JPH05308988A - 新規ポリペプチド、新規dna、新規ベクター、新規形質転換体、新規医薬組成物、および新規ポリペプチドの製造方法 - Google Patents

新規ポリペプチド、新規dna、新規ベクター、新規形質転換体、新規医薬組成物、および新規ポリペプチドの製造方法

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JPH05308988A
JPH05308988A JP4146587A JP14658792A JPH05308988A JP H05308988 A JPH05308988 A JP H05308988A JP 4146587 A JP4146587 A JP 4146587A JP 14658792 A JP14658792 A JP 14658792A JP H05308988 A JPH05308988 A JP H05308988A
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acid sequence
polypeptide
dna
gly
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Hideaki Morishita
下 英 昭 森
Toshiyuki Kanamori
森 利 至 金
Masahiro Nobuhara
▲原▼ 正 弘 延
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Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】プロテアーゼ阻害活性を有する新規なポリペプ
チド、およびその製造方法、それをコードするDNA,
そのベクター、その形質転換体、前記ポリペプチドを用
いた医薬組成物および酵素阻害剤の提供。 【構成】下記式1のアミノ酸配列から1つ以上のアミノ
酸が欠失してなるアミノ酸配列を有する新規ポリペプチ
ド。 式1 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys およびその製造方法、それをコードするDNA,そのベ
クター、その形質転換体、前記ポリペプチドを用いた医
薬組成物および酵素阻害剤の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規ポリペプチド、新
規DNA、当該新規DNAを含むベクター、当該新規ポ
リペプチドを産生する形質転換体、当該新規ポリペプチ
ドの製造方法、当該新規ポリペプチドを有効成分とする
医薬組成物および当該新規ポリペプチドを用いた酵素阻
害方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、生体内にはトリプシンや
キモトリプシンをはじめとして種々のプロテアーゼが存
在している。これらのプロテアーゼは、生体内におい
て、消化、生体防御、血液の凝固線溶等、重要な役割り
を担っている一方、疾患の直接的あるいは間接的原因と
なることがこれまでの研究で明らかにされている。例え
ば、ショック、膵炎、播種性血管内凝固症候群(DI
C)等は、プロテアーゼの異常な活性化が原因であると
考えられている代表的な疾患である。現在、このような
プロテアーゼが関与する疾患の治療を目的として各種プ
ロテアーゼインヒビターが使用されている。医薬品とし
て使用されているプロテアーゼインヒビターは、化学合
成物と天然物に大別できる。一般的に、化学合成物は、
低分子で、経口投与可能であり、幅広い酵素阻害スペク
トラムを有する場合が多い。一方、天然物は、蛋白性の
高分子であり、特定のプロテアーゼに対する阻害活性を
有し、かつ、細胞増殖促進等の酵素阻害活性以外の活性
をも併せ持つ場合が多い。先にも述べたように、生体内
プロテアーゼは重要な役割を担っているので、必要以上
に生体内プロテアーゼを阻害することは生体にとって好
ましくないばかりか、病態をさらに悪化させる場合もあ
る。従って、疾患の治療においては、疾患の原因となる
プロテアーゼのみを特異的に阻害することが理想的であ
る。例えば、播種性血管内凝固症候群(以後DICと略
す)の治療においては、血液凝固に関わるトロンビンや
活性化血液凝固第X因子(以後FXaと略す)を阻害
し、プロテインCを阻害しないことが好ましい。また、
ショックの治療ではトリプシンを阻害することが好まし
いが、ショック時に併発しやすい凝固系亢進によるDI
Cを予防することを考えると、プラスミンを阻害しない
方がよい。さらに、疾患の治療においては、患者の症状
に応じて、2種以上のプロテアーゼを適当な比率で阻害
する事も必要である。例えば、DICでは線溶系亢進に
よるものも知られているが、この場合には、ショックの
治療のためにトリプシンを阻害すると同時にプラスミン
をも強く阻害する方が好ましい。また、成人呼吸困難症
候群の治療ではエラスターゼを阻害する事が好ましい
が、多臓器不全を予防する意味でトリプシンをも強く阻
害する事が必要である。今後、プロテアーゼと疾患との
関係がより解明されていくに従い、阻害の対象とすべき
プロテアーゼの組み合わせは多様化していくものと考え
られる。従って、これら多様化する阻害の対象とすべき
プロテアーゼの組み合わせに合わせて、例えば特定のプ
ロテアーゼのみを阻害する、もしくはプロテアーゼによ
り阻害の程度が異なる等、阻害様式に特色のある様々な
プロテアーゼインヒビターの開発が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プロ
テアーゼ阻害活性を有する新規なポリペプチドを提供す
ることにある。本発明の他の目的は、当該新規ポリペプ
チドをコードする塩基配列を有する新規DNA、当該新
規DNAを含むベクター、当該新規DNAで形質転換さ
れた形質転換体、当該新規DNAを含むベクターで形質
転換された形質転換体および当該新規ポリペプチドを製
造する方法を提供することにある。さらに、本発明の目
的は、当該新規ポリペプチドを有効成分とする医薬組成
物および当該新規ポリペプチドを用いた酵素阻害方法を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のプ
ロテアーゼインヒビターと異なる、各種プロテアーゼに
対する阻害様式や医薬組成物の有効成分として要求され
る性質を有する新規なプロテアーゼインヒビターを得る
べく鋭意研究を重ねてきた。特に、もともと特異性の高
い阻害活性を有する天然物のプロテアーゼインヒビター
に注目し、これを材料として、目的のプロテアーゼイン
ヒビターを得ることを試みた。その結果、本発明者ら
は、驚くべきことに、下記式1で示したアミノ酸配列中
の1つ以上のアミノ酸を欠失させることにより、目的と
するポリペプチドを得ることに成功した。 式1 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys 前記式1のアミノ酸配列は、既知の蛋白性プロテアーゼ
インヒビターである尿中トリプシンインヒビター(以後
UTIと略す)(食見等、Pharma Medica 、7巻、16
9−174頁、1989年)もしくはHI−30(Wach
ter E. and Hochstrasser K., Hoppe- Seyler's Z. Phy
siol. Chem. 360巻、1305−1311頁、197
9年)のアミノ酸配列の一部と一致する。このアミノ酸
配列は、UTIもしくはHI−30のC末端側ドメイン
の一部であり、HI−30のC末端側ドメインのトリプ
シン阻害活性の機能に必要不可欠な最小単位と考えられ
る配列である(特願平3−325220号)。HI−3
0については、その活性中心のアミノ酸を他のアミノ酸
に置換することが既に試みられているが(Fritz 等、特
開平3−255099、EP401508)、アミノ酸
を欠失させた場合の効果については知られていない。ま
た、UTIについても、活性ドメインの内部のアミノ酸
を欠失させた場合の効果は知られていない。したがっ
て、UTIもしくはHI−30のアミノ酸配列の一部か
ら1つ以上のアミノ酸を欠失させた場合の効果は、本発
明者らによりはじめて開示されるものである。従来、U
TIもしくはHI−30のプロテアーゼ阻害のために必
要不可欠な構造と考えられてきた式1のアミノ酸配列か
ら、1つ以上のアミノ酸を欠失させ、さらに小さいポリ
ペプチドにしてもプロテアーゼ阻害活性が残存し、か
つ、医薬組成物の有効成分として要求される性質が改善
できることは、まさに、驚くべき知見である。ここで、
医薬組成物の有効成分として要求される性質とは、安定
性、溶解性、非抗原性、生産性等の諸性質のうちのいず
れか1つ以上の性質をいう。式1のアミノ酸配列から1
つ以上のアミノ酸を欠失させることにより、当該ポリペ
プチドから不要な酵素阻害活性をとり除くことができ
る。また、余分なアミノ酸を欠失させることで、目的と
する酵素と結合する際の立体障害をとり除き、より安定
な酵素阻害活性や新規な酵素阻害活性を付与することが
できる。このようにして、酵素阻害様式を変化させた結
果、プロテアーゼが関与するおのおのの疾患の治療に適
したプロテアーゼインヒビターを得ることができる。以
上の知見に基づき、本発明は完成された。
【0005】すなわち、本発明第1の態様は、前記式1
で示されるアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸が欠失
してなるアミノ酸配列を有することを特徴とする新規ポ
リペプチドを提供する。
【0006】本発明第2の態様は、本発明第1の態様の
新規ポリペプチドをコードする塩基配列を有することを
特徴とする新規DNAを提供する。
【0007】本発明第3の態様は、本発明第2の態様の
新規DNAを含んでなることを特徴とするベクターを提
供する。
【0008】本発明第4の態様は、本発明第2の態様の
新規DNAによって形質転換された形質転換体を提供す
る。
【0009】本発明第5の態様は、本発明第3の態様の
ベクターによって形質転換された形質転換体を提供す
る。
【0010】本発明第6の態様は、下記a)〜c)の工
程を行うことを特徴とする本発明第1の態様の新規ポリ
ペプチドの製造方法を提供する。 a)本発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードする
塩基配列を有するDNAを得る。 b)a)で得たDNAで宿主細胞を形質転換させて形質
転換体を得る。 c)b)で得た形質転換体を培養して、本発明第1の態
様の新規ポリペプチドを産生させ、当該ポリペプチドを
培養混合物から回収する。
【0011】本発明第7の態様は、下記a)〜d)の工
程を行うことを特徴とする本発明第1の態様の新規ポリ
ペプチドの製造方法を提供する。 a)本発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードする
塩基配列を有するDNAを得る。 b)a)で得たDNAを含むベクターを得る。 c)b)で得たベクターで宿主細胞を形質転換させて形
質転換体を得る。 d)c)で得た形質転換体を培養して、本発明第1の態
様の新規ポリペプチドを産生させ、当該ポリペプチドを
培養混合物から回収する。
【0012】本発明第8の態様は、本発明第1の態様の
新規ポリペプチドを有効成分として含有することを特徴
とする医薬組成物を提供する。
【0013】本発明第9の態様は、本発明第1の態様の
新規ポリペプチドを用いることを特徴とする、新規酵素
阻害方法を提供する。
【0014】以下に本発明を詳細に説明する。本発明第
1の態様の新規ポリペプチドは、前記式1のアミノ酸配
列から1つ以上のアミノ酸が欠失してなるアミノ酸配列
を有することを特徴とする。ここで、「アミノ酸が欠失
してなる」とは、当該アミノ酸の欠失が人工的に形成さ
れたものであっても、天然において生じたものであって
もよいことを意味する。また、「アミノ酸配列を有す
る」とは、当該新規ポリペプチドが、前記式1のアミノ
酸配列から1つ以上のアミノ酸が欠失してなるアミノ酸
配列そのもので規定されるポリプチドであってもよい
し、前記式1のアミノ酸配列から1つ以上のアミノ酸が
欠失してなるアミノ酸配列のN末端、C末端もしくはそ
の両方に、1つ以上の任意のアミノ酸が付加したアミノ
酸配列で規定されるポリペチドであってもよいことを意
味する。例えば、本発明第1の態様の新規ポリペプチド
は、前記式1のアミノ酸配列から1つ以上のアミノ酸が
欠失してなるアミノ酸配列のN末端、C末端もしくはそ
の両方に、それぞれ、他のポリペプチドを構成するアミ
ノ酸配列が付加したアミノ酸配列で規定されるものであ
ってもよい。欠失するアミノ酸の位置、種類および数は
特に限定されない。しかしながら、好ましくは、当該ア
ミノ酸の欠失は、前記式1のアミノ酸配列中、下記
(1)ないし(5)より選ばれる、いずれか、1箇所以
上の部位で生じていることがよい。すなわち、本発明の
新規ポリペプチドは、前記式1のアミノ酸配列中、下記
(1)ないし(5)より選ばれる、いずれか、1箇所の
部位で、1つ以上のアミノ酸が欠失してなるアミノ酸配
列を有していてもよいし、下記式(1)ないし(5)よ
り選ばれる任意の2箇所以上の部位で、同時に、1つ以
上のアミノ酸が欠失してなるアミノ酸配列を有していて
もよい。 (1)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて2番
