JPH1149670A - 局所麻酔用経皮吸収型製剤 - Google Patents

局所麻酔用経皮吸収型製剤

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JPH1149670A
JPH1149670A JP9221988A JP22198897A JPH1149670A JP H1149670 A JPH1149670 A JP H1149670A JP 9221988 A JP9221988 A JP 9221988A JP 22198897 A JP22198897 A JP 22198897A JP H1149670 A JPH1149670 A JP H1149670A
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rubber
lidocaine
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JP9221988A
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Kouji Kawahara
康慈 川原
Yasuhiko Aramomi
康彦 新籾
Tetsuaki Matsuda
哲晃 松田
Mikio Suzuki
幹夫 鈴木
Hiroshi Nukazuka
ひろし 糠塚
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Nichiban Co Ltd
Original Assignee
Nichiban Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 即効性に優れた局所麻酔用経皮吸収型製剤を
提供すること。 【解決手段】 支持体上に、局所麻酔薬を含有するゴム
系粘着剤組成物層を形成した局所麻酔用経皮吸収型製剤
において、該ゴム系粘着剤組成物層が、経皮吸収促進剤
として、N−メチル−2−ピロリドンを含有することを
特徴とする局所麻酔用経皮吸収型製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、局所麻酔用経皮吸
収型製剤に関し、さらに詳しくは、皮膚面に貼付するだ
けで、比較的短時間で十分な麻酔効果を得ることができ
る局所麻酔用経皮吸収型製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】局所麻酔剤は、一般に手術の際に用いら
れるものであり、適応部位の神経伝達を遮断し、手術の
際の疼痛を消失させる薬物である。近年、皮膚科及び歯
科領域の手術では、局所麻酔のために、リドカインなど
の局所麻酔薬の注射が行われている。また、臨床の場に
おいて、静脈路確保のための留置針処置時の疼痛除去、
あるいは、硬膜外麻酔や脊椎麻酔における穿刺時の疼痛
除去は、患者を苦痛から解放したり、医療処置を容易に
する上で必要とされているが、そのために、局所麻酔薬
を皮内または皮下注射している。
【0003】しかしながら、局所麻酔薬の注射剤は、注
射時の疼痛が強いという問題点を有しており、特に、幼
年者や高齢者には疼痛緩和の配慮が求められている。ま
た、局所麻酔薬を注射すると、膨疹により血管走行が見
にくくなるという問題点もある。そのため、患者に負担
を与えない局所麻酔法や局所麻酔用製剤の開発が望まれ
ている。そこで、従来より、注射剤にかわるものとし
て、局所麻酔薬を含有する軟膏や貼付剤等について幾つ
かの提案がなされている。
【0004】例えば、特公平6−18787号公報に
は、グリチルリチン系化合物を吸収促進剤とする局所麻
酔用軟膏が提案されている。しかしながら、一般に、軟
膏は、投薬量の制御が困難である、塗布した軟膏が
衣服等を汚す、治療時に軟膏を除去して部位を清浄に
する手間がかかる、製剤中の溶剤が揮散して薬剤が結
晶化し、経皮吸収性が低下するなどの問題点がある。ま
た、局所麻酔薬の軟膏、ゼリー、液体などは、一般に、
粘膜に対しては有効であるものの、皮膚に対する麻酔効
果は十分ではない。
【0005】特開平4−305523号公報には、水溶
性高分子物質、水、及び保水剤を必須成分とする粘着性
ゲル基剤に、リドカインまたはその塩を1〜10重量%
配合してなる薬物保持層を支持体上に設けたリドカイン
