JPH1150591A - 建築用ボードおよびその製造方法 - Google Patents

建築用ボードおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH1150591A
JPH1150591A JP20955197A JP20955197A JPH1150591A JP H1150591 A JPH1150591 A JP H1150591A JP 20955197 A JP20955197 A JP 20955197A JP 20955197 A JP20955197 A JP 20955197A JP H1150591 A JPH1150591 A JP H1150591A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
decorative layer
protective sheet
board
calcium carbonate
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20955197A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Fujimoto
正 藤本
Tomohiro Takaoka
智浩 高岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP20955197A priority Critical patent/JPH1150591A/ja
Publication of JPH1150591A publication Critical patent/JPH1150591A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】炭酸カルシウムを結合成分とする硬化体よりな
り、頂部が平坦な凸部を有する化粧層を積層してなる建
築用ボードにおいて、該化粧層の表面を運搬、設置等に
おける取扱い時の化粧層を保護し、その汚損が効果的に
防止された建築用ボードを提供する。 【解決手段】ボード1の表面に炭酸カルシウムを結合成
分とする硬化体よりなる化粧層を有する建築用ボードに
おいて、該化粧層には、その表面に、共通する平面に存
在する平坦面2を頂部とし、一般には平面形状が不定形
の複数個の凸状部が形成され、該凸状部の平坦面に、別
途接着剤を介することなく、200mN以上の剥離強度
で連続した保護シート4が積層されてなることを特徴と
する建築用ボード

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、壁面、柱面、天井
面等を構成するための新規な建築用ボードに関し、詳し
くは、ボードの表面に炭酸カルシウムを結合成分とする
硬化体よりなる化粧層を積層してなる建築用ボードであ
り、該化粧層は平面的な頂部からなる優れた意匠性を有
し、かつその表面に適度な剥離強度で除去可能な保護シ
ートを設けることにより、運搬、設置等における取扱い
時の化粧層を保護し、その汚損が効果的に防止された建
築用ボードである。
【0002】
【従来の技術】石膏ボードのような下地材により、壁
面、柱面、天井面等を構成する場合、その表面の意匠を
向上させるため、化粧層が一般に形成される。
【0003】上記化粧層の一つとして、水酸化カルシウ
ムと水を含む混練物を成形した後、該水酸化カルシウム
を炭酸化して硬化させて得られる炭酸カルシウムを結合
成分とする硬化体よりなる化粧層は、従来より、漆喰仕
上げ、スタッコ仕上げ等として広く行われてきた。
【0004】近年、住宅内装の多様なコンセプトによ
り、上記化粧層に様々な意匠性が要求されるようになっ
た。その中で、細かい凹凸を有する化粧層を成形・硬化
させた後、該化粧層の凸状部の上端を研削することによ
り、頂部が平坦な凸状部とする仕上げ(以下、ヘッドカ
ット仕上げという)により得られる意匠は、不定形の凹
部と先端の平坦面とのコントラストによる落ちついた高
級感溢れる意匠として好まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ヘッドカッ
ト仕上げを前記炭酸カルシウムを結合成分として有する
化粧層に適用とした場合、上記研削の加工は、結合成分
である炭酸カルシウムの硬化を待って施さねばならない
ために工期およびコストがかかり、また、研削の工程に
おいて研削粉塵が発生するため施工現場の作業環境が悪
いという問題を有する。しかも、化粧層の表面に残留す
る該粉塵や、研削により露出した水酸化カルシウムが空
気中の二酸化炭素と反応して生じる脆弱な粉吹き状の炭
酸カルシウムによって意匠性が損なわれたり、接触した
衣服等を汚す等の問題があった。
【0006】これに対して、未硬化時に予めヘッドカッ
ト仕上げを施した後、これを硬化して化粧層を有する建
築用ボードを製造すれば、上記工期の短縮および施工現
場の作業環境の改善に寄与するものと考えられる。
【0007】しかしながら、上記いずれの方法で得られ