目のAsn から9番目のPro までの間。 (2)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて11
番目のArg から25番目のLys までの間。 (3)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて27
番目のVal から33番目のGly までの間。 (4)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて35
番目のGln から46番目のGlu までの間。 (5)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて48
番目のArg から50番目のTyr までの間。
【0015】欠失するアミノ酸の好ましい例としては、
下記(1)または(2)より選ばれるいずれか1つ以上
のアミノ酸があげられる。 (1)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて22
番目のVal 。 (2)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて50
番目のTyr 。
【0016】したがって、本発明の新規ポリペプチド
は、前記式1のアミノ酸配列から、少なくとも、前記
(1)または(2)より選ばれる、いずれか、1つ以上
のアミノ酸が欠失してなるアミノ酸配列を有するものが
よい。すなわち、本発明の新規ポリペプチドは、前記式
1のアミノ酸配列から、前記(1)または(2)より選
ばれる、いずれか、1つのアミノ酸が欠失してなるアミ
ノ酸配列を有するものであってもよいし、前記(1)お
よび(2)のアミノ酸が同時に欠失してなるアミノ酸配
列を有するものであってもよい。また、本発明の新規ポ
リペプチドは、前記式1のアミノ酸配列から、前記
(1)または(2)より選ばれる1つ以上のアミノ酸、
および、式1のアミノ酸配列中の任意の1つ以上のアミ
ノ酸が欠失してなるアミノ酸配列を有するものであって
もよい。
【0017】本発明の新規ポリペプチドのより好ましい
例として、具体的には下記式3または4より選ばれるア
ミノ酸配列を有するポリペプチドがあげられる。 式3 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys
【0018】 式4 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu Cys Arg Glu Cys
【0019】先にも述べたとおり、本発明の新規ポリペ
プチドは、前記式1のアミノ酸配列から1つ以上のアミ
ノ酸が欠失してなるアミノ酸配列のN末端、C末端もし
くはその両方に任意の1つ以上のアミノ酸が付加したア
ミノ酸配列を有するものであってもよい。付加されるア
ミノ酸の種類およびその数は、本発明の新規ポリペプチ
ドの特徴が完全には失われない範囲であれば、特に、限
定されない。N末端側に付加されるアミノ酸配列として
好ましいものは、下記(1)ないし(5)より選ばれる
アミノ酸配列である。N末端に付加されるアミノ酸配列
は、下記(1)ないし(5)より選ばれるいずれかのア
ミノ酸配列において1つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸
に置換されてなるアミノ酸配列、1つ以上のアミノ酸が
欠失してなるアミノ酸配列、もしくは1つ以上のアミノ
酸の置換と欠失が同時に生じてなるアミノ酸配列であっ
てもよい。これらの配列は、当該新規ポリペプチドを大
腸菌を使用して産生させる場合に有用である。なかでも
下記(1)のアミノ酸配列は、ポリペプチドを大腸菌よ
り効率よく分泌させるために有用な配列である。当該付
加されるアミノ酸配列は、下記(1)ないし(5)より
選ばれるアミノ酸配列にさらに加えて、そのN末端に1
つ以上のアミノ酸の追加が生じてなるアミノ酸配列であ
ってもよい。 (1) Asp Asp Ala Ala (2) Thr Val Ala Ala (3) Val Ala Ala (4) Ala Ala (5) Ala
【0020】C末端に付加されるアミノ酸配列として好
ましいものは、下記(6)ないし(20)より選ばれるア
ミノ酸配列である。C末端に付加されるアミノ酸配列
は、下記(6)ないし(20)より選ばれるいずれかのア
ミノ酸配列において1つ以上のアミノ酸が他のアミノ酸
に置換されてなるアミノ酸配列、1つ以上のアミノ酸が
欠失してなるアミノ酸配列、もしくは1つ以上のアミノ
酸の置換と欠失が同時に生じてなるアミノ酸配列であっ
てもよい。これらの配列は、当該新規ポリペプチドを大
腸菌で産生させる際に有用である。当該付加されるアミ
ノ酸配列は、下記(6)ないし(20)より選ばれるアミ
ノ酸配列にさらに加えて、そのC末端に1つ以上のアミ
ノ酸の追加が生じてなるアミノ酸配列であってもよい。 (6)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn (7)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser (8)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe (9)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg (10)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu (11)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu (12)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu (13)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu (14)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp (15)Gly Val Pro Gly Asp Gly (16)Gly Val Pro Gly Asp (17)Gly Val Pro Gly (18)Gly Val Pro (19)Gly Val (20)Gly
【0021】もちろん、これらの好ましい配列の追加
は、N末端あるいはC末端のみに生じていてもよく、ま
た、N末端とC末端の両方に生じていてもよい。例え
ば、本発明の新規ポリペプチドのより好ましい例とし
て、前記式3または4のアミノ酸配列のN末端に上述の
(4)のアミノ酸配列、Ala Ala が、C末端に上述の
(6)のアミノ酸配列、Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp
Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn が付加されたアミノ
酸配列を有するポリペプチドがあげられる。
【0022】本発明の第1の態様の新規ポリペプチドに
は、糖鎖を有するものおよび有さないもの、いずれも、
が含まれる。近年の技術は、ポリペプチドにアルキル
化、酸化、還元、加水分解等、種々の化学修飾を施すこ
とを可能にした。また、薬理学上許容される酸や塩基と
の塩を形成させたり、DDS(Drug Deliverly Sytem)
の点から、ポリペプチドにポリエチレングリコール等の
他の物質を結合させることも一般的に行われる技術であ
る。従って、本発明第1の態様の新規ポリペプチドに
は、これらの修飾が施されたポリペプチドも包含され
る。
【0023】本発明第1の態様の新規ポリペプチドは、
いかなる方法で得られたものであってもよい。例えば、
本発明第1の態様の新規ポリペプチドは、ペプチド合成
機(例えば、アプライドバイオシステムズ社製、431
型)を用いて化学合成されたものであってもよい。ま
た、本発明の新規ポリペプチドをコードするDNAを用
い、公知の組み換えDNA技術(例えば、T,Maniatis等
編、Molecular Cloning,a laboratory manual, 198
2年, Cold Spring Harbor Laboratory 参照)によって
製造されたものであってもよい。なお、当該新規ポリペ
プチドをコードするDNAの好ましい例は、本発明第2
の態様で説明する。また、組み換えDNA技術による本
発明第1の態様の新規ポリペプチドの製造方法の好まし
い例は、本発明第3の態様で説明する。
【0024】次に、本発明第2の態様の新規DNAを説
明する。
【0025】本発明第2の態様の新規DNAは、本発明
第1の態様の新規ポリペプチドをコードする塩基配列を
有することを特徴とするDNAである。すなわち、本発
明のDNAは、前記式1で示されたアミノ酸配列中の1
つ以上のアミノ酸が欠失してなるアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードする塩基配列を有することを特徴
とする。ここで、「塩基配列を有する」とは、本発明第
2の態様の新規DNAが、当該塩基配列のみで規定され
るものであっても、当該塩基配列の5’末端、3’末端
に任意の1つ以上の塩基が追加された塩基配列で規定さ
れるものであってもよいことを意味する。本発明第2の
態様の新規DNAは、適当な方法にて適当な宿主細胞を
形質転換させた時に、形質転換された宿主細胞において
本発明第1の態様の新規ポリペプチドが産生され得るよ
うなDNAであれば、いかなる塩基配列を有するDNA
であってもよい。周知のように1アミノ酸に対応するコ
ドンが複数個あることを考慮すると、本発明第1の態様
の新規ポリペプチドをコードする塩基配列は1種類のみ
に限定されず、したがって、本発明の第2の態様の新規
DNAの塩基配列も1種類のみに限定されない。しかし
ながら、前記式1のアミノ酸配列をコードする塩基配列
は、好ましくは、前記式2の塩基配列であることがよ
い。従って、本発明第2の態様の新規DNAは、好まし
くは、本発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードす
る塩基配列であって、前記式2の塩基配列から1つ以上
の塩基が欠失してなる塩基配列を有することが好まし
い。ここで、「塩基が欠失してなる」とは、当該の塩基
の欠失が、人工的に形成されたものであっても、天然に
おいて生じたものであってもよいことを意味する。本発
明第2の態様の新規DNAは、前記式2の塩基配列から
1つ以上の塩基が欠失してなる塩基配列のみで規定され
るものであってもよいし、前記式2の塩基配列から1つ
以上の塩基が欠失してなる塩基配列に加え、その5’末
端、3’末端もしくはその両方に、任意の1つ以上の塩
基が追加された塩基配列で規定されるものであってもよ
い。例えば、本発明第2の態様の新規DNAは、前記式
2の塩基配列から1つ以上の塩基が欠失してなる塩基配
列に加え、その5’末端に、リボゾーム、プロモータ
ー、開始コドン結合部位あるいはシグナルペプチドをコ
ードする配列が追加された塩基配列を有していてもよい
し、3’末端に終止コドンが追加された塩基配列を有し
ていてもよい。また、本発明第2の態様の新規DNA
は、前記式2の塩基配列から1つ以上の塩基が欠失して
なる塩基配列の5’末端、3’末端もしくはその両方
に、適当な制限酵素によって認識される塩基配列や他の
ポリペプチドをコードする塩基配列が追加された塩基配
列を有していてもよい。
【0026】前記式2の塩基配列から欠失させる塩基の
位置、種類および数は、最終的に得られる塩基配列が本
発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードするもので
あれば特に限定されない。しかしながら、好ましくは、
1つ以上の塩基の欠失は、前記式2の塩基配列中、下記
(1)ないし(5)の、いずれか、1箇所以上の部位で
生じている事がよい。すなわち、本発明の新規DNA
は、前記式2中、下記(1)ないし(5)より選ばれる
いずれか1箇所の部位で、1つ以上の塩基が欠失してな
る塩基配列を有するDNAであってもよいし、下記
(1)ないし(5)より選ばれる任意の2箇所以上の部
位で、同時に1つ以上の塩基が欠失してなる塩基配列を
有するDNAであってもよい。 (1)前記式2の塩基配列の5’末端より数えて4番目
のA から27番目のC までの間 (2)前記式2の塩基配列の5’末端より数えて31番
目のC から75番目のGまでの間 (3)前記式2の塩基配列の5’末端より数えて79番
目のG から99番目のCまでの間 (4)前記式2の塩基配列のN末端より数えて103番
目のC から138番目のG までの間 (5)前記式2の塩基酸配列のN末端より数えて142
番目のA から150番目のC までの間
【0027】欠失させる塩基の好ましい例としては、下
記(1)または(2)より選ばれるいずれか1組以上の
塩基があげられる。 (1)前記式1の塩基配列の5’末端より数えて64か
ら66番目のG 、T 、C。 (2)前記式1の塩基配列の5’末端より数えて148
から150番目のT 、A、C 。 したがって、本発明の新規DNAは、好ましくは、前記
式2の塩基配列から、少なくとも前記(1)または
(2)より選ばれる、いずれか、1組以上の塩基が欠失
した塩基配列を有するDNAがよい。すなわち、本発明
の新規DNAは、前記式2の塩基配列から、前記(1)
または(2)より選ばれる、いずれか、1組の塩基が欠