含有外用貼付剤が提案されている。しかしながら、該公
報に記載されている成分及び薬剤配合量では、十分な麻
酔効果を得ることが困難であり、特に、短時間での局所
麻酔効果を発現することが難しい。また、このような水
性ゲル基剤(ハイドロゲル)は、薬剤配合量を増やすな
どして薬剤の放出性を改善したとしても、一般に厚みが
大きく、貼付中に違和感がある。さらに、水性ゲル基剤
は、疎水性の配合物が分離しやすいという欠点がある。
【0006】このような軟膏剤や水性ゲル基剤の問題点
を改善するものとして、局所麻酔用経皮吸収型製剤(局
所麻酔用テープ剤)が注目されている。例えば、特開平
4−208229号公報及び特開平6−145051号
公報には、柔軟な担持体と、該担持体上に設けた局所麻
酔薬を40〜65重量%含有する感圧性接着剤層とから
なる経皮吸収製剤が提案されている。感圧性接着剤層
は、具体的には、アクリル系感圧接着剤から形成されて
いる。局所麻酔薬としてリドカインを含有するリドカイ
ンテープ剤について、手術予定患者における静脈留置穿
刺時の疼痛に対する臨床的有用性の検討が行われ、その
結果、リドカインの至適濃度は60重量%で、至適貼付
時間は30〜90分間と推定されると報告されている
(基礎と臨床−Vol.26,No.9,Aug.’9
2,p.261−276)。最近、貼付用局所麻酔剤と
して、リドカインを60重量%含有するリドカインテー
プ剤が市販されるに至っている。
【0007】このリドカインテープ剤は、アクリル系感
圧接着剤にリドカインを過飽和に含有させることによ
り、リドカインの皮膚透過性を確保しており、30分間
の貼付により、静脈留置穿刺時の疼痛緩和が認められる
とされている。しかし、臨床の場において、この種の薬
剤は、無痛状態が確実に達成されてはじめて効果がある
と判断されるため、従来のリドカインテープ剤の臨床現
場での使用法としては、患部へ90〜120分間程度は
貼付する必要があるといわれている〔臨床麻酔−Vo
l.20(2),p.195(1996)〕。したがっ
て、従来のリドカインテープ剤は、投薬管理や患者のコ
ンプライアンス上の問題があった。
【0008】テープ剤において、薬剤を担持する感圧接
着剤(粘着剤)として、アクリル系感圧接着剤を使用す
ると、一般に薬剤の放出性が悪く、局所麻酔薬を含有す
るアクリル系感圧接着剤層を形成した局所麻酔用テープ
剤においても、効果発現までにかなりの時間がかかる。
そこで、前記各公報に記載の貼付剤や市販のリドカイン
テープ剤では、局所麻酔薬をアクリル系感圧接着剤中に
40〜65重量%の高割合で、実際には60重量%程度
の過飽和状態で含有させている。しかし、薬剤含有量が
高すぎると、感圧接着剤層の粘着力が低下する。また、
局所麻酔薬が感圧接着剤中に過飽和状態で存在する場
合、薬剤の熱力学的活動度は一定と考えられ、飽和濃度
を超える量の薬剤の添加は、あまり意味を持たない。
【0009】一方、感圧接着剤として、ゴム系粘着剤を
用いた局所麻酔用テープ剤が提案されている。例えば、
特開平1−299215号公報には、自己接着性マトリ
ックス(すなわち、ゴム系粘着剤)中に、局所麻酔薬を
5〜15重量%の割合で分散した貼付剤タイプの「皮膚
の麻酔と抗菌のための医用デバイス」が提案されてい
る。ところが、この医用デバイスは、切り傷や擦過傷を
有する損傷部位へ抗菌性の麻酔薬を経皮投与することを
主目的として構成されたものであるから、正常皮膚の表
面に貼付しても、麻酔薬の経皮吸収性は十分ではないこ
とが指摘されている(特開平4−208229号公報第
2頁左上欄第14行〜右上欄第12行、特開平6−14
5051号公報第2頁右欄第17〜22行)。そのため
に、従来、ゴム系粘着剤ではなく、アクリル系感圧接着
剤を基剤とする前述の如き局所麻酔用テープ剤が提案さ
れているのである。しかし、この局所麻酔用テープ剤
も、前述のように、即効性が十分ではない。
【0010】局所麻酔用テープ剤を用いて短時間で無痛
状態を確保するには、局所麻酔薬の濃度を上げただけで
は限界がある。しかし、局所麻酔用テープ剤には、使用
方法が簡便であることに加えて、即効性のあることが期
待されている。医者の処置前に局所麻酔用テープ剤を長
時間にわたって貼付しておくことは、適切な処置の確保
や患者の不快感を緩和する上で、できるだけ避けるべき
である。したがって、比較的短時間で十分な麻酔効果を
