JP2000213556A - プレッシャプレ―トおよびその製造方法 - Google Patents

プレッシャプレ―トおよびその製造方法

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JP2000213556A
JP2000213556A JP11017049A JP1704999A JP2000213556A JP 2000213556 A JP2000213556 A JP 2000213556A JP 11017049 A JP11017049 A JP 11017049A JP 1704999 A JP1704999 A JP 1704999A JP 2000213556 A JP2000213556 A JP 2000213556A
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pressure plate
shot peening
friction
clutch
shot
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JP11017049A
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Toshimasa Matsuoka
利昌 松岡
Yasuhiro Nagatani
泰弘 永谷
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Aisin Kiko Co Ltd
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Aisin Kiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦面の耐磨耗性を確保しつつプレッシャプ
レートの機械的強度を向上させて薄肉化を図り、摩擦ク
ラッチをコンパクトに構成できるようにするとともに、
プレッシャプレートを簡単、軽量、且つ安価に製造でき
るようにする。 【解決手段】 機械構造用炭素鋼の円柱状素材に熱間鍛
造加工を主体とする加工を施してプレッシャプレート4
0を製造することにより、機械的強度が向上するととも
に、精度出しのための仕上げ切削を削減できるなど、鋳
鉄品に比べて製造コストが低減される。摩擦面48は、
焼入れ硬化処理を施した後に第1ショットピーニング工
程で微小凹凸を形成するとともに、第2ショットピーニ
ング工程で微小凹凸の尖った凸部先端を丸くすることに
より、鋳鉄品と同程度の優れた耐磨耗性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は摩擦クラッチに係
り、特に、フライホイールとの間でクラッチディスクを
挟圧して摩擦係合させられるプレッシャプレートの改良
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平坦な摩擦面を有するプレッシャプレー
トがフライホイールとの間でクラッチディスクを挟圧し
て摩擦係合させられることにより動力伝達を行う摩擦ク
ラッチが、自動車の動力伝達経路等に設けられている。
図7は、自動車用の摩擦クラッチの一例を示す断面図
で、図8は主要部品の分解斜視図である。この摩擦クラ
ッチ10はダイヤフラムスプリング式で、図示しないエ
ンジンのクランクシャフトに連結されるフライホイール
12と、そのフライホイール12に一体的に固設される
クラッチカバー14と、フライホイール12とクラッチ
カバー14との間の空間内に配設されたプレッシャプレ
ート16と、フライホイール12とプレッシャプレート
16との間に相対回転可能に配設されるとともに変速機
の入力軸18にスプライン嵌合されるクラッチディスク
20と、プレッシャプレート16をフライホイール12
側へ押圧するダイヤフラムスプリング22とを備えてお
り、ダイヤフラムスプリング22の付勢力に従ってプレ
ッシャプレート16とフライホイール12との間でクラ
ッチディスク20が挟圧されて摩擦係合させられること
により、エンジン側から入力軸18側へ動力伝達が行わ
れる。
【0003】上記プレッシャプレート16は、中心に貫
通穴が形成された円板形状を成しているとともに、外周
側へ突き出す複数の外周凸部24を一体に備えていて、
ストラップリベット26により図示しないストラップを
介してクラッチカバー14に連結されることにより、フ
ライホイール12に対して接近離間可能且つ相対回転不
能とされている。また、クラッチディスク20と摩擦係
合させられる摩擦面28と反対側の端面には環状凸部3
