう。このことは 、オリゴヌクレオチドが、1本鎖DNAテンペレート分子に適当にハイブリダイ ズすることを確実にする。オリゴヌクレオチドは、例えばCreaら(1987)Proc.Nat l.Acad.Sci.USA,75:5765に記載されたような、当業者に知られた技術により容易 に合成される。 1本鎖DNAテンペレートもまた2本鎖プラスミド(または他の)DNAの変 性により生成できる。 天然DNA配列の変化のために(例えば、アミノ酸配列変異体の生成のために )、オリゴヌクレオチドは、適当なハイブリダイゼーション条件において1本鎖 テンペレートにハイブリダイズする。ついで合成のプライマーとしてオリゴヌク レオチドを用いてテンペレートの相補鎖を合成するために、DNA合成酵素、通 常DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメントが添加される。こうして、DN Aの1本の鎖がクニッツドメインの変異型をコードし、他方の鎖が(元のテンペ レート)がネイティブな、変化していないクニッツドメインの配列をコードする ようなヘテロデュプレックス(heteroduplex)分子が形成される。ついでこのヘ テロデュプレックス分子を適当な宿主内に、通常E.coli27C7などの原核細胞 中に形質転換する。細胞が増殖した後、アガロースプレート上に塗布し、32リ ン酸で同位体標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いてスクリーニング し、変異DNAを含むバクテリアのコロニーを同定する。ついで変異領域を除去 し、タンパク質生産に適したベクターに、通常適当な宿主の形質転換に代表的に 用いられる発現ベクターに移す。 すぐ前に記載した方法は、プラスミドの両方の鎖が変異を含むようなヘテロデ ュプレックス分子を作製するように修正できる。修正は以下の通りである:1本 鎖オリゴヌクレオチドが、上述のごとく1本鎖テンペレートにアニールされる。 デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)、 デオキシリボチミジン(dTTP)の3種のデオキシリボヌクレオチド混合物が 、dCTP−(αS)と呼ばれる修正チオデノキシリボシトシン(アマシャム社 から得ることができる)に混合される。この混合物はテンペレート−オリゴヌク レオチド複合体に添加される。この混合物へのDNAポリメラーゼの添加により 、変異塩基以外はテンペレートと同じDNA鎖が生成する。さらに、この新しい DNA鎖は、dCTPに代えてdCTP−(αS)を含むであろう。これは制限 エンドヌクレアーゼ消化から保護する機能を有する。 二本鎖ヘテロデュプレックスのテンペレート鎖に適当な制限酵素で刻み目をつ けた(nicked)後、テンペレート鎖は、変異される部位を含む領域を過ぎて、Ex o IIIヌクレアーゼあるいは他の適当なヌクレアーゼで消化されることができる。 ついで、反応は一部のみ1本鎖である分子を残して停止される。ついで完全に2 本鎖のDNAホモデュプレックスが、全4種のデオキシリボヌクレオチド3リン 酸、ATP、およびDNAリガーゼの存在下、DNAポリメラーゼを用いて形成 される。このホモデュプレックス分子は、上述したように、E.coli27C7など の適当な宿主細胞に形質転換できる。 1以上のアミノ酸が置換されたクニッツドメイン変異体をコードするDNAは 、いくつかの方法のうちの1つにより生成されることができる。アミノ酸がポリ ペプチド鎖中で互いに近くに位置するとき、所望のアミノ酸置換の全てをコード する1つのオリゴヌクレオチドで同時に変異させることができる。しかしながら 、もしアミノ酸が互いにいくらか離れて位置するときは(約10アミノ酸より離 れている)、所望の変換をすべてコードする1つのオリゴヌクレオチドを生成す ることはより困難である。代わりに、2つの代替可能な方法のうちの1つを用い ることができる。 第1の方法は、置換される各アミノ酸のために別のオリゴヌクレオチドが生成 される。オリゴヌクレオチドはついで1本鎖テンペレートDNAに同時に変性さ れ、テンペレートから合成されたDNAの第2の鎖は所望のアミノ酸置換のすべ てをコードするようになる。 別の方法は、所望の変異体を得るために、2あるいはそれ以上の回数の変異を 含む。第1回目は、シングル変異のために記載されたものである:野生型DNA は、テンペレートとして用いられ、第1の所望のアミノ酸置換をコードするオリ ゴヌクレオチドがこのテンペレートに変性され、ヘテロデュプレックスDNA分 子がついで生成される。変異の第2回目は、テンペレートとして第1回目の変異 で製造された変異DNAを利用する。こうしてこのテンペレートがすでに1また はそれ以上の変異を含む。さらなる所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌク レオチドは、ついでこのテンペレートに変性され、このとき得られるDNA鎖は 、第1回目と第2回目の変異からの変異をコードする。この得られるDNAは、 第3回目のテンペレート等として用いられることができる。 クニッツドメイン変異体の組換え体の発現に好適なベクターは、pSAlz1 である。このベクターは、実施例1で述べるように、E.coliの複製オリジン、ア ルカリンホスファターゼプロモーター、stIIシグナル配列、APPI変異体 遺伝子、およびアンピシリン耐性遺伝子を含んでいる。他の好適なベクターは、 pBO475,pR1T5,およびpR1T2T(ファルマシア バイオテクノ ロジー)である。これらのベクターは、プロテインAのZドメインがその後にく る適当なプロモーターを含み、ベクターに挿入された遺伝子が融合タンパク質と して発現される。これらのベクターについては以下さらに述べる。 ここで述べたベクターの関連する性質を組み合わせることにより、標準的な技 術を用いて、他の好適なベクターを構築することができる。ベクターの関連する 性質には、プロモーター、リボゾーム結合部位、APPI変異体遺伝子、または 遺伝子融合体(プロテインAのZドメインとAPPI変異体とそのリンカー)、 シグナル配列、抗生物質耐性マーカー、コピー数、および適当な複製オリジンが 含まれる。 E.coliでは、クニッツドメインは、インタクトな分泌タンパク質(Castro,M. ら(1990)FEBS Lett.267:207-212)、細胞内で発現されたタンパク質(Altman,J. D.ら(1991)Protein ENg.4:593-600)、または融合タンパク質(Sinha,S.ら(1991 )J.Biol.Chem.266:21011-21013;Lauritzen,C.ら(1991)Prot.Express.Purif.2:37 2-378;Auerswald,E.A.ら(1988)Biol.Chem.Hoppe-Seyler 369:27-35)として発現 された。 宿主細胞は、原核生物でも、真核生物でもよい。原核生物は、親ポリペプチド 、セグメント置換ポリペプチド、前記置換ポリペプチド、ポリペプチド変異体を 生産するための、DNA配列のクローニングと発現に好適である。例えば、E.co li K12株294(ATCCNo.31446)、E.coliB、E.coliX1776( ATCCNo.31537)、およびE.colic600およびc600hfl,E. coli W3110(F−、ガンマー、プロトトロピック/ATCCNo.2732 5)、Bachillus subtilisなどのバチルス、およびSalmonella-typhimuriumまた はSerratia marcesansなどの他の腸内菌科目、および種々のシュードモナス種を 用いることができる。好適な原核生物はE.coliW3110(ATCC27325 )とノンサプレッサー誘導体27C7(ATCC55,244)である。原核生 物内で発現すると、ポリペプチドは典型的にN末端メチオニンまたはホルミルメ チオニ ンを有し、グリコシル化されていない。融合タンパク質の場合、N末端メチオニ ンまたはホルミルメチオニンは、融合タンパク質のアミノ末端または融合タンパ ク質のシグナル配列に存在する。これらの例は、もちろん制限的ではなく、説明 を意図したものである。 原核生物に加えて、真核生物、例えば酵母培養、または多細胞生物由来の細胞 を使用することができる。原則として、そのような細胞の如何なるものも使用可 能である。しかしながら最も興味を引くのは脊椎動物の細胞であり、脊椎動物の 培養液中の増殖(組織培養)は再生産可能な手順となった(Tissue Culture Kr useおよび Patterson編(1973)Academic Press)。