た建築用ボードでも、取り扱い上の問題があった。すな
わち、炭酸カルシウムを結合成分とする硬化体よりなる
化粧層は、運搬時、2次加工時、施工時等に汚れや傷が
付き易いという欠点を有し、該建築用ボードの実用化に
おいて、大きなネックとなっていた。
【0008】そこで、該建築用ボードの化粧層の表面を
保護し、施行後に容易に取り除くことが可能な保護シー
トを装着することが考えられるが、該化粧層の表面は炭
酸カルシウムに起因して多孔質であることに加え、該表
面に残留する研削粉塵は除去し難く、また上記粉吹き状
の炭酸カルシウムの発生も防止し難いために、かかる表
面に適度な剥離強度で保護シートを設けることが困難で
あった。しかも、接着剤を使用して適度な剥離強度を達
成しようとしても、その剥離接着強度が安定せず、ま
た、該保護シートを剥離する際、化粧層の一部が破損し
たり、該接着剤が化粧層の孔に侵入し、転写を起こす等
の問題があった。
【0009】従って、本発明の第一の目的は、上記ヘッ
ドカット仕上げによる意匠が極めて良好に表出された、
炭酸カルシウムを結合成分とする硬化体よりなる化粧層
を有し、かつその表面に除去可能な保護シートを積層し
た建築用ボードを提供することにある。また、本発明の
第二の目的は、上記建築用ボードを極めて簡易に製造す
る方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ボードの表面
に炭酸カルシウムを結合成分とする硬化体よりなる化粧
層を有する建築用ボードにおいて、該化粧層にはその表
面に、共通する平面に存在する平坦面を頂部とする複数
個の凸状部が形成され、該凸状部の平坦面に、別途接着
剤を介することなく、200mN以上の剥離強度で連続
した保護シートが積層されてなることを特徴とする建築
用ボードを提供する。
【0011】また、本発明は、ボードの表面に水酸化カ
ルシウムと水とを含む混練物よりなる凹凸層を積層し、
次いで該凹凸層に保護シートを積層した状態で硬化させ
ることを特徴とする建築用ボードの製造方法をも提供す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるボード
は、その表面に炭酸カルシウムを結合成分とする硬化体
よりなる化粧層の形成が可能な板状体が特に制限なく使
用されるが、特に、通気性を有するものが好適である。
【0013】好適なボードを具体的に例示すれば、石膏
ボード、珪酸カルシウムボード、石綿セメント珪酸カル
シウムボード、スラグセメントボード、木毛セメント
板、中空セメント板、発泡セメント板、木質合板等が挙
げられる。
【0014】本発明において炭酸カルシウムを結合成分
とする硬化体とは実質的に水酸化カルシウムと水とを含
む混練物中の水酸化カルシウムと気中の二酸化炭素とが
反応して炭酸カルシウムが生成することにより硬化した
ものである。該反応は反応率約50%までは急速に、そ
の後は緩やかに進行するが、本発明は反応率50%以降
の経時変化を全て含む。また、炭酸カルシウムは後記す
る無機骨材として該化粧層に添加されてもよい。
【0015】本発明において炭酸カルシウムを結合成分
とする硬化体よりなる化粧層にはその用途に求められる
物性に応じて、各種の添加剤を添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、水性エマルジョン
の固形分、繊維、無機骨材、活性微粒子、顔料等を例示
することができる。また、後記の製造上好ましく添加さ
れる配合剤を含んでいても良い。
【0016】上記水性エマルジョンの固形分は、化粧層
の靱性を向上せしめるほか、化粧層と保護シートとの剥
離接着強度を向上せしめ、また化粧層を下地材に直接施
す際には該下地材との接着強度を向上せしめる。該水性
エマルジョンとしては、水媒体中にモノマー、オリゴマ
ーこれらの重合体等が分散したエマルジョンが特に制限
なく使用できる。かかる水性エマルジョンを具体的に例
示すると、アクリル樹脂系、酢酸ビニル系、スチレン/
ブタジエンゴム系等の合成高分子系エマルジョンを挙げ
ることができる。水性エマルジョンは、炭酸カルシウム
の硬化体が形成される際に、媒体が蒸発し、固形分が該
炭酸カルシウムの硬化体中に存在する。
【0017】また、上記繊維としては、各種の公知の繊
維であれば特に制限なく用いることができる。具体的に
例示すれば、公知のガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプ
ロピレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、アラ
ミド繊維、カーボン繊維、金属繊維等を使用できる。ま
た、繊維の形状としては短繊維、長繊維、織布、不織布
等の形状のものが使用できるが、これらのうち短繊維は
化粧層の靱性および切断加工性の向上に特に有効であ
る。上記短繊維の長さおよび直径は特に制限されない
が、長さは1.0mm〜10.0mm、特に2.0mm