0が設けられ、ダイヤフラムスプリング22の外端部が
リテーナ31によって係止されるようになっている。ダ
イヤフラムスプリング22は、一対のスラストリング3
2により中間部が位置決めされ、それ等のスラストリン
グ32はスラストリベット34によりクラッチカバー1
4に固定されている。そして、ダイヤフラムスプリング
22の内端部に当接させられたレリーズベアリング36
が、レリーズフォーク38によって図7の左方向へ押圧
されると、スラストリング32を支点としてダイヤフラ
ムスプリング22の外端部が右方向へ後退させられ、ク
ラッチディスク20の挟圧状態が解除されてエンジンと
変速機との間の動力伝達が遮断される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記プレッ
シャプレート16は、クラッチディスク20と摩擦係合
させられる摩擦面28の摩擦特性を確保するために鋳鉄
にて構成されているため、必要な機械的強度を得るため
に板厚(図7における左右方向の寸法)を大きくする必
要があり、クラッチカバー14の高さが高くなるなど全
体の構成が大型になる。また、プレッシャプレート16
は、前記外周凸部24や環状凸部30の他、スラストリ
ベット34やダイヤフラムスプリング22との干渉を避
けるために凹部や傾斜面などが設けられ、図8から明ら
かなように摩擦面28と反対側の面が複雑な形状を成し
ているため、鋳造後に必要な寸法精度を確保するために
多くの切削加工が必要で製造コストが高くなる。すなわ
ち、クラッチカバー内の限られたスペースでプレッシャ
プレートの強度を確保するために板厚を大きくすると、
各部の干渉を避けるために複雑な凹凸形状になってしま
うのである。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、摩擦面の摩擦特性を
確保しつつプレッシャプレートの機械的強度を向上させ
て薄肉化を図り、摩擦クラッチをコンパクトに構成でき
るようにするとともに、プレッシャプレートを簡単、軽
量、且つ安価に製造できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、第1発明は、クラッチディスクに押圧される平坦
な摩擦面を有し、フライホイールとの間でそのクラッチ
ディスクを挟圧して摩擦係合させられることにより動力
伝達を行う摩擦クラッチのプレッシャプレートであっ
て、機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を主体とする加
工が施されることによって全体形状が形成されていると
ともに、前記摩擦面にはその鍛造加工後にショットピー
ニング加工が施されて多数の微小凹凸が設けられている
ことを特徴とする。
【0007】第2発明は、第1発明のプレッシャプレー
トにおいて、前記摩擦面には、前記ショットピーニング
加工に先立って焼入れ硬化処理が施されていることを特
徴とする。
【0008】第3発明は、クラッチディスクに押圧され
る平坦な摩擦面を有し、フライホイールとの間でそのク
ラッチディスクを挟圧して摩擦係合させられることによ
り動力伝達を行う摩擦クラッチのプレッシャプレートの
製造方法であって、(a) 機械構造用炭素鋼の素材に鍛造
加工を施して全体形状が目的とするプレッシャプレート
と略等しい中間品を成形する鍛造工程と、(b) 前記中間
品のうち前記摩擦面となる端面に所定の焼入れ硬化処理
を施す焼入れ工程と、(c) その焼入れ硬化処理が施され
た前記端面に所定のショットピーニング加工を施して多
数の微小凹凸を形成するショットピーニング工程と、を
有することを特徴とする。
【0009】第4発明は、第3発明のプレッシャプレー
トの製造方法において、前記ショットピーニング工程
は、(a) 前記端面に所定の大きさのショットを叩き付け
て微小凹凸を形成する第1ショットピーニング工程と、
(b) その微小凹凸が形成された前記端面に、更に前記第
1ショットピーニング工程よりも小さなショットを叩き
付けることにより、その微小凹凸の尖った凸部先端を丸
める第2ショットピーニング工程とを有するものであ
る、ことを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】第1発明においては、機械構造用炭素鋼
の素材に鍛造加工を主体とする加工が施されることによ
ってプレッシャプレートが製造されるため、引張強度等
の機械的強度が向上して薄肉化を図ることが可能とな
り、摩擦クラッチをコンパクトに構成できるようにな
る。また、鍛造加工によって全体形状が形成されるた