失してなる塩基配列を有するDNAであっても、前記式
2から、前記式(1)および(2)の2組の塩基が同時
に欠失してなる塩基配列を有するものであってもよい。
また、本発明の新規DNAは、前記式2の塩基配列か
ら、前記式(1)または(2)の、いずれか、1組以上
の塩基配列、および、式2の塩基配列中の任意の1つ以
上の塩基が欠失した塩基配列を有するDNAであっても
よい。本発明第2の態様の新規DNAのより好ましい例
として、具体的には下記式5または6より選ばれる塩基
配列を有するDNAがあげられる。 式5 TGT AAT CTA CCA ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG CTC TGG GCA TTT GAT GCT AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC TAC GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG GAG TGC AGA GAG TAC TGC 式6 TGT AAT CTA CCA ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG CTC TGG GCA TTT GAT GCT GTC AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC TAC GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG GAG TGC AGA GAG TGC 先にも述べたように、本発明の新規DNAは、前記式2
から1つ以上の塩基を欠失させてなる塩基配列の、5’
末端、3’末端、もしくはその両方に、任意の1つ以上
の塩基が付加された塩基配列を有するものであってもよ
い。付加される塩基は、最終的に得られる塩基配列が本
発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードし得る限り
においては、その数および種類は限定されない。しかし
ながら、5’末端側に付加される塩基配列としては下記
式(1)ないし(5)より選ばれる、いずれかの塩基配
列が好ましい。5’末端に付加する塩基配列は、下記式
(1)ないし(5)より選ばれる塩基配列中、1つ以上
の塩基が他の塩基に置換されてなる塩基配列であって
も、1つ以上の塩基が欠失してなる塩基配列であって
も、また、1つ以上の塩基の置換と欠失が同時に生じて
なる塩基配列であってもよい。これらの塩基配列は、本
発明第1の態様の新規ポリペプチドを大腸菌で産生させ
る場合に有用である。なかでも、下記式(1)の塩基配
列は、ポリペプチドを宿主細胞より効率的に分泌発現さ
せるために有用である。もちろん、5’末端に付加する
塩基配列は、下記式(1)ないし(5)より選ばれる塩
基配列に加え、その5’末端に、開始コドンや制限酵素
認識部位、他のポリペプチドをコードする塩基配列等、
任意の1つ以上の塩基が付加されてなる塩基配列であっ
てもよい。
【0028】 (1) GAC GAC GCC GCC (2) ACC GTC GCC GCC (3) GTC GCC GCC (4) GCC GCC (5) GCC
【0029】また、3’末端に付加される塩基配列とし
ては、下記(6)ないし(20)より選ばれる、いずれか
の塩基配列が好ましい。3’末端に付加する塩基配列
は、下記式(6)ないし(20)より選ばれる塩基配列
中、任意の1つ以上の塩基が他の塩基に置換されてなる
塩基配列であっても、任意の1つ以上の塩基が欠失して
なる塩基配列であっても、1つ以上の塩基の置換と欠失
が同時に生じてなる塩基配列であっても良い。これらの
塩基配列は、本発明第1の態様の新規ポリペプチドを大
腸菌で産生させる場合に有用である。もちろん、3’末
端に付加される塩基配列は、下記(6)ないし(20)よ
り選ばれる塩基配列に加え、その3’末端に終止コド
ン、制限酵素認識部位、他のポリペプチドをコードする
塩基配列等、任意の1つ以上の塩基が付加されてなる塩
基配列であってもよい。
【0030】 (6) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC TCC AAC (7) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC TCC (8) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC (9) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC (10) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG (11) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG (12) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG (13) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG (14) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT (15) GGT GTC CCT GGT GAT GGT (16) GGT GTC CCT GGT GAT (17) GGT GTC CCT GGT (18) GGT GTC CCT (19) GGT GTC (20) GGT
【0031】これらの塩基配列の追加は、5’末端ある
いは3’末端のみに生じていてもよく、また、5’末端
と3’末端の両方に生じていてもよい。例えば、本発明
第2の態様の新規DNAのより好ましい例として、前記
式5または6の塩基配列の5’末端に、上述の(4)の
塩基配列GCC GCC が、3’末端に、上述の(6)の塩基
配列GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CG
C TTC TCC AAC が付加された塩基配列を有するDNAが
あげられる。
【0032】本発明の新規DNAは、いかなる方法で得
られたものであってもよい。例えば、化学的に合成され
たものであってもよく、適当な組織や細胞から得たもの
であっても、また、組み換えDNAの技術を使用して作
成されたものであってもよい。本発明の新規DNAを化
学合成するには、例えば、次のように行なう。すなわ
ち、所望の塩基配列を適当な断片に分割して設計し、そ
れらに相当するオリゴマーを、全自動DNA化学合成機
(例えば、394型、アプライドバイオシステムズ社
製)を用いて化学合成する。必要があれば、T4ポリヌ
クレオチドキナーゼを用いて、得られたDNA断片の
5’末端をリン酸化した後、アニーリングさせる。つい
で、必要があれば、T4DNAリガーゼを用いてアニー
リングさせた各断片を結合させた後、適当なベクターに
クローン化する。一方、本発明第2の態様の新規DNA
を組換えDNA技術を用いて作成するには、例えば、適
当なcDNAライブラリー、染色体DNAライブラリー
または前記式1のアミノ酸配列をコードするDNAを材
料に、部位特異的突然変異誘発(Site-directed mutagen
esis) 法(例えば、Kramer. W 等、Nucleic Acid Res.
、12巻、9441ー9456頁、1984年あるい
はKunkel, T.A.等、Methodsin Enzymology 、154
巻、367ー382頁、1987年参照)やポリメラー
ゼチェインリアクション(Polymerase Chain Reaction、
PCR)法等の公知の方法で、1つ以上の塩基の欠失と
DNAの増幅を行い、必要があれば、適当なベクターに
クローン化する。ここで用いるDNAライブラリーは、
市販のcDNAライブラリー、染色体DNAライブラリ
ー等から適当なものを選択すればよい。また、公知方法
(例えばMolecular Cloning 、a laboratory manual 、
T.Maniatis等編、Cold Spring Harbor Laboratory 、1
982年)に準じて、適当な組織あるいは細胞からcD
NAライブラリーまたは染色体ライブラリーを作成し
て、使用してもよい。また、前記式1のアミノ酸配列を
コードするDNAは、化学合成されたものであっても、
ハイブリダイゼーション法(例えば、Wallace R. B.
等、Nucleic Acid Res. 、9巻、879−894頁、1
981年参照)等の公知の組換えDNAの技術を適宜使
用して、適当なDNAライブラリーから得られたもので
あってもよい。もちろん、本発明第2の態様の新規DN
Aの一部分を化学合成法で作成し、残りの部分のDNA
断片を組み換えDNA技術を用いて作成し、公知の手法
によりライゲーションさせて本発明第2の態様の新規D
NAを得、適当なベクターにクローニングしてもよい。
【0033】本発明第3の態様は、本発明第2の態様の
新規DNAを含むことを特徴とするベクターである。通
常、所望のポリペプチドをコードするDNAを含むベク
ターで宿主を形質転換して所望のポリペプチドを発現さ
せる場合には、ベクターとしては、所望のポリペプチド
をコードするDNAに加え、発現に必要なプロモーター
や任意のリボソーム結合部位等の塩基配列をも含有する
ベクターが使用される。また、所望のポリペプチドを、
宿主体内より分泌させるためには、通常、ベクターとし
ては、シグナルペプチドをコードする塩基配列を有する
ベクターが使用される。したがって、本発明のベクター
は、好ましくは、本発明第2の態様の新規DNAに加え
て、リボゾーム、プロモーター結合部位等の塩基配列
を、また、必要があれば、シグナルペプチドをコードす
る塩基配列をも含有するベクターがよい。なお、上記リ
ボゾーム、プロモーター結合部位、シグナルペプチドを
コードする塩基配列等は、使用する宿主内で機能する配
列でありさえすれば、いかなるものであってもよい。
【0034】本発明のベクターであって好適なものを得
るには、リボゾームやプロモーター結合部位、シグナル
ペプチドをコードする塩基配列等、本発明第1の態様の
新規ポリペプチドの発現や分泌に必要な塩基配列を予め
有するプラスミドベクター、ファージベクター、ウイル
スベクター等に、本発明第2の態様の新規DNAを導入
する。もしくは、上記発現に必要な塩基配列を化学的に
合成し、本発明第2の態様の新規DNAとともに、プラ
スミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター
等の適当な位置に導入してもよい。ベクターは、現在、
種々のベクターが市販されているので、これらの中から
適宜選択して用いることができる。なお、ベクターにD
NAを導入するには、公知方法(例えば、Molecular Cl
oning 、a laboratory manual 、T.Maniatis等編、Cold
Spring Harbor Laboratory、1982年)を参考にす
ればよい。
【0035】本発明第4の態様は、本発明第2の態様の
新規DNAによって形質転換された形質転換体である。
本発明第4の態様の形質転換体は、本発明の新規ポリペ
プチドを産生し、それを体内に蓄積するものであって
も、体外に分泌するものであってもよい。本発明第4の
態様の形質転換体は、塩化カルシウム法、リン酸カルシ
ウム−DNA複合体を用いる方法、マイクロインジェク
ション法、電気パルスによる穿孔法等の公知の方法で、
適当な宿主細胞に本発明第2の態様の新規DNAを導入
することにより作成することができる。なお、ここで用
いる本発明第2の態様の新規DNAは、本発明第1の態
様の新規ポリペプチドをコードする塩基配列に加え、リ
ボゾーム、プロモーター結合部位等、本発明第1の態様
の新規ポリペプチドの発現に必要な塩基配列を有するも
のが好ましい。得られた形質転換体に本発明のポリペプ
チドを産生させ、分泌させることを目的とする場合に
は、ここで用いるDNAは、発現に必要な塩基配列に加
えて、シグナルペプチドをコードする塩基配列を有する
ものが好ましい。上記リボゾーム、プロモーター結合部
位、シグナルペプチドをコードする塩基配列等は、使用
する宿主内で機能する配列であればいかなるものであっ
てもよい。また、本発明第2の態様の新規DNAを導入
する宿主細胞は、本発明第1の態様の新規ポリペプチド
の発現に適した細胞であれば、HeLa細胞、COS細
胞、CHO細胞、酵母等に代表される真核生物細胞であ
っても、また、大腸菌、枯草菌等に代表される原核生物
細胞であってもよい。これらの細胞から適当な細胞を選
択し、宿主細胞として使用すればよい。
【0036】本発明第5の態様は、本発明第3の態様の
ベクターによって形質転換された形質転換体である。本
発明第5の態様の形質転換体は、本発明の新規ポリペプ
チドを産生し、それを体内に蓄積するものであっても、
体外に分泌するものであってもよい。本発明第5の態様
の形質転換体は、塩化カルシウム法、塩化ルビジウム
法、ハナハン(Hanahan) の方法(Hanahan, D著、Techni
ques for Transformation of E. coli. In: DNA clonin
g, vol 1, Glover, D. M. (ed.),109−136頁、IR
L Press 、1985年)等の公知方法に従い、本発明第