〜6.0mmであることが、また、直径は5〜50μ
m、特に10〜30μmであることが得られる化粧層の
靱性をより向上させ、また切断加工性においても優れた
ものとするために好適である。
【0018】上記無機骨材としては、例えば、平均粒子
径が0.03〜3.0mmである炭酸カルシウム、珪
砂、寒水砂、施釉珪砂、マイカ、施釉マイカ、セラミッ
クサンド、耐アルカリガラスビーズ、パーライト等を挙
げることができる。
【0019】上記活性微粒子としては、例えば、平均粒
子径が0.1〜50μmの高炉水砕スラグ、フライアッ
シュ、シリカフューム等が挙げられる。
【0020】上記顔料としては左官用に一般に用いられ
るもの、例えば、平均粒子径が0.5〜50μmの酸化
鉄、酸化チタン、酸化クロム等の金属酸化物および各種
石粉が挙げられる。
【0021】その他の添加剤として、例えば、パラフィ
ン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウ
ム等の有機質混和材;ジメチルポリシロキサンおよびそ
のメチル基の一部を水素原子、フェニル基、アルキル
基、メルカプト基、ビニル基、シアノアルキル基、フル
オロアルキル基等で置換したポリシロキサンを主成分と
したシリコーンオイルまたはシリコーン樹脂;メチルト
リメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ブチ
ルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、
ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシ
ラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘプチルジメト
キシシラン、トリヘキシルメトキシシラン等のオルガノ
アルコキシシラン等を挙げられる。
【0022】上記した各種の添加剤の配合量は特に制限
されない。一般には、前記した反応率が100%に達し
た化粧層中の重量%で表すと次のような割合となるよう
に使用することが好ましい。
【0023】水性エマルジョンの添加量は、水性エマル
ジョンを固形分換算で0.5〜10重量%、好ましくは
2〜7重量%とすることが、得られる化粧層の靱性を向
上せしめるほか、ボードと化粧層との接着強度および化
粧層と保護シートとの剥離接着強度を向上せしめること
ができるために好ましい。また、繊維の添加量は、例え
ば短繊維では、0.1〜2重量%とするのが好ましく、
無機骨材の添加量は、70重量%以内とするのが好まし
い。更に、微粒子の添加量は3重量%以内とするのが好
ましい。更にまた、顔料は5重量%以内であれば特に問
題なく使用できる。
【0024】また、その他の添加剤の有機質混和剤、シ
リコーンオイル、シリコーン樹脂およびオルガノアルコ
キシシランは、得られる建築用ボードの化粧層の防水
性、耐凍結融解性、耐薬品性、耐候性を向上させるのに
効果的であり、通常、炭酸カルシウムを結合成分とする
硬化体よりなる化粧層中にそれぞれ0.05〜2重量%
とするのが好ましい。
【0025】本発明において、炭酸カルシウムを結合成
分とする化粧層の厚みは、特に制限されないが、0.5
〜7mm、好ましくは、0.7〜3mmの範囲で決定す
ることが好ましい。
【0026】本発明において、上記化粧層の表面は、そ
の表面に、共通する平面に存在する平坦面を頂部とする
複数個の凸状部が形成されてなる。例えば、図1は、本
発明の建築用ボードの代表的な態様を示す斜視図であ
る。上記凸状部を上部から見た形状、すなわち、該凸状
部の平面形状は特に制限されない。一般には、図に示さ
れるような不定形の形状が採用されるが、場合によって
は、筋状或いは丸状、角状等の幾何学的な形状であって
も良い。
【0027】また、かかる凸状部の化粧層の全厚みに占
める割合は特に制限されないが、一般には、5〜95
%、好ましくは20〜70%が適当である。
【0028】更に、該凸状部の平坦面の面積が、化粧層
の全平面積に占める割合、すなわち、化粧層と保護シー
トとの接触率は、一般に25〜95%、好ましくは40
〜90%となるようにすることが保護シートの剥離強度
を安定させるために好ましい。
【0029】本発明の建築用ボードの構成における特徴
は、上記化粧層の表面に、200mN以上、好ましく
は、800mN以上の剥離強度で保護シートが積層され
たことにある。
【0030】尚、本発明において、保護シートは、一般
に化粧層の凸状部の頂部を構成する平坦面と接触する部
分のみで強度を発揮する。従って、上記剥離強度は、保
護シートが接している面と接触していない面とが混在し
た状態での値をいう。
【0031】既述したように、炭酸カルシウムを結合成
分とする硬化体よりなる化粧層に保護シートを積層しよ
うとした場合、該化粧層の表面は多孔質であるため、保
護シートを密着させることが困難であり、満足できる剥
離強度での積層が困難であった。そのため、化粧層を保