そのような有用な宿主のセ ルラインの例としては、VEROおよびHeLa細胞、チャイニーズハムスター 卵巣(CHO)セルライン、W138,293、BHK、COS−7、MDCK セルラインがある。酵母の発現系は、クニッツドメインを生産するために用いら れた(Wagner,S.L.ら(1992)Biochem.Biophys.Res.Commun.186:1138-1145; Vedvi ck,T.ら(1991)J.Indust.Microbiol.7:197-202)。特に酵母Pochia pastoris Saccharomyces cerevisiae αメイティングファクターのプレプロシグナル配 列とP .pastorisアルコールオキシダーゼAOX1プロモーターと末端配列を用 いて、好適に用いられる。ヘテロなタンパク質を発現するために一般的に用いら れる他の酵母発現ベクターと宿主もまた用いられる。遺伝子融合 上述の手順の変法として、遺伝子融合の使用があり、この方法ではAPPI変 異体をコードする遺伝子が、ベクター内で、他のタンパク質または他のタンパク 質のフラグメントをコードする遺伝子と連結される。この結果、APPI変異体 は、宿主により他のタンパク質との融合体として生産される。「他の」タンパク 質とはしばしば、細胞により分泌可能なタンパク質またはペプチドであり、これ により所望のタンパク質の培地からの分離と精製を可能にし、所望のタンパク質 を細胞内にとどめている場合必要となる宿主細胞の破壊の必要性を除く。また、 融合タンパク質は、細胞内で発現されることができる。これは大量に発現する融 合タンパク質を用いる場合に有用である。 遺伝子融合の使用は、本質的ではないが、E.coliでのヘテロなタンパク質の発 現と、その後のこれらの遺伝子産物の精製を容易にすることができる(Harris,T .J.R.Genetic Engineeringの中 Williamson,R.,編(1983)Academic,London,4 巻127頁;Uhen,M.およびMoks,T.,(1990)Methods Enzymol.185:129-143)。プ ロテインA融合体は、プロテインAの、またはより具体的にはプロテインAのZ ドメインの、IgGとの結合が、融合タンパク質の精製のための「アフィニティ ハンドル」を提供するために、しばしば用いられる(Nilsson,B.およびAbrahmse n,L.(1990)Methods Enzymol.185:144-161)。また、多くのヘテロなタンパク質 が、直接E.coli内で発現するときは分解されるが、融合タンパク質として発現す るときは安定することもみられる(Marston,F.A.O.,(1986)BIochem J.,240:1) 。 融合タンパク質として発現されたAPPI変異体は、ネイティブな構造を得る ために、適当に折り畳まれることができ、または折り畳みを要求する。適当に折 り畳まれた融合タンパク質は、活性型となりセリンプロテアーゼ阻害剤として有 用となる。より好適には、その分野で知られた方法により、融合タンパク質から 得られた、正しく折り畳まれたタンパク質である。融合タンパク質は、メチオニ ンで開裂させるシアノーゲンブロミド、AsnとGlyの間で開裂させるヒドリ キシルアミンなどの化学物質により、開裂させることができる。標準の組換えD NA法を用いて、これらのアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基ペアを、AP PI変異体遺伝子の5’末端の直前に挿入することができる。 または、融合タンパク質のタンパク質分解的開裂を用いることができ、最近評 論されている(Carter,P.in Protein Purification:From Molecular Mechanisms to Large-Scale Process Ladisch,M.R.,Wilson,R.C.,Painton,C.C.,およ びBuilder,S.E.,編(1990)American Chemical Society Symposium Series No.42 7,Ch13,181-193頁)。 第Xa因子、トロンビン、ズブチリシン、およびそれらの変異体、などのプロ テアーゼは、融合タンパク質をうまく開裂するのに用いられてきた。代表的には 、用いられるプロテアーゼにより、開裂しやすいペプチドリンカーが、「他の」 タンパク質(例えば、プロテインAのZドメイン)と対象のタンパク質、例えば APPI変異体、との間に挿入される。組換えDNA法を用いて、リンカーをコ ー ドするヌクレオチド塩基ペアは、他のプロテインをコードする遺伝子または遺伝 子フラグメントの間に挿入される。正しいリンカーを含有する部分的に精製され た融合タンパク質の蛋白分解性開裂は、ついでネイティブ融合タンパク質でも、 還元された、あるいは変性した融合タンパク質でも行うことができる。 タンパク質は、融合タンパク質として発現するとき、適当に折り畳まれていて も、または折り畳まれていなくてもよい。また、開裂部位を含む特異的ペプチド リンカーは、プロテアーゼに接近可能でもそうでなくともよい。これらのファク 1ターは、融合タンパク質が変性され再度折り畳まれるかどうかを決定し、その 場合、これらの手順は開裂の前または後に用いられるかどうかを決定する。 変性と再度折り畳みが必要なとき、典型的にタンパク質は、グアニジンHCl などのカオトロープ(chaotrope)処理され、ついでレドックスバッファー、例 えば、適当な割合、pH、および温度下の、還元および酸化されたジチオスレイ トールまたはグルタチオン、を用いて処理され、対象のタンパク質は再度折り畳 まれてネイティブな構造となる。有用性 コンタクト活性化システムが、敗血症ショック、心肺バイパス手術、成人呼吸 困難症候群、および血管浮腫(Bone,R.C.,(1992),Arch.Intern.Med.152:1381-13 89;Colman,R.W.,(1989)N Engl.J.Med.320:1207-1209)などの、種々の臨床場面 で重要な役割を担っていることが示唆されている。コンタクトシステムの阻害剤 はしたがって、炎症および/または血栓症の障害の制御において重要な役割を担 っている。 ここで述べたポリペプチドは、コンタクト経路活性化または好中球活性化にお ける介在が示されている疾病の治療において有用である(例えば、炎症、凝固、 フィブリン溶解、および補体活性化)。より具体的には、この阻害剤は、プラス マカリクレイン(およびFXIa)の阻害が示される(図1参照)疾病の治療、 例えば、背景のセクションで詳細に説明したように、敗血症または敗血症ショッ ク、炎症、ARDS、DIC、低血圧症、心肺バイパス手術、および術後の処置 の出血の治療に特に有用である。 ここで述べたポリペプチドは、急性のまたは慢性の療法の臨床の場面で好適に 用いられる。急性療法が示される徴候の方が慢性療法のそれよりも好ましいこと が予想される。外来または変異ヒトタンパク質の薬理的用途は、免疫原性で有り 得る。しかしながら外来タンパク質は、急性の徴候を治療するのに用いられる。 そのようなタンパク質の例としては、ストレプトキナーゼ、フィブリン溶解性に 作用し、通常急性の心筋梗塞の治療に用いられるストレプトコッカス由来のタン パク質がある。ここで述べた薬剤は、免疫反応を誘発するかもしれないが、BP TIなどの関連外来タンパク質は、ヒトの臨床に用いられており、重大な免疫反 応を誘発することは予想されない。ここで述べた薬剤へのポリエチレングリコー ル(PEG)の共有結合は、他のタンパク質で観察されたように、免疫原性と毒 性を減少させ、半減期を延長するかも知れない(Karte N.V.,(1990)J.Immunol .144:209-213;Poznansky,M.J.ら(1988)FEB 239:18-22;Abuchowski,A.ら(1977)J .Biol.Chem.252:3582-3586)。 アプロチニンは、好中球の脱顆粒、血小板活性化と凝集の防止と同様に、血液 損失とカリクレイン−C1−阻害剤およびC1−C1−阻害剤複合体の減少によ り証明されたように、刺激された体外灌流の間、コンタクト、好中球、および血 小板活性化システムを阻害する(Westaby,S.,(1993)Ann.Thor.Surg.55:1033-104 1;Wachtfogel,Y.,ら(1993)J.Thorac.Cardiovasc.Surg.106:1-10)。それは、L PSがブタの内毒素ショックを誘導し、動脈の低血圧を防ぐ間に、用いられた( Seibeck,M.,ら(1993)J.Trauma34:193-198)。肝硬変の患者では、アプロチニン は腎臓の機能とろ過を改善させる(MacGilchrist A.,(1994)Clin.Sci.87:329-33 5)。