得ることができる局所麻酔用経皮吸収型製剤の開発が望
まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
品に比べて即効性に優れた局所麻酔用経皮吸収型製剤を
提供することにある。本発明者らは、前記従来技術の問
題点を克服するために鋭意研究した結果、局所麻酔用経
皮吸収型製剤(すなわち、局所麻酔用テープ剤)の基剤
としてゴム系粘着剤を使用し、これにN−メチル−2−
ピロリドンを加えたところ、従来のアクリル系感圧接着
剤を基剤とする局所麻酔用テープ剤に比べて、局所麻酔
薬の皮膚透過量が短時間で顕著に増大することを見いだ
した。また、N−メチル−2−ピロリドンと共に、脂肪
族炭化水素基の炭素原子数がいずれも6〜20の脂肪族
アルコール及びポリオキシエチレン脂肪族エーテルから
なる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を併用する
と、局所麻酔薬の皮膚透過量が相乗的に増大することを
見いだした。本発明の局所麻酔用テープ剤では、局所麻
酔薬を過飽和量で使用することが好ましいが、必ずしも
過飽和量で使用する必要がない。本発明の局所麻酔用テ
ープ剤は、適用が容易で、即効性が顕著に優れ、粘着性
も良好である。基剤としてゴム系粘着剤を用いた局所麻
酔用テープ剤は、局所麻酔薬の経皮吸収性が十分ではな
いという従来の知見からみて、本発明の作用効果は予期
できないものである。本発明は、これらの知見に基づい
て完成するに至ったものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、支持体上に、局所麻酔薬を含有するゴム系粘着剤組
成物層を形成した局所麻酔用経皮吸収型製剤において、
該ゴム系粘着剤組成物層が、経皮吸収促進剤として、N
−メチル−2−ピロリドンを含有することを特徴とする
局所麻酔用経皮吸収型製剤が提供される。また、本発明
によれば、以下のような好ましい実施の態様が提供され
る。 1.該ゴム系粘着剤組成物層が、経皮吸収促進剤とし
て、N−メチル−2−ピロリドンに加えて、脂肪族炭化
水素基の炭素原子数がいずれも6〜20の脂肪族アルコ
ール及びポリオキシエチレン脂肪族エーテルからなる群
より選ばれる少なくとも一種の化合物をさらに含有する
前記の局所麻酔用経皮吸収型製剤。
【0013】2.局所麻酔薬が、アミド型麻酔薬及びエ
ステル型麻酔薬からなる群より選ばれるものである前記
の局所麻酔用経皮吸収型製剤。 3.局所麻酔薬が、コカイン、プロカイン、クロロプロ
カイン、テトラカイン、リドカイン、メビバカイン、プ
リロカイン、プビバカイン、ジブカイン、及びこれらの
薬理学的に許容される塩からなる群より選ばれるもので
ある前記の局所麻酔用経皮吸収型製剤。 4.局所麻酔薬が、リドカインまたはその薬理学的に許
容される塩である前記の局所麻酔用経皮吸収型製剤。 5.脂肪族アルコールが、デシルアルコール、ラウリル
アルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール
またはオレイルアルコールである前記の局所麻酔用経皮
吸収型製剤。
【0014】6.ポリオキシエチレン脂肪族エーテル
が、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテルまたは
ポリオキシエチレン(2)セチルエーテルである前記の
局所麻酔用経皮吸収型製剤。 7.ゴム系粘着剤組成物層が、ベースポリマーとして、
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリイソプレ
ン、及びポリイソブチレンからなる群より選ばれる少な
くとも一種のエラストマーを含有するものである前記の
局所麻酔用経皮吸収型製剤。 8.ゴム系粘着剤組成物層が、エラストマー100重量
部に対して、粘着付与剤を50〜250重量部の割合で
含有するものである前記の局所麻酔用経皮吸収型製剤。
【0015】9.局所麻酔薬を含有するゴム系粘着剤組
成物層が、組成物全量基準で、N−メチル−2−ピロリ
ドンを0.5〜20重量%の割合で含有するものである
前記の局所麻酔用経皮吸収型製剤。 10.局所麻酔薬を含有するゴム系粘着剤組成物層が、
組成物全量基準で、N−メチル−2−ピロリドン0.5
〜20重量%と、脂肪族炭化水素基の炭素原子数がいず
