JPH1151121A - フライホイールおよびその製造方法 - Google Patents
フライホイールおよびその製造方法Info
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Abstract
に、製造コストを低減させたフライホイールを提供す
る。 【解決手段】 フライホイール10が機械構造用炭素鋼
から鍛造加工により一体成形されることから、取付部1
1の引っ張り強度が向上して薄肉化が図れるようになる
ため、フライホイール10の全重量に対するフライホイ
ール外周部(ギヤ部16)の重量比が大きくなり、フラ
イホイール10の慣性モーメントが大きくなる。また、
切削加工によりギヤ部16に多数の噛合歯18を設ける
場合と比べて、鍛造加工では金属組織が連続的に繋がっ
ているため強度が向上するとともに、多数の噛合歯18
は軸方向の一端部において互いに連結されているため、
焼入れなどに拘らず十分な靱性が得られるようになって
機械的強度が一層向上し、高速回転に対しても十分な耐
性が得られる。更に、一体成形を行うことにより工程数
が減少することから、製造コストが低減される。
Description
り、特に、外周部にリングギヤが設けられているフライ
ホイールの改良に関するものである。
自動車などに多用されているが、このようなエンジンは
爆発に伴って周期的な回転変動(トルク変動)を生じる
ことが避けられず、この回転変動を抑制するためにクラ
ンク軸などにフライホイールが取り付けられるのが普通
である。エンジン以外でも、周期的な回転変動を生じる
回転部材には、その回転変動を抑制するためにフライホ
イールが用いられる。
されるように一般にホブ切りやピニオンカッタなどによ
る切削加工で外周部に多数の歯が設けられた機械構造用
炭素鋼、例えばS48Cから成るリングギヤに、中心部
にクランク軸を取り付けるための取付部が設けられたね
ずみ鋳鉄、例えばFC230から成る本体が、圧入や焼
き嵌め等により一体的に固設されることにより構成され
ていた。リングギヤには、エンジンを始動する際にクラ
ンク軸を回転駆動するスタータ用モータのピニオンが噛
み合わされるようになっている。
ライホイールは、本体がねずみ鋳鉄から成ることから取
付部の引っ張り強度が不充分で、強度不足を補うために
取付部を厚くする必要があり、その結果、本体の重量が
増大しフライホイールの全重量に対するフライホイール
外周部の重量比が小さくなることから、フライホイール
の慣性モーメントが低下し、クランク軸の回転変動が大
きくなって燃費が低下するなどの不都合があった。ま
た、フライホイールがリングギヤと本体の2つの部品か
ら構成されることから、工程数が多くなって製造コスト
低減に限界があった。更に、エンジンの性能向上に伴っ
てより高速回転での耐性がリングギヤに求められるが、
焼入れなどに起因して必ずしも十分な機械的強度(靱性
など)が得られないという問題があった。
されたものであり、その目的とするところは、本体およ
びリングギヤの強度を向上させると共に、製造コストを
低減させたフライホイールを提供することにある。
に、第1発明は、(a) 略円板形状を成しているととも
に、外周部にリングギヤが設けられ、且つ一方の端面に
摩擦面が設けられているフライホイールであって、(b)
機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を主体とする加工が
施されることにより前記リングギヤを構成するギヤ部を
含めて一体成形されていることを特徴とする。
おいて、前記ギヤ部は、軸方向に押出鍛造されることに
より多数の噛合歯が形成されているとともに、それら多
数の噛合歯は軸方向の一端部において互いに連結されて
いることを特徴とする。
ホイールにおいて、前記摩擦面には、前記鍛造加工後に
ショットピーニング加工が施されて多数の微小凹部が設
けられていることを特徴とする。
おいて、前記ショットピーニング加工に先立って、焼入
れ硬化処理が施されていることを特徴とする。
とともに、外周部にリングギヤが設けられ、且つ一方の
端面に摩擦面が設けられているフライホイールの製造方
法であって、(b) 機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を
施して、前記リングギヤを構成するギヤ部および前記摩
擦面を有する略円板形状の中間品を一体成形する鍛造工
程と、(c) 前記中間品の摩擦面に所定の焼入れ硬化処理