ここで述べたプラスマカリクレインクニッツドメイン阻害剤は、これらの および関連する徴候の治療に好適に用いられる。 本発明のポリペプチドは、アプロチニンが用いられたのと全く同様に、プラス マカリクレインで媒介される機能の調節の治療に有用である。本ポリペプチドは 、プラスマカリクレインの可能性と特異性が増加するという利点を提供し、低投 与の処方を可能にする。本発明のポリペプチドの有効投与は、関連する技術に従 って決定される。組成物の選択、投薬の頻度、投薬される組成物の量は、治療さ れる特定の疾病と、深刻さ、用いたポリペプチドの性質、患者の全体的な条件、 治 療する医者の判断によるであろう。代表的な投与のレジメは、アプロチニンなど の他の類似するタンパク質を使用したときのこれらの疾病状態の治療に類似する であろう。代表的には、本発明の組成物は、約1%から約95%の、好ましくは 約10%から約50%の活性成分を含有するであろう。 好ましくは、投与は、静脈注射、短期注入(infusion)により行われるであろ う。最適の治療効果を達成するために、維持投与が要求される。そのよな維持投 与は、1日の間、反復された個々の注射または継続的滴下注入などにより、反復 的に行われることができる。 静脈注射または短期注入としては、通常約1〜1,000mgの間で成人に投 与され、好ましくは約1〜100mgの間である。約0.5〜約50mgの維持 投与が予想される。 他の効果的な投与量は、当業者が投与反応カーブをつくるいう日常的試みで、 容易に決定される。 本発明のポリペプチドを含む薬理組成物は、いかなる適当な方法でも投与され ることができ、非経口、局所(topical)、経口、または、局所(local)(例え ばエアゾールまたは経皮)またはこれらの組み合わせを含む。組成物は好ましく は薬理的に許容されるキャリアとともに投与されることができ、キャリアの性質 は投与のモードにより異なり、例えば、経口投与のときは、通常固定のキャリア を、I.V.投与の時は液体塩溶液キャリアである。 本発明の組成物は、本発明の主題とタンパク質に適合するような薬理的に許容 される成分を含む。これらは通常懸濁液、溶液およびエリキシル、および特に、 リン酸塩バッファー、生理的食塩水、ダルベッコメデイア(Dulbecco's Media) など生理的バッファーを含む。エアゾールもまた用いられることができ、または スターチ、糖、微粒子セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、バインダー、分 解剤、など(経口固体調製の場合、例えば粉末、カプセル、錠剤)も用いられる ことができる。 ここで用いられているように、「薬理的に許容される」という用語は、通常、 その動物、とりわけヒトへの使用が、連邦または州政府の監視局により是認され た、または合衆国薬局方または他の一般に認められた薬局方にリストされたこと を意味する。 選択の処方は、種々の前述のバッファー、またはむしろ例えば、薬理的グレー ドのマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカ リンセルロースナトリウム、炭酸マグネシウムなどのを含む賦形剤を用いて、達 成されることができる。組成物の「PEG化」は、その分野で知られた技術を用 いて達成される(例えば、国際特許公開No.WO92/16555,米国特許No.5,122,614 t o Enzen,および国際特許公開No.WO92/00748参照)。経口組成物は、溶液、懸 濁液、錠剤、ピル、カプセル、支持された放出処方(sustained release formul ations)、または粉末の形態をとることができる。 本発明は、ある特定の方法と材料を参照して議論される必要性を有している。 これらの特定の方法と材料の議論は、本発明の範囲への制限を全く構成するもの ではないこと、本発明は、本発明の結果を完遂するために適したあらゆるすべて の代替材料と方法まで拡大することが理解されるであろう。 実施例1 プラスマカリクレイン阻害剤の構築と精製 方法 ヒト第VIIa因子、第Xa因子、第XIa因子、活性化プロテインC、およびトロン ビンはHaematologic Technologies Inc.(Essex Jct.,VT)より購入した。ヒトプ ラスマカリクレインと第XIIa因子はエンザイムリサーチラボラトリー、インク( South Bend,IN)より購入した。APPI配列をコードする遺伝子は、Castro, M.ら(1990)FEBS Lett.267:207-212に記載されている。組換えヒト組織因子1-24 3 (TF)はPaborsky,L.R.,ら(1989)Biochemistry 28:8072-8077およびPaborsky ,L.R.,ら(1991)J.Biol.Chem.266:21911-21916に記載されているように、E.coli 内で生産した。BPTI(商標Trasylol)はベーリンガーマンハイム(インディ アナポリス、IN)から入手した。ウシトリプシンとTRITON(商標)X−1 00はシグマケミカルズ、インクから購入した。ウシ血清アルブミン(BSA) 、第VフラクションはCalbiochem(La Jolla,CA)から入手した。ヒトプラスミ ン、S−2302,S−2251,およびS−2366は、Kabi Vitrum(Swede n)およびスペクトロザイムFXaはAmerican Diagnostica(Greenwich,CT)から購 入した。E.coli株XL1-ブルーは、Stratagene(La Jolla,CA)から入手した。他 の全ての入手した薬剤は、市販で入手可能な最高級のものであった。 プラスミドpSAlz1は、APPI配列をコードする合成遺伝子を、APP Iのペリプラズムと培地への分泌のために、適当な発現ベクターに挿入すること により構築された。pSAlz1ベクターは、Castroらにより記載されたように (Castro,M.ら(1990)上述)、アルカリンホスファターゼプロモーター、stII分 泌シグナル、APPI遺伝子、f1およびcolE1複製オリジン、アンピシリ ン耐性遺伝子を含有していた。pSAlz1ベクターを用いたAPPI変異体の 構築は、以前述べられた部位特異的オリゴヌクレオチド変異(Kunkel,T.A.ら(19 91)Methods Enzymol.204:125-139)により行った。選択されたクローンは、ジデ オキシ配列分析(Sanger,F.ら(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467)に より分析した。 APPIか選択された変異体のどちらかをコードするファージミドを、クニッ ッドメイン阻害剤の発現のために、E.coliW3110のデリバティブであるE.co li 株27C7、中に形質転換した。一晩飽和させた培養液を、50μg/mlア ンピシリンを含む250mlの低リン酸最小培地(Chang,C.N .ら(1987)Genes 5 5:189-196)に接種し(1%)、20時間37℃で増殖させた。 阻害剤は、stIIシグナル配列のおかげでペリプラズム中へ分泌され、結局培地 中へ漏出した。細胞と破砕物は、遠心分離(8000×g、10分)により除去 した。上清は、1MのNaOHでpH7.5−8.5に調整し、製造者の推薦に 従って調製した1mlトリプシン−アフィゲル(Affigel)(バイオラッドラボ ラトリーズ、リッチモンド、CA)アフィニティカラム上にのせた。カラムは、 100mMトリスpH8、100mMのNaCl、および20mMのCaCl2 で洗浄し、阻害剤を、4ml、10mMのHCl、0.5MのKClで溶出させ た。阻害剤はさらに、C18逆相HPLC(250×4.6mm,VYDAC) を用いて精製した。それを0.1%トリフルオロ酢酸にロードし、CH3CNの 5から40%の勾配で1ml/分で溶出した。溶出パターンは、A214とA280の 両方でモニターした。30から35%CH3CNの間で、各阻害剤について、単 一の非常にはっきりとしたピークが検出された。阻害剤の配列は、質量分析のた めのarticulated 電気スプレー源を備えたSciex API3 マススペクトル計を用い て質量が適当であることを確かめた。ウマのミオグロビン(MW=16,951 Da)の複数荷電されたイオンを較正手段として用いた。結果 プラスマカリクレインの強力な阻害剤のクニッツドメインの位置11−19と 34で好適なアミノ酸を調べるために部位特異的変異体がなされた。APPIの 部位特異的変異体は以下の式を有する。 