3の態様のベクターで適当な宿主を形質転換することに
より得られる。本発明第3の態様のベクターを導入する
宿主細胞は、本発明第1の態様の新規ポリペプチドの発
現に適した細胞であれば、HeLa細胞、COS細胞、
CHO細胞、酵母等に代表される真核生物細胞であって
も、また、大腸菌、枯草菌等に代表される原核生物細胞
であってもよいが、好ましくは、当該宿主細胞は大腸菌
がよい。周知のように、宿主細胞とベクターとは、互い
に機能し合うので、それを考慮し、本発明第1の態様の
新規ポリペプチドが発現し得るように、ベクターと宿主
細胞とを組み合わせ、本発明の形質転換体を得ることが
好ましい。特に、ベクターの由来、発現に必要な配列、
および宿主細胞の組み合わせは重要である。例えば、宿
主細胞として哺乳動物細胞を使用する時に、本発明第3
の態様のベクターが、ウイルスベクターを使用したもの
である場合には、当該ベクターは、本発明第2の態様の
DNAに加え、プロモーター、リボソーム結合部位等の
発現に必要な配列、さらには、RNAスプライシング領
域およびポリA付加シグナルを有するベクターであるの
がよい。
【0037】発現用ベクタ−と宿主細胞の組み合わせの
具体的例を挙げると、シミアンウイルス40(SV4
0)の初期プロモーターを含有する発現用ベクターとC
OS−7細胞の組み合わせ、プラスミドpBR322由
来であってトリプトファンプロモーターおよびトリプト
ファンSD配列をコ−ドする塩基配列を含有する発現用
ベクターと大腸菌HB101株との組み合わせ等があ
る。
【0038】本発明第6の態様および第7の態様は、い
ずれも、組換えDNA技術を使用した本発明第1の態様
の新規ポリペプチドの製造方法である。まず、本発明第
6の態様について説明する。本発明第6の態様の製造方
法は、下記a)〜c)の工程を行うことを特徴とする本
発明第1の態様の新規ポリペプチドの製造方法である。 a)本発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードする
塩基配列を有するDNAを得る。 b)a)で得たDNAで宿主細胞を形質転換させて形質
転換体を得る。 c)b)で得た形質転換体を培養して本発明第1の態様
のポリペプチドを産生させ、当該ポリペプチドを培養混
合物から回収する。
【0039】上記a)の本発明第1の態様の新規ポリペ
プチドをコードする塩基配列を有するDNAとは、好ま
しくは、本発明第2の態様のDNAである。なかでも、
本発明第1の態様のポリペプチドをコードする塩基配列
に加えて、発現に必要な塩基配列を、また、必要があれ
ば、それらに加え、シグナルペプチドをコードする塩基
配列を有するDNAが好ましい。上記b)の形質転換体
は、好ましくは、本発明第4の態様の形質転換体であ
る。当該形質転換体の作成方法は公知方法に従えばよ
く、その詳細は本発明第4の態様で述べたとおりであ
る。上記c)の工程で行う形質転換体の培養は、微生物
あるいは動物細胞を培養するのに用いられる一般的方
法、すなわち、「生物化学工学」(合葉修一等著、19
76年、東京大学出版会)、あるいは「組織培養」(中
井準之助等編、1976年、朝倉書店)等に記載された
方法に準じて行なえばよい。続いて、当該形質転換体に
よって産生された本発明のポリペプチドを形質転換体の
培養混合物から回収する。産生されたポリペプチドが形
質転換体の体外に分泌されない場合は当該形質転換体か
ら、分泌される場合はその培養上清中から単離すること
が好ましい。本発明第1の態様の新規ポリペプチドを含
む培養混合物からの当該新規ポリペプチドの精製および
回収は、ポリペプチドの精製のために通常用いられてい
る手段、例えば、「生化学実験講座1タンパク質の化
学」(日本生化学会編、1976年、東京化学同人)等
の多くの文献や成書に記載された方法を参考にして実施
すればよい。本発明のポリペプチドが、インクルージョ
ンボディ(inclusionbody)となっている場合等には、
精製の前もしくは後に、可溶化、デネイチャー、リフォ
ールディングを行ってもよい(例えば、Thomas E. Crei
gton、J. Mol.Biol. 、87巻、563−577頁、1
974年参照)。ポリペプチドの精製法の一例をあげる
と、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、
イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフ
ィーや抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティー
クロマトグラフィー、クロマトフォ−カシング法、吸着
クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等が
あるので、これらの中から、本発明第1の態様の新規ポ
リペプチドを得ることが可能な方法を適宜選択し、必要
により、HPLCシステム等を使用して適当な順序で行
なえばよい。
【0040】次に、本発明第7の態様の製造方法を説明
する。本発明第7の態様の製造方法は、下記a)〜d)
の工程を行うことを特徴とする本発明第1の態様の新規
ポリペプチドの製造方法である。 a)本発明第1の態様の新規ポリペプチドをコードする
塩基配列を有するDNAを得る。 b)a)で得たDNAを含むベクターを得る。 c)b)で得たベクターで宿主細胞を形質転換させて形
質転換体を得る。 d)c)で得た形質転換体を培養して本発明第1の態様
のポリペプチドを産生させ、当該ポリペプチドを培養混
合物から回収する。
【0041】上記a)の本発明第1の態様の新規ポリペ
プチドをコードする塩基配列を有するDNAとは、好ま
しくは、本発明第2の態様のDNAである。上記b)の
ベクターとは、好ましくは、本発明第3の態様のベクタ
ーである。なかでも、本発明第1の態様のポリペプチド
をコードする塩基配列に加えて、発現に必要な塩基配
列、また、必要があれば、それらに加え、シグナルペプ
チドをコードする塩基配列を有するベクターが好まし
い。当該ベクターの作成は、公知方法に従って行えばよ
く、その詳細は、本発明第3の態様で説明した通りであ
る。上記c)の形質転換体は、好ましくは、本発明第5
の態様の形質転換体である。当該形質転換体の作成は公
知方法に従って行えばよく、その詳細は、本発明第5の
態様で説明した通りである。上記d)の工程では、c)
で得られた形質転換体を使用する。当該形質転換体の培
養および培養混合物からの本発明の新規ポリペプチドの
回収あるいは精製方法は、本発明第6の態様で説明した
通りである。
【0042】ところで、本発明第6の態様および第7の
態様、いずれの製造方法においても、本発明第1の態様
の新規ポリペプチドは、他のポリペプチド(例えば、大
腸菌βガラクトシダーゼ)との融合蛋白質として形質転
換体に産生させることができる。この場合には、本発明
第1の態様のポリペプチドをコードする塩基配列と、他
のポリペプチド(例えば、大腸菌βガラクトシダーゼ)
やその一部をコードする塩基配列とが融合した塩基配列
を有するDNAを、本発明第1の態様の新規ポリペプチ
ドをコードする塩基配列を有するDNAとして使用すれ
ばよい。当該DNAもしくはそれを含むベクターで形質
転換させた形質転換体は融合蛋白質を産生するので、産
生された融合蛋白質を回収した後、適当な化学物質や酵
素等で処理して他のポリペプチド部分を切断、除去し、
精製して本発明第1の態様の新規ポリペプチドを得るこ
とができる。
【0043】次に、本発明第8の態様の医薬組成物につ
いて説明する。本発明が提供する医薬組成物は、本発明
第1の態様の新規ポリペプチドを有効成分として含有す
る。含有される本発明第1の態様の新規ポリペプチド
は、1種類に限らず、複数種類であってもよい。例え
ば、前記式3のアミノ酸配列を有するポリペプチドと前
記式4のアミノ酸配列を有するポリペプチドをともに含
有するものであってもよい。本発明第8の態様の医薬組
成物は、本発明第1の態様の新規ポリペプチド(例え
ば、凍結乾燥や除菌濾過等の製剤学的に必要な工程で処
理されたもの)のみで構成されていても、充分、その効
果を有するが、上記のポリペプチドに加えて、製剤学的
に許容され得る量の製剤学的に許容されうる補助成分を
含んでいてもよい。本発明第8の態様の医薬組成物中に
含有され得る補助成分とは、基剤、安定化剤、防腐剤、
保存剤、乳化剤、懸濁化剤、溶解剤、溶解補助剤、滑沢
剤、矯味剤、着色剤、芳香剤、無痛化剤、賦形剤、結合
剤、粘稠剤、緩衝剤等のことであり、具体的には、炭酸
カルシウム、乳糖、庶糖、ソルビット、マンニトール、
デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチ
ン、カカオ脂、注射用蒸留水、塩化ナトリウム水溶液、
リンゲル溶液、グルコース溶液、ヒト血清アルブミン等
である。なかでもゼラチン、ヒト血清アルブミンは、安
定化剤として有用である。当該新規医薬組成物に使用す
る補助成分の選択に際しては、医薬品添加物一覧表(財
団法人東京医薬品工業協会薬事法規委員会および大阪医
薬品協会薬事法規研究委員会発行)を参考にするとよ
く、医薬組成物の薬剤形態等に応じて、適宜決定すれば
よい。
【0044】本発明の医薬組成物の剤型は、使用方法に
応じた形態であれば特に限定されない。一般には、医薬
組成物の剤型は、注射剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆
粒剤、坐剤、溶液、懸濁液、乳濁液、散剤、軟膏、クリ
ーム、ゲル、発布剤、ローション等があり、本発明の医
薬組成物はその何れの形態を取ることも可能である。本
発明の医薬組成物の投与量は、有効成分含有量、治療を
受ける患者の状態、年齢、性別、体重等に応じ、適宜、
選択される。その投与量の好ましい一例は、有効成分量
で0.1mg〜1000mg/kgであり、より好まし
くは、0.2mg〜50mg/kg、さらに好ましくは
0.2mg〜20mgである。また、本発明の医薬組成
物は、患者の状態に応じて、経口投与、筋肉内投与、腹
腔内投与、皮内投与、皮下投与、静脈内投与、動脈内投
与、直腸内投与、膣内投与、さらには、エアゾールとし
て気道吸入する、口腔内で溶解させる、経皮的に吸収さ
せる、経粘膜的に吸収させる等、様々な投与方法にて使
用され得るが、静脈内に投与する方法にて使用されるこ
とが好ましい。
【0045】本発明の医薬組成物は、手術侵襲、多臓器
不全、ショック、膵炎、播種性血管内凝固症候群、虚血
性心疾患、腎炎、肝硬変、血行再建術時の再閉塞、血管
透過性の昂進による浮腫、成人呼吸困難症候群、慢性関
節リウマチ、関節炎、アレルギー等、プロテアーゼが関
与する疾患の予防または治療あるいはその両方に使用す
ることができる。
【0046】次に、本発明第9の態様を説明する。本発
明第9の態様の酵素阻害方法は、本発明第1の態様の新
規ポリペプチドを用いることを特徴とする。すなわち、
本発明の酵素阻害方法は、本発明第1の態様の新規ポリ
ペプチドを酵素と反応させることにより、酵素活性を阻
害する方法である。本発明第1の態様の新規ポリペプチ
ドは、特徴ある阻害様式を有するので、当該酵素阻害方
法は、単に酵素活性を阻害するだけでなく、試料中の酵
素を定性、定量的に検出したり、酵素が関与する疾患の
診断を行う際にも利用する事ができる。当該方法は、酵
素と本発明第1の態様の新規ポリペプチドを適当な条件
下、例えば、適当な温度、適当なpHおよび適当な時間
にて反応させることにより、酵素活性を阻害する方法で
あって、反応は、試験管内等のin vitroで行なっても、
動物体内(in vivo 、ex vivo) で行なってもよい。ま
た、必要に応じて本発明第1の態様のポリペプチドの他
に、他の物質や薬剤を加えて反応を行ってもよい。当該
酵素阻害方法で用いる新規ポリペプチドは、補助成分等
を含む、組成物の形態になってもよい。本発明の新規酵
素阻害方法において、阻害の対象となる酵素は、本発明
第1の態様の新規ポリペプチドが阻害し得る酵素であれ
ば、いかなる酵素であってもよいが、好ましくは1種以
上のプロテアーゼであることがよい。
【0047】
【実施例】以下に、実施例をもって本発明を一層具体的
に説明するが、これらは一例として示すものであり、本
発明はこれらにより何等限定されるものではない。ま
た、以下の記載において用いる略号は、当該分野におけ
る慣用略号に基づくものである。なお、以下に示す実施
例中の諸操作は、下記の雑誌、成書を参考として実施し
た。
【0048】1.ラボマニュアル遺伝子工学、村松正實
著、1989年、丸善株式会社 2.遺伝子操作実験法、高木康敬編著、1980年、講
談社 3.遺伝子操作マニュアル、高木康敬編著、1982
年、講談社 4.Molecular Cloning, a laboratory manual、T. Man
iatis 等編、1982年、Cold Spring Harbor Laborat
ory 5.Methods in Enzymology 、65巻、L. Grossman 等
編、1980年、Academic Press 6.Methods in Enzymology 、68巻、R. Wu 編、19
79年、Academic Press 7.PCR Protocols 、a guide to methods and applica
tions 、Michadel A. I 等編、1990年、Academic P
ress 8.Molecular Cloning, a laboratory manual、Second
