JPH11501813A - デンプンを液化する方法 - Google Patents

デンプンを液化する方法

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JPH11501813A JP8527628A JP52762896A JPH11501813A JP H11501813 A JPH11501813 A JP H11501813A JP 8527628 A JP8527628 A JP 8527628A JP 52762896 A JP52762896 A JP 52762896A JP H11501813 A JPH11501813 A JP H11501813A
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Abstract

(57)【要約】 本発明により、デンプンを液化する前または同時にデンプンを処理して、デンプン中に存在する酵素阻害組成物を不活化および/または除去して処理デンプンを形成し、α−アミラーゼを処理デンプンに添加し、処理デンプンを液化するのに効果的な時間と温度で処理デンプンを反応させる各工程からなるデンプンを液化する方法を提供する。デンプンを処理する効果的な手段の例としては、フィテート分解酵素の添加および、必要に応じて濾過または遠心分離後の、顆粒状デンプンまたはデンプン溶液の熱処理が挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】 デンプンを液化する方法 関連出願の説明 本出願は、1995年3月9日に出願され、ここに引用される米国特許出願第08/4 01,325号の一部継続出願である。発明の背景 本発明は、穀物デンプンをブドウ糖、果糖およびアルコールのような下流生成 物に転化するのにα−アミラーゼを使用することの改良に関するものである。特 に、本発明は、液化の前または最中における顆粒状デンプンからの酵素阻害組成 物の除去および/または不活化に関するものである。 トウモロコシのような穀物がデンプンの供給源として長い間使用されてきた。 工業工程に使用するためにデンプンを分離および精製するよく知られた方法の1 つに湿式磨砕がある。この方法は、できるだけ完全に穀物穀粒の主成分を分離す るように設計された高特異的総合システムに発達した(Stanley A.WatsonのSta rch:Chemistry & Technology ,第II巻,Industrial Aspects,Academic Press, New York,1967年、30-51頁参照のこと)。 通常の湿式磨砕工程においては、デンプン製品の製造に用いられる乾燥穀物に 、浸漬と呼ばれるソーキング工程を最初に施す。浸漬中に、穀物は、フィテート (phytate)とフィチン酸、糖類、塩類およびタンパク質類を含む多くの可溶性物 を穀物顆粒から分離する逆流水流に曝される。浸漬された穀物は、ソーキング水 (浸漬水)から分離され、機械式の分解および磨砕工程が施される。次いで、浮 動技術および遠心分離技術を用いて、デンプン、繊維およびタンパク質から胚芽 を分離する。次いで、得られた、内胚乳(デンプン)、繊維およびタンパク質の スラリーをさらに磨砕して、スクリーニングして、繊維を分離する。最後に、タ ンパク質および内胚乳関連成分が、逆流水洗および遠心分離により密度に基づい て分離され、タンパク質/グルテン流からデンプンが分離される。次いで、単離 されたデンプン流を粗く濯いで、無機塩のような可溶性物、およびフィテートと フィ チン酸の塩のような化合物を含む、非顆粒状デンプン関連可溶性物を除去する。 得られた生成物は、果糖に転化するための出発生成物として機能する不溶性顆粒 状デンプンの高度に精製されたスラリーである。 一般的に、デンプンから果糖への加工は4つの工程からなる:顆粒状デンプン の液化、液化されたデンプンのブドウ糖への糖化、精製および果糖への異性化。 デンプン液化工程の目的は、デンプン高分子顆粒の濃縮懸濁液を、低密度で、鎖 長がより短い可溶性デキストリンの溶液に転化することにある。この工程は、標 準的な設備により都合よく処理するのに、そして、グルコースまたは他の糖類に 効率的に転化するのに必要である。顆粒状デンプンを液化するためには、顆粒状 デンプンの温度を約72℃より高く昇温させることにより顆粒をゲル化することが 必要である。加熱工程は即座に不溶性デンプン顆粒を分裂させて、水溶性デンプ ン溶液を生成する。次いで、可溶化されたデンプン溶液をα−アミラーゼ(EC 3.2.1.1.)により液化する。 通常の酵素液化工程には、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナ トリウムを加えることにより、顆粒状デンプンスラリーのpHを、バチルスリケ ニホルミス(Bacillus licheniformis)由来のα−アミラーゼに最適なpHである 6.0および6.5の間に調節する工程が含まれている。水酸化カルシウムを加えるこ とには、不活化に対してα−アミラーゼを安定化させることが知られているカル シウムイオンを供給する利点がある。α−アミラーゼを加える際に、懸濁液を汲 み上げて蒸気噴射に通し、その温度を80℃−115℃の間まで即座に上昇させる。 デンプンは、直ちにコ化され、α−アミラーゼが存在するために、(1−4)グ リコシド結合のα−アミラーゼによる無作為の加水分解により、容易にポンプで 送られる流体に解重合される。 2番目の液化工程の変更例においては、α−アミラーゼをデンプン懸濁液に加 え、この懸濁液を80-100℃の温度に保持してデンプン顆粒を部分的に加水分解し 、部分的に加水分解されたデンプン懸濁液を汲み上げて約105℃より高い温度の 噴射に通して残りの顆粒構造を完全にコ化する。コ化したデンプンを冷却した後 、α−アミラーゼを再度加えて、デンプンをさらに加水分解しても差し支えない 。 この工程の3番目の変更例は、乾式磨砕工程と呼ばれている。乾式磨砕におい て、整粒を磨砕して、水を配合する。浮動分離または同等の技術により、胚芽を 必要に応じて除去する。デンプン、繊維、タンパク質および穀物の他の成分を含 有する、得られた混合物をα−アミラーゼを用いて液化する。この業界では、乾 式磨砕工程を用いる場合には、より低い温度で酵素液化が一般的に行われる。一 般的に、低温液化は、デンプンを可溶性デキストリンに転化するのには、高温液 化よりも効率的ではないと考えられている。 典型的にデンプン溶液は、コ化後に、10-20のDEが達成されるまで、通常1 −3時間の期間に亘り、α−アミラーゼの存在下で高温に保持される。ブドウ糖 当量(DE)は、乾燥重量基準でD−グルコースとして計算された全還元糖の濃 度を測定する工業規格である。加水分解されていない顆粒状デンプンは実質的に ゼロのDEを有しているが、D−グルコースのDEは100と定義されている。 α−アミラーゼを含有するデンプン溶液を保持できる最高温度は、酵素が得ら れる微生物供給源およびα−アミラーゼ分子の分子構造に依存する。枯草菌また はバチルスアミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)の野生型菌株により 産生されるα−アミラーゼは典型的に、約90℃以下の温度で用いられる。これは 、この温度よりも高いと、過剰に急速に熱不活化が行われてしまうからである。 一方、バチルスリケニホルミスの野生型菌株により産生されるα−アミラーゼは 約110℃までの温度で使用しても差し支えない。 デンプンおよびカルシウムイオンが存在することにより、不活化に対してα− アミラーゼが安定化されることが知られている。それにもかかわらず、α−アミ ラーゼは、6より大きいpH値で用いられ、急速な不活化に対して保護されてい る。低温では、バチルスリケニホルミス由来のα−アミラーゼは、5ほどの小さ いpH値でデンプン基質に優れた加水分解活性を有することが知られている。し かしながら、通常の噴射温度、例えば、102℃および109℃の間の温度でのデンプ ン加水分解に酵素を使用する場合には、pHを少なくともpH5.7より大きく維 持して、過剰で急速な不活化を避けなければならない。