護シートで保護しようとした場合、建築用ボード全体を
包装することが必要となり、保護シートを大量に必要と
するばかりでなく、施工時に包装を解く手間も必要とす
る。これに対して、本発明の建築用ボードは、適度な剥
離強度で保護シートが積層されてなるため、取扱い時に
は、保護シートの剥離が起こらず、施行後には化粧層を
破損することなく容易に保護シートを剥離することが可
能である。即ち、保護シートの上記剥離強度が200m
Nより小さい場合、保護シートが建築用ボードの取扱い
時に剥離してしまう。また、保護シートの上記剥離強度
の上限は、剥離に際し、炭酸カルシウムを結合成分とす
る硬化体よりなる化粧層の一部が破壊されない範囲で適
宜決定されればよく、凸状部の平坦面が全化粧層の平面
積に占める割合を勘案して接触部のみの剥離強度が約4
000mN以下、特に2500mN以下となるようにす
ればよい。
【0032】本発明において、上記保護シートは後記の
製造条件下に、悪影響を与えないものが特に制限なく使
用される。具体的には、後記の製造条件において、水酸
化カルシウムと水とを含む混練物との接触により変形お
よび変質を起こさず、かつ該混練物の固形分が透過しな
いものが好適に使用される。かかる保護シートを具体的
に示せば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の膜状物お
よび防水紙等の非透水性シート、該非透水性シートに通
気性を付与した非透水性且つ通気性シート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン、ポリエ
チレンテレフタレート、耐アルカリガラス等の人工繊維
からなる織布および不織布等の繊維シートが挙げられ
る。
【0033】上記保護シートのうち、特に好適に使用さ
れるのは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非透水性
且つ通気性シートおよびポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレンテレフタレ
ート等からなる通気性を有する不織布である。かかる通
気度は、特に制限されず、極めて微少の通気性を有する
ものでも良い。一般には、ガーレ透気度2000se
c./100cc以下の通気度を有するものが好適に使
用される。
【0034】本発明の建築用ボードの製造方法は特に制
限されないが、下記の新規な製造方法によって好適に製
造することができる。
【0035】即ち、ボードの表面に水酸化カルシウムと
水とを含む混練物よりなる凹凸層を積層し、次いで該凹
凸層に保護シートを積層した状態で硬化させることを特
徴とする建築用ボードの製造方法である。
【0036】本発明の製造方法においてボードとしては
既述したボードを使用すれば良い。
【0037】本発明の製造方法において、水酸化カルシ
ウムとしては工業用消石灰をはじめ水酸化カルシウムを
主成分とする漆喰、ドロマイトプラスター等、左官材料
として使用可能なものが特に制限なく使用される。
【0038】本発明の製造方法において水酸化カルシウ
ムと水とを含む混練物には、得られる化粧層の用途に求
められる物性に応じて、既述した各種の添加剤を添加す
ることができる。また、上記混練物には、これらの添加
剤の他、製造時の作業性等を改良する目的で、各種の配
合剤を添加することができる。このような配合剤として
は、例えば、増粘剤、流動化剤、消泡剤等を例示するこ
とができる。
【0039】増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロ
ース系、サッカロース、グルコース等からなる多糖類
系、およびアクリル系等が挙げられる。
【0040】また、流動化剤としては、例えば、メチロ
ール/メラミン縮合物、ポリカルボン酸塩、メラミンス
ルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ナフタリンスルホン
酸ホルムアルデヒド縮合物、高分子量リグニンスルホン
酸を主成分とするものが挙げられる。
【0041】消泡剤としては、例えば、プルロニック
系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が
挙げられる。
【0042】上記した各種の配合剤の配合量は特に制限
されないが、一般には、水酸化カルシウムと水とを含む
混練物中の重量%で表すと(混練物100重量部に対し
て)、次のような範囲で使用することが好ましい。
【0043】増粘剤の添加量は、使用する増粘剤の性能
により異なるが、例えば1重量%水溶液の20℃におけ
る粘度が100cPとなるヒドロキシエチルセルロース
では0.04重量%以内であれば特に問題なく使用でき
る。
【0044】流動化剤の添加量は、使用する流動化剤の
性能により異なるが、例えば、比較的高性能とされるメ
チロール/メラミン縮合物を主成分とするるものの場
合、0.1〜5重量%、さらに0.5〜3重量%とする
のが好ましい。