edition T. Maniatis 等編、1989年、Cold Spring Harbor L
aboratory
【0049】実施例1.ポリペプチドAN68の製造
【0050】(1)ポリペプチドAN68をコードする
遺伝子のクローニング プラスミドpM552(特願平3−325220)を用
い、ポリペプチドAN68をコードするDNAを以下の
ように調製した。なお、プラスミドpM552は、pM
469(特願平3−325220)由来のプラスミドで
あり、下記式7のアミノ酸配列をコードする塩基配列、
すなわち下記式8の塩基配列に加え大腸菌内にて複製す
るための配列、カナマイシン耐性遺伝子、トリプトファ
ンプロモーター、アルカリフォスファターゼシグナルペ
プチドをコードする塩基配列をコードする塩基配列を有
するプラスミドである(図1参照)。 式7 Thr Val Ala Ala Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn 式8 ACC GTC GCC GCC TGC AAT CTC CCC ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG CTC TGG GCA TTT GAT GCT GTC AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC TAC GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG GAG TGC AGA GAG TAC TGC GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC TCC AAC まず、第一次PCR用のセンスプライマーとして、Hi
ndIII プライマー(図2)をDNA化学合成機(39
4型、アプライドバイオシステムズ社)を用いて化学合
成し、OPCカラム(アプライドバイオシステムズ社)
を用いて精製した。次に、アンチセンスプライマーとし
てAN68プライマー(図3)を同様に化学合成し、精
製した。得られた2種のプライマーを用い、プラスミド
pM552(既出)をテンプレートとする第一次PCR
をジーンアンプキットR (Gene AmpR PCR Reagent Ki
t)(宝酒造株式会社)を使用して、その使用説明書に
従って行った。反応は94℃、1分間、55℃、2分
間、72℃、3分間を1サイクルとし、30サイクル繰
り返した。第一次PCR後の増幅産物の一部を1.5%
アガロースゲル電気泳動に供したところ、目的とする、
サイズ約120bpのDNA断片が確認された。増幅産
物をフェノール処理/エタノール沈殿で精製した後、T
Eバッファーに溶解した。引き続いて、先と同様にプラ
スミドpM552をテンプレートとして第二次PCR反
応を行い、増幅産物として約340bpのDNA断片を
得た。なお、この時センスプライマーとしては第一次P
CRで得た約120bpのDNA断片を用いた。また、
アンチセンスプライマーとしてはpBRBamHIプラ
イマー(図4)を化学合成し、精製して用いた。第二次
PCRによって得た約340bpのDNA断片を制限酵
素BamHIおよびHindIII を用いて2重消化し約
300bpのDNA断片を得た。
【0051】(2)発現ベクターpM594の作成 プラスミドpBR322の誘導体であり、大腸菌内で複
製するための配列、アンピシリン耐性遺伝子、トリプト
ファンプロモーター、アルカリフォスファターゼのシグ
ナルペプチドをコードする塩基配列およびヒト膵臓分泌
性トリプシンインヒビターをコードする塩基配列を有す
るプラスミドpM463(Kanamori T.等、Gene、66
巻、2295-300頁、1988年)を制限酵素HindIII およ
びBamHIで二重消化した。得られたDNA断片の混
合物を0.7%低融点アガロースゲル電気泳動に供し、
サイズ約3.3kbのDNA断片を含んだアガロースゲ
ルを切り出し、65℃でゲルを融解後、フェノール処理
/エタノール沈澱により目的のDNA断片を精製した。
(1)で得られたサイズ約300bpのDNA断片と、
前述のサイズ約3.3kbのDNA断片とをT4DNA
リガーゼ(宝酒造株式会社)を用いて、ライゲーション
した。これを用いて、ハナハンの方法(Hanahan, D著、
Techniques forTransformation of E, coli. In: DNA c
loning, vol 1, Glover, D. M. (ed.),109-136 頁、IRL
Press 、1985年)により大腸菌JE5505株を形質
転換し、所望の形質転換体としてアンピシリン耐性コロ
ニーを分離した。得られた形質転換体からプラスミドD
NAを分離し、プラスミドpM594と命名した(図5
参照)。プラスミドpM594を制限酵素HindIII
およびBamHIで二重消化した後、目的とするサイズ
約300bpの断片を抽出、精製した。これを、Hin
dIII およびBamHIで二重消化したファージベクタ
ーM13mp18およびファージベクターM13mp1
9(宝酒造株式会社)とライゲーションさせ、それぞれ
大腸菌株JM109(宝酒造株式会社)にトラスフェク
ションした。得られたそれぞれのプラークよりssDN
Aを調製し、DNAシークエンサ−(アプライドバイオ
システムズ社、370A型)にてシークエンシングを行
なった。その結果、プラスミドpM594の制限酵素H
indIII およびBamHI認識配列にはさまれたクロ
ーニングサイトにポリペプチドAN68をコードするD
NAが挿入されていた。プラスミドpM594の、ポリ
ペプチドAN68をコードするDNAを含むHindII
I 消化部位からBamHI消化部位までの確認された塩
基配列、および対応するアミノ酸配列を図6に示した
(配列表の配列番号1参照)。
【0052】(3)形質転換体の作成および培養 (2)で得たプラスミドpM594を用いて、ハナハン
の方法により大腸菌JE5505株を形質転換させ、大
腸菌株JE5505(pM594)を調製した。得られ
た形質転換体、大腸菌株JE5505(pM594)を
アンピシリン50μg/ml含有L−ブロースにて37
℃、約8時間、前々培養した後、前培養として約100
倍量の同培地に植菌し、37℃で終夜培養した。主培養
として、アンピシリン50μg/mlを含む50倍量の
M9CA培地に植菌し、37℃、約1時間培養した。培
地に3β−インドールアクリル酸(和光純薬工業株式会
社製)を終濃度10μg/mlとなるように添加し、さ
らに16時間培養した。得られた培養混合物を遠心分離
し、上清を回収した。0.1%BSA(ウシ血清アルブ
ミン)/0.2Mトリエタノールアミン−塩酸緩衝液
(pH7.8)を用いて培養上清を種々の濃度に希釈
し、実施例6(1)および(2)の方法に準じて、トリ
プシン阻害活性を測定した。なお、プラスミドpM59
4からポリペプチドAN68をコードする塩基配列を削
除したプラスミドpM463Cを作成し、これで形質転
換させた大腸菌株JE5505(pM463C)を上述
の方法と同様に培養し、得られた培養上清を活性測定の
際のコントロールとして用いた。大腸菌株JE5505
(pM594)の培養上清には、コントロールと比較し
て、顕著なトリプシン阻害活性が認められた。
【0053】(4)大腸菌株JE5505(pM59
4)の培養上清からの本発明のポリペプチドの精製 塩析 (3)で得た培養上清に硫酸アンモニウムを80%飽和
になるように加え、完全に溶解するまで撹拌した後、4
℃、一晩、静置した。4℃、12000×g、30分間
遠心分離し、得られた沈澱を蒸留水に溶解、不溶物を遠
心除去した後、上清を分画分子量1000の限外ろ過膜
(ダイアフローメンブレンYM−1、グレース社)を用
いて濃縮した。ついで、4℃、5860×g、10分間
遠心分離し、上清を回収した。
【0054】ゲル濾過 セファデックス(Sephadex)G−50(ファルマシア社
製)を充填したカラム(1cmφ×115cm)をPB
- (Phosphate Buffered Saline )にて平衡化した
後、で得た濃縮液を添加した。PBS- を用いて、流
速0.2ml/分にて展開し、2mlずつ分画した。各
画分の一部を採取して実施例6(1)の方法に準じてト
リプシン阻害活性を測定し、活性画分をプールした。分
画分子量1000の透析膜(スペクトラム社製)を用い
て、この活性画分を、20mMトリス塩酸緩衝液(pH
8.0)に対して、4℃、一晩透析した。透析後、の
陰イオン交換クロマトグラフィーに供した。
【0055】陰イオン交換クロマトグラフィー 20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で予め平衡化
したMonoQカラム(5mmφ×50mm、ファルマ
シア社製)による陰イオン交換クロマトグラフィーを、
FPLCシステム(ファルマシア社製)を用い、以下の
ように行った。すなわち、で得た透析後の活性画分
を、MonoQカラムに添加し、0−0.4MNaCl
/20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)/48分間
の直線濃度勾配法にて、流速1ml/分で、溶出を行な
った。溶出液の波長280nmにおける吸光度を指標と
して、溶出液中の蛋白質含量をモニターしながら溶出を
行ない、ピーク毎に分取した。各画分の一部を採取し
て、実施例6(1)の方法に準じて、トリプシン阻害活
性を測定し、活性の認められた画分をの逆相クロマト
グラフィーに供した。
【0056】逆相クロマトグラフィー 0.04%トリフルオロ酢酸溶液にて予め平衡化したバ
イダックC18カラム(4.6mmφ×25.0cm、
ザセパレーショングループ社)による逆相クロマトグラ
フィーを、ウォーターズ625LCシステム(ウォータ
ーズ社)を用いて以下のように行った。すなわち、で
得た活性画分を、バイダックC18カラムに添加し、0
〜100%アセトニトリル/0.04%トリフルオロ酢
酸/30分間の直線濃度勾配法にて流速1ml/分で溶
出を行なった。溶出液の波長280nmにおける吸光度
を指標として、溶出液中の蛋白質含量をモニターしなが
ら溶出を行ない、ピーク毎に分取した。分取した各画分
の一部を採取し、トリプシン阻害活性を実施例6(1)
の方法に準じて測定し、活性画分を遠心濃縮器(株式会
社トミー精工製)にて減圧乾固し、精製ポリペプチドと
した。得られた精製ポリペプチドを、(5)のSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動、(6)のアミノ酸配
列分析および実施例6の活性測定に供した。
【0057】(5)SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動 レムリ(Laemmli) の方法(Laemmli U. K., Nature, 227
巻, 680-685 頁, 1970年)を参考にして、(4)で得ら
れた精製ポリペプチドをSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(以後SDS−PAGEと略す)に供した。
すなわち、精製ポリペプチドを100μlの蒸留水に溶
解した後、その一部に等容量のセプラゾル(Seprasol)
II(第一化学薬品株式会社製)を添加し、100℃、5
分間加熱処理した後、15%ゲル(8cm×9cm、厚
さ1mm)に供し、15mAにて50分間、ついで、3
0mAにて35分間電気泳動した。なお、分子量マーカ
ーとして、市販のキット(Electrophoresis Calibration
Kit、ファルマシア社製)を使用した。電気泳動終了
後、市販の銀染色キット(2D- 銀染色試薬・II「第
一」、第一化学薬品株式会社製)にて染色を行ない、電
気泳動像を観察した。その結果、単一のバンドが確認さ
れた。
【0058】(6)アミノ酸配列の分析 (4)で得た精製ポリペプチドを50%酢酸に溶解し、
モデル477Aプロテインシークエンシングシステム−120A
PTHアナライザー(アプライドバイオシステムズ社)を
用いてアミノ酸配列の分析を行なった。PTHアミノ酸
を270nm の紫外部吸収にて検出して、その保持時間を測
定し、予め同一の方法で分離した標準PTHアミノ酸
(アプライドバイオシステムズ社)の保持時間を基準に
してアミノ酸の同定を行なった。その結果、(4)で得
た精製ポリペプチドが目的とするポリペプチドAN68
であることが確認された(配列表の配列番号2参照)。
【0059】実施例2.本発明の新規ポリペプチド、V
26delの作成 前記式3のアミノ酸配列を有する本発明の新規ポリペプ
チド、V26delを以下のように作成した。 (1)本発明の新規ポリペプチド、V26delをコー
ドする遺伝子のクローニング プラスミドpM594をテンプレートとする二度のPC
Rを実施例1(1)と同様に行って、本発明の新規ポリ
ペプチド、V26delをコードする塩基配列を有する
DNAを作成した。なお、第一次PCRは、センスプラ
イマーとして新たに化学合成して得たV26delプラ
イマー(図7)を用い、アンチセンスプライマーとして
実施例1(1)で作成したpBRBamHIプライマー
を用いた。また、第二次PCRは、センスプライマーと
して実施例1(1)で作成したHindIII プライマー
を用い、アンチセンスプライマーとして第一次PCRで
得た約190bpのDNA断片を用いて行った。第二次