R1−Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’− Xaa3’−Xaa4’−R2−Xaa19’−R3 1は、APPIのアミノ酸残基1−10、VREVCSEQAE(SEQI DNO:6)を表し、R2はAPPIのアミノ酸残基20−33、RWYFDV TEGKCAPF(SEQIDNO:14)を表し、R3はAPPIのアミノ酸 残基35から58、YGGCGGNRNNFDTEEYCAAVCGSA(SE QID NO:23)(SEQIDNO:23)を表す。この例で用いられるAPPI配 列は、ネイティブな配列のMetがAlaで置換されるような、残基52の追加 された変異である。この変異は阻害活性に影響をもたらすとは考えられていない 。 得られた天然に存在しないクニッツドメインを下記表Iにリストする。 表Iにリストされたクニッツドメイン変異体は、一般的に強力で選択的なプラ スマカリクレインの阻害をもたらす(実施例2と3を参照)。 プラスマカリクレインを阻害する他の配列は、下記表IIに記載する。 実施例2 平衡解離定数の決定 方法 表Iにリストされたクニッツドメイン変異体についてみかけの解離定数(Ki * )を決定した。Ki *値は、堅く結合した阻害剤からの方法(Bieth,J.,(1974)Pro teinase Inhibitors ,(Fritz,H.,Tschesche,H.,Greene,L.J.,およびTruscheit,E. ,編)、463-469頁,Springer-Verlag,ニューヨーク;Williams,J.W.Morrison,J.F. ,(1979)上述)を用い、クニッツドメインとセリンプロテアーゼの相互作用で観 察されたように(Bode,W.およびHuber,R.,(1992)上述;Laskowski,Jr.,M.Kato,I. ,(1980)上述)、酵素と阻害剤が1:1の化学量で可逆的複合体を形成すると仮 定して、決定した。 阻害剤のストックの濃度は、活性化部位滴定トリプシンでの滴定(Jameson,G. W.,ら(1973)Biochem.J.,131:107-117)により正確に決定した。80nMのトリ プシンに、50mMトリス(pH8.0)、100mMのNaCl、10mMの CaCl2、および0.05%のTriton X-100で希釈した阻害剤の部分標本を添 加したものを、室温で1時間のインキュベーションした後、5mMのNα−ベン ゾイル−L−アルギニン−p−ニトロアニリドを20μl添加して全体が150 μlとした。ついで405nMでの吸光度の変化をモニターした。決定された濃 度は阻害剤とトリプシンが1:1の化学量と推定した。 選択されたAPPI変異体(表I)によるプラスマカリクレインの阻害は、2 5℃で50mM Tris、pH7.5、100mM NaCl、2mMCaC l2、および0.005%のTritonX−100中で、同じ希釈阻害剤溶液 の部分標本を用いて決定された。反応(200μL)はミクロタイタープレート 中で行い、1.5時間のインキュベーションの後、レート基質(0.7mMのS 2302)は402nmでモニターした。フラクション速度対阻害剤濃度のプロ ットを、非線形回帰分析により方程式1に適用し、みかけの平衡解離定数(Ki * )を決定した。 方程式I: ここでVi/Voは、活性比(非阻害割合で除した定常状態の阻害割合)、[Eo] はプラスマカリクレイン活性部位の総濃度、[Io]は阻害剤総濃度である。結果 表Iに記載されたクニッツドメイン阻害剤は、10から300pMまでの範囲 のみかけの解離定数を有していた(表IIIおよび表IV)。 APPIの位置11(P5)におけるPro、AspまたはGlu、位置13 (P3)におけるHis、位置15(P1)におけるArg、位置16(P1’) と17(P2’)におけるAla、位置18(P3’)におけるHis、位置19 (P4’)におけるPro、および位置34(P19’)におけるValまたはT yrから構成される下記表IIIのコンセンサス配列が、表IIからのいくつかの観 察をもとに明らかとなったもので、その結果は表IVに示されている。位置15( P1)にArg、位置13、17、18および19にHis、Ala、His、 およびProを各々有するAPPIの変異体は、プラスマカリクレインを強力に 阻害することが見いだされた。これらの変異体では、位置11(P5)ではPr o、Asp、またはGluが好ましいことが観察され、位置34(P19’)では ValまたはTyrが好ましい。クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤の、 位置38(P23’)のシステインとジスルフィド結合を形成する位置14(P2 )のシステインは変化がなく保持されていた。Glyはほとんど常にクニッツタ イプドメインの位置12(P4)に見いだされ、変わらない。 特に、コンセンサスタイプのクニッツドメインのうち、位置11にAspを含 む変異体は、みかけの平衡解離定数が50pM未満であった。そのような変異体 の1つであるKALI−DYは、APPIの10,000倍より強く、およびB PTI(アプロチニン、Trasylol(商標))より3,000倍より強く、プラス マカリクレインを阻害した。 実施例3 特異性アッセイ 方法 APPI、BPTI、およびクニッツドメイン変異体の、凝集に関与する他の セリンプロテアーゼに対する、特異性を調べるアッセイを、以下の方法で実施し た。500nMに希釈された種々の阻害剤の部分標本(30μL)を、適当なバ ッファー中の各プロテアーゼ(100μL)とともに、インキュベートした。基 質/阻害剤の混合物の室温、2時間のインキュベートの後、適当な基質(20μ Lを添加し、405nmでの吸光度を測定した。非阻害のものと基質加水分解速 度を測定するために、インヒビターと酵素を欠くコントロールを各々アッセイし た。酵素と基質は、50mMトリス、pH7.5、100mM NaCl、2m M CaCl2と0.005%のトリトンX−100中で、以下の通りスクリー ニングした。トロンビン(6.2nM)、0.7mMのS2366;FXa(2 .5nM)、0.7mMスペクトロザイムfXa;FXIa(1.8nM)、0 .7mM S2366;活性化プロテインC(7.6nM)、0.7mM S2 336;プラスミン(32nM)、0.7mM S2251;第XIIa因子(14 nM)、0.7mM S2302、TF(77nM)−FVIIa(14nM) 、0.7mM S2366とプラスマカリクレイン(3.5nM)、0.7mM S2302。FXIaアッセイは1mg/mLのBSAも含む。FXIaの全 体の濃度は、活性部位の濃度を意味する。この実験では、トロンビン、TF−F VIIA、FXa、FXIa、FXIIa、およびプラスミンの濃度はおおよそ のもので、製造者の仕様にしたがって決められる。結果 実施例2に記載されたクニッツドメイン阻害剤の相対特異性を決定するために 、ヒトプラスマ中に見いだされる他の関連するセリンプロテアーゼの阻害も、測 定した。セリンプロテアーゼ(1から20nM)を、100nM阻害剤の存在下 でアッセイした。残りの蛋白分解活性のフラクションは、表IVに示されている。 選択されたすべてのクニッツドメイン変異体がFXIaを阻害したが、どれもFXIIa 、Fxa、トロンビン、TF−FVIIa、またはプロテインCを容易に検知できるほ ど阻 害しなかった(表IV)。選択されたクニッツ阻害剤のほとんどがプラスミンをほ んのわずか阻害し、KALI−38、KALI−42、およびKALI−48で は、中程度の(>60%)阻害が観察された。しかしながら、実施例2のコンセ ンサス変異体(表III)はプラスミンを容易に検知できるほどには阻害しなかっ た。FXIaが、コンセンサス変異体を含む選択された阻害剤により阻害された割合 を、さらにKi *を測定することにより調べた。APPI、BPTI、KALI− D、およびKALI−DY存在下のプラスマカリクレイン(0.5nM)の阻害 は図4Aに示されている。APPI、BPTI、KALI−10およびKALI −DYによるFXIa(3.5nM)の阻害は図4Bに示されており、Ki *値は表I IIとIVに示されている。 実施例4 凝固アッセイ 方法 正常なヒトプラスマの凝固時間は、MLA Electra800コアグロメ ーター(メディカル ラボラトリー アートメーション インク、プレザントビ ル、N.Y.)およびDade剤(バクスター ヘルス ケア センター コー プ、マイアミ FL)を用いて行った。凝固時間は、目視で決定した。 活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)アッセイのために、活性化 時間は120秒に、獲得(acquisition)時間はアッセイの予想される結果によ り300から600秒に設定した。