れも6〜20の脂肪族アルコール及びポリオキシエチレ
ン脂肪族エーテルからなる群より選ばれる少なくとも一
種の化合物0.5〜20重量%とを含有するものである
前記の局所麻酔用経皮吸収型製剤。 11.局所麻酔薬を含有するゴム系粘着剤組成物層が、
組成物全量基準で、局所麻酔薬を5〜50重量%の割合
で含有するものである前記の局所麻酔用経皮吸収型製
剤。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の局所麻酔用経皮吸収型製
剤(局所麻酔用テープ剤)では、粘着剤の基剤としてゴ
ム系粘着剤を使用する。ゴム系粘着剤は、通常、エラス
トマーと粘着付与剤を含有している。エラストマーとし
ては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
ク共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチ
レン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン
−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、
ポリイソプレン、ポリイソブチレン、天然ゴムなどを挙
げることができる。これらのエラストマーは、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。これらの中でも、スチレン−イソプレン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体、ポリイソプレン、及びポリイソブチレンか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のエラストマーが
好ましい。
【0017】粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹
脂、テルペン系樹脂等の天然樹脂;C5系やC9系に代
表される石油樹脂、クマロン・インデン樹脂等の合成樹
脂;などが挙げられる。粘着付与剤は、エラストマー1
00重量部に対して、好ましくは50〜250重量部、
より好ましくは100〜200重量部の割合で使用され
る。また、ゴム系粘着剤には、必要に応じて、製剤特性
及び粘着特性を損なわない範囲内で、可塑剤、充填剤、
酸化防止剤などを添加することができる。特に、ブチル
ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤を、エラストマー
100重量部に対して、好ましくは0.5〜5重量部、
より好ましくは1〜3重量部の割合で添加することが望
ましい。エラストマー、粘着付与剤、酸化防止剤などの
ゴム系粘着剤成分は、組成物全量基準で、通常、45〜
75重量%の割合で使用される。
【0018】局所麻酔薬としては、局所麻酔用テープ剤
の分野で一般に使用されているアミド型麻酔薬及びエス
テル型麻酔薬からなる群より選ばれるものが好ましい。
より具体的には、局所麻酔薬として、コカイン、プロカ
イン、クロロプロカイン、テトラカイン、リドカイン、
メビバカイン、プリロカイン、プビバカイン、ジブカイ
ン、及びこれらの薬理学的に許容される塩(例、塩酸
塩)を挙げることができる。これらの中でも、幅広い麻
酔作用を示し、経皮吸収性にも優れていることから、リ
ドカイン及びその薬理的に許容し得る塩が特に好まし
い。局所麻酔薬は、局所麻酔薬を含有するゴム系粘着剤
組成物中に、組成物全量基準で、好ましくは5〜50重
量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で含有さ
れる。
【0019】本発明では、局所麻酔薬の経皮吸収促進剤
として、N−メチル−2−ピロリドンを使用する。N−
メチル−2−ピロリドンは、局所麻酔薬を含有するゴム
系粘着剤組成物中に、組成物全量基準で、好ましくは
0.5〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、
さらに好ましくは2〜5重量%の割合で含有される。こ
の配合割合が小さすぎると、経皮吸収性が低下し、逆
に、大きすぎると、粘着特性に悪影響を及ぼすおそれが
ある。本発明では、経皮吸収促進剤として、N−メチル
−2−ピロリドンに加えて、脂肪族炭化水素基の炭素原