PCRによって得られた増幅産物を制限酵素BamHI
およびHindIII を用いて2重消化し約300bpの
DNA断片を得た。
【0060】(2)発現ベクターpM704Aの作成 (1)で得たサイズ約300bpのDNA断片を実施例
1(2)と同様の方法で、制限酵素BamHIおよびH
indIII にて二重消化したプラスミドpM463とラ
イゲーションさせ、プラスミドpM704Aを作成し
た。(図8参照)。 プラスミドpM704Aのクロー
ニングサイトに挿入された配列を実施例1(2)と同様
に確認したところ、ポリペプチドV26delをコード
するDNAであった。確認されたプラスミドpM704
Aの、ポリペプチドV26delをコードするDNAを
含むHindIII 消化部位からBamHI消化部位まで
の塩基配列、および対応するアミノ酸配列を図9に示し
た(配列表の配列番号3参照)。
【0061】(3)形質転換体の作成および培養 (2)で得たプラスミドpM704Aを用いて、実施例
1(3)と同様の方法により大腸菌JE5505株を形
質転換させ、大腸菌株JE5505(pM704A)を
調製した。得られた形質転換体、大腸菌株JE5505
(pM704A)を実施例1(3)の方法で培養、発現
誘導しその培養上清を回収した。得られた培養上清のト
リプシン阻害活性を実施例6(1)の方法で測定した。
なお、コントロールとしては、実施例1(3)で作成し
た大腸菌株JE5505(pM463C)から得られた
培養上清を用いた。大腸菌株JE5505(pM704
A)の培養上清には、コントロールと比較して、顕著な
トリプシン阻害活性が認められた。
【0062】(4)本発明のポリペプチドの精製、SD
S−PAGE、アミノ酸配列の分析 (3)で得た培養上清から本発明のポリペプチドを実施
例1(4)の方法に準じて精製した。得られた精製ポリ
ペプチドを、実施例1(5)の方法でSDS−PAGE
に供した。その結果、単一のバンドが確認された。ま
た、得られた精製ポリペプチドのアミノ酸配列の分析
を、実施例1(6)と同様に行なった。その結果、得ら
れた精製ポリペプチドが、目的とするポリペプチドV2
6delであることが確認された(配列表の配列番号4
参照)。
【0063】実施例3.本発明の新規ポリペプチド、Y
54delの作成 前記式4のアミノ酸配列を有する本発明の新規ポリペプ
チド、Y54delを以下の方法で作成した。 (1)Y54delをコードする遺伝子のクローニング プラスミドpM594をテンプレートとする二度のPC
Rを実施例1(1)と同様に行って、本発明の新規ポリ
ペプチド、Y54delをコードする塩基配列を有する
DNAを調製した。なお、第一次PCRは、センスプラ
イマーとして、新たに化学合成して得たY54delプ
ライマー(図10)を、アンチセンスプライマーとし
て、実施例1(1)で作成したpBRBamHIプライ
マーを用いて行った。また、第二次PCRは、センスプ
ライマーとして実施例1(1)で作成したHindIII
プライマーを、アンチセンスプライマーとして第一次の
PCRで得た約90bpのDNA断片を用いて行った。
第二次PCRによって得られた増幅産物を制限酵素Ba
mHIおよびHindIII で2重消化し約300bpの
DNA断片を得た。
【0064】(2)発現ベクターpM705Aの作成 (1)で得たサイズ約300bpのDNA断片を実施例
1(2)と同様の方法で、制限酵素BamHIおよびH
indIII にて2重消化したプラスミドpM463にラ
イゲーションさせ、プラスミドpM705Aを作成し
た。(図8参照)。 プラスミドpM705Aのクロー
ニングサイトに挿入された配列を実施例1(2)と同様
に確認したところポリペプチドY54delをコードす
るDNAであった。確認されたプラスミドpM705A
の、ポリペプチドY54delをコードするDNAを含
むHindIII 消化部位からBamHI消化部位までの
塩基配列、および対応するアミノ酸配列を図11に示し
た(配列表の配列番号5参照)。
【0065】(3)形質転換体の作成および培養 (2)で得たプラスミドpM705Aを用いて、実施例
1(3)と同様の方法により大腸菌JE5505株を形
質転換させ、大腸菌株JE5505(pM705A)を
調製した。得られた形質転換体、大腸菌株JE5505
(pM705A)を実施例1(3)の方法で培養、発現
誘導しその培養上清を回収した。得られた培養上清のト
リプシン阻害活性を実施例6(1)の方法で測定した。
なお、コントロールとしては、実施例1(3)で作成し
た大腸菌株JE5505(pM463C)から得られた
培養上清を用いた。大腸菌株JE5505(pM705
A)の培養上清には、コントロールと比較して、顕著な
トリプシン阻害活性が認められた。
【0066】(4)本発明のポリペプチドの精製、SD
S−PAGE、アミノ酸配列の分析 (3)で得た培養上清から本発明のポリペプチドを、実
施例1(4)の方法に準じて精製した。得られた精製ポ
リペプチドを、実施例1(5)の方法でSDS−PAG
Eに供した。その結果、単一のバンドが確認された。ま
た、得られた精製ポリペプチドのアミノ酸配列の分析
を、実施例1(6)と同様に行なった。その結果、得ら
れた精製ポリペプチドが、目的とするポリペプチドY5
4delであることが確認された(配列表の配列番号6
参照)。
【0067】実施例4.酵素阻害活性の測定 本発明の新規ポリペプチドの酵素阻害活性の測定は、お
のおのについて、以下のように行った。なお、コントロ
ールとして、ポリペプチドAN68もしくはUTI(持
田製薬株式会社製;大西等、日本薬理学雑誌、85巻、
1−6頁、1985年)を使用した。また、活性測定に
用いたポリペプチド溶液のポリペプチドの濃度は、UT
Iを標準品として下記(1)の方法により測定したウシ
トリプシン阻害活性から算出し、U/mLで表示した。
酵素阻害活性測定の結果を表1および表2に示した。本
発明の新規ポリペプチドは、コントロールと比べて、酵
素阻害様式が変化したことが確認された。
【0068】(1)ウシトリプシン阻害活性 本発明の新規ポリペプチドを蒸留水100μlに溶解し
た後、0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミン
−塩酸緩衝液(pH7.8)で段階希釈し、阻害活性測
定に供した。カッセル(Kassell) の方法(Kassell B.
等、Methods in Enzymol.,19巻、844−852頁、
1970年)に準じ、合成基質S−2444(第一化学
薬品株式会社製)を基質として、本発明の新規ポリペプ
チドのウシトリプシン阻害活性を測定した。すなわち、
濃度が13600BAEEU/mlとなるように1mM
HClに溶解したウシトリプシン(Type XIII 、シグマ
社製)を0.1%BSA/0.2Mトリエタノールアミ
ン−塩酸緩衝液(pH7.8)を用いて希釈し、1.2
BAEEU/mlのウシトリプシン溶液とした。別に、
合成基質S−2444をその濃度が2mMとなるように
蒸留水に溶解し、基質溶液とした。前述のポリペプチド
溶液100μlとウシトリプシン溶液100μlとを混
合し、37℃、10分間静置した後、基質溶液50μl
を加え、37℃、15分間反応させた。50%酢酸50
μlを加えて反応を停止させた後、分光光度計を用いて
波長405nmにおける吸光度を測定した。なお、ここ
で用いた各溶液が吸光度におよぼす影響を差し引くた
め、ウシトリプシン溶液100μlに50%酢酸50μ
lを予め加えた後、ポリペプチド溶液100μlおよび
基質溶液50μlを加えた液をブランクとして使用し
た。
【0069】(2)ヒトトリプシン阻害活性 本発明の新規ポリペプチドを蒸留水100μlに溶解し
た。(1)の方法により測定したウシトリプシン阻害活
性から、このポリペプチド溶液のポリペプチドの濃度を
算出した。ついで0.03%BSA/0.2Mトリエタ
ノールアミン−塩酸緩衝液(pH7.8)を用いて、ポ
リペプチド溶液を種々の濃度に希釈し、阻害活性測定に
供した。濃度が1000SU/mlとなるように1mM
HClに溶解したヒトトリプシン(カルビオケム社製)
を0.03%BSA/0.2Mトリエタノールアミン−
塩酸緩衝液(pH7.8)を用いて希釈し、1.25S
U/mlのヒトトリプシン溶液を調製した。合成基質S
−2444(既出)を基質として、(1)と同様の方法
で、ヒトトリプシン阻害活性を測定した。
【0070】(3)ヒトエラスターゼ阻害活性 本発明の新規ポリペプチドを蒸留水100μlに溶解し
た。(1)の方法により測定したウシトリプシン阻害活
性から、このポリペプチド溶液のポリペプチドの濃度を
算出した。ついで、0.1%BSA/27mM CaC
2 /133mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で種
々の濃度に希釈し、阻害活性に供した。オガワ(Ogawa)
等の方法(Ogawa M.等、Res. Commun. Chem. Pathol. P
harmacol., 55 巻、271-274 頁、1987年)に準じ、合成
基質STANA(ペプチド研究所製)を基質として、本
発明の新規ポリペプチドのエラスターゼ阻害活性を測定
した。すなわち、濃度が100μg/mlになるように
27mM CaCl2 /133mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)にて溶解したヒト好中球エラスターゼ
(カルビオケム社製)を、さらに、0.1%BSA/2
7mM CaCl2 /133mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.5)にて希釈し、4μg/mlのエラスターゼ溶
液を調製した。別に、合成基質STANAをN−メチル
−2−ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone)で100m
Mになるように溶解し、さらに、0.1%BSA/27
mM CaCl2 /133mMトリス塩酸緩衝液(pH
7.5)で希釈して20mMの基質溶液とした。前述の
ポリペプチド溶液50μl、エラスターゼ溶液50μ
l、および0.1%BSA/27mM CaCl2 /1
33mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)50μlを混
合し、37℃、10分間静置した。次いで基質溶液50
μlを加え、37℃にて20分間反応させた。50%酢
酸50μlを加えて反応を停止させた後、分光光度計を
用いて、波長405nmにおける吸光度を測定した。な
お、ここで用いた各溶液の吸光度への影響を差し引くた
め、エラスターゼ溶液50μlに50%酢酸50μlを
予め加えた後、ポリペプチド溶液50μl、0.1%B
SA/27mM CaCl2 /133mMトリス塩酸緩
衝液(pH7.5)50μl、基質溶液50μlを加え
た液をブランクとして使用した。
【0071】(4)ヒトプラスミン阻害活性 本発明の新規ポリペプチドを蒸留水100μlに溶解し
た。(1)の方法により測定したウシトリプシン阻害活
性から、このポリペプチド溶液のポリペプチドの濃度を
算出した。ついで、0.11M NaCl/50mMト
リス塩酸緩衝液(pH7.4)を用いてポリペプチド溶
液を種々の濃度に希釈し、阻害活性測定に供した。フリ
バーガー(Friberger) 等の方法(Friberger P. 等、 Hae
mostasis、7巻、138−145頁、1978年) に準
じ、合成基質S−2251(第一化学薬品株式会社製)
を基質とし、本発明の新規ポリペプチドのヒトプラスミ
ン阻害活性を以下のように測定した。すなわち、濃度が
1U/mlとなるように生理食塩水に溶解したヒト血漿
プラスミン(シグマ社製)を、50%グリセロール/2
mM HClを用いて希釈し、0.1U/mlのヒトプ
ラスミン溶液とした。別に、合成基質S−2251をそ
の濃度が3.5mMとなるように蒸留水に溶解し、基質
溶液とした。ついでポリペプチド溶液50μlと、ヒト
プラスミン溶液50μl、および0.11M NaCl
/50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)100μl
とを混合し、37℃、10分間静置した。ついで、基質
溶液50μlを加え、37℃、2分間反応させた。50
%酢酸25μlを加えて反応を停止させた後、分光光度
計を用いて、波長405nmにおける吸光度を測定し
た。 なお、ここで用いた各溶液が吸光度におよぼす影
響を差し引くため、プラスミン溶液50μlに、50%
酢酸25μlを予め加えた後、ポリペプチド溶液50μ
l、0.11M NaCl/50mMトリス塩酸緩衝液
(pH7.4)100μlおよび基質溶液50μlを加
えた液をブランクとして使用した。
【0072】(5)ヒト血漿カリクレイン阻害活性 本発明の新規ポリペプチドを蒸留水100μlに溶解し
た。この溶液のポリペプチドの濃度を(1)の方法によ
り測定したウシトリプシン阻害活性から算出した。つい
で、0.1%BSA/150mM NaCl/50mM
トリス塩酸緩衝液(pH8.3)を用いて、ポリペプチ
ド溶液を種々の濃度に希釈し、阻害活性測定に供した。
オーノ(Ohno)等の方法(Ohno H. 等、Thromb. Re
s.19巻、579−588頁、1980年)に準じ、合
成基質S−2302(第一化学薬品株式会社製)を基質
とし、本発明の新規ポリペプチドのヒト血漿カリクレイ
ン阻害活性を、以下のように測定した。すなわち、0.