【0045】消泡剤の添加量は、1重量%以内、さらに
0.3重量%以内とすることが好ましい。
【0046】これらの材料に水を加えて混練して混練物
を得る。水の混合割合は特に制限されないが、水分量を
適宜調節し、該混練物の粘度が100〜40000セン
チポイズとすることで製造時の取扱いが容易になる。こ
のような粘度とするためには、一般に、混練物中の水分
が15〜50重量%となる範囲で混合すればよい。
【0047】上記混練の方法としては公知の混練装置を
特に制限なく使用できる。具体的に例示するとオムニミ
キサー、パン型ミキサー、遊星ミキサー、ハンドミキサ
ー等を挙げることができる。
【0048】本発明の製造方法において、保護シートと
しては既述の保護シートを使用すれば良い。
【0049】本発明の製造方法において使用されるボー
ドおよび保護シートは、少なくともいずれか一方に通気
性が有ることが好ましい。ボード、保護シート共に通気
性がない場合は、混練物の硬化に必要な二酸化炭素の供
給が妨げられて硬化が不十分となる恐れがあるばかりで
なく、炭酸カルシウムを結合成分とする化粧層から発生
する水蒸気により保護シートが剥離する恐れがある。
【0050】本発明の製造方法において、ボードの表面
に水酸化カルシウムと水とを含む混練物よりなる凹凸層
を積層する方法としては、該混練物をボードの表面に凹
凸状に塗布する方法または該混練物をボードの表面に塗
布した直後に凹凸状に成形する方法のいずれでも良い。
上記塗布の方法としては公知の塗布方法が特に制限なく
使用できる。具体的に例示すればロールコーター、フロ
ーコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレ
ー、ディッピング、吐出等を挙げることができる。ま
た、上記塗布の直後に凹凸状に成形する方法としてはコ
テ押さえ、口金絞り、ローラー転圧、1軸プレス等の方
法を特に制限なく採用できる。
【0051】本発明の製造方法において、上記混練物よ
りなる凹凸層に保護シートを積層する方法は特に制限さ
れないが、ローラーにより伸展した保護シートを該ロー
ラーの転圧により転写する方法は簡易かつ安定して該保
護シートを積層でき、しかも該転圧力の調整により該凹
凸層の凸状部の先端の平坦化の調節が可能であり特に好
ましい。
【0052】本発明の製造方法において、上記混練物よ
りなる凹凸層に保護シートを積層する際は、保護シート
の面積に占める化粧層との接触部の割合、すなわち全化
粧層の平面積に占める凸状部の頂部を構成する平坦部の
総面積が、25〜95%、好ましくは40〜90%とな
るようにすることが保護シートの剥離強度を安定させる
ために好ましい。
【0053】本発明の製造方法において、混練物の硬化
は該混練物中の水酸化カルシウムと気中の二酸化炭素と
が反応して炭酸カルシウムを生成することによって行わ
れる。従って、硬化の方法は該反応を妨げない条件下で
行えばよいが、温度、湿度、二酸化炭素濃度等の制御に
より養生時間を短縮することが可能である。具体的な温
度条件としては初期温度を25〜90℃、好ましくは、
35〜80℃とし、15〜120分養生することで生産
性を高めることができる。
【0054】また、硬化に際しては該混練物よりなる層
中の余剰な水分の除去および二酸化炭素の供給が重要で
あるが、前記したように、通気性の保護シートを使用す
れば、該保護シートを介して該混練物よりなる層の表面
からの外気への水の蒸散と外気からの二酸化炭素の供給
に有効であり、養生時間が短縮されるだけでなく、得ら
れる化粧層の保護シートと接する面、即ち凸状部の先端
の平坦面の表面硬度が向上し、特に好ましい。
【0055】上記方法に対して、炭酸カルシウムを結合
成分とする化粧層を形成する手段として、従来の方法、
即ち、ボードの表面に水酸化カルシウムと水とを含む混
練物よりなる層を積層した後、その表面を大気中に解放
した状態で硬化せしめると、該表面に水分の蒸発による
空孔が生じ、表面が緻密で表面硬度の高い炭酸カルシウ
ム硬化体は得られない。また、該蒸発に際して表面に移
動した水分中のカルシウムイオンが大気中の二酸化炭素
と反応して脆弱で見苦しい粉吹き状の炭酸カルシウム層
を生成する。さらにまた、乾燥収縮によるクラックも発
生しやすい欠点があった。また、該混練物を加圧脱水成
形すれば、得られる炭酸カルシウム硬化体の密度の向上
に伴い表面硬度は向上するが、コストが掛かるだけでな
く、脆弱で見苦しい粉吹き状の炭酸カルシウム層の解消
は困難であった。
【0056】これに対して、前記の本発明の製造方法に
よれば、化粧層が水酸化カルシウムと水とを含む混練物
の表面を保護シートで被覆した状態で硬化して形成され
るため、養生工程における該成形体の該保護シートで被
覆された面からの急激な水分の蒸散が抑制され、該脆弱
な粉吹き状の炭酸カルシウム層が生成しないばかりでな
く、緻密で表面硬度の高い化粧層となるものと推定され
る。
【0057】凸状部の先端の平坦面は、使用時に衣服や
皮膚が実質的に接触する部分であり、その表面に切削粉