子数がいずれも6〜20の脂肪族アルコール及びポリオ
キシエチレン脂肪族エーテルからなる群より選ばれる少
なくとも一種の化合物をさらに含有させることが好まし
い。これらを併用することにより、貼付初期の段階か
ら、局所麻酔薬の皮膚透過量が相乗的に増大する。
【0020】本発明で使用する脂肪族アルコールとして
は、脂肪族炭化水素基の炭素原子数が6〜20の高級脂
肪族アルコールであれば特に限定されないが、好ましい
例としては、デシルアルコール(炭素原子数10)、ラ
ウリルアルコール(炭素原子数12)、ミリスチルアル
コール(炭素原子数14)、セチルアルコール(炭素原
子数16)、不飽和高級アルコールのオレイルアルコー
ルなどが挙げられる。これらの脂肪族アルコールは、そ
れぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。
【0021】本発明で使用するポリオキシエチレン脂肪
族エーテルは、脂肪族炭化水素基の炭素原子数が6〜2
0の高級脂肪族アルコールとポリオキシエチレンとをエ
ーテル化反応させることにより得ることができる。その
好ましい具体例としては、ポリオキシエチレン(2)ラ
ウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエー
テルなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族炭化水素基の炭素原子数がいずれも6〜20の脂
肪族アルコール及びポリオキシエチレン脂肪族エーテル
からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物は、局
所麻酔薬を含有するゴム系粘着剤組成物中に、組成物全
量基準で、好ましくは0.5〜20重量%、より好まし
くは1〜10重量%、さらに好ましくは2〜5重量%の
割合で含有される。この配合割合が小さすぎると、経皮
吸収性が低下し、逆に、大きすぎると、粘着特性に悪影
響を及ぼすおそれがある。
【0022】本発明の局所麻酔用経皮吸収型製剤は、一
般的な経皮吸収型製剤の製造法により製造することがで
きる。具体的には、例えば、ガラスライニングした金属
製の釜に、n−ヘキサン、トルエン、酢酸エチル等の有
機溶剤を入れ、これに種々のエラストマー、粘着付与
剤、酸化防止剤等の粘着剤成分を加えて、均一に溶解す
るまで、通常2〜10時間、好ましくは3〜7時間程度
攪拌する。次に、この粘着剤溶液に、所定量の局所麻酔
薬及び吸収促進剤を加え、10〜120分程度攪拌を継
続して、均一に溶解ないしは分散させる。
【0023】支持体としては、起伏のある皮膚面に密着
させることができる程度に柔軟性を備えたものを使用す
る。支持体の具体例としては、不織布、布、フィルム
(シートを含む)、多孔質体、発泡体、紙、不織布また
は布にフィルムをラミネートした複合体などを挙げるこ
とができる。これらの支持体の材質としては、例えば、
アセテートレーヨン、レーヨン、コットン、シルク、パ
ルプ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ酢酸ビニル、スチレン−イソプレン−スチレン
共重合体、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポ
リビニルアルコールなどが挙げられる。支持体として
は、薬剤が吸着されず、かつ、支持体側から薬物が放出
されないものが好ましい。
【0024】前記で調製した粘着剤組成物は、ナイフコ
ーター、コンマコーター、リバースコーター等の塗工機
を用いて、支持体上に所定量を均一に塗布する。これを
40〜120℃の一定温度雰囲気下に1〜10分間程度
置いて、有機溶剤を揮散させる。ただし、使用する有機
溶剤の種類及び塗布する粘着剤組成物層の厚みにより適
切な乾燥条件を設定する。粘着剤組成物層の表面には、
シリコン処理したポリエステル製やポリラミネート紙等
の剥離紙を貼り合わせ、所定のサイズに裁断して製剤と
する。剥離紙に粘着剤組成物を塗布、乾燥し、これを支
持体上に転写してもよい。
【0025】本発明の局所麻酔用経皮吸収型製剤は、通
常、所定の大きさに裁断して製品化し、使用することが
好ましい。所定の大きさに裁断した製剤1枚の大きさ
は、局所麻酔薬の濃度や適応部位に応じて適宜定めるこ