pH値が6.0より大きい と、望ましくない副生物、例えば、麦芽糖が生成されてしまうので、残念なこと に、pHの必要条件により、加工機会の領域が狭くなってしまう。したがって、 実際には、液化pHを5.9および6.0の間に維持して、加水分解されたデンプンを 満足 に生成しなければならない。 液化のpHに関連する別の問題には、湿式磨砕段階から生じるときのトウモロ コシデンプン懸濁液のpHである約4から、5.9-6.0まで、デンプン懸濁液のp Hを上昇させる必要があることがある。このpHの調節には、コストのかかる酸 中和化学物質を添加する必要があり、また、最終的なデンプン転化生成物をイオ ン交換精製してこの化学物質を除去する必要がある。さらに、液化後の次の工程 、典型的には液化されたデンプンのグルコースへの糖化には、4-4.5のpHが必 要である。したがって、pHは5.9-6.0から4-4.5に調節しなければならず、これ には、化学物質の添加工程および精製工程が必要である。 多くの植物の種子に共通しているように、ミオイノシトールのヘキサリン酸エ ステルであるフィチン酸は、フィチン酸カリウム、カルシウムおよびマグネシウ ムのようなフィテート塩の形態で穀物穀粒中に存在することが知られている。上 述したように、トウモロコシの穀粒中に存在するフィチン酸のほとんどの量が、 浸漬工程中の穀粒から浸み出して、さらなる加工の前に液化流から除去されると 一般的に考えられている。驚いたことに、ここに記載するように、浸漬および粗 い水洗後に顆粒状デンプン中にフィテートの形態が存在することが分かった。理 論により拘束することを意図するものではないが、残りのフィテートは、実際に デンプン顆粒自体の内部に結合しており、したがって、粗い水洗工程中にはデン プンから分離できないと考えられる。 米国特許第5,322,778号において、重亜硫酸塩またはその塩、アスコルビン酸 またはその塩、エリソルビン酸(erythorbic acid)のような酸化防止剤、もしく はブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、またはα−ト コフェロールのようなフェノール酸化防止剤を液化スラリーに加えることにより 、pH4.0からpH6.0までの間で液化が行われた。この特許によると、重亜硫酸 ナトリウムを5mMより濃い濃度で加えなければならない。 米国特許第5,180,669号において、溶液に緩衝作用を与えるのに必要な量より 多い炭酸イオンを粉にひかれたデンプンのスラリーに加えることにより、5.0か ら6.0までの間のpHで液化が行われた。炭酸イオンの添加により生じる増大し たpH効果のために、このスラリーは、水素イオンの供給源、例えば、塩酸また は硫酸 のような無機酸を加えることにより、一般的に中和される。 PCT公間公報WO94/02597号において、1つ以上のメチオニンがシステイン またはメチオニン以外のアミノ酸により置き換えられた、酸化安定性の改良され た変異体α−アミラーゼが記載されている。 PCT公開公報WO94/18314号において、1つ以上のメチオニン、トリプトフ ァン、システイン、ヒスチジンまたはチロシン残基が耐酸化性アミノ酸により置 き換えられた、酸化安定性の改良された変異体アミラーゼが記載されている。 PCT公開公報WO91/00353号において、α−アミラーゼを遺伝子操作して、 熱、酸およびアルカリに対する増大した安定性を含む特性を備えさせることによ り、液化に関連する問題に取り組んでいる。 米国特許第4,914,029号において、フィターゼをトウモロコシ浸漬溶液に加え て、トウモロコシ浸漬溶液中のフィチン酸の量を減少させて、動物用飼料中のト ウモロコシ浸漬溶液をより効率的に使用している。 従来技術で進歩が遂げられているにもかかわらず、市販のα−アミラーゼを用 いて低いpHレベルでデンプンを液化する効率的な手段が必要とされている。同 様に、この業界で、より高温で乾燥磨砕穀物を液化することのできる方法が必要 とされている。それにもかかわらず、上述されたどの方法も、非効率なまたは存 在しない酵素に促進される低pHデンプン液化の原因である組成物の除去および /または不活化できる重要な利点を有していない。さらに、上述したどの方法も 、酸化防止剤または中和酸の添加、遺伝操作された酵素の調製、または例外的な 低pH安定性特性を有する新しいα−アミラーゼの発見を必要としない液化に対 して柔軟に取り組むことができない。発明の概要 本発明の目的は、容易に得られる変異体または野生型のα−アミラーゼ酵素を 用いて効率的な低pHデンプン液化を行うことにある。 本発明のさらなる目的は、低pHでのα−アミラーゼによる非効率な液化の主 な原因である顆粒状デンプン中に存在する酵素阻害組成物の除去および/または 不活化を行うことにある。 本発明のさらなる目的は、高価な酸化防止剤を添加せずにデンプンを液化する 方法を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、方法に柔軟性をもたせ、遺伝子操作されたα−アミ ラーゼを使用する必要のない単純で効率的なデンプン液化方法を提供することに ある。 本発明によると、デンプンを液化する方法であって、デンプンの液化の前また は同時にデンプンを処理してデンプン中に存在する酵素阻害組成物を不活化およ び/または除去して処理デンプンを形成し、この処理デンプンにα−アミラーゼ を加えて、処理デンプンを液化するのに効果的な時間と温度で処理デンプンを反 応させる各工程からなる方法を提供する。本発明の別の実施の形態によると、5. 7未満のpHでα−アミラーゼおよび水性デンプンの混合物からなる組成物であ って、不活化された酵素阻害組成物を含有するか、または酵素阻害不活化組成物 を実質的に含有しない組成物を提供する。 以下詳細に指摘されるように、本発明を実施することにより、商業的なデンプ ン液化工程に重要な利点が付与される。理論により束縛することを望むものでは ないが、顆粒状デンプン中に存在するが、現在までその成分として同定されてい ない特定の組成物が、α−アミラーゼによるデンプンの低pH液化に関連する問 題の原因であると考えられる。単離組成物の元素分析から、この組成物はフィテ ートの形態からなると思われる。低pH液化問題の原因である組成物の驚くべき 同定により、原因である組成物を不活化および/または除去でき、したがって、 よく知られ特色のあるα−アミラーゼにより、低pH値、pH4.5ほどで顆粒状 デンプンを効率的に液化することができる。以下に記載するように、最初に本発 明は、α−アミラーゼを含有する商業的に生存可能な系により使用することので きる、低pHでのデンプン液化に取り組む。さらに、本発明では、例外的な低p H安定性特性を有する特に設計された変異体または野生型の酵素を使用すること 、または酸化防止剤の添加もしくは酸中和のような高価な方法を必要としない。 本発明自体は、さらなる目的および付随する利点とともに、以下の詳細な記載 および図面を参照することによりよく理解されよう。発明の詳細な説明 「液化」または「液化する」は、デンプンがより短い鎖を有する粘性の小さい デキストリンに転化される工程を意味する。一般的に、この工程には、α−アミ ラーゼの添加と同時かまたはそれに続いてデンプンのコ化が含まれている。 「浸漬液」は、浸漬工程中に浸漬された穀物穀粒から抽出された液体を意味す る。浸漬液は、穀物の可溶性成分の大部分を含有している。 「顆粒状デンプン」または「デンプン顆粒」は、穀物の湿式磨砕工程に典型的 な浸漬、機械式分解、分離、スクリーニング、逆流水洗および遠心分離工程によ り、外皮、繊維、タンパク質、胚芽および溶解性物質を除去した後に残留する食 用穀物の水不溶性成分を意味する。顆粒状デンプンは、ほとんど排他的に充填さ れたデンプン分子(すなわち、アミロペクチンおよびアミロース)を含有する完 全なデンプン顆粒からなる。トウモロコシにおいては、顆粒状デンプン成分は、 約99%のデンプンからなる。残りの1%は、タンパク質、灰分、繊維および顆粒 に密接に関連する微量成分からなる。