め、鋳造に比べて高い寸法精度が得られ、精度出しのた
めの仕上げ切削が大幅に削減されるなど、鋳鉄品に比べ
てプレッシャプレートを簡単、軽量、且つ安価に製造で
きる。摩擦クラッチを従来と同程度の大きさで構成する
場合には、プレッシャプレートの薄肉化によりクラッチ
カバー内に余裕ができるため、強度的にはダイヤフラム
スプリング等の他部材との干渉を避けるために複雑な凹
凸形状を設けることが必ずしも必要でなく、プレッシャ
プレートをシンプルな平坦な形状にすることが可能で、
その場合は鍛造加工による成形性が向上して製造が一層
容易になる。
【0011】一方、摩擦面には鍛造加工後にショットピ
ーニング加工が施されて多数の微小凹凸が設けられてい
るため、クラッチディスクとの間に空気層が形成され、
温度の上昇が抑制されて高温になり難く摩擦係数が安定
的に保持され、摩擦面の磨耗による寿命低下などが防止
される。すなわち、クラッチディスクとのすべり摩擦に
よってプレッシャプレートの摩擦面は高温になるが、従
来の鋳鉄品の場合、成分として含有するグラファイトが
溶け出して潤滑作用を行うことにより、高温になっても
摩擦係数の上昇が少なく、磨耗が起こり難いが、機械構
造用炭素鋼で構成した本発明品の場合、そのままでは温
度上昇に伴って摩擦係数が上昇してしまうのである。
【0012】なお、摩擦面の摩擦係数が上昇すると、接
続が急になるため、例えば車両用の摩擦クラッチの場
合、以下のような問題が生じる。 (a) クラッチ操作が難しくなってエンジンが停止し易く
なる。 (b) ミッション等の伝達系に発生する衝撃的負荷トルク
が大きくなり、寿命低下の原因になる。 (c) 低回転で激しく振動するジャダー現象が起こり易く
なる。 (d) 磨耗が激しくなり、クラッチディスクの寿命が低下
する。
【0013】一方、このように微小凹凸を設けても、摩
擦面が磨耗して表面粗さが小さくなると、空気層が小さ
くなって摩擦係数が高くなる。また、熱が発生すること
で、クラッチディスクの材料が熱分解して柔らかくなる
とともに摩擦力が大きくなり、摩擦係数が更に上昇す
る。このため、第2発明のようにショットピーニング加
工に先立って焼入れ硬化処理を施し、表面硬さを例えば
HRC45〜47程度まで硬化させておくことが望まし
く、これにより従来の鋳鉄品と同程度の耐久性(寿命)
を確保することができる。
【0014】第3発明のプレッシャプレートの製造方法
によれば、実質的に第1発明および第2発明と同様の効
果が得られる。第1ショットピーニング工程で微小凹凸
を形成した後、第2ショットピーニング工程で更に小さ
なショットを叩き付けて微小凹凸の尖った凸部先端を丸
めるようにした第4発明では、微小凹凸の先端が丸めら
れているため耐磨耗性が一層向上する。すなわち、微小
凹凸の凸部先端が尖ったままだと、摩擦に対して比較的
脆くなり、磨耗が促進されるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】ここで、本発明は、フライホイー
ルがエンジンのクランク軸などに取り付けられ、大きな
トルクを伝達する車両用の摩擦クラッチに好適に適用さ
れるが、動力伝達を接続、遮断する他の摩擦クラッチに
も適用できる。フライホイールは回転エネルギーを蓄積
するもので、トルク変動を抑制する作用を有するが、必
ずしもトルク変動を伴う動力伝達系に使用する摩擦クラ
ッチに限定されるものではなく、フライホイールの慣性
モーメントは適宜定められる。本発明の実施に際して
は、フライホイールは、プレッシャプレートが接近離間
可能且つ相対回転不能に配設され、そのプレッシャプレ
ートとの間でクラッチディスクを挟圧する回転部材であ
れば良い。
【0016】摩擦クラッチは、前記図7、図8に示すよ
うにプレッシャプレートをダイヤフラムスプリングで付
勢するダイヤフラムスプリング式のものでも良いが、コ
イルスプリング式など他の押圧手段を有する摩擦クラッ
チにも適用できる。図7、図8に示す摩擦クラッチはあ
くまでも一例で、プレッシャプレートをフライホイール
に配設する手段なども適宜変更され得る。
【0017】プレッシャプレートの全体形状を形成する
鍛造加工としては、目的に応じて熱間鍛造や冷間鍛造が
適宜用いられ、1段または2段以上の複数段の鍛造工程
を有するものでも良い。また、鍛造加工後に、必要に応
じて仕上げ切削加工等を行っても良いことは勿論であ
る。
【0018】前記ショットピーニング加工は、例えば材
料となる機械構造用炭素鋼と同等以上の硬度を有するφ
40〜200μm程度のショット(鋼粒など)を圧縮空
気又は遠心力などにより100m/sec程度の速度