クエン酸塩の正常ヒトプラスマと阻害剤を併 せてインキュベートした。サンプル(プラスマと阻害剤)と活性剤(アクチンF S)を自動的にピペットで測り、併せて37℃2分インキュベートし、ついでC aCl2を添加し、凝固時間を目視で決定した。阻害剤とプラスマの全体のイン キュベーション時間は、活性剤添加前に約3分、CaCl2添加前に5分とした 。結果 特異性アッセイから予想されたように、KALI−DYは、内因性凝固経路の 物差しであるAPTTでの凝固時間を延長したが、外因性凝固経路の物差しであ るPTでの凝固時間を延長しなかった(図5A)。KALI−DYは、APPI 、FXIa阻害剤(Ki *=2.7nM)またはBPTI、カリクレイン阻害剤( Ki *=45nM)より著しく有効であった。加えて、プラスマカリクレインはプ ラスマ中に600nM存在したが、250nMのKALI−DYは凝固時間を2 倍に延長した。 KALI−DYは、APTTにより測定された方法による濃度において表面媒 介接触活性化経路の凝固時間を延長した。KALI−DY1μMにおいて、3. 5倍を越える凝固時間の延長、APPI、BPTIで各々2.8と1.8倍の延 長がみられた(図5A)。これに対し、KALI−DY、BPTI、APPIは 、組織因子で開始されるPTアッセイでは凝固時間を検知できるほどには延長し なかった(図5B)。 ここで引用された文献は、明白に参照として取り込まれたものである。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年7月10日 【補正内容】 請求の範囲 1. 非天然のクニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメイン含むポリペプ チドであって、該クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインが第1結合 ループ: Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’−X aa3’−Xaa4’と、 Xaa19’を含む第2結合ループとを有しており、 Xaa5は、P,D,E,S,T,R,およびLからなる群から選ばれ; Xaa4は、G; Xaa3は、H,P,R,L,GおよびTからなる群から選ばれ; Xaa2はC; Xaa1はR; Xaa1’は、AおよびGからなる群から選ばれ; Xaa2’は、A,L,N,WおよびSからなる群から選ばれ; Xaa3’は、HおよびIからなる群から選ばれ; Xaa4’は、P,Y,LおよびWからなる群から選ばれ; およびXaa19’は、V,Y,W,SおよびFから選ばれ; かつ該ポリペプチドはプラスマカリクレインに対し、約500pM未満のKi * を有するポリペプチド。 2. Xaa5は、P,D,およびEからなる群から選ばれ; Xaa4は、G; Xaa3は、H,P,R,およびLからなる群から選ばれ; Xaa2はC; Xaa1はR; Xaa1’は、AおよびGからなる群から選ばれ; Xaa2’は、A,L,N,およびWからなる群から選ばれ; Xaa3’は、HおよびIからなる群から選ばれ; Xaa4’は、P,Y,LおよびWからなる群から選ばれ; およびXaa19’は、V,Y,W,およびSから選ばれた請求の範囲第1項記 栽のポリペプチド。 3. 配列 Xaa4−Xaa3−Xaa2-Xaa1−Xaa1’−Xaa2 ’−Xaa3’−Xaa4’が GHCRAAHP(SEQ ID NO:72 )で、かつXaa5がD,E,およびPから選ばれ、Xaa19’はV,W,およ びYから選ばれた請求の範囲第2項記載のポリペプチド。 4. クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインが配列 R1−Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’− Xaa3’−Xaa4’−R2−Xaa19’−R3 を有し、 R1は10アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa11に相当するアミノ酸はC ; R2は14アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa15’に相当するアミノ酸は C;および R3は24アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa23’、Xaa36’、Xaa4 0 ’に相当するアミノ酸はCである請求の範囲第1項記載のポリペプチド。 6. R1はAPPIのアミノ酸残基1−10(SEQ ID NO:6)ある いはその保存性アミノ酸置換物を表し; R2はAPPIのアミノ酸残基20−33(SEQ ID NO:14)あるい はその保存性アミノ酸置換物を表し; R3はAPPIのアミノ酸残基35−58(SEQ ID NO:23)あるい はその保存性アミノ酸置換物を表す請求の範囲第5項記載のポリペプチド。 7. Xaa5は、P,D,およびEからなる群から選ばれ; Xaa4は、G; Xaa3は、H,P,R,およびLからなる群から選ばれ; Xaa2はC; Xaa1はR; Xaa1’は、AおよびGからなる群から選ばれ; Xaa2’は、A,L,N,およびWからなる群から選ばれ; Xaa3’は、HおよびIからなる群から選ばれ; Xaa4’は、P,Y,LおよびWからなる群から選ばれ; およびXaa19’は、V,Y,W,およびSから選ばれた請求の範囲第6項記 載のポリペプチド。 8. 配列Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2 ’−Xaa3’−Xaa4’がDGHCRAAHP(SEQ ID NO:72 )で、かつXaa19’が、V,W,およびYから選ばれた請求の範囲第7項記載 のポリペプチド。 9. 請求の範囲第1項記載のポリペプチドをコードするDNA。 10. DNAと作用的にリンクした発現制御配列をさらに含有する請求の範囲 第9項記載のDNA。 11. 請求の範囲第10項記載のDNA分子を含む発現ベクター。 12. 請求の範囲第11項記載の発現ベクターで形質転換した宿主細胞。 13. ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求の範囲第12項記載の宿主 細胞を培養することを含む、宿主細胞内でセリンプロテアーゼ阻害剤をコードす るDNA分子を発現させる方法。 14. 薬理的に許容される賦形剤と、請求の範囲第1項記載のポリペプチドを 含む薬理組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 14/47 C12P 21/02 C C12N 9/99 A61K 37/02 C12P 21/02 37/64 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 非天然のクニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメイン含むポリペプ チドであって、該クニッツタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインが第1結合 ループ: Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’−X aa3’−Xaa4’と、 Xaa19’を含む第2結合ループとを有しており、 Xaa5は、P,D,E,S,T,R,およびLからなる群から選ばれ; Xaa4は、G; Xaa3は、H,P,R,L,GおよびTからなる群から選ばれ; Xaa2はC; Xaa1はR; Xaa1’は、AおよびGからなる群から選ばれ; Xaa2’は、A,L,N,WおよびSからなる群から選ばれ; Xaa3’は、HおよびIからなる群から選ばれ; Xaa4’は、P,Y,LおよびWからなる群から選ばれ; およびXaa19’は、V,Y,W,SおよびFから選ばれ; かつプラスマカリクレインを阻害可能なポリペプチド。 2. Xaa5は、P,D,およびEからなる群から選ばれ; Xaa4は、G; Xaa3は、H,P,R,およびLからなる群から選ばれ; Xaa2はC; Xaa1はR; Xaa1’は、AおよびGからなる群から選ばれ; Xaa2’は、A,L,N,およびWからなる群から選ばれ; Xaa3’は、HおよびIからなる群から選ばれ; Xaa4’は、P,Y,LおよびWからなる群から選ばれ; およびXaa19’は、V,Y,W,およびSから選ばれた請求の範囲第1項記 載のポリペプチド。 3. 