顆粒状デンプンの充填構造は、デンプンを 加水分解するα−アミラーゼの能力をひどく阻害する。デンプンのコ化を用いて 顆粒を分裂させ、可溶性デンプン溶液を形成し、酵素的加水分解を促進させる。 「デンプン溶液」は、顆粒状デンプンを加熱することにより生じた水溶性のケ ル化デンプンを意味する。約72℃より高い温度まで顆粒を加熱すると、顆粒状デ ンプンが解離して、開放されたデンプン分子の水性混合物を形成する。この混合 物は、例えば、イエローデント(yellow dent)トウモロコシにおいては約75%の アミロペクチンおよび約25%のアミロースからなり、粘性の水溶液を形成する。 グルコースまたは果糖を形成する商業工程においては、この粘性溶液は、液化さ れて可溶性デキストリン溶液を形成するデンプン溶液である。 「酵素阻害組成物」または「EIC」は、低pH液化中にデンプン溶液のα− アミラーゼ加水分解を阻害するように作用する顆粒状デンプン中の組成物を意味 する。低pHでα−アミラーゼを阻害するように作用する、コ化されたデンプン 顆粒から抽出された組成物(EIC)の化学分析により、EICはフィテートの 形態からなることが分かった。酵素阻害組成物を構成するフィテートの形態は、 フィテートのマグネシウム、鉄、カリウム、マンガン、亜鉛および/またはカル シウムの塩であると考えられている。 「処理」は、低pH、例えば、5.7より低いpHでのデンプンの酵素的加水分 解 中に酵素阻害組成物により生じる影響を減少または除去する顆粒状デンプンまた はデンプン溶液の処理を意味する。このような処理は、例えば、酵素阻害組成物 がα−アミラーゼのデンプン加水分解活性特性を不安定化、不活化または他の様 式により減少させるのを防ぐように作用する化合物を顆粒状デンプンまたはデン プン溶液に添加すること;顆粒状デンプンまたはデンプン溶液に、低pH液化の 前に酵素阻害組成物の阻害特性を除去または著しく減少させる条件または分離技 術を施すこと;または非EIC化合物にEICを化学的に修飾することにより、 酵素阻害組成物を溶液から除去する化合物を添加することを含んでいる。 「α−アミラーゼ」は、α(1−4)グリコシド結合、例えば、デンプンにお いてはアミロペクチンまたはアミロース高分子を開裂または加水分解する酵素活 性を意味する。適切なα−アミラーゼは、天然のα−アミラーゼ並びにデンプン の液化に有用な組換えまたは変異体アミラーゼである。本発明において好ましい アミラーゼは、バチルス属、特にバチルスリケニホルミス、バチルスアミロリケ ファシエンスまたはバチルスステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermoph ilus)由来のα−アミラーゼである。 本発明によるデンプン処理によって、液化反応、すなわち、デンプン、アミロ ペクチンまたはアミロースの酵素的加水分解を、従来技術の液化方法とは対照的 に、6.0未満のpH、または5.0末満のpHでさえも効率的に実施することができ る。好ましくは、液化反応は、約4.5から約5.7までの間、より好ましくは約4.5 から約5.5までの間、そして最も好ましくは約4.5から約5.2までの間のpHで行 われる。 本発明の好ましい実施の形態においては、α−アミラーゼの添加の前の熱処理 により顆粒状デンプンまたはデンプン溶液を処理して、その中に存在する酵素阻 害組成物を不活化している。この実施の形態において、好ましくは、酵素阻害組 成物を確実に不活化する加熱後にα−アミラーゼを顆粒状デンプンまたはデンプ ン溶液に加えて、最初に酵素阻害組成物がα−アミラーゼに影響を与えないよう にする。しかしながら、処理工程と同時にα−アミラーゼを添加することも本発 明の範囲に含まれるものと考える。次いで、このスラリーを、当業者によく知ら れているように、デンプンを液化するのに適切な時間、適切なpHおよび適切な 温度で保温する。本発明によると、酵素阻害組成物は、液化前、すなわち、α− アミラーゼの添加前にデンプン溶液を加熱することにより、α−アミラーゼ活性 を阻害する能力を著しく減少させることができる。 あるいは、低温、例えば、60℃から90℃までの温度でデンプン溶液をアミラー ゼとともに最初に保温して、液化を完了する前にデンプンまたはゲル化されたデ ンプン溶液から酵素阻害組成物を放出させることも本発明の範囲内にあると考え られる。その後、デンプンを続いて液化するのに十分な適切な時間に亘り適切な 温度までデンプンの温度を上昇させることによりデンプンを液化する。好ましく は、温度を約80℃から約115℃まで間の温度まで上昇させる。酵素不活化組成物 の不活化は、低温保温中、または液化中の温度を上昇させて保持している間に行 ってもよい。この実施の形態においては、低温α−アミラーゼ保温中または続い ての液化の最中またはその後に追加のα−アミラーゼを加えてもよい。本発明の 他の実施の形態の場合のように、この実施の形態により、5.7未満のpH値で効 率的に液化を行うことができる。 別の好ましい実施の形態において、酵素阻害組成物の酵素阻害特性を除去し、 したがって、デンプンから酵素阻害組成物を除去するように、酵素阻害組成物を 化学的に修飾または分解する組成物により顆粒状デンプンまたはデンプン溶液を 処理する。好ましくは、液化の前に、デンプン顆粒またはデンプン溶液にフィテ ート分解酵素を加える。好ましいフィテート分解酵素は、フィターゼまたは酸性 ホスファターゼからなる。フィテートのイノシットおよび無機ホスフェートへの 転化を触発する、微生物により産生される酵素の多くがフィターゼとして広く知 られている。フィターゼ産生微生物は、枯草菌、シュードモナス、サッカロミセ スセレビシアエ、黒色アスペルギルス、黒色アスペルギルスバー、アワモリ(awa mori)、アスペルギルステレウス(terreus)、アスペルギルスフィクウム(ficuum) を含む、細菌および糸状菌類並びに酵母からなる。好ましくは、フィターゼはア スペルギルスフィクウム由来である。微生物源からのそのようなフィターゼ酵素 の精製は、業界で知られている技術により行われる。例えば、Ullah等のPrepara tive Biochemistry ,18(4),443-458頁、(1988)に、アスペルギルスフィクウム由 来のフィターゼの精製が記載されており、これをここに引用する。 顆粒状デンプンまたはデンプン溶液に加えられるフィテート分解酵素の濃度は 、この溶液中の酵素阻害組成物を著しく分解するのに効果的でなければならない 。もちろん、適切なフィテート分解酵素濃度の決定は、pH、温度、反応時間、 特定の酵素活性および顆粒状デンプンまたはデンプン溶液が得られる穀物の種類 に依存する。しかしながら、フィテート分解酵素活性の最適条件は、当業者によ り容易に確かめられる。好ましくは、フィテート分解酵素の濃度は、デンプン1 グラム当たりフィターゼ約0.1単位から約100単位まで(フィターゼ単位)である 。さらに好ましくは、フィターゼ分解酵素の濃度は、デンプン1グラム当たりフ ィターゼ約1単位から約25単位までである。1フィターゼ単位(フィテート分解 活性)は、37℃で1分当たり0.042M Mg−Kフィテートから1μモルの無機リ ン(P)を遊離させる酵素の量として定義される(ミズーリ州、セントルイスの シグマケミカル社)。フィテート分解酵素を顆粒状デンプンまたはデンプン溶液 のいずれかに加えることが考えられている。デンプンが顆粒状形態にあるかまた は溶液中に可溶性であるかにかかわらず、本発明の目的にはフィテート分解酵素 が効果的であると考えられている。実際に、フィテート分解酵素を顆粒状デンプ ンに、すなわち、ゲル化前に加えることは、本発明による溶液を処理するのに効 果的であることが分かった。あるいは、コ化中またはその後に、フィターゼをデ ンプン溶液に加えても差し支えない。 別の好ましい実施の形態によると、酵素阻害組成物を液化前に不活化するおよ び/または顆粒状デンプンまたはデンプン溶液から除去する。酵素阻害組成物の 除去は、フィチン酸またはフィテート塩を含有する化合物を溶液から除去するの に効果的な、従来技術で公知の化学的または機械的分離方法であっても差し支え ない。