26U/mlのヒト血漿カリクレイン溶液(シグマ社
製)を0.1%BSA/150mM NaCl/50m
Mトリス塩酸緩衝液(pH8.3)を用いて希釈し、
0.08U/mlの血漿カリクレイン溶液とした。別
に、合成基質S−2302をその濃度が4mMとなるよ
うに蒸留水に溶解し、さらに0.1%BSA/150m
M NaCl/50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
3)を用いて希釈し、2mMの基質溶液とした。前述の
ポリペプチド溶液25μl、0.1%BSA/150m
M NaCl/50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.
3)75μlおよびヒト血漿カリクレイン溶液50μl
を混合し、37℃、10分間静置した。ついで、基質溶
液50μlを加え、37℃、8分間反応させた。50%
酢酸25μlを加えて反応を停止させた後、分光光度計
を用いて、波長405nmにおける吸光度を測定した。
なお、ここで用いた各溶液の吸光度におよぼす影響を差
し引くためにカリクレイン溶液50μlに、50%酢酸
25μlを予め加えた後、ポリペプチド溶液25μl、
0.1%BSA/150mM NaCl/50mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH8.3)75μl、基質溶液50μ
lを加えた液をブランクとして使用した。
【0073】(6)ヒトFXaに対する阻害活性 本発明の新規ポリペプチドを蒸留水100μlに溶解し
た。(1)の方法により測定したウシトリプシン阻害活
性から、この溶液のポリペプチド濃度を算出した。つい
で、0.1%BSA/150mM NaCl/5mM
CaCl2 /50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)
を用いて、ポリペプチド溶液を各種濃度に希釈し、阻害
活性測定に供した。オーノ(Ohno)等の方法(Ohno
H.等、Thromb. Res.,19巻、579−588、19
90年)に準じ、合成基質S−2222(第一化学薬品
株式会社製)を用いて、本発明の新規ポリペプチドのF
Xa阻害活性を以下のように測定した。すなわち、濃度
が10PEU/mlとなるように蒸留水に溶解したヒト
FXa(アメリカンダイアグノスティカ社製)を、0.
1%BSA/150mM NaCl/5mM CaCl
2 /50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)を用いて
希釈し、0.1PEU/mlのFXa溶液とした。別
に、合成基質S−2222を、その濃度が4mMとなる
ように蒸留水に溶解し、さらに0.1%BSA/150
mM NaCl/5mM CaCl2 /50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.3)を用いて希釈し、2mMの基
質溶液とした。前述のポリペプチド溶液25μl、0.
1%BSA/150mM NaCl/5mM CaCl
2 /50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.3)100μ
lおよびFXa溶液25μlを混合し、37℃、10分
間静置した。ついで、基質溶液100μlを加え、37
℃、30分間反応させた。50%酢酸50μlを加えて
反応を停止させた後、分光光度計を用いて、波長405
nmにおける吸光度を測定した。なお、ここで用いた各
溶液が吸光度におよぼす影響を差し引くためにFXa溶
液25μlに、50%酢酸50μlを予め加えた後、ポ
リペプチド溶液25μl、0.1%BSA/150mM
NaCl/5mMCaCl2 /50mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.3)100μlおよび基質溶液100μ
lを加えた液をブランクとして使用した。
【0074】 表1 ヒトFXaに対する阻害活性 ──────────────────────────── ポリペプチド ヒトFXa阻害活性 (抑制率* ) ──────────────────────────── UTI −(0%) V26del(AN68) +(40%) Y54del(AN68) +(19%) ──────────────────────────── *:各ポリペプチドの濃度20U/mlにおける阻害率を示す。
【0075】 表2 酵素阻害様式の変化** ─────────────────────────────── ヒトプラスミン ヒトFXa ─────────────────────────────── V26del>AN68 V26del>AN68 ─────────────────────────────── **:ヒトトリプシン50%阻害濃度を1として、各酵素50% 阻害濃度を求め、その逆数値を比較した。
【0076】実施例5.安全性 実施例1(3)の方法に準じて大腸菌株JE5505
(pM704A)および大腸菌株JE5505(pM7
05A)を培養して得た培養上清を、実施例1(4)の
方法に準じて精製した後、減圧乾固し、精製ポリペプチ
ドを得た。得られたこれらの精製ポリペプチドを、おの
おの、生理食塩水に溶解し、分画分子量20000のパ
イロザルトユニット(ザルトリウス社製)を用いてリポ
ポリサッカライド(以後LPSと略す)を除去し、以下
の実験に供した。1週間予備飼育した雄性および雌性の
Wistar系ラットを1群10匹として群分けした。
各精製ポリペプチドの投与量が100mg/kg/日と
なるようにポリペプチド溶液を静脈内投与したラットを
ポリペプチド投与群とし、1週間にわたって症状と体重
変化を観察した。また、生理食塩水を投与した同数の動
物を対照群とした。その結果、いずれのポリペプチド投
与群においても、顕著な副作用は認められず、その生存
率および体重変化は対照群のそれと同程度であった。
【0077】実施例6.製剤の作成 実施例1(3)の方法に準じて大腸菌株JE5505
(pM704A)および大腸菌株JE5505(pM7
05A)を培養して得た培養上清を実施例1(4)の方
法に準じて精製した後、減圧乾固し、精製ポリペプチド
を得た。得られたこれらの精製ポリペプチドを、おのお
の、生理食塩水に溶解し、分画分子量20000のパイ
ロザルトユニット(既出)を用いてLPSを除去した
後、減圧乾固し、下記(1)および(2)に従って製剤
とした。
【0078】(1)注射用蒸留水を用いて調製した発熱
性物質不含ゼラチン0.1%(w/v)を含む1/15
Mリン酸緩衝液(pH7.4)に精製ポリペプチドを溶
解し、最終濃度2mg/mlのポリペプチド溶液とし
た。NaClをその最終濃度が75mMとなるように、
また、マンニトールをその最終濃度が2%(w/v)と
なるように、おのおの、ポリペプチド溶液に加え、滅菌
した孔径0.22μmのメンブランフィルター(ディス
ポーザブル・ステライル・フィルターシステム、コーニ
ング社製)を用いて濾過滅菌した後、ガラス容器に5m
lずつ分注した。
【0079】(2)注射用蒸留水を用いて調製した0.
14MNaCl含有0.01Mリン酸緩衝液(pH7.