配列Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2 ’−Xaa3’−Xaa4’がDGHCRAAHP(SEQ ID NO:72 )で、かつXaa19’が、V,W,およびYから選ばれた請求の範囲第2項記載 のポリペプチド。 4. クニッッタイプセリンプロテアーゼ阻害剤ドメインが配列 R1−Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2’− Xaa3’−Xaa4’−R2−Xaa19’−R3 を有し、 R1は10アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa11に相当するアミノ酸はC ; R2は14アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa15’に相当するアミノ酸は C;および R3は24アミノ酸ペプチドで、アミノ酸位置Xaa23’、Xaa36’、Xaa4 0 ’に相当するアミノ酸はCである請求の範囲第1項記載のポリペプチド。 5. からなる群より選ばれたR1を有し、 からなる群より選ばれたR2を有し、 からなる群より選ばれたR3を有する請求の範囲第4項記載のポリペプチド。 6. R1はAPPIのアミノ酸残基1−10(SEQ ID NO:6)ある いはその保存性アミノ酸置換物を表し; R2はAPPIのアミノ酸残基20−33(SEQ ID NO:14)あるい はその保存性アミノ酸置換物を表し; R3はAPPIのアミノ酸残基35−58(SEQ ID NO:23)あるい はその保存性アミノ酸置換物を表す請求の範囲第5項記載のポリペプチド。 7. Xaa5は、P,D,およびEからなる群から選ばれ; Xaa4は、G; Xaa3は、H,P,R,およびLからなる群から選ばれ; Xaa2はC; Xaa1はR; Xaa1’は、AおよびGからなる群から選ばれ; Xaa2’は、A,L,N,およびWからなる群から選ばれ; Xaa3’は、HおよびIからなる群から選ばれ; Xaa4’は、P,Y,LおよびWからなる群から選ばれ; およびXaa19’は、V,Y,W,およびSから選ばれた請求の範囲第6項記 載のポリペプチド。 8. 配列Xaa5−Xaa4−Xaa3−Xaa2−Xaa1−Xaa1’−Xaa2 ’−Xaa3’−Xaa4’がDGHCRAAHP(SEQ ID NO:72 )で、かつXaa19’が、V,W,およびYから選ばれた請求の範囲第7項記載 のポリペプチド。 9. 請求の範囲第1項記載のポリペプチドをコードするDNA。 10. DNAと作用的にリンクした発現制御配列をさらに含有する請求の範囲 第9項記載のDNA。 11. 請求の範囲第10項記載のDNA分子を含む発現ベクター。 12. 請求の範囲第11項記載の発現ベクターで形質転換した宿主細胞。 13. ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求の範囲第12項記載の宿主 細胞を培養することを含む、宿主細胞内でセリンプロテアーゼ阻害剤をコードす るDNA分子を発現させる方法。 14. 薬理的に許容される賦形剤と、請求の範囲第1項記載のポリペプチドを 含む薬理組成物。 15. 薬理的に有効な量の、請求の範囲第14記載の組成物を、ほ乳類へ投与 することを含む、プラスマカリクレインの阻害が示されるほ乳類の治療方法。
JP9501470A 1995-06-05 1996-06-04 クニッツタイプのプラスマカリクレイン阻害剤 Pending JPH11511963A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/463,155 1995-06-05
US08/463,155 US5780265A (en) 1995-06-05 1995-06-05 Kunitz type plasma kallikrein inhibitors
PCT/US1996/009059 WO1996039519A1 (en) 1995-06-05 1996-06-04 Kunitz type plasma kallikrein inhibitors

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11511963A true JPH11511963A (ja) 1999-10-19

Family

ID=23839061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9501470A Pending JPH11511963A (ja) 1995-06-05 1996-06-04 クニッツタイプのプラスマカリクレイン阻害剤

Country Status (10)

Country Link
US (1) US5780265A (ja)
EP (1) EP0832232B9 (ja)
JP (1) JPH11511963A (ja)
AT (1) ATE310087T1 (ja)
AU (1) AU6048296A (ja)
CA (1) CA2220130A1 (ja)
DE (2) DE69635447D1 (ja)
IL (1) IL122116A0 (ja)
WO (1) WO1996039519A1 (ja)
ZA (1) ZA964608B (ja)

Families Citing this family (44)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060134087A1 (en) * 1988-09-02 2006-06-22 Dyax Corp. ITI-D1 Kunitz domain mutants as hNE inhibitors
ATE529444T1 (de) 1994-01-11 2011-11-15 Dyax Corp Inhibitoren des humanplasmins, die sich von den kunitz domänen ableiten
US6057287A (en) 1994-01-11 2000-05-02 Dyax Corp. Kallikrein-binding "Kunitz domain" proteins and analogues thereof
ZA963619B (en) 1995-05-08 1996-11-22 Scios Inc Protease inhibitor peptides
CA2301142A1 (en) 1997-08-14 1999-02-25 The Regents Of The University Of California Fluorescent amyloid a.beta. peptides and uses thereof
JP3626982B2 (ja) * 1997-08-29 2005-03-09 アークレイ株式会社 タンパク質分解酵素阻害物質の測定方法およびそれに用いる測定キット
US6087473A (en) * 1999-05-26 2000-07-11 Zymogenetics, Inc. Kunitz domain polypeptide and materials and methods for making it
US6380354B1 (en) 1998-09-03 2002-04-30 Zymogenetics, Inc. Kunitz domain polypeptide zkun6
DE60024809D1 (de) * 1999-04-29 2006-01-19 Novo Nordisk As Verwendung von anti-hbp antikörper zur inhibierung der freisetzung von bradykinin
EP1674110A1 (en) * 1999-04-29 2006-06-28 Novo Nordisk A/S Inhibition of bradykinin release
US20060154319A1 (en) * 1999-04-29 2006-07-13 Flodgaard Hans J Inhibition of bradykinin release
JP2002346015A (ja) * 2001-05-28 2002-12-03 Hiroaki Yoshiike スイング診断装置
WO2003012450A1 (en) * 2001-08-02 2003-02-13 The Scripps Research Institute Diagnostic markers of liver dysfunction
EP2298278B1 (en) * 2002-06-07 2015-11-11 Dyax Corp. Prevention and reduction of blood loss and inflammatory response