適切な分離方法の例としては、クロマトグラフィー、イオン交換、精密濾 過および遠心分離が挙げられる。特に好ましい工程は、pH依存性フィテート沈 殿または熱処理とその後の濾過または遠心分離による除去からなる。また好まし くは、高温遠心分離または高温濾過により酵素阻害組成物の除去を行う。 処理中の顆粒状デンプンまたはデンプン溶液のpHは、酵素阻害組成物を除去 または不活化できるpHである。処理工程はどのようなpHレベルで行っても差 し支えないが、湿式磨砕工程からの顆粒状デンプン粒のpHレベルを望ましくな く調節する必要がなくなるので、約4から約6までの間のpHで処理を行うこと が効率的である。好ましくは、pHは、約4.5から約5.7までの間、より好ましく は、約4.5から約5.5までの間、そして最も好ましくは、約4.5から約5.2までの間 である。処理工程のpHをこれらの範囲に維持することにより、処理工程のpH は、湿式磨砕された穀物デンプン処理流のpHに良好に相互関係を示し、したが って、湿式磨砕されたトウモロコシのpHを調節することに関連する過剰なコス トが避けられる。 処理工程の温度は、酵素阻害組成物の除去または不活化に適した温度であり、 選択された処理の特定の様式に依存してもよい。処理工程がフィターゼの添加か らなる場合には、特定の酵素の加水分解活性に適した温度を選択すべきである。 微生物フィターゼに関しては、適切な温度は一般的に、約20℃から約60℃までの 間、そして好ましくは約30℃から約40℃までの間である。しかしながら、例えば 、100-110℃の温度でフィテートを加水分解できる耐熱性フィターゼ酵素の開発 が、特に本発明の範囲内にあるように考えられ、好ましい。処理工程が熱処理と 、必要に応じてその後の濾過または遠心分離からなる場合には、温度は、デンプ ンのコ化温度よりも高く、好ましくは約80℃から約150℃までの間、より好まし くは約90℃から約110℃までの間、そして最も好ましくは約95℃から約110℃まで の間にあるべきである。 処理工程の時間は、選択された処理の特定の種類により変更してもよい。処理 工程がフィターゼの添加からなる場合には、処理時間は、加えられるフィターゼ 酵素の特異的活性および保温の温度に依存する。微生物フィターゼに関して、処 理時間は、条件に依存して、好ましくは約1時間から約24時間まで、より好まし くは約3時間から約6時間までである。処理工程が、熱処理と、必要に応じての その後の濾過または遠心分離による顆粒状デンプンまたはデンプン溶液からの酵 素阻害組成物の除去からなる場合には、処理時間は、好ましくは約10秒から約60 分まで、より好ましくは約3分から約10分までである。顆粒状デンプンからのフ ィテートの不活化は、熱のような適切な条件下で実質的に瞬間であってもよく、 したがって、処理時間は技術的拘束のみにより制限されてよいと考えられる。 熱処理後に、遠心分離または濾過を用いて、この業界で公知の手段により不活 化されたフィテートを溶液から分離してもよい。遠心分離を用いて処理中にデン プンからフィテートを分離する場合には、少なくとも2000×gのg力で、好まし くは約5000×gから約10,000×gまでの間のg力で遠心分離を行う。 処理条件は、使用する穀物または磨砕の種類により影響を受けてもよい。例え ば、比較的高濃度の酵素阻害組成物を含有する穀物には、低濃度の酵素阻害組成 物を有する穀物のものよりも長い処理を必要とするかもしれない。異なる野菜中 のフィチン酸含有量の変動レベルがLehrfield,J.のAgric.Food Chem.,42巻,272 6-2731頁(1994)に開示されており、これをここに引用する。乾燥磨砕工程による 液化のために穀物を調製する場合には、繊維分画およびタンパク質分画のために 、湿式磨砕工程におけるよりも、多量のフィテートが存在しそうである。したが って、乾燥磨砕したデンプンの処理には、湿式磨砕したデンプンよりもより厳重 な条件が必要となるかもしれない。 顆粒状デンプンまたはデンプン溶液を処理して酵素阻害組成物を不活化および /または除去するのと同時、またはその後に、α−アミラーゼをデンプンに加え て、デンプンを分子量のより小さいデキストリンに液化する。このように、α− アミラーゼを用いて液化するのと同時またはその後に、顆粒状デンプンまたはデ ンプン溶液を処理することも、本発明の範囲に含まれるものと考えられる。液化 は、α−アミラーゼを用いたどのようなよく知られた液化技術により行っても差 し支えない。本発明による液化工程中のpHは、好ましくは約5.7未満、より好 ましくは5.3末満、そして最も好ましくは約4.5から約5までの間にある。 以下の実施例は、本発明を使用することにより得られる利点を示すものであり 、それらを限定するものではない。しかしながら、当業者は、上述した開示によ り、条件、穀物、温度、酵素等を置き換えることができる。実施例 実施例1 α−アミラーゼの活性を測定するための検定 ヨードとともに青色の複合体を形成するデンプンの能力およびデンプンがより 短いデキストリン分子に加水分解されたときのこの色の消失に依存する検定によ り、α−アミラーゼの活性を測定した。α−アミラーゼの活性は、デンプンのコ 精化の明確な状態を示す色の変化を生じさせるのに必要な消化時間に関して定義 された。 以下の試薬を用いた:リン酸塩緩衝液−リン酸二水素カリウム(340g)およ び水酸化ナトリウム(25.3g)を水に溶解させ、約2リットルに希釈した。緩衝 液を室温まで冷却し、pHを6.2±0.1に調節した。緩衝液をメスフラスコ中で2 リットルに希釈した。デンプン基質−10グラム(乾燥物質)の可溶性リンターデ ンプンを50mlの水中に懸濁させ、約300mlの熱湯中で洗浄した。懸濁液を再 度沸騰させて、一定に撹拌しながら5分間に亘り沸騰させた。デンプン溶液を一 定に撹拌しながら室温まで冷却し、125mlのリン酸塩緩衝液を加えた。この溶 液を水で500mlまで希釈した。デンプン基質は毎日新鮮なものを作成した。原 料ヨウ素溶液−ヨウ素結晶(5.5g)およびヨウ化カリウム(11.0g)を水中に 溶解させ、250mlまで容積的に希釈した。溶液は光から遠ざけた。希釈ヨウ素 溶液−ヨウ化カリウム(20g)および2mlの原料ヨウ素溶液を水中に溶解させ 、500mlまで容積的に希釈した。溶液は毎日新鮮なものを作成した。酵素希釈 溶液−塩化カルシウム(11.1g)を4リットルの水に溶解させた。全ての試薬に 用いた水は、蒸留したものか、脱イオンしたものであった。 未知のα−アミラーゼ試料を酵素希釈溶液により10-15LU/ml(以下に定 義するように)の間に希釈した。多くの市販のα−アミラーゼ配合物に関して、 適切な希釈は2000倍であることが分かった。希釈ヨウ素溶液の5ミリリットルの アリコートを13×100mmの試験管中に分配し、23×200mmの試験管中に10ml のデンプン基質を配置した。全ての試験管を30℃の水浴中に配置した。特別のα −アミラーゼカラーディスクを備えたヘリゲコンパレータ(カタログ番号620-s5 )を用いて読取りを行った。5ミリリットルの希釈酵素(30℃である)をデンプ ン基質と混合し、計時を開始した。適切な時間間隔で、例えば、反応の初期には 1分間隔および反応の後期には15秒間隔で、酵素基質混合物の1mlのアリコー トを、温度が調節された希釈ヨウ素溶液を含有する試験管に移した。デンプンヨ ウ素溶液を混合して、13mlの精密角管に移し、ヘリゲコンパレータ内の標準α −アミラーゼカラーディスクと比較した。終了時点の時間が近づくと、0.25秒間 隔で試料を採取した。 試料の色およびカラーディスクを一致させるのに必要な時間を記録し、活性( 1グラムまたは1ml当たりのリケフォン(liquefons))を以下の式により計算 した: ここで、LU= リケフォン単位 V= 酵素の容積(5ml) t= コ精化時間(分) D= 希釈因子:希釈容積÷希釈酵素のミリリットルまたはグラム 実施例2 デンプン液化条件− 液化したデンプンDE(ブドウ糖当量)の測定 5.5インチの高さで約10インチの直径のコイル中に曲げられた、0.24インチの 直径(0.21インチの内径)で50フィートのステンレス鋼管からなる反応器を用い て、デンプンの液化を行った。