とができるが、通常、5〜60cm2 程度である。粘着
剤組成物層の厚さ(乾燥厚さ)は、通常、5〜100μ
m、好ましくは10〜60μm程度である。本発明の局
所麻酔用経皮吸収型製剤は、特定の経皮吸収促進剤の作
用により、リドカインなどの局所麻酔薬の皮膚透過量を
増加させ、短時間の貼付で十分な麻酔効果を与えること
ができる。
【0026】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに
限定されるものではない。以下、部とあるものは、重量
部数を示すものとする。
【0027】[実施例1]以下の配合にて、粘着剤組成
物溶液を調製した。 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー 100部 (JSR SIS5000、日本合成ゴム) 石油樹脂 150部 (アルコン P−100、荒川化学) リドカイン 75部 (帝国化学産業) N−メチル−2−ピロリドン 15部 (関東化学試薬特級) ラウリルアルコール 15部 (ハイノール12SS、高級アルコール工業) ブチルヒドロキシトルエン 2部 (スワノックスBHT、精工化学) トルエン 175部 n−ヘキサン 350部 以上の成分の内、リドカイン、N−メチル−2−ピロリ
ドン及びラウリルアルコールを除く成分をガラスライニ
ングしたステンレスの容器に入れ、室温にて約4時間攪
拌し、均一な粘着剤組成物溶液を得た。これに、リドカ
インとN−メチル−2−ピロリドン及びラウリルアルコ
ールを加え、均一になるまで約1時間攪拌した。得られ
た混合溶液を25μm厚のポリエステルフィルム(支持
体)に塗布し、80℃で1分間乾燥させ、次いで、塗工
面に、シリコン処理した75μm厚のポリエステル製剥
離紙を貼り合わせた。このようにして得られた製剤は、
粘着剤組成物の厚さが40μmで、リドカイン含量が
0.8mg/cm2であった。
【0028】[実施例2]以下の配合にて、粘着剤組成
物溶液を調製した。 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー 100部 (JSR SIS5000、日本合成ゴム) 石油樹脂 150部 (アルコン P−100、荒川化学) リドカイン 75部 (帝国化学産業) N−メチル−2−ピロリドン 30部 (関東化学試薬特級) ブチルヒドロキシトルエン 2部 (スワノックスBHT、精工化学) トルエン 175部 n−ヘキサン 350部 作製条件は、実施例1と同様である。このようにして得
られた製剤は、粘着剤組成物の厚さが40μmで、リド
カイン含量が0.8mg/cm2であった。
【0029】[比較例1]以下の配合にて、粘着組成物
溶液を調製した。 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー 100部 (JSR SIS5000、日本合成ゴム) 石油樹脂 150部 (アルコン P−100、荒川化学) リドカイン 75部 (帝国化学産業) ラウリルアルコール 30部 (ハイノール12SS、高級アルコール工業) ブチルヒドロキシトルエン 2部 (スワノックスBHT、精工化学) トルエン 175部 n−ヘキサン 350部 作製条件は実施例1と同様である。このようにして得ら
れた製剤は、粘着剤組成物の厚さが40μmで、リドカ
イン含量が0.8mg/cm2であった。
【0030】〈実験1〉実施例1〜2及び比較例1で得
た各サンプルに市販製剤(アクリル系感圧接着剤を基剤
とするリドカインテープ剤)を加えた4製剤について、
リドカインの皮膚透過量を調べるために、in vit
roでの透過実験を行った。埼玉実験動物供給所より入
手したヘアレスラット(オス、6週令)の腹部を電気シ
ェーバーで除毛後、皮膚を摘出し、32℃の条件下で、
ガラス製のサイドバイサイド型拡散セル(内径10m
m、容量2.7mL)に装着した。次に、皮膚の角質層
側に製剤を貼付し、真皮側にレシーバー液として精製水
を配置して、皮膚を透過してくるリドカインを経時的に
高速液体クロマトグラフィーにて定量した。リドカイン
の透過プロファイルを図1に、また、1時間後、2時間
後及び5時間後の累積透過量を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】図1及び表1の結果から明らかなように、