US7153829B2 (en) * 2002-06-07 2006-12-26 Dyax Corp. Kallikrein-inhibitor therapies
SI2386310T1 (sl) * 2002-08-28 2019-03-29 Dyax Corp. Metode za ohranjanje organov in tkiv
ATE512674T1 (de) * 2003-01-06 2011-07-15 Angiochem Inc Angiopep-1, verwandte verbindungen, und deren verwnedungen
US6989369B2 (en) * 2003-02-07 2006-01-24 Dyax Corp. Kunitz domain peptides
CA3050564A1 (en) * 2003-08-29 2005-03-10 Dyax Corp. Poly-pegylated protease inhibitors
US7235530B2 (en) 2004-09-27 2007-06-26 Dyax Corporation Kallikrein inhibitors and anti-thrombolytic agents and uses thereof
US20090016959A1 (en) * 2005-02-18 2009-01-15 Richard Beliveau Delivery of antibodies to the central nervous system
ES2383901T5 (es) 2005-02-18 2015-02-25 Angiochem Inc. Polipéptidos de aprotinina para transportar un compuesto a través de la barrera sangre-cerebro
US8841259B2 (en) * 2005-02-24 2014-09-23 Joslin Diabetes Center Compositions and methods for treating vascular permeability
EP2233156B1 (en) 2005-07-15 2013-05-01 Angiochem Inc. Use of aprotinin polypeptides as carriers in pharmaceutical conjugates
EP1981519B1 (en) 2005-12-29 2017-12-27 Dyax Corp. Protease inhibition
EP2001500A4 (en) * 2006-03-10 2010-07-28 Dyax Corp FORMULATIONS FOR ECALLANTIDE
WO2008091692A2 (en) * 2007-01-25 2008-07-31 Joslin Diabetes Center, Inc. Methods of diagnosing, treating, and preventing increased vascular permeability
US9365634B2 (en) * 2007-05-29 2016-06-14 Angiochem Inc. Aprotinin-like polypeptides for delivering agents conjugated thereto to tissues
EP2164866B1 (en) 2007-05-29 2014-05-14 Angiochem Inc. Aprotinin-like polypeptides for delivering agents conjugated thereto to tissues
ES2721148T3 (es) * 2008-04-18 2019-07-29 Angiochem Inc Composiciones farmacéuticas de paclitaxel, análogos de paclitaxel o conjugados de paclitaxel y métodos relacionados de preparación y uso
BRPI0920209A2 (pt) 2008-10-15 2015-12-22 Angiochem Inc conjugados de agonistas de glp-1 e usos dos mesmos
CN102245636A (zh) 2008-10-15 2011-11-16 安吉奥开米公司 用于药物递送的依托泊苷和多柔比星结合物
AU2009322043A1 (en) 2008-12-05 2011-07-07 Angiochem Inc. Conjugates of neurotensin or neurotensin analogs and uses thereof
AU2009327267A1 (en) 2008-12-17 2011-07-14 Angiochem, Inc. Membrane type-1 matrix metalloprotein inhibitors and uses thereof
AU2010203712A1 (en) * 2009-01-06 2010-07-15 Dyax Corp. Treatment of mucositis with kallikrein inhibitors
EP2421562B1 (en) 2009-04-20 2019-03-13 Angiochem Inc. Treatment of ovarian cancer using an anticancer agent conjugated to an angiopep-2 analog
CN102596993A (zh) 2009-07-02 2012-07-18 安吉奥开米公司 多聚体肽结合物以及其应用
LT2521568T (lt) 2010-01-06 2018-12-10 Dyax Corp. Plazmos kalikreiną surišantys baltymai
WO2011153642A1 (en) * 2010-06-10 2011-12-15 Angiochem Inc. Leptin and leptin analog conjugates and fusion proteins and uses thereof
BR112013017080A8 (pt) 2011-01-06 2023-05-09 Dyax Corp Anticorpo ou fragmento funcional do mesmo que se liga a forma ativa de calicreína do plasma humano, composiçao farmacêutica e método de detecçao de calicreína do plasma em um paciente
US10428158B2 (en) 2014-03-27 2019-10-01 Dyax Corp. Compositions and methods for treatment of diabetic macular edema
CA2989400A1 (en) 2015-06-15 2016-12-22 Angiochem Inc. Ang1005 for the treatment of leptomeningeal carcinomatosis
BR112018011622A2 (pt) 2015-12-11 2018-11-27 Dyax Corp método para tratar ataque de angioedema hereditário (hae) ou reduzir a taxa de ataque de hae
WO2021217053A1 (en) * 2020-04-24 2021-10-28 Rezolute, Inc. Plasma kallikrein inhibitors for the treatment of ards and related conditions

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2188322A (en) * 1986-03-26 1987-09-30 Bayer Ag Aprotinin and analogues thereof produced by a recombinant host
IT1214523B (it) * 1986-09-15 1990-01-18 Montedison Spa Copolieteri liquido cristallini.