コイルには、先端から4フィートのところに11.5 インチの直列スタティックミキサ(コールパーマーG-044669-60番)が取り付け られていた。コイルの後端には、約20psiの分解圧力に設定されたスワゲロク (Swagelok)直列調節可能圧力開放弁(SS-4CA-3番)が取り付けられていた。デン プンスラリーを、ピストン計量型ポンプにより約70ml/分の速度でコイルに供 給した。105.5℃に加熱されたグリセロール−水浴中に浸漬することにより、コ イルを加熱した。浴中の温度は、循環加熱器/温度制御装置(フィッシャーサイ エンティフィックモデル7305)を用いて保持した。 顆粒状デンプンは、トウモロコシ湿式磨砕器から得て、2日以内に用いた。デ ンプンの別の供給源として、インディアナ州、ハモンドのアメリカンメイズプロ ダクツ社から、LO−DEX(登録商標)10(トウモロコシデンプンの制限され た加水分解により製造された水溶性精製デキストリン)を購入した。ここで使用 したLO−DEX10は、約9.5の初期DEを有していた。 デンプンまたはマルトデキストリンを脱イオン水により約30-35%乾燥固体の 所望の固体レベル希釈し、必要に応じてpHを2.5%のNaOHまたは6%のH Cl により調節した。カルシウムをCaCl2・2H2Oの形態で加えた。典型的な液 化条件は: デンプンまたは LO−DEX10 30%−35%固体 カルシウム 40-60ppm(30ppm追加) pH 5.0-6.0 α−アミラーゼ 炭水化物1g当たり12-14LU(乾燥基準) 酵素およびCaCl2・2H2Oの形態のカルシウムを含有するデンプンまたは LO−DEX10を約70ml/分で反応器中に導入した。反応器の温度は、グリセ ロール−水浴中に反応器を浸漬することにより、105.5℃に保持した。デンプン 試料を反応器から95℃の第2段階の液化浴に移して、90分間保持した。Standard Analytical Method of the Member Companies of the Corn Refiners Associat ion,Inc.,Sixth ed.,Analytical Procedure Cmmittee(1980)に記載されてい る方法にしたがって、試料のブドウ糖当量(DE)を測定することにより、第2 段階液化の直後にデンプン液化の程度を測定した。 実施例3 フィテートのHPLC分析 以下のように、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によりフィテートの 分析を行った。ミリポア/ウォータース、モデル510ウォータース自動勾配制御 装置と、ポロス20PI/M樹脂(パーセプティブバイオシステム)が充填された 250mmの4.6mm(内径)のカラムと、ディオネクス陰イオン阻害器およびディ オネクスSRS制御装置が備え付けられたディオネクス導電率検出器とからなる HPLCシステムを用いた。市販のフィテート、トウモロコシグルテン流由来の EIC、粉にひかれた全トウモロコシ、浸漬液、粉にひかれた全小麦粉、粉にひ かれた米、および顆粒状デンプン由来のEICの試料を脱イオン水により10-200 mg/Lフィテートの間に希釈して、濾過して不溶性物質を除去した。20-500m lの間の試料を(フィテートの濃度に依存して)カラム中に注入して、1.3ml /分の流速で2分間に亘りカラムを水で洗浄した。2分後、0から40mMのNa OHの線形勾配を開始し、1.3ml/分の流速で次の20分間に亘り処理した。 フィテートは、約15分後にカラムから溶離した。ナトリウムフィテート(シグ マケミカル社、P8810番)の一連の線形希釈を用いて導電率検出器の応答を校正 した。各々の供給源からのEICは、市販のフィテートと同一の溶離ピークとな ることが分かった。 実施例4 トウモロコシグルテン流からのEICの単離 以下のように、トウモロコシ湿式磨砕装置内のトウモロコシ内胚乳分別中に製 造されたタンパク質が豊富なデンプン流(トウモロコシグルテン流と呼ばれる) から、α−アミラーゼを不活化または阻害する組成物を単離した。不溶性タンパ ク質およびデンプン顆粒を遠心分離(15分間に亘り約6000×g)によりトウモロ コシグルテン分画(約18.6%の固体)から除去した。上澄みを、ワットマン3番 濾紙に通す真空濾過によりさらに透明にした。濾液を、5,000の分子量で区別し たポリスルホン中空繊維カートリッジ(A/Gテクノロジー社、モデルUFP-5-D- 4)を用いた限外濾過により分別した。限外濾過段階からの約1200mlの濾液を 、1NのNaOHを添加することによりpH9に調節した。形成された沈殿物を 遠心分離(10分間に亘り約6000×g)により回収し、水中の再懸濁により洗浄し た。 遠心分離(10分間に亘り約6000×g)により沈殿物を洗浄水から回収した後、 沈殿物を約500mlの水中で再懸濁させ、3MのHClを滴下で加えて、pHを ゆっくりと5に調節することにより溶解させた。溶液をワットマン3番濾紙に通 して、不溶解物質を除去して、濾液を約4℃に冷却した。2倍の容積のエタノー ル(4℃で)を濾液に加えて、形成された沈殿物をフリット化ガラスフィルタに 通す濾過により回収した。沈殿物を冷たいエタノールで洗浄し、回収し、室温で 真空中に配置して、乾燥させた。 1200mlの限外濾過により、3.04gのEICが得られた。 実施例5 低pHでの液化中におけるEICによるα−アミラーゼの阻害 実施例4で単離したEIC(0から200mg/リットル)を、50ppmのカル シウムを含有する35%のLO−DEX10(pH5.2)に加えた。α−アミラーゼ (B.licheniformisにより産生され、カリフォルニア州、サウスサンフランシス コの ジェネンカーインターナショナル社から市販されている、スペザイムAA20) を12LU/g炭水化物の率で加え、必要に応じて、2.5%のNaOHまたは6% のHClを加えることにより、溶液のpHをpH5.2に調節し、維持した。実施 例2に記載した反応器系を用いて、溶液を加水分解した。LO−DEX10の加水 分解の程度を、2回目の停止の直後にブドウ糖当量(DE)により測定した。 表1は、EICの濃度が増加するにつれ、液化されたLO−DEX10の最終D E(初期DE9.5)が減少することを示している。これは、α−アミラーゼの阻 害が増大したことを示している。 この実施例から分かるように、EICの存在により、pH5.2でのα−アミラー ゼの効率が減少する。 実施例6 α−アミラーゼのEIC阻害のpH依存性 実施例4で単離したEIC(200mg/リットル)を、50ppmのカルシウム を含有する35%のLO−DEX10に加え、pHを約6.0または5.2に調節した。α −アミラーゼ(B.licheniformisにより産生され、ジェネンカーインターナショ ナル社から市販されている、スペザイムAA20)を12LU/g炭水化物の率で 加え、必要に応じて、2.5%のNaOHまたは6%のHClを加えることにより 、溶液のpHをpH5.2または6.0に調節し、維持した。実施例2に記載した反応 器系および方法を用いて、溶液を加水分解した。同一であるが、EICを含有し ない対照を、試験試料と同時にpH5.2および6.0で作成した。LO−DEX10の 加水 分解の程度を、2回目の停止の直後にブドウ糖当量(DE)により測定した。 結果を表2に示す。これから分かるように、LO−DEX10の加水分解中のE ICによるα−アミラーゼの阻害は、pH依存性である。pH6.0では、200mg /LのEICを添加しても、たった約6%のみしかDEの結果が減少しなかった 。pH5.2では、DEの結果は、約65%減少した。 実施例7 EICの元素分析 実施例4におけるようにトウモロコシグルテン分画から単離したEICに、原 子吸光分光分析法により元素分析を行った(テネシー州、ノックスビルのギャル ブレイスラボラトリー社)。結果を表3に示す。 この分析は、フィチン酸のマグネシウム、マンガン、亜鉛または鉄の塩の混合 物であるという分析と矛盾していなかった。その結果、EICについて、実施例 3に記載したようなHPLC分析によりフィテート含有量に関して分析した。