N−メチル−2−ピロリドンを添加した製剤(実施例
2)は、市販製剤よりも高い皮膚透過性を示した。N−
メチル−2−ピロリドンとラウリルアルコールを併用し
た場合(実施例1)には、N−メチル−2−ピロリドン
を単独で添加した場合(実施例2)及びラウリルアルコ
ールを単独で添加した場合(比較例1)よりも、高い皮
膚透過性を示した。
【0033】[比較例2]下記の成分を用いてラジカル
重合を行い、アクリル系粘着剤を得た。 2−エチルヘキシルアクリレート 85部 酢酸ビニル 13部 アクリル酸 2部 酢酸エチル 600部 アゾビスイソブチロニトリル 0.5部 リドカイン 100部 N−メチル−2−ピロリドン 9部 ラウリルアルコール 9部 以上の成分の内、リドカイン、N−メチル−2−ピロリ
ドン及びラウリルアルコールを除く成分をフラスコに入
れ、80℃で8時間攪拌しながら反応させ、平均分子量
約30万のアクリル系粘着剤を得た。これに、リドカイ
ン、N−メチル−2−ピロリドン及びラウリルアルコー
ルを加え、均一になるまで攪拌した。得られた混合物を
実施例1と同様の操作を行い、粘着剤組成物層40μ
m、リドカイン1.8mg/cm2の製剤を得た。
【0034】[比較例3]下記の成分を用いてハイドロ
ゲルを得た。 精製水 40部 ゼラチン 5部 カオリン 7部 ポリアクリル酸ナトリウム 3部 カルボキシメチルセルロース 4部 グリセリン 25部 硫酸アルミニウムカリウム 1部 リドカイン 25部 N−メチル−2−ピロリドン 5部 ラウリルアルコール 5部 精製水、ゼラチン及びカオリンを約60℃に加温した容
器に入れ、均一に溶解させる。これに、あらかじめ分散
させておいたグリセリン、ポリアクリル酸ナトリウム、
カルボキシメチルセルロース混液を加え、混合した。最
後に、リドカイン、N−メチル−2−ピロリドン、ラウ
リルアルコール及び硫酸アルミニウムカリウムを入れ、
攪拌し、混合物を得た。これを延展機にて厚さ約1mm
にポリエステル製不織布に塗布し、リドカイン含量が2
1mg/cm2の製剤を得た。
【0035】〈実験2〉比較例2〜3で得られたサンプ
ルを用い、実験1と同様にして、リドカインの皮膚透過
実験を行った。結果を図2及び表2に示す。対比のため
に、実施例1及び市販製剤での結果も併せて示す。
【0036】
【表2】
【0037】基剤としてアクリル系粘着剤を用いた場合
(比較例2)には、N−メチル−2−ピロリドンとラウ
リルアルコールを併用しても、十分な皮膚透過性が得ら
れなかった。水性ゲル基剤を用いた場合(比較例3)に
は、N−メチル−2−ピロリドンとラウリルアルコール
を併用することにより、リドカインの皮膚透過性を高め
ることができるものの、厚みが厚く、貼付中に違和感が
あリ、さらに、ラウリルアルコールが析出し、系が不安
定になるという問題があり、また、実施例1に比べて、
十分な併用効果を得ることができない。
【0038】[実施例3]以下の配合にて、粘着剤組成
物溶液を調製した。 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー 50部 (JSR SIS5000、日本合成ゴム) ポリイソプレンゴム 50部 (クラプレンIR−10、クラレ) 石油樹脂 150部 (アルコン P−100、荒川化学) リドカイン 75部 (帝国化学産業) N−メチル−2−ピロリドン 15部 (関東化学試薬特級) ラウリルアルコール 15部 (ハイノール12SS、高級アルコール工業) ブチルヒドロキシトルエン 2部 (スワノックスBHT、精工化学) トルエン 175部 n−ヘキサン 350部 作製条件は、実施例1と同様である。このようにして得
られた製剤は、粘着剤組成物の厚さが40μmで、リド
カイン含量が0.8mg/cm2であった。
【0039】[実施例4]以下の配合にて、粘着剤組成
物溶液を調製した。 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー 100部 (JSR SIS5000、日本合成ゴム) 石油樹脂 150部 (アルコン P−100、荒川化学) リドカイン 75部 (帝国化学産業) N−メチル−2−ピロリドン 15部 (関東化学試薬特級) オレイルアルコール 15部 (オレイルアルコールSS、高級アルコール工業) ブチルヒドロキシトルエン 2部 (スワノックスBHT、精工化学) トルエン 175部 n−ヘキサン 350部 作製条件は、実施例1と同様である。このようにして得