US5223482A (en) * 1986-11-17 1993-06-29 Scios Nova Inc. Recombinant Alzheimer's protease inhibitory amyloid protein and method of use
GB2208511A (en) * 1987-08-07 1989-04-05 Bayer Ag Variants of bovine pancreatic trypsin inhibitor produced by recombinant dna technology
DK225488D0 (da) * 1988-04-26 1988-04-26 Novo Industri As Polypeptid
US5663143A (en) * 1988-09-02 1997-09-02 Dyax Corp. Engineered human-derived kunitz domains that inhibit human neutrophil elastase
DE3912638A1 (de) * 1989-04-18 1990-10-31 Bayer Ag Gentechnologisch hergestellte homologe des alzheimer protease inhibitors, wirtstaemme sowie expressionsvektoren fuer ihre herstellung und ihre verwendung als arzneimittel
DE3930522A1 (de) * 1989-09-13 1991-03-21 Bayer Ag Rekombinante aprotinin-varianten - gentechnisches verfahren zur mikrobiellen herstellung von homogen prozessierten aprotinin-varianten sowie die therapeutische anwendung derselben
JPH04166087A (ja) * 1990-10-26 1992-06-11 Asahi Chem Ind Co Ltd 新規な蛋白
IL104327A0 (en) * 1992-01-07 1993-05-13 Novo Nordisk As Variant of human kunitz-type protease inhibitor
IL104326A0 (en) * 1992-01-07 1993-05-13 Novo Nordisk As Variant of human kunitz-type protease inhibitor
IL104324A0 (en) * 1992-01-07 1993-05-13 Novo Nordisk As Variant of human kunitz-type protease inhibitor
IL104325A (en) * 1992-01-07 2000-10-31 Novo Nordisk As Variants of human kunitz-type protease inhibitor domain II of tissue factor pathway inhibitor (TFPI) pharmaceutical compositions containing them a DNA construct encoding them their expression vectors a cell containing said DNA constructs and methods for the production of all the above
IL104314A0 (en) * 1992-01-07 1993-05-13 Novo Nordisk As Human kunitz-type protease inhibitor and variants thereof,their production and pharmaceutical compositions containing them
WO1993014199A1 (en) * 1992-01-13 1993-07-22 Abbott Laboratories A pump-1 catalyzed method of making low molecular weight urokinase-type plasminogen activator
US5455338A (en) * 1993-11-05 1995-10-03 Zymogenetics, Inc. DNA encoding novel human kunitz-type inhibitors and methods relating thereto
US5795865A (en) * 1994-01-11 1998-08-18 Dyax Corp. Kallikrein-inhibiting "kunitz domain" proteins and analogues thereof
US5795954A (en) * 1994-03-04 1998-08-18 Genentech, Inc. Factor VIIa inhibitors from Kunitz domain proteins

Also Published As

Publication number Publication date
EP0832232B1 (en) 2005-11-16
DE69635447D1 (de) 2005-12-22
EP0832232B9 (en) 2006-09-06
DE69635447T2 (de) 2006-08-10
US5780265A (en) 1998-07-14
WO1996039519A1 (en) 1996-12-12
ATE310087T1 (de) 2005-12-15
ZA964608B (en) 1997-12-04
AU6048296A (en) 1996-12-24
CA2220130A1 (en) 1996-12-12
EP0832232A1 (en) 1998-04-01
DE69635447T4 (de) 2007-05-10
IL122116A0 (en) 1998-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5786328A (en) Use of kunitz type plasma kallikrein inhibitors
EP0832232B1 (en) Kunitz type plasma kallikrein inhibitors
US5834244A (en) Factor VIIa inhibitors from Kunitz domain proteins
US6113896A (en) Pharmaceutical compositions containing ecotin and homologs thereof
US5874407A (en) Factor VIIA inhibitors
US5550213A (en) Inhibitors of urokinase plasminogen activator
AU659828B2 (en) Improved inhibitors of thrombin
EP0486001A1 (en) Recombinant urinary trypsin inhibitor fragments and drug composition
CZ284911B6 (cs) Lidská varianta inhibitoru proteasy Kunitzova typu
US5807980A (en) Bovine pancreatic trypsin inhibitor derived inhibitors of factor VIIa-tissue factor complex
Campos et al. The Kazal-type inhibitors infestins 1 and 4 differ in specificity but are similar in three-dimensional structure
OA10727A (en) Methods of producing effective recombinant serine protease inhibitors and uses of these inhibitors
EP0866870B1 (en) TISSUE FACTOR - KUNITZ DOMAIN FUSION PROTEINS AS FACTOR VIIa INHIBITORS
US5827662A (en) Methods for detecting genetic mutations resulting in protease inhibitor insufficiencies
WO2007101602A2 (en) Chimeric kunitz domains and their use
Iyer et al. Leading Article: Cardiovascular & Renal: Recombinant hirudin: A perspective
JPH05308988A (ja) 新規ポリペプチド、新規dna、新規ベクター、新規形質転換体、新規医薬組成物、および新規ポリペプチドの製造方法
TW200846356A (en) Preparation and use of variants of the kunitz domain 2 of the human placental bikunin gene
Bischoff et al. GENETIC ENGINEERING OF PROTEASE INHIBITORS Alpha1-ANTITRYPSIN AND HIRUDIN
JP2001519442A (ja) 三価のトロンビン阻害剤