こ の分析は、EICの陰イオン成分が実質的にフィテートからなることを示した。 実施例8 粉にひかれた全トウモロコシからのEICの単離 250gの粉にひかれた全トウモロコシを500gの脱イオン水中に懸濁させ、得ら れたスラリーのpHを6%のHClにより4に調節した。このスラリーを約8時 間に亘り撹拌し、次いで、約10時間に亘り放置した。スラリーをワットマン3番 の濾紙を用いた濾過により分離し、濾液(約310g)を1MのNaOHでpH9 に調節した。生成した沈殿物を0.45mの精密濾過膜に通す濾過により回収し、水 で洗浄した。沈殿物を水中に懸濁させて溶液とし、pHを6%のHClをゆっく りと添加することにより5に調節した。溶液を濾過して不溶性物質を除去し、約 4℃に冷却した。2倍の容積の冷たいエタノールを加え、形成した沈殿物を遠心 分離により回収した。この沈殿物を冷たいエタノールで1度洗浄し、室温の真空 下で1晩乾燥させた。 250gの粉にひかれた全トウモロコシから、0.772gのEICを回収した。実施 例3のように、EICを、その特徴的なフィテートの存在に関して、HPLC分 析により確認した。pH5.2でLO−DEX10の液化混合物に単離したEICを 加え、α−アミラーゼが阻害されたか否かを求めることにより、EICの同定を 行った。CaCl2・2H2Oの形態で50ppmのカルシウムイオンを含有する35 %のLO−DEX10に粉にひかれた全トウモロコシからのEIC(200mg/リ ットル)を加え、pHを約5.2に調節した。α−アミラーゼ(B.licheniformis により産生され、ジェネンカーインターナショナル社から市販されている、スペ ザイムAA20)を12LU/g炭水化物の率で加え、必要に応じて、2.5%のN aOHまたは6%のHClを加えることにより、溶液のpHをpH5.2に調節し た。実施例2に記載した反応器系および方法を用いて、溶液を加水分解した。同 一であるが、EICを含有しない対照を、試験試料と同時にpH5.2で作成した 。LO−DEX10の加水分解の程度を、2回目の停止の直後にブドウ糖当量(D E)により測定した。 下記の表4に示した試験の結果は、上述したトウモロコシグルテン流から単離 したEICを用いたときに得られた結果と一致している。 粉にひかれた全トウモロコシから単離したEICのHPLC分析は、実施例3 のように行った。15mg/LのEIC溶液100マイクロリットルをHPLCカラ ムに注入し、フィテートとして溶離時間により同定されたたった1つの陰イオン ピークが物質中に認められた。HPLC分布は、トウモロコシグルテン分画から 単離したEICのものと実質的に同一であった。 実施例9 トウモロコシ浸漬液からのEICの単離 ロコシ浸漬液、すなわち、蒸発浸漬水濃縮物を遠心分離により浄化した。1リッ トルの浄化液を、5MのNaOHを加えることにより、pH4.2から8.1に調節し た。得られた沈殿物を遠心分離により採集し、水中に懸濁させて沈殿物を洗浄し 、再度遠心分離により採集した。沈殿物を約400mlの水中に懸濁させ、6%の HClをゆっくりと添加することにより、スラリーのpHを約4に調節した。沈 殿物が溶解した後、溶液をワットマン3番濾紙に通して濾過し、不溶性物質を除 去し、濾液を約4℃に冷却した。2倍の容積の氷冷したエタノールを加えること により、EICが溶液から沈殿し、遠心分離により採集した。沈殿物を冷たいエ タノールで1度洗浄し、遠心分離により採集し、室温で真空乾燥させた。 1リットルの重いトウモロコシ浸漬液から、23.3gのEICを回収した。pH 5.2でのLO−DEX10の加水分解中のα−アミラーゼ不活化の評価およびフィ テートのHPLC分析により、EICを同定した。 α−アミラーゼを用いた液化へのトウモロコシ浸漬液からのEICの影響を求 めるために、CaCl2・2H2Oの形態で50ppmのカルシウムイオンを含有す る35%のLO−DEX10に200mg/リットルを加え、pHを約5.2に調節した。 α−アミラーゼ(B.licheniformisにより産生され、ジェネンカーインターナシ ョナル社から市販されている、スペザイムAA20)を12LU/g炭水化物の率 で加え、必要に応じて、2.5%のNaOHまたは6%のHClを加えることによ り、溶液のpHをpH5.2に調節した。実施例2に記載した反応器系および方法 を用いて、溶液を加水分解した。同一であるが、EICを含有しない対照を比較 のためにpH5.2で作成した。LO−DEX10の加水分解の程度を、2回目の停 止の直後にブドウ糖当量(DE)により測定した。EICを加えないことを除い て同一の対照をpH5.2で作成した。 結果を表5に示しす。これらの結果は、上述したトウモロコシグルテン流から 単離したEICを用いたときに得られた結果と一致している。 トウモロコシ浸漬液から単離したEICのHPLC分析を実施例3に記載したよ うに行った。200mg/LのEIC溶液100マイクロリットルをHPLCカラムに 注入し、フィテートとして溶離時間により同定されたたった1つの陰イオンピー クが物質中に認められた。HPLC分布は、トウモロコシグルテン分画から単離 したEICのものと実質的に同一であった。 実施例10 顆粒状トウモロコシデンプン中のEICの同定 トウモロコシ湿式磨砕からの顆粒状トウモロコシデンプンスラリーをワットマ ン3番濾紙で濾過して、デンプン顆粒から水を分離した。顆粒状デンプンを脱イ オン水中に再懸濁させ、再度濾過して、不溶性デンプンから水溶性成分を除去し た。次いで、顆粒状デンプンを水中に再懸濁させて、35%の固体まで希釈した。 B.licheniformisからのα−アミラーゼ(12LU/g炭水化物)(ジェネンカー インターナショナル社から市販されているスペザイムAA20)およびカルシウ ム(50ppm)を加え、実施例2に記載したように、pH5.2で顆粒状デンプン スラリーを液化した。 トウモロコシデンプンスラリーの最初の濾過より回収した水を用いてLO−D EX10を溶解させ、35%の固体溶液を調製した。α−アミラーゼ(12LU/g炭 水化物)およびCaCl2・2H2O(50ppm)として加えられるカルシウムイ オンを加え、実施例2に記載したようにpH5.2で溶液を液化した。トウモロコ シデンプンスラリーからの濾過水ではなくむしろ、脱イオン水中に溶解したLO −DEX10を含有する対照を同時に液化した。 HPLCによりEICに特徴的なフィテートの存在について分析したときに、 顆粒状デンプンスラリーからの濾過水中には、EICは検出されなかった。しか しながら、pH6で液化した顆粒状トウモロコシデンプンのHPLC分析では、 実施例4においてトウモロコシグルテンから単離したEICと同一の物質の存在 を示す溶離ピークが検出された。HPLC分析は、30重量%固体の液化顆粒状デ ンプン1リットル当たり30から40mgのフィテートの存在が示された。顆粒状デ ンプン濾過水と混合したマルトデキストリン中のα−アミラーゼの液化結果と、 脱イオン水と混合したLO−DEX10中のα−アミラーゼの液化結果とを比較す ると、顆粒状デンプン中に存在するEICは、洗浄により除去できないことを確 認された。したがって、下記の表6に示したように、これらの実験結果は、デン プン液化中にα−アミラーゼの不活化の原因であるEICは、溶液中で遊離して おらず、デンプン顆粒に会合していることを示唆している。 実施例11 EICのフィターゼによる不活化 実施例4において単離した20mlのEICを30分間に亘りpH2.5、37℃で500 単位のフィターゼ(シグマケミカル社のA.ficuum、P9792から)により処理した 。10mlの処理EICをLO−DEX10に加えて、CaCl2・2H2Oとして加 えられた50ppmのカルシウムイオンおよび200mg/lのEICを含有する35 %のLO−DEX10溶液1リットルを得た。B.licheniformis由来のα−アミラ ーゼ(ジェネンカーインターナショナル社から市販されているスペザイムAA2 0)を12LU/g炭水化物の率で加えて、上述した実施例2に記載した反応器系 および方法を用いて、pH5.2で溶液を液化した。