を施す焼入れ工程と、(d) その焼入れ硬化処理が施され
た摩擦面に所定のショットピーニング加工を施して多数
の微小凹部を形成するショットピーニング工程とを有す
ることを特徴とする。
械構造用炭素鋼から鍛造加工により一体成形されること
から、取付部の引っ張り強度が向上して薄肉化が図れる
ようになるため、フライホイールの全重量に対するフラ
イホイール外周部の重量比を大きくでき、フライホイー
ルの慣性モーメントが大きくなる。また、切削加工によ
りリングギヤに多数の歯を設ける場合と比べて、鍛造加
工では金属組織が連続的に繋がっているため強度が向上
するとともに、このように鍛造加工によってリングギヤ
(ギヤ部)を形成する場合、第2発明のように多数の噛
合歯は軸方向の一端部において互いに連結されているの
が普通であるため、焼入れなどに拘らず十分な靱性が得
られるようになって機械的強度が一層向上し、高速回転
に対しても十分な耐性が得られる。更に、一体成形を行
うことにより工程数が減少するため、製造コストが低減
される。
トピーニング加工が施されることによって多数の微小凹
部(ミクロホール)が設けられているため、摩擦面に押
圧されるクラッチディスク等の摩擦材との間に空気層が
形成され、高温時の摩擦係数の上昇が抑制されて摩擦面
の磨耗による寿命低下などが防止される。すなわち、摩
擦材とのすべり摩擦によってフライホイールの摩擦面は
高温になるが、従来の鋳鉄品の場合、成分として含有す
るグラファイトが溶け出して潤滑作用を行うことによ
り、高温になっても摩擦係数の上昇が少なく、磨耗が起
こり難いが、機械構造用炭素鋼で構成した本発明品の場
合、そのままでは温度上昇に伴って摩擦係数が上昇して
しまうのである。
続が急になるため、例えば車両用フライホイールの場
合、以下のような問題が生じる。 (a) クラッチ操作が難しくなってエンジンが停止し易く
なる。 (b) ミッション等の伝達系に発生する衝撃的負荷トルク
が大きくなり、寿命低下の原因になる。 (c) 低回転で激しく振動するジャダー現象が起こり易く
なる。 (d) 磨耗が激しくなり、クラッチディスク(摩擦材)の
寿命が低下する。
擦面が磨耗して表面粗さが小さくなると、空気層が小さ
くなって摩擦係数が高くなる。また、熱が発生すること
で、クラッチディスクの材料が熱分解して柔らかくなる
とともに摩擦力が大きくなり、摩擦係数が更に上昇す
る。このため、第4発明のように、ショットピーニング
加工に先立って焼入れ硬化処理を施し、表面硬さを例え
ばHRC45〜47程度まで硬化させておくことが望ま
しく、これにより従来の鋳鉄品と同程度の耐久性(寿
命)を確保することができる。
れば、第1発明、第3発明、第4発明と同様の効果が得
られる。
ランク軸などに同軸に取り付けられ、略円板形状を成し
ているとともに外周部に外歯のリングギヤが設けられて
いる車両用フライホイールに好適に適用されるが、他の
回転部材に取り付けられるフライホイールにも適用され
得る。車両用フライホイールにおいては、リングギヤ
(ギヤ部)にスタータの駆動ピニオンが噛み合わされて
エンジン始動時に回転駆動される。
鍛造や冷間鍛造が適宜用いられ、1段または2段以上の
複数段の鍛造工程を経てギヤ部および摩擦面を有するフ
ライホイールが一体成形される。ギヤ部の噛合歯は、冷
間押出鍛造によって好適に成形される。また、鍛造加工
後に、仕上げ切削加工を行ったり焼入れ硬化処理を行っ
たりしても良い。摩擦面には、第3発明のようにショッ
トピーニング加工を施して微小凹部を設けることが望ま
しい。
=Wide Peaning Cleaning)は、例えば材料となる機械構
造用炭素鋼と同等以上の硬度を有するφ40〜200μ
m程度のショット(鋼粒など)を圧縮空気又は遠心力な
どにより100m/sec程度の速度で、フライホイー
ルの表面にたたきつけて、その表面に10〜20μm程
度の深さの硬化層および多数のミクロホールを形成する
ものである。尚、ミクロホールの深さは、硬化層を貫通
しない数μmの深さとなる。
加熱等による高周波焼入れが好適に用いられ、ショット
ピーニング加工に先立って摩擦面の表面の硬度を、例え
ばHRC45〜47とするものである。
詳細に説明する。図1および図2は、本発明の一実施例
である車両用のフライホイール10の縦断面図および正
面図で、図1の縦断面図は図2におけるI−I断面に相
当する図である。フライホイール10は略円板形状を成
しており、取付部11に設けられた複数(図では6個)
の取付穴12を介してボルト等により図示しないエンジ