で、フライホイールの表面に叩き付けて、その表面に1
0〜20μm程度の深さの硬化層および多数のミクロホ
ールを形成するものである。尚、ミクロホールの深さ
は、硬化層を貫通しない数μmの深さとなる。
【0019】前記焼入れ硬化処理は、例えば高周波誘導
加熱等による高周波焼入れが好適に用いられ、ショット
ピーニング加工に先立って摩擦面の表面の硬度を、例え
ばHRC45〜47程度とするものである。
【0020】第4発明では、第1ショットピーニング工
程で微小凹凸を形成した後、第2ショットピーニング工
程で更に小さなショットを叩き付けて微小凹凸の尖った
凸部先端を丸めるようになっているが、他の発明に実施
に際しては、第1ショットピーニング工程で微小凹凸を
設けるだけでも良い。
【0021】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明する。なお、以下の説明では、前記図7、図
8に示す車両用のダイヤフラムスプリング式の摩擦クラ
ッチ10に本発明が適用された場合について説明する。
【0022】図1は、本発明の一実施例であるプレッシ
ャプレート40を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a)
と反対側の背面図、(c) は(a) におけるC−C断面図で
あり、前記プレッシャプレート16の代わりに摩擦クラ
ッチ10に取り付けられて使用される。このプレッシャ
プレート40は、中心に貫通穴42が形成された円板形
状を成しているとともに、等角度間隔で外周側へ突き出
す複数(本実施例では3つ)の外周凸部44を一体に備
えており、それぞれ取付穴46が設けられて前記ストラ
ップリベット26が取り付けられるようになっている。
【0023】プレッシャプレート40の一方の端面、す
なわち(c) における左側の端面は、中心線Oと直角な平
坦面で、前記クラッチディスク20と摩擦係合させられ
る摩擦面48とされている一方、反対側の端面50の外
周部には環状凸部52が設けられ、前記ダイヤフラムス
プリング22の外周端部が係止されるようになってい
る。環状凸部52は、中心線Oまわりにおいて3分割さ
れており、その一端部54はそれぞれ傾斜面とされてい
る。また、その環状凸部52の内側には、補強等のため
に中心線Oまわりに凸条56が設けられている。凸条5
6は、前記スラストリベット34と干渉しないように中
心線Oまわりにおいて複数(本実施例では9つ)に分離
して設けられているとともに、ダイヤフラムスプリング
22と干渉しないように径方向の断面が三角形状を成し
ている。
【0024】上記プレッシャプレート40は、図2に示
す各工程を経て製造されるもので、鍛造加工を主体とす
る加工によって全体形状が形成されている。先ず、熱間
鍛造工程では、S35C等の機械構造用炭素鋼の棒鋼を
所定長さで切断するなどして、図3の(a) に示す機械構
造用炭素鋼の円柱状素材60を用意し、それを熱間鍛造
装置内に配置して軸方向から押圧することにより、同図
の(b) に示すように所定厚さの平坦な円板形状の鍛造品
62を得る。そして、その鍛造品62を更に熱間鍛造装
置内に配置して軸方向から押圧し、内径を打ち抜くとと
もに型形状に沿って鍛造成形することにより、図4に示
す中間品64を得る。中間品64は、前記取付穴46を
除いて目的とするプレッシャプレート40と略同一形状
を成すもので、中心部に貫通穴42を有する円板形状を
成しているとともに、前記外周凸部44、環状凸部5
2、および凸条56を一体に備えている。この熱間鍛造
工程は第3発明の鍛造工程である。なお、貫通穴42
は、打抜き専用の別工程のピアス加工などで形成するよ
うにしても良い。また、図4の(a) 〜(c) はそれぞれ図
1の(a) 〜(c) に対応する図である。
【0025】次の内径切削工程では、貫通穴42の内径
精度を確保するため、図示しない切削加工装置で中間品
64の貫通穴42の内周面を仕上げ切削する。なお、内
径精度を然程要求されていないようであれば、ピアス加
工などで形成したままのものでも良い。また、外周凸部
44に取付穴46をドリルによる穴明け加工などで形成
する。
【0026】摩擦面切削・洗浄工程では、摩擦面48と
なる側の端面66(図4参照)に切削加工を施し、面を
平滑にするとともに、その後洗浄する。洗浄は、防錆油
が混入された温水洗浄などで行う。
【0027】摩擦面焼入れ工程では、前工程で切削加工
により平滑にされた端面66に、高周波焼入れなどで焼
入れを行い、面の硬度を例えばHRC45〜47程度の
硬さに硬化させる。端面66が平滑にされていることか
ら、焼入れ深さが一定の均一な焼入れ硬化処理が施され