EICを加えていないLO− DEX10および200mg/mlの未処理EICを含有するLO−DEXI0からな る対照を同時に液化した。表7に示したように、フィターゼ処理により、EIC を不活化し、したがって、α−アミラーゼを阻害する能力を防いだ。 実施例12 顆粒状トウモロコシデンプンのフィターゼ処理 CaCl2・2H2Oとして加えられた約50ppmのカルシウムイオンを含有す る34%の顆粒状トウモロコシデンプン1リットルにフィターゼ(ミズーリ州、セ ントルイスのシグマケミカル社から得られる250単位/mlのA.ficcum5ml、 製品番号P9792からの)を加え、37℃、pH4.0で5時間に亘り保温した。保温後 、顆粒状デンプンスラリーのpHを5.2に調節して、B.licheniformisからの12 LU/g炭水化物のα−アミラーゼ(ジェネンカーインターナショナル社から市 販されているスペザイムAA20)を顆粒状デンプンスラリーに加えた。この混 合物を実施例2に記載した反応器系を用いて液化した。フィターゼにより処理し なかった34%の顆粒状トウモロコシデンプンスラリーを用いたpH5.2の対照液 化を同時に行った。 第2の試験において、CaCl2・2H2Oとして加えられた約50ppmのカル シウムイオンを含有する35%の顆粒状トウモロコシデンプンスラリー1リットル とともに55℃、pH5.15で6時間に亘りフィターゼ(小麦からの、シグマケミカ ル社P1259、160単位)を保温した。保温後、顆粒状デンプンスラリーのpHをp H5.5に調節して、B.licheniformisからの12LU/g炭水化物のα−アミラー ゼ(ジェネンカーインターナショナル社から市販されているスペザイムAA20 )をスラリーに加えた。この混合物を実施例2に記載した反応器系および方法を 用いて液化した。フィターゼにより処理しなかった35%の顆粒状トウモロコシデ ンプンスラリーを用いたpH5.5の対照液化を同時に行った。 表8に示すように、液化前に顆粒状トウモロコシデンプンをフィターゼ処理す ることにより、α−アミラーゼの低pHでデンプンを加水分解する能力が増大す る。 実施例13 EICを含有するマルトデキストリンの熱濾過 実施例4のように単離したEIC(200mg/リットル)を、CaCl2・2H2 Oの形態で加えられる50ppmのカルシウムを含有する35%の重量/重量LO −DEX10に加え、pHを約5.2に調節した。この溶液を2部に分けた。一方を 約100℃に加熱して、熱い間に直ちにワットマン3番の濾紙に通して真空濾過し た。他方を室温で(例えば、20-25℃)ワットマン3番の濾紙に通して真空濾過 した。α−アミラーゼ(B.licheniformisにより産生され、ジェネンカーインタ ーナショナル社から市販されている、スペザイムAA20)を12LU/g炭水化 物の率で加え、必要に応じて、2.5%のNaOHまたは6%のHClを加えるこ とにより、各々の溶液のpHをpH5.2に調節した。実施例2に記載した反応器 系および方法を用いて、各々の溶液を加水分解した。LO−DEX10の加水分解 の程度を、2 回目の停止の直後にブドウ糖当量(DE)により測定した。加水分解の前に採取 した両方の溶液の試料を、実施例3に記載したように、フィテートに関して分析 した。 表9に示すように、約100℃でのEIC含有LO−DEX10の濾過により、溶 液から約75%のEICが除去される。その結果、pH5.2での液化中にわずかし かα−アミラーゼが不活化されず、得られた水解物のDEは実質的に大きかった 。 実施例14 玄米からのEICの単離 小さなコーヒーミルを用いて、バスマチ(Basmati)玄米(ランドバーグミルス から市販されている)を微粉のコンシステンシーまで粉にひいた。200グラムの 粉にひかれた米を500mlの脱イオン水に加えて、6%のHClによりpHを約 3に調節した。時折撹拌しながらスラリーを30時間に亘り放置し、次いで、ワッ トマン3番の濾紙に通す真空濾過により分別した。 1MのNaOHを加えることにより、濾液のpHを9に調節し、発生した沈殿 物を遠心分離により回収した。沈殿物を水で1度洗浄し、遠心分離により再度回 収し、水中に再懸濁させた。6%のHClを滴下して加えることにより、懸濁液 のpHをゆっくりと約5に調節し、懸濁液を撹拌して、沈殿物を溶解させた。5 mの精密濾過膜に通す濾過により不溶解物質を除去して、濾液を約4℃に冷却し た。2倍の容積の冷たいエタノールを濾液に加えて、形成した沈殿物を遠心分離 により回収した。沈殿物を冷たいエタノールで1度洗浄し、室温の真空下で乾燥 させた。 200グラムの粉にひかれた米から、0.3571gのEICが得られた。pH5.2での LO−DEX10の加水分解中のα−アミラーゼの不活化の評価およびフィテート に関するHPLC分析により、EICを同定した。 CaCl2・2H2Oとして加えられる50ppmのカルシウムイオンを含有する 35%のLO−DEX10に、粉にひかれた米からのEIC(200mg/リットル) を加え、pHを約5.2に調節した。B.licheniformis由来のα−アミラーゼ(ジ ェネンカーインターナショナル社から市販されている、スペザイムAA20)を 12LU/g炭水化物の率で加え、必要に応じて、2.5%のNaOHまたは6%の HClを加えることにより、溶液をpH5.2に調節した。実施例2に記載した反 応器系および方法を用いて、溶液を加水分解した。LO−DEX10の加水分解の 程度を、2回目の停止の直後にブドウ糖当量(DE)により測定した。これらの 試験の結果を表10に示す。 粉にひかれた米から単離したEICのHPLC分析を実施例3に記載したよう に行った。15mg/LのEIC溶液100マイクロリットルをHPLCカラムに注 入し、フィテートとして溶離時間により同定されたたった1つの陰イオンピーク が試料中に認められた。HPLC分布は、トウモロコシグルテン分画から単離し たEICのものと実質的に同一であった。 実施例15 全小麦粉からのEICの単離 12mMのD,L−ジチオトレイトール(シグマケミカル社)を含有する500m lの脱イオン水に200グラムの市販の全小麦粉(アローヘッドミルスから市販さ れている)を加えた。6%のHClによりスラリーのpHを約3に調節して、時 折撹 拌しながら、約30時間に亘りスラリーを室温で放置した。このスラリーを遠心分 離により分別した。 1MのNaOHを加えることにより、濾液のpHを9に調節し、形成した沈殿 物を遠心分離により回収した。沈殿物を水により1度洗浄し、遠心分離により再 度回収し、水中に再懸濁させた。6%のHClを滴下により加えて、懸濁液のp Hをゆっくりと約5に調節し、懸濁液を撹拌して沈殿物を溶解させた。5mの精 密濾過膜に通す濾過により、不溶解物質を除去し、濾液を約4℃に冷却した。2 倍の容積の冷たいエタノールを濾液に加え、形成した沈殿物を遠心分離により回 収した。沈殿物を冷たいエタノールにより1度洗浄し、室温の真空下で乾燥させ た。 200グラムの全小麦粉から、0.385gのEICが得られた。pH5.2でのLO− DEX10の加水分解中のα−アミラーゼの不活化の評価およびフィテートに関す るHPLC分析により、EICを同定した。 50ppmのカルシウムを含有する35%のLO−DEX10に、全小麦粉からのE IC(150mg/リットル)を加え、pHを約5.2に調節した。B.licheniformis 由来のα−アミラーゼ(ジェネンカーインターナショナル社から市販されている 、スペザイムAA20)を12LU/g炭水化物の率で加え、必要に応じて、2.5 %のNaOHまたは6%のHClを加えることにより、溶液のpHをpH5.2に 調節した。実施例2に記載した反応器系および方法を用いて、溶液を加水分解し た。 比較のためにEICを含有しない対照を同一条件下で作成した。LO−DEX 10の加水分解の程度を、2回目の停止の直後にブドウ糖当量(DE)により測定 した。これらの試験の結果を表11に示す。 全小麦粉から単離したEICのHPLC分析を実施例3に記載したように行っ た。