られた製剤は、粘着剤組成物の厚さが40μmで、リド
カイン含量が0.8mg/cm2であった。
【0040】[実施例5]以下の配合にて、粘着剤組成
物溶液を調製した。 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー 50部 (JSR SIS5000、日本合成ゴム) ポリイソプレンゴム 50部 (クラプレンIR−10、クラレ) 石油樹脂 150部 (アルコン P−100、荒川化学) リドカイン 75部 (帝国化学産業) N−メチル−2−ピロリドン 15部 (関東化学試薬特級) ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル 15部 (BL−2、日光ケミカルズ) ブチルヒドロキシトルエン 2部 (スワノックスBHT、精工化学) トルエン 175部 n−ヘキサン 350部 作製条件は、実施例1と同様である。このようにして得
られた製剤は、粘着剤組成物の厚さが40μmで、リド
カイン含量が0.8mg/cm2であった。
【0041】〈実験3〉実施例3〜5で得られたサンプ
ルを用い、実験1と同様にして、リドカインの皮膚透過
実験を行った。結果を図3及び表3に示す。対比のため
に、実施例1及び市販製剤での結果も併せて示す。
【0042】
【表3】
【0043】実施例1と対比して、実施例3では、ゴム
系粘着剤成分を変更したにもかかわらず、N−メチル−
2−ピロリドンとラウリルアルコールとの併用により、
高いリドカインの皮膚透過性を得ることができた。ラウ
リルアルコールに代えて、オレイルアルコール(実施例
4)またはポリオキシエチレン脂肪族エーテル(実施例
5)を用いた場合でも、高い皮膚透過性を示した。
【0044】
【発明の効果】本発明の局所麻酔用経皮吸収型製剤は、
局所麻酔薬の皮膚透過性が優れているため、市販製剤な
どの従来品に比べて、より短時間で十分な局所麻酔効果
を発揮することができる。したがって、本発明の局所麻
酔用経皮吸収型製剤は、臨床上極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高速液体クロマトグラフィーにて定量した局所
麻酔用経皮吸収型製剤サンプルの経時によるリドカイン
累積透過量を示すグラフである。
【図2】高速液体クロマトグラフィーにて定量した局所
麻酔用経皮吸収型製剤サンプルの経時によるリドカイン
累積透過量を示すグラフである。
【図3】高速液体クロマトグラフィーにて定量した局所
麻酔用経皮吸収型製剤サンプルの経時によるリドカイン
累積透過量を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 幹夫 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 (72)発明者 糠塚 ひろし 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、局所麻酔薬を含有するゴム
    系粘着剤組成物層を形成した局所麻酔用経皮吸収型製剤
    において、該ゴム系粘着剤組成物層が、経皮吸収促進剤
    として、N−メチル−2−ピロリドンを含有することを
    特徴とする局所麻酔用経皮吸収型製剤。
  2. 【請求項2】 該ゴム系粘着剤組成物層が、経皮吸収促
    進剤として、N−メチル−2−ピロリドンに加えて、脂
    肪族炭化水素基の炭素原子数がいずれも6〜20の脂肪
    族アルコール及びポリオキシエチレン脂肪族エーテルか
    らなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物をさらに
    含有する請求項1記載の局所麻酔用経皮吸収型製剤。
  3. 【請求項3】 局所麻酔薬が、リドカインまたはその薬
    理学的に許容される塩である請求項1または2に記載の
    局所麻酔用経皮吸収型製剤。
JP9221988A 1997-08-04 1997-08-04 局所麻酔用経皮吸収型製剤 Pending JPH1149670A (ja)

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