る。この摩擦面焼入れ工程は第3発明の焼入れ工程であ
る。
【0028】第1ショットピーニング工程では、前記焼
入れ硬化処理が施された端面66に、φ40〜200μ
mのショット(鋼粒など)を圧縮空気又は遠心力などに
より100m/secで叩き付けるショットピーニング
加工(WPC処理=Wide Peaning Cleaning)を施すこと
により、図5(a) に示すような数μmの深さの多数のミ
クロホール68が形成されるとともに、そのミクロホー
ル68よりも深い10〜20μm程度の深さの硬化層が
形成される。ミクロホール68は微小凹凸に相当する。
なお、硬化層の硬さは、例えばHRC70〜90程度で
ある。
【0029】第2ショットピーニング工程では、第1シ
ョットピーニング工程よりも径の小さいセラミックスビ
ーズを同程度の条件で叩き付けるショットピーニング加
工(WPC処理)を施すことにより、図5の(a) に示す
ように第1ショットピーニング工程で形成された微小凹
凸の尖った凸部先端70が同図の(b) に示すように丸め
られる。第1ショットピーニング工程および第2ショッ
トピーニング工程は第3発明のショットピーニング工程
で、これにより端面66が前記摩擦面48とされる。図
5(b) の一点鎖線は、第2ショットピーニング工程前の
表面形状((a)と同じ)である。
【0030】このように本実施例では、機械構造用炭素
鋼の円柱状素材60に熱間鍛造加工を主体とする加工が
施されることによってプレッシャプレート40が製造さ
れるため、引張強度等の機械的強度が向上して薄肉化を
図ることが可能となり、前記クラッチカバー14の高さ
寸法を小さくして摩擦クラッチ10をコンパクトに構成
できる。また、熱間鍛造加工によって全体形状が形成さ
れるため、鋳造に比べて高い寸法精度が得られ、精度出
しのための仕上げ切削が大幅に削減されるなど、鋳鉄品
に比べてプレッシャプレート40を簡単、軽量、且つ安
価に製造できる。摩擦クラッチ10を従来と同程度の大
きさで構成する場合には、プレッシャプレート10の薄
肉化によりクラッチカバー14内に余裕ができるため、
強度的にはダイヤフラムスプリング22等の他部材との
干渉を避けるために複雑な凹凸形状を設ける必要がなく
なり、前記凸条56を省略することによりプレッシャプ
レート40をシンプルな平坦な形状にすることが可能
で、その場合は熱間鍛造加工による成形性が向上して製
造が一層容易になる。ダイヤフラムスプリング22を用
いない他の押圧手段を用いる場合は、環状凸部52につ
いても省略することが可能である。
【0031】また、摩擦面48にはショットピーニング
加工が施されることによって多数のミクロホール68が
設けられているため、その摩擦面48が押圧されるクラ
ッチディスク20との間に空気層が形成され、温度の上
昇が抑制されて高温になり難く摩擦係数が安定的に保持
され、摩擦面48の磨耗による寿命低下などが防止され
る。すなわち、クラッチディスク20とのすべり摩擦に
よってプレッシャプレート40の摩擦面48は高温にな
るが、従来の鋳鉄品の場合、成分として含有するグラフ
ァイトが溶け出して潤滑作用を行うことにより、高温に
なっても摩擦係数の上昇が少なく、磨耗が起こり難い
が、機械構造用炭素鋼で構成した本実施例品の場合、そ
のままでは温度上昇に伴って摩擦係数が上昇してしまう
のである。
【0032】一方、単にミクロホール68を設けるだけ
では、摩擦面48が磨耗して表面粗さが小さくなると、
空気層が小さくなって摩擦係数が高くなる。また、熱が
発生することで、クラッチディスク20の材料が熱分解
して柔らかくなるとともに摩擦力が大きくなり、摩擦係
数が更に上昇する。これに対し、本実施例ではショット
ピーニング加工に先立って焼入れ硬化処理を施し、表面
硬さをHRC45〜47程度まで硬化させているため、
ショットピーニングによる硬化と相まって従来の鋳鉄品
と同程度の耐久性(寿命)が得られる。
【0033】また、第1ショットピーニング工程で多数
のミクロホール68を形成しただけでは、ミクロホール
68間の凸部先端70が図5の(a) のように尖っている
ため、摩擦に対して脆くなり、磨耗が促進されるが、本
実施例では第2ショットピーニング工程で小さなショッ
ト(セラミックスビーズ)を叩き付けて凸部先端70を
図5の(b) のように丸めるようにしているため、耐磨耗
性が一層向上する。
【0034】なお、上例では円柱状素材60に熱間鍛造
加工を施して中間品64を鍛造成形するようになってい
たが、例えば図6に示すような円環形状の素材72を用
いて中間品64を鍛造成形することも可能で、その場合