15mg/LのEIC溶液100マイクロリットルをHPLCカラムに注入し、 フィテートとして溶離時間により同定されたたった1つの陰イオンピークが試料 中に認められた。HPLC分布は、トウモロコシグルテン分画から単離したEI Cのものと実質的に同一であった。 実施例16 95 ℃への加熱によるEICの沈殿 50ppmのカルシウムイオン(CaCl2・2H2Oとして加えられる)を含有 する35%の重量/重量のLO−DEXI0に、実施例4のように単離したEIC( 200mg/L)を加え、2.5%のNaOHによりpHを5.2に調節した。LO−D EX10の溶液を2部に分けた。一方の溶液を実施例2に記載した反応器に通過さ せることにより、約6分間に亘り95℃に加熱した。反応器に通過させた後、12L U/gの炭水化物の速度で溶液にα−アミラーゼ(B.licheniformisにより産生 され、ジェネンカーインターナショナル社から市販されている、スペザイムAA 20)を加えた。次いで、溶液を90分間に亘り95℃で保温した。90分間の保温の 直後にLO−DEX10の加水分解の程度をブドウ糖当量(DE)により測定した 。 もう一方のEIC含有マルトデキストリン溶液にα−アミラーゼ(12LU/g 、B.licheniformisにより産生され、ジェネンカーインターナショナル社から市 販されている、スペザイムAA20)を添加し、温度が95℃であったことを除い て、実施例2に記載したように反応器系に通した。次いで、この溶液を90分間に 亘り95℃で保温した。90分間の保温の直後に、LO−DEX10の加水分解の程度 をブドウ糖当量(DE)により測定した。比較のために、同一であるがEICを 含有しない対照をpH5.2で同時に作成した。 表12に示すように、試験の結果は、液化中にα−アミラーゼを不活化するE ICの能力を加熱により低減できることを示している。 実施例17 105.5 ℃への加熱によるマルトデキストリンからのEICの沈殿 50ppmのカルシウムイオン(CaCl2・2H2Oとして加えられる)を含有 する35%の重量/重量のLO−DEX10に、実施例4のように単離したEIC( 200mg/L)を加え、2.5%のNaOHによりpHを5.2に調節した。LO−D EX10の溶液を2部に分けた。一方の溶液を実施例2に記載した反応器に通過さ せることにより、約6分間に亘り105.5℃に加熱した。反応器に通過させた後、1 2LU/gの炭水化物の率で溶液にα−アミラーゼ(B.licheniformisにより産 生され、ジェネンカーインターナショナル社から市販されている、スペザイムA A20)を加えた。次いで、溶液を90分間に亘り95℃で保温した。90分間の保温 の直後にLO−DEX10の加水分解の程度をブドウ糖当量(DE)により測定し た。 もう一方のEIC含有マルトデキストリン溶液にα−アミラーゼ(12LU/g 、B.licheniformisにより産生され、ジェネンカーインターナショナル社から市 販されている、スペザイムAA20)を添加し、105.5℃の温度で、実施例2に 記載したように反応器系に通した。次いで、この溶液を90分間に亘り95℃で保温 した。90分間の保温の直後に、LO−DEX10の加水分解の程度をブドウ糖当量 (DE)により測定した。比較のために、同一であるがEICを含有しない対照 をpH5.2で同時に作成した。 表13に示すように、試験の結果は、液化中にα−アミラーゼを不活化するE ICの能力をα−アミラーゼの添加の前の加熱により低減できることを示してい る。 EICを加えずに、熱処理を行わない対照と比較した場合、EICを加え、熱処 理を行った後に観察されたDEの増加の原因は、LO−DEX10中にEICが存 在することであると考えられている。 もちろん、上述した好ましい実施の形態に、幅広い変更を行っても差し支えな い。したがって、上述した詳細な記載は、本発明の範囲を定義するのは、全ての 同等のものを含む請求の範囲であるものと理解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),AU,BR,CA,C N,CZ,FI,HU,JP,KR,MX,NO,NZ ,PL,RU,VN (72)発明者 ミッチンソン,コリン アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94080 サウス サンフランシスコ キン ボール ウェイ 180 ジェネンコア イ ンターナショナル インコーポレーテッド 内 (72)発明者 ソルヘイム,リーフ ピー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94080 サウス サンフランシスコ キン ボール ウェイ 180 ジェネンコア イ ンターナショナル インコーポレーテッド 内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.デンプンを液化する方法であって、 (a) 前記デンプンを液化する前または同時に該デンプンを処理して、該デンプ ン中に存在する酵素阻害組成物を不活化および/または除去して、処理デンプン を形成し、 (b) 該デンプンにα−アミラーゼを加え、 (c) 該処理デンプンを液化するのに効果的な時間と温度で該処理デンプンを反 応させる各工程からなることを特徴とする方法。 2.前記工程(a)が、フィテート分解活性を有する酵素を前記デンプンに添加す る工程からなることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 3.前記フィテート分解活性を有する酵素が、前記α−アミラーゼと同時に添加 されることを特徴とする請求の範囲2記載の方法。 4.前記フィテート分解活性を有する酵素が、デンプン1グラム当たり約0.1か ら約100までの間のフィターゼ単位濃度で添加されることを特徴とする請求の範 囲2記載の方法。 5.前記工程(a)が、前記α−アミラーゼの添加の前に、前記デンプンを約80℃ から約150℃までの間の温度に加熱して前記酵素阻害組成物を不活化する工程か らなることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 6.遠心分離により前記酵素阻害組成物を除去する工程を含むことを特徴とする 請求の範囲5記載の方法。 7.前記遠心分離が、前記デンプンの温度の上昇に続いて、または同時に行われ ることを特徴とする請求の範囲6記載の方法。 8.前記工程(b)が前記工程(a)と同時に行われることを特徴とする請求の範囲1 記載の方法。 9.前記工程(b)が前記工程(a)に続いて行われることを特徴とする請求の範囲1 記載の方法。 10.前記工程(c)が6.0未満のpHで行われることを特徴とする請求の範囲1記載 の方法。 11.前記工程(c)が約4.5から約5.7までの間のpHで行われることを特徴とする 請求の範囲1記載の方法。 12.前記工程(c)が約4.5から約5.2までの間のpHで行われることを特徴とする 請求の範囲1記載の方法。 13.前記工程(a)の前に、約60℃から約90℃までの間の温度でα−アミラーゼを 前記デンプンに加えて、該デンプンから前記酵素阻害組成物を開放することを特 徴とする請求の範囲9記載の方法。 14.前記工程(a)が、前記酵素阻害組成物を不活化するのに十分な時間と温度で 前記デンプンを加熱することにより、前記α−アミラーゼの添加後に熱処理を行 って該デンプンから該酵素阻害組成物を開放する工程からなることを特徴とする 請求の範囲13記載の方法。 15.加水分解酵素を不活化する方法であって、該加水分解酵素を含有する水性混 合物に酵素阻害組成物を添加する工程からなることを特徴とする方法。 16.前記加水分解酵素がα−アミラーゼからなることを特徴とする請求の範囲13 記載の方法。 17.前記酵素阻害組成物がフィテートまたはその塩からなることを特徴とする請 求の範囲14記載の方法。 18.5.0未満のpHでのα−アミラーゼおよび水性デンプンの混合物からなる組 成物であって、酵素阻害組成物を実質的に含まないことを特徴とする組成物。
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