4)に精製ポリペプチドを溶解し、最終濃度2mg/m
lのポリペプチド溶液とした。ヒト血清アルブミンを最
終濃度が1%(w/v)となるように、おのおの、ポリ
ペプチド溶液に加え、滅菌した孔径0.22μmのメン
ブランフィルター(ディスポーザブブル・ステライル・
フィルターシステム、既出)を用いて濾過滅菌した後、
ガラス容器に5mlずつ分注し、無菌状態で凍結乾燥し
て、密封した。
【0080】
【発明の効果】本発明により、新規ポリペプチドおよび
その製造方法が提供される。また、本発明により、上記
新規ポリペプチドをコードするDNA、該DNAの配列
を含むことを特徴とするベクターおよび該DNAまたは
該ベクターによって形質転換された形質転換体が提供さ
れる。さらに、本発明により、上記ポリペプチドを有効
成分として含有する新規医薬組成物および上記ポリペプ
チドを用いることを特徴とする新規酵素阻害方法が提供
される。本発明の新規ポリペプチドは、プロテアーゼが
関与する各種疾患の予防や治療を目的とした医薬品の開
発に新しい道を開くものである。
【配列表】
【0081】配列番号:1 配列の長さ:307 配列の型:核酸 配列の種類:他の核酸 起源 生物名:大腸菌 株 名:JE5505(pM594) 配列 AAGCTTAAAA AAGGGTATAA AATAAA ATG AAA CAA AGT ACT ATT GCA CTG 50 Met Lys Gln Ser Thr Ile Ala Leu -20 -15 GCA CTC TTA CCG TTA CTG TTT ACC CCT GTG ACA AAG GCC GCG GCC 95 Ala Leu Leu Pro Leu Leu Phe Thr Pro Val Thr Lys Ala Ala Ala -10 - 5 1 TGT AAT CTA CCA ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG 140 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln 5 10 15 CTC TGG GCA TTT GAT GCT GTC AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC 185 Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro 20 25 30 TAC GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG 230 Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys 35 40 45 GAG TGC AGA GAG TAC TGC GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG 275 Glu Cys Arg Glu Tyr Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu 50 55 60 CTG CTG CGC TTC TCC AAC TGACAACTGG ATCC 307 Leu Leu Arg Phe Ser Asn 65 68
【0082】配列番号:2 配列の長さ:68 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 Ala Ala Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe 1 5 10 15 Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu 20 25 30 Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser 35 40 45 Glu Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp 50 55 60 Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn 65 68
【0083】配列番号:3 配列の長さ:304 配列の型:核酸 配列の種類:他の核酸 起源 生物名:大腸菌 株 名:JE5505(pM704A) 配列 AAGCTTAAAA AAGGGTATAA AATAAA ATG AAA CAA AGT ACT ATT GCA CTG 50 Met Lys Gln Ser Thr Ile Ala Leu -20 -15 GCA CTC TTA CCG TTA CTG TTT ACC CCT GTG ACA AAG GCC GCG GCC 95 Ala Leu Leu Pro Leu Leu Phe Thr Pro Val Thr Lys Ala Ala Ala -10 - 5 1 TGT AAT CTA CCA ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG 140 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln 5 10 15 CTC TGG GCA TTT GAT GCT AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC TAC 185 Leu Trp Ala Phe Asp Ala Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr 20 25 30 GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG GAG 230 Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu 35 40 45 TGC AGA GAG TAC TGC GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG 275 Cys Arg Glu Tyr Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu 50 55 60 CTG CGC TTC TCC AAC TGACAACTGG ATCC 304 Leu Arg Phe Ser Asn 65 68
【0084】配列番号:4 配列の長さ:67 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 Ala Ala Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe 1 5 10 15 Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe 20 25 30 Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Tyr 35 40 45 Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu 50 55 60 Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn 65 67
【0085】配列番号:5 配列の長さ:304 配列の型:核酸 配列の種類:他の核酸 起源 生物名:大腸菌 株 名:JE5505(pM705A) 配列 AAGCTTAAAA AAGGGTATAA AATAAA ATG AAA CAA AGT ACT ATT GCA CTG 50 Met Lys Gln Ser Thr Ile Ala Leu -20 -15 GCA CTC TTA CCG TTA CTG TTT ACC CCT GTG ACA AAG GCC GCG GCC 95 Ala Leu Leu Pro Leu Leu Phe Thr Pro Val Thr Lys Ala Ala Ala -10 - 5 1 TGT AAT CTA CCA ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG 140 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln 5 10 15 CTC TGG GCA TTT GAT GCT GTC AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC 185 Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro 20 25 30 TAC GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG 230 Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys 35 40 45 GAG TGC AGA GAG TGC GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG 275 Glu Cys Arg Glu Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu 50 55 60 CTG CGC TTC TCC AAC TGACAACTGG ATCC 304 Leu Arg Phe Ser Asn 65 67
【0086】配列番号:6 配列の長さ:67 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 配列 Ala Ala Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe 1 5 10 15 Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu 20 25 30 Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser 35 40 45 Glu Lys Glu Cys Arg Glu Cys Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu 50 55 60 Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn 65 67
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpM552を示す図。
【図2】HindIII プライマーの塩基配列を示す図。
【図3】AN68プライマーの塩基配列を示す図。
【図4】pBRBamHIプライマーの塩基配列を示す
図。
【図5】プラスミドpM594の構築方法を示す図。
【図6】プラスミドpM594のHindIII 消化部位
からBamHI消化部位までの塩基配列および対応する
アミノ酸配列を示す図。
【図7】V26delプライマーの塩基配列を示す図。
【図8】プラスミドpM704AおよびプラスミドpM
705Aの構築方法を示す図。
【図9】プラスミドpM704AのHindIII 消化部
位からBamHI消化部位までの塩基配列および対応す
るアミノ酸配列を示す図。
【図10】Y54delプライマーの塩基配列を示す
図。
【図11】プラスミドpM705AのHindIII 消化
部位からBamHI消化部位までの塩基配列および対応
するアミノ酸配列を示す図。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式1のアミノ酸配列から1つ以上のア
    ミノ酸が欠失してなるアミノ酸配列を有することを特徴
    とする新規ポリペプチド。 式1 Cys Asn Leu Pro Ile Val Arg Gly Pro Cys Arg Ala Phe Ile Gln Leu Trp Ala Phe Asp Ala Val Lys Gly Lys Cys Val Leu Phe Pro Tyr Gly Gly Cys Gln Gly Asn Gly Asn Lys Phe Tyr Ser Glu Lys Glu Cys Arg Glu Tyr Cys
  2. 【請求項2】前記アミノ酸の欠失が、下記(1)ないし
    (5)より選ばれる、いずれか、1箇所以上の部位で1
    つ以上生じている請求項1に記載の新規ポリペプチド。 (1)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて2番
    目のAsn から9番目のPro までの間。 (2)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて11
    番目のArg から25番目のLys までの間。 (3)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて27
    番目のVal から33番目のGly までの間。 (4)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて35
    番目のGln から46番目のGlu までの間。 (5)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて48
    番目のArg から50番目のTyr までの間。
  3. 【請求項3】少なくとも、下記(1)または(2)より
    選ばれる、いずれか、1つ以上のアミノ酸が、前記式1
    から欠失してなるアミノ酸配列を有する請求項1または
    2、いずれか、に記載の新規ポリペプチド。 (1)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて22
    番目のVal 。 (2)前記式1のアミノ酸配列のN末端より数えて50
    番目のTyr 。
  4. 【請求項4】前記式1のアミノ酸配列から1つ以上の前
    記アミノ酸が欠失したアミノ酸配列のN末端に下記
    (1)ないし(5)より選ばれるアミノ酸配列が付加さ
    れたアミノ酸配列を有する請求項1ないし3、いずれ
    か、に記載の新規ポリペプチド。 (1) Asp Asp Ala Ala (2) Thr Val Ala Ala (3) Val Ala Ala (4) Ala Ala (5) Ala
  5. 【請求項5】前記式1のアミノ酸配列から1つ以上の前
    記アミノ酸が欠失したアミノ酸配列のC末端に下記
    (6)ないし(20)より選ばれるアミノ酸配列が追加さ
    れたアミノ酸配列を有する請求項1ないし4、いずれ
    か、に記載の新規ポリペプチド。 (6)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser Asn (7)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe Ser (8)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg Phe (9)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu Arg (10)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu Leu (11)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu Leu (12)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu Glu (13)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp Glu (14)Gly Val Pro Gly Asp Gly Asp (15)Gly Val Pro Gly Asp Gly (16)Gly Val Pro Gly Asp (17)Gly Val Pro Gly (18)Gly Val Pro (19)Gly Val (20)Gly
  6. 【請求項6】ポリペプチドが、少なくとも、プロテアー
    ゼに対する阻害活性を有する請求項1ないし5、いずれ
    か、に記載の新規ポリペプチド。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6、いずれか、に記載の新
    規ポリペプチドをコードする塩基配列を有することを特
    徴とする新規DNA。
  8. 【請求項8】下記式2に記載の塩基配列から1つ以上の
    塩基を欠失させてなる塩基配列を有する請求項7に記載
    の新規DNA。 式2 TGT AAT CTA CCA ATA GTC CGG GGC CCC TGC CGA GCC TTC ATC CAG CTC TGG GCA TTT GAT GCT GTC AAG GGG AAG TGC GTC CTC TTC CCC TAC GGG GGC TGC CAG GGC AAC GGG AAC AAG TTC TAC TCA GAG AAG GAG TGC AGA GAG TAC TGC
  9. 【請求項9】前記塩基の欠失が下記(1)ないし(5)
    より選ばれる、いずれか、1箇所以上で1つ以上生じて
    いる請求項7または8、いずれか、に記載の新規DN
    A。 (1)前記式2の塩基配列の5’末端より数えて4番目
    のA から27番目のC までの間 (2)前記式2の塩基配列の5’末端より数えて31番
    目のC から75番目のGまでの間 (3)前記式2の塩基配列の5’末端より数えて79番
    目のG から99番目のCまでの間 (4)前記式2のアミノ酸配列のN末端より数えて10
    3番目のC から138番目のG までの間 (5)前記式2のアミノ酸配列のN末端より数えて14
    2番目のA から150番目のC までの間
  10. 【請求項10】少なくとも下記(1)または(2)より
    選ばれる、いずれか、1組以上の塩基が前記式2から欠
    失してなる塩基配列を有する請求項7ないし9、いずれ
    か、に記載の新規DNA。 (1)前記式1の塩基配列の5’末端より数えて64か
    ら66番目のG 、T 、C (2)前記式1の塩基配列の5’末端より数えて148
    から150番目のT 、A、C
  11. 【請求項11】前記式2の塩基配列から1つ以上の前記
    塩基を欠失させてなる塩基配列の5’末端に下記(1)
    ないし(5)より選ばれる、いずれか、の塩基配列が追
    加された塩基配列を有する請求項7ないし10、いずれ
    か、に記載の新規DNA。 (1) GAC GAC GCC GCC (2) ACC GTC GCC GCC (3) GTC GCC GCC (4) GCC GCC (5) GCC
  12. 【請求項12】前記式2の塩基配列から1つ以上の前記
    塩基を欠失させてなる塩基配列の3’末端に下記(6)
    ないし(20)より選ばれる、いずれか、の塩基配列が追
    加された塩基配列を有することを特徴とする請求項7な
    いし11、いずれか、に記載の新規DNA。 (6) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC TCC AAC (7) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC TCC (8) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC TTC (9) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG CGC (10) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG CTG (11) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG CTG (12) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG GAG (13) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT GAG (14) GGT GTC CCT GGT GAT GGT GAT (15) GGT GTC CCT GGT GAT GGT (16) GGT GTC CCT GGT GAT (17) GGT GTC CCT GGT (18) GGT GTC CCT (19) GGT GTC (20) GGT
  13. 【請求項13】請求項7ないし12、いずれか、に記載
    のDNAを含むことを特徴とするベクター。
  14. 【請求項14】請求項7ないし12、いずれか、に記載
    のDNAによって形質転換されたことを特徴とする形質
    転換体。
  15. 【請求項15】請求項13に記載のベクターによって形
    質転換されたことを特徴とする形質転換体。
  16. 【請求項16】下記a)〜c)の工程を行うことを特徴
    とする請求項1ないし6、いずれか、に記載の新規ポリ
    ペプチドの製造方法。 a)請求項1ないし6、いずれか、に記載の新規ポリペ
    プチドをコードする塩基配列を有するDNAを得る。 b)a)で得たDNAで宿主細胞を形質転換させて形質
    転換体を得る。 c)b)で得た形質転換体を培養して請求項1ないし
    6、いずれか、に記載の新規ポリペプチドを産生させ、
    当該ポリペプチドを培養混合物から回収する。
  17. 【請求項17】下記a)〜d)の工程を行うことを特徴
    とする請求項1ないし6、いずれか、に記載の新規ポリ
    ペプチドの製造方法。 a)請求項1ないし6、いずれか、に記載の新規ポリペ
    プチドをコードする塩基配列を有するDNAを得る。 b)a)で得たDNAを含むベクターを得る。 c)b)で得たベクターで宿主細胞を形質転換させて形
    質転換体を得る。 d)c)で得た形質転換体を培養して請求項1ないし
    6、いずれか、に記載の新規ポリペプチドを産生させ、
    当該ポリペプチドを培養混合物から回収する。
  18. 【請求項18】請求項1ないし6、いずれか、に記載の
    新規ポリペプチドを有効成分として含有することを特徴
    とする医薬組成物。
  19. 【請求項19】前記医薬組成物が手術侵襲、多臓器不
    全、ショック、膵炎、播種性血管内凝固症候群、虚血性
    心疾患、腎炎、肝硬変、血行再建術時の再閉塞、血管透
    過性の昂進による浮腫、成人呼吸困難症候群、慢性関節
    リウマチ、関節炎およびアレルギーのうち、少なくと
    も、1つ以上の疾患の予防および/または治療に使用さ
    れる請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 【請求項20】請求項1ないし6、いずれか、に記載の
    新規ポリペプチドを用いることを特徴とする酵素阻害方
    法。
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