塵や上記脆弱な粉吹き状の炭酸カルシウム層があれば被
接触物を汚してしまうため好ましくないが、本発明の建
築用ボードの該平坦面には何れも存在しない。
【0058】本発明において炭酸カルシウムを結合成分
とする硬化体よりなる化粧層の表面は、保護シートの該
表面と接する面の凹凸を反転複写した形状となるので、
保護シートの該表面と接する面に予め任意の凹凸加工を
施すことにより得られるヘッドカット様の意匠に変化を
付与することができる。
【0059】本発明の建築用ボードにおいて保護シート
の剥離強度は既述したように200mN以上となるよう
に調節することが好ましいが、該調節には本発明の製造
方法において保護シート表面の親水性、粗度等および混
練物に添加する水性エマルジョン、シリコーンオイル等
の添加剤の制御が有効である。
【0060】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明の建築用ボードは炭酸カルシウムを結合成分とする硬
化体よりなる化粧層にヘッドカット様の意匠が極めて良
好に表出されており、さらに該化粧層の表面には適度な
剥離強度で除去可能な保護シートが積層された構成によ
り、施工終了までは該保護シートが剥離することなく、
該化粧層の汚損や損傷を防止することができ、かつ、施
工後には、化粧層を損傷することなく、該化粧層と保護
シートとの両者の界面で容易に剥離することができるた
め、使用したボードと同等に取り扱うことができ、該ボ
ードと同様の施工方法により美しいヘッドカット様の意
匠を有する仕上げ面を極めて簡易かつ安価に提供でき
る。しかも該化粧層の表面には研削粉塵が存在しないた
め、接触した皮膚や衣服等を汚すこともない。
【0061】また、本発明の建築用ボードは、水酸化カ
ルシウムと水とを含む混練物の表面を保護シートで被覆
した状態で硬化して形成することにより、養生工程にお
ける該成形体の該保護シートで被覆された面からの急激
な水分の蒸散が抑制され、該脆弱な粉吹き状の炭酸カル
シウム層が生成しないばかりでなく、緻密で表面硬度の
高い化粧層となり、上記保護シートの機能と共に働き、
表面の損傷や汚染を極めて効果的に防止することができ
る。
【0062】
【実施例】以下に、本発明をさらに具体的に説明するた
めに、実施例および比較例を示すが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0063】実施例および比較例における各試験方法お
よび材料を下記に示す。
【0064】(1)接触率 試験体の保護シートの面積に占める化粧層の凸状部の先
端の平坦面と接触する面積を1mm方眼紙に転写して算
出した。
【0065】(2)化粧層厚さ 保護シートを除去した試験体の凸状部の先端の平坦面に
おける厚さから使用したボードの厚さを差し引いて算出
した。
【0066】(3)剥離強度 JIS−K6854の180゜剥離接着強度試験に準
じ、幅100mmの試験体を用い、測定条件を300m
m/分として測定した値を幅25mm相当に換算して剥
離強度とした。
【0067】(4)接触汚染性 試験体の化粧層の表面を粘着シートローラーで撫で、該
ローラーへの付着物を目視で観察し、付着物がほとんど
認められないものを○、それ以外を×とした。
【0068】(5)表面硬度試験 JIS−K5400の鉛筆硬度法により保護シートを除
去した試験体の凸状部の先端の平坦面における表面硬度
を測定した。
【0069】(A)ボード ・石膏ボード:GB−R 厚さ9.5mm 3
00×300mm ・珪カル板:株式会社アスク製「セルストンF」(商品
名)厚さ6mm 300×300mm (B)保護シート ・ポーラム:株式会社トクヤマ製「ポーラムPH」(商
品名) ・不織布:旭・デュポンフラッシュスパン・プロダクツ
株式会社製「タイベック1059B」(商品名) (C)水酸化カルシウム ・消石灰A:田中石灰工業株式会社製「雪印左官用」
(商品名)(平均粒子径7μm) ・消石灰B:吉澤石灰工業株式会社製「建特K100」
(商品名)(平均粒子径7μm) (D)水性エマルジョン ・ポリトロン:旭化成工業株式会社製「ポリトロンA1
450T」(商品名)(アクリル系共重合体ラテック
ス、固形分45重量%) (E)無機骨材 ・イーカル:株式会社飯田工業所製「イーカル100」
(商品名)(炭酸カルシウム、平均粒子径40μm) ・珪砂:天然珪砂分級品(平均粒径1500μm) ・マイカ:株式会社レプコ製「フロゴパイトS−20」
(商品名)(平均粒径700μm) (F)シリコーンオイル ・BY16−601:東レ・ダウコーニング・シリコー
ン株式会社製「BY16−601」(商品名) (G)流動化剤 ・シーカメント:日本シーカ株式会社製「シーカメント
1000NT」(商品名)(H)消泡剤 ・SN260:サンノプコ株式会社製「SNデフォーマ
ー260」(商品名) (I)その他 ・粘着テープ:ニチバン株式会社製クラフトテープ 実施例1〜3 表1に示す種類、配合比率の原材料を混練して得た混練