ンのクランク軸に同心に一体的に固定される。このフラ
イホイール10において、本体部14の中央部分に設け
られる取付部11は比較的薄肉であるが、本体部14の
外周部分に軸方向へ突き出すように本体部14に一体に
設けられるギヤ部16は厚肉とされている。ギヤ部16
には外歯のリングギヤが一体に設けられており、厚肉の
突出部分における先端側、すなわち図1における右側の
略半分程度の範囲に、外周面に開口する多数の溝17が
周方向に一定間隔で形成されることにより、軸心と平行
に多数の噛合歯18が設けられている。
分が厚肉であるため、慣性モーメントの重量効率が良
く、限られた径寸法の中で大きな慣性モーメントを得る
ことができる。また、フライホイール10の本体部14
には、図示しないクラッチディスクが押圧される円環状
の平坦な摩擦面19が、ギヤ部16と反対側に軸方向へ
僅かに突き出すように本体部14と一体に設けられてい
る。摩擦面19は、軸心と直角な一平面内に形成されて
いる。
に分けて図3に示される3つの工程から成る。第1工程
では熱間鍛造加工が行われる。すなわち、図4に示され
るようにフライホイール10の摩擦面19側の形状に略
対応する成形面を有する上型20と、その反対側の形状
に略対応する成形面を有する下型22との間に機械構造
用炭素鋼24、例えばS35Cなどが投入されて上下方
向からプレスされることにより、フライホイール10の
第1予備加工品26が成形される。第1予備加工品26
はフライホイール10と略同じ形状を有するが、ギヤ部
16の噛合歯18は存在せず、第1予備加工品26の外
周部分には、フライホイール10の外径(=ギヤ部16
の外径)と略等しい外径で、軸方向寸法がフライホイー
ル10の外周部分(ギヤ部16)の軸方向寸法よりも少
し短い円筒部28が設けられているだけである。
われる。すなわち、図5に示されるように第1予備加工
品26が、第1予備加工品26の形状に略対応する成形
面を有する一対の上型31と下型32との間に保持され
た状態で、前記溝17と略同一形状の加工歯30が設け
られた歯形成用の下型34に対して相対的に軸方向に接
近させられることにより、前記円筒部28の外周部に溝
17が鍛造加工されて噛合歯18が形成される。加工歯
30によって押し除けられた余肉は、円筒部28の先端
側すなわち図5における下方側へ押し出され、これによ
り目的とする軸方向寸法のギヤ部16を有する第2予備
加工品38が成形される。
部11に複数(図では6個)の取付穴12がドリル等に
より切削加工されると共に、ギヤ部16の表面に高周波
焼入れが施される。また、このままでは摩擦面19の耐
久性が悪いため、表面改質処理が行われる。すなわち、
先ず摩擦面19に高周波焼入れが行われることにより、
摩擦面19がHRC45〜47程度の硬さに硬化させら
れる。次に、その摩擦面19にφ40〜200μmのシ
ョット(鋼粒など)を圧縮空気又は遠心力などにより1
00m/secでたたきつけるショットピーニング加工
が行われることにより、摩擦面19に図6(a) に示され
るような数μmの深さの多数のミクロホール42、及び
ミクロホール42よりも深い約20μmの深さの硬化層
が形成される。ミクロホール42は微小凹部に相当す
る。なお、硬化層の硬さは、例えばHRC70〜90程
度である。また、図6の(b) は従来のねずみ鋳鉄品の摩
擦面の断面形状を示す図である。
イール10が機械構造用炭素鋼24から鍛造加工により
一体成形されることから、取付部11の引っ張り強度が
向上して薄肉化が図れるようになるため、フライホイー
ル10の全重量に対するフライホイール外周部(ギヤ部
16)の重量比が大きくなり、フライホイール10の慣
性モーメントが大きくなる。これにより、クランク軸の
回転変動を小さくすることが可能となって燃費が向上す
る。また、切削加工によりギヤ部16に多数の噛合歯1
8を設ける場合と比べて、鍛造加工では金属組織が連続
的に繋がっているため強度が向上するとともに、多数の
噛合歯18は軸方向の一端部において互いに連結されて
いるため、焼入れなどに拘らず十分な靱性が得られるよ
うになって機械的強度が一層向上し、高速回転に対して
も十分な耐性が得られる。更に、一体成形を行うことに
より工程数が減少するため、製造コストが低減される。
面にショットピーニング加工が施されることによって多
数のミクロホール42が設けられているため、摩擦面1
9に押圧されるクラッチディスク等の摩擦材との間に空
気層が形成され、高温時の摩擦係数の上昇が抑制されて
摩擦面19の磨耗による寿命低下などが防止される。す
なわち、摩擦材とのすべり摩擦によってフライホイール
10の摩擦面19は高温になるが、従来の鋳鉄品の場
合、成分として含有するグラファイトが溶け出して潤滑
作用を行うことにより、高温になっても摩擦係数の上昇
が少なく、磨耗が起こり難いが、機械構造用炭素鋼24
で構成した本実施例品の場合、そのままでは温度上昇に
伴って摩擦係数が上昇してしまうのである。
ても、摩擦面19が磨耗して表面粗さが小さくなると、
空気層が小さくなって摩擦係数が高くなる。また、熱が
発生することで、クラッチディスクの材料が熱分解して
柔らかくなるとともに摩擦力が大きくなり、摩擦係数が
更に上昇する。このため、ショットピーニング加工に先
立って焼入れ硬化処理を施し、表面硬さを例えばHRC
45〜47程度まで硬化させることにより、従来の鋳鉄
品と同程度の耐久性(寿命)を確保している。
工程が請求項5に記載の鍛造工程で、第3工程において
摩擦面19に高周波焼入れを施す工程が焼入れ工程で、
第3工程において摩擦面19にショットピーニング加工
を施す工程がショットピーニング工程である。また、第
2予備加工品38は中間品に相当する。
詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適
用され得る。
ホイール10の摩擦面19にショットピーニング加工に
先立って高周波焼入れが行われていたが、ショットピー
ニング加工のみを行うようにしても差し支えない。
による高周波焼入れが行われていたが、その他種々の加
熱方法による焼入れ処理が行われ得る。
てその他種々の変更が加えられ得るものである。
ルの縦断面図で、図2におけるI−I断面に相当する図
である。
する図である。
で、(a) はショットピーニング加工を施した本発明品
で、(b) は従来のねずみ鋳鉄品の場合である。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 略円板形状を成しているとともに、外周
部にリングギヤが設けられ、且つ一方の端面に摩擦面が
設けられているフライホイールであって、 機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を主体とする加工が
施されることにより前記リングギヤを構成するギヤ部を
含めて一体成形されていることを特徴とするフライホイ
ール。 - 【請求項2】 前記ギヤ部は、軸方向に押出鍛造される
ことにより多数の噛合歯が形成されているとともに該多
数の噛合歯は軸方向の一端部において互いに連結されて
いることを特徴とする請求項1に記載のフライホイー
ル。 - 【請求項3】 前記摩擦面には、前記鍛造加工後にショ
ットピーニング加工が施されて多数の微小凹部が設けら
れていることを特徴とする請求項1または2に記載のフ
ライホイール。 - 【請求項4】 前記ショットピーニング加工に先立っ
て、焼入れ硬化処理が施されていることを特徴とする請
求項3に記載のフライホイール。 - 【請求項5】 略円板形状を成しているとともに、外周
部にリングギヤが設けられ、且つ一方の端面に摩擦面が
設けられているフライホイールの製造方法であって、 機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を施して、前記リン
グギヤを構成するギヤ部および前記摩擦面を有する略円
板形状の中間品を一体成形する鍛造工程と、 前記中間品の摩擦面に所定の焼入れ硬化処理を施す焼入
れ工程と、 該焼入れ硬化処理が施された摩擦面に所定のショットピ
ーニング加工を施して多数の微小凹部を形成するショッ
トピーニング工程とを有することを特徴とするフライホ
イールの製造方法。
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EP98933978A EP1000275B1 (en) | 1997-07-30 | 1998-07-28 | One-piece flywheel having outer ring gear portion, and process of manufacturing the same |
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EP (1) | EP1000275B1 (ja) |
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