は貫通穴42の打抜き加工を省略できるとともに材料の
歩留りが向上する。
【0035】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、
本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加
えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるプレッシャプレートを
説明する図で、(a) は正面図、(b) は(a) と反対側の背
面図、(c) は(a) におけるC−C断面図である。
【図2】図1のプレッシャプレートの製造工程を示すブ
ロック線図である。
【図3】図2の熱間鍛造工程を説明する図で、(a) は円
柱状素材、(b) は熱間鍛造加工によって得られる平坦な
円板状の鍛造品である。
【図4】図2の熱間鍛造工程において図3(b) の鍛造品
に更に熱間鍛造加工が施されることによって得られる中
間品を説明する図で、(a) は正面図、(b) は(a) と反対
側の背面図、(c) は(a) におけるC−C断面図である。
【図5】図2の第2ショットピーニング工程を説明する
図で、(a) は第2ショットピーニング工程前の表面形状
を示す断面図、(b) は第2ショットピーニング工程後の
表面形状を示す断面図である。
【図6】鍛造加工を主体としてプレッシャプレートを製
造する際に用いる素材の別の例を示す図である。
【図7】本発明が好適に適用される摩擦クラッチの一例
を説明する断面図である。
【図8】図7の摩擦クラッチの主要部品の分解斜視図で
ある。
【符号の説明】
10:摩擦クラッチ 12:フライホイール 2
0:クラッチディスク 40:プレッシャプレート 48:摩擦面 60:
円柱状素材(素材) 64:中間品 66:端面 68:ミクロホール
(微小凹凸) 70:凸部先端 72:素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J056 AA57 BA02 BC01 BE06 BE09 CA05 EA03 EA18 EA23 FA03 FA09 GA02 GA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラッチディスクに押圧される平坦な摩
    擦面を有し、フライホイールとの間で該クラッチディス
    クを挟圧して摩擦係合させられることにより動力伝達を
    行う摩擦クラッチのプレッシャプレートであって、 機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を主体とする加工が
    施されることによって全体形状が形成されているととも
    に、前記摩擦面には該鍛造加工後にショットピーニング
    加工が施されて多数の微小凹凸が設けられていることを
    特徴とするプレッシャプレート。
  2. 【請求項2】 前記摩擦面には、前記ショットピーニン
    グ加工に先立って焼入れ硬化処理が施されていることを
    特徴とする請求項1に記載のプレッシャプレート。
  3. 【請求項3】 クラッチディスクに押圧される平坦な摩
    擦面を有し、フライホイールとの間で該クラッチディス
    クを挟圧して摩擦係合させられることにより動力伝達を
    行う摩擦クラッチのプレッシャプレートの製造方法であ
    って、 機械構造用炭素鋼の素材に鍛造加工を施して全体形状が
    目的とするプレッシャプレートと略等しい中間品を成形
    する鍛造工程と、 前記中間品のうち前記摩擦面となる端面に所定の焼入れ
    硬化処理を施す焼入れ工程と、 該焼入れ硬化処理が施された前記端面に所定のショット
    ピーニング加工を施して多数の微小凹凸を形成するショ
    ットピーニング工程と、 を有することを特徴とするプレッシャプレートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記ショットピーニング工程は、 前記端面に所定の大きさのショットを叩き付けて微小凹
    凸を形成する第1ショットピーニング工程と、 該微小凹凸が形成された前記端面に、更に前記第1ショ
    ットピーニング工程よりも小さなショットを叩き付ける
    ことにより、該微小凹凸の尖った凸部先端を丸める第2
    ショットピーニング工程とを有するものである、ことを
    特徴とする請求項3に記載のプレッシャプレートの製造
    方法。
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