物を表2に示すボードに平均厚さ約1mm、最大厚さ約
2mmの凹凸状に積層し、次いで保護シートを乗せてロ
ーラー転圧により該凸状部の頂部を平坦化して密着させ
た後、温度25℃相対湿度65%の条件下に72時間放
置したものを試験体とした。得られた試験体の試験結果
を表2に示した。
【0070】なお、得られた試験体は全て良好なヘッド
カット様の意匠を奏していた。
【0071】比較例1 保護シートによる被覆およびそれに続くローラー転圧を
行わないこと以外は実施例1と同様にして凹凸状の化粧
層を形成し、温度25℃相対湿度65%の条件下に24
時間放置した後、該化粧層の表面の凸状部の先端をサン
ドペーパー(#100→#240→#400)で研削し
て実施例1とほぼ同様のヘッドカット仕上げを施し、さ
らに温度25℃相対湿度65%の条件下に48時間放置
して試験体を得た。また、試験体の表面に粘着テープを
貼着して剥離強度試験体とした。また、該粘着テープを
保護シートとみなして接触率を算出した。得られた試験
体の試験結果を表2に示した。ただし、表面硬度は研削
痕により測定不能であった。
【0072】比較例2 実施例1と同様にしてボードの表面に混練物を凹凸状に
積層し、その凸状部の頂部をテフロンローラーによって
平坦化して実施例1とほぼ同様のヘッドカット様の仕上
げを施した後、温度25℃相対湿度65%の条件下に7
2時間放置して試験体を得た。また、試験体の表面に粘
着テープを貼着して剥離強度試験体とした。また、該粘
着テープを保護シートとみなして接触率を算出した。得
られた試験体の試験結果を表2に示した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の建築用ボードの代表的な態様を示す
斜視図
【符号の説明】 1 ボード 2 化粧層の凸状部平坦面 3 化粧層の凹部 4 保護シート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボードの表面に炭酸カルシウムを結合成
    分とする硬化体よりなる化粧層を有する建築用ボードに
    おいて、該化粧層にはその表面に、共通する平面に存在
    する平坦面を頂部とする複数個の凸状部が形成され、該
    凸状部の平坦面に、別途接着剤を介することなく、20
    0mN以上の剥離強度で連続した保護シートが積層され
    てなることを特徴とする建築用ボード。
  2. 【請求項2】 ボードの表面に水酸化カルシウムと水と
    を含む混練物よりなる凹凸層を積層し、次いで該凹凸層
    に保護シートを積層した状態で硬化させることを特徴と
    する請求項1記載の建築用ボードの製造方法。
JP20955197A 1997-08-05 1997-08-05 建築用ボードおよびその製造方法 Pending JPH1150591A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20955197A JPH1150591A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 建築用ボードおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20955197A JPH1150591A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 建築用ボードおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1150591A true JPH1150591A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16574698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20955197A Pending JPH1150591A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 建築用ボードおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1150591A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001328227A (ja) * 2000-05-19 2001-11-27 Dainippon Printing Co Ltd 化粧材及びそれを用いたドア
EP1534511A2 (en) 2002-07-16 2005-06-01 James Hardie International Finance B.V. Packaging prefinished fiber cement products
JP2010012436A (ja) * 2008-07-05 2010-01-21 Kakubayashi Shoji Kk 断熱被覆体形成方法及び断熱被覆体
US8281535B2 (en) 2002-07-16 2012-10-09 James Hardie Technology Limited Packaging prefinished fiber cement articles
JP2018012266A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 株式会社トクヤマ 漆喰層を有する化粧シート
US11549261B2 (en) 2017-01-27 2023-01-10 Nichiha Corporation Building material, stacked body of building materials, and building-material construction method

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001328227A (ja) * 2000-05-19 2001-11-27 Dainippon Printing Co Ltd 化粧材及びそれを用いたドア
EP1534511A2 (en) 2002-07-16 2005-06-01 James Hardie International Finance B.V. Packaging prefinished fiber cement products
US8281535B2 (en) 2002-07-16 2012-10-09 James Hardie Technology Limited Packaging prefinished fiber cement articles
US8297018B2 (en) 2002-07-16 2012-10-30 James Hardie Technology Limited Packaging prefinished fiber cement products
JP2010012436A (ja) * 2008-07-05 2010-01-21 Kakubayashi Shoji Kk 断熱被覆体形成方法及び断熱被覆体
JP2018012266A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 株式会社トクヤマ 漆喰層を有する化粧シート
US11549261B2 (en) 2017-01-27 2023-01-10 Nichiha Corporation Building material, stacked body of building materials, and building-material construction method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6948947B2 (ja) 疎水性を有する仕上げ材組成物、物品、マット上張りセメント質ボード及びセメント質ボードを作製する方法
RU2348532C2 (ru) Гипсовая панель, облицованная матом нетканого стекловолокнистого материала, и способ изготовления
JP4435479B2 (ja) 建築材用塗料
EP2271594B1 (en) Building materials incorporated with hydrophobic silicone resin(s)
JP2532904B2 (ja) 優れた彩色適性を有する軽量の目地材
EP2162473B2 (en) Multifunctional primers
JP6442474B2 (ja) 疎水性の仕上げ剤を含むセメント質の物品
JP2007508484A (ja) 室内用壁板及びその製造方法
JP2006524762A (ja) 改良型マット表面仕上げ石膏ボード
KR100468996B1 (ko) 건축용재료및그의제조방법
CA2259115C (en) Gypsum/fiber board with improved surface characteristics
JPH1150591A (ja) 建築用ボードおよびその製造方法
JP2010120377A (ja) 化粧シート
JPWO2010067787A1 (ja) 積層シート
JP4105940B2 (ja) 化粧用シート及びその製造方法
JP3891898B2 (ja) 化粧シート
JP2001220518A (ja) 無機質系硬化性組成物
JP2010089405A (ja) 化粧シート
JP3406803B2 (ja) 研ぎ出し調意匠を有する化粧層の製造方法
JPH0216043A (ja) 壁用防水シート
JPH1099780A (ja) 建築用ボードおよびその製造方法
JP3348372B2 (ja) 建築用ボードの製造方法
JPH0872195A (ja) 積層体
JP2001300924A (ja) 無機質板の製造方法
JP3026604B2